才人3人による”Wave”:悪いはずがない。
先日,ショップでゲットしたアルバムである。このWaveというトリオ,前々から気になっていたが,いかんせんなかなか手に入らない。富樫雅彦~Gary Peacock~佐藤允彦という才人の集まりであるから,おかしなことにならないのははっきりしている。思い起こせば,随分前のことになるが,立ち寄ったショップで彼らの2枚目のアルバムの中古を見掛けたのだが,その時購入しなかったのは失敗だったと思っていたが,今回は彼らの第1作を見つけたので,今回は迷うことなく入手である。現在の中古盤市場では,買い逃した2枚目の価格が高騰しているので,つくづくもったいないことをしたと思うが,その轍は踏まないということである(笑)。
このWaveというトリオ,全3作を残しているが,各々のアルバムで各々のメンバーがリーダーシップを取るという何とも民主的なトリオである。本作は富樫雅彦の作品,2枚目がGary Peacockの作品,そして3枚目が佐藤允彦の作品という具合になっている。ということで,この1枚目は富樫雅彦作品集ということで,それで腰が引けるって話もあるが,このアルバムは全然取っつきにくさというのは感じない。スリルと美的な弛緩が入り混じる実に優れた作品だと思える。
富樫雅彦という人は,パーカッション・ソロのアルバムも出してしまう人なので,それだけでビビるリスナーも多いはずだが,私が彼のアルバムとして初めて聞いたのが高校時代の"Spiritual Nature"だったということもあり,それがある時期までは私にとっての一種の壁になっていたと言っても過言ではない。大してジャズも聞いておらず,フリー耐性もできていない人間が聞いても「訳が分からない」という感じだったからである。その後,音楽経験を深めることで,今や全く抵抗のなくなった富樫雅彦であり,"Spirtual Nature"ではあるのだが,それにしてもこのアルバムは実に今の私にフィット感を与える音楽だったと言ってもよい。
一般的な意味で捉えれば,聞き易い音楽ではないだろう。しかし,冒頭のスリリングな"Breeze"から2曲目の何とも美しいメロディ・ラインを持つ"Valencia"の流れには,まさに聞き惚れてしまった私である。そして,ここで件の"Spirtual Nature"をトリオで再演しているのだが,Gary Peacockをフィーチャーした演奏はこれまたこの曲に新たな魅力を付け加えたような気がする。
これは実に優れたトリオ・アルバムとして,やっぱり"Wave II"も欲しくなってしまった私である。星★★★★★。
余談ではあるが,このアルバムがEast Windレーベルのものだとは全く知らなかったと,先日このアルバムを入手した時の記事にも書いたが,そう言えばジャケに写る人物はEast Windのロゴ入りTシャツを着ているしねぇ。しかし,これはポリドールからのリリースだし,レーベルとしては番外編ってことになるのかもなぁ。
Recorded on October 29 and 30, 1986
Personnel: 富樫雅彦(perc),Gary Peacock(b),佐藤允彦(p)
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