「ライト・スタッフ」を改めて劇場で観る喜び。
「ライト・スタッフ("The Right Stuff")」(’83,米,Ladd/Warner Brothers)
監督:Philip Kaufman
出演:Sam Shepard, Scott Glenn, Ed Harris, Dennis Quaid, Fred Ward, Barbara Harshey, Kim Stanley, Veronica Cartwright, Pamela Reed, Levon Helm
私の人生で観た映画の中でも,トップ5とは言わずとも,トップ10には入れたくなるほど好きなのがこの映画である。それが「午前十時の映画祭」において劇場で観られるとなれば,観に行くしかない。
この映画はSam Shepard演じるChuck Yeagerと,マーキュリー計画で有人宇宙飛行に挑む飛行士たちの物語が並行して描かれるが,誰が何と言おうが一番カッコいいのはSam Shepardであることに疑いがない。それにしても,改めてこの映画を観て,実にキャスティングが素晴らしかったと思ってしまった私である。男優陣,女優陣とも実に感じが出ていて,役柄にぴったりなのである。ついでに言うと,脇とナレーターでThe BandのLevon Helmも担ぎ出しているところも実に渋い。
私が最初にこの映画を観たのは,短縮版の日本公開版だったのか,今回観たオリジナル版だったのかの記憶は定かではないのだが,記憶に残っていないシーンもあったので,短縮版を観ていたのではないか。しかし,それも大昔に遡るので,正直自信はない。その後購入したレーザーディスクがどうだったかも,ソフトをすべて処分してしまった今となってはわからないが,現在販売されているBlu-ray等はオリジナル版のようだ。DVDは購入しているはずだが,老後に見ればいいやと思って放置しているしなぁ(爆)。
しかし,改めてスクリーンでこの映画を観て,この映画のよさってのを感じながらも,若干冗長に流れた感もあったというのが正直なところである。特にテキサスの民主党大会みたいなところに出てくるSally Randなんていう踊り子のシーンなんて,全く要らんだろうと思ってしまえるのも事実だ。それでも,やはりSam Shepard演じるChuck Yeagerのカッコよさというのには若かりし頃の私は痺れたし,今回もこの映画の真の主役はSam Shepardだと思えた。最高なのである。
今回,改めてデータを紐解いてみると,Chuck Yeager本人もチラッと出演していたのねぇなんてことに気がついたのだが,そうしたリスペクトを示されて当然の男の中の男,Chuck Yeagerである。とにかく,この映画は実にドラマとしてもよく出来ているし,群像劇としても面白い。監督,シナリオを兼ねたPhilip Kaufmanにとっての畢生の傑作。星★★★★★。でも「存在の耐えられない軽さ」は観てないんだよなぁ。
3時間13分という上映時間には,一回休憩を入れて欲しいと思ったのは私だけではなかろうが,朝のコーヒーも飲まずに臨んで乗り切った私であった。それでもそんな時間を感じさせない映画であることは間違いないし,大スクリーンにこそフィットする映画だと言っておきたい。そうは言っても家でもまた見たいので,値段も安いし,Blu-rayでも買うか(笑)。
« 懐かしい~!ナベサダのワーナー時代の自選ベスト盤。 #渡辺貞夫 | トップページ | Toots Thielemansの未発表音源3枚組の2枚目。今回は74年と78年のセッションの模様。 #TootsThielemans »
「映画」カテゴリの記事
- 休日の昼下がりに見た「椿三十郎」。(2023.09.25)
- Netflixで「ブルー・サンダー」を観た。(2023.09.21)
- 「第三の男」:これを本当の傑作と言う。完璧だ。(2023.09.17)
- Amazon Primeで見た「サムライ」。定冠詞付きのフィルム・ノワール。(2023.09.13)
- 「007/ムーンレイカー」:Amazon Primeで「ノスタルジア」の次に見たのがこれかよ?と言われそうだ...(笑)(2023.09.05)
コメント
« 懐かしい~!ナベサダのワーナー時代の自選ベスト盤。 #渡辺貞夫 | トップページ | Toots Thielemansの未発表音源3枚組の2枚目。今回は74年と78年のセッションの模様。 #TootsThielemans »
カウフマンは、この映画や「存在の耐えられない軽さ」、「ヘンリーとジューン」は傑作ですが、「ライジング・サン」とか「クイルズ」という超級の駄作もあり不思議な監督ですね。私は「存在の耐えられない軽さ」はマイベスト10に入る映画と思っています。もう30年ぐらい前に一度見たきりなのですが。
投稿: カビゴン | 2022年7月20日 (水) 13時10分
カビゴンさん,こんばんは。
>カウフマンは、この映画や「存在の耐えられない軽さ」、「ヘンリーとジューン」は傑作ですが、「ライジング・サン」とか「クイルズ」という超級の駄作もあり不思議な監督ですね。私は「存在の耐えられない軽さ」はマイベスト10に入る映画と思っています。もう30年ぐらい前に一度見たきりなのですが。
私はこの人は「SF ボディ・スナッチャー」と「ライト・スタッフ」しか観ていないので,どうこう言えませんが,記事にも書いた通り,「存在の耐えられない軽さ」は今度観てみようと思います。「ボディ・スナッチャー」は結構怖かったですねぇ。
投稿: 中年音楽狂 | 2022年7月21日 (木) 18時32分