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2022年1月 5日 (水)

私が評価できないBrad Mehldauのアルバム。

_20211231"Anything Goes" Brad Mehldau(Warner Brothers)

このブログを定期的にご覧頂いている方であれば,私がBrad Mehldauの相当のファンであることはご承知だと思う。ピアニストとしてのBrad Mehldauの魅力に痺れて,公式音源のコンプリートを目指す(+注目すべき音源はブートも仕入れる)ような私であるから,Brad Mehldauの音楽についてはほぼ好意的に評価しているというのが事実である。しかし,そんな私でもこれは駄目だなと思える例外的な音源もあるのだ。それがこの"Anything Goes"である(ほかにも評価していないものもあるが,またそれは別途...)。

私がBrad Mehldauに痺れるのは,曲の美しさを活かしながらも,独自のピアノ・スタイルを打ち出すところにあるのだが,このアルバムが気に入らないのは,明らかに策に溺れたという感覚を与える演奏が存在するということだ。冒頭の"Get Happy"然り,終盤の"Smile"然りである。何度聞いても,ちっともいいと思えない演奏というのはこういうものだろうと思わざるをえない。それは久々にこのアルバムを取り出して聞いてみても変わらないのだ。

もちろん,全部が悪いと言っているのではない。ラストの”I've Grown Accustomed with Her Face"等は相応に魅力的に響く(と言っても,もっとよく出来たはずだとも思っている)し,このアルバムではPaul Simon作の"Still Crazy after All These Years"を選曲したことは非常に重要だと思う。しかし,そうした要素をもってしてもネガティブに評価せざるをえないような演奏を入れてしまったのが,私としてはどうしても解せないし,納得がいかないのだ。

今にして思えば,本作がJorge Rossyとの最終作となった訳だが,それは「策を弄し過ぎた」ことによるトリオとしての煮詰まり感のようなものを,Jorge Rossyに与えたのではないかとさえ勘繰ってしまうのだ。私にとっては,何度聞いても好きになれない鬼門のようなアルバムと言ってよいが,Brad Mehldauとて,傑作ばかりを産んでいる訳ではないということを証明している。星★★★。

しかしながら,こういうアルバムを聞いたとしても,Brad Mehldauが私にとっての最重要ピアニストであることには何の変りもない(きっぱり)。本作は失敗作だとしても,次の東京でのソロ・ライブのようなアルバムを出して,ちゃんとリカバリーするところが大事なのだ。

Recorded on October 8 & 9, 2002

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jorge Rossy(ds)

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