Marc Johnsonのベース・ソロ・アルバム。ジャズ的な響きがあって実によい。
ECMレーベルにはベーシストによるソロ・アルバムというのが結構存在する。これは総帥Manfred Eicherが元々ベーシストだからというところもあるとは思うが,これだけベース・ソロ・アルバムを作っているレーベルというのはECMをおいてほかにあるまい。私のようなECMレーベル好きにとってはそれほど抵抗はないとは言え,一般的なジャズのリスナーにとってはベース・ソロのアルバムは多少なりとも敷居が高いことは間違いないと思う。かく言う私だって,少なからずビビる(爆)。
だが,このMarc Johnsonのベース・ソロ・アルバムはそこかしこにジャズ的な響きが感じられ,小難しいところがないので,比較的受け入れやすいはずである。そもそも本作の制作はMarc Johnson本人と奥方のEliane Elias,そして録音はサンパウロである。Manfred EicherはExecutive Producerとクレジットされているので,持ち込み音源,もしくはMarc Johnsonにお任せでEicherが作らせたものって感じか。しかもミキシング・エンジニアは何とPat Metheny GroupのSteve Rodbyである。
このアルバムがジャズ的だと思わせるのは冒頭から"Freedom Jazz Dance",そして"Nardis"と続いて敷居が下がるところもあるが,3曲目にアルコとピチカートの多重録音で演じられる"Samurai Fly"は,懐かしや"Bass Desires"で演じられた"Samurai Hee-Haw"ではないか。これだけで嬉しくなってしまうリスナーも結構多いと思える。更にそれに続くのが「スパルタカス 愛のテーマ」ときては,ちゃんとジャズのリスナーを意識して作っているということがはっきりすると言ってもよい。
前半4曲が比較的馴染み深い曲を並べ,後半4曲はそれほど認知されていないであろうMarc Johnsonのオリジナル(新曲?)を並べるという構成だが,選曲はさておき,全編を通してMarc Johnsonのベースの音が実に魅力的に捉えられているのが素晴らしい。Marc Johnsonのベースはテクニック云々を越えて,この音でリスナーを魅了するのだと言いたくなるような音である。演奏だけでなく,音そのものも評価すべきアルバム。繰り返しのプレイバックに耐えるのはこの魅力的なベース音ゆえだと言いたい。星★★★★☆。
Recorded in January and February, 2018
Personnel: Marc Johnson(b)
« またもブートの話。今日はBob Bergの放送音源。 | トップページ | またブートかよ?と言われそうだが,今度は"The Mad Hatter" ~ "Secret Agent"期のChick Coreaの実況音源。 »
「ECM」カテゴリの記事
- 追悼,Ralph Towner。(2026.01.20)
- 2025年の回顧:音楽編(その2::ジャズ)(2025.12.29)
- Dino Saluzziの新作は哀愁度高く心に沁みるアルバムであった。(2025.12.17)
- "The Köln Concert: 50th Anniversary Special Edition"を入手。無駄遣いと言われればその通りだが。(2025.12.14)
- 全然ECMっぽくないのだが,音に痺れるジョンスコ~Dave Hollandデュオ。(2025.11.29)
「新譜」カテゴリの記事
- Walter Smith IIIのピアノレス・トリオ盤をストリーミングで聞いた。(2026.03.13)
- またもAlice Sara Ottが放つ超美的ピアノ音楽。(2026.03.11)
- クリポタの新譜への期待が高まる。(2026.03.08)
- Jeremy Peltの新作をストリーミングで聞く。タイトルに込めた意図ほどは激しくはないがいい出来だ。(2026.03.05)
- Kris Davisによる越境型音楽。もはや現代音楽と言った方がよいだろう。(2026.02.24)
「ジャズ(2021年の記事)」カテゴリの記事
- 2021年の回顧:音楽編(2021.12.30)
- Alan Broadbent:実に趣味のよいトリオだ。(2021.12.25)
- ホリデイ・シーズンに取り出したアルバム。(2021.12.24)
- Art Blakey & the Jazz Messengers初来日時の記録:悪いはずがない。(2021.12.23)
- Johnathan Blake:やはりこの人ただ者ではない。(2021.12.22)
コメント
« またもブートの話。今日はBob Bergの放送音源。 | トップページ | またブートかよ?と言われそうだが,今度は"The Mad Hatter" ~ "Secret Agent"期のChick Coreaの実況音源。 »





































































こんばんは。
このアルバム、曲も親しみやすい曲が比較的多めなのですけど、ルート音を出しながらそこにメロディを乗せている場面が多いので、割と普通に曲っぽく聴かせているのが功を奏しているのでは、と想像しています。ECMのベース・ソロのアルバムの中では一番聴きやすいのではないかなあ、と思います。
当方のブログアドレスは以下の通りです。
https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2021/08/post-605e6d.html
投稿: 910 | 2021年10月18日 (月) 21時54分
910さん,こんばんは。リンクありがとうございます。
>ECMのベース・ソロのアルバムの中では一番聴きやすいのではないかなあ、と思います。
やっぱりそうですよねぇ。私もいろいろ聞きましたが,これが一番耳に馴染みました(笑)。まぁ,ほかのも好きですけど...。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年10月18日 (月) 22時42分
閣下、リンクをありがとうございました。m(_ _)m
ベース一本ででここまで聴かせるって、やっぱり、凄腕ですよね!
集中して一気に聴き通せますよね。
私も、聴きやすいアルバムだとおもいました。
私のリンクです。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2021/08/post-9290d8.html?cid=120627216
投稿: Suzuck | 2021年10月19日 (火) 12時42分
Suzuckさん,こんばんは。りんくありがとうございます。
>ベース一本ででここまで聴かせるって、やっぱり、凄腕ですよね!
はい。単にテクニックをひけらかすのではなく,音楽として成立しています。
>私も、聴きやすいアルバムだとおもいました。
やはりそう思われますよね。ベース・ソロでありながら,訴求力高いです。いいアルバムでした。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年10月19日 (火) 20時47分