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2022年8月31日 (水)

ついに完結!Tedeschi Trucks Bandの4部作,”I Am the Moon”。 #TedeschiTrucksBand

_20220830"I am the Moon: IV. Farewell" Tedeschi Trucks Band(Fantasy)

これまでほぼ1か月に1枚のペースでリリースされてきたTedeschi Trucks Bandの全4枚から構成される"I Am the Moon"が,この4枚目,"Farewell"のリリースを以て完結した。

私は本作の評価は全4枚がリリースされてからと思ってきたので,これまでも明確には評価してこなかったが,ここで一つの作品として本作を振り返ることとしたい。

結論から言えば,よく頑張ったと思えるアルバムである。この4枚目を単体で捉えれば,4作中,最もレイドバックした感覚が強いように思えるし,Derek Trucksのギターが実に効果的に響いていると思える。

一方で,この4枚目の収録時間は30分にも満たないものである。Derek Trucksはアナログを意識した収録時間を考えていたようで,昔のアナログ・ディスクは片面20分程度が普通だったことを考えれば,そういうことかとも思うが,だったら,このアルバムはCDで分売するよりも,最初からアナログ・ディスク4枚組でリリースするのが筋だ。このバンドのファンとしては,一刻も早く聞きたいという思いが勝るから,CDをせっせと買った訳だが,このリリース方法には議論の余地があると思える。

そうは言っても,これはこのバンドにとって,コロナ禍を通過した野心作であり,その意義自体は否定しない。ただ,私がこの4部作を聞いていて,どうもSusan Tedeschiの声に飽きてきたかなって気がする。彼女がBonnie Raittのような声であれば...と4部作を聞いていて何度か思ってしまったことは告白しておかねばなるまい。それはこの4部作のリリースの途中にBonnie Raittの優れた新作,"Just Like That..."を聞いてしまったこともあるが,私としてはBonnie Raittの魅力が一枚上だと痛切に感じたのである。

それを補うのがDerek Trucksのギターであるとは思うが,それでもトータルではBonnie Raittに軍配を上げたくなってしまうのだ。夫婦バンドであるがゆえに,こればかりはどうしようもないというところだが,私としては昔のようなDerek Trucks Bandも改めて聞いてみたいと思ってしまったというのが正直なところ。まぁそれでも好きは好きなんだけど。ということで星★★★★。

Personnel: Susan Tedschi(vo, g), Derek Trucks(g), Mike Mattison(g, vo), Paul Olsen(g), Gabe Dixon(p, org, key, synth, accor), Brandon Boone(b), Tyler Greenwell(ds, perc), Isaac Eady(ds, perc), Kebbi Williams(sax, fl), Ephraim Owens(tp), Elizabeth Lea(tb), Marc Quinones(perc), Mark Rivers(vo, perc), Alecia Chakour(vo, perc), Eric Krasno(g), Adrian Jackson(sousaphone), St. EOM(dialogue)

2022年8月30日 (火)

Brad Mehldau関連のWebサイトに関する謎。

最近,Brad MehldauのWebサイト(www.bradmehldau.com)がずっとアクセス不能な状態になっていて,どうしたのかと思っていた。情報はFacebookやTwitterでは発信されているのだが,なぜWebサイトが遮断されているのかは全くの謎であったのだが,Facebookをよくよく眺めると,URLがhttps://www.bradmehldaumusic.com/に変わっていたようだ。な~んだ,って感じだが,こういうのはちゃんと告知して欲しいよなぁ。

一方,Brad Mehldauの詳しいディスコグラフィを掲載し,Brad Mehldauのサイトにも情報が連携されているJens Linge氏のWebサイトもアクセス不能になっている。このディスコグラフィには,私も音源収集の上で大いに世話になっていたし,本人とも情報交換をしていただけに,なんで?と思ってしまう。

Jens Linge氏についてはここのところ,ディスコグラフィのメンテナンスが滞っていた(直近のアップデートは確か2020年の5月に遡る)のも事実だが,心配なので本人にメールでも出してみるか...(彼との最後のやり取りももう2年前である)。う~む。

2022年8月29日 (月)

「L.A. コールドケース」:久々の映画館通い。

City-of-lies 「L.A. コールドケース("City of Lies")」('18,米/英,Miramax/FilmNation)

監督:Brad Furman

出演:Johnny Depp, Forrest Whitaker, Toby Huss, Dayton Callie, Neil Brown, Jr., Louis Herthum 

久々に映画館に行ってきた。この映画,2018年に制作されながら,本国での公開も昨年3月,そして今頃になって日本で公開というのも不思議な気がするが,米国では既にソフト化されていて,劇場に行かなくても見ることができるというのは何だかなぁって感じもする。

それはさておき,この映画,原題の"City of Lies"の方がずっとテーマに即していると思われるような骨太の映画である。人気ラッパー,Notorious B.I.G.の狙撃殺害事件を背景としながら,LAPDの無茶苦茶な腐敗ぶりを描いていて,こんな無茶苦茶な話があるのかとさえ感じさせるストーリーであった。私はラップにほとんど興味がないので,2Pacの事件も,Notorious B.I.G.の事件も全然承知していなかったのだが,この映画を理解するには,この2つの事件について知っておいた方がベターであることは間違いない。しかし,そんな背景を知らなくても,相応に見られる映画になっているものの,商業的な観点では,結構厳しかったんだろうなぁと思える。だからこそ,公開も遅れたのだろうし,ここで提示される事件の真相の「仮説」に関しては,いろいろな意見が出てくるのも当然だろう。状況証拠からは限りなくクロに近い灰色だよねぇと思わせても,状況証拠は状況証拠だからだ。

この映画,Johnny Deppが演じる元刑事,Russell Pooleが現役,リタイア後を含めて事件を追い続ける様子と,そこにForrest Whitaker演じるジャーナリスト,Jackが絡んでくる訳だが,この二人の関係性の前半の描き方と,中盤以降のそれで随分変わって来ることは,やや説明不足な面もあるように思えるが,それよりも何よりもこの映画のポイントは上述の通り,LAPDの腐敗の告発だと思える。「限りなくクロに近い灰色」に対して「手を打てない」のか,「打たない」のかさっぱりわからない訳で,Johnny Deppはこの映画のエグゼクティブ・プロデューサーを兼ねているが,相当な怒りがなければ,こういう映画は作れないだろうと思ってしまう。まぁ,その後,映画にも出てくるロドニー・キング事件をLAPDは起こしているので,時間が経過しても何も変わっていないという思いもあっただろう。また,Notorious B.I.G.の実母,Voletta Wallaceを本人としてと登場させてしまうところも,告発への気合が違うって感じである。

こういう映画なので,エンタテインメントとして捉えるのは難しい部分もあることは承知で,こういう映画,私は嫌いではない。世の中,ひどいことはあるんだねぇと改めて感じた次第。星★★★★。

ところで,この映画の情報をIMDbで見ていて,懐かしやMichael Paréの名前を見つけた私である。正直映画を観ている時は全く認識できていなかったが,Michael Paréと言えば,「ストリート・オブ・ファイア」だよねぇ。懐かしいなぁ。DVD見ようっと(笑)。と言っても一番の目的はDiane Laneを見ることになるのだが(爆)。

2022年8月28日 (日)

才人3人による”Wave”:悪いはずがない。

_20220826 "Wave" Wave(East Wind)

先日,ショップでゲットしたアルバムである。このWaveというトリオ,前々から気になっていたが,いかんせんなかなか手に入らない。富樫雅彦~Gary Peacock~佐藤允彦という才人の集まりであるから,おかしなことにならないのははっきりしている。思い起こせば,随分前のことになるが,立ち寄ったショップで彼らの2枚目のアルバムの中古を見掛けたのだが,その時購入しなかったのは失敗だったと思っていたが,今回は彼らの第1作を見つけたので,今回は迷うことなく入手である。現在の中古盤市場では,買い逃した2枚目の価格が高騰しているので,つくづくもったいないことをしたと思うが,その轍は踏まないということである(笑)。

このWaveというトリオ,全3作を残しているが,各々のアルバムで各々のメンバーがリーダーシップを取るという何とも民主的なトリオである。本作は富樫雅彦の作品,2枚目がGary Peacockの作品,そして3枚目が佐藤允彦の作品という具合になっている。ということで,この1枚目は富樫雅彦作品集ということで,それで腰が引けるって話もあるが,このアルバムは全然取っつきにくさというのは感じない。スリルと美的な弛緩が入り混じる実に優れた作品だと思える。

