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2022年6月30日 (木)

Richard Teeの”Natural Ingredients”:”Strokin’”と同じようなメンツなんだが,随分軽いなぁ。

Natural-ingredients "Natural Ingredients" Richard Tee(Tappan Zee)

以前,このブログでRichard Teeの"Strokin'"について書いたことがあるが,本作はそれに続くRichard TeeのTappan Zeeレーベル第2弾。前作とほぼ同じようなメンツを集めているのだが,雰囲気は随分と違って,かなり軽く感じる。"Strokin'"には「A列車」というキラー・チューンがあったが,本作にはそういう曲がないのが決定的な弱点だと思う。

雰囲気の違いはRichard Teeのヴォーカル曲が多いこともあると思うが,フュージョンと言っても,ソウル/R&B色が強いこともあるだろう。全編に渡ってRichard Teeらしいピアノの音はしているのだが,もっと弾いてもいいんじゃない?って感じるレベルである。まぁ,アルバムの最後は前作の「A列車」的に,メンデルスゾーンの「無言歌集」から「紡ぎ歌」をアダプテーションしているが,スピード感からしても全然「A列車」には及ばないというのが実感である。

まぁ,これがRichard Teeがやりたかったことなのかもしれないが,アルバムとして聴くと,イマイチ感はぬぐえないところ。これを聞くなら"Strokin'"とかStuffのアルバムを聞いた方がずっと楽しめる。星★★★。そうは言っても,私が現在保有しているのは"Strokin'"との2in1なので,もれなく"Strokin'"にはこれも付いてくるのだが(笑)。

アルバムとしてはイマイチでも,Richard Teeにしても,Eric Galeにしても,Steve Gaddにしても,彼らにしか出せない音ってあるねぇと思わせるのは立派だと思う。個性は大事である。

Personnel: Richard Tee(p, key, vo), Eric Gale(g, b), Matthew Bragg(b), Steve Gadd(ds), Ralph McDonald(perc), Hugh McCracken(hca), Tom Scott(sax), Lani Groves(vo), Ullanda McCullough(vo), Seldon Powell(vo) with horn and strings

2022年6月29日 (水)

懐かしのPedro Aznarのアルバム。ハイライトは誰が何と言おうが,Pat Metheny,Lyle Mays参加の”23”。 #PedroAznar

_20220628"Contemplacion" Pedro Aznar(Tabriz Music)

これは懐かしいアルバムである。そもそもPedro AznarはECMの"First Circle"でPat Metheny Groupに参加して,一躍その名を知られることになった訳だが,参加の契機となったのがこのアルバムでのPat Methenyとの共演であったと考えられる。とは言いつつ,このアルバムのリリースは"First Circle"より後のはずだが,結構多くのリスナーが,ここでのPat Methenyとの共演につられてこのアルバムを入手したことは間違いないだろう。私が入手したのも随分後になってからのことではあるが,本作のオリジナル・リリースから40年近いというのも恐ろしい。

正直言って,出だしの"La Noche Suena el Dia"は打ち込みがきつくて,何じゃこれはと思ってしまう。Pedro Aznarの声にも合っていると思えなくてがっくりきてしまう。だが,それで諦めてはいけない。3曲目の"Verano en Nueva Inglaterra"でのいかにもPat Metheny的なソロ,そしてそれに続く"Para Acunar a Leila"におけるもろにPat Methenyの影響が顕著なPedro Aznarのギター・シンセのソロが出てきてかくあるべしと思えるまで我慢する必要がある(笑)。しかし,本作の本当のハイライトは主題の通り,5曲目の"23"である。冒頭のPedro Aznarの歌声も素晴らしいが,それに続くLyle Maysのソロが何とも素晴らしく,更にそれに続くPat Methenyのソロを聞くと,もはやこれはPat Metheny Groupの曲と言っても過言ではない響きを持っている。はっきり言ってしまえば,このアルバムの存在意義は"23"にこそあって,そのほかの曲についてはどうでもいいとさえ感じている私である。

その後のPedro AnzarのPat Metheny Groupへの貢献は大きかったし,後のソロ・アルバムについても私は結構評価したつもりだが,このアルバムはまだまだ青いと言うか,特に打ち込み系の曲については魅力を感じられないというのが正直なところ。やっぱりこのアルバムは"23"に尽きるのだ。星★★★☆(半星は"23"に免じてのもの)。

Recorded on December 20, 1982, between December 1983 and January, 1984 and between May and June, 1984

Personnel: Pedro Aznar(vo, b, g, g-synth, p, synth, ds), Pat Metheny(g), Lyle Mays(p), Danny Gottlieb(ds), Osvaldo Fattorsumo(perc), Pomo(perc)

2022年6月28日 (火)

酔っぱらっていて入手したのをすっかり忘れていた矢堀孝一+岡田治郎の「弦問答」

_20220627「弦問答」矢堀孝一+岡田治郎(Uprize)

先日,赤坂のVirtuosoにてMike Stern Nightなるライブに参戦したことは既にこのブログにも書いた(記事はこちら)。その時のライブは大いに盛り上がった訳だが,聴衆としての我々は調子に乗って,3人でウイスキーのボトルを2本空けるというやらかしぶりだったので,家に帰った後の記憶はない(爆)。そして,数日後,現地に持って行った鞄の中にこのCDが入っているのを発見したのだが,どのように入手したのかこれまた記憶が定かではない。いずれにしても,当日のギター,かつ店のオーナーである矢堀孝一の新譜である。岡田治郎とのプロジェクトには一部にパーカッションの岡部洋一が加わる編成だが,「弦問答」とはよく言ったものだと思えるアルバムであった。

ギター+エレクトリック・ベース+パーカッションと言えば,私はついついJohn McLaughlinが"Que Alegria"やロイヤル・フェスティバル・ホールでのライブでのトリオ編成と同じだなぁと思ってしまうのだが,同じテクニシャン揃いのアルバムとしては共通ながら,受ける感触はかなり違うのが面白い。McLaughlinトリオはパーカッションのTrilok Gurtuの露出が大きく,3者対等と言ってもよいのに対し,こちらは岡部洋一のパーカッションが控えめなサポートをしており,「弦問答」というタイトルに偽りなしの演奏に彩りを添えるって感じになっているのが実に奥ゆかしい。

そして,ここでは矢堀孝一はアコースティック・ギターを中心に弾いているが,演奏のタイプは違っても,John McLaughlinもそうなのだが,ユニゾンが決まった時の快感を覚えるところは同様と言ってもよい。冒頭は昨年惜しくも世を去った手数王,菅沼孝三と矢堀孝一の共作"VaizaraNa"で幕を開けるが,ここからもはや掴みはOKである。実にスリリングな展開はライブでも観たくなること必定。アルバム全編,大いに楽しめる演奏なのだが,中でも私が一番感心してしまったのが,矢堀孝一の奥方,大高清美作の”Full Moon”であった。これが実にいい曲で,Ralph Townerに弾いて欲しいとさえ思ってしまうような佳曲であり,前後に据えられた"Night in Tunisia"と"Teen Town"という強烈な2曲の間に咲く美しい花のような曲だと言いたい。

酔っぱらって当日の最後の記憶は曖昧だし,そう言えば最後は自分も呂律が回ってなかったなぁなんて思ってしまうが,このアルバム,ギター,ベース好きには見逃すのが惜しいとアルバムである。Mike Stern Nightにおけるマイキーになり切ったギターと,全く違うサウンドを生む矢堀孝一の多才ぶりにはまじでびっくりしてしまった私であった。

Recorded on November 9, 2021, etc.

Personnel: 矢堀孝一(g), 岡田治郎(b),岡部洋一(perc)

2022年6月27日 (月)

The Orbの"Metallic Spheres":David Gilmourがテクノにどうマージするかだが,なかなか面白い。

_20220625 "Metallic Spheres" The Orb Featuring David Gilmour(Columbia)

テクノやハウスってのはほとんど聞かない私であるし,The Orbなんてユニットについても全く聞いたこともなかったのだが,このアルバムを購入したのは,ひとえにDavid Gilmourのせいである(笑)。

これは多分ショップで買ったと思うが,テクノとDavid Gilmourがどう融合するのかというところに関心は集中したはずである。だが,テクノとかハウスってのは私にとっては鑑賞音楽と言うより,むしろアンビエント,バックグラウンドで流しておけばよいって感じの感覚で捉えている音楽である。このアルバムもそういう聞き方をしていればいいと思うが,David Gilmourのギターはやっぱり気になるところではあるものの,確かにDavid Gilmourっぽいなぁと思うところはありつつも,集中して聴くって感じではなかったし,今回久々に聞いてみても,その感覚は変わらなかった。そういう意味ではDavid Gilmourに期待し過ぎないで,聞き流せばいいのだというのが結論。

