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2022年2月28日 (月)

Moonchildのニュー・アルバム。変わらぬメロウ・グルーブ。 #Moonchild

_20220226 "Starfruit" Moonchild(Tru Thoughts)

Moonchildの新譜がリリースされたので,早速聴いた。このバンドの生み出すメロウなグルーブは本当に心地よく,BGMとして機能するのはもちろん,きっちり鑑賞しても問題ないと思わせるものである。私としてはゆるゆると身体を揺らしていればいいって感じがする,そういう音楽である。

正直言ってしまえば,彼らの音楽はどれを聞いても同じに聞こえてしまうところがあるのは仕方ないと思う。テンポもほぼ同一,そこに乗っかってくるAmber Navranもほぼ一定のトーンであるから,そう感じるのは当然であり,それをよしとするか,否とするかが評価の分かれ目であるが,こういう音が好きな人間にとっては,どうしてもはまっていってしまうタイプの音楽としか言いようがない。

グループ結成10周年を祝ってかどうかはわからないが,今回はゲストも迎えてのアルバムとなっており,ヒップホップ的な感覚を加味している部分もあるものの,それでも大きな変化は感じない。この変わらなさこそが,私への最大の訴求ポイントなのだ。ということで,甘いの承知で星★★★★☆。だって気持ちいいんだもん(笑)。

Personnel: Amber Navran(vo, p, el-p, synth, ts, fl, prog), Andris Mattson(p, el-p, synth, g, b, ukulele, tp, fl-h, prog), Max Bryk(p, el-p, synth, as, cl, prog) with Lalah Hathaway(vo), Alex Isley(vo), Ill Camille(vo), Tarriona 'Tank' Ball(vo), Albert Allenback(vo), Rapsody(vo), Mumu Fresh(vo), Chantae Cann(vo), Josh Johnson(as)

2022年2月27日 (日)

先日のPhil Manzaneraつながりで,今日はRoxy Music。 #RoxyMusic

_20220225-2 "Heart Still Beating" Roxy Music(Virgin/EG)

先日,Phil Manzaneraの"Diamond Head"に関する記事をアップして,そう言えば,最近Roxy Musicも聞いてないなぁということで,取り出してきたのがこのライブ・アルバムである。本作は"Avalon"リリース後のツアーで収録された音源だが,リリースは1990年にずれ込んだもの。一旦解散したRoxy Musicの音楽を渇望するリスナーには嬉しい音源だったと思う。

私は"Avalon"リリース後のRoxy Musicのライブを武道館で観たと記憶しているのだが,その時の印象と近い音だと思う。レパートリーもまぁこうなるよねぇという感じの選曲,演奏である。バックを支えるメンツもNeil Hubbard,Andy Newmark等の優秀なところを押さえているので,演奏についても多少の粗さはあっても破綻はない。

しかし,私のように"Avalon"最高!と思っている人間は,ついつい"Avalon"の完成度と比較してしまうのだが,ライブにあの完成度を求めてはいかんと悟るのである。まぁ,そもそもこの頃のライブ音源としては"High Road"というEPもあったし,その拡大盤の映像もあったので,そっちでもよいのだが,これはこれで単純に楽しめばいいというところ。星★★★☆。しかし,聴衆の盛り上がりっぷりは強烈で,それに煽られた訳ではないが,21世紀に入ってからのリユニオンでのライブ音源の中古CDも発注してしまった私...。

因みに,私は彼らの"Complete Studio Recordings 1972-1982"というボックスも保有しているが,ちっとも聞いていないので,そのうち1stから順番に聞いてみるかねぇ...。

Frejus 尚,余談ながら,このアルバムが収録されたFrejusってのはリヴィエラ海岸の街だそうだ。綺麗なところだねぇ。

Recorded Live in Frejus, France

Personnel: Bryan Ferry(vo, key), Phil Manzanera(g), Andy McKay(sax, oboe), Niel Hubbard(g), Guy Fletcher(key), Alan Spenner(b), Andy Newmark(ds), Jimmy Maelen(perc), Fonzi Thornton(vo), Michelle Cobbs(vo), Tawatha Agee(vo)

2022年2月26日 (土)

またブートですか?と言われそうだが,今回はBrad Mehldauの2008年の記録。 #BradMehldau

_20220225 "Salzburg 2008" Brad Mehldau Trio(Bootleg)

昨今,このブログにブートレッグを取り上げる機会が増えていて,またですか?と言われてしまいそうだが,今回はBrad Mehldauのトリオによる2008年の演奏を収めた音源である。

このブログにも書いてきたが,私はBrad Mehldauの音源のコンプリート・コレクションを目指している。と言っても,それは公式音源に限った話で,例えば各国の媒体を全部揃えるとか,ブートまで全部カバーするとかいうものではない。よって,コレクターとしては結構「やわ」な訳だが,それでもなかなかコンプリートってのは難しいものだと思っている。まぁ,それでもBrad Mehldauが高校生の時に吹き込んだ演奏以外は多分揃っているはずだ。ブートレッグについては,注目に値するもの,音がいいもの,演奏がいいものなどは拾うようにしているが,このブートについては音と演奏がよいと思って購入したものである。

タイトル通り,ザルツブルグでの演奏を収めたものだが,私にとってザルツブルグと言えば,「サウンド・オブ・ミュージック」である。よく似合わないとは言われるのだが,私が人生においてもっとも繰り返し見た映画は「サウンド・オブ・ミュージック」であり,最も好きな映画の一本なのだ。だから,死ぬまでにザルツブルグは絶対訪れたいと思っているし,ロケ地を回るツアーにだって行きたいぐらいなのだ。

このブートは実に音がよくて,公式音源と比べても遜色がないものだが ,それに加えて,ザルツブルグでの演奏ということもあってか,「サウンド・オブ・ミュージック」から"Something Good"を演奏しているのが珍しい。この曲はAnne Sofie von Otterとの"Love Songs"でやっているが,あのアルバムはあまり聞かない私なので,すっかり失念していたが,トリオでの演奏は残っていないはずだから,そこに注目してしまうのだ。もともとが美しいバラッドであるが,それを更にテンポを落とした感じで美的にやっている。私としてはおぉ~と唸ってしまったのであった。

この曲に限らず,Brad Mehldau Trioの安定して高レベルの音楽が収められていて,実に嬉しくなるブートなのだ。冒頭の"Dream Sketch"から掴みはOK,終曲の"It Might As Well Be Spring"はテンポを上げての盛り上がりを見せて,とにかくライブとしての構成も見事なものである。こういうブートならいつでも歓迎ってところ。私が保有しているそんなに多くないブートの中でも,この演奏はかなりいい方のた部類と言ってよいと思う。

Recorded Live at University Salzburg on October 31, 2008

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2022年2月25日 (金)

Phil Manzaneraの初リーダー作は豪華メンツに支えられたアルバム。 #PhilManzanera

Diamond-head"Diamond Head" Phil Manzanera(Island)

私にとってPhil Manzaneraと言えばRoxy Music以前に"801 Live"だったと言ってもよいのだが,そこから遡って購入したのがこれだったり,"Listen Now"ということになる。もちろん,今やRoxyのアルバムも保有しているが,Phil Manzaneraのリーダー作は相応に聴きどころがあると思っている。

本作はPhil Manzaneraの初リーダー作であるが,実は本作と同時期に以前取り上げたQuiet Sunの"Mainstream"も同じIsland Studioで録音されていて,兄弟アルバムと言ってもよいものである。本作にもQuiet Sun名義で1曲"East of Echo"が収録されているのはそうした背景もあってのことであろう。そして,Quiet Sunや本作のレパートリーが"801 Live"で再演されることになるが,スタジオとライブの違いを体感できるのも私にとっては興味深かった。

そして,本作のメンツはRoxy Music人脈+αと言ってよい豪華なものであり,Bryan Ferryのソロ・アルバムのメンツとも結構被る部分がある。冒頭の"Frontera"からいきなりRobert Wyattのスペイン語のヴォーカルが飛び出すのには驚くが,その後はソリッドなロック・ナンバーが続き,プログレ的な響きも感じさせる。しかし,"801 Live"と比べてしまうと,私にとっては若干響きが軽い感じがする。これは完全に好みの問題だと言ってもよいが,私の"801 Live"の偏愛と言ってもよいものだから仕方ない。だが,初リーダー作としてはよくできていると思うし,クレジットを眺めながら聴くだけでも面白いと思えてしまうナイスなアルバム。