富樫雅彦という人は,パーカッション・ソロのアルバムも出してしまう人なので,それだけでビビるリスナーも多いはずだが,私が彼のアルバムとして初めて聞いたのが高校時代の"Spiritual Nature"だったということもあり,それがある時期までは私にとっての一種の壁になっていたと言っても過言ではない。大してジャズも聞いておらず,フリー耐性もできていない人間が聞いても「訳が分からない」という感じだったからである。その後,音楽経験を深めることで,今や全く抵抗のなくなった富樫雅彦であり,"Spirtual Nature"ではあるのだが,それにしてもこのアルバムは実に今の私にフィット感を与える音楽だったと言ってもよい。

一般的な意味で捉えれば,聞き易い音楽ではないだろう。しかし,冒頭のスリリングな"Breeze"から2曲目の何とも美しいメロディ・ラインを持つ"Valencia"の流れには,まさに聞き惚れてしまった私である。そして,ここで件の"Spirtual Nature"をトリオで再演しているのだが,Gary Peacockをフィーチャーした演奏はこれまたこの曲に新たな魅力を付け加えたような気がする。

これは実に優れたトリオ・アルバムとして,やっぱり"Wave II"も欲しくなってしまった私である。星★★★★★。

余談ではあるが,このアルバムがEast Windレーベルのものだとは全く知らなかったと,先日このアルバムを入手した時の記事にも書いたが,そう言えばジャケに写る人物はEast Windのロゴ入りTシャツを着ているしねぇ。しかし,これはポリドールからのリリースだし,レーベルとしては番外編ってことになるのかもなぁ。

Recorded on October 29 and 30, 1986

Personnel: 富樫雅彦(perc),Gary Peacock(b),佐藤允彦(p)

2022年8月27日 (土)

Super Guitar Trioの発掘音源をストリーミングで聴いた。 #Superguitartrio #AlDiMeola #JohnMcLaughlin #PacoDeLucia

Saturday-night-in-sf "Saturday Night in San Francisco" Al Di Meola / John McLaughlin / Paco De Lucia(ear Music / Impex)

所謂Super Guitar Trioによるライブ盤"Friday Night in San Francisco"は強烈な印象を残すものでありながら,私にはややギミック過剰にも思えたことは事実である(そのアルバムに関する記事はちら)。だが,そのアルバムの翌日の演奏の未発表音源がリリースされるとなれば,やはり気になる。気にはなるのだが,いかんせんこのアルバムの価格が結構高い。そこまでして買うかなぁってこともあって,買い控えていたのだが,めでたくストリーミングで公開されたので聞いてみた。

するとである。これが結構いいのだ。"Friday"にあったような過剰な遊びがなく,トリオでの演奏はきっちり技巧とアンサンブルを聞かせるところは好感度が高い。そして,このアルバムがいいのは各々のギタリストのソロ曲がそれぞれ1曲ずつ収められているところだろう。特にここでのPaco De Luciaのソロである"Monasterio de Sal"が実に素晴らしい。全体を通して聞いてみると,私は"Friday"よりこっちの方が好きなのではないかとさえ思えてしまったぐらいだ。

だからと言って,これからCDやアナログを購入してもプレイバック頻度は高くなりそうもないので,今後もストリーミングで楽しめばいいやと思いつつ,これは聞いて損はないと思えるアルバムであった。やっぱりこの3人が揃えば強烈なのだ(笑)。甘いの承知で星★★★★☆。

因みに,このアルバム,最後の曲が「黒いオルフェ」のものと,"Soniquete"のものがあるようだ。私がストリーミングで聴いたのは後者だが,多分前者がear Music版で,後者がImpex版のCDということだろう。しかし,確認した訳ではないので為念。

Recorded Live at Warfield Theater on December 6, 1980

Personnel: Al Di Meola(g), John McLaughlin(g), Paco De Lucia(g)

2022年8月26日 (金)

ようやくゲットしたPrysmの1stアルバム。フランスのトリオらしからぬところが,彼らの魅力だと思う。 #Prysm

_20220824"Prysm" Prysm (Artalent)

私が初めてPrysmを聞いたのは,現状では彼らの最終作となっている"Five"をリアルタイムで聞いた2011年のことである(そのアルバムに関する記事はこちら)。即ち,私は遅れてきたPrysmリスナーな訳だが,"Five"の記事からも興奮度は伝わってくる。

そんな彼らの1stアルバムである本作は,後にフランスBlue Noteから別ジャケで再発されたはずだが,オリジナルであるこちらも含めて結構入手が難しい状態であった。特にオリジナルはレアであるがゆえに高かった。しかし,先日立ち寄ったショップにこれがあったので購入したもので,値段はそこそこ高かったが,まぁしょうがないとは思えるものの,受け入れ可能なレベルだったのでついに購入と相成った。

前にも書いたことがあるのだが,Prysmはフランス人によって構成されたピアノ・トリオでありながら,私がフランスのジャズに感じるものと質感が異なるように思える。正直言ってしまえば,私はフランスのジャズってあまり得意としておらず,音楽にやや理念先行みたいな部分(換言すれば理屈っぽさ)を感じていることが多かった。しかし,Prysmのやっている音楽はエモーション炸裂って感じで,実に熱い演奏だと言える。

曲は"Body And Soul"を除いて,彼らのオリジナルであるが,実に聴き手も熱くさせる演奏の連続である。やはりこんなトリオがフランスから出てきたことは私にとっては奇跡に近いと思ってしまった。現在,彼らの3枚目のアルバムを取り寄せ中だが,これで彼らのアルバムは揃うことになる。本作を入手したことで,改めてPrysmの音楽に触れる機会を増やしたいと思った私である。何を今更と言われれば返す言葉はないが...(苦笑)。いいものはいつまで経ってもいいのである。星★★★★★。

Recorded in July, 1995

Personnel: Pierre de Bethmann(p), Cristophe Wallemme(b), Benjamin Henocq(ds)

2022年8月25日 (木)

追悼,Creed Taylor

Creed-taylor-and-wes

Creed Taylorが亡くなった。この人はImpulse!レーベルを立ち上げ,「ブルースの真実」ほかを制作,Verveでは"Getz/Gilberto"でボサ・ノヴァをメジャーにした。Creed TaylorがVerveで制作したJimmy Giuffre 3のアルバムは,後年,何とECMから再リリースされるという珍しい道を辿っているし,更にはA&MではWes Montgomeryの最終三部作をプロデュースしたことだけでも凄い業績だが,やはり自分の名前を冠したCTIレーベルの印象が強い。そもそもWesのアルバムだって既にCTIだって考えてもいいのだが。

CTIレーベルのアルバムはそれこそ玉石混交と言ってもよいが,よくもまぁこれだけのカタログを揃えたものだと思うし,超絶的な名盤はないといとして,それぞれ印象的なアルバムが多数あると思う。ブレーク前のGeorge Bensonを育てたのもCreed Taylorだと言ってよいし,Joe FarrellやFreddie HubbardのCTIでのアルバムはいまだに私は結構愛聴している。Paul Desmondの"Skylark"とかChet Bakerの"She Was Too Good to Me"とかもちゃんと一軍の棚に収まっている。しかし,レーベル最大のヒットはDeodatoだったかなぁと思う。Bob Jamesのアルバム等も含めて,クロスオーバー/フュージョンの走りみたいなところもあったと思うが,クラシック音楽のアダプテーションも結構レーベルの得意技だった。

80年代には"Fuse One"みたいなアルバムを出しつつ,80年代後半にCTIレーベルを再興し,Larry CoryellやJack Wilkins,Charles Fambroughらのアルバムをリリースしたのも懐かしい。Larry Coryellの"Live from Bahia"なんて好きなアルバムである。

Cti-montreuxそして,Creed Taylor最後のプロデュース作品はCTIオールスターズのモントルーでのライブ盤らしいが,こんなの全然知らなかったなぁ。最後まで派手派手しいメンツを揃えていたのもCreed Taylorらしい。

いずれにしても各々のレーベルの時代を通じて,その時代に即した新しい音楽を生み出していったプロデューサーとしての手腕は誠に見事だったと言わざるをえない。実に印象深い仕事師であった。

R.I.P.

