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2022年4月26日 (火)

Matt Slocumの新作:水彩画のようなタッチと言うべきか。穏やかな気分にさせてくれる。

_20220424"With Love and Sadness" Matt Slocum(Sunnyside)

Matt Slocumの前作,"Sanctuary"はなかなかよく出来たピアノ・トリオによるアルバムであった(記事はこちら)。前作のピアノは最近新作をリリースしたGerald Claytonだったが,本作ではTaylor Eigstiに代わり,Walter Smith IIIがテナーで加わるという布陣である。ベースは引き続きLarry Grenadierであるから,これはなかなか期待できるメンツである。

そして,本作でも前作同様,趣味のよい音楽を聞かせてくれるが,これは決して「熱い」ジャズではない。私が受けた感覚は主題のように,水彩画とでも言いたくなるような淡さを感じさせるタッチと言えばいいだろうか。一言で言えば穏やかな音楽なのである。だが,その背後にあるテーマは結構深いものであり,差別を含めたネガティブな社会的な問題からの解放や変化という観点で,収められた7曲の組曲の中でマイナー・キーからメジャー・キーへ転換していくというものだ。それでも,最後の"America Revisited"はPat Methenyの"This Is Not America"にインスパイアされたものとある。"This Is Not America"がハリケーン・カトリーナによる被害に対する音楽的回答であったというMatt Slocumの理解に対して,その後のアメリカは進化したかどうかについては疑問を提示しているから,楽観的な視点で書かれてはいないということになるが...。だが,そうした背景を理解しなくても,純粋に音楽だけでも楽しめるものだと思える。ただ,Matt Slocumの心象を含み置けば,音楽に対する感覚も異なって来るとは思う。

更にMatt Slocumが本作でこだわったのはアナログによる制作であったとライナーにはある。そうした意味では本来はアナログLPでA面からB面への流れで聞いて欲しいというところなのだろう。

いずれにしても,Matt Slocum自体の日本における知名度はまだまだってところだろうが,本作にしろ,前作にしろ,更に注目されてよいアルバムであり,Matt Slocumは作曲能力も含めてなかなかの才人と思う。そうした意味も含めて,星★★★★☆としよう。

Recorded on June 30, 2021

Personnel: Matt Slocum(ds), Walter Smith III(ts), Taylor Eigsti(p, el-p), Larry Grenadier(b)

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コメント

閣下、リンクをありがとうございました。m(_ _)m

本当に、次から次に、素晴らしい才能の持ち主が現れますね。

色彩感豊かなメロディ・ラインが心地よく、インプロビゼーションもしっかり聴ける優れものです。
思慮深いドラムの彩りは、美しい抽象画を眺めるようだと思いました。
そうだ、水彩で描かれた抽象画です。笑

私のリンクも置いていきます。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2022/03/post-739e61.html

Suzuckさん,こんばんは。リンクありがとうございます。

>本当に、次から次に、素晴らしい才能の持ち主が現れますね。

はい。昨今のドラマーは本当に作曲能力もあって,超優秀な人材が多いですよねぇ。

>色彩感豊かなメロディ・ラインが心地よく、インプロビゼーションもしっかり聴ける優れものです。

おっしゃる通りです。こういう人はもっとメジャーにしなければいけませんね(笑)。Sunnysideはいいところに目をつけると思います。

>そうだ、水彩で描かれた抽象画です。笑

別に油彩でもいいんですけど,私には「淡い」感じが強かったので,水彩と書きました。ジャケのイメージだと確かに抽象ですね。

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