私はこのアルバムはアナログ,CDの双方を保有しているのだが,私が保有するCDのボーナス・トラック"Carhumba"は完全にアルバムのテイストと違うラテン・ナンバーのようなもので,ギター・ソロを聞く分にはまぁよかろうが,これは明らかに蛇足。アナログは星★★★★☆でもよいが,CDはボートラが仇となって半星減らさざるをえない。でも本質的にはいいアルバムなのだ。皆さんははこのボートラはすっ飛ばすか,あるいはアナログで聴きましょう(笑)。

Recorded between December 1974 and January 1975

Personnel: Phil Manzanera(g, b, synth, org, p. vo), Robert Wyatt(vo, perc), Brian Eno(vo, treatment, g, p, perc), Eddie Jobson(strings, el-p, key, synth), Dave Jarrett(key), Andy Mackay(ss, as, oboe), Ian MacDonald(bagpipes), John Wetton(b, vo, synth), Bill MacCormick(b, vo), Brian Turrington(b), Paul Thompson(ds), Danny Heibs(perc), Chyke Madu(perc), Sonny Akpan(perc), Charles Hayward(perc), Doreen Chanter(vo) and others

2022年2月24日 (木)

ショパン・コンクール優勝前のArgerich。才気煥発,天才は天才と思い知らされる。 #MarthaArgerich

_20220222"Piano" Martha Argerich(DG)

私はMartha Argerichというピアニストの凄みは理解しているつもりである。彼女が70~80年代に録音した演奏は実に素晴らしいものが多かったと思うし,それ以前,それ以降でも絶対はずさないピアニストである。でも,このブログに彼女の記事をアップした回数はそれほど多くないのは,敢えて書かなくてもいい(またはそもそも必要がない)と思ったからだと言ってもよい。そんな私に鮮烈な印象を与えたのは彼女が弾いたバッハだった(記事はこちら)が,それに限らず,優れた演奏を残してきた人である。

私はMartha ArgerichがDGレーベルに残したソロ・ピアノのボックスを保有していて,私としては結構な頻度で聞いているとは思うが,バッハもよいし,シューマンも素晴らしいと思う。そんな中,件のボックスで私があまり聞いていなかったなぁということで取り出したのがこのアルバムである。これはArgerichが65年のショパン・コンクールで優勝する前に録音されたDGレーベル初録音だと思う。時は1960年,Argerichは19歳の頃である。

これを聴けば,優れたピアニストは若い頃から誰が聞いても優秀,あるいは主題の通り才気煥発と思わせるヴィヴィッドな魅力を感じさせるプレイヤーであったということを思い知らされるアルバムである。ジャケの雰囲気は後年のArgerichとは全く違う初々しさを感じさせるのは微笑ましいが,出てくる音はえげつないアーティキュレーションと言うべきだと思える。もはやどういう教育を受けたかと言うより,天賦の才能を示しただけと言いたくなるような演奏群である。

まだ成熟にはほど遠いかもしれない。しかし,このピアノを聞かされたら当時の聴衆はそれこそ目が点になったであろうと想像するに難くない演奏群。DGとしては先物買いのような感覚で残したレコーディングかもしれないが,最初期のレコーディングにしては,改めて聴くに値する演奏をしていたことを実証する演奏だと思う。プログラムもショパン,ブラームス,リスト,ラヴェル,プロコフィエフと何でもありなのだ。何でも弾けちゃうえげつなく凄いピアニスト。当時はそういう評価だったんだろうなと想像されるアルバムである。まだまだ青いArgerichということで,星★★★★。

尚,現在はジャケが変わっているようだが,私が保有するボックス・セットに入っているのが元々のジャケだと思う。これを継続使用するのは本人が嫌がったんだろうな(笑)。

Recorded in July 1960

Personnel: Martha Argerich(p)

2022年2月23日 (水)

Sonny Landrethのスライドも光るJohn Hiattのアルバム。 #JohnHiatt

_20220221-2"Slow Turning" John Hiatt(A&M)

私が初めてJohn Hiattのアルバムを買ったのは"Bring the Family"のことであったが,それは完全にRy Cooder等のメンツ買いであった。彼らはその後Little Villageを結成することとなった訳だが,今回はそれはさておきとして,"Bring the Family"が実によかったので,それに次ぐ本作も購入したはずである。

John Hiattの声っていうのは,実を言ってしまえば私の完全な好みではないのだが,それを置いても魅力的に響かせるアメリカ的なサウンドを聞かせるところがいいのだ。本作においてその鍵を握るのが,スライドの名手,Sonny Landrethであることは間違い事実である。ここでのメンツはJohn Hiattを含めてThe Gonersというバンドということになっているが,そこから出てくる音は渋くもカッコいいのだが,Sonny Landrethが効いている。

ゲストとしてBernie Leadonが加わっていることからもわかる通り,カントリー・ロックと言ってもよい響きを聞かせるが,Glyn Johnsのプロデュースもよろしく,こちらの期待する以上のレベルの音楽を聞いたと出た当時は思ったはずである。彼らは本作から15年後,"Beneath This Gruff Exterior"というアルバムをリリースするが,そっちも保有しているものの最近全然聞いていないので,記憶からは完全に飛んでいる。私にとってはGoners名義ではこっちの方が印象が強かったと思う。

まぁそうは言っても,1988年というタイミングでこのジャケだし,このサウンドでは訴求する層は限られるだろうし,日本はバブルの絶頂期みたいな時代だから,当時受けるとは思えないが,好きな人間だけが聞いてりゃいいのよってところだろう。

それでもってSonny Landrethである。この人はスライドの名手であるが,自身のアルバムは悪くはないんだが,こりゃあええわってところまでいかないのである。私にとってはリーダーとしてより,バックで光る人なのだ。それはやっている音楽のタイプはちょっと違うが,Michael Landauと共通する感じだと言えばわかって頂けるだろうか。いずれにしても,ここでのSonny Landrethはサウンドの魅力の増幅に確実に貢献していると思う。よって,私にとってはSonny Landrethを聞きたくて聴くアルバムと言っても過言ではない。そうした点も含めて星★★★★☆。

Personnel: John Hiatt(vo, g, el-p), Sonny Landreth(g), David "Now" Ranson(b), Ken Blevins(ds) with James Hooker(org), Bernie Leadon(g, mandolin, banjo, mandicello), Ashley Cleveland(vo), Dennisi Locorriere(vo)

2022年2月22日 (火)

久々にKraftwerkの"Tour de France"を聴く。カッコいいよねぇ。 #Kraftwerk

_20220221 "Tour de France" Kraftwerk(EMI/Kling Klang)

これがKraftwerkにとっての最新スタジオ録音アルバムである。本作がリリースされたのが2003年なので,もはや20年近い時間が経過している。その後,ライブ盤やらボックスもいろいろ出ているので,これが最新作と言うつもりはないが,それにしても随分前のことになってしまった

私はこのアルバムが出た頃に入手しているが,当時悪評の高かったコピー・コントロールCDであった。現在,私が聞いているのはドイツ語版ボックス"Der Katalog"の中の1枚なので,もはやCCCDではない。ボックスは実に重い箱なので,なかなか取り出すこともないのだが,久しぶりにこのアルバムを聞いてみたら,アルバム全体に横溢するスピード感が,実に心地よくもカッコいいではないか。さすが"Tour de Frace"だ。しかもポップさも十分にあって,これが実に楽しい。

今やKraftwerkはライブしかやらないのか?とも思ってしまうが,このアルバムが出るまでも17年のブランクがあったので,そのうちひょっこり新作を出すのではないかと,かすかに期待している私である。昔はKraftwerkの何がいいのかわからん!と言っていた人間がこうなってしまうのだから,人間何があるかわからないねぇ。私はKraftwerkのアルバムの中でも結構本作が好きなこともあり,星★★★★★としてしまおう。たまに聞くと更によさが増幅する感覚があった。いやぁ,ええですわ~。

Personnel: Kraftwerk<Ralf Hütter, Florian Schneider, Fritz Hilpert, Henning Schmitz>

2022年2月21日 (月)

馴染み曲満載(笑):Billy Joelのベスト盤。 #BillyJoel

_20220219 "Piano Man: The Very Best of Billy Joel" Billy Joel(Columbia)

Billy Joelの全盛期は70~80年代だと思うが,その頃リリースされたアルバム群はよく売れたし,シングル曲も結構ヒットしていたから,そういう時代を通過してきた私のような年代のリスナーにとっては懐かしい存在である。そういう人だから,Billy Joelのベスト盤は何種類もリリースされていて,私も以前"Greatest Hits Vol. ,1 &2"を保有していたはずである。そちらは多分売ってしまったのだと思うが,やっぱり聴きたいと思って買い直したのがこのアルバムだったと思う。我ながら馬鹿げたことの繰り返しだが,このアルバムは別物だからまだましで,同一アルバムでも,買っては売り,売っては買い,みたいなことはやらかしている私である。

