現在のジャズ界で最もスリルとエンタテインメント性を両立させられるのはChristian McBrideだと思う。 #ChristianMcBride
"Live at the Village Vanguard" Christian McBride & Inside Straight(Mack Avenue)
このブログにも何度か書いたことがあるが,私が初めてChristian McBrideの演奏を聴いたのは今から30年以上前のNYC在住中のことであった。まだ湾岸戦争が開戦前のことなので,90年の暮れか,91年初頭のことのはずだ。場所は今はなきBradley’sであったが,当時まだティーンエイジャーとは思えないそのベース・プレイに,驚愕させられたことは今でも忘れることができない。でもピアノが誰だったかがどうしても思い出せない(爆)。
そのChristian McBrideも今年で50歳となり,ベーシストとしての素晴らしいキャリアを積み上げるだけでなく,今や堂々たるリーダーとしてアルバムをリリースしていることは誠に感慨深い。Christian McBrideは現在もいろいろなフォーマットでのバンドを率いているが,その中でもエンタテインメント性とジャズのスリルを両立させていると思わせるのがこのInside Straightというバンドではないか。なんせ「内角直球」である。下手すりゃブラッシュ・ボールだが,ズバッと決まると快感なのだ。
本作は2014年12月のレコーディングなので,そこからは暫く時間が経過しているが,この時にはトリオでもレコーディングを残していて,それも非常に楽しいアルバムだった。本作はトリオの前にVanguardに出演していたInside Straightとしてのライブ・アルバムで,昨年になってリリースされたのであった。何で今頃?って気がしないでもなかったので,私は本作はストリーミングで聞いていた。だが何度かストリーミングで聞いてもついつい興奮してしまうので,やはり媒体でも欲しくなって,遅ればせながら購入に至った訳だが,これがまた実によいのだ。エンタテインメント性はトリオの方が上かもしれないが,それを補って余りあるモダン・ジャズ的なスリルは本作の方に感じる。しかし,自然に身体が反応してしまうようなグルーブ感もあって,聞いていて本当に「楽しい」のである。ジャズ好きならば,こういう演奏を聞いて嫌いだという人間はいなかろうとさえ思ってしまう。
メンバーも各々がリーダー作を持っているような実力者揃いだが,曲もリーダーだけでなく,メンバーの曲も交えたバランスを考えるところにも,Christian McBrideのリーダーとしての資質を感じさせるし,アルバムのどこから聞いても十分に楽しめる。今頃になって記事をアップしている自分への反省も込めて星★★★★★。一つのジャズの王道である(きっぱり)。
Recorded Live at the Village Vangurad on December 5, 6 &7, 2014
Personnel: Christian McBride(b), Steve Wilson(as, ss), Warren Wolf(vib), Peter Martin(p), Carl Allen(ds)
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