2022年8月23日 (火)

Sonny Sharrock: アバンギャルドとコンベンショナルな演奏の接点ってところか。 #SonnySharrock

_20220822”Ask the Ages” Sonny Sharrock(Axiom)

久々のショップ訪問で入手したCDについては,昨日アップした記事の通りであるが,早速その中から聞いたのが本作である。Sonny Sharrockを私が初めて聞いたのは,Wayne Shorterの"Super Nova"においてのはずだが,その当時は私もまだ高校生だったので,何じゃこれは?と思っていたのも懐かしい。そりゃまだフリー・ジャズ耐性もないことだから,Sonny Sharrockの生み出すノイズ的な響きにはまだ違和感があった頃である。

その後,私もいろいろな音楽を聴くようになって,フリー・ジャズやノイズ系の音楽にも十分な耐性を身につけたが,今更ながらSonny Sharrockについては"Summer of Soul"のHerbie Mannのバックでの演奏を除いて,このブログには一度も登場していないことに気がついた。Sonny Sharrockも参加したLast Exitのアルバムなんて書いていてもよさそうなものだが,買ったことだけ書いている(笑)。

それはさておきである。このアルバム,実にユニークな編成と言ってもよい。何せSonny SharrockにPharoah Sanders,リズムはCharnett Moffetと何とElvin Jonesである。好き者であればこの編成でどういう音楽になるか興味を持つのも当然だ。アルバム全体を聞いてみると,曲そのものはメロディ・ラインがはっきりしているのがまず意外ではある。だが,Sonny SharrockやPharoah Sandersのソロになるとフリーキーあるいはノイジーな展開になるというのは想定通り,というかそうでなければならない(きっぱり)。その一方で,リズム隊は比較的コンベンショナルな感覚を維持していて,そのミックス感覚が実に面白い。もちろん,ドラムスはElvin Jonesであるから,パワーやダイナミズムという点ではSonny SharrockやPharoah Sandersと対峙しても,全く引けを取らないが,完全アバンギャルドには決してならないのだ。Charnett Moffettも何の気負いも感じさせずベースを弾いているのがこれまた面白い。

まぁ,はっきり言ってしまえば珍しいメンツによるアルバムというところに,本作の存在意義がある訳だが,これが生前のSonny Sharrockの最終作ということらしく,このメンツでの演奏を切望した結果ということなのかもしれない。Sonny Sharockの書く曲にはブルーズに根差した部分もそこはかとなく感じさせ,実に興味深かった。まさにアバンギャルドと伝統の架け橋って感じである。星★★★★。

Personnel: Sonny Sharrock(g), Pharoah Sanders(ts, ss), Charnett Moffett(b), Elvin Jones(ds)

2022年8月22日 (月)

温故知新の散歩と漁盤の話。

2022821

家人の買い物に付き合って,出掛ける機会があったのだが,結構買い物に時間が掛かるということで,出先が私の在学した大学のそばということもあって,家人の買い物中,散歩に出た私である。

大学在学中は全然行く機会のなかった大学近隣の公園を通過し,昔よく通ったラーメン屋で昼食を取った後,折角昼の時間にここまで来たのなら,学生時代に住んでいた辺りはどうなっているのか確かめてみるかということで,かつての下宿先のアドレスに向かって歩いたのであった。

学生時代はもう少し駅に近いと思っていた下宿先だが,今回歩いてみると,意外と距離があって,私の想定よりは数分余計に掛かったって感じだろうか。そもそもそこを再訪するのは三十数年ぶりなのだから,近隣の風景も大きく変わっているし,昔とは全然印象が違った。そこからまた歩いて家人が買い物しているエリアに舞い戻ったのだが,待ち合わせの時間にはまだ余裕があったので,中古盤屋で暇つぶしをした私である。気温がそんなに高くなかったとは言え,汗だくで中古盤漁りをするのもいかがなものかって感じではあったが,まぁいいや。

そして,行った以上は決して暇つぶしだけにはならないとは想定していた私が,今日ゲットしたのは次の4枚。ショップでCDを買うのも無茶苦茶久しぶりだが,それにしても我ながら選盤が変態だなぁ(笑)。

  1. Prysmの1stのオリジナル
  2. 富樫雅彦~Gary Peacock~佐藤允彦の"Wave"
  3. Sonny Sharrockの"Ask the Ages"
  4. Hamiet Bluiettの"Bearer of the Holy Flame"

どのアルバムも興味深いのだが,Sonny Sharrock盤はSonny SharrockにPharoah Sanders,Charnett Moffett, そしてElvin Jonesという組み合わせに興味津々である。家人がいない時に爆音再生しよう(笑)。Prysmの1stは別ジャケットで再発されたこともあるが,以前から気になっていながら,価格が結構高いこともあってこれまで見送ってきたもの。だが,今回はまぁ許せる値段(とは言ってもやや高め)だったのでゲットしたもの。"Wave"は何とEast Windレーベルからのリリースだったということを初めて知る。そして発掘盤であるHamiet Bluiett盤はストリーミングでも聞けるはずだが,未開封ながら実質3割引きぐらいだったので購入したもの。Hamiet Bluiett,まじで好きなのだ。

中古盤もゲットした私だが,総歩行距離は12km越えということで,よく歩いたもんだが,こういう懐古的な行動に出るところが,私も高齢者になった証拠である。でもなかなか面白い1日であった。健康にもよかったはずだ(きっぱり)。こういうところも高齢者的だな(爆)。

2022年8月21日 (日)

Amazon Primeで「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」を観た。

Raiders 「レイダース/失われたアーク《聖櫃》("Raiders: The Lost Arc")」('81,米,Columbia)

監督:Steven Spielberg

出演:Harrison Ford,Karen Allen, Paul Freeman,Ronald Lacy,John Rhys-Davies

Amazon Primeで「インディ・ジョーンズ」のシリーズが見られるようになっていて,そう言えばこ 言わないことに使用のシリーズはあまりちゃんと観ていないなぁということで,第1作の本作を観た。今回,Amazon Primeで見られるようになったのは来年のシリーズ最新作公開を勘案してのこととも思える。因みにAmazon Primeでは「インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》」となっているが,この映画の公開当時には「インディ・ジョーンズ」とは謳っていなかったはずだが,まぁそれはさておきである。

お馴染みの冒険活劇というところであるが,映画的にはよく出来ているとは思えても,ここまでやらなくてもという感じがしない訳ではない。まぁ冒険活劇なんだから固いことは言わないことにしよう。原案がGeorge Lucas,Philip Kaufman,脚本がLaurence Kasdan,そして演出がSteven Spielbergという強烈な布陣で作られた映画なので,大エンタテインメントになることは想定内だが,活劇優先で,物語的な深みがあるとは言えないが,誰もそんなことに期待していないか(笑)。

今となっては特撮も時代を感じさせるが,それもまた当時を振り返るには丁度ええわってところか。面白いとは思うのだが,多分私の嗜好と違うんだろうなぁってところもあって星★★★★。

2022年8月20日 (土)

Herbie Hancockの”Dedication”:実はこれを聞くのも初めてかも。 #HerbieHancock

_20220816"Dedication" Herbie Hancock(CBS Sony)

先日,このブログでHerbie Hancockのソロ・ピアノ作"The Piano"について取り上げて,あまり面白くないと書いた(記事はこちら)が,本作もHerbie HancockのComplete Columbia Recordingsに入っていながら,全然聞いていなっかったアルバム。それだけでなく,人生においてこのアルバムをジャズ喫茶等で聞いた記憶もないから,この歳にして初聴きである。

このアルバムはHerbie Hancockの来日の際に東京でレコーディングしたというもので,制作においては"The Piano"と変わらないし,やっている曲も"Maiden Voyage"に"Dolphin Dance",そして"Cantaloup Island"かよ!ってなると,ついつい聞く気が起こらないということはご理解頂けるのではないか。いかにも日本制作っぽさが臭ってくる(笑)。

_20220816-2しかし,そうした予断を捨てて聞き始めると,アナログで言えばA面に当たる2曲はこちらの想定通りなのだが,B面に当たる"Nobu"から様相が一変する。A面がアコースティック・ピアノで演じられるのに対し,B面はエレクトリックなのだ。ソロ・アルバムでありながら,Herbie Hancockの多面性を示すにはこれぐらい大胆なつくりが必要だったのではないかと思えてくるような急展開である。これには面食らう人もいれば,私のようにこれぐらいの方がいいじゃんと思ってしまう人にわかれるのではないかと思う。そもそも裏ジャケ(→)の雰囲気もB面を意識したものであることは明らかで,このつくりは意図的なものであったということになる。