それはさておき,全19曲,ほとんどの曲がお馴染みと言ってよいもので,本当にいい曲を書いていたと改めて思わされるベスト盤である。Billy Joelが大したもんだと思うのは,バラッドでも,アップビートの曲でも魅力的なところで,こういう曲作りができれば,幅広い層に訴求すると思ってしまう。私は彼のライブはDon Henley,Stingとのジョイント・ライブ(Concert for Walden Woods)で一度観ただけだが,曲の魅力に加えて,ライブの場においては,エンターテイニングなパフォーマンスぶりだったと記憶している。こういう人だから,新譜は出さずとも,今でも多くのファンを抱えているってことに納得してしまう。

まぁ,正直言ってしまえば懐メロな訳だが,時代を越えて楽しめる音楽だったと思った私であった。尚,私が保有しているのは輸入盤だが,国内盤には"All About Soul"に代わって,日本で局地的人気を誇る"The Stranger"が収録されているので念のため。"The Stranger"は本国ではシングル・カットされていないし,逆に日本では"The All About Soul"がシングル・カットされていないはずだから,そういう構成になったってことだろう。まぁ,でもやっぱりこの人は80年代までがピークだったというのが実感。星★★★★☆。

そう言えば,この人の4枚組+DVDのボックスも持っていたような気がするなぁ。全然聞いた記憶がないが,どこにしまったのやら...(爆)。

2022年2月20日 (日)

シナリオは先が読めても泣かせてくれる「コーダ あいのうた」。

Coda「コーダ あいのうた("Coda")」(’21,米/加/仏)

監督:Sian Heder

出演:Emilia Jones,Eugenio Derbez,Marlee Matlin, Troy Kotsur, Daniel Durant, Ferdia Walsh-Peelo

ハートウォーミングって表現しか思いつかないナイスな映画である。この映画はフランス映画のリメイクらしいのだが,そもそも設定の勝利みたいなところは「最強のふたり」に近いものを感じる。障害を抱えた人々を描いても,暗いところがなく,あっけらかんとしているところもいいのだが,そこに家族愛と音楽を絡めて,実に後味のいい映画であり,気分良く席を立つことができた。特に音楽の使い方が最高である。そして単純な私はこの映画にも大いに泣かせてもらったのであった。

聾唖者の家族の中で,一人健常な主人公が歌が好きっていう設定から,才能を認められてバークリー音楽院の試験を受けるというストーリーはある意味ではベタな設定であるが,この映像の作り方がうまいのだ。特に学校の秋の音楽祭みたいなシーンの作りにはやられてしまった。

そして,何よりも泣かされたのが,主人公Emilia Jonesがオーディション・シーンで歌うJoni Mitchellの名曲,「青春の光と影(”Both Sides Now")」である。これには思わず嗚咽をもらしそうになってしまった私である。先生役のEugenio Derbezはこのシーンでも完全なもうけ役。これは観てもらうしかないが,ストーリーには驚きはないとしても,やっぱりこれは受けるだろうなぁという作りになっているし,まんまと術中にはまった私であった。

今年のオスカーにも3部門ノミネートされているが,受賞は難しいとしても,これは本当に気持ちよく観られる映画である。サンダンス映画祭で受けたというのも大いにうなずける話。私もつくづく単純だとは思うが,こういう映画好きだなぁ。星★★★★☆。

因みに,タイトルの"Coda"は音楽用語のコーダだと思っていたら,CODA(Child of Deaf Adults)って意味もあるって初めて知った。

2022年2月19日 (土)

懐かしのカッコいいBill Bruford初リーダー作。

Feels-good-to-me"Feels Good to Me" Bruford(EG)

YesからKing Crimson,そして一時的にではあるもののGenesisにも参加したプログレ界屈指の名ドラマー,Bill Brufordの初ソロ作である。ジャケを見るとBrufordとなっているので,あくまでもこれはバンドとしてのアルバムと捉えるべきだろう。

本作がリリースされたのが1978年なので,もはや40年以上前のことである。実は私がこのアルバムを入手したのは結構後になってからのことで,それまではベスト盤"Master Strokes"でバンドとしてのBrufordの音楽を聴いていたというのが正しい。そして,このバンドはBill Brufordのドラミングに加えて,Allan HoldsworthとJeff Berlinというテクニシャンの参加が非常に大きな要素と考えるリスナーが多いだろう。

そして出てくる音は実にハイブラウなフュージョンである。プロデューサーはBill Bruford自身とBrand XのRobin Lamleyであるから,そっちの路線になるってのも当然だが,Brand Xの音の感じとはちょっと違う。BrufordにはKenny Wheelerが一部参加することで,よりジャズ的なフレイヴァーの強さを感じさせる部分もあれば,Annette Peacockのヴォーカルによって,ロック的な感覚も打ち出していて,Brand Xよりハイブリッド感が強いってところか。ついでに言えば,1曲だけだが,Brand XのJohn Goodthalもゲストで参加しているから,バンドとして通じるところはあったのだろう。いずれにせよ,Brand XにはPhil Collinsが参加していて,プログレ界の2大ドラマーと言ってよいこの二人が,こうしたフュージョン系の音楽をやっていたという共通項は,今にして考えれば実に面白いことであった。

このアルバム,非常にカッコいいアルバムだと思うのだが,唯一タイトル・トラックだけがテンションがゆるむ感覚があるのは何とももったいない気がする。私からすれば,この1曲だけが妙に浮いている感覚がぬぐえず,どうも不思議な感覚が生じてしまう。だが,全体的にはテンション高く,テクニシャン軍団が作ったナイスなフュージョン・アルバムであることは間違いない。星★★★★。

クレジットにNeil Murrayが"a bass playerwhen i needed one"とあるが,リハーサルとかに参加したってことなのかなぁ...。

Personnel: Bill Bruford(ds), Dave Stewart( Stewart(key), Allan Holdsworth(g), Annette Peacock(vo), Jeff Berlin(b), Kenny Wheeler(fl-h), John Goodthal(g), The unknown John Clark(g)

2022年2月18日 (金)

これは知らなかった...。Rachael Yamagataの"Porch Songs"の現物CDが出ていた。

_20220213 "Porch Songs" Rachael Yamagata(Frankenfish)

私はデビュー以来,Rachael Yamagataをかなり推してきたと思う。彼女の声は実に魅力的であり,書く曲も素晴らしい。そんなRachael Yamagataの最近の動静は聞こえてこないのが実に寂しいことである。音源としてはこの"Porch Songs"がダウンロード・オンリーでリリースされたのは,2018年10月に遡る。即ち,私たちは彼女の新しい音源に3年以上接していないことになる。Webサイトの更新も大してされていないようだし,Facebookのページも21年4月が最新投稿では,本当に今,彼女が何をしていて,何を考えているのかがわからないというのが実感だ。これだけ魅力的な歌い手はもっと,世の中に音楽を発信して欲しいと思うのは私だけではないと思う。

そんなRachael Yamagataの最新EPである"Porch Songs"については,リリースされた折に,私は絶賛を惜しまなかった(記事はこちら)。しかし,それはダウンロード・オンリーだと思っていたから,現物CDが出ているなんてのは知る由もなかった。しかし,何の気なしにAmazonを見ていたら,このEPに関して「その他の形式:CD」とあるではないか。となると,これは手に入れなければならんということで,発注,めでたく入手したのであった。

驚いたのは,この現物CDが韓国において限定1,000枚でリリースされたってことである。しかも,届いたCDにはご丁寧にシリアル・ナンバーがふられている。Rachael Yamagataは日本をスルーして,韓国でライブをやっていたこともあるので,結構韓国にはファンが多いのかと思っていたが,ドラマの主題歌とかに使われているのが結構効いているようだ。しかし,このCDのリリースは全く知らなかったし,彼女のWebサイトにも一切情報は出てきていないはずだ。それでも出すってことは,韓国においては相当なポピュラリティってことなのかもしれない。

それはさておき,このCD,ストリーミング版が6曲なのに対し,最後に"Be Somebody’s Love"のバンド・バージョンが加えられた7曲仕様というのが貴重ということもあり,ちょっとEPとしては高いと思えたものの,取り敢えず入手できたのはよかった。そして,本当にいい歌手であることを改めて痛感させられた。もっと活発に活動をして欲しいと思える人である。

