Aubrey JohnsonとRandy Ingramの”Play Favorites”はライブを更に上回る好印象。
"Play Favorites" Aubrey Johnson & Randy Ingram(Sunnyside)
先日,彼らのライブを武蔵野スイングホールで観た時に,リリース前のこのアルバムを入手したことは既に書いた(記事はこちら)。早速これを聴いてみたのだが,ライブはライブでよかったとしても,このアルバムは更に好印象を与える。
何がよいか。それはRandy Ingramのピアノの響きが適切なことである。ライブではPAのせいもあったのかもしれないが,ちょっと打鍵が強過ぎるように感じられた彼のピアノ(換言すれば弾き過ぎ) が,ここではリリカルさが感じられるレベルのサウンドになっていて,Aubrey Johnsonの声とのフィット感がこちらの方が優れているように思える。ここで聞かれるピアノの音は,Fred Hersch的な感覚もあり,こうしたセッティングのアルバムにはこういう音がよいのだ。
そして,ライブでも演奏された曲のセレクションが実に趣味がいいということを改めて感じる。ライブでも好感触であったJoni Mitchellの"Conversation"は,若い頃のJoni Mitchellの声を彷彿とさせるようなAubrey Johnsonの声,そして歌いっぷりである。そして,Lyle Maysの”Close to Home”のポルトガル語版である"Quem é Você"はここでも実によい。
いつも書いているように,私はジャズ・ヴォーカルのよい聴き手ではないが,これは選曲からしてジャズの範疇を越えていると思えるし,Aubrey Johnsonの声や歌い方も「もろ」ジャズ・ヴォーカルって感じではないから,私としてはこういうアルバムなら全然OKなのである。だが,"I'll Remember April"にスキャットでLennie Tristanoの"April"を交えたり,"Born to Be Blue"をブルージーに歌うところなどには,ジャズ的な部分も忘れていないことを感じさせるのが,またまた評価したくなるポイントである。Aubrey Johnsonの声は”Born to Be Blue"のような曲には若干クリーン過ぎるようにも思えるが,こうした曲を入れるところはジャズ・シンガーとしての矜持と捉えたい。
いずれにしても,このセンスの良さを評価して,ちょっと甘いと思いつつ,星★★★★★としてしまおう。リピートしてプレイバックできるところがいいアルバムの証左である。尚,本作は11/4にリリースが予定されているので,ご関心のある方は是非。
Recorded on May 27, 28 and June 10, 2022
Personnel: Aubrey Johnson(vo), Randy Ingram(p)
本作へのリンクはこちら。
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コメント
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閣下、遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。
『Play Favorites』、とても良かったです。
いろいろな事情で、昨年中にあげられず、今年の一枚目になりましたが、、
お正月にもぴったりなアルバムだとおもいました。
ジャズ・ディーヴァというあイメージから、少し距離を置く感じの
きれいな歌声なのですが、これだけ心を動かすことができれば素晴らしいとおもいます。
閣下は、私の誕生日のアップだったんですね♪はやっ。
リンクもありがとうございました。m(_ _)m
私のリンクも置いていきます。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2023/01/post-03c2f1.html
投稿: Suzuck | 2023年1月 5日 (木) 07時59分
Suzuckさん,こんばんは。こちらこそ本年もよろしくお願いします。リンクもありがとうございます。
>『Play Favorites』、とても良かったです。
はい。私にとっても実に好印象のアルバムでした。
>ジャズ・ディーヴァというイメージから、少し距離を置く感じの
>きれいな歌声なのですが、これだけ心を動かすことができれば素晴らしいとおもいます。
おっしゃる通りですね。声の質もありますが,やはり選曲が効いていますね。
>閣下は、私の誕生日のアップだったんですね♪はやっ。
まぁ,これはライブに行った時の「フライング・ゲット」(笑)でしたから。でもライブの場でアルバムが欲しくなるような歌唱,演奏だったということですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2023年1月 5日 (木) 17時37分