2021年9月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

2019年おすすめ作

無料ブログはココログ

« 2021年6月 | トップページ | 2021年8月 »

2021年7月31日 (土)

Johnny Hartman, 何とも渋い声だ。

_20210731 "Live at Someday" Johnny Hartman(Trio)

ジャズ・ヴォーカルをあまり聞かない私であるが,男性ヴォーカルとなると更に聞かない(笑)。アルバムとして持っているのはMel TorméとJimmy Scottぐらいか。そんな中で別格として捉えるべきは"John Coltrane And Johnny Hartman"であることは論を待たない(記事はこちら)。それでも,Johnny Hartman名義のほかのアルバムは聞いたことがなかった。

そんなところに,今回,このアルバムが廉価盤で出たので購入してみたのだが,何とも渋いバリトン・ヴォイスがここでも聞ける。しかも伴奏はRoland HannaとGeorge Mrazのデュオなのだから,渋さに輪を掛けるってところだ。ライナーによれば,伴奏の二人が参加するNew York Jazz Quartetのゲストとして来日した際に,Johnny Hartmanメインでクラブ出演したということのようだ。

選曲はこのアルバムのオリジナル・リリース・タイミングもあって,冒頭はいきなり"Feelings"である。日本ではハイ・ファイ・セットが流行らせたねぇなんて思ってしまうのは,私の年齢ゆえってところか。それに続くのも「追憶」だしなぁ。この辺の選曲はどうなのよ?って話もあるが,聴衆には受けている。それにしても,Johnny Hartmanの声で,かつスロー・テンポでこんな曲を歌われると,マジで歌がうまいねぇと思ってしまう。

まぁ,こういうアルバムはグラスでも傾けながら聞くのが適切だとは思うが,落ち着きに満ちたマジで渋いアルバム。名盤ってほどではないが,相応に楽しめることを評価して,半星オマケで星★★★★。

Recorded Live at Someday on October 13, 1977

Personnel: Johnny Hartman(vo), Roland Hanna(p), George Mraz(b)

2021年7月30日 (金)

感慨深いこの日。

私が還暦を迎えたことは既に書いた。そして,本日が現役の会社員としては最終営業日となった。つまり定年退職である。来月からは再雇用によりシニア従業員となる訳だが,こうなってくると,ブログのタイトルも「中年音楽狂日記」からの変更を真剣に考えないといけないと思う。

会社員生活を37年もやっていれば,いろいろなことがあったが,国内外含めて,いろいろなところへ行けたのは体力的に厳しいこともあったが,やっぱり楽しい経験であった。シニア従業員になると,海外渡航のチャンスはおそらく大きく減少するだろうが,後進に道を譲る必要もあり,それは仕方がないことと諦めよう。

ということで,”Life Goes On.”ではあるのだが,一応今日が節目の一日。でも何にも変わらないんだが(笑)。

2021年7月28日 (水)

Cecil Taylorのソロを聞いて,つくづく生で観たかったと思う。

_20210727 "Solo" Cecil Taylor(Trio)

2012年にCecil TaylorはBlue Note東京で公演予定があったのだが,キャンセルになってしまったのは返す返すも残念であった。来日できるとしても,おそらくそれが最後になるだろうという思いもあったので,私はすかさず予約を入れていたのだが,結局その後Cecil Taylorは亡くなってしまい,私がCecil Taylorのライブに接する機会は永遠に絶たれてしまった。

そんな残念な思いを更に増幅させるのがこのアルバムである。私は本作のLPも保有していたが,その頃はCecil Taylorの本質を理解できていなかったこともあり売ってしまった訳だが,今般,廉価盤でリリースされたこともあって再購入して聞いたのだが,やはりこれは凄いテクニックだと思ってしまった。このような演奏を生で観ていたら,確実に悶絶していただろうと思うとことさら残念な思いが募る,実に素晴らしい演奏である。