2022年2月17日 (木)

結構楽しめるDavid Murrayのライブ盤。

_20220212 "I Want to Talk About You" David Murray(Black Saint)

David Murrayという人はなかなか敷居が高い人であると同時に,活動の幅が広くて正直訳がわからんとも言いたくなるような人である。James 'Blood' Ulmerとどファンクをやったと思えば,サックス・ソロでアルバムを吹き込んだり,World Saxophone Quartetに参加したり,ビッグバンドを組んでみたりと,何でもありである。フレージングはやはりアバンギャルド系列と言った方がいいかもしれないが,コンベンショナルに吹いたDavid Murrayのアルバムが結構味わい深いのは,このブログにも書いたことがある。"Morning Song"なんかはその代表的なものの一枚と思っている(記事はこちら)。

その"Morning Song"について,惜しくも閉店した新橋のテナーの聖地,Bar D2のマスター,河上さんがFBで触れられていて,おぉ,これはまた聞かねばと思ったのが契機となり,David Murrayの比較的コンベンショナルな演奏が聞けるアルバムとして,Black Saint/Soul Noteのボックス(Vol.2)から引っ張り出してきたのがこのアルバム。まぁ,メンツもフリー系の人ではないと言ってもよいが,出てくる音が実によい。比較的落ち着いた演奏が多いのだがその中で異色とも言えるのが,Murrayの盟友と言ってもよいLawrence "Butch" Morris作の"Red Car"。シャッフル・リズムに乗ってDavid Murrayのブチ切れフレーズ炸裂ってところである。これはこれでMurrayの個性とは思うが,ほかの曲との違いが大き過ぎて,これは何だかなぁという気になってしまうのがちょっと惜しいかなぁって気がする。曲の調子もあって,聴衆には相当受けているが,アルバムとしてはやはりこの1曲があまりに異色。

それでもDavid Murrayが吹く"I Want to Talk About You"なんて,へぇ~と思わされるような「まともな(笑)」吹きっぷりで,このアルバムは結構よくできていると思うし,楽しめる。だからこそ"Red Car"の浮きっぷりが私には惜しいと感じられる。星★★★★。

尚,ジャケにはレコーディングされた場所がCharlie’s Topとあるが,おそらくはケンブリッジ側にあったCharlie’s Tapの誤りだと思う。

Recorded on Live at Charlie’s Tap, Boston, on March 1, 1986

Personnel: David Murray(ts, b-cl), John Hicks(p), Ray Drummond(b), Ralph Peterson, Jr.(ds)

2022年2月16日 (水)

"Boss Tenors":これを聴くのはいつ以来だろう?

Boss-tenors "Boss Tenors" Gene Ammons & Sonny Stitt(Verve)

このアルバムは確か大学時代に買ったもので,随分減ってしまった(本当に残っているのは大したことのない枚数である)私のアナログ盤のコレクションにしぶとく粘っているもの(笑)。なんでこのアルバムを買う気になったかは記憶が飛んでしまっているが,こういう渋いアルバムに魅力を感じたいというような,ある種の背伸びのような感覚もあったかもしれない。また,後々,Sonny Stittのアルバムをそこそこ保有するようになった契機になったかもしれない。そんなアルバムでありながら,過去少なくとも10年以上はプレイバックしていないはずだ。

そして,改めてこのアルバムを実に久しぶりに聴いてみると,名盤と言えるほどの出来ではないと思う。また,2テナーとなれば,もう少し丁々発止のような感覚を生み出してもよいかもしれないが,それでもここに聞かれる余裕のフレージングとかを聞いていると,このくつろぎ感って大事だよなと思ってしまう。

"Boss Tenors"と言いながら,A面冒頭の"There Is No Greater Love"ではStittはアルトを吹いているが,それ以外はテナーで通している。音的にはGene Ammonsの方が野太い感じで,結構魅力的な音だなぁと改めて感じてしまった。一方,Sonny Stittはバップ・フィーリング溢れるフレージングを聞かせて,この二人のテナーのキャラの違いみたいなのを感じさせる。

アナログのアルバムってのは,どっちの面を聴くかってのには,相当違いが出てくると思うが,このアルバムについては,私はB面ばかり聞いていたように思う。しかし,今回,A面も聴いてみると,こっちも悪くなかった。

いずれにしても,グラスでも傾けながら,くつろいで聴くには丁度いいアルバム。星★★★★。リズム・セクションは全く知らない名前が並んでいるが,レコーディングが行われたシカゴのローカル・ミュージシャンなのか,あるいはシカゴ出身のGene Ammons系列の人なのか全くわからないが,演奏には破綻はない。

Recorded in August, 1961

Personnel: Gene Ammons(ts), Sonny Stitt(ts, as), John Houston(p), Charles Williams(b), George Brown(ds)

2022年2月15日 (火)

Wynton Kelly:究極のリラクゼーション。

_20220211 "Wynton Kelly!" Wynton Kelly(Vee Jay)

こういうアルバムを聞いていると,コンベンショナルなジャズ・ピアノのよさってものを肌で感じられるって思ってしまう。世の中にはジャズは難しいなんて論調もあるが,本作を聴いていれば(もちろん,本作でなくてもよいが...),誰が聞いても心地よく,ジャズは決して難しい音楽ではないということがわかるはずだ。これほど聴いていてリラックスできるアルバムもなかなかない。

世の中,カクテル・ピアノなんて言葉もあるが,Wynton Kellyの弾くピアノもそれっぽく聞こえると言えばそういうところもあるが,フレージング一つを取っても,カクテル・ピアノとは一線を画すものであり,それが一流ピアニストと凡百のピアニストとの違いだと言ってしまおう。

ジャズという音楽に何を求めるかは,聞くシーンによって違うと思う。私だってフリー・ジャズに身を委ねたい時もあれば,欧州の抒情的な演奏に浸りたい時もある。しかし,より一般的,あるいは普遍的なジャズを聞きたいと思えば,こういうアルバムがフィットする。歴史的名盤とかだと,ついつい身構えてしまうこともあるが,このいい意味での気楽さってのが実に重要なのだ。「枯葉」なんて,Miles Davisが吹くのとも,Bill Evansが弾くのとも全く違う感覚だが,それがまたいいのだ。

こういうアルバムは歴史的名盤と言うよりも,個人的に愛すべきアルバムとするのが私には適切に思える。スタンダードとWynton Kellyのオリジナルが混在するプログラムも大いに楽しめる。たまにしか聴かないが,聴くとついつい,おぉ,いいねぇと思ってしまうのが私のパブロフの犬的反応である(笑)。星★★★★☆。

Recorded in July 1961

Personnel: Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Sam Jones(b), Jimmy Cobb(ds)

2022年2月14日 (月)

今年のSt. Valentine's DayはChet Bakerで。我ながらベタだ(笑)。

Chet-baker-sings "Chet Baker Sings" Chet Baker(Paciffic Jazz)

私のような年代になると,St. Valentine's Dayがどうのこうのということもないのだが,季節ものということで,ついつい"My Funny Valentine"を聴きたくなる。以前,このブログにMilesのアルバムを取り上げたことがあるが,今回はこのChet Bakerの人気盤である。こういうのを選んでしまうところは,私もベタだなぁと思うが,久しく聞いていなかったので,たまにはってことで,アナログ盤を取り出した(CDは保有していない)。

このアルバムは別に"My Funny Valentine"だけのためにあるのではないのはもちろんである。しかし,Chet Bakerはことあるごとにこの曲を演奏している中,最も印象的な演奏,歌唱としてどうしてもこのアルバムが挙がってしまうって感じだ。ムーディと言えば,これほどムーディな演奏もなかなかないと思える。膨大な量のレコーディングを残しているChet Bakerだが,やっぱりこれはChet Bakerの代表的なアルバムの一枚だよなぁと思ってしまう。収められたスタンダードもいいしねぇ。

たまにしか聴かないのだが,聴きだすとやめられない魅力を今でも持っていると思わせるアルバムだが,結局のところ,私はいつもアナログのB面,即ち1954年録音で"My Funny Valentine"も入っているサイドばかり聴いてきたような気がする。全編を通して魅力的なのだが,でもこのアルバムはやはりB面メインだな(笑)。星★★★★★。

Recorded on February 15, 1954 and July 23 & 30,1956

Personnel: Chet Baker(vo, tp), Russ Freeman(p, celeste), Carson Smith(b), James Bond(b), Bob Neel(ds), Leter Littman(ds), Laurence Marable(ds)

2022年2月13日 (日)