そうした中で,私が一瞬そうした感覚から脱却する瞬間がこのアルバムにはある。それはGraham Nashの"Chicago"のフレーズが飛び出す瞬間である。なんでこんなところにあの曲がという感覚になるが,”Hymns to the Sun"と"Chicago Dub"と題されたそのパートで,馴染みのフレージングが出てくると,おいおい,なんでやねんとなるのが常なのだ。そもそも私が"Chicago"を聴いたのは,私のアメリカ音楽好きに決定的な影響を与えたCSN&Yの"4Way Street"が最初のことであり,私にとっては極めて重要な音楽体験の一部として,反応してしまうのが当たり前なのだ。

そういう意外性もあって,実はこのアルバムは結構好きなのだが,結局はアンビエントみたいなものなので,決してしょっちゅうプレイバックするものではない。だが結局,"Chicago"のフレーズ登場の瞬間を待っているってのが実態なのかもなぁと思っている。星★★★☆。

The OrbにはRobert Frippとの共演作もあるらしいから,今度ストリーミングで聞いてみることにしよう。

Personnel: David Gilmour(g, vo), Alex Paterson(key, turntable, manipulator), Youth(b, key, prog), Tim Bran(key, prog), Marcia Mello(g), Dominique Le Vac(vo)

2022年6月26日 (日)

Amazon Primeで観た「キャッシュ・トラック」:フランス映画のリメイク,Tarantino風。

Wrath-of-man 「キャッシュ・トラック("Wrath of Man")」(’21,英/米,Miramax)

監督:Guy Ritchie

出演:Jason Statham, Holt McCallany, Josh Hartnett, Rocci Williams, Jeffery Donovan, Scott Eastwood, Andy Garcia

フランス映画"Le Convoyeur"のリメイクだそうである。その映画の邦題は「ブルー・レクイエム」で,米国での公開時が"Cash Truck",一方この映画の現代は"Wrath of Man"で,邦題が「キャッシュ・トラック」ってのはよくわからん(笑)。

それはさておきである。見ていて思ったのが,時間軸が前後したり,映画をチャプターに分けているところや,結構エグイ描写など,Quentin Tarantino風だなぁってことだが,相変わらずJason Stathamを強く見せるというところは,あくまでもJason Stathamあっての映画。激しいドンパチもあり,「内通者」のくだりとか,さすがにこれは...と思うような展開ではあるが,役者も揃っていて,それなりには見られる映画であったとは思う。星★★★☆。

しかし,このポスターはなんやねん?と思ってしまうのは,劇中でJason Stathamはこうしたスーツ姿で登場するシーンはないし,全然ストーリーと関係ないじゃんということである。まぁJason Stathamをカッコよく見せればそれでよしってことだろうが,Jason Stathamは,昔だったらCharles Bronson的なペースで映画を作っているし,似たような感じの映画が多いのもBronson的であり,Charles Bronsonの「メカニック」をリメイクしていることからしても,やっぱりそういう位置づけだよなぁと思ってしまう。結構見ちゃうのもBronsonと同じだ(笑)。

2022年6月25日 (土)

早いものでLaura Nyroが亡くなって25年か...。久々に聴いたライブ音源。 #LauraNyro

_20220623"Live from Mountain Stage" Laura Nyro(Blue Plate Music)

早いもので,Laura Nyroが1997年に亡くなって25年である。私はどちらかと言えばLaura Nyroの後追いファンだと言ってよく,多分初めて買ったアルバムは”Mother's Spiritual"だと思う。それから結構な枚数のアルバムを買ったが,全部揃えたという訳ではないとしても,結構好きな歌手であることは間違いない。このアルバムは彼女の死後にリリースされたもともとはラジオの放送音源である。収録時間も30分弱と短いものだが,Laura Nyroのソロ・パフォーマンスはやはり味わい深いと言わざるをえないし,彼女の声は魅力的だったとつくづく感じてしまった。

ピアノの音はシャビーだし,完璧を求めてはいけないが,こうして生前の彼女の演奏に触れられるだけでよしと思うのはきっと私だけではないはずだ。やっぱりLaura Nyroが好きな私である。星★★★★。

因みに制作したのはアメリカの「田舎」と言ってよいWest Virginiaの公共放送で,NPRを通じて全米で放送されており,現在も放送が続いているという長寿番組。

Recorded Live on November 11, 1990

Personnel: Laura Nyro(vo,p)

2022年6月24日 (金)

クリポタとビッグバンドの共演作:冒頭6曲は「春の祭典」からインスパイアって...。でもこれは強烈だわ。 #JimMcNeely #ChrisPotter

_20220622 "Rituals" Jim McNeely with Frankfurt Radio Big Band Featuring Chris Potter(Double Moon)

ブログのお知り合いのoza。さんが紹介されていて,これは気になるということで慌てて発注したアルバムである。ビッグバンドにクリポタが客演してソロを吹きまくるというパターンはこれまでもあったが,それに加えてこのアルバムが猛烈に気になったのは,前半がJim McNeelyがストラヴィンスキーの「春の祭典」にインスパイアされて書いた曲を自らアレンジした6曲,後半4曲がChris PotterのオリジナルをMcNeelyがアレンジしたものという構成にある。

冒頭6曲には確かに「春の祭典」に近いようなメロディ・ラインやリズム・パターンが出てきて,なるほどと思わせる。まぁストラヴィンスキーは米国移住後にはジャズにはまっていたという逸話もあるが,「春の祭典」にはジャズ・アダプテーションもあるぐらいだから,曲そのものにJim McNeelyがインスピレーションを得るというのは不思議なことではない。それだけジャズ・ミュージシャンを刺激するような要素が「春の祭典」にはあるということだが,確かに「春の祭典」の持つ激烈モードはジャズにおける興奮と近しいものを感じる。

ここでの演奏は曲としての面白さもあるが,やはり私の耳はクリポタのソロに向かってしまう。何せ冒頭6曲においてはソロイストはクリポタ一人なのだ。ということはJim McNeelyとしてはクリポタを意識して書いたと言ってもいいかもしれないし,クリポタも「春の祭典」を"One of my favorite compositions"と言っているから相思相愛ってところだろうが,とにかくクリポタの吹きっぷりは聞いている方も熱くなる。くぅ~って感じである。

更にクリポタ・オリジナルとして選ばれているのは,"The Sirens"に入っていた"Dawn"に"Wine Dark Sea"の2曲に,"Underground"から"The Wheel",そして"Lift"にも入っていた"Okinawa"というチョイスで,どれもいい演奏だが,やはり"The Wheel"が燃える。これらの4曲にはビッグバンドのプレイヤーたちのソロも交えていて,メンバーの実力の高さも実証されている。

Jim McNeelyは昔はStan Getzとかともやっていたが,近年はビッグバンドの世界が活動の中心となっていることもあって,実にチャレンジングな取り組みである。そこにクリポタという素晴らしいソロイストを迎えて,実によいアルバムを出してくれたと思う。星★★★★☆。

尚,このアルバムのレコーディングそのものは2015年に行われていたものだが,リリースは今年になってからのようである。しかし,oza。さんのブログの記事なかりせば,私のレーダー・スクリーンには全く引っ掛からなかっただろう。ショップに行く機会が激減する現在,やはりブログのお知り合いの情報は貴重なのだ。oza。さん,ご紹介ありがとうございました。

Recorded on Feburuary 10-13,2015

Personnel: Jim McNeely(comp, arr), Chris Potter(ts), Frankfurt Radio Big Band<Heinz-Dieter Sauerborn(as, ss, ts, fl, cl, picc), Oliver Leicht(as ss, ts, fl, cl, picc), Tony Lakatos(ts, fl), Stefan Weber(ts, ss, bs, fl, cl), Rainer Heute(bs, b-cl), FFrank Wellert(tp, fl-h), Thomas Vogel(tp, fl-h), Martin Auer(tp, fl-h), Axel Schlosser(tp, fl-h), Gunter Bollman(tb), Peter Feil(tb), Christian Jaksjo(tb), Manfred Honetschlager(b-tb), Peter Reiter(p), Martin Scales(g), Thomas Heidepriem(b), Jean Paul Hochstadter(ds), Christine Chapaman(fr-h), Miroslava Stareychinska(harp), Claus Kiesselbach(perc)

2022年6月23日 (木)

先日のChristian McBrideのアルバムからの流れでPeter Martinのトリオ・アルバム。 #PeterMartin

_20220621"Parabola" Peter Martin(M&I/Alfa)

先日,このブログで取り上げたChristian McBrideのInside Straightのライブ・アルバムでピアノを弾いていたのがPeter Martinである。Inside StraightのオリジナルのピアニストはEric Reedだったが,現在はPeter Martinに交代しており,上述のアルバムでもPeter Martinは好演していたので,そう言えばPeter Martinのアルバムも持っていたなぁってことで,取り出してきた。このアルバムは一軍半みたいな場所にあって,見つけるのは容易だったので,それなりに評価はしているってことだと思うが,聞くのは実に久しぶりであった(苦笑)。

