現代音楽的なミニマル度も示す田中鮎美のECMリーダー作。
"Subaqueous Silence" 田中鮎美トリオ(ECM)
ECMからリーダー作をリリースした日本人ミュージシャンは菊地雅章,児玉桃,福盛進也,そして旦那のSchiffとデュオ作を持つ塩川悠子だと思うが,そこに加わったのが田中鮎美である。この人,Thomas Strønenのアルバムにも参加しているのは認識していたが,私はそちらは未聴。今回はリーダー作ということもあり,購入と相成った。
そもそもECMに相応しい"Subaqueous Silence(水中の静寂)"なんてタイトルを持つこのアルバムであるが,冒頭の"Ruins"からして,実にミニマルな響きであり,ジャズ的な熱狂とは全く無縁の世界。私はこの曲を聴いていて,能を想起していたのだが,「間」を重視するところは,先日記事をアップした高橋アキのJohn Cage集にも通じるところがある。つまり,かなり現代音楽的な響きと言ってもよい。バックもリズムを刻む訳ではないし,ややフリーな展開も交えるものの,基本的には実に冷え冷えとした感覚を持つアルバムである。まぁ,"Subaqueous"なのだから,温かみとは無縁という気もするが,これはもはやジャズの概念だけで捉えることは難しい音楽と言ってもよい。
私としてはこういう音楽に対する耐性があると思っているが,一般的なリスナーには結構ハードルが高いと思える。しかし,34分程度という収録時間もあって,あっという間に聞き終えてしまうようなアルバムなので,そう抵抗感もなく時は過ぎていくかもしれない。現在,田中鮎美はノルウェー在住であるが,ノルウェーという場所もあって生まれた音楽と言うこともできるように思う。そんな響きに身を委ねていればよいというところだろう。星★★★★。このトリオ,生で聞いたらどういう感覚を生むのか興味あるなぁ。
Recorded in June 2019
Personnel: 田中鮎美(p),Christian Meaas Svendsen(b),Per Oddvar Johansen(ds)
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コメント
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こんばんは。
書き方はお互い違いますが、おおむね同じ感想だったので、ホッとしています。ECMのピアノトリオでも、少しハードル高めの方が個人的には好みです。そして北欧にどっぷりはまっている感じも、いいなあ、と思いますし。
当方のブログアドレスは以下の通りです。
https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2021/11/post-d71f9c.html
投稿: 910 | 2021年11月12日 (金) 20時38分
閣下、リンクをありがとうございました。
ご本人もジャズの範疇とか考えてないとおもいますし、
現代音楽にお詳しい閣下や910さまがそう思うならば、きっと、そうなんでしょうねぇ。
この「間」が独特で、真似できるものではないと感じます。
私のリンクも置いていきます。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-319e40.html
投稿: Suzuck | 2021年11月13日 (土) 08時52分
910さん,おはようございます。リンクありがとうございます。
>書き方はお互い違いますが、おおむね同じ感想だったので、ホッとしています。
こういう音楽を表現するのは難しいですよね。
>ECMのピアノトリオでも、少しハードル高めの方が個人的には好みです。そして北欧にどっぷりはまっている感じも、いいなあ、と思いますし。
確かにハードルは高いですね。北欧もいろいろですが,極北の響きって気もしました。ECMもいろいろですよねぇ。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年11月13日 (土) 08時53分
Suzuckさん,おはようございます。リンクありがとうございます。
>ご本人もジャズの範疇とか考えてないとおもいますし、
>現代音楽にお詳しい閣下や910さまがそう思うならば、きっと、そうなんでしょうねぇ。
まぁ感覚的なものですが,この能の世界すら想起させる間はジャズの範疇では捉えきれません。
>この「間」が独特で、真似できるものではないと感じます。
まさしくその通りですね。次なる展開やいかにって思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年11月13日 (土) 09時03分
こんばんは。弊ブログにコメントありがとうございました。
彼らのライヴは2回聴いていて、かなり度数の高いアヴァンギャルドなんだけど、音の美しさを聴かせる、音響そのものが魅力でした。独特の譜面を使ったアプローチ。
そこからすると、ECM的側面をフィルタリングした聴きやすいアルバムだと思いました。近年のECMの音は残響過多で気にくわないことが多いのですが、これは合格。よかったです。
https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2021/11/10/183441
投稿: K's Jazz days | 2021年11月21日 (日) 21時59分
K's Jazz daysさん,こんにちは。リンクありがとうございます。
>彼らのライヴは2回聴いていて、かなり度数の高いアヴァンギャルドなんだけど、音の美しさを聴かせる、音響そのものが魅力でした。独特の譜面を使ったアプローチ。
既にライブで聴かれているというのが凄いです。静的アバンギャルドゆえの響きってのもあるんだろうと想像します。音だけで聞かせてしまうって感じですかね。決して聞き易い音楽ではないですが,魅力的な音場だと思いました。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年11月23日 (火) 13時07分