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2022年5月16日 (月)

これも無駄遣いと言えば無駄遣い:Patti SmithのRecord Store Dayに出たベスト盤。 #PattiSmith

Patti-smith-curated-by-rsd "Curated by Record Store Day" Patti Smith(Arista)

恒例となったイベント,今年のRecord Store Day(RSD)においてリリースされたPatti Smithのベスト盤(アナログ2枚組)である。私はPatti Smith教の信者として,彼女の公式アルバムはベスト盤"Land"を含めて全て保有しているのだから,敢えてこのアルバムを買わなくたって,ここに収められた音楽は聞ける。つまり,普通の人から言わせれば,無駄遣いってことになる。

ではなぜ私がこのアルバムを購入に至ったかと言えば,それは偏にこのジャケットにある。場末のレコード・ショップらしきところで,Patti Smith様が抱えているのは"A Love Supreme"ではないか。くぅ~,これほど雰囲気のある写真があるか!ってことで,このジャケット欲しさにアルバムを買っているのだから,アホと言われれば返す言葉はない。しかし,いいのだ。ファンとはそういうものだ。私はファンというレベルを越えた信者なのだから,これが本当のお布施のようなものである(爆)。

収録された21曲はどれもが馴染みのあるものだが,なぜ"Cureted by Record Store Day"と題されているかと言えば,選曲したのがRSDの共同創設者,Michael Kurtzだから。偏にRSDへのPatti Smithの賛同の意思が感じられるアルバム。ここに収められた曲を聴いて改めて痺れてしまった私であった。

2022年5月15日 (日)

"Eye in the Sky"からこの"Ammonia Avenue"あたりがAlan Parsons Projectの最盛期か。 #AlanParsonsProject

_20220510_20220511182901 "Ammonia Avenue" Alan Parsons Project(Arista)

私はAlan Parsons Projectの最高傑作は”Eye in the Sky"だと信じて疑わない人間だが,今回,彼らのボックスからその次作となる"Ammonia Avenue"を改めて聴いた。そこで思ったのは,"Eye in the Sky"に聞かれる劇的な要素は薄いものの,曲のクォリティは実に高いということであった。

Alan Parsons Projectのアルバムにおいては,複数のリード・ヴォーカリストが存在するというのが通常であり,本作もその通りだが,私はその中でEric Woolfsonの声にずっと痺れているところもあり,Eric Woolfsonが歌う曲のクォリティが私の心象に大きく影響する。本作において,Eric Woolfsonがリード・ヴォーカルを務めるのは"Prime Time","One Good Reason","Don’t Answer Me",そしてタイトル・トラック"Ammonia Avenue"の4曲だが,どれもが実に魅力的に響いてしまうところの訴求力が高いのだ。

そんなアルバムなのだが,絶対このアルバムが損をしていると思うのはこのジャケットだと思う。これがもう少しスタイリッシュなものであれば,更に売れたはずだと言いたくなるが,それでもこのアルバムに収められた曲の魅力は不変で,Alan ParsonsとEric Woolfsonの曲作りが"Eye in the Sky"と本作でピークに達したと思えるのだ。まぁ,"Ammonia Avenue"なんかは"Old And Wise"の焼き直しではないかと言われれば,そう聞こえないこともない。だが,やはり私にとっては,こういう曲でアルバムを締めるというのが予定調和と言われようが,心地よいのだ。

Eric Woolfsonがリード・ヴォーカルを取り始めるのは"The Turn of a Frinedly Card"からなので,ついつい私の場合,それ以降のアルバムに手が伸びてしまうのだが,なぜか"Stereotomy"にはリード・ヴォーカル曲がない。最終作"Gaudi"でまた復活するが,やっぱり私は"Eye in the Sky"とこのアルバムが好きなんだなっていうのを改めて感じた次第。星★★★★☆。

Personnel: Alan Parsons(Fairlight, g, Lynn-ds), Eric Woolfson(vo, p, el-p, key), Lenny Zakatek(vo), Chris Rainbow(vo, key), Colin Blunstone(vo), Ian Bairnson(g), David Paton(b, g), Stuart Elliot(ds, perc), Mel Collins(sax), Andrew Powell(arr)

2022年5月14日 (土)

GW中にストリーミングで観た映画(4):「Vフォー・ヴェンデッタ」

V-for-vendetta 「Vフォー・ヴェンデッタ("V for Vendetta")」(’05,米/英/独,Warner Brothers) 

監督:James McTeigue

出演:Hugo Weaving, Natalie Portman, Stephen Rea, Stephen Fry, John Hurt, Tim Piggot-Smith

GW中にストリーミングで観た映画もこれが最後である。この映画,私は以前見たことがあるように思っていたのだが,Natalie Portmanの短髪だけの印象だけがあって,ほかのストーリーとかは全く記憶になく,どうもそれは勘違いだったようだ。原作はDC Comicsなので,話は荒唐無稽になることは必定なのだが,この映画のポイントは「マトリックス」シリーズのWachowski兄弟(今は姉妹になっている)がシナリオを書いていることだろう。