このアルバムは,95年に出たJoshua RedmanのVillage Vanguardでのライブ・アルバムにおけるリズム・セクションそのままである。Joshua Redmanがバンドに引き入れているのだから,実力は保証されているようなものだが,このトリオとしての共演歴もある中での演奏なので,演奏のバランスはいいし,音もいい。そして何よりも結構ソリッドな感覚のピアノ・トリオは聞いていて実に楽しい。オリジナルとスタンダードを組み合わせたプログラムはそれなりってところであるが,Stevie Wonderの"The Secret Life of Plants"なんかをやっているのは珍しい。選ばれたスタンダードは"Stella","Just One of Those Things",そして"Invitation"というところで,まぁいいところだって思うが,実はPeter Martinのオリジナルもなかなか魅力的なので,作曲能力も侮れない。

今回はChristian McBrideのアルバムが契機となったが,これは聴き直してもなかなかの好アルバムであった。手持ちのアルバムはちゃんと聞かないといかんねというところ。星★★★★☆には十分に値すると思える佳品であった。しかし,Amazonの中古CDはとんでもない値段がついていてびっくりしてしまう。中古盤屋では多分簡単に見つかりそうだが...。そうでもないのかな。因みに私は中古でゲットしたはずだ。

Recorded on June 26 & 27, 1997

Personnel: Peter Martin(p), Christopher Thomas(b), Brian Blade(ds)

2022年6月22日 (水)

久しぶりに聞いたJing Chiのライブ・アルバム。 #JingChi

_20220618-4 "Live!" Jing Chi(Tone Center)

このアルバムがレコーディングされたのが2002年の12月ということなので,もう20年近い時間が経過していることに驚いてしまった。歳を取るわけだ(爆)。いずれにしてもこれを聴くのも久しぶりのことである。

Jing Chiというバンド名称はなかなかユニークなものであるが,その意味するところはよくわからないが,Robben Ford,Jimmy Haslip,そしてVinnie Colaiutaというメンツからすれば,ハードなブルーズ・ロック的フュージョンの世界だろうと想像するし,まさにそういう音が出てくる。オークランドの"Yoshi's"でのライブの模様を収めたこのライブ盤では,こういう演奏をすれば聴衆も燃えるよねぇという感じの演奏となっていて,聞き終わるとお腹いっぱいって感じにもなってしまう。

歌えるRobben Fordがいるだけに,歌入りの曲も2曲入っていて,そのうちの1曲はBob Dylanの"Cold Irons Bound"というのには驚く。超有名曲というよりも,97年のアルバム,"Time Out of Mind"からの選曲というところに意外性を感じてしまう。それでもBob Dylanはこの曲でグラミーを獲っているから,私の認識が薄いだけで,曲としてはメジャーなのかもしれないが。むしろ,ちゃんとBob Dylanのアルバムを聴き直そうというモチベーションは高まったな(爆)。

まぁ,それでも基本的に繰り広げられるのは,この人たちらしいタイトさを持ちつつ,ロック・フィーリング,ブルーズ・フィーリングが横溢した演奏で,ジャズ・ファンよりはロック好きに受ける音楽だろうと思う。やっている音楽の性格上,強烈なスピード感というよりもブルージーな感覚が強く,決してメカニカルな音楽ではないところには,若干リスナーの好みは分かれそうな気がするが,私のような雑食系のリスナーには全く問題ないし,そういうバンドだと思って聞けばいいのである。星★★★★。

尚,ラストの"Blues MD"には,懐かしや元YellowjacketsのMarc Russoが客演しているが,これが本当のYellowjacketsつながりである。この曲,Jing Chiの3人とOtmaro Ruizの共作となっているから,即興のブルーズと考えていいだろうが,こういうブルーズなら彼らなら普通にやれちゃうよねぇ。一瞬"Jean Pierre"のフレーズが出てくるから,"Blues MD"ってことで。

Jing Chiはこのアルバムから十数年後,"Supremo"というアルバムを久々にリリースして,その後来日もしたはずだが,私は出張日程と重なって見に行けなかったは,今となっては残念なことである。その"Supremo"は聞いたことがないので,ストリーミングで探してみることにしよう。この人たちのことだから,そんなに大きく変わりはしないだろうが...(笑)。

Recorded Live at Yoshi’s on December 12, 13 & 14, 2002

Personnel: Robben Ford(g, vo), Jimmy Haslip(b), Vinnie Colaiuta(ds) with Otmaro Ruiz(key), Mark Russo(as)

2022年6月21日 (火)

ESPと言ってもMiles Davisではない。まぁ,関係者は入っているが,期待すると裏切られる。

_20220618-3 "ESP" ESP(Glass House)

私はGlass Houseレーベルのアルバムは何枚か保有しているが,基本的には硬派な音作りが特徴だったと思える。本作は,そんな私が保有していなかったアルバムながら,メンツ的にはMiles Davisのバンドに所属していたRobert Irving IIIとDarryl Jonesが参加しているから,気になっていたものである。ということで,中古で値段を気にしないでいいレベルで出ていたものを入手した。

結論から言えば,こちらが期待したほど面白くない。もっとはっきり言ってしまえばつまらないアルバムである。メロディ・ラインはむしろ軟派と言った方がよいし,リズムはDarryl Jonesのスラップはカッコいいと思えるものの,スピード感にもタイトさにも欠けるのはどうにも痛い。つまりレーベルが打ち出した硬派のサウンドではないところからして,イメージが違うのである。そこが全く気に入らない。

Robert Irving IIIとDarryl Jonesが参加していることから,こちらはやはりMiles Davisとやっていた音楽の延長線上のサウンドを求めてしまうというのは致し方ないところである。しかし,Milesという大親分抜きで,彼らがやりたい音楽はこういうものだったのかと思うと,それはそれでよかろうが,あまりのMilesバンドとの落差に愕然としてしまうのである。これではスムーズ・ジャズに若干のソウル+ファンク・フレイヴァーをまぶしただけに過ぎない演奏には正直がっくりくる。

レーベルとして硬派を指向するなら,ちゃんと筋を通してもらいたいと思うのは私だけではないはずだ。マーケットに日和ったとしか思えないユルユルダラダラの駄盤。星★。次にCDを売る機会には売却対象となること必定(きっぱり)。

Recorded between February and March, 1992

Personnel: Robert Irving III(p, synth, org), Bobby Bloom(g), Darryl Jones(b, key, ds, perc, prog), Toby Williams(ds, perc, vo, key, prog) with Kirk Whalum(sax), Theresa Davis(vo), Mae Oneita Koen(vo), Dianne Madison(vo)

2022年6月20日 (月)

今更ながらのLou Reed:”Transformer”。 #LouReed

_20220618-2 "Transformer" Lou Reed(RCA)

主題の通り,今更ながらのこのアルバムである。正直言って私はLou Reedのそんなに良い聴き手だとは思っていない。保有しているソロ・アルバムは"New York"以降のものに限られているし,Velvet Undergroundだって「バナナ」のアルバムのデラックス・ヴァージョンしか持っていない。だからLou Reedの音楽の聴き方としては相当偏ったものであったと感じている。だが,"The Raven"とか"Lulu"とかのアルバムは本当にいいと思っていて,だったらもっと聞いていても不思議ではなかったのだが,縁がなかったと言ってもよいかもしれない。

そんな私が何を今更と言われるのを承知で,この誉れ高いアルバムを恥ずかしながらまともに聞いたのは初めてなのである。正直言ってしまうと,David BowieとMick Ronsonがプロデュースだったというのを知って,「へぇ~」と思っているのだから,無知もここまで行けば許してもらわないといけないレベルである。

今から50年前にリリースされたアルバムだから,現代の音と比べてはならないと思うが,このアルバムを聞いて思うのは,曲のクォリティが高いということである。まさに粒よりの曲群って感じである。"Walking on the Wild Side"はもちろんいい曲だが,"Perfect Day"なんて更にそれを凌駕する魅力を持った曲ではないか。そんなことは当たり前だろうと言われると返す言葉はないが,まじでそう思うのだ。

一方で,今にして思えば,このアルバムを「グラム・ロック」っ言ってしまうのはどうなのかねぇと思うのも事実である。ジャケのイメージだけで捉えればそういう部分がないとも言えないが,Lou Reedがやっている音楽って見た目でどうこうの世界ではないと思うんだけどねぇ。

だからと言って,今後Lou Reedのアルバムを買い揃えることはないだろうが,ストリーミングで聞いてみるのはありだと思わせるに十分なアルバムであった。それより手持ちのアルバムを聴き直すべきかもしれないな。このアルバムについては,”New York Telephone Conversation"みたいな曲が必要だった?って気もするので星★★★★☆とするが,大体において曲のクォリティは十分に堪能できる秀作。

Personnel: Lou Reed(vo, g), Mick Ronson(g, p, recorder, vo), Klaus Voorman(b), Herbie Flowers(b, tuba), John Halzey(ds), Barry Desouza(ds), Richie Dharma(ds), Ronnie Ross(bs)

2022年6月19日 (日)