だからと言って,やっぱりソロでやるより,バンドとしてファンク炸裂の方が,この当時のHerbie Hancockには相応しいと感じさせるのは事実である。まぁ,そうは言っても,このアルバムのレコーディングは新宿厚生年金会館で行われたと書いてあるから,ライブに臨む前にちゃちゃっと(笑)録音してしまったって感じなんだろうから,事前準備なしで"Nobu"のような曲を仕立てるところは大したものである。

もちろん,Herbie Hancockを聞くならこのアルバムからということには決してならないが,私としては”The Piano"よりずっと楽しめたのは"Nobu"1曲のせいと言っても過言ではない。星★★★☆。因みにこのアルバムが日本以外でCD化されたのは,上述のCompleteボックスででのことだったようだ。そういうことにも今更ながらへぇ~となっていた私であった。

Recorded on July 29, 1974

Personnel: Herbie Hancock(p, el-p, key, synth)

2022年8月19日 (金)

Asiaのライブ盤:リッピングしっぱなしで全然聞いていないアルバムを久々に聴く。

Fantasia "Fantasia: Live in Tokyo" Asia(Eagle)

昨今は在宅勤務が増えたことによって,音楽を聴くのはCDやアナログを再生することが多くなったのだが,その一方,リッピングしてPCに格納した音楽については,スマホにコピーしたもの以外は全然聞く機会がない。スマホの容量にも限界があるので,リッピングしたものを全部格納する訳にもいかないのだから仕方がない。そもそもストリーミングで大概の音源は聞けてしまうのだから,PCへの依存度が下がるのは当然なのだ。

今回,気まぐれでPCに格納した音源を見ていて,おぉ,こんなのもあったなぁなんてことで聴いたのがこのアルバムである。これは確か今はもうなくなってしまったロシアのサイトからダウンロードした音源ではなかったか(爆)。ロシアは著作権管理が相当無茶苦茶だった(と言うより,そういう概念がない?)こともあり,サービスは有料とはだったとは言え,違法すれすれだよなぁと今更ながら思う。

このアルバムは2007年にオリジナル・メンバーで来日したAsiaの演奏を収めたもの。思い起こせば,私は1983年の武道館ライブを観に行っているが,John Wettonの姿はなく,太っちょGreg Lakeがトラを務めるという何とも半端なライブであった。改めて,このライブ盤を聴いて,AsiaはJohn Wettonが作曲においても中心的な役割を果たしていたことは明白で,Greg Lakeじゃないよなぁと思ってしまった。

まぁ,それはさておきである。John Wettonがメンバーとして在籍した1st,2ndの曲に加え,メンバーが所属したバンドの曲も交えた,まぁよくあるタイプのリユニオン・ライブって感じである。John Wettonが歌う"Roundabout",更には"Video Killed the Radia Star"なんて,いい悪いは別にして,珍品だと言えばその通りである。

思えば,Asiaというバンドは,プログレッシブ・ロックの名だたるバンドに参加したメンツによるスーパー・グループだったにもかかわらず,曲が2ndアルバム,"Alpha"ではポップになり過ぎたというか感覚があって,まだプログレっぽさが残っていた1stの方が印象はよいというのは,このライブを聞いていても同じ感覚であった。こういうメンツで例えばEL&Pの"Fanfare for the Common Man"みたいな曲をインストでやると,プログレ感が出て,こういう方がいいんじゃなかったの?って気がしてくるが,おそらくはJohn Wettonが当初目指したのは違う方向だったということだろう。

いずれにしても,今となっては懐かしいという感覚が勝るAsiaではるが,やはり私にとってはJohn Wettonなしでは成り立たないという感を強くした音源であった。星★★★☆。

Recorded Live at 新宿厚生年金会館 on March 7, 2007

Personnel: John Wetton(vo, b, g), Steve Howe(g, vo), Geoff Downes(key, vo), Carl Palmer(ds)

2022年8月18日 (木)

新たに入手したリージョン・フリーのDVDプレイヤーで「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」を改めて観る。

Invasion_of_the_body_snatchers 「ボディ・スナッチャー/恐怖の街("Invasion of the Body Snatchers")」(’56,米,Allied Artists)

監督:Don Siegel

出演:Kevin McCarthy, Dana Wynter,Larry Gates, King Donovan, Carolyn Jones

この映画を観るのも久しぶりだ。私が保有しているのは米国で購入したリージョン1のDVDなので,暫く見ることができなかったもの。実はこの映画についてはブログを始めた2007年に一度記事にしている(その時の記事はこちら)。先日記事にした「激突!」と同じようなことを言っているが,それはさておきである。

この映画に関しては,今も15年前も観た後の感覚は全く変わっていないと言うべきだろうが,この訳のわからなさというのがいいのである。謎は謎のまま,なんでこうなるのか?ということに関して明示的な説明がないところが,かえって潔いと思えてしまう。この面白さ,不変である。星★★★★。今や本作も国内で簡単にDVDが手に入るので,ご関心のある方は是非。

因みに,本作はその面白さゆえ,何度もリメイクされているが,許せるのは1978年のPhilip Kaufmanによる「SF/ボディ・スナッチャー」だけだな(笑)。あれは結構怖かったし,Kevin McCarthyやDon Siegelにキャメオ出演させるところに,本作へのリスペクトが感じられてよいのだ。そのうち,もう1回観てみることにしよう。

2022年8月17日 (水)

クリポタの凄さを改めて感じさせるKasper Villaume盤。 #ChrisPotter #KasperVillaume

_20220812"Hands" Kasper Villaume (Stunt)

今やジャズ界を代表するテナー奏者の一人となったクリポタことChris Potterであるが,レコーディングに関してはかなりの数を残していて,その活動は神出鬼没と言ってもよいぐらいだ。なので,クリポタの全レコーディングを追い掛けるなんてのは結構大変なことであるが,それでも一発テナーを吹くと,場をかっさらうというのがクリポタだよねぇと思ってしまう。

私がクリポタの深みにはまっていくのは正直言って,このブログを始めて以降と言ってよいが,それはブログのお知り合いの皆さんの情報に感化されたところが大きい。このアルバムなんて,お知り合いの情報がなければ全然私のレーダーには引っ掛かってこないアルバムだったと思うが,久しぶりにこのアルバムを聴いても,クリポタ,キレッキレである。こういうアルバムとの出会いがミュージシャンとの関わりを深くするという好例。改めてお知り合いの皆さんに感謝である。

本作はベースで参加するChris Minh Dokyのプロデュースもよろしく,実にテンションと弛緩が絶妙にバランスしたアルバムとなっている。いずれにしても,私にとってはクリポタのテナーに興奮するためのアルバム。2曲目の"Captain Kirkland"を聴いて興奮しなければ,その人はもぐりだと言いたい(爆)。星★★★★☆。

アルバムには"Gone"も入っているが,そこでソプラノを吹くクリポタを聞いて,彼がGil Evans Orchestraに参加していたらどうなっていただろうと妄想してしまった(笑)。

Recorded on August 9. 2005

Personnel: Kasper Villaume(p), Chris Potter(ts, ss), Chris Minh Doky(b), Ali Jackson(ds)

2022年8月16日 (火)

録りだめしたビデオから観たのは懐かしの「激突!」。

Duel「激突!(”Duel”)」(’71,米,Universal)

監督:Steven Spielberg

出演:Dennis Weaver, Jacqueline Scott, Eddie Firestone, Lou Frizzell, Lucille Benson

Steven Spielbergの名を世に知らしめた映画を久しぶりに観た。もともとTV放映用の作品として製作されたものを,日本では劇場公開したはずである。今見ると,後の「ジョーズ」のサスペンスの盛り上げ方と近しい感じを与えて,やっぱり演出の個性って出るのねぇなんて思ってしまう。

