Chick Coreaのピアノ・ソロによるスタンダード集を久々に聴いた。
"Solo Piano: Standards" Chick Corea(Stretch)
Chick Coreaが昨年亡くなったのはショッキングな出来事であった。以前にも書いたことがあるが,私は特に大学生の頃,Chick Coreaに入れ込んでいた時期があり,その後も全部買いはしないものの,比較的熱心に聞いてきたミュージシャンだったと思う。しかし,振り返ってみれば,Chick Coreaという人は結構多作な人で,ピアノ・ソロのアルバムもECMの"Piano Improvisation Vol.1"を皮切りに何枚も出ている。このアルバム"Piano Solo"にはPart 1としてオリジナルを演奏したものがあり,こちらはPart 2としてスタンダード(ジャズマン・オリジナルを含む)を演奏したもの。これを聴くのも実に久しぶりなことであったが,正直言ってこのアルバムは何回もプレイバックした記憶はない。
そもそもこの音源がライブであったことすら失念していたのだから,真っ当に聞いていないではないかと言われれば,返す言葉はない。しかも全13曲中,半数以上は日本におけるレコーディングだったのねぇなんて今頃気づいた私である(5曲が大阪,2曲が横浜)。しかし,"Standards"と言いながらThelonius Monkが5曲,更にBud Powellが2曲では,それをスタンダード集と呼ぶか?ってところには異論もあるのではないかと思うが,まぁChick CoreaにとってのStandardsということにすれば,それはそれでよいと思う。
しかしである。このアルバムを改めて聴いて思うのは,Chick Coreaならこれぐらいできて当たり前だよなぁという感覚である。フレージングはChick Coreaそのものだし,演奏の出来自体は保証できるレベルであることには間違いはない。ライブの場で聞いていれば,みんな感動してしまうだろうというものである。だが,これをCDという媒体で聴くと,驚きがないんだよなぁなんてついつい贅沢なことを考えてしまうのである。そうした感覚が評価の分かれ目っていうところになると思える。Chick Coreaぐらいのミュージシャンになると,並みのクォリティではリスナーが納得しないということも出てきてしまうのだ。こちらの要求も高くなるが,それに応えるのがビッグネーム,Chick Coreaに求められることなのだ。
ということで,このアルバムも水準はクリアしているが,敢えてアルバムとしてリリースする意義はあったのかというところが微妙なのだ。演奏の質を踏まえれば星★★★★ってところが妥当だとは思うが,半星引いても問題ないというところ。これを聞く前に聞くべきChick Coreaのアルバムはあるってことで,ファン向けの作品と言ってよいと思う。
Recorded Live at Various Venues in November, 1999
Personnel: Chick Corea(p)
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