しかし,私はこの映画を観ていて,今回思ったのはJohn Hurtが演じる独裁者Adam Sutlerが,現在のウラジミール・プーチンに重なって思えてしまったことだろうか。ウクライナの戦乱においても化学兵器の使用が懸念されるが,この映画の主人公,Vは生体実験の犠牲者のようなもので,その壮大な復讐劇がこの映画のテーマとなっているが,そういうストーリーの背景を観ていると,どうしても現在のウクライナ情勢とオーバーラップしてしまうという部分があった。

そういう部分を除けば,上述の通り,壮大な復讐劇であるが,そんなことありえないだろうってところが,さすが原作がDC Comicsってところではある。とにかく主人公Vが強過ぎってところもあるし,アナーキズム礼賛みたいな部分は問題視されるところだろう。また,シナリオには穴も多々あるのは仕方ない。よくよく考えれば,相当陰惨なストーリーではあるが,それをそこそこ面白く見せたというのは評価してもよいと思う。そうした評価は,やはり今のウクライナ情勢との重なりが大きかったかなと思いつつ,半星オマケで星★★★★としよう。

2022年5月13日 (金)

Wes MontgomeryのCTIに先立ってのイージーリスニング路線。 #WesMontgomery

_20220507-2"California Dreaming" Wes Montgomery(Verve)

Wes Montgomeryのイージーリスニング路線と言えば,CTIの3作ってことになると思うが,それに先立って,Verveレーベルの時代からそういう路線は始まっていた。それをよしとするか否かは人それぞれであるが,私にとってのWes Montgomeryは"Full House"ってことになるので,こういう路線のアルバムはそれほど保有していないし,積極的にプレイバックするという訳でもない。それでもたまに取り出してみたくなるのがWesのWesたる所以である。

冒頭からThe Mamas & the Papasの"California Dreaming"を超ポップな感じで演奏して,ここから「う~む」となってしまうのだが,ほかの曲と比べても,この1曲が飛びぬけて浮いているというのが正直なところである。それでも,やはり"Full House"の世界とは落差はあまりにも大きい。まぁ,そういう音楽だと思って聞けばいいのだが,ジャズの世界から乖離していくWes Montgomeryを当時のリスナーはどう見ていたのだろうと思ってしまう。ジャズ・ファンに留まらないより幅広いオーディエンスに訴求するにはよかっただろうが,やっぱりゆるいよなぁ。同じ"Sunny"でもPat Martinoが弾くのとえらい違いやんけ!と言いたくなるのも事実。しかし,"Sunny"の2ヴァージョンは結構違いが感じられるのは面白かったりするのだが。

Wes Montgomeryのオリジナル,"Sun Down"や"Mr. Walker"ではジャズっぽさが多少は濃くなるが,それでもそれだけでは満足できないのが当たり前だろう。最後の"South of the Border"のイントロでまたずっこけさせてくれるし(笑)。Wesのオクターブ奏法等の技は楽しめるとは言え,星★★★が精一杯ってところだろう。私からすれば,このアルバムにパーカッションが要る?って感じだし,やっぱりタイトル・トラックが浮き過ぎだなぁ。

Recorded on September 14,15 & 16,1966

Personnel: Wes Montgomery(g), Don Sebesky(arr, cond), Mel Davis(tp), Bernie Glow(tp), James Nottingham(tp), Wayne Andre(tb), John Messner(tb), Bill Watrous(tb), Don Butterfield(tuba), Ray Beckenstein(as, fl, piccolo), Stan Webb(as, bs, eng-h, cl), James Buffington(fr-h), Herbie Hancock(p), Richard Davis(b), Grady Tate(ds), Ray Barretto(perc)

2022年5月12日 (木)

久しぶりに聞いたR&B/ソウル・シンガーによるEW&Fトリビュート。 #EarthWind&Fire

_20220507 "Interpretations: Celebrating the Music of Earth, Wind & Fire" Various Artists (Stax)

2007年にリリースされたこのコンピレーションを,今までどの程度プレイバックしたか全然記憶にない(爆)が,気まぐれで取り出してみた。本作の制作には今は亡きMaurice Whiteも関わっているが,今にして思えば,なかなかの歌手陣が揃っている。

冒頭のChaka Khanの"Shining Star"から余裕のブチかましモードであるが,これぐらいの歌手が揃って,EW&Fの曲を歌えば,それなりのクォリティになるのが当たり前だなって感じの出来である。

私としては,Chaka Khanはもとより,Angie Stone,Ledisi,Lalah Hathaway,更にはMeshell Ndegeocello等の女性シンガーに馴染みがあるので,どうしてもそっち中心の聞き方になってしまうが,私は昔のソウル・アルバムはさておき,近年のこの手の音楽には女性指向が強いのが明らかになる。ここでの歌唱についても,女性陣の歌いっぷりの方がしっくりくるのだ。まぁ,ここに参加の男性陣のアルバムは聞いたことがないのだから,まぁそれは当然と言えば当然だが,結局このアルバムを買ったのも女性陣に惹かれてのことであったということになる。それにしてもMeshell Ndegeocelloの"Fantasy"は彼女なりのやり方が出ていて,やっぱりこの人は違うわと思わせる。