これって珍盤?Jay Oliverのイージー・リスニング的ソロ・ピアノ・アルバム。

_20220210-3 "Outside the Box" Jay Oliver(Musicianary)

かつてクラウド・ファンディングでミュージシャンを支援するPledgeMusicという仕組みがあった。そのPledgeMusicもミュージシャンへの支払い問題もあって,今や影も形もなくなってしまった。しかし,Rachael Yamagataをはじめとして,PledgeMusicを通じて入手したアルバムが結構あった私としては,残念なかたちでの終幕となったと言える。

このアルバムも,そのPledgeMusicを通じて入手したものだ。入手については,これを単独でっていう訳ではなく,長年Jay OliverがコラボするDave Wecklとの共演アルバムである"Convergence"のバンドル版に含まれていたもの。市場にはほぼ流通していないと思われるこのアルバム(ググってもヒットは少数のはず)ではあるが,今でも直接Jay Oliverに連絡すれば入手はできるはずである。

Jay OliverがDave Wecklとやっている音楽はタイトなフュージョン・ミュージックなのだが,このアルバムは全く趣が違っていて,Jay Oliverのピアノ・ソロ(MIDIは通している)による演奏集であり,響きだけ聞いていればもはやイージー・リスニングである。やっている曲はJay Oliverのオリジナルに加えて,"Somewhere Over the Rainbow",James Taylorの"Fire & Rain",Stingの"Fragile",Lennon~McCartneyの"Let It Be",そして"All the Things You Are"という「超」のつく有名曲ばかり。

アルバムの構成は冒頭4曲が"Somewhere Over the Rainbow","Fire & Rain","Fragile","Let It Be",そしてそれにOliverのオリジナルが5曲続き,アンコール的に"All the Things You Are"が演じられるって感じで,リサイタルを意識したような曲の並びと言ってもよい。全編を通じて,刺激を否定するかのような美しいフレージングを連発していて,Dave Wecklとやっている音楽との落差には笑ってしまう。

だが,ジャズなんて聞いたこともないリスナーにこれを聴かせれば,「素敵っ」(爆)みたいな反応が返ってくるのではないとさえ思わせるような音楽である。久々にこのアルバムを聞いていて,これはこれでBGMとして小音量でプレイバックしていれば,仕事も捗るかもなぁなんて思っていた。毒にも薬にもならないと言ってしまえばそれまでだが,ややウェットな感覚も感じさせるこのピアノ・ソロは,世の中の面倒に疲れた心を癒したい時には役立つかもしれない。きっちり鑑賞しなくてもOKってのはある意味アンビエントだが,それもまたよしってことで...。でもオリジナル曲の演奏時間はちょっと長いかなぁ。Keithじゃないんだからさ(笑)。

Personnel: Jay Oliver(p)

2022年2月12日 (土)

悪くはないが,どうしても評価が難しいElektric Band II。

_20220210-2 "Paint the World" Chick Corea Elektric Band II(GRP)

早いもので,このアルバムがリリースされてから,既に30年近い年月が経過している。時の流れには言葉を失うしかない還暦過ぎの私である。それはさておき,これはElektric Band II名義でリリースされた唯一のアルバムであるが,その後が続かなかったことには,このアルバムのある意味での中途半端さがあったように思う。

私がこのアルバムをどうしても評価できないのは,偏にアルバム2曲目の"Blue Miles"によるところが大きい。世の中のElektric Bandのファンが期待する音楽はこれではないといつも思ってしまうのだ。少なくとも私が彼らに期待するのは,キメであったり,高速ユニゾンだったりって感じなのであって,このアルバムで言えば,"Ished"のような曲にこそ私は魅力を感じるのだ。この"Blue Miles"1曲があることで,アルバムの流れは分断され,私はいつも「あ~あ」と思ってしまう。前年に亡くなったMiles Davisにオマージュを捧げるのは別に悪いとは思わないが,これじゃないでしょ,とついつい言いたくもなるようなゆるゆるの演奏なのだ。

私は4曲目に入るJimmy Heath作,"CTA"もここにいる?と思ってしまうのだが,私はChick Coreaのプロデュースに迷いを感じてしまうってところだろう。Elektric Band IIを名乗って,新編成で臨んでみたものの,オリジナルElektric Bandのような成果は得られなかったと,リスナーである私は強く感じている。オリジナル・メンバーで来日した2017年のライブを観た時や,在米中にBottomlineで観た時のような高揚感は,このアルバムからは得られないと感じるのだ。もちろん,ライブとアルバムでは違うと思いつつ,GRPに残されたほかのアルバムと比べても,やはりクォリティは一段下がっていると思わせる。繰り返しになるが,私にとってはその元凶が"Blue Miles"なのだ。

メンバーのそれぞれは実力者だし,基本的には悪くないと思う。だからこれをElektric Bandのアルバムだと思わなければ腹も立たないのかもしれないが,やっぱりなぁ...ってところ。星★★★☆。

Personnel: Chick Corea(p, key, synth), Eric Marienthal(as, ss), Mike Miller(g), Jimmy Earle(b), Gary Novak(ds)

2022年2月11日 (金)

Badgerのライブ盤によるデビュー作。懐かしいねぇ。

_20220210 "One Live Badger" Badger(Atlantic) 

このアルバムを手に取る人が,往々にしてYesから流れてくるって感じだろう。かく言う私もそのクチである。Badgerのこのデビュー・アルバムが注目されるのは,それはYesを脱退したTony Kayeが組んだバンドだったからだが,正直言って,私はキーボード・プレイヤーとしてのTony Kayeは大して評価していない。だが,Tony Kayeの名誉のために言えば,それはYesのキーボードとしては役不足ってことであって,Yesのあの世界でなく,普通のバンドであれば,別に彼の技量は気にならないってことだ。

その後,Tony Kayeが参加するDetectiveなんかは,Led ZeppelinのSwan Songレーベルからアルバムを出したことからもわかる通り,ハードロック・バンドであって,プログレではない。そして,このBadgerのアルバムも,Jon Andersonがプロデューサーに名を連ねていたり,ジャケをYesでお馴染みのRoger Deanが担当しているから,プログレだと思われてそうなところはわかるが,音としてはプログレと言うよりも,ハードロックと言ってよいものなのである。このアルバムはYesのオープニング・アクトとして演奏をしている時の模様らしく,そういう機会を設定したのがJon Andersonだったからプロデュースに名を連ねているだけだろう。なので,Yesの音楽との関連性は見出すことはない。よって,Tony Kayeもテクニック炸裂とかそういう感じではなくて,丁度いい塩梅にフィットする感じなので,こういう音楽の方がフィット感があるのだ。

録音されたのはもう50年近く前であるから,さすがに音は古臭い感じがするが,それでも曲や演奏はブリティッシュ・ロック的な魅力は結構出せていると思う。星★★★★。

Recorded Live at the Rainbow Theater on December 15 & 16,1972

Personnel: Brian Parrish(g, vo), Tony Kaye(key), David Foster(b, vo), Roy Dyke(ds)

2022年2月10日 (木)

Weather Report最初期のライブ音源を収めたブートレッグ。これは痺れる。

_20220208_20220208144601 ”Definitive Europe 1971" Weather Report(Bootleg)

またブートかよ?って声も飛んできそうだが,それが何か?(笑) 昨今はブートレッグも"Definitive"と称して,リマスターだ,放送音声なしだと,エンハンスしたヴァージョンがどんどん出てきている。音質が改善されることはそれはそれでいいことだと思うが,散財の機会が増えるのは困ったものだ。

この2枚組のブートは以前から知られた音源のはずだが,それが音質エンハンスして市場に出回っているのがこれである。2枚組のDisc 2はDVDでも出回っている"Beat Club"映像の音起こしだと思うが,YouTubeでも見られる映像でも,音はそこそこよいのはわかる。よって,注目はDisc 1だが,これが実に音がよいのだ。これはポイントが高い。

Weather Reportのファースト・アルバムがリリースされたのが71年の5月。そしてこのDisc 1は6月の初の欧州楽旅の模様を収めたものとのことである。Weather Reportには"Live and Unreleased"という未発表ライブ音源を集めたアルバムがあったが,そこにはMiroslav Vitous在籍中の音源が全く入っていないという決定的な瑕疵があった。その他の演奏は実に素晴らしいのだが,なぜVitous入りの音源が省かれたのか?それはJoe ZawinulとMiroslav Vitousの確執が原因とする説もあるが,そのことを実に残念に思っていた私である。Vitous入りのライブなら"Live in Tokyo"を聞いていればいいって話もあるが,やっぱりもっと聞きたいのだ。大げさに言えば,そんな渇きを癒すのがこういうブートってことになる。