これがCecil Taylorにとって初のソロ作品だったとのことであるが,それが来日時に日本のレーベルに吹き込んだ作品であったといこうことは,日本のジャズ史においても誇るべき事実だと思える。わずか31分程度の演奏ではあるが,素晴らしい集中力を感じさせる演奏で,あっという間に時間が経過してしまう。こんな素晴らしい演奏を理解できていなかった私はまだまだ甘かったなぁと改めて反省したのであった。

フリーではありながら,筋が通ったフリーは誰が聞いても魅力的なはずだが,一般人にはやはりハードルは高いだろうと思わせる。それでも廉価でこのようなアルバムが聞けるのは実に幸せなことだと思う私である。星★★★★★。やっぱり生で観たかった...。

Recorded on May 29, 1973

Personnel: Cecil Taylor(p)

2021年7月27日 (火)

オリンピックで男女サッカーを見ていて思うこと。

Photo_20210726181801 今回の東京オリンピックには様々な批判があるのは事実であり,何よりもせっかく世界の一流アスリートが集まりながら無観客はあまりにも寂しい。それはやむを得ないことだとして,私はいろいろな協議をTV観戦する中で,サッカーについてはどうしても言っておきたいことがある。

まずはU-24日本代表であるが,南アフリカ,メキシコを連破して現在勝ち点6でグループ首位というのは素晴らしい。メキシコ戦の前半を見ていると,アグレッシブな攻撃や,詰めの早さ等,見ていてA代表の試合より面白いとさえ思ってしまう。2点リードした後半はディフェンシブになって,メキシコがレッド・カードで一人退場になっても,守勢に回ってしまったのはちょっとなぁと思うが,前半の戦いぶりはまさに見事と言ってよかった。同じようなことは南アフリカ戦でも感じたが,結局は攻撃は最大の防御というところである。オーバー・エイジの3人の貢献度も大きいのはもちろん,タレントも揃っている。あとはフランス戦にも勝って,グループ・リーグをトップで突破して,更に上を目指してもらいたい。

その一方,なでしこの体たらくには本当に失望した。初戦のカナダ戦は何とかドローに持ち込んだものの,イギリス戦は一方的な展開でパスを回されて,プレスもかけられない,攻撃にもスピードもイマジネーションも感じられないのでは,予選リーグの突破などおぼつかないとしか言いようがない。なでしこが強かった頃に比べれば,決定的にタレントが不足しているというのも事実だが,そもそも勝利に対する執念が感じられない。だから見ていてイライラしかしないのだ。テスト・マッチで連勝をして調子に乗っていたのかもしれないが,結局は戦った相手が弱かっただけであり,いまのなでしこには世界と伍して戦う実力がないことを認識すべきだ。

Pk 象徴的だったのがU-24のメキシコ戦,なでしこのカナダ戦でのPKである。メキシコ戦は堂安が名キーパー,Ochoaに対してど真ん中に蹴り込んだのに対し,カナダ戦での田中は枠に入れることを優先して,全く勝負になっていないようなPKを蹴ったことだ。田中のPKは外すことを怖がって,安易なキックを止められるべくして止められたのだ。これはもはやメンタルの違いとしか言いようがないが,なでしこが勝負をしていないことを示している。そもそも田中は頭抱える暇があったら,ルーズ・ボール追い掛けろよと言いたい。

私はU-24は次戦も応援するが,なでしこの試合は全く期待できないし,失望させられるだけなのでもう見ないだろう。イギリス戦を振り返って「全員集中していましたが,一つのプレーで仕留められてしまいました。向こうの思ったようなゲームプランになってしまったと思います」なんてお気楽なコメントを残す高倉監督はさっさと解任すべきだ。

2021年7月26日 (月)

Tedeschi Trucks Bandによる"Layla"再演セッションなのだが...。

_20210720 ”Layla Revisited: Live at Lockn’” Tedeschi Trucks Band Featuring Trey Anastacio(Fantasy)

