聞いておく必要があると感じさせたMary Halvorson。
"Amaryllis & Belladonna" Mary Halvorson(Nonesuch)
正直言ってずっと避けてきたのがMary Halvorsonである(苦笑)。だってハードル高そうなんだもん(笑)。
この人,その筋の方はご承知でも,一般的な日本での知名度はそんなに高くないというのが実態ではないか。しかし,米国における評価,特に批評家筋の評価が無茶苦茶高い人であることはDownBeat誌においても明らかであった。このアルバムだって,見事5つ星である。何がそんなに評価されるのか,っていうのは例えばアルト・サックスのRudresh Manthrappaとかもそうだが,聞いてみないとわからないよねぇっていうところが正直なところで,今回は血迷って(?),アナログ2枚組をゲットした私である。
だがこのアルバム,CD版は"Amaryllis"と"Belladonna"という2枚に分売されているが,アルバムにおける編成を考えれば,これは「一連」のアルバムとして聞くべきものなのではないかと思った。"Amaryllis"については,基本はセクステットの演奏なのだが,B面にはそこに弦楽クァルテットが加わり,"Belladonna"は全編Mary Halvorsonと弦楽クァルテットだけによる演奏なので,Mary Halvorsonとしてはこの流れには一貫したねらいがあったはずだろうと思ってしまうのだ。
だが,聞いてみると,やっぱりこれはハードルが高いというか,一筋縄ではいかない音楽である。アルバム・ジャケットが示す抽象度がそのまま音に反映されていると言っても過言ではない。"Amaryllis"については十分にジャズ的な感覚を与えるが,"Belladonna"についてはもはや現代音楽的と言ってもよい。同じ弦楽クァルテットを従えた上原ひろみの"Silver Lining Suite"から受ける感覚が全然違うのだ。はるかにこちらの抽象度が高く,だからこそハードルは高い。しかし,こういう曲を書いてしまうところが,Mary Halvorsonの実力を反映しているようにも思える。
いずれにしても,私には"Amaryllis"におけるハイブラウなジャズ度の高い演奏と,"Belladonna"を対比することが必要であり,これは一緒に聞かなければならない音源だと感じさせたアルバムであった。Nonesuchが契約するのも納得ではあるが,特に"Belladonna"は相当音楽鑑賞における懐の広さが必要であり,そのハードルの高さゆえに星★★★★☆。万人向けの音楽ではないが,今,聴いておいて損はない音楽,あるいは聞いておく必要がある音楽であると言っておきたい。
Recorded on September 11, 12 & 13, 2021
Personnel: Mary Halvorson(g), Adam O'Farrell(tp), Jacob Garchik(tb), Patricia Brennan(vib), Nick Dunston(b), Tomas Fujiwara(ds), The Mivos Quartet<Olivia De Prato(vln), Maya Bennardo(vln), Victor Lowrie Tafoya(vla), Tyler J. Borden(cello)>
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