私の好物と言ってよい定冠詞付きの現代音楽,ブーレーズのピアノ曲全集。
"Pierre Boulez: Constellation-Miroir" Michael Wendeberg / Nicolas Hodges(Bastille Musique)
私が現代音楽のピアノ曲が結構好きなことは,おそらくこのブログの読者の皆さんにはバレていると思うが,そうした私の趣味嗜好に合致するアルバムの登場である。
私にとってはPierre Boulezは指揮者としての位置づけの方が強く,彼の作曲した音楽にはほぼ接することなく過ごしてきたと言ってもよい。だが,彼の指揮する音楽にはなるほど,そういうこともあるよなと感じさせるような理知的な解釈が感じられて実に面白いと思うことも多かった。最も印象深かったのはロンドン響とやったベルリオーズの「幻想」だったかもしれない。「断頭台への行進」のテンポの設定って,まさに解釈としてはこれが正しいのではないかと思っていた。
それはさておきである。このアルバムはそのBoulezのピアノ曲をすべて録音したアルバムということらしい。そこには主題の通り,"The 現代音楽"と言ってよい響きがディスク2枚に渡って収められている。私が現代音楽のピアノ曲を聴く場合,何が好みかと言えば,そこに示される「間」なのだが,ある意味フリー・ジャズの時として苛烈な音列と対極にあるような,この「間」こそが私にとって快感なのだ。そして,このアルバムもそれがたまらないのだ。
世界発録音を含む二手と四手のピアノ曲の集成として,それはそれとして価値があると思えるが,私としてはそれよりもこの響きに身を委ねていることが重要ということで,実に邪な聞き方と言われても仕方ない。それでもこの清冽な響きこそが,私が現代音楽のピアノに求めるものである。リリースされたことの重要性も含めて星★★★★★としよう。
それにしても,本作をリリースしたBastille Musiqueというレーベル,パッケージングには相当のこだわりを持っているようだが,ボックスの体裁は昔のブートレッグのようでもある。しかし,箱を開けると結構凝った作りって感じなのはユニークだと思った。これもレーベルとしてのこだわりなのかもしれないが,ここまでやらなくてもって思うのも事実。まぁ,でも音楽がよければそれでいいのだが,私としてはECMライクな方がいいなぁ(笑)。
Recorded between 2018 & 2020
Personnel: Michael Wendeberg(p), Nicholas Hodges(p)
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