一方の男性陣の方では,一番つまらないと思えるのがKirk Franklinの"September"か。曲が曲だけにやりにくいところもあったろうが,Meshell Ndegeocelloと比べてしまうと,これが何とも凡庸な出来に聞こえてしまう。コンピレーションゆえに,曲ごとに出来,不出来があるのは仕方ないとしても,この曲についてはもう少しやりようがあったのではないかって感じである。これに比べれば,Dweleの"That’s the Way of the World"なんて,オリジナルへのリスペクトを感じさせつつ,バックのリズムの強化具合で個性を出している気がする。Mint Conditionの"After the Love Is Gone"なんてオリジナルにかなり近い感じながら,歌唱力で勝負みたいなこういう感じはむしろ私には受け入れやすい。

まぁ,いろいろ文句をつけようと思えばいくらでも言えるが,EW&Fにはいい曲が揃っていたなってことは認識できる。星★★★☆。私はEW&Fのアルバムは"All 'n' All"しか持っていないが,そのほかに3枚組ボックスの"The Eternal Dance"があるので,それを聞いて彼らの音楽に改めて触れてみることとしよう。

尚,コンピレーションゆえ,演奏者多数につき,詳細のPersonnelは省略。

Personnel: Chaka Khan, Angie Stone, Kirk Franklin, Ledisi, The Randy Watson Experience Featuring Bilal, Lalah Hatherway, Dwele, Mint Condition, Musiq Soulchild, Meshell Ndegeocello

2022年5月11日 (水)

Santanaは好きなんだが,何回聞いてもピンとこない”Viva Santana!”。 #Santana

Viva-santana"Viva Santana!" Santana (Columbia)

私の記憶によれば,このアルバムを購入したのは,私がまだ町田に在住していた頃のレコファンにおいてであったと思う。当然中古であったはずだが,かなりの安値(2枚組だが500円ぐらい)で入手したように記憶している。それ以来,結構な時間が経過しているが,何度聞いてもこのアルバムはピンとこないのだ。今回,久しぶりに聞いてみて,その原因を考えてみた。

私は結構Santanaが好きな方だと思う。アルバムだって結構保有している。前にも書いたかもしれないが,一番好きなのは"Caravansarai"ではあるが,特に初期のアルバムの方に惹かれるというのは事実である。でも"Moonflower"とかも結構好きだったりする。だからと言って,昨今のアルバムはストリーミングで済ませるというのが通常という,それぐらいの好きさ加減だと思ってもらえばよい。

このアルバムはバンドとしての活動が20年という節目を迎え,それまでの活動を回顧するという一種の企画アルバムなのだが,未発表音源やライブ音源,あるいはリマスター音源などが入っているのはいいのだが,80年代の低迷期の音源も入っていて,なんでそれが低迷期だったのかというのは売れ筋の音を模索したかのような音源から明らかになる。ある意味,Santanaらしさの欠如ってところか。また,このアルバムに入っている80年代のライブ音源は,音自体はSantanaでも,軽さを感じさせてしまうように思えるのだ。私が感じるピンと来ない感じ,あるいは違和感と言ってもよいかもしれないが,それは80年代の演奏におけるヘヴィーさが足りないというところに今回行きついた。

確かに未発表音源が多いので,聞きたくなるファンがいても不思議はない。しかし,これを聞くなら,Santanaの過去のアルバムを聞く方がずっとましなのだ。ということで,やっぱりこのアルバムは趣旨は分かるが,編集方針,あるいはパフォーマンスの選定が失敗だったと思う。星★★☆。"Lotus"でも聞いて口直しが必要だな(笑)。

2022年5月10日 (火)

GW中にストリーミングで観た映画(3):「プレステージ」

Prestige 「プレステージ("The Prestige")」(’06,米/英,Touchstone/Warner Brothers)

監督:Christopher Nolan

出演:Hugh Jackman,Christian Bale,Michael Cain,Scarlett Johansson,Rebecca Hall, David Bowie,Andy Serkis

GW中にストリーミングで観た3本目はこれまたChristopher Nolanの映画であるが,これも観るのも初めて。二人のマジシャンの異常なまでのライバル心が生む大どんでん返しストーリーと言うべきか。相変わらず,Christopher Nolanらしい時間軸を交差させながら描かれるストーリーであるが,謎は仕込んであるとは言え,この前に観た「メメント」よりはわかり易い。それでも普通の映画に比べれば,「あれは何だったのか」と思わせるシーンが出てくるところが,やはりChristopher Nolanの映画だと思わせる。