現在のジャズ界で最もスリルとエンタテインメント性を両立させられるのはChristian McBrideだと思う。 #ChristianMcBride

_20220618 "Live at the Village Vanguard" Christian McBride & Inside Straight(Mack Avenue)

このブログにも何度か書いたことがあるが,私が初めてChristian McBrideの演奏を聴いたのは今から30年以上前のNYC在住中のことであった。まだ湾岸戦争が開戦前のことなので,90年の暮れか,91年初頭のことのはずだ。場所は今はなきBradley’sであったが,当時まだティーンエイジャーとは思えないそのベース・プレイに,驚愕させられたことは今でも忘れることができない。でもピアノが誰だったかがどうしても思い出せない(爆)。

そのChristian McBrideも今年で50歳となり,ベーシストとしての素晴らしいキャリアを積み上げるだけでなく,今や堂々たるリーダーとしてアルバムをリリースしていることは誠に感慨深い。Christian McBrideは現在もいろいろなフォーマットでのバンドを率いているが,その中でもエンタテインメント性とジャズのスリルを両立させていると思わせるのがこのInside Straightというバンドではないか。なんせ「内角直球」である。下手すりゃブラッシュ・ボールだが,ズバッと決まると快感なのだ。

本作は2014年12月のレコーディングなので,そこからは暫く時間が経過しているが,この時にはトリオでもレコーディングを残していて,それも非常に楽しいアルバムだった。本作はトリオの前にVanguardに出演していたInside Straightとしてのライブ・アルバムで,昨年になってリリースされたのであった。何で今頃?って気がしないでもなかったので,私は本作はストリーミングで聞いていた。だが何度かストリーミングで聞いてもついつい興奮してしまうので,やはり媒体でも欲しくなって,遅ればせながら購入に至った訳だが,これがまた実によいのだ。エンタテインメント性はトリオの方が上かもしれないが,それを補って余りあるモダン・ジャズ的なスリルは本作の方に感じる。しかし,自然に身体が反応してしまうようなグルーブ感もあって,聞いていて本当に「楽しい」のである。ジャズ好きならば,こういう演奏を聞いて嫌いだという人間はいなかろうとさえ思ってしまう。

メンバーも各々がリーダー作を持っているような実力者揃いだが,曲もリーダーだけでなく,メンバーの曲も交えたバランスを考えるところにも,Christian McBrideのリーダーとしての資質を感じさせるし,アルバムのどこから聞いても十分に楽しめる。今頃になって記事をアップしている自分への反省も込めて星★★★★★。一つのジャズの王道である(きっぱり)。

Recorded Live at the Village Vangurad on December 5, 6 &7, 2014

Personnel: Christian McBride(b), Steve Wilson(as, ss), Warren Wolf(vib), Peter Martin(p), Carl Allen(ds)

2022年6月18日 (土)

久々のライブはMike Stern Night@Virtuoso Akasaka。でもマイキーはいない(笑)。

Mike-stern-night

サラリーマン界の最強サックス奏者,八木くんのお誘いを受けて久しぶりにライブに行ってきた。場所は赤坂Virtuoso。Mike Stern Nightと言いながら,マイキーがいる訳ではなく,マイキーのトリビュート・バンド。Steely Danには有名トリビュート・バンド,スティーリー初段があるが,そのマイキー版と言っては,このバンドのリーダーであるプロの矢堀孝一氏に失礼に当たるが,マイキーの曲をまさにそれっぽく演奏するというバンドのライブであった。

私はかなりのMike Sternのファンと言っていいだけに,どんな演奏になるのか興味津々で現地にお邪魔してきた。

演奏の具合は貼り付けたYouTubeの画像を見て頂ければわかると思うが,音と言い,フレージングと言い,乗りと言い,ブラインドで聞いてもまさにMike Sternのバンドと思ってしまうような演奏であった。マイキーの演奏と言えば,必ず途中で「踏む」という行為が発生するが,ここでの矢堀氏の演奏もそれは踏襲。ついでに膝の動きも踏襲である(笑)。そしてテナーとEWIを吹くスウェーデン出身のBjörn Arköは,現在札幌在住とのことだが,まだ結構若いのにMichael Breckerばりの演奏,フレージングは見事なもので,実に大したものと言わざるをえない。世の中には隠れた才能と言うか,いろんな人がいるのねぇというのが正直なところだが,Björn Arköの吹くEWIで,1986年,東京五反田でのSteps AheadライブにおけるMichael Breckerの演奏を思い出してしまったのであった。Michael Breckerは晩年はEWIを吹くことはなかったと思うが,マイキーも来ていたSteps Aheadでのライブの頃はバリバリにEWIを吹いていたのも懐かしく,その映像を改めて見たくなってしまったのであった(音源だけでもよいが...)。

いずれにしても,Mike Stern Nightというタイトルに偽りなしのハード・フュージョンを堪能したのであった。調子に乗って飲み過ぎたが(爆)。

Live at Virtuoso Akasaka on June 16,2022

Personnel: 矢堀孝一(g), Björn Arkö(ts, EWI), 横田健斗(b), 北澤ひろき(ds)

2022年6月17日 (金)

実にReichらしい響きに満ちた新作:”Reich/Richter” #SteveReich

Reichrichter”Steve Reich: Reich/Richter" Ensemble Intercontemporain / George Jackson(Nonesuch)

Steve Reichが2019年に書いた,Gerhard RichterとCorinna Belzによる映像作品"Moving Pictures"とともに演奏されるための曲だそうだ。即ち,映像は視覚に訴え,Reichの音楽は聴覚に訴えることで,鑑賞者の感覚を刺激するということだろうが,音楽を聴いているだけでも十分に満足できる。

この音楽を聴いていて,いかにもSteve Reich的な響きが続いて,それこそ初めて"Music for 18 Musicians"を聴いた時のような感覚を想起させるところが実に心地よい。そして,これがライブ・レコーディングだっていうのが信じがたいのだが,それをきっちりこなしてしまうEnsemble Intercontemporainの素晴らしさってところだろう。

とにかく,Steve Reichの音楽が好きならば,間違いなく気に入るであろう作品であり,今年の10月で86歳になろうとしているSteve Reichがまだまだ現役で行けることを実証した作品としか言いようがない。ジャケットはGerhard Richterの2021年の作品だが,こちらも今年90歳ということで,年齢はこういう風に重ねたいと思ってしまうねぇ。星★★★★★。

偶然とも言うべきだろうが,現在,東京国立近代美術館でGerhard Richterの展覧会が開催中である。これを聴きながら,作品鑑賞ってのもよさそうだな。行こうっと(笑)。

Recorded Live at Philharmonie Paris-Cite de la musique, Grand salle Pierre Boulez on March 7, 2020

Personnel: George Jackson(cond), Ensemble Intercontemporain(performance)

2022年6月16日 (木)

Rudresh Mahanthappa:インド風味のFive Elementsみたいな...。

_20220615"Gamak" Rudresh Mahanthappa(Act)

このアルバムがリリースされたのが2013年なので,既に10年近くの時間が経過しているが,このアルバム,クロゼットにしまい込まれて,これまでちゃんと聞いた記憶がない(爆)。しかし,先日クロゼットを漁っていて,おぉ,こんなのもあったなぁということで取り出してきたのだが,このメンツ,実に気になるところであった。何てったって,変態ギタリスト,David Fiuczynski が目を引くが,ベースはFrançois Moutin,ドラムスはChris Potter UndergroundにNate Smithのトラで入ることもあるDan Weissである。 

リーダー,Rudresh MahanthappaはDownBeat誌の国際批評家投票では常に高く評価されている人だが,日本での知名度はちっとも上がっていないってところではないか。このブログでも”Who Is Rudresh Mahanthappa???”なんて記事をアップしたのが2011年(記事はこちら)だが,それ以降,日本での認知度が上がったって話は聞いたことがない(笑)。だが,その時取り上げた"APEX"も優れたアルバムであったし,このアルバムも改めて聴いてみると,Steve Coleman & Five Elementsにインドのフレイヴァーをまぶした感じのファンク色の強いアルバムだったのが面白かった。

アメリカの批評家に受けるのは,この尖った感じなんだろうなぁと思いつつ,そこに加わるのがDavid Fiuczynskiというのが何とも言えない変態的な感覚を加えているのも,その尖り感を増幅させている。ウネウネした感じはまさにDavid Fiuczynskiってところだ。David Fiuczynskiは上原ひろみのアルバムでも弾いていたことがあるが,変態度はこっちの方が上。星★★★★。

Recorded on April 2 & 3, 2012

Personnel: Rudresh Mahanthappa(as),David Fiuczynski(g),François Moutin(b),Dan Weiss(ds)

2022年6月15日 (水)

Barney Wilen:ドラムレスの編成がいいねぇ。 #BarneyWilen

_20220611"Sanctuary" Barney Wilen(IDA)

IDAレーベルのBarney Wilenの作品に関しては"Wild Dogs of the Ruwenzori"に若干辛い評価をした私であるが,そう言えばもう1枚,このレーベルでBarney Wilenのアルバムを保有していたなぁということで,クロゼットから引っ張り出してきたアルバム。