聞いていて面白いと思ったのは,初期のWeather Reportには"In a Silent Way"的な牧歌的な展開が随所で聞かれることであった。例えばMiles DavisのLost Quintetならハードにブチかましまくるが,ここでのWeather Reportは硬軟を取り混ぜたかたちで,バランスの取れた音楽を展開しているのが興味深い。かつその音楽的な質の高さは半端でなかった。ブートレッグも凄い時代に入ったなぁと実感させるに十分。こういう音源はどんどん世に出すべきだと改めて思ってしまった。

Recorded Live at Stiftshoff, Ossiach, Austria on June 27, 1971 and at Beat Club, Humburg, Germany on August 9, 1971

Personnel: Joe Zawinul(p, el-p, key), WaynZawinul(p, el-p, key), Wayne Shorter(ts, ss), Miroslav Vitous(b), Alphonse Mouzon(ds), Don Un Romao(perc, fl)

2022年2月 9日 (水)

ブート購入のオマケでもらったEric Dolphyの64年,パリでの演奏。

_20220206-2ブートを2枚購入すると,オマケで無料ギフト商品から1枚もらえるというサービス戦略にはまって,ついつい件のブート・ショップで買ってしまう私である。今回オマケで入手したのはEric Dolphyの64年パリでの音源。これ自体はブートもどき盤を連発する(笑)Hi Hatレーベルからもリリースされているのと同じ音源のはずである。しかし,Hi HatからのCDを購入すれば,2,000円以上の出費が必要だし,ほかのブート屋でも有料販売しているが,こっちは無料。そもそもが放送音源をブート化して出回っていたものなのだから,タダでゲットするのが正しいのである(きっぱり)。

この音源が録られたのは1964年6月11日なので,Dolphyが亡くなる18日前のことである。"Last Date"が6月2日の録音であるから,更に後ということになるが,ここでの演奏からはEric Dolphyに忍び寄る「死の影」は感じることができない。そんなDolphyの生前の演奏を,放送局録音によるまともな音で聴けるというのは実に嬉しいことである。

この音源自体は前々から知られていたものだろうが,私は初めて聞いた。ここではDonald Byrdを含むセプテットの演奏であるが,現地のミュージシャン(Donald ByrdとNathan Davisはパリ在住だったはず)とのセッションとは言え,Dolphyのやっていることは何も変わらないという感じで,嬉しくなってしまった私である。一部コンガが入るが,ここでのDolphyの演奏にコンガは合わんなぁと思いつつ,Dolphyに集中していれば気にもならない。しかし,バスクラ無伴奏で始まる最後に入っている"Naima"の冒頭部なんてたまらんのに,コンガが入ってきてずっこけるが...(苦笑)。どうせなら無伴奏で通してもよかったと思うのは私だけではあるまい。

フロントでDonald Byrd(テナーのNathan Davisの出番はあまり多くない)はそれなりに頑張っているとは思いつつ,Dolphyのソロの前では,普通と言うか,分が悪いと言われても仕方がない。Dolphyの音源にはよくある話かもしれないが,それぐらいDolphyは突出したミュージシャンであったことがこの音源を聞いてもわかるってところである。

所詮ブートレッグなんて,ネズミ算式に再生産されていくものであり,その流通方法には文句をつけること自体馬鹿げているが,これはやっぱり無料で手に入れるのが正しい姿だと言っておこう。そして,ここでの演奏は確実に聴くに値するDolphyである。やっぱりEric Dolphyは凄いのだ。

Recorded on June 11,1964

Personnel: Eric Dolphy(as, b-cl, fl), Donald Byrd(tp), Nathan Davis(ts), Jack Dieval(p), Jacques Hess(b), Franco Manzecchi(ds), Jacky Bambou(conga) 

2022年2月 8日 (火)

Fred Herschは初リーダー作から素晴らしかった。

_20220206 "Horizons" Fred Hersch(Concord)

Fred Herschについてはことあるごとに,このブログに記事をアップしてきた私だが,この初リーダー作については,まだ書いていなかったなぁってことで,改めてこのアルバムを聴いてみた。

このアルバムが吹き込まれた1984年はFred Herschは30歳を迎える前ぐらいということで,決して早咲きとは言えない初リーダー作であるが,逆にそれによって,成熟度の高いピアノを既に聞かせているのが印象的である。ベースにMarc Johnson,ドラムスにJoey Baronというメンツも魅力的なこともあるが,このアルバムが結構人気があるのは,Fred Herschのピアノに魅力を感じるリスナーが多いからだと言ってよい。

スタンダードと本人やジャズマン・オリジナルを交えた選曲も非常にいい感じだし,何よりFred Herschのリリシズム溢れるピアノはこの頃から完成していたと感じる。ライナーを見ると,Bill Evans,Thelonius Monk,Winton Kelly,Herbie Hancock,Ahmad Jamal,そしてPaul Bleyに影響を受けたと書いているが,加えて,Tommy Flanaganを"Favorite Living Bop Player"として挙げているのは面白いと思うと同時に,なるほどなぁと感じた私である。Fred Herschのピアノが有する適切なスウィング感はTommy Flanagan的と言えば,そういう風にも思えてくる。 例えば,Herbie Hancockの"One Finger Snap"や,Herschのオリジナル,"Cloudless Sky"を聴けば,Herschの魅力はリリシズムだけではないというのが明らかになるはずだ。

いずれにしても,このアルバムにはFred Herschのピアノが初リーダー作の気負いを感じさせることなく収められていて,この人の魅力を強く感じることができる作品に仕上がっているというのが立派。とにかくバランスがよい作品であり,今までこのブログで取り上げていなかったことも反省して,星★★★★★としてしまおう。

余談だが,本作にもらったFred Herschのサインは,Cotton Clubにトリオで来日した時にもらったもの。コロナ禍により,以前のようなサイン会は実施されなくなってしまうのかもしれないが,それはそれとしても,また生で聴きたいと思うのは決して私だけではあるまい。でもライブの場では,ミュージシャンと会話する機会ぐらいは残して欲しいなぁ。

Recorded in October, 1984

Personnel: Fred Hersch(p), Marc Johnson(b), Joey Baron(ds)

2022年2月 7日 (月)

Aoife O’Donovan:Joe Henryプロデュースもよろしく,こりゃ最高だ!

_20220203-2 "Age of Apathy" Aoife O’Donovan(Yep Roc)

初めて聴く人である。なぜ私がこのアルバムを購入する気になったか。それはJoe Henryがプロデュースをしているからという一点である。Joe Henryがプロデュースをしたアルバムは,一部例外もあるが,総じて出来がよい。と言うか,私の趣味嗜好にはまるのだ。なので,Joe Henryがプロデュースしたという情報を得ると,ついつい買ってしまうのだ。通常はストリーミングでチェックしてから買うのが普通になったが,これはチェックのプロセスを省略して購入した。しかも私が購入したのは国内盤かつ2枚組のデラックス・エディション。失敗したら痛いところだが,これは買って正解。それも大正解。これがいい。実にいい。

アコースティックとエレクトリックのブレンドが丁度いい感じなのに加え,Rickie Lee Jonesのクセを取って,ずっと聞き易くしたような歌いっぷりが実にはまる。こういう女性ヴォーカルは,私にとってはまさにどストライクなのだ。シンプルなバッキングなのだが,曲も演奏も歌唱も本当によい。全然この人のことは知らなかったが,追いかけたくなるような魅力に溢れた音楽に触れた。まずはストリーミングでってところだろうが,こんな清新な音を聞かされては私は全面的にOKである。

遅いよ,と言われるかもしれないが,私にとってここ暫くでもっとも魅力的に響いた女性シンガーである。この驚きはRachael Yamagata以来かもしれない。この2枚組のDisc 2はAoife O’Donovanの弾き語りで歌われるデモ・ヴァージョンのようなものだが,これがこれで魅力的だと思えてしまうのは,これは完全に惚れた弱みだとさえ思ってしまう。完全にひと聞き惚れ状態の私である。気は早いが,私にとって,今年のベスト盤候補と言ってもよい出会いであった。最高だ。星★★★★★。

こんなアルバムがリモートで全然別の場所で行われた音源を組み合わせて作られたってこと自体が,私にとっては奇跡的。くぅ~ってなったのは言うまでもない。

Personnel: Aoife O’Donovan(vo, g, p, el-p), Patrick Warren(p, el-p, strings), Chris Bruce(g), Madison Cunningham(g, vo), David Pilch(b), Jay Bellerose(ds), Levon Henry(reeds), Tim O'Brien(mandola), Florian Blancke(celtic harp), Allison Russell(vo)