「バットマン・ビギンズ」に続いてのChristian Bale,Michael Cainの登板だが,そこにHugh JackmanやScarlett Johanssonが加わり,それだけ見ればバットマン対X-Men対アべンジャーズのようなキャスティングであるが,ここは19世紀後半を舞台にしたコスチューム・プレイのようなものなので,派手なアクション映画ではない。むしろ,マジック(今で言えばイリュージョンか)にややSFチックなストーリーを加えたところが実にユニークな映画である。そして,そのSFチックな設定に重要な役割を果たす役で出てくるのがDavid Bowieなのには,びっくりしてしまった。

ストーリーを語れば,その瞬間ネタバレ必至という恐ろしいシナリオであるが,そういう驚きも感じながら本作も実に面白く観てしまった。結局のところ,私はChristopher Nolanの映画が好きなんだってことを改めて感じさせる一作。さすがにこのシナリオはやり過ぎではないのかと思わせる部分もあるのも事実だが,それでもついつい許してしまうのだ。星も甘くなり星★★★★☆。

2022年5月 9日 (月)

’69-’74のFleetwood Macボックスから今日は未発表ライブ音源を。 #FleetwoodMac #BobWelch #ChritineMcVie

_20220504-3 "Live from Record Plant" Fleetwood Mac(Reprise)

先日このブログにアップした,Fleetwood Macの1969年~74年のアルバムを集成した8枚組ボックスの8枚目がこの未発表ライブ音源である。現地のFM局,KSANのために録音されたスタジオ・ライブ音源であるが,聴衆は入れていたとしてもごく少数のようだ。この音源が注目に値すると思うのは,Bob Welch,Christine McVie,John McVie,Mick FleetwoodにBobby Huntのキーボードという編成でどういう音を出していたのかという点に尽きる。

全11トラック中,3トラック(1曲は"Black Magic Woman"と"Oh Well"のメドレーなので,全4曲)はPeter Greenの作品であるが,そのほかはBob Welchの曲が5曲,Christine McVieの曲が3曲という構成である。冒頭の"The Green Manalishi (with the Two Prong Crown)"からソリッドなロック・サウンドが飛び出すが,その後はロックとポップがうまい具合にブレンドした感覚を与えるパフォーマンスになっている。この時期のバンドは2ギターが基本だっただけに,この編成ではBob Welchのギターの活躍度が高いのも特徴。この人のギターはテクニックがどうのこうのという感じのものではないが,ソロもバッキングもいい感じの音を出している。エフェクターの利用も最小限って感じで,結構素のギター音が聞けるってところで,だからこそ実力がもろに出てしまうところはあるが,これぐらい弾いてくれれば十分って感じである。

まぁライブ音源ゆえに精緻な音とかを求めてはいけないが,この音源はこの当時のバンドがリアルにはどういう演奏をしていたかを知るのが重要というドキュメントだと思えばいいのである。Christine McVieよりはBob Welchの露出が目立つが,私はBob Welchも好きなので,全然問題なし。だが,Bob Welchの曲とChristine McVieの曲には結構落差があって,そこも面白い。とは言え,このメンツで"Black Magic Woman"をやってしまうのが一番興味深かったりして(笑)。

Recorded Live at the Record Plant on December 15, 1974

Personnel: Bob Welch(vo, g), Christine McVie(vo, key), John McVie(b), Mick Fleetwood(ds) with Bobby Hunt(org, key, synth)

2022年5月 8日 (日)

GW中にストリーミングで観た映画(2):「メメント」

Memento_20220501145101 「メメント ("Memento")」(’00,米)

監督:Christopher Nolan

出演:Guy Pearce, Carrie-Anne Moss, Joe Pantoliano, Mark Boon Junior, Stephen Tobolowsky, Harriet Sansom Harris

時間の流れを映像の中で描く技術に冴えを見せるChristopher Nolanであるが,私にとって初見となった2000年の本作から,もはやChristopher Nolanらしさ炸裂って感じである。この映画は基本的に逆時系列でストーリーが展開されるので,Christopher Nolanのほかの作品同様,一回観ただけでその本質を理解するのは難しいと思える。「インセプション」然り,「インターステラー」然り,「テネット」然りである。比較的わかり易い「ダンケルク」だって,時間軸の描き方はかなり複雑だった。そうした要素が既にこの段階で出ていたってことに今更のように気がつく私である。

そして,結局は現実はどうだったのよ?って考えてしまうところもChristopher Nolanらしいと思いつつ,誰が善で,誰が悪なのかも戸惑わせるシナリオ自体もかなり強烈としか言いようがない。Guy Pearce演じるLeonardが記憶が短時間しか持たないことにより,ストーリーが複雑化する中で,結局こいつってかなりひどい奴だったんだなぁなんて思わせる仕掛けもあって,リアリティの世界はどこにあるのかが謎になってしまうというかなり難しい映画である。

