またもストリーミングで聞く「幻想交響曲」:今度はColin Davis+コンセルトヘボウ。
”Berlioz: Symphonie Fantastieque” Sir Colin Davis / Concertgebow Orchestra Amsterdam(Philips)
ストリーミングで「幻想」を聞くシリーズ2回目。今回はColin Davisがアムステルダム・コンセルトヘボウを振ったこの74年盤。多分,この盤は以前聞いたことはあるはずだが,買ったか,買っていないかは自信がない。父が保有していたものを聞いたのかもしれないし,あるいは別の機会だったか。
Colin Davisはベルリオーズの曲を相当数レコーディングしていて,"Complete Orchestra Works"なんてボックスも出ているぐらい,ベルリオーズに熱心だった人である。そういうことを意識して聴くと,ここでも実に真面目に演奏しているのがわかる。2楽章にはコルネットが入っているし,ちゃんとリピートすべきところはリピートするというかたちを取って,ベルリオーズの意図に忠実な演奏だと思える。
そもそも私は2楽章にコルネットが入る演奏を偏愛する傾向が強いのは,以前このブログにも書いた通りだが,ちゃんとコルネットを入れたこの演奏を改めて聴いて,ベルリオーズのスペシャリストたらんとするColin Davisが,真っ向勝負に出たって感じがした。
私の中では,これまでColin Davisとコンセルトヘボウのコンビと言えば,ストラヴィンスキーになってしまっていたが,今回この演奏を聞いて,Colin Davisとベルリオーズのつながりを再認識したのは遅きに失したと言えばその通り。だが,これも一つの温故知新だと開き直ることにしよう。
上述した通り,この演奏は真っ向勝負の真面目な演奏であり,Karajanの鐘のようなギミックなんて何もない。しかし,曲に愚直に対峙するという姿勢はある意味清々しいのだ。逆に言えば,真面目過ぎて決定的な個性はないとも言えるのだが,個性的であればいいというものではない。実のところこれは曲としての「幻想」の演奏の一つのあるべき姿,あるいはスタンダードと言ってもいいものなのかもしれないなぁなんて漠然と思っていた私である。いずれにしてもオーセンティックないい演奏である。
さて,次は誰が出てくるか...。Colin Davisの別ヴァージョンだったりして(笑) 。
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