お話はお馴染みのものであるが,今から半世紀以上前の作品になると,スマホもなければ,ドライブ・レコーダーもない中,「元祖煽り運転」(笑)みたいなストーリーである。追い掛けられるのを演じるのが,私の世代には懐かしい「警部マクロード」でお馴染みのDennis Weaverなのだが,「警部マクロード」ではニュー・メキシコから出てきたどちらかと言えばマッチョな感じだったのが,ここではカミさんともめる冴えないセールスマンを演じるところにギャップを感じてしまう。確か私が初めてこの映画を「日曜洋画劇場」か何かで観た時,吹き替えをしていたのは穂積隆信だったように思うが,確かにマクロードの吹き替えをしていた宍戸錠よりは適役って感じの役柄。

さすがにそこかしこに時代を感じさせるが,今見てもなかなかよく出来た映画であった。出演者のクレジットはあっても,ほぼDennis Weaverの独り舞台のような作品であり,その辺りも低予算って感じだが,まぁTVムービーだからねぇ。しかし,現代のテクノロジー過多とも思える映画づくりからすれば,シンプルそのものでも面白い映画は作れるということの証である。星★★★★。

2022年8月15日 (月)

コレクターはつらいよ(27):Tobias BaderのアルバムにおけるBrad Mehldauの参加曲を,リサーチ結果に従いダウンロード。

Lost-on-a-star "Lost on a Star" Tobias Bader(To Be Frank)

先日,Tobias Baderのシングル曲,"Dance"へのBrad Mehldauの参加について記事をアップしたが,そこにも書いた通り,アルバム"Lost on a Star"におけるBrad Mehldauの参加は4曲という情報があった。そこで,Tobias BaderのFBのページを細かく探索していったところ,Brad Mehldauの参加はアルバム全10曲中,次の4曲と判明。

"Stars Linger on", "Into Our Soul", "Dance", "Your Heartbeat in Mine"

最もBrad Mehldauらしいのは"Into Our Soul"のピアノ・ソロだろうが,判明した以上,それらをダウンロードしたことは言うまでもない(笑)。ダウンロードするのはその4曲だけでもよかったのだが,全曲ダウンロードするのと価格差が大してないので,結局全曲ダウンロードした私である。こういうのを無駄遣いと言うのだろうが,まぁいいやってことで。だからコレクターはつらいのだ。

このTobias Baderという人は,Neil Young, David Bowie, Lou Reed, Fleetwood Mac, JJ Cale等,一見脈絡のない60~70年代の音楽にインスパイアされたミュージシャンと,自身のサイトには書いてある。書いている曲は結構ポップな感じもするが,その割にジャケの写真は超強面なので,パンクか?と言いたくなっても仕方がないな(爆)。

2022年8月14日 (日)

血迷ったとしか思えないMcCoy Tynerの”Looking Out”。 #McCoyTyner

Looking-out "Looking Out" McCoy Tyner(Columbia)

このアルバム,なぜかアナログで保有している私である。このアルバムが話題になったのはMcCoy TynerとCarlos Santanaの共演が収められているからで,私としてもこの二人が共演したらどういうことになるのかということで,中古で入手したと記憶している。しかし,このアルバムがターンテーブルに乗ることはほとんどなかった。そしてこれからもそれは変わりあるまい。なぜか?面白くないからである(きっぱり)。

このアルバムは端的に言えば,McCoy Tynerによるフュージョンである。だが,McCoy Tynerの音楽を知るリスナーからすれば,McCoy Tynerとフュージョンが合う訳がないのだ。Carlos Santanaとの共演という情報だけでは,ここまでフュージョンに傾斜しているとは想像していなかったが,先日,久々にこのアナログ盤を聴いて,「何じゃこりゃ?」としか思えなかったというのが実感である。

McCoy Tynerのピアノ・スタイルはよく言えばOne & Only,悪く言えばワンパターンな訳だが,そうした点も理解して新機軸を打ち出そうということで,ヴォイスを入れてみたり,あるいはミュージシャンの組合せをいじってみたり,あるいはビッグバンドとやったりという取り組みはそれまでにもあった。本人もプロデューサーも自覚の上ってところだろうが,だからと言って合うはずもないフュージョンに手を出したのは明らかに失敗だったと思う。

私もそうだが,リスナーなんて勝手なもので,従来の音楽はワンパターンとけなしながら,新機軸を打ち出せばイメージに合わないと言ってしまうものだが,それにしてもである。結構豪華なメンツを集めていると言ってもいい中で,どうしてこれほどPhyllis Hymanに花を持たせるかとも思ってしまう。彼女が悪いのではない。ここで彼女が登場することによって,McCoy Tynerの音楽である必然性がますます薄れたとしか言いようがないのだ。

ということで,McCoy Tyner,血迷ったり!としか言えない私である。星★★。

Personnel: McCoy Tyner(p, synth), Stanley Clarke(b), Carlos Santana(g), Buddy Williams(ds), Gary Bartz(as), Gerry Gonzarez(perc), Phyllis Hyman(vo), Charles Johnson(g), Denzil "Broadway" Miller(synth), Ndugu Chancler(ds)

2022年8月13日 (土)

Tobias Baderのバックでクラヴィネットを弾くBrad Mehldau。いろいろやっているねぇ。

Tobias-bader "Dance" Tobias Bader(To Be Frank)

Amazon Musicで音楽をプレイバックしていて,Brad Mehldauの曲が掛かった後に,関連する音楽として表示されたのがこの曲であった。Tobias BaderはBrad Mehldauの"Jacob’s Ladder"の参加した縁で,この共演が実現したらしいことが,Tobias BaderのFacebookに次のように書いてある。

'Dance (feat.Brad Melhldau)': release February 11th!
When I started recording ‘Into Our Soul’ I was thinking of adding a piano part like Mike Garson played on The Lady Grinning Soul by Bowie. I was thinking of Brad to play it but I didn't really dare to ask him. Then Brad asked me to perform a German vocal part on one of the tracks for his new album. I had to scream a text by Hegel, which was really cool. Can’t say anymore about that now since the album has not been released yet. Anyway, that’s when I dared asking if he wanted to play on one or two tracks for my album 'Lost On A Star' in return. He ended up playing four tracks in one afternoon! What I really like about Brad is that he is very open minded about music and combines multiple musical styles in his own work. He played the Clavinet on 'Dance'. 

なるほど。ってことはアルバム"Lost on a Star"にはBrad Mehldauは4曲入っているってことだが,デジタル・オンリーのようで,詳細のクレジットがわからないので,この曲と"Into Our Soul"以外はどの曲で弾いているのかは謎である。いずれにしても,Apple Musicでシングルとしてリリースされたこの曲を聴いてみたのだが,ポップな曲調のバックでずっと鳴り続けるクラヴィネットを弾いているのがBrad Mehldauってことだ。さすがにこの曲調には...となってしまった私だが,主題にも書いた通り,いろいろやっているねぇという感じで,別にこの曲はBrad Mehldauじゃなくてもいいんじゃないの?って感じである。さすがにこの曲をダウンロードするかってのは微妙なところだが,少なくとも"Into Our Soul"も聞いて考えることにしよう。YouTubeにアップされていたので,曲も貼り付けておこう。下記のPersonnel情報はTobias BaderのFBに記載の通り。

Personnel: Tobias Bader(vo, g, perc), Raffaëla Herbert(vo), DeeDee Dekkers(vo), Brad Mehldau(clavinet), Allard Buwalda(ts, bs), Serge Flume(tp), Jel Jongen(tb), Luis Diaz(ds), Tom Johnstone(b)

2022年8月12日 (金)

Peter Erskineのトリオによるイタリアでのライブ盤。これが実によい。 #PeterErskine #AlanPasqua #DarekOles

_20220811"Live in Italy" Alan Pasqua / Peter Erskine / Darek Oles (Fuzzy Music)

Peter Erskineによるピアノ・トリオは欧州トリオ,米国トリオの双方,素晴らしいアルバムを残してきたと思っている。米国トリオはベースのDave Carpenterが亡くなり,その後はDarek Olesが入っているが,この人はポーランド出身なので,純粋米国トリオとは言えないかもしれないが,今は米国在住のようだから,現在の米国トリオによる作品と呼んでいいだろう。このトリオがGeorge Garzoneのバックを務めた"3 Nights in L.A."も素晴らしいアルバムだったが,本作も実にリリシズムに溢れたライブ・アルバムとなった。

