ムーディでゴージャスとしか言いようがないDiana Krallの”The Look of Love”。
"The Look of Love" Diana Krall(Verve)
毎度毎度同じトーンで書いているが,私はジャズ・ヴォーカルのよい聞き手ではない。自分から積極的に聞くことはあまりないが,それでもたまに気まぐれでプレイバックすることもある。今回は久しぶりにこのアルバムを取り出してみたのだが,Diana Krallというのはこの世界においては,概ね万人受けする歌手だと思ってはいたが,改めてこのアルバムを聞いて,やはりこれは売れると思ってしまった。
端的に言えば,主題に書いた通り,ムーディーにしてゴージャス。流麗なストリングスを交えながら,スタンダードを歌えば,大概のリスナーはOK!と言ってしまうだろうと思える。この辺りはプロデュースをしたTommy LiPumaの狙い通りってところだと思うが,冒頭の"S'Wonderful"からもはや隙のないつくりである。
以前にも書いたことがあるが,Diana Krallという人は,声にしても歌唱にしても,実に取っつきやすく,リスナーがケチをつける要素が少ないと思える。だからこそ万人受けすると思える訳だが,このアルバムは更にスロー~ミディアム・テンポでしっとり歌っていて,実に心地よいつくりとなっている。それを「あざとい」と言ってしまえばその通りだが,ここまで心地よいサウンドに仕立ててくれれば,こっちも文句をつけるのが馬鹿馬鹿しくなるってところだ。
それに貢献しているのは明らかにClaus Ogermanのストリングス・アレンジだということは間違いない。まさに夢見心地にしてくれるような音と言ってよい。本作に先立つ"When I Look in Your Eyes"でJohnny Mandelが担っていた役割を,ここではClaus Ogermanが更に重要な役割として果たしていることで,前作同様,あるいはそれを上回る成果を実現したと思える。まぁ"Besame Mucho"みたいな曲がDiana Krallに合っているかという疑問はあるものの,前作同様の評価をするならば,星★★★★★としなければなるまい。そして,タイトル・トラックはDiana Krallにフィットしていると思っている私である。いっそのことBurt Bacharach曲集でも出して欲しいものだと思ってしまった(まぁ,後に"Walk on by"は歌っているが...)。
いずれにしても,実に趣味がよく,気持ちよく聞けるアルバムだと思った。小音量で仕事のバックで流れていれば,仕事も捗ること必定(笑)である。
Personnel: Diana Krall(vo, p), Russell Malone(g), Dori Caimi(g), John Pisano(g), Christian McBride(b), Peter Erskine(ds), Jeff Hamilton(ds), Paulino da Costa(perc), Lousi Conte(perc), Claus Ogerman(arr) with strings
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このあたりは、近頃はHi-Res音源でe-onkyoからダウン・ロードしたり、Hi-Res MQA CDで手に入れたりと、私にとっては第2期として聴いています。
彼女はシンガーとしてと、ピアニストとしての味がそれぞれ少々違った分野を感じますが、なかなか立派なものですね。
しかしこのオヤジ声は大したものだ。トニー・ベネットとのデュオではどちらだか解らなくなることがある(笑い)。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年9月 1日 (木) 11時36分
photofloyd(風呂井戸)さん,こんばんは。
> このあたりは、近頃はHi-Res音源でe-onkyoからダウン・ロードしたり、Hi-Res MQA CDで手に入れたりと、私にとっては第2期として聴いています。
なるほど。GRPまでが第1期ですかね。
> 彼女はシンガーとしてと、ピアニストとしての味がそれぞれ少々違った分野を感じますが、なかなか立派なものですね。
> しかしこのオヤジ声は大したものだ。トニー・ベネットとのデュオではどちらだか解らなくなることがある(笑い)。
はい。私は彼女の追っかけではないですが,ピアニストとしての腕も確かですが,ヴォーカリストとしての声の魅力はあると思います。本作なんかはプロデュースの勝利って気もしますが。
投稿: 中年音楽狂 | 2022年9月 1日 (木) 18時54分