これはどこかの中古ショップで購入したと記憶しているが,改めて聴き直してみると,"Wild Dogs of the Ruwenzori"よりこっちの方がいいなぁと思ってしまった。スタンダードを中心とした選曲もいいが,何よりもサックス~ギター~ベースという編成から生み出される落ち着いた感覚がいいのだ。こういうのをクロゼットに突っ込んでいた自分の見識の低さを反省してしまったが,こうしてまた魅力を再確認できたのだから,まぁいいや(爆)。

スタンダードに加えて演奏されるのがPhilip Catherineのオリジナル3曲だが,アルバム全体のイメージにフィットして,違和感は全くない。更にそこにHermeto Pascoalの"Nem Um Tarvez"が加わっているのが面白い。この曲,Miles Davisの"Live-Evil"で演奏されていた曲であるが,どうしてBarney Wilenがこの曲を選曲したのかは謎だ。しかし,逆に言えば,Miles Davisがなぜこの曲を演奏する気になったのかの方が謎じゃないかって感じの曲でもあるので,Barney Wilenがこの曲に何らかの魅力を感じてのことと考えよう。

Philop Catherineのギターはエフェクターをかまして,やや小うるさく感じられる曲もあるが,全体的には落ち着いた感覚が勝っていて,こういう演奏は結構和む。ベースにPalle Danielssonを起用したところの効果は大きいと思う。星★★★★。

Recorded on January 26, 27 & 28, 1991

Personnel: Barney Wilen(ts, ss), Philip Catherine(g), Palle Danielsson(b)

2022年6月14日 (火)

Nick Lowe:もうリリースから30年以上か...。でも今でも好きな”Party of One”。 #NickLowe

_20220609-2 "Party of One" Nick Lowe(Reprise)

このアルバムは90年リリースで,私がNYCに在住している時代に購入したものだ。それ以来幾星霜であるが,いつまで経っても結構好きなアルバムとして一軍の棚に収まっている。

Nick Loweとは全く縁のなかった私がこのアルバムを購入したのは,John Hiattの"Bring the Family"を契機として,Nick Loweの音楽に触れたことがあるからである。そして,ここで展開される軽快なロックは肩肘張らず聞ける感じで,丁度いいレイドバック感もあって心地よかったのだ。その感覚は今でも変わらない。まぁ,バックのメンツを考えればおかしなことにはならないというところだが。

アルバムとしては,若干いろいろな要素を突め込み過ぎたかなぁって気はするものの,なかなか楽しいロック・アルバム。特に"Gai-Gin Man"には笑える。Ray Brownが1曲でゲスト出演するのにもびっくり。また,”Rocky Road"がSimon Kirkeとの共作ってのもへぇ~って感じである。星★★★★。

Personnel: Nick Lowe(vo, b), Jim Keltner(ds), Bill Kirchen(g), Paul Carrack(org, p), Austin De Lone(p, g), Ry Cooder(g, mandolin), Dave Edmunds(g), Ray Brown(b)

2022年6月13日 (月)

「オフィサー・アンド・スパイ」:Polanskiを観るのは久しぶりだが,相変わらずいいねぇ。

Jaccuse「オフィサー・アンド・スパイ("J'accuse")」(’19,仏/伊)

監督:Roman Polanski

出演:Jean Dujardin,Louis Garrel,Emmanuelle Seigner,Grégory Gadebois,Vincent Perez

Roman Polanskiの映画を観るのは「ゴースト・ライター」以来だから,随分久しぶりのことだ。しかし,フランス本国では2019年に公開されていた映画が,今頃になって日本で公開ってのはさすがに時間が経ち過ぎではないのかと思ってしまう。それでも,「ゴースト・ライター」にも感じられた静かなサスペンスってものを感じさせて,撮影当時は既に80代半ばを過ぎていたと思しきRoman Polanskiの創造力は,Clint Eastwood同様のエネルギーを感じると言わざるをえない。そういう意味では公開されてあだけでもよかったと考えることにしよう。

この映画,ドレフュス事件の歴史的背景を知っていれば,更に興味深く見られるかもしれないが,予備知識なしでも十分い見応えのある映画になっている。ドレフュス事件は反ユダヤ感情による大冤罪事件ってことが,この映画を見ていれば明らかになるが,Polanskiはまさに映画のタイトル通り,その事件や経緯を「弾劾」している。そもそも現代の"J'accuse"は,映画にも登場するエミール・ゾラが,新聞に掲載したこの事件に関する告発記事のタイトルから取られていることは,おそらくフランス人,あるいはフランスの歴史に詳しい人ならわかるのだろう。それに比べると「オフィサー・アンド・スパイ」ってタイトルは,米国でのタイトル,”An Officer and A Spy”に基づくものとしても,ちょっと訳が分からないって気がしてしまう。

それはさておきである。この映画に描かれていたことが,本当にあったということ自体が恐ろしいが,まだそれを修正する力をフランスという国が持っていたのはよかったとしても,反ユダヤの感情ってのは実に根深かったのねぇなんてついつい思ってしまう。そうした背景を描きながら,正義対国家権力という構図はありがちとは言え,結構キリキリした感覚を覚えさせてくれるのが,まさにPolanskiの描くサスペンスであったと思う。

演出や演技に加えて,19世紀後半のパリを再現した美術も立派であった。また,撮影の若干暗い色調もPolanskiっぽいなぁって思っていた私であった。私にとっては実に面白く観られた映画だが,無茶混みだった「トップガン マーヴェリック」と対照的な観客の少なさ,劇場のスカスカ度には笑ってしまった。まぁ仕方ないって言えば仕方ないが,もったいないねぇ。星★★★★☆。

2022年6月12日 (日)

John McLaughlin:懐かしの「エレクトリック・ギタリスト」 #JohnMcLaughlin

_20220609"Electric Guitarist" John McLaughlin(Columbia)

懐かしいアルバムである。John McLaughlinがエレクトリック・ギターで豪華なメンツと共演したアルバムであり,後に同じような趣向の"The Promise"が制作されることとなるが,どっちもよく出来たアルバムで,どっちかを取れと言われると難しいところだ。しかし,今となっては,70年代の感覚が横溢しているこちらのアルバムの方が郷愁を誘うってところか。

とにかくメンツが豪華である。冒頭からMahavishunuの再編的なメンツで始まり,Santana,David Sanborn,Chick Coreaらとの共演から,Tony Williams Lifetimeの再編までやってしまうのだからこれは燃える。これだけでも燃えるのだが,このアルバムの興奮のピークは実は6曲目のBilly Cobhamとのデュオ,"Phenomenon: Compulsion"でやってくる。これこそギターとドラムスのバトルである。わずか3分24秒の演奏なのだが,この時間に凝縮されたバトルの興奮だけでも,私にはこのアルバムは価値があると言いたい。その興奮をクールダウンさせるべく,最後をソロの"My Foolish Heart"で締めるという構成も実によいのだ。

正直言ってしまえば,Lifetimeの演奏が一番つまらないかなぁという気もするが,それでもそれを"Phenomenon: Compulsion"が補って余りあるって感じなのだ。トータルで言えば甘めの星★★★★☆ってところになるが,やっぱり好きなアルバムである。だから2014年にJohn McLaughlinが来日した時には,このCDも持って行ってサインをしてもらったのだ。我ながらミーハーだと思いつつ,ミュージシャンと会話できるってのはやはり大切にしたいのだ。コロナ禍を経て,今後ライブが復活したとしても,ミュージシャンと会話する機会というのは激減するだろうが,少しでも話ができたのはよかったと思っている。

John McLaughlinのライブに接する機会がまたやって来るかはわからないが,是非また来日して欲しいと思っている私である。

Personnel: John McLaughlin(g), ①Billy Cobham(ds), Jerry Goodman(vln), Stu Goldberg(el-p, org), Fernando Saunders(b), ②Devadip Carlos Santana(g), Narada Michael Walden(ds), Neil Jason(b), Tom Coster(org), Alyrio Lima(perc), Armand Peraza(perc), ③David Sanborn(as), Alphonso Johnson(b), Patrice Rushen(p), Tony Smith(ds), ④Chick Corea(p, synth), Stanley Clarke(b), Jack DeJohnette(ds), ⑤Jack Bruce(b), Tony Williams(ds), ⑥Billy Cobham(ds)

2022年6月11日 (土)

ECM移籍前のNik Bärtsch's Roninのライブ盤。何も変わらない(笑)。 #NikBärtsch

_20220607-2 "Live" Nik Bärtsch's Ronin(Ronin Rhythm)

ここ数年はECMからアルバムをリリースしているNik Bärtschだが,ECMに移籍する前は自身のレーベル(?)からアルバムをリリースしていた。私はECMでのアルバムでNik Bärtschのミニマル・ファンクにはまってしまい,ECMより前のアルバムもせっせと購入しているのだが,このアルバムはこれまで記事にしていなかったと思う。本作はリード奏者Shaが参加していないRoninによる2003年リリースのライブ・アルバム。