2022年2月 6日 (日)

またもブートレッグの話:今回はBob Berg入りのChick Corea。

_20220203 "Kiel 1993" Chick Corea(Bootleg)

今年に入って,そこそこ新譜も購入している私ではあるが,以前に比べれば,買う枚数はかなり減っていることはこのブログにも書いてきた。その一方で,これは気になるブートレッグってのもどんどん出てきて,ついつい手が出てしまうのだが,今回はChick Coreaのドイツでのライブ音源である。

ブートレッグを購入するのは一種のギャンブルみたいなところもあるが,ショップによっては試聴音源が準備されていて,音質をある程度はチェックできるありがたい時代になったがゆえの,昨今の購入増加って気がする。

このブートを購入したのは偏にBob Berg参加だからなのだが,メンツは正規盤,"Time Warp"と全く同じとなっている。"Time Warp"が一種のコンセプト・アルバムだったのに対し,このブートではChickのよく知られたオリジナルやスタンダードをやっているので,まずはグループとしての手慣らし的なライブだったのかもしれないし,あるいはこれまた同じメンツで吹き込まれているボックス・セット,"Music Forever & Beyond"のDisc 5の録音と因果関係があるのかもしれない。いずれにしても,録音時期が上述の2枚ははっきりしないので,どういう時間軸でこのライブが開催されたのかはよくわからない。

それはさておきである。私としてはどうしてもBob Bergが気になるのだが,この音源を聞いても,Bob BergとChick Coreaの相性は決して悪くなかったと思える。まぁ,Chick Coreaは"Three Quartets"でもMichael Breckerとの相性は想定以上によかったのだから,Bob Bergともよくて当然という気もするが,Chick Coreaとの共演が多いJoe Farrellとは異なる感覚で,よりハードボイルドな感じがする。Joe FarrellにはJoe Farrellのよさがあるが,このちょっと違う感覚もいいのだ。

2枚組約2時間というのはライブ音源としてはまぁ適切なものであるが,全8曲でこの時間であるから,1曲あたりの演奏時間はかなり長い。特にDisc 1なんて4曲で70分越えなので,ライブならではの演奏時間ってところだろう。但し,長けりゃいいってものでもないが,このメンツだけにちゃんとした演奏を聞けるのはありがたい。まぁ,Chick Coreaのピアノがまるでエレピ(あるいは一時期流行ったヤマハのエレクトリック・グランド)のようだって感じの音はご愛敬だが,別に気になるってほどではない。

Chick Coreaに関してはシドニーでの78年のライブに続くブート購入となったが,時の流れとともに,バンドのスタイルも変えながらも高いレベルの演奏をしていたことを改めて感じさせる音源であった。それにしても"I Loves You Porgy"でのBob Bergカッコよ過ぎである。

Recorded Live in Kiel, Germany on July 14, 1993

Personnel: Chick Corea(p),Bob Berg(ts, ss), John Patitucci(b), Gary Novak(ds)

2022年2月 5日 (土)

映画の感動が甦る「サマー・オブ・ソウル」のサントラ盤。

_20220202 ”Summer of Soul (...or, When the Revolution Could Not Be Televised): Original Motion Picture Soundtrack" Various Artists (Sony Legacy)

映画「サマー・オブ・ソウル(あるいは,革命がテレビ放映されなかった時)」は実に素晴らしい映画だった。映画を観た時も興奮気味に記事をアップした(記事はこちら)私だが,そのサントラ盤がリリースされると知っては,買わぬわけには行かぬ(きっぱり)。

このサントラ盤には約80分に渡って,映画に収められたおいしいところがかなり入っているのだが,どうせならデラックス・エディションとかで,映画に入っていた曲の全部入りで出して欲しいと思ってしまうのは私だけではないだろう。特にSly StoneとNina Simoneは映画のハイライトと言ってよかっただけに,ほかを削っても全部入れてもよかったと思ってしまう。映画の冒頭のStevie Wonderもないぞとか,Mahalia Jacksonの"Lord Search My Heart"もないぞとか,文句を言いだしたらきりがないのだが,それでもこれだけの音源を聞けることの幸福感の方が私にとっては大きい。まぁ,Mahalia Jacksonに関しては,Mavis Staplesも一緒の"Precious Lord, Take My Hand"があるだけでもよしとしなければならんのだが。

まぁ,古い音源なので,音としては大したことがないし,映像付きで観る方が感動は増すかもしれないが,何度も書いている通り,私は家では映像付きはあまり見ない方なので,こういうCD版の方が絶対何回も聞くと思っている。それで感動を新たにするって方が私には向いているのだ。

今回改めて音源として聴いてみて,やっぱりSlyとNina Simoneがいいのは当たり前として,実に面白かったのがHerbie Mannのバックで,完全にぶっ飛んでいるSonny Sharrockのギターであった。この突き抜け感には改めて驚かされた私である。

本作はライブ音源ってこともあって,収められた演奏には粗いものもあるが,それでもこれを聴けるということだけで,感謝したくなるというのが正直なところである。映画を観ていても,観ていなくても楽しめること間違いなし。素晴らしい。星★★★★★以外ありえない。でもやっぱりSlyの"Higher"は入れて欲しかったなぁ...。尚,ストリーミング版ではMax RoachとAbbey Lincolnの"Africa"が追加で聞けるので,念のため。

Personnel: The Chambers Brothers, B.B. King, The 5th Dimension, David Ruffin, The Edwin Hawkins Singers, The Staple Singers, Mahalia Jackson, Mavis Staples, Gladys Knight & the Pips, Mongo Santamaria, Ray Barretto, Herbie Mann, Sly & the Family Stone, Nina Simone

2022年2月 4日 (金)

北欧のリリシズム溢れるAlex Riel最新作。

_20220131 "Our Songs" Alex Riel / Bo Stief / Carsten Dahl(Storyville)

ブログのお知り合いの皆さんが取り上げられていて,気になったアルバムを入手したもの。実はアルバムが届いて,現物をプレイバックする前に,ストリーミングで聴いたのだが,どうもピアノの硬質な音が気になってしまい,PCで試聴した時との印象の違いに少々戸惑った。しかし,現物を聴いてみると,いい塩梅の音で,これが非常に心地よい。

このアルバムはメンバーのオリジナルに加え,ジャズマン・オリジナルやスタンダード,そして北欧の民謡やクラシック音楽を演じたものだが,基本的にはバラッド集となっていて,そこには主題の通り,北欧らしいリリシズムを感じずにはいられない。

冒頭からKeith Jarrettの"My Song"で始まり,つかみはOKなのだが,これからというところでの,4分足らずでのフェードアウトははっきり言っていただけない。それに続く2曲目の"Høstdansen"は実に現地のフォークソング的な響きを持つのだが,これは3者の共作オリジナル。この辺りはへぇ~って感じだが,お国柄みたいなのを感じさせるものである。

そして3曲目がいきなりの"Moon River"という選曲にはちょっと驚くが,これがまたリリカルで,落ち着いた演奏なのだ。次のニールセンの曲は合唱曲「フューンの春」からの1曲というチョイスだが,デンマークの同胞のよしみってところか。その後ではCarsten DahlのオリジナルでAlex Rielに捧げた"The Poet",スウェーデン民謡"Vem Kan Segla Förutan Vind"をはさんでの3曲が気になる。

その3曲とは"My Funny Valentine","Stella by Starlight",そして"Giant Steps"なのだ。まぁ,バラッド集と書いたこのアルバムにおける"My Funny Valentine"と"Stella"のチョイスはわかるとして,"Giant Steps"が実に変わっている,と言うか,この曲をこのテンポでやるのを聞いたことがないわというぐらいのスロー・テンポである。これには驚くリスナーが多いと思うが,それでも演奏として成立しており,こういうやり方もあるのかと思わせるに十分。意表を突かれる展開とはこのことである。そして,スウェーデンとデンマークの民謡で締めるという構成だが,終曲の"Drømte Mig en Drøm"が素晴らしい余韻を残すような演奏であり,これを最後に持ってくるところが憎い。完全に術中にはまったって感じだ。

ということで,久しぶりに北欧系のリリシズム溢れるピアノ・トリオを聞いたと思わされるアルバムを聞かせてもらった。星★★★★☆。やはりお仲間の情報は重要だと改めて思った次第。余談ながら,Bo Stiefと言えば,Bob Bergも参加したNiels Lan Dokyの"The Truth: Live at Montmartre"以来ってところだが,あのアルバムからはもう35年近く経過していたのねぇ...。

