Alan Broadbent:実に趣味のよいトリオだ。
"Personal Standards" The Alan Broadbent Trio(Concord)
Alan Broadbentの名前はIrene Kralの伴奏者として意識したのが最初だったと思う。その後,Charlie HadenとのQuartet Westでも知名度が上がっていたが,このアルバムはAlan Broadbentが全編オリジナル(1曲だけベースのPutter Smith作)を演奏したトリオ・アルバム。Alan BroadbentはPat Methenyの"From This Place"でも素晴らしいオーケストレーションを提供して,アレンジャーとしても凄いところを見せたが,本業たるピアニストとして97年にリリースしたのがこのアルバム。
そもそもConcordレーベルということで,趣味のよいアルバムになることは想定内であったが,これが実にリリカルなピアノを聞かせるナイスなアルバムなのだ。私がこのアルバムを購入する気になったのは,ドラマーがBill Evansトリオの最後のドラマーとなったJoe LaBarberaであったこともあったが,ジャケもまたいい感じなのがよかった。
そして出てくる音楽はこちらの期待通りの楚々としたピアノ・トリオである。ピアノ・タッチは美しく,曲もなかなか魅力的ということもあって,愛聴するというほどは聞いていないが,絶対売らない「一軍」アルバムとしての位置を確保している。全編を通して,スローでも,ミディアムでも,アップ・テンポでも実に心地よく時間が流れていく好アルバム。存在そのものがあまり知られていないかもしれないが,埋もれさせるには惜しい作品。最初に聞いた瞬間から私はこのアルバムが好きだと思ったが,今回改めて聞いても,やっぱりよかった。認知度向上のためにも星★★★★☆としよう。
ディスクそのものは,中古ではいくらでも手に入るので入手困難という訳ではないが,ご関心をお持ち頂けた方は,まずはストリーミングでどうぞ。
Recorded on October 7 & 8, 1996
Personnel: Alan Broadbent(p), Putter Smith(b), Joe LaBarbera(ds)
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