なので,ほかのChristopher Nolanの映画同様,もう1回観てみようと思わせるに十分な作品で,ある意味ビジネスとしては非常に上手いってことになるのだが,正直言って,1回観ただけでは「えっ?えっ?えっ?」って感じになること必定の映画。でもこれはエンタテインメント性もありながら,なかなかユニークな映画として評価すべき映画であり,好きな人はどっぷりはまり,そうでもない人は1回で諦めるという感じの作品と言ってよいだろうが,私は前者だな。星★★★★☆。結局のところ,Christopher Nolanはこの当時からChristopher Nolanであったという当たり前の結論になってしまうのだが,いずれにしてもこれは強烈な映画であった。もう1回観ようっと(笑)。ってことで,Christopher Nolanの術中にはまる私である。

2022年5月 7日 (土)

Miles Davisの歌心:”Miles Ahead”のモノラル・ヴァージョンを聞く。

_20220504"Miles Ahead" Miles Davis(Columbia)

先日,Gil Evansとのカーネギー・ホールにおける共演盤を取り上げたばかりだが,実のところ,私が最も好きなGil Evansとの共演盤はこのアルバムである。今や,Columbiaのコンプリート・ボックスの一枚として保有しているこのアルバムであるが,元のモノラル音源とはヴァージョンが違う。更にジャケットもオリジナル(上)とボックス所収のその後のヴァージョン(下)では全く異なるということもあり,無駄遣いとは思いつつ,モノラル・ヴァージョンのCDを改めて入手した。よくよく考えてみれば,全然聞いていないが,MilesとGil Evansのボックスだって保有しているのだから,何やってんだかというところである。だが,ボックスって持っていても聞かないんだよなぁってのが正直なところなのだ。今回の場合,廉価盤だったから言い訳も成り立つが,こういうことをやっているから,CDの枚数だけが増えていく。どうせならアナログのオリジナルを買えよと思いつつ,そこまでの気力と財力がない(苦笑)。

_20220504-2 それはさておきである。主題の通り,ここでのMiles Davisの歌心が実に素晴らしい。フリューゲル・ホーンの丸みを帯びた音が,Gil Evansのアレンジメントに乗っかり,見事な調和ぶりを示すとともに,Miles Davisのメロディストぶりを十二分に感じさせる。まぁ,このアルバム,Prestigeから大枚はたいて引き抜いたたMiles Davisを,プロデューサーのGeorge Avakianがより幅広いオーディエンスに訴求し,コスト回収すべく(笑)制作し たということもあるかもしれないが,アルバムとしては非常に聞き易い音楽だと言ってよい。Milesのトランぺッターとしての技量を疑問視する声もあるが,そんなことは言うだけ野暮ってのを強く感じてしまった私である。所謂典型的モダン・ジャズから離れたフォーマットでも,一流のアルバムに仕立ててしまうMiles Davisは実に優れたラッパ吹きだったということは明らかなのだ。こんな歌心に満ちたアルバムを聞かされては星★★★★★しかない。

改めて本盤を聴いて,つくづく私はMiles DavisとGil Evansとの共演盤ってプレイバックする頻度が低いと感じているが,ちゃんと聞き直さないといかんなぁってところである。次は"Porgy And Bess"だな(笑)。

尚,全くの余談ながら,私から言わせれば,ここでの音楽にフィットしているジャケは,Milesが何と言おうが上のジャケである(きっぱり)。Wynton Kellyはリハーサルだけの参加で,このモノラル音源には入っていない可能性もあるが,ご参考。

Recorded on May 6, 10, 23 & 27, 1957

Personnel: Miles Davis(fl-h), Gil Evans(arr, cond), Ernie Royal(tp), Bernie Glow(tp), Louis Mucci(tp), Taft Jordan(tp), Johnny Carisi(tp), Frank Rehak(tb), Jimmy Cleveland(tb), Joe Bonnet(tb), Tom Mitchell(b-tb), Willie Ruff(fr-h), Tony Miranda(fr-h), Jimmy Buffington(fr-h), Bill Barber(tuba), Romeo Penque(fl, cl, b-cl, oboe), Sid Cooper(fl, cl), Eddie Caine(fl, cl), Lee Konitz(as), Danny Bank(b-cl), Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Arthur Taylor(ds) 

2022年5月 6日 (金)

GW中にストリーミングで観た映画(1):「ザ・シークレット・サービス」

In-the-line-of-fire「ザ・シークレット・サービス("In the Line of Fire")」('93,米,Columbia)

監督:Wolfgang Petersen

出演:Clint Eastwood, John Malkovich, Rene Russo, Dylan McDermott, Gary Coyle

思い起こせば,去年のGWはコロナ禍のせいもあって,家で映画を見まくっていた私である。昨年の記事を見てみると,何と18本も家で映画を観ている。それに比べれば,今年はワクチン接種も3回したし,コロナ禍も去年ほどではなかろうということで,ゴルフばっかりしているって感じだったのだが,それでも毎日ゴルフって訳ではないので,何本か映画も観た。その一本目がこの映画である。実はこの映画は初見であった。30年近く前の映画ではあるが,老境に差し掛かりつつある役柄とは言え,Clint Eastwood自らアクションに取り組んでいる(と言っても,それほどド派手なアクションではない)。

