”Mermaid Boulevard”:「よせばいいのに」,と言っても敏いとうとハッピー&ブルーではない!(爆)。
"Mermaid Boulevard" 渡辺香津美(Alfa)
その昔,私はこのアルバムについて記事をアップしたことがある(記事はこちら)のだが,そこには結構ネガティブなことを書いている。その記事をアップした当時は,アナログ盤は結構中古で出回っていながら,CDはかなりの高値で取引されていたはずだ。その後,ソニーの「オーダーメイド・クラブ」で再発されたものの,私は聞いた時の印象がイマイチだったので,購入には至らなかったのだが,昨今オークション・サイトやメルカリなどでまぁまぁ手頃な価格で見かけるようになって(相変わらずAmazonでは高値がついているが...),ついついポチってしまった。
主題のように「よせばいいのに」となるのは,CDで聞いたところで,記事を書いた時の印象から大した変化はないだろうという予想もあるし,それに定価以上の金額を支払う価値があるのかということがある。そうは言ってもいろいろな事情(ポイントみたいなものが利用できた)もあって,私には手頃な価格だったので,勢いで発注したって感じである。
このアルバムは渡辺香津美のレコーディングで言えば,"Olive’s Step"と"Lonesome Cat"の間ということで,フュージョン化を推し進めている時期と言ってもよい頃だ。今回,改めてCDで聴き直してみて,フュージョンの王道と言ってもよいようなメンツ,演奏な訳だが,以前聞いた時の印象から大きな変化はなかったと言ってよい。ライナーを読んでいて,リズム・アレンジメントはLee Ritenourがやっていたとか,新しい発見はあったし,演奏そのもののレベルはちゃんと維持されているとは思う。だが,後の"To Chi Ka"のようなタイトさは感じられないし,"Mobo"のようなスリルも感じられない。
まぁ,なかなか稀少なアルバムとなってしまっているがゆえに,保有していてもいいかなとは思うが,これは渡辺香津美のフュージョン系のアルバムとして,いの一番に聴く対象ではないなというのが正直なところである。この程度の感じ方をしているなら「よせばいいのに」だったかなぁという部分もあるが,まぁ今回はそんなに負担もなかったからよしとしておこう。やっぱり前回の記事同様星★★★☆ってところだな。それにしても,何回聞いても2曲目"Neptune"のピアノのイントロはよろしくない。曲そのものは結構いいと思えるのに,イントロがあまりにもしょぼいのはもったいないなぁ。
Recorded in October 1977
Personnel: 渡辺香津美(g, g-synth), Lee Ritenour(g), Ernie Watts(ts, fl), Patrice Rushen(el-p, key), Anthony Jackson(b), Harvey Mason(ds), Steve Forman(perc), 吉田美奈子(vo), 深町純(synth)
本作へのリンクはこちら。
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