ようやく聴いた”Sunbird”。あくまでもGordon Beckがリーダーよ(笑)。
ある程度の年齢層以上であれば,このジャケは見たことがあるって感じではないか。私もこのジャケはずっと知っていたし,音は昔ジャズ喫茶で聞いたことがあるかもしれない。それが長年,特にCDは結構入手が難しい状態が続いていたが,昨年,突然日本で紙ジャケ再発されたものである。入手してから結構な時間は経過しているが,今更ながらの記事アップとなった。
このアルバムの「不幸」は,ジャケも誰がどう見たってGordon Beckのアルバムであるにもかかわらず,再発盤の帯もそうだが,あたかもAllan Holdsworthのアルバムのような扱いを受けていることだ。しかし,収録されている5曲は全てGordon Beckのオリジナルであり,あくまでもリーダーはGordon Beckなのだ。Allan Holdsworthを前面に出したいのは,セールスを考えればわからないでもない。しかし,ファンはそんなつまらない手だてを使わなくたって,Gordon BeckのアルバムでAllan Holdsworthが活躍したアルバムであることぐらいわかっている。しかも税込み¥3,457というプライシングは,ほぼ自主製作盤的なかたちでリリースしたとしても,明らかに市井のファンからは反感を買うレベルだろう。
そうしたレーベルの強欲ぶりはさておき,このアルバムはストレートなセッティングにおけるストレートなAllan Holdsworthが聞けるということでは貴重だと思う。私の感覚では,いかなる演奏においても,Allan Holdsworthのピッキングというのは意識したことがないというのが正直なところで,全部レガートで演奏するっていう感じである。ところが,このアルバムにおける演奏では,レガート感は希薄で,ちゃんとピッキングしている感じが捉えられているところが珍しいと思えた。
そして,かなりストレート・アヘッドな感覚の音楽であり,こういうAllan Holdsworthもいいねぇと思ってしまう。もちろん,リーダー,Gordon Beckのオリジナルがあってこそであり,しかもそれを支えるリズムはJean-François Jenny-ClarkとAldo Romanoなのだから,これは強力である。これはあくまでもGordon Beckのアルバムでありながら,そうした強力なメンツで録音されたことに意義があるのであって,Allan Holdsworthだけにフォーカスすべきものではないと思う。
一番の聞きものは,組曲形式で演じられる"Flight"ではあるが,フュージョン的なものからフリー的なものまで,様々なフォーマットをこなしてしまうレベルの高い演奏を楽しめばいいものである。繰り返すが,このアルバムはAllan Holdsworthだけに気を取られていると,その優れた本質を見逃すと言っておこう。星★★★★。まぁ,それでもAllan Holdsworthがヴァイオリンを弾いているのにはびっくりしたが(笑)。
Recorded in June and July, 1979
Personnel: Gordon Beck(p, el-p), Allan Holdsworth(g, vln), Jean-François Jenny-Clark(b), Aldo Romano(ds, perc)
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