Wynton Marsalisの初リーダー作。みんなで盛り上げていたねぇ。
"Wynton Marsalis" Wynton Marsalis(Columbia)
ラッパは異常にうまいが,ジャズ・ファンからは必ずしも愛されないというのが私のWynton Marsalisに対する感覚である。それは偏にこの人のジャズ原理主義者的な発言や態度が反感を買っているというところはあると思うのだが,Art Blakey & the Jazz Messengersでシーンに登場してきた時はこれは凄いという評価が主流だっただけに何とももったいない気もする。加えて,ラッパがうま過ぎて,破綻がないところに居心地の悪さを感じるジャズ・ファンもいるようにも思う。
私がこの人に感じるのは,原理主義者的側面に加え,「お行儀のよさ」である。クラシックもやってしまうってところもあるかもしれないが,同じラッパでもLee MorganやFreddie Hubbardに感じる部分と明らかに違う雰囲気と言えばいいだろうか。こういう風に書くと,私はWynton Marsalis全否定のようにも聞こえてしまうかもしれない。しかし,例えばアルバム"J Mood"については「ツボにはまった時の恐ろしさ」(記事はこちら)なんて書いているように,全否定ではない。但し,そこにも書いているように「ジャズ原理主義者としてのWynton Marsalisにははっきり言って辟易とさせられる部分があり,それによるトラッドを模した彼の演奏形態も私は全然いいと思ったことはない。」ということであり,いい演奏をしていることもあるのは厳然たる事実なのだ。認めるべきところは認めつつ,それでも反感の方が強いって感じなのだ。
そんなWynton Marsalisの初リーダー作が本作である。私がこのアルバムを入手したのはColumbia Legacyから再発された際なので,随分後になってからのことである。しかし,本作はHerbie Hancockがプロデューサーとなり,Wynton Marsalis自身のクインテットだけでなく,Herbie Hancock~Ron Carter~Tony Williamsがリズムを支える演奏もあるという構成になっていて,力が入っていたのである。これはWynton Marsalisを世に出そうという強い意志の表れであるが,破格の待遇と言ってもよかったと思う。
演奏は全然破綻がないもので,質は高いと思う。だけどねぇ,ここでやっている"Sister Cheryl"なんて全然面白くないんだよねぇ。この曲はTony Williams自身のBlue Noteレーベルでの演奏の方がはるかによくて,この高揚感のなさはなんでそうなるの?って感じしかしない。そのほかは所謂新主流派的な音を80年代に再現してみましたってところ。私としてはWynton Marsalisにはこれよりずっといいアルバムがあると思うので,どうしても評価は高まらない。うまいけどね。ということで,星★★★☆ってところで十分だろう。それにしても,ここでもRon Carterのベースの音は品がないこと甚だしい。
Recorded in 1981
Personnel:Wynton Marsalis(tp), Branford Marsalis(ts, ss), Herbie Hancock(p), Kenny Kirkland(p), Ron Carter(b), Clarence Seay(b), Tony Williams(ds), Jeff Watts(ds)
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