詳しく書くとネタバレになってしまうので控えるが,この映画はJFK暗殺を防げなかった過去を持つシークレット・サービス役のClint Eastwoodが,新たな大統領暗殺計画に立ち向かうというもの。この映画,シナリオ的にはちょっと厳しいところもあるものの,相応に見られる映画になったのは偏に悪役,John Malkovichゆえである。悪役の造形がよくできていると,こちらの思い入れにも影響する部分はあるだろうし,ここでのJohn Malkovichのえげつなさが際立っている。こういう狂気すら感じさせる癖のある役を演じさせるとまじではまっている。所謂性格俳優ってやつだなと思ってしまった。

シナリオとして難があるのは,John Malkovichの行動がいくら何でもそこまでできる?みたいなところある点だと思うが,警備をしながら走って息が上がるのをClint Eastwoodが演じるのが,時代の流れを感じさせる。まぁ,この段階でEastwoodは既に還暦を過ぎているんだから,当然と言えば当然の描き方なのだが,それでもまだまだ「しゅっとした感じ」(笑)は保っていて,カッコよさは不変であった。

まぁ,このストーリーなら,もう少し尺を短くできそうなものだが,そこそこ面白く観られたからよしとしよう。ちょい甘めの星★★★★ってところ。

2022年5月 5日 (木)

Christine McVieのソロのベスト盤が出ると知って,ついつい買ってしまったFleetwood Macの69-74年期の集成ボックス。

Fleetwood-mac-box ”1969 to 1974" Fleetwood Mac(Reprise)

RhinoからEメールが来て,Chirsitine McVieのソロ・アルバムからのベスト盤が"Songbird"の新録+未発表曲込みでリリースされると知って,私はカラー・ヴァイナルのアナログ盤を即発注してしまったのだが,そんなこんなでネットを見ていて,このボックスを見つけてしまったのであった。

私はFleetwood MacにおいてはChristine McVieのヴォーカルが一番好きなので,実はBuckingham~Nicks組が加入して大ブレイクする前の時期についても,関心はあったものの,これまで保有していたのは"Bare Trees"だけであった。そのアルバムはBob Welchが亡くなった時にも記事にしている(記事はこちら)が,実はBob Welchも結構好きな私としては,この二人が在籍していた時期のアルバムも含めて集成したボックスは実に興味深いものであった。この二人だけでなく,その前から在籍したDanny Kirwanだって気になる人だったのだから尚更である

そういうところに,このボックスは強い訴求力を持って私を刺激してきた。だって,値段は8枚組だが結構手頃,かつ新たに発掘されたChrisitine McVie入りの74年のスタジオ・ライブ音源が含まれている。それに加えて,69年の"Then Play on"から74年の"The Heroes Are Hard to Find"に至る7枚のスタジオ録音アルバムには,"Penguin"以外の6枚にボートラ入り,そして最新リマスターとあっては,Christine McVie参加は全部でない(6/8:但し,クレジットされていないだけで参加しているという話もある)としても,これは買わねばということで,即発注してしまった私である。

Fleetwood Macの黄金期(人気絶頂期)はBuckingham~Nicks組加入以降の"Fleetwood Mac(邦題は「ファンタスティック・マック」だったか?)"以降であることは間違いないところでも,Peter Greenがいた頃のブルーズ・バンドから転じて,ロック/ポップ色を加味していったこの時期のバンドだって十分に魅力的で,私のようなStevie Nicksをあまり得意としないリスナーにとっては,こっちの方がいいではないかとさえ思ってしまう。

一般に低迷期とか言われることの多いこの時期のFleetwood Macの音楽ではあるが,ゆっくりとこのボックスを聞いて,今一度Christine McVieの活動内容を知り,そして音楽を再評価したいと思う。まぁ,ブックレットはもう少し詳しい情報を載せてもいいんじゃないのって言いたくなるところはあるものの,ジャケの作りといい,優れた編集方針によって実によく出来たボックス・セットとなった。この時期のFleetwood Macについて,世の中同じように感じている人はいるのだなとつくづく思ってしまって嬉しくなった私である。それだけで星★★★★★。だったらもっと早く買えよ!って言われそうだが,おっしゃる通り(爆)。

2022年5月 4日 (水)

Chick Coreaのピアノ・ソロによるスタンダード集を久々に聴いた。

_20220430-2 "Solo Piano: Standards" Chick Corea(Stretch)

Chick Coreaが昨年亡くなったのはショッキングな出来事であった。以前にも書いたことがあるが,私は特に大学生の頃,Chick Coreaに入れ込んでいた時期があり,その後も全部買いはしないものの,比較的熱心に聞いてきたミュージシャンだったと思う。しかし,振り返ってみれば,Chick Coreaという人は結構多作な人で,ピアノ・ソロのアルバムもECMの"Piano Improvisation Vol.1"を皮切りに何枚も出ている。このアルバム"Piano Solo"にはPart 1としてオリジナルを演奏したものがあり,こちらはPart 2としてスタンダード(ジャズマン・オリジナルを含む)を演奏したもの。これを聴くのも実に久しぶりなことであったが,正直言ってこのアルバムは何回もプレイバックした記憶はない。