Recorded on June 8 & 9, 2021

Personnel: Alex Riel(ds), Bo Stief(b), Carsten Dahl(p)

2022年2月 3日 (木)

Carly Simonの懐かしのアルバム。

_20220129-2 "Boys in the Trees" Carly Simon(Elektra)

「男の子のように」である。懐かしいねぇ。私はCarly Simonの大ファンって訳ではないのだが,多分,彼女のアルバムで最初に買ったのがこれだったと思う。本作からは全米6位まで上がった"You Belong to Me"がシングル・カットされたのだが,Michael McDonaldとの共作になる同曲は,既にDoobie Brothersの"Livin' on the Fault Line"で先行発表されていた。当時,私はDoobiesに結構はまっていたので,それがきっかけでの購入という感じである。

このアルバムはArif Mardinのプロデュースも相まって,結構いいアルバムだと思える。当時はまだ別れていなかったJames Taylorも相当の貢献ぶりで,そういうところも聞きどころと言えば聞きどころであるが,基本的にはSSW的なところと,そこはかとなくファンクを感じさせるところがいいバランスで収められていると言ってよいと思う。上述の"You Belong to Me"なんて,バックはStuffの面々+David Sanbornである。なるほどねぇって感じの音になっているのはさすが。

そんな中で,James Taylorのギターとパーカッションだけをバックに歌われる"De Bat (Fly in Me Face)"だけが相当異色に響くのはちょっとバランスを崩しているなぁと思ってしまう。変化球としてこういうのを入れたくなるのはわからない訳ではないのだが,どうもこれがアルバム全体からは浮いているのが何とも惜しいのだ。基本的にはいいアルバムなのだが,私にはこの曲が瑕疵に感じられてならない。

アルバムのラストに収められている"For Old Time’s Sake"もちょっと雰囲気が違うのだが,こっちの方は映画の主題歌的な響きもあって,ポピュラー・ソングって感じもあるものの,受け入れには問題なし(笑)。

ということで,私としては好きなアルバムではあるのだが,評価としては星★★★★ってところ。

Personnel: Carly Simon(vo, g), James Taylor(g, vo), Cornell Dupree(g), Eric Gale(g), Jeff Mironov(g), John Hall(g, vo), Hugh McCracken(g), Hamish Stewart(g, vo), Omnie McKintyre(g), Stu Scharf(g), Richard Tee(el-p, p), Ken Bischel(p, el-p, synth, autoharp), Don Grolnick(el-p, synth), Gordon Edwards(b), Will Lee(b), Tony Levin(b), Steve Gadd(ds), Crusher Bennett(perc), Rubens Bassini(perc), David Sanborn(as), Joe Farrell(fl), Michael Brecker(ts), Phil Bodner(oboe), David Carey(marimba), Harvey Estrin(recorder), George Marge(recorder), Margaret Ross(harp), Grolia Agostini(harp), Lutehr Vandross(vo), Roderick George(vo), Ken Williamas(vo), Alyla Orme(vo), Lucy Simon(vo), Joanna Simon(vo), Steven Dickson(vo), Marc Embree(vo), Cissy Houston(vo), Alex Ligertwood(vo) with horn

2022年2月 2日 (水)

Road to Qatar: 終わってみれば完勝だったサウジアラビア戦

Ito-goal

久々のサッカー・ネタである。FIFA W杯に向けてのアジア最終予選も佳境に入り,日本代表が入ったB組では,サウジアラビア,日本,オーストラリアの3強状態となり,サウジの優勢は動かないものの,どこがW杯に出場するかはまだわからない。

そんな中でのホームにサウジアラビアを迎えた日本代表は,絶対勝ちが必要な試合で,先の中国戦を見る限り,どのような試合を展開するかが心配された。いろいろ言われる中国戦であるが,勝つには勝ったものの,まさに実につまらない試合をしたってことだが,あのままではサウジ戦もどうなったものかはわからんと思われても仕方がない。しかも,2センター・バックの吉田と富安を怪我で欠くという緊急事態は継続中である。

しかし,終わってみれば,完勝と言ってよい試合だったのは意外とも感じられるが,サウジアラビアに決定的なチャンスを与えることもなく,逆に言えば拍子抜けのような試合であった。日本代表はプレスもまぁまぁ効いていたし,インターセプトも結構多かったから,正直安心して見ていられる試合だったのだが,むしろサウジアラビアの実力なんてあんなものかと思わせるものだったと言ってもよい。あの程度のチームにグループの首位を走らせること自体がおかしいってことになると思えた。

そうは言いながら,攻撃はMF伊東純也のスピードでサウジをかく乱したと言えるもので,誰がどう見たってMoM(Man of the Match)は伊東である。センタリングの精度はまだまだ上げないといけないと言えども,一人で持ち込むことができるスピードスターとして,相手DFの脅威になったこと必定。2点目のゴールとなった伊東のシュートは,なかなか見られないあれこそBeautiful Goal!であった。アジア最終予選におけるこれまでの伊東の活躍を見れば,次戦のオーストラリアは伊東に警戒を強めることは間違いないが,伊東はそれを個人で打開もできれば,ほかのプレイヤーがそこに生まれるスペースを活かすことも可能になるということで,日本の決定的な武器となりえることを実証した試合であった。

伊東の活躍が目立ち過ぎているが,先制ゴールとなった南野のシュートは,GKに当たりながらの得点というラッキーなものだったが,ここは伊東からのクロスを敢えてスルーした大迫を褒めるべきだろう。FWとしては「俺が,俺が」となるところであり,あのスルーはサウジアラビアにとって想定外だったはずで,完全に南野がフリーになっていた。

その得点にも伊東は絡んでいた訳で,現在の日本代表のエース(あるいはジョーカーか)は伊東純也をおいてほかにない(きっぱり)。次戦の本当の天王山となるアウェイでのオーストラリア戦での,更なる活躍を期待したくなるナイスな働きであった。そして,吉田,富安の穴を埋めた谷口,板倉の仕事ぶりもちゃんと評価したいし,ほかのメンバーの働きもどれも文句のつけようがないものだったと思える。これほどの完勝ってことは,やっぱりサウジアラビアが大したことがないってことの裏返しだと思うんだけどなぁ(笑)。

オーストラリアとの次戦が日本にとっての事実上の代表決定戦だ。くそったれ強欲DAZNのせいで地上波でもBSでも中継は見られないが,ネットでのリアルタイム情報を見ながら応援することにしよう。敢えて言っておくが,くそったれ強欲DAZNは,にわかを含めた日本の全サッカー・ファンをすべて敵に回したと思うべきだ。そんなサービスと誰が契約するか,ボケ!日本サッカー協会ももうちょっと考えろや!!

2022年2月 1日 (火)

気楽に聞けないKing Crimson:90年代ダブル・トリオ期のライブ音源。

_20220129 ”B'Boom: Official Bootleg - Live in Argentina" King Crimson(DGM)

昨年末の日本ツアーが最後のライブだったという話もあるKing Crimsonだが,Robert Frippはこれまでも前言撤回してバンドを復活をさせているので,またやってくれるのではないかと思っているファンも多いのではないか。

それはさておきである。本作は1990年代にKing Crimsonが2ギター,2ベース,2ドラムスのダブル・トリオ化した時期のライブ・アルバム。ライブで展開される音楽そのものは,80年代の4人の時のバンドから大きな変化はないとしても,ダブル・トリオしたことによって,更に響きはヘヴィーな感じになっている。そんな音楽だから,気楽に聞くって感じの音楽ではないが,King Crimsonというバンドが体現し続けてきた,ハードなプログレッシブ・ロックがここでも全編を通じて展開される。それをヌーヴォー・メタルと呼ぼうが何でもよいが,とにかく弛緩する瞬間がほとんどないので,聞き通すには相応の体力が必要である。

私は彼らの音楽は好きだが,私ぐらいの年齢になると,この2枚組を通しで聴くのは結構きついってのも正直なところである。それでもこの音楽から感じられるスリルってのは,この人たちならではってところであり,今回久しぶりに聞いても,締めあげられる感覚を覚えてしまった,Mっ気丸出しの私である(爆)。星★★★★☆。

Recorded Live in Argentina in October, 1994

Personnel: Robert Fripp(g, synth), Adrian Belew(g, vo), Tony Levin(b, stick, vo), Trey Gunn(stick, vo), Bill Bruford(ds, perc), Pat Mastelotto(ds, perc)

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