Ambitious Loversってのは面白いバンドだった。 #AmbisousLovers
"Lust" Ambitious Lovers(Elektra)
このアルバムがリリースされたのが1991年のことである。私が丁度NYCに在住している頃で,その時に購入したものだが,30年以上経っても,かなり好きなアルバムである。今にして思えば,当時は結構尖ったバンドであったが,なぜ私がこのアルバムを購入する気になったかは全く記憶から飛んでいる。多分店頭でプレイバックされていて購入に至ったものと思われる。
何せArto Lindsayのバンドであるから普通な訳はないのだが,当時だったらArto Lindsayと言えばもっとノイズ系の音だと思ったら,出てきたのがファンクとブラジルの合体みたいな音楽だったので,意外性というのもあった。しかし,その後のArto Lindsayの活動や彼の出自を考えれば,彼とブラジルのつながりは実に深いものがあるから,こういうのも当然ありだということにはなる。いずれにしても,出てくる音は結構「まとも」である(笑)。もちろん,効果音的に入るArt Lindsayのノイジーなギターもちょこちょこ出てくるが...。
そもそもAmbitious Loversのアルバムのタイトルは"Envy"→"Greed"と来て,この"Lust"である。嫉妬,強欲,そして色欲という「七つの大罪」がタイトルになっている訳で,本来なら7作出す予定もあったはずが,3作目の本作で解散となったのは,このバンドが好きな私としては惜しいと思えた。
それはさておきである。Nile Rogersが参加した曲のどファンクな感じもあれば,ラストに収められた"É Preciso Perdoar"のようにもろボサ・ノヴァ的な演奏の混じり具合が実に心地よい。Nile Rogersのギターのカッティングなんて,まさにNile Rogersの音であるが,それがAmbitious Loversにフィットしているし,ゲストで入るCaetano Velosoの声だって,うまくブレンドしてしまっているところが,このファンクとブラジルなら何でもありのようなAmbitious Loversの音楽の真骨頂という気がする。ファンク系の曲ではMelvin Gibbsの重量級のベースも効いている。ちょっと甘いの承知で星★★★★★。いずれにしても,こういうグループの音楽が,メジャーのElektraレーベルから出たってのも今となっては信じられないような事実である。久々に前2作も聞いてみることにするか。
その後,来日公演も行っているArto Lindsayはさておき,Peter Schererはどうしているのかと調べてみると,母国スイスに戻って,映画音楽を書いたり,教鞭を執ったりしているようである。
Personnel: Arto Lindsay(vo, g), Peter Scherer(key, p, g, sampler, synth-b, vo), Melvin Gibbs(b), Tony Lewis(ds), Nana Vasconcelos(perc), Marc Ribot(g), Billy "Spaceman" Patterson(g), Nile Rogers(g), Lorelei McBroom(vo), D.K. Dyson(vo), Lovejoy Simms(vo), Mauxa(vo), Vera Negli(vo), Mark Anthony Thompson(vo), Caetano Veloso(vo), Gail Lou(vo)
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