買った経緯は全く覚えていないが,久しぶりに聞いたら凄くよかったPiotr Anderszewski。
"At Canegie Hall" Piotr Anderszewski(Virgin Classics)
私はクラシックのCDは特定のラックに収納しているのだが,並びについては,ほかのCDをアルファベット順に並べているのに比べると,全然セリがついていないというのが実態だ。そこそこプレイヤー別には並んでいるが,時としてバラつきがあって,例えばPeter Serkinなんかは現代音楽とそれ以外で場所が違っていたりして,一貫性がない。しかも,そんなにクラシックのCDをプレイバックする訳でもない。そのため,こんなCD持っていたか?なんてのは結構よくある話なのだ。
このCDもラックを見ていて,そう言えばこんなのも持っていたなって感じで取り出したアルバムなのだが,どうして私がこのCDを買う気になったのかは全く記憶にない。おそらくはショップのポップにつられて買ったものと思うが,買ったとすれば,今はなくなってしまった銀座のHMVあたりだったかもしれない。そして,このクラシックらしからぬジャケットのポートレートには,さすがVirginレーベルと思ってしまうが,逆にプレイバックへの警戒感が高まってしまう(笑)。そんな事情はさておき,このアルバムを聞くのも実に久しぶりのこととなったのだが,冒頭のバッハの「パルティータ2番」からして,おぉっ,こんなにいい演奏だったのか!なんて思っているのだから,私もいい加減なものだ。聴衆の熱狂のピークはベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ31番」でピークに達するとしても,そこにはこの時のPiotr Anderszewskiのプログラム構成の妙があったと言えるかもしれない。
冒頭のバッハに続くのがシューマンの「ウイーンの謝肉祭の道化」,CD2(当日の演奏会の2部)はヤナーチェクの「霧のなか」,そしてベートーヴェンの31番,アンコールがバルトークの「チーク地方の3つのハンガリー民謡」という構成だが,アンコールを除けば,15分~22分という曲が並んでいる。私が思うに,リサイタルの第一部はどちらかと言えば,手慣らしのような感じから始まり,第二部メインとするって感じだと思うのだが,Piotr Anderszewskiは敢えて最初から最後まで集中力を必要とするような構成を取ったように思えるのだ。もちろん,当日のメインはベートーヴェンだったとしても,その他の3曲には全く遜色がない出来で,冒頭の「パルティータ」から私を惹きつけ,2枚組CDを一気に聞かせてしまうのだから,実に大したものだと思ってしまった。バッハに留まらず,シューマンも,ヤナーチェクも,ベートーヴェンのどれもが聴きどころと思えるこの集中力と演奏能力は見事であった。
このCDを聴きながら,改めて手持ちのCDはちゃんと聴かなきゃいかんねと反省したのであった。反省も込めて星★★★★★。
Recorded Live at the Carnegie Hall on December 3, 2008
Personnel: Piotr Anderszewski(p)
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