ジャケットにはトリオ3名の名前が記載されているので,3者によるコラボレーション・アルバムと言ってもよいが,基本はPeter Erskineトリオである。演奏される曲は”Nuages”と”Con Alma”に加えて,3者のオリジナルが並んでいて,こうしたところにレーベル・オーナーたるPeter Erskineが3者対等というかたちを強調しようという意図も感じる。

ライブ盤なので,ハード・ドライビングな演奏を想像してしまうところだが,このアルバムから流れてくる音楽には,聴衆を煽るような感じではなく,基本リリカルで,美しくも,かと言って静謐さに流れるだけではない,実にバランスの取れたピアノ・トリオだと思える。終盤に向けての盛り上げ方もいい感じの構成である。最後をAlan PasquaがChick Coreaに捧げた"Dear Chick"で締める展開が非常によかった。聴衆も相当盛り上がったはずである。この3人の編成になってからも相応の時間が経過して,コンビネーションも素晴らしく,時間が心地よく流れていくアルバム。

中ジャケには曲目がメニューのようにAntipasto(1曲)~Primi(3曲)~Secondi(3曲)~Contorni(2曲)~Dolce(1曲)と並んでいるが,まさに心地よいイタリアン・レストランで時を過ごすのと同じような感覚で聴けるアルバム。私としては,やや"Con Alma"が冗長に感じられないこともなかったが,全体的には満足度の高いアルバム。星★★★★☆。やはりいいトリオである。

Recorded Live at Teatro Sociale.Camogli, Italy on November 19, 2021

Personnel: Alan Pasqua(p), Darek Oles(b), Peter Erskine(ds)

2022年8月11日 (木)

これも久々に聴いたJoe Passの”For Django”。うまいねぇ。 #JoePass

_20220807 "For Django" Joe Pass(Pacific Jazz)

Joe Passと言えば,ついついPabloレーベルでの活動に目が向きがちになってしまうのは仕方ないところだろう。"Virtuoso"で聞かせたソロ・ギターの技は素晴らしかったし,Pabloならではのほかのミュージシャンとの共演アルバムにも多数参加しているから,イメージ的にはそうなってしまう。60年代にもアルバムはリリースしているが,Pabloに移籍して以降と比べるとやはり地味かなって気がする。

しかし,60年代のアルバムの中でも屈指のものと言われる本作を聴くと,Joe Passの本質は別に60年代から変わっていないってことが明らかになる。本作における"Night And Day"や"Limehouse Blues"のような演奏を聞いていると,実にスリリングかつ見事なフレージングと言わざるをえない。後のSarah Vaughanとやった"Autumn Leaves"でのソロをついつい思い出していた私である。

本作において,Joe PassがなんでDjango Reinhardtにトリビュートするのかって方が,イメージ的に想起できないってところもあるが,Joe Passがジャズ・ギターを始めたきっかけがDjangoらしいから,そういう事実には「へぇ~」となってしまう。

いずれにしても,ここでの演奏を聞いてもDjango的な部分は希薄ではあるが,既に確立していたJoe Passのギターの技を堪能できるところこそがこのアルバムのポイント。星★★★★☆。

Recorded in October, 1964

Personnel: Joe Pass(g), John Pisano(g), Jim Hugart(b), Colin Bailey(ds)

2022年8月10日 (水)

新しいリージョン・フリー・プレイヤーで改めて「椿三十郎」を観た。まさに痛快時代劇。

Photo_20220806152501 「椿三十郎」(’62,東宝)

監督:黒澤明

出演:三船敏郎,仲代達矢,加山雄三,入江たか子,団令子,小林桂樹,伊藤雄之介

私はこの映画のDVDを米国で購入したので,そちらはリージョン1である。買った当時はリージョン・フリーのプレイヤーを保有していたので,いつでも見ることができたのだが,そのプレイヤーも壊れ,久しくこの映画も見ていなかった。しかし,先般記事にした通り,新しくリージョン・フリーのプレイヤーを入手したので,久しぶりにこの映画を観ることができたのだが,まさしくこれぞ痛快時代劇である。

私はこの映画について,このブログを始めた年に記事にしている(記事はこちら)が,その時の記事は織田裕二主演による本作のリメイクの試みを批判するのが主目的だったようなものである。そして,そのリメイクについては出張時の機内エンタテインメントで観て,やっぱりと言うべきだろうが,ぼろくそに書いている(そちらの記事はこちら)。最悪のリメイクを見れば,かえってオリジナルのよさが際立ってくるわけだが,今回久々に見直しても,これが実に面白い。黒澤明としてはエンタテインメント性を高めた娯楽巨編って感じだが,ユーモラスな部分もあって,実に面白くできている。

2007年の記事にも書いたが,この映画はアクション・シーンのテンションは高いが,その一方で入江たか子,小林桂樹,伊東雄之助らのキャラクターにコミック・リリーフ的なところを担わせているので,硬軟取り混ぜた感覚があるのだ。三十郎というキャラを考えれば,「用心棒」の続編になる訳だが,本作は「用心棒」よりも軽いタッチと言うべきか。それでもいろいろな視覚的要素(椿のシーンやら決闘シーンやら)も織り込んで,実に楽しめる映画であった。星★★★★☆。三船敏郎のカッコよさは不変だしね。

本作に限らず,久しく見ていないリージョン1の映画のDVDもこれから暇を見つけて観たいと思う。一部(ごく数枚だが...)のDVDは相性が悪く再生ができないのは残念だが,国内盤が安く入手できるからまぁいいや(苦笑)。

2022年8月 9日 (火)

”Cupid & Psyche 85”をアナログで聴く至福。 #ScrittiPolitti

Cupid-psyche"Cupid & Psyche 85" Scritti Politti(Rough Trade)

昨今はアナログの復権著しく,いろいろなアルバムがアナログ盤で改めてリリースされることも多くなった。私の場合,もはやアナログ盤を維持するスペースが限られているので,購入するものはごくごく限定的にならざるをえないが,このアルバムのアナログ・リリースが告知された時には英国に即発注したのであった。それぐらい好きなアルバムである。

私はScritti Polittiのアルバムは全て保有しているが,どのアルバムも捨てがたい魅力はあるものの,彼らのキャリアの中で最も優れたアルバムと言えば,これだと言っても否定されることはあるまい。このアルバムがリリースされたのが1985年であるから,丁度アナログからCDへの移行が進む時期だったが,私はこのアルバムを最初からCDで買ったのか,まずはアナログで買ってCDで買い直したのか,記憶が曖昧である。しかし,今回,改めて内袋を見ると,これは見た記憶があったが,国内盤CDにもそのコピーが封入されていたから,やっぱり最初からCDで買ったのか?

それはさておき,ジャズ界においてもMiles Davisが"Perfect Way"をカヴァーしたことで,認知度が高いはずのScritti Polittiであるが,Green Gartsideの後年の見た目からは想像できないようなハイトーン・ヴォイスに,魅力的な曲,そしてタイトな演奏陣が相まって,実に素晴らしいアルバムを作り上げたものだと思う。

今回,本作と"Anomie & Bonhomie"が再リリースとなり,私は本作のアナログのみ購入したが,リリースから35年以上の時間が経過しても,音楽に古さを全く感じさせない。このポップな感覚は永久不滅ってところである。そんなポップなアルバムに,Materialに参加していたFred Maherの名前を見つけた時は実にびっくりしたのも今は昔であるが,今でもその時の驚きは忘れられない。

いずれにしても,これだけ粒揃いの曲を並べられて,魅力的に演奏され,歌われたら文句のつけようがないというところである。星★★★★★。因みに,私はこのブログに彼らの渋谷での来日公演の模様の記事をアップしたと思っていたのだが,あのライブは2006年で,このブログ開設前のことだったようだ。2017年の来日はスケジュールが合わず行けなかったが,私としては相当好きなバンドであることは間違いない。その中でもこのアルバムは最高なのだ。

Personnel: Green Gartside(vo, key, g), David Gamson(key), Fred Maher(ds, prog), Nick Moroch(g), Allan Murphy(g), Paul Jackson, Jr.(g), Ira Siegel(g), Robert Quine(g), Robbie Buchanan(key), David Frank(key), Will Lee(b), Marcus Miller(b), Steve Ferrone(ds), B.J. Nelson(vo), Tawatha Agee(vo), Fonzi Thornton(vo), EBN(prog)

2022年8月 8日 (月)