そもそもこの音源がライブであったことすら失念していたのだから,真っ当に聞いていないではないかと言われれば,返す言葉はない。しかも全13曲中,半数以上は日本におけるレコーディングだったのねぇなんて今頃気づいた私である(5曲が大阪,2曲が横浜)。しかし,"Standards"と言いながらThelonius Monkが5曲,更にBud Powellが2曲では,それをスタンダード集と呼ぶか?ってところには異論もあるのではないかと思うが,まぁChick CoreaにとってのStandardsということにすれば,それはそれでよいと思う。

しかしである。このアルバムを改めて聴いて思うのは,Chick Coreaならこれぐらいできて当たり前だよなぁという感覚である。フレージングはChick Coreaそのものだし,演奏の出来自体は保証できるレベルであることには間違いはない。ライブの場で聞いていれば,みんな感動してしまうだろうというものである。だが,これをCDという媒体で聴くと,驚きがないんだよなぁなんてついつい贅沢なことを考えてしまうのである。そうした感覚が評価の分かれ目っていうところになると思える。Chick Coreaぐらいのミュージシャンになると,並みのクォリティではリスナーが納得しないということも出てきてしまうのだ。こちらの要求も高くなるが,それに応えるのがビッグネーム,Chick Coreaに求められることなのだ。

ということで,このアルバムも水準はクリアしているが,敢えてアルバムとしてリリースする意義はあったのかというところが微妙なのだ。演奏の質を踏まえれば星★★★★ってところが妥当だとは思うが,半星引いても問題ないというところ。これを聞く前に聞くべきChick Coreaのアルバムはあるってことで,ファン向けの作品と言ってよいと思う。

Recorded Live at Various Venues in November, 1999

Personnel: Chick Corea(p)

2022年5月 3日 (火)

メジャーな人たちによるLeonard Cohen曲のカヴァー集。全体的にはいいんだけど,はっきり言ってBonoは奇を衒い過ぎ。

_20220430 "Tower of Song" Various Artists(A&M)

このアルバムが出たのはもう四半世紀以上前のことだし,Leonard Cohenが亡くなってから既に5年半以上経過している。つくづく時の流れは早いと思うが,久しぶりにこのアルバムを聞いてみた。

そもそもこのアルバムを買った頃の私にはLeonard Cohenへの思い入れはなかった頃だ。確かに「ブラックホークの99枚」に"The Best of Leonard Cohen"は入っていたし,そのアルバムは昔から聞いていた。しかし,Leonard Cohenの魅力に本当に気づいたのは"Live in London"を聞いてだったということになるかもしれない(記事はこちら)。

ではなぜこのアルバムを買ったかと言えば,冒頭に入っているDon Henleyが歌う"Everybody Knows"を,Don Henleyの当時のベスト・アルバム"Actual Miles"で聞いて気に入ったからだったように記憶している。そして,ここに参加するミュージシャンも結構豪華な人が揃っており,そういう要素もあっての購入だったように思う。

各々のミュージシャンによるそれぞれの歌唱はLeonard Cohenへのリスペクトと個性が出ていて楽しめる。そうした中でもLeonard Cohenの曲中でも比較的よく知られている"Hallelujah"をBonoが歌うというところには期待と注目が集まると言ってもよいだろう。ところが,これが全然よくない。こっちが期待するのはBonoによるストレートな歌唱だったが,出てくるのはプログラミングされたごときバックの音と,例の"Hallelujah"のコーラスの部分だけで,あとはボソボソつぶやいているのかというものしか出てこないのでは,明らかに奇を衒い過ぎ,あるいは策に溺れたとしか言いようがない。BonoにはBonoの表現方法があろうが,もっと真っ当なカヴァーの仕方があって然るべきだったというのが私の感覚である。

例えば,Billy Joelが歌った"Light as the Breeze"は,Leonard Cohen本人が,自分の歌唱よりいいぐらいだと言ったとか言わないという逸話があるのとBonoの歌唱は対照的であり,ほかのミュージシャンが比較的素直な表現をしているだけに,このBonoの取り組みの失敗はこのアルバムの印象を悪くしただけである。それもあって,ほかの曲にはほとんど文句はないのに星★★★★とせざるをえないのは全てBonoの責任である(きっぱり)。

Tower-of-songs 参加ミュージシャンは多数なので,Personnelは詳細は省略し,メインの歌手陣のみ記述。尚,このアルバムには別ヴァージョンのジャケット(→)もあるようだが,そっちの趣味は...って感じである。まぁ,元のジャケも大したことないが(爆)。また,タイトルとなっている"Tower of Song"が未収録なのはシャレとして考えておこう。