ECMの第1作"Stoa"がリリースされたのが2006年だから,もう随分とNik Bärtschのアルバムは聞いてきたのだなぁと思いつつ,この人たちのやっている音楽は何にも変わりがないというか, Nik Bärtschの言うところの"Zen Funk"は,ミニマルな展開ながらビートが効いているという音楽だが,これがもはや私にとっては中毒性のあるものとなっているのだ。正直言ってしまえば,どれを聞いても同じではないかということになってしまうのだが,このグルーブに身を委ねる快感には抗いがたい魅力があるのだ。

彼らが生み出すミニマル・ファンク感はここでもいつも通りって感じで,在宅勤務のバックでこの音楽を流していても,一切仕事の邪魔にならないというか,むしろ私なんかにとっては仕事が捗ってしまうと言ってもいいぐらいだ(笑)。やっぱり好きなんだねぇlと思ってしまうが,こういう音楽は私のようにはまってしまう人間と,そうでない人と二極化確実だと思う。でも彼らの音楽は,私にとっては快感しか生み出さないと言っても過言ではない。

彼らのようなバンドがECMと契約したというのはある意味驚きであったが,それでもECMの総帥,Manfred Eicherを刺激する音楽だったということと思う。ECMにはベースのBjörn Meyerのソロ・アルバムだってあるから,よほどEicherのお気に召したってことだろう。私にとっては彼らが生み出す「揺らぎ」のような感覚は実に魅力的で,かつ心地よい。どれを聞いても同じなら,どれを聞いても同じ評価になるってことで,これも星★★★★★としてしまえ(笑)。だって,気持ちいいんだもん(爆)。

Recorded Live at Moods in Zurich on May 10 and Bee-Flat in Bern on May 12, 2002 

Personnel: Nik Bärtsch(p, key, synth), Andi Pupato(perc), Kaspar Rast(ds), Björn Meyer(b)

2022年6月10日 (金)

レーベルの関係性の訳がわからなくなる高齢者(苦笑)。

音楽業界の中でも合従連衡が進んで,かつての著名なレーベルが,今や別のレーベルとして発売されるってのはよくある話である。典型的なのはEMIが今やワーナー・レーベルになり,Philipsが今やDeccaとして扱われるから,歳を取った私のような人間にとっては訳がわからない。EMIなら東芝,ワーナーはパイオニア,Philipsはフォノグラムだったか,そしてDecca(ロンドン)はキングと日本の家電メーカーやレコード会社と強い結びつきを持っていたという印象が今でも消えない私のような人間にとって,例えばEMIに吹き込まれたKlaus Tenstedtのレコードが,"Complete Warner Recordings"とかのボックス・セットでリリースされても,「はぁ?」ってなってしまうのだ。

今の若い人たちにとっては,それが当たり前の世界なのかもしれないが,どうしても私のようなロートルには違和感しかない。そもそも各々のレーベルにはそれなりのジャケット・デザインの個性があったはずだが,それすら曖昧になってしまうのはどうなんだろうと思ってしまうのだ。そういう意味ではDGとECMは例外的な位置づけにあるのかもしれないが,ECMすらUniversal傘下みたいだから,もはや独立レーベルとかは成立しないと思わざるをえないが,レーベルとしての個性だけは失って欲しくないなぁ。

とにかく大手のレーベル関係は訳がわからないのである(爆)。因みにエラートとかアルヒーフとかもあまり名前を聞かなくなっちゃったしねぇ。なんだか寂しいのである。

2022年6月 9日 (木)

”Mermaid Boulevard”:「よせばいいのに」,と言っても敏いとうとハッピー&ブルーではない!(爆)。

_20220607 "Mermaid Boulevard" 渡辺香津美(Alfa)

その昔,私はこのアルバムについて記事をアップしたことがある(記事はこちら)のだが,そこには結構ネガティブなことを書いている。その記事をアップした当時は,アナログ盤は結構中古で出回っていながら,CDはかなりの高値で取引されていたはずだ。その後,ソニーの「オーダーメイド・クラブ」で再発されたものの,私は聞いた時の印象がイマイチだったので,購入には至らなかったのだが,昨今オークション・サイトやメルカリなどでまぁまぁ手頃な価格で見かけるようになって(相変わらずAmazonでは高値がついているが...),ついついポチってしまった。

主題のように「よせばいいのに」となるのは,CDで聞いたところで,記事を書いた時の印象から大した変化はないだろうという予想もあるし,それに定価以上の金額を支払う価値があるのかということがある。そうは言ってもいろいろな事情(ポイントみたいなものが利用できた)もあって,私には手頃な価格だったので,勢いで発注したって感じである。

このアルバムは渡辺香津美のレコーディングで言えば,"Olive’s Step"と"Lonesome Cat"の間ということで,フュージョン化を推し進めている時期と言ってもよい頃だ。今回,改めてCDで聴き直してみて,フュージョンの王道と言ってもよいようなメンツ,演奏な訳だが,以前聞いた時の印象から大きな変化はなかったと言ってよい。ライナーを読んでいて,リズム・アレンジメントはLee Ritenourがやっていたとか,新しい発見はあったし,演奏そのもののレベルはちゃんと維持されているとは思う。だが,後の"To Chi Ka"のようなタイトさは感じられないし,"Mobo"のようなスリルも感じられない。

まぁ,なかなか稀少なアルバムとなってしまっているがゆえに,保有していてもいいかなとは思うが,これは渡辺香津美のフュージョン系のアルバムとして,いの一番に聴く対象ではないなというのが正直なところである。この程度の感じ方をしているなら「よせばいいのに」だったかなぁという部分もあるが,まぁ今回はそんなに負担もなかったからよしとしておこう。やっぱり前回の記事同様星★★★☆ってところだな。それにしても,何回聞いても2曲目"Neptune"のピアノのイントロはよろしくない。曲そのものは結構いいと思えるのに,イントロがあまりにもしょぼいのはもったいないなぁ。

Recorded in October 1977

Personnel: 渡辺香津美(g, g-synth), Lee Ritenour(g), Ernie Watts(ts, fl), Patrice Rushen(el-p, key), Anthony Jackson(b), Harvey Mason(ds), Steve Forman(perc), 吉田美奈子(vo), 深町純(synth)

2022年6月 8日 (水)

Larry Carltonは嫌いじゃないが,Fourplayには合っていなかったと思っている私。

_20220605-3"4" Fourplay(Warner Brothers)

コロナ禍がだいぶおさまってきて,Larry Carltonが日本でライブを行うこの時期には誠に不適切な記事かもしれないが,まぁいいや(爆)。

このブログにも何度か書いているが,私はFourplayはLee Ritenour時代が一番好きで,Chuck Loebがその次で,Larry Carltonの時代を一番評価していない。Larry Carltonのギタリストとしての腕はちゃんと評価しているつもりだし,アルバムだって結構保有しているのに,Fourplayになると途端に評価が下がってしまうのはなんでなんだろうと思って,改めてLarry CarltonがFourplayに参加したこの初作を聴き直してみた。

上記のような評価なので,私がこのアルバムをプレイバックする頻度はかなり低い。だが,私のFourplayにおけるLarry Carltonの印象を低下させたのがこのアルバムだったのではないかと思ってしまった。アルバム全体がややスムーズに流れ過ぎる中で,テンポもミディアムやミディアム・スローが中心で,それまでのFourplayのアルバムに感じられた躍動的な部分が希薄になってしまっているように思えた。それがこのアルバムに対する私の評価を下げる結果となり,それが「Larry CarltonはFourplayには合わん!」となってしまったように思えてならない。ようやく躍動感を感じられるには6曲目の"Rio Rush"まで待つ必要があるのは,やはりきつい。

もちろん,演奏のクォリティについては筋金入りの4人だから悪いはずはない。しかし,どうしてもこのアルバムには私はいい感情を持てなったというのが正直なところである。結局のところ,私がこのアルバムのFourplayが評価できず,例えばJeff Lorber Fusionのアルバムをより高く評価してしまうのは,求める音楽の質の違いだと思う。Jeff Lorber Fusionは決してスムーズに流れず,フュージョンはこういうもんだという演奏を続けるところがいいのだ。Lee Ritenourの時代のFourplayにはJeff Lorber Fusionに私が感じるシンパシー同様のものを感じたが,このアルバムにはそういった感情が芽生えない。

それをLarry Carlton一人のせいにするのはまずいかもしれないが,このアルバム以降,私のFourplayへの思い入れは低下していったというのが正直なところ。即ち,本作は実に罪作りなアルバムだったと言わざるをえない。星★★★。

Personnel: Bob James(key), Larry Carlton(g), Nathan East(b, vo), Harvey Mason(ds) with El DeBarge(vo), Kevyn Lettau(vo), Heather Mason(vo), Michele Pillar-Carlton(vo), James DeBarge(vo), Kenneth "Babyface" Edmonds(vo), Shanice Wilson(vo) 

