Tierney Suttonのジャズ心が素晴らしい。
"Unsung Heroes" Tierney Sutton(Telarc)
これは実にいいアルバムだ。以前,このブログでTierney SuttonがJoni Mitchellにトリビュートした"After Blue"を取り上げたことがある(記事はこちら)が,そこにはこのアルバムが行方不明みたいなことが書いてあるが,その後,ちゃんとラックに収まっていながら,ちゃんと聴くのは久しぶりのこととなった。そして,これが実にいいのだ。
Herb Wongがライナーにも書いているが,Tierney Suttonはヴォーカリストだけでなく,ジャズの楽器奏者の演奏を意識しながらヴォーカル・スタイルを作っているらしい。そして本作はそうした奏者にインスパイアされたことを示すために付いたタイトルだから"Unsung Heroes"な訳だ。その志やよしってところである。
ピアノのChristian Jacobを筆頭に,落ち着いた中にも見事な演奏を繰り広げる伴奏陣も素晴らしいが,何よりもTierney Suttonの歌いっぷりが魅力的。私はジャズ・ヴォーカルのよい聴き手ではないが,この人の声は妙な癖がなく,実に魅力的に響くのである。そして主題にあるようなジャズ心が強く感じられるのがBuddy Childersのラッパを伴った”Bernie’s Tune"だと思う。このスキャットを交えた歌いっぷりこそが,彼女の魅力ではないかと思ってしまう。また,"Joy Spring"を本人のアレンジで,ラッパとギターだけをバックにして歌ってしまうのもセンスがいい。更に2曲でGary Fosterをゲストに迎えるという人選も渋い。わかっているねぇって感じなのだ。"Spring Is Here"はKenny Barronのアレンジを採用したりしているところもぴったりはまっているところは,自分を活かす術を知っているという感じである。
選曲も一般的なジャズ・ヴォーカルよりも,奏者が採用しそうな曲が並んでいると言ってもいいかもしれないところが,このアルバムのポイントと言ってもよい。このアルバムを購入したのはもう20年以上前のことになるが,今聞いても全然魅力が失われていないのは大したものである。この普遍的な魅力はもっと知られてもよいと思う。放置していたことを反省して星★★★★★としてしまおう。だからと言って,私が保有する彼女のアルバムは相変わらず本作と"After Blue"の2枚のままなのだが...(苦笑)。
Recorded on September 8-10, 1999
Personnel: Tierney Sutton(vo), Christian Jacob(p), Trey Henry(b), Ken Wild(b), Ray Brinker(ds), Gary Foster(a-fl, as), Buddy Childers(fl-h), Alan Kaplan(tb), Jamie Findlay(g)
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