リージョン・フリーDVDプレイヤーの再購入。

米国で購入して,長年使っていたリージョン・フリーのDVDプレイヤーが壊れて結構な時間が経過してしまっていたのだが,このままではアメリカで買ったリージョン1のDVD(結構持っているのだ)がPCで再生する以外手だてがないということで,改めてプレイヤーを買い直した。

日本ではリリースされそうにない昔の映画のDVDとかは米国には結構あるので,これでまた米国からDVDを仕入れられる(よほどのことがないとそれはないが...)し,そもそも手持ちのCriterionで買った黒澤の映画とかもまた観られるようになったのは実にめでたい。

更に,最近のリージョン・フリーのプレイヤーは欧州中心のPAL方式も変換してくれるので,欧州のソフトにも対応可能になったってことで,例えばプレミア・リーグの往年の名ゴール集とかも買える訳だ。

私の今後の高齢者生活を充実させることも考えての購入だと思えば安い買い物である(笑)。早速"Saturday Night Live"のComplete Season 1でも見ようっと。

2022年8月 7日 (日)

録りだめしたビデオから今日は「アラベスク」。他愛ないが,古き佳き時代のロマンチック・ミステリーってところ。

Arabesque_20220805102101「アラベスク("Arabesque")」(’66,米,Universal)

監督:Stanley Donen

出演:Gregory Peck,Sophia Loren,Alan Badal, Kieron Moore,Carl Duering,John Merivale

録画しただけで全然観ていない映画が何本もある中で,夜遅くに気楽に見られるものはないかと思って選んだがのがこの映画。

Stanley Donenという監督はいろいろなタイプの映画を撮っているが,これは「シャレード」系列のロマンチック・ミステリーってところ。映画としてはこのシナリオはいかがなものか?ってレベルだし,いかにもな展開ではあるのだが,60年代の当時のエンタテインメントってこんな感じだったんだろうなぁって思わせるような作品。

某国の首相暗殺計画に絡んだ暗号解読ってのが,ドラマのコアを成す部分なのだが,観ていて「は?そこかいっ!?なんじゃそりゃ?」っていう感じだし,サスペンスも一向に盛り上がらない緩い展開なのにはついつい笑ってしまう。また,撮影テクニックも極めてシンプルで,これまたいかにもって感じのキャメラ・ワークがいろいろ出てきて,実に微笑ましい。

まぁ,ロンドン・ロケーションのシーンも多数だし,ディオールの衣装をまとったSophia Lorenはそれなりに楽しい。だがそれ以上のものではないという程度の映画。星★★★で十分だろう。私が一番面白いと思ったのは長く007シリーズのタイトルを手掛けたMaurice Binderによるオープニング・タイトルかもしれないなぁ。まぁ,これもいかにもって言えば,いかにもだが...(苦笑)。

因みに,50年代後半から60年代半ばにはSophia Lorenは英語圏の映画に結構出ていたが,本人はキャリア上,それらをどう思ってたのか興味深いなぁ。

尚,下に貼り付けたBlu-rayは日本語字幕はないようなので,為念。

2022年8月 6日 (土)

私はPaul Simonと相性が悪いのか...? #PaulSimon

_20220803 "Live in New York City" Paul Simon(Hear Music)

購入してからほとんど聞いていないCDなんていくらでもあるが,このアルバムもそうしたものの一つと言ってよいかもしれない。今回,これに先立って,Paul Simonのベスト盤を聴いていたのだが,どうも途中で面白くなくなってやめてしまった。そしてこのライブ・アルバムも聞いてみるかってことで,プレイバックしたのだが,どうもしっくりこないのだ。ついついなんでなんだろうと考えてしまった。

私は"Still Crazy after All These Years"は傑作だと思っているし,S&Gだって武道館でライブを観て落涙したクチである。にもかかわらず,ベスト盤を聴いても,このライブ盤を聴いて没入できない理由はアルバム"Graceland"以降の曲のせいだと思えて仕方がない。私がPaul Simonに求めているのはよりアメリカ的な音と言ってもよいだろうし,極論すればS&Gで聴きたかったのはArt Garfunkelの方だったということになってしまうのかもしれない。

このアルバムを聴いていても,結局アンコールで演奏される曲("The Sound of Silence"~"Kodachrome"~"Gone at Last"~Late in the Evening"~"Still Crazy after All These Years")がいいのよねぇなんて思ってしまうのだから,私の"Graceland"以降への拒否感は結構強いのだろう。それらの曲でも,"The Sound of Silence"の歌い方の崩しがきついとか,声が出てないとか文句はいくらでも言えてしまうのだ。だからこのアルバムのプレイバックも大してしてないのねぇってのが正直なところなので,結局のところ,私はPaul Simonのファンではないのだろうな(苦笑)。でも"The Only Living Boy in New York"なんて最高にいい曲だと思っているが...。演奏の質は高いが,どうも自分の趣味に合わないので星★★★。ってことで,本来はそっちがメインのはずのDVDも見たことがない私...(爆)。

Recoreded Live at Webster Hall in NYC in June, 2011

Personnel: Paul Simon(vo, g), Tony Cedras(tp, accor, key, g, vo), Jamey Haddad(perc), Bakthi Kumalo(b, perc, vo), Cincent Nguini(g, vo), Jim Oblon(ds, g, vo), Mick Rossi(p, org, harmonium, perc), Andy Snitzer(sax, glockenspiel, synth, fl), Mark Stewart(g, sax, woodwinds, vo)

2022年8月 5日 (金)

Criss Crossからアルバムを出した人と同一人物とは思えないようなZach Brockの新作をストリーミングで聞いた。いやぁ,ジャケを含めびっくりした。 #ZachBrock

Dirty-mindz "Dirty Mindz" Zach Brock(GroundUp)

私がこのブログにZach BrockのCriss Crossレーベルのアルバム,"Almost Never Was"をアップしたのが,今から約10年前のことである(記事はこちら)。その後,Zach Brockのアルバムは聞いてこなかった私だが,今回,Apple Musicのニュー・リリースで引っ掛かったのが本作である。ロックか?と言いたくなるようなジャケからして,全然雰囲気が違うと思って,ストリーミングで聴いてみたのだが,これが完全なフュージョン路線である。これにはびっくりした。

そもそも,Zach BrockがSnarky Puppyに参加しているってことも知らなかった私だが,"Almost Never Was"のリリースの前からSnarky Puppyのアルバムにクレジットされていたことを考えると,元からこういう音楽をやる素地はあったってことかもしれない。そもそも"Alomost Never Was"の記事にも私は「モダン・ジャズ的な部分は比較的控えめだが,コンテンポラリーな感覚含めてなかなかの才人と思わせる」なんて書いているではないか。

しかし,Criss Crossのイメージしかない私としては,今回のアルバムにおけるサウンドはやはり驚きだったと言わざるをえない。まぁ,これは私がSnarky Puppyのアルバムをまともに聞いたことがないというのも根本的な要因ではあるが,それにしてもであった。今回のアルバムに私が「ん?」となったのはジャケとEric Harlandの名前だったのだが,Snarky PuppyからもChris Bullock,Justin Stanton,Mark Lettieriが参加している。まぁ,レーベルがSnarky Puppyが興したものらしいから,そういう筋のアルバムってことだろうな。

このアルバム,今のところ,ダウンロードだけのようなので,詳しくはわからないが,GroundUpのサイト等によれば,メンツは下の通りで間違いないだろう。全8曲のトラック・リスト中,3曲はフィーチャリング・メンバーが記載されていないし,いかにもプロローグ,インタールード,エピローグみたいなリズムも入らない曲なので,それらはZach Brockのワンマン・レコーディングってことだろう。

ってことで,次はSnarky Puppyのアルバムをストリーミングするしかないな(笑)。遅ぇ~よ,って声が聞こえてきそうだが...。そう言えば,彼らがクリポタと共演したライブ映像でのクリポタはマジで強烈だったしなぁ。その映像を貼り付けておくが,ここでのクリポタ凄過ぎ...。

Personnel: Zach Brock(vln), Chris Bullock(reeds), Justin Stanton(key), Mark Lettieri(g), Jonathan Maron(b), Eric Harland(ds), Arun Ramamurthy(vln), Suphala(tabla)

2022年8月 4日 (木)

久々に聴いた”Wings Over America”。勢いが違うねぇ。 #PaulMcCartney #Wings

_20220802 "Wings Over America" Paul McCartney & Wings(Capitol)