2022年6月 7日 (火)

Tedeschi Trucks Bandの新作は四部作の野心作。これはその第一弾。ちゃんと評価するのは全部聴いてから。 #TedeschiTrucksBand

_20220605-2 ”I Am the Moon: I. Crescent" Tedeschi Trucks Band(Fantasy)

Tedeschi Trucks Band(TTB)はAllman Brothers Bandに倣ってって感じで,ライブ・アルバムの多い人たちであるが,久々のスタジオ録音は四部作でほぼ毎月1枚ずつ4回に分けてリリースという野心的なものとなった。Nizamiという12世紀の詩人が書いた"Layla and Manjun"にインスパイアされたということなので,まぁコンセプト・アルバムと捉えてよいだろうが,難しいことは考えずに聞きたいところである。ついつい我々は「何,Layla?」なんて思ってしまうが,あまりDerek & the Dominosの"Layla"とは関係がなく,たまたまのようなので念のため。

しかし,このアルバムだけで評価するというよりも,ちゃんと4枚全部を聞いてからというのが正しい聞き方って気がするので,全部が揃ってから改めてってことにしようと思う。しかし,これだけは言っておくが,この第一弾の中で私が一番興奮したのはバンド全体ではなく,ヴォーカルやホーン抜きのクインテット編成で,インストで演奏されるアルバム最後に収められた"Pasaquan"である。ジャム・バンド的な性格も有するTTBだけに,こういうインストでのフリーなインプロヴィゼーションって感じの演奏にはついつい惹かれてしまう。とにかくカッコいいのだ。これだけでも第一弾は聞く価値があったと思っている。

いずれにしても,全作を通して聴くのが楽しみである。

2022年6月 6日 (月)

久しぶりにめちゃ混みの映画館で観た「トップガン マーヴェリック」

Top-gun

「トップガン マーヴェリック("Top Gun: Maverick")」('22,米,Paramount)

 

監督:Joseph Kosinski

出演:Tom Cruise, Jennifer Connelly, Miles Teller, Val Kilmer, Bashir Salahuddin, John Hamm, Charles Parnell, Monica Barbaro, Ed Harris

前作から35年以上のインターヴァルで第2作が公開されるってのも凄いことだが,今年還暦を迎えるとは到底思えないTom Cruiseのための映画のようなものである。私としてはこれほど混みあっている映画館に久しぶりに行ったって感じだった。もちろん私と同世代の人も相当数いたものの,若い人が多かったのは意外な感じもしたが,Tom Cruiseの訴求力はいまだに健在ってことになるだろう。全世界でも大ヒットだそうだから,やっぱり凄いことだ。

前作はバブル期真っ盛りで,その頃にオリジナルを観た私のような人間には,冒頭,Kenny Logginsの"Danger Zone"が流れてきただけでつかみはOKである。しかし,その後のストーリーはどうなのかねぇ。あまりにも予定調和というか,想定通りのストーリー展開には驚きはない。しかし,それでいいのだと,多くの人がバカボンのパパのような反応を示してしまうんだろうなぁと映画を観ながら思っていた天邪鬼な私である。

前作ではKelly McGillisがTom Cruiseの相手役だったが,私としては今回のJennifer Connellyのキャスティングはよかったと思う。いつまで経っても綺麗な人だなと思える女優である。ただ,ストーリーからすれば添え物的なキャラに過ぎないのは仕方ないとしても,50歳を過ぎても別嬪なのが嬉しかった。

ただ,やはりこの映画の売りは空中での戦闘機アクションな訳で,そういうシーンの連続を見ていると,実は無茶苦茶肩がこってしまった私であった(苦笑)。日経の映画評で春日太一がこの映画に星★★★★★を付けていたが,私はその見解には与しない。単純にファンという観点からすればそれでもよかろうが,純粋かつ冷静に一本の映画として見れば,あまりにも当たり前のプロダクションである。多くの人は満足して劇場を去るであろうことは否定しないが,そこまで高いレベルの映画か?と聞かれれば,私は「否」と答える(きっぱり)。もちろん楽しめる映画ではある。前作に続いてVal Kilmerを引っ張り出してくるのは泣かせるが,この映画は普通に楽しめるエンタテインメント映画というのが妥当だろう。

素晴らしきエンタテインメントとして星★★★★を付けることには躊躇はないが,やっぱり予定調和で全く驚きがないのはシナリオとしてどうなのよ?と思っている私である。現段階でIMDbで8.7のレーティングは明らかに過大評価だと思う。そうした中で,この映画における感動ポイントはVal Kilmerだと思う。詳しくはネタバレになるので書かないが,Val Kilmer絡みのスクリプト,"It’s Time to Let Go."とそれに付随するシーンは泣かせる。まさにこれが本当の「私の好きなシーンです。」(メフィラス風:爆)。

2022年6月 5日 (日)

Bobby Timmons:モダン・ジャズの一つの典型と言いたい。 #BobbyTimmons

_20220605"This Here Is Bobby Timmons" Bobby Timmons(Riverside)

当ブログにおいて,Bobby Timmonsのリーダー作は”Born to Be Blue!"を取り上げただけ(記事はこちら)で,それ以外はArt Blakey & Jazz Messengersとのアルバムがほとんどである。JMでの活動が華やかだっただけに,リーダーとしての活動は若干地味に映るのは仕方がない。

しかし,このアルバムを聞いていると,主題の通り,モダン・ジャズの一つの典型と言いたくなるような演奏で,これが聞いていて実にいいと思ってしまう。このアルバムでは"This Here","Moanin'","Dat There"というそれこそBobby Timmons三大オリジナル(笑)が含まれているところに,その他のスタンダードとの組み合わせが絶妙で,これぞピアノ・トリオの王道の一つと言いたくなる。やっぱりこの人の演奏は渋いが,本当に魅力的に響くと改めて思った私である。

このアルバムをレコーディングした当時,Bobby Timmonsはまだ24歳というのが信じられないような,渋くも成熟したピアノを聞かせるところも凄い。こういうのはやっぱりグラスを傾けながら聴きたくなってしまい,そうすると,ついつい酒量が増えるという罪作りなアルバム(笑)。星★★★★☆。結局,私が保有しているBobbby TimmonsのアルバムはRiversideレーベルの3枚だけだが,こういうBobby Timmons,あるいはこういう音が好きなのねってことである。いいねぇ。

Recorded on January 13 & 14

Personnel: Bobby Timmons(p),Sam Jones(b),Jimmy Cobb(ds)

2022年6月 4日 (土)

ようやく入手した山下トリオの”Up-To-Date”。

_20220603 ”Up-To-Date” 山下洋輔トリオ(Crown)

このCDを初めて見たのは,私がまだ町田に住んでいた時で,中古レコードのオスカーがまだ2店舗あった頃か,1店舗になった頃かよく覚えていないが,少なくとも10年以上前のことである。その時買っておけばよかったのだが,一回躊躇して,次の機会にオスカーに行ったら,既に売れていて失敗したと思ってしまった。町田のオスカーで同じような思いをしたのが,Dave HollandとMilcho Levievの"The Oracle"で,そっちもその後全く見たこともないって感じで,あれも惜しいことをしたと思っている。それ以来,中古盤で欲しいものを見かけたら,躊躇なく買うってスタンスではあるが,昨今はショップに行く機会も少ないので,ひたすらネット情報頼みだが...。

そんな私だが,山下トリオの方は,ようやく中古でゲットである。町田で見たのは2枚組だったが,今回入手したのは紙ジャケ1枚もの。実は一回在庫通知が来て,すかさずサイトにアクセスしたら,既に売れてしまっていたのが半年前ぐらいのことだったが,今度は通知からタイミングを逃さず,無事発注できたのだった。

演奏自体は,山下トリオらしい疾走感溢れる演奏で,うはうは状態なのだが,実はこのCD,ちょっと不思議なことがある。アナログの時代は2枚組でDisc 1のA面が山下~森山の「デュオ」,B面が「キアズマ」,Disc 2が2面に渡ってタイトル・トラックとなっているのだが,Disc 1の演奏は続けて行われているにもかかわらず,CDになっても「デュオ」で一旦フェード・アウトして,「キアズマ」でフェード・インしてくるのだ。タイトル・トラック"Up-To-Date"は連続して収録されているのに,なんで「デュオ」~「キアズマ」は連続で収録できなかったのか。謎である。

だからと言って,この演奏が悪いはずもなく,山下トリオの演奏に血沸き肉躍ってしまう私のようなリスナーには問題ない。それでもフェード・アウトはやっぱり気にいらないので,半星減点で星★★★★☆。このアルバムもなかなか入手が難しくなっているが,こういう演奏はもう少し楽に手に入るといいんだけどねぇ。やっぱりこの頃の山下トリオは強烈である。