Personnel: Don Henley, Trisha Yearwoood, Sting with the Chieftains, Bono, Tori Amos, Aaron Neville, Elton John, Willie Nelson, Peter Gabriel, Billy Joel, Jann Arden, Suzanne Vega, Martin Gore

2022年5月 2日 (月)

ピアノ以外の現代音楽もってことで,今日はKremerによるWeinbergの無伴奏ヴァイオリン・ソロ。

_20220428-2 "Mieczysław Weinberg: Sonata for Vilolin Solo" Gidon Kremer(ECM New Series)

私は現代音楽と言えば,ほぼピアノ独奏のものを好んで聴いているのはこのブログの読者にはバレバレだと思うが,たまには違うのもってことで,今日は無伴奏ヴァイオリンである。無伴奏ヴァイオリンと言えば,私の場合,バッハかバルトークに決まっているってところだが,このMieczysław Weinbergという人は全く聞いたことがない。しかし,近年,この人の音楽をGidon Kremerが取り上げることが多いのはなんでやねん?という興味もあって聞いてみた。

結論から言えば,60~70年代に書かれた曲にしては,いかにも現代音楽みたいな小難しいところはなく,まぁバルトークを聞いているような雰囲気で接することができるって感じではないか。と言いつつ,最近,私もバルトークの無伴奏なんて久しく全然聞いていないから,印象でしか言えないのだが,現代性は感じさせつつもリスナーを拒絶する感じはない。なので,鑑賞音楽としても成立すれば,小音量で流していれば,アンビエントにもなりうる感じと言っては怒られるかもしれないが,そういう感覚なのだ。でも優しい曲ではないのは確かだ(きっぱり)。

このアルバムには3曲の無伴奏ソナタが収録されているが,これを聞いて,バッハよりも久しく聞いていないバルトークの無伴奏ソナタを聴きたくなったというのも事実で,音楽を聴くという視点からは,いずれにしても結構いい影響を与えてくれたと思う。

Gidon Kremerは近年,このMieczysław Weinbergの音楽にご執心のようであるが,75歳記念盤で出してくるところにも相応のこだわりがあるってことだろうし,演奏には相当の集中力を要しながら,敢えて出してくるところが凄いねぇと思ってしまう。そうした点も評価して星★★★★☆。

正直言ってしまえば,本作については音楽として評価できるほどちゃんと聞き込めていないが,私も現代音楽として聞くのはピアノだけでなく,もう少し幅を広げてもいいかなと思ってしまうところに,Manfred Eicherの術中にまんまとはまっている自分を感じざるをえない。いずれにしても,このアルバムも然りであるが,Eicherのセレクションは特殊にもかかわらず,どうしてはまってしまうのか?と言いたくなってしまった。

でもまずは父も好きだったバルトークを聞き直すことにしよう(笑)。

Recorded in July, 2013 and December, 2019

Personnel: Gidon Kremer(vln)

2022年5月 1日 (日)

ど渋!Taj MahalとRy Cooderのブルーズ・アルバム。これは実に嬉しい! #TajMahal #RyCooder

_20220428 "Get on Board" Taj Mahal & Ry Cooder(Nonesuch)

長年,私はRy Cooderの音楽に接してきたが,その幅広い音楽への目配りに感心する一方,なぜRy Cooderが好きだったのかと言えば,そのスライド・ギターの腕によるところが大きい。今やスライドと言えば,Derek Trucksって感じだが,Ry Cooderのスライドとはやや趣が異なると思う。例えばアコースティックでごつごつした感じの音を出すRy Cooderのスライドは,それはそれで一つのスタイルを確立していて,Derek Trucksと違った魅力がある。そのRy Cooderのスライドの魅力もこの新譜では強烈に表れているところが,私としては実に嬉しいのだ。

今回のアルバムのサブ・タイトルには"The Songs of Sonny Terry & Brownie McGhee"とある。不勉強にして,Sonny TerryとBrownie McGheeの音楽は私は聞いたことがない。彼らの音楽はピードモント・ブルーズというスタイルだそうだが,そもそもはギター・スタイルを言うらしい。こういう音楽に対するRy Cooderのギターやマンドリンのフィット感が半端ではないのに加え,Taj Mahalのハーモニカ,あるいはご両人のヴォーカルが超渋い。アメリカン・ロック好きの私としては,こういう音を出されるだけで全面的にOKなのだ。

しかもこの音楽にフィットした,意図的と思えるローファイなサウンドがまたいい感じなのである。Ry Cooderがライナーに書いている"We care enough to bring you the best. We're the old timers now."というセリフが象徴しているが,年齢を重ねたからこそできる音楽ってのもあるのだということを強く感じさせる素晴らしいブルーズ・アルバム。Taj Mahal,79歳,Ry Cooder,75歳。後期高齢者と言え,全然枯れてない。たまりまへん。当然星★★★★★だ。

Personnel: Taj Mahal(vo, hca, g, p), Ry Cooder(vo, g, mandolin, banjo), Joachim Cooder(ds, b), The Ton3s(vo)

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