久しぶりにStingの”Nothing Like the Sun”を聴いた。
"...Nothing Like The Sun" Sting(A&M)
このアルバムを聴くのも実に久しぶりのことだ。リリースされたのは1987年だから,もう35年も経過してしまったことに,時の流れを感じざるをえない。当時,私はまだ20代半ばだったが,今や還暦過ぎだもんなぁ。歳をとるわけである。
それはさておきである。"The Dream of the Blue Trutles"でソロ・デビューを果たし,名ライブ”Bring on the Night"を経て,このアルバムをリリースした頃のStingは,そのキャリアにおいてもピークにあったと言ってもよいと思える。このアルバムも佳曲が揃っており,聞きどころ満載である。ゲストも豪華だし。
このアルバムがリリースされた際に,私が注目したのがジミヘンの"Little Wing"におけるGil Evansとの共演であった。私は当時,Gil Evansの音楽にかなり入れ込んでいた時期であり,彼らがどういう共演ぶりを示すかが興味深かったからである。後に彼らの共演はブートレッグ(そちらに関する記事はこちら)でリリースされたりして,その全貌はそちらで聞けばいいし,ペルージアでのライブの模様は映像も残っている。ここでの演奏はGil Evans Orchestraとの共演を謳っているが,そこにはBranford Marsalisのソロを除いてホーンは存在せず,リズム・セクションのみとの共演にしか聞こえず,その辺りはどうなのよ?と思っていた。因みに"English Man in New York"のシングルには,同じくジミヘンの"Up from the Sky"がGil Evansとの共演として収録されているのだが,そっちはホーンも聞こえるので,"Little Wing"のサウンドは意図的にホーンを消したか,あるいはミキシング・レベルを下げたということだったのかもしれないが,これには若干肩透かしを食った思いをしたのも懐かしい。しかし,リズム・セクションのみと言っても,そこは当時のGil Evans Orchestra的なサウンドではあるのだが...。
このアルバムは全体的にはいいアルバムであることは間違いないのだが,シングル・カットされた"We’ll Be Together"がアルバム全体のトーンを崩しているように思えるのはちょっと残念だ。明らかにこの曲だけ,ほかの曲とのバランスがよくないと思うのは私だけだろうか。そこは何とも惜しいと思えるが,それでも星★★★★☆ぐらいには評価してもいいだろう。
冒頭に記した通り,リリースから35年を経ているが,私には古さを感じさせないのは,同時代を過ごしてきたがゆえのことか。若い人にはこういう感覚は通じないのかもしれないな。だとすれば,ジェネレーション・ギャップだな(爆)。
Personnel: Sting(vo, b, g), Manu Katché(ds), Kenny Kirkland(key), Mino Cinelu(perc, vocoder), Branford Marsalis(sax), Andy Newmark(ds), Gil Evans(p), Hiram Bullock(g), Mark Egan(b), Kenwood Dennard(ds), Andy Summers(g), Fareed Haque(g), Mark Knopfler(g), Eric Clapton(g), Rubén Blades(vo), Ken Helman(p), Dollette McDonald(vo), Janice Pendervis(vo), Vesta Williams(vo), René Gayer(vo), Gil Evans Orchestra
本作へのリンクはこちら。
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