高校生の頃は,山下洋輔の何がいいのかわからんと言っていた私がこうなってしまうんだから,人間変われば変わるものである(笑)。

Recorded Live at 新宿厚生年金会館小ホール on April 28, 1975

Personnel: 山下洋輔(p),坂田明(as, cl), 森山威男(ds)

2022年6月 3日 (金)

Steve Lacyは怖くない(笑)。

_20220602-2 "Morning Joy" Steve Lacy Four(Hatology)

Steve Lacyという人は,ソプラノ・サックス・ソロでアルバムを作ってしまうような人なので,何となく「取っつきにくい」という印象を与えてしまいそうな気がする。やっぱりフリーなんだよねって思われがちだし,実際にフリー的な演奏もできる人である。しかし,Steve Lacyという人はThelonious Monkの曲を演奏することが多いし,Gil Evansとの共演も豊富ということで,フリーの枠で捉えるにはもったいない人である。だが,そうは言ってもあまりジャズを聞いたことがない人にとっては,どうしても敷居が高いのは否めない。

だが,このアルバムでもそうだが,決してコンベンショナルとは言わないが,どちらかと言えばジャズの歴史に根差したような真っ当な演奏が収められていて,全然怖くないじゃん(笑)と思わせるアルバムなのだ。編成は2管+ベース+ドラムスというやっぱり変わった感じはするものの,出てくる演奏は極めて真っ当。パリのSunsetでのライブ音源を収めたこのアルバムは,Steve Lacyという人の比較的コンベンショナル側の演奏を収めたものである。私はSunsetの上にあるSunsideというクラブには行ったことがあるが,こういう演奏を聞いているとSunsetも行けばよかったなぁ...なんて思ってしまう。いずれにしても,もう少し早帰りをしてもらわないと,後始末が大変ではないですか?

ここでも全7曲やっているが,Monkの曲を3曲,その他がLacyオリジナルという構成だが,冒頭から"Epistorphy"だもんねぇ。それで掴みはOKだってなるわ。全7曲で76分を越える収録時間というのも凄いが,時間を感じさせない非常に緊張感に溢れた演奏を聞かせるクァルテットである。実によく出来たライブ・アルバムで,Steve Lacyという人に苦手意識がある人でも,間違いなく問題なく聞けると思えるアルバム。星★★★★。でもやっぱり一筋縄ではいかないが...。

Recorded Live at Sunset, Paris on February 19, 1986

Personnel: Steve Lacy(ss), Steve Potts(as, ss), Jean-Jacques Avenel(b), Oliver Jonson(ds)

2022年6月 2日 (木)

Buddy Richの彼我の評価の違いを感じさせるトリビュート作。キラ星のごときドラマー軍団集結! #BuddyRich

_20220531"Burning for Buddy: A Tribute to the Music of Buddy Rich" Various Artists (Atlantic)

日本においてジャズ・ドラマーと言えば,Art Blakey,Elvin Jones,Tony Williams,あるいはMax Roachあたりの人気,知名度が圧倒的ながら,Buddy Richについてはあまり注目されることがないというのが通常の感覚だろう。かく言う私もBuddy Richの参加作はほとんど保有していないはずだし,このブログでもBuddy Rich参加作は取り上げたことがない。これはBuddy Richがビッグバンドのリーダーとして活躍することが多かったり,所謂ジャズの名盤というところで名前を見る機会も少ないからではないかと思われる。まぁ,Blue Note,Prestige,RiversideのようなレーベルでBuddy Richの名前を観ることはないし,せいぜいVerveぐらいかって感じだろう。つまり日本人に受けるモダン・ジャズの世界とはちょっと違うところで活動してきたからってことになるだろう。

しかし,このトリビュート・アルバムに参加した,それこそキラ星のごときドラマーたちの名前を見れば,Buddy Richの本国における人気や影響力は推して知るべしってところであり,この違いを理解することは簡単ではない。

このアルバムは,Buddy Richバンドが有名ドラマーを迎えて演奏したトリビュート・アルバムという体裁となっているが,プロデュースはなんとRushのNeil Peartである。Neil PeartとBuddy Richがそもそも結びつかないが,このアルバムではジャズ界,ロック界からそれこそもの凄いドラマーたちが参加して,ハード・ドライビングにBuddy Richバンドを煽っているのだ。ロック界で言えばGuns N' RosesのMatt Sorum,更にはBill Brufordまでいる。ジャズ界でもDave Brubeck QuartetのJoe Morelloや,Ed Shaughnessyのような超ベテランまで参加して,どうやったら集められるの?って感じである。Ed Shaughnessyなんて,日本ではあまり知られていないと思うが,Doc SeverinsenがバンマスだったTongiht Show Bandで,長くドラマーを務めた人である。私がNYCに在住していた90年代初頭は,まだJohnny Carsonが現役で司会をしていた頃で,その頃はまだTonight Showで叩いていた人である。

冒頭の"Dancing Men"からして,Simon Phillipsが強烈なドラミングを聞かせるが,全編を通じてノリ重視の曲が並んでいて,身体が勝手に動き出すって感じなのだ。おそらくBuddy Rich本人が叩いていたとしても,こうした煽りを聞かせていたのだろうと思わせるが,とにかく"Burning"というタイトルがぴったりの,極めてエキサイティングな演奏群である。そうしたノリは楽しいが,75分近くに渡って聞かされると,お腹一杯って感じになるのは仕方ないところだが,久しぶりに聞いてもついつい身体が動いてしまった。そしてこの音楽はヴォリュームを上げたくなるそういう音楽であった。いやいや,それにしても凄いキャスティングである。繰り返しになるが,よくぞこれだけ集めた,集まったってところだろう。そんな中,Max Roachだけソロ・ドラムスの小曲2曲という別格扱い。いずれにしても,参加したドラマーも叩きたくなる曲が並んでいるってところだな。星★★★★。

Recorded in May 1994

Personnel: Simon Phillips(ds), Dave Weckl(ds), Steve Gadd(ds), Matt Sorum(ds), Steve Smith(ds), Neil Peart(ds, perc), Manu Katche(ds), Mino Cinelu(perc), Billy Cobham(ds), Max Roach(ds), Rod Morgenstein(ds), Kenny Aronoff(ds, perc), Omar Hakim(ds), Ed Shaughnessy(ds), Joe Morello(ds), Bill Bruford(ds), Marvin "Smitty" Smith(ds), Steve Ferrone(ds), Buddy Rich Big Band<Andy Fusco, Dave D'Angelo, Steve Marcus, Walt Weiskopf, Jack Stuckey(sax), John Mosca, Rick Trager, George Gesslein(tb), Dave Stahl, Ross Konikoff, Greg Gisbert, Scott Wendholt(tp), Chuck Burgeron(b), Jon Weking(p, key)> with Bob Millikan(tp), Craig Johnson(tp), Dan Collette(tp), Mike Ponella(tp), Joe Magnarelli(tp), Tony Kadleck(tp), Gary Keller(ts, fl), John Hart(g), Chuck Loeb(g), Bill Beaudoin(g)

2022年6月 1日 (水)

Albert Aylerに続く今年の発掘の目玉の一つ:Rolling StonesのEl Mocamboライブ。 #RollingStones #ElMocambo1977

El-mocambo"El Mocambo 1977" Rolling Stones(Polydor)

先日取り上げたAlbert Aylerの4枚組はもの凄いアルバムであった。実はそれと同等に期待していたのがこのRolling Stonesのアルバムである。

El MocamboのStonesのライブと言えば,あの2枚組アルバム"Love You Live"のアナログ1面のみを占めた4曲の元ネタである。アルバムを通してのバンドとしての勢いも素晴らしかったが,小さなライブ・ハウスでの演奏はほかの面と雰囲気が異なっているのが実に印象的だった。多くのリスナーがあのC面が好きなのだ(笑)。だからこそ,あの雰囲気の再現を期待するのが筋ってところである。

演奏としては全く文句のつけようがない。だが,Bob Clearmountainのミキシングは,いつものStonesのスタジアム・ロックみたいな雰囲気にしてしまったなぁという印象は否めない。世の中,そこを不満に感じるリスナーが多いというのも事実ではないかと思える。数少ないオーディエンスを前に演奏した「雰囲気」を再現してこそ,"El Mocambo 1977"のあるべき音ではなかったかと思うと,そこは少し残念である。

だが,この時の演奏は後の大規模ライブのリハーサルみたいなものだったはずだが,演奏の完成度は既に高く,バンドとしての充実度は明らかである。そもそもBilly Prestonがいるってのがいいよねぇ。"El Mocambo"だってことの意義を理解できなかったBob Clearmountainが減点材料となりつつも,演奏が最高なので星★★★★☆。もったいないねぇ。そして私は”Love You Live"に帰っていくってところか(苦笑)。

Recorded Live at El Mocambo on March 4 and 5, 1977

Personnel: Mick Jagger(vo, g, hca), Keith Richards(g, vo), Bill Wyman(b), Ronnie Wood(g, vo), Charlie Watts(ds), Ian Stewart(p), Billy Preston(key), Ollie Brown(perc)

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