血迷ったとしか思えないMcCoy Tynerの”Looking Out”。
"Looking Out" McCoy Tyner(Columbia)
このアルバム,なぜかアナログで保有している私である。このアルバムが話題になったのはMcCoy TynerとCarlos Santanaの共演が収められているからで,私としてもこの二人が共演したらどういうことになるのかということで,中古で入手したと記憶している。しかし,このアルバムがターンテーブルに乗ることはほとんどなかった。そしてこれからもそれは変わりあるまい。なぜか?面白くないからである(きっぱり)。
このアルバムは端的に言えば,McCoy Tynerによるフュージョンである。だが,McCoy Tynerの音楽を知るリスナーからすれば,McCoy Tynerとフュージョンが合う訳がないのだ。Carlos Santanaとの共演という情報だけでは,ここまでフュージョンに傾斜しているとは想像していなかったが,先日,久々にこのアナログ盤を聴いて,「何じゃこりゃ?」としか思えなかったというのが実感である。
McCoy Tynerのピアノ・スタイルはよく言えばOne & Only,悪く言えばワンパターンな訳だが,そうした点も理解して新機軸を打ち出そうということで,ヴォイスを入れてみたり,あるいはミュージシャンの組合せをいじってみたり,あるいはビッグバンドとやったりという取り組みはそれまでにもあった。本人もプロデューサーも自覚の上ってところだろうが,だからと言って合うはずもないフュージョンに手を出したのは明らかに失敗だったと思う。
私もそうだが,リスナーなんて勝手なもので,従来の音楽はワンパターンとけなしながら,新機軸を打ち出せばイメージに合わないと言ってしまうものだが,それにしてもである。結構豪華なメンツを集めていると言ってもいい中で,どうしてこれほどPhyllis Hymanに花を持たせるかとも思ってしまう。彼女が悪いのではない。ここで彼女が登場することによって,McCoy Tynerの音楽である必然性がますます薄れたとしか言いようがないのだ。
ということで,McCoy Tyner,血迷ったり!としか言えない私である。星★★。
Personnel: McCoy Tyner(p, synth), Stanley Clarke(b), Carlos Santana(g), Buddy Williams(ds), Gary Bartz(as), Gerry Gonzarez(perc), Phyllis Hyman(vo), Charles Johnson(g), Denzil "Broadway" Miller(synth), Ndugu Chancler(ds)
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