Allman Brothers Bandとも縁深いだけでなく,Derekという名を持つDerek Trucksが奥方とのバンド,Tedeschi Trucks BandでDerek & the Dominosの”Layla And Other Assorted Love Songs"をライブでカヴァーするという企画は,誰だって気になるってところだろう。しかもゲストにPhishのTrey Anastacioを迎えてのことであるから,更に注目度は増すのが当たり前である。そういうこともあって,リリースがアナウンスされてすぐにこのアルバムを発注した私である。現物が手許に届く前にはストリーミングで聞いていたが,実はその時から違和感があった。しかし,現物を聞いたら印象が変わることもあると期待してプレイバックをした私であった。

まぁ,この人たちのことであるから,水準は保つに決まっているのだが,私は現物で聞いてもどうもピンと来ない。はっきり言ってしまえば「軽い」のだ。演奏能力に問題があるはずはない。よって,この違和感はヴォーカルのせいだと思える。さすがにこういうライブであると,Susan Tedeschiが全面的に対応することは難しかろうということで,Trey Anastacioをゲストに迎えるとともに,Doyle Bramhall IIも歌って,バランスを取っていると思う。しかし,どうしても我々の耳にはオリジナルのイメージが埋め込まれてしまっていて,どうやってもそれを越えることはできなかったという印象なのだ。

ここはあくまでも別物として聞くべきものだとは思うのだが,どうしてもそうならないというのが人情なのだ。こういうのはライブ・イベントとして参加して感じるイメージと,純粋に音だけを鑑賞するのではかなり印象が異なると思えるが,私にはこれを大成功だとは思えなかったというのが実感。こういうトリビュート物には,このアルバムのように基本的にオリジナルに忠実に演奏するパターンと,ミュージシャンの個性として,解体と再構築を図るパターンがあって,前者は前者,後者は後者なりの難しさがあるが,本作はその難しさを改めて痛感させたと言ってもよいと思う。期待が大きかっただけに,ちょっと残念という気もするので,星★★★☆ということにしよう。嫌いじゃないが,どうしても没入できなかったというのが正直なところ。

Recorded Live at Lockn’ on August 24, 2019

Personnel: Susan Tedeschi(g, vo), Derek Trucks(g), Trey Anastacio(g, vo), Doyle Bramhall II(g, vo), Tyler "Falcon" Greenwell(ds), J.J. Johnson(ds), Gabe Dixon(key, vo), Brandon Boone(b), Mike Mattison(vo), Mark Rivers(vo), Alecia Chakour(vo), Kebbi Williams(sax), Ephrain Owens(tp), Elizabeth Lee(tb)

2021年7月25日 (日)

リリース50周年の"Blue"を改めてアナログで聴く至福。

Reprise-albums ”The Reprise Albums(1968-1971)" Joni Mitchell (Rhino)

アーカイブ音源のリリースも行われているJoni Mitchellであるが,未発表音源の第2弾は10月にリリースが予定されている。その前に,Repriseレーベル時代の初期4枚がアナログ,CDでボックスでリリースされた。私はこれらの音源は全てCDで保有しているのだから,それでいいじゃんという話もあるのだが,どうしてもアナログの方が欲しくなってしまって,ついつい購入してしまった。あぁ,無駄遣いと思いつつ,やはりリリースから50周年となる名盤の誉れも高い"Blue"を新たにリマスターされたアナログで聞きたくなったというのが一番の理由と言ってもよい。

そして,このボックスがデリバリーされ,やはりいの一番に聴いたのが"Blue"である。ほかの3枚はこれからじっくり聞くが,やはりアナログで聴くこのアルバムの味わいは格別って気がする。私は常々,Joni Mitchellの最高傑作は「逃避行」だと思ってきたが,やはり"Blue"も素晴らしいアルバムであり,「逃避行」と双璧と言ってもよいと改めて感じた。どっちが好きかと問われれば,変わらず「逃避行」と答えるだろうが,"Blue"はなんてたって,Rolling Stoneの”500