懐かしいアルバムである。このアルバムがリリースされたのが1977年だから,もはや45年前,そしてPaul McCartneyはいまだ現役というのが凄い。昨今のPaul McCartneyのライブでは数多くのBeatlesナンバーが演じられるが,この当時はバンドとしてのWingsはシングル・ヒットも連発して最も勢いのある頃だから,ここではBeatlesの曲は5曲だけと控えめ。逆に言えば,当時のWingsにはBeatlesナンバーに依存しなくても,ライブが成立するだけのヒット曲があったということである。

Paul McCartenyは今でもバンドとしてのライブにこだわっているが,そうした流れはBeatlesあるいはWingsの時代から不変だったということがよくわかる。ここもWingsのレギュラー・メンバーにホーン・セクションを加えた演奏となっており,ほかのメンバーにヴォーカルを取らせることもあり,バンドとしてのまとまりは実にタイトだったと言っていいと思う。

それにしても,Wingsってのは数多くのヒット曲を持っていたなぁと思わせるプログラムだが,そう言えば“Maybe I’m Amazed"がシングル・カットされて,当時のTV番組でその映像を見た記憶が甦る。まだMTVなんてない時代だったが,洋楽の映像を流す番組もあったのだ。番組名は覚えていないが,その番組を見て,Doobie BrothersやSteve Miller Bandにはまるきっかけとなったのと似たようなタイミングだったように思う。まずTVで彼らの演奏を聞いて,最初に買ったのが"Stampede"だったり,"Fly Like an Eagle"だったりしたのだ。この記事を書いていて,気になって調べてみたら,多分,近畿放送(現KBS京都)が制作していた「Pops in Picture」だったと思われる。私が中学から高校に上がるぐらいのタイミングで,当時は兵庫県民の私はサンテレビで見ていたはずだ。そこで”Maybe I’m Amazed”も見たと思っておそらく間違いない。

そんなことさえ想起させる時代ははるか昔になってしまった訳だが,このアルバムを聴いていて,過ぎ去りし日々を懐かしんでしまう還暦過ぎのオヤジである。

今回,このアルバムを改めて聴いて,デザインをHipgnosisがやっていたなんてことに今更ながら気がついたのだが,当時はLP3枚組は高校生が買うにはきつかったなぁということで,このアルバムを購入したのは2013年にリマスターされた時だから,それからも10年近くが経過している。私のような年代の人間には,時の流れはどんどん早くなるが,音楽の魅力は変わらないねぇと思わされたアルバムであった。そういう効果も含めて星★★★★☆。

それにしても,ライナーに写るPaul McCarteneyの若いこと。まだ30代半ばなんだから当たり前か。

Recorded Live in 1976

Personnel: Paul McCartney(vo, b, p, g), Linda McCarteny(vo, key), Denny Lane(vo, g, p, b, hca), Jimmmy McCulloch(vo, g, b), Joe English(ds, vo), Tony Dorsey(tb), Howie Casey(sax), Steve Howard(tp, fl-h), Thaddeus Richaerd(sax, cl, fl)

2022年8月 3日 (水)

Tedeschi Trucks Bandの”I Am the Moon”4部作の3枚目が到着。 #TedeschiTrucksBand

_20220801 "I am the Moon: Ⅲ. The Fall" Tedeschi Trucks Band(Fantasy)

Tedeschi Trucks Bandが4部作としてほぼ1か月に1枚のペースでリリースする野心作,"I am the Moon"の3枚目がデリバリーされたので,早速聴いている。評価は全部聴いてからというのは今回も同様であるが,今までリリースされた3枚の中では最も親しみやすいというか,彼ららしい曲が並んでいるのがいい感じである。

まぁこの3枚目については収録時間が30分余りと実に短いこともあって,この4枚の分売というリリースの仕方には多少批判も出るかもしれない。しかし,CDの長時間収録ってのも善し悪しがあって,1枚聞き通すのに時間を要するのがしんどいアルバムがあるのも事実である。このアルバムのように30分強だと,逆にあっという間に終わってしまうってところか。でも物足りないって感じはしないので,これはこれでいいのかもなぁって思う。

そして最終作となる4枚目でどう落とし前をつけるのかが楽しみである。

2022年8月 2日 (火)

録りだめしていたビデオから,「ガンファイターの最後」を観た。後味悪し...(苦笑)。

Death_of_a_gunfighter 「ガンファイターの最後(”Deathe of a Gunfighter”)」(’69,米,Universal)

監督:Allen Smithee

出演:Richard Widmark, Lena Horne, Carrol O’Conner, John Saxon, Michael McGreevey, David Opatoshu

BSでやっている映画を録りだめしている中で,今回観たのがこの映画である。私が西部劇に期待するのは勧善懲悪的なスカッとする展開なのだが,この映画,全くそうはいかず,はっきり言って後味は相当悪い。何が正義で,何が正義でないかがわからないような展開のこの映画は,1969年という丁度ヴェトナム戦争に対する厭戦気分を反映したもののように思えてならない。

正直言って,Richard Widmark演じるPatch保安官のキャラクター設定も頑固過ぎやしないか?と言ってしまえばその通りだが,別に何にも悪いことをしていないのに,近代化が進みつつある,おそらく20世紀初頭のアメリカにおいては,時代から取り残された感じというのはわからないではないのだが,難癖つけまくられる感じってのは,観ている方からすればなんでやねん?となってしまうのも当然である。

そうした中でのストーリー展開は,これまたなんでやねん?の連続であるが,まぁそれは置いておこう。私としては共演にLena Horneのような,申し訳ないが1969年というタイミングにおいては,往年のミュージカル女優には申し訳ないが,はるかに旬を過ぎた人を選んだことが謎って感じだった。しかし,この映画のRichard Widmarkの役柄とバランスを取るならば,まぁ妥当と言えば妥当だったかなって気もする。ちゃんと歌も歌ってるしねぇ。

だが,このストーリーに見られる不条理性は,かつての西部劇には決してなかったものであり,上述の通り,当時の時代背景を反映しているとしか思えないのだ。決してこの映画では痛快さとかは無縁って感じのものであり,西部劇好きとしては星★★★ぐらい。

ところで,この映画の監督のAllen Smitheeは架空のもので,この映画については当初Robert Tottenが監督していたのだが,Richard Widmarkともめたとかで,Don Siegelがその後を継いだものの,クレジットは拒否し,架空のAllen Smithee名義が使われた最初の映画だそうだ。へぇ~って思っていたら,そう言えば私が保有するDon SiegelのDVDボックスにはこの映画も入っていたことにさっき気づいた。買ってから一回も見てねぇんじゃん!(爆)とまた反省を新たにした私であった。

それにしても,こんな映画が今や単体でソフト発売されているってのも凄いことだよなぁ。

2022年8月 1日 (月)

バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ:こんな曲をデビュー作に選ぶIsabella Faustって凄いねぇ。

_20220731 "Bela Bartok: Violin Sonatas" Isabella Faust(Harmonia Mundi)

亡くなった父の影響もあり,私は結構バルトークの音楽が好きなのだが,このアルバムはIsabella Faustがリリースした2枚のバルトークのCDをカップリングしたもの。この1枚目の冒頭が,主題に書いた無伴奏ヴァイオリン・ソナタなのだが,それをデビュー・アルバムに持ってくるというところが,この人の尋常ならざるところのように思える。しかもこれが実によいのだ。

私がバルトークを好きなのは,音楽に感じる独特のダイナミズムに惹かれるところが大きいが,加えて,何とも言えない心地よいスリルを感じさせてくれる音楽だと思わせる。それはオーケストラでも,今回のヴァイオリン・ソナタでも同様なのだ。私の音楽の聴き方は多分に感覚的なところがあるので,結局バルトークは自分の嗜好にフィットしてしまうってところである。

今回聴いたのは,2枚組のうちの1枚目だけだが,私としてはこの「無伴奏」だけで星★★★★★としたいと思えるものであった。もちろん,その後のヴァイオリン・ソナタ第1番も素晴らしい演奏だと思う。こうなったら,2枚目はもちろんだが,Isabella Faustが弾いたヴァイオリン・コンチェルトも改めて聞かねば(笑)。

Personnel: Isabella Faust(vln), Ewa Kupiec(p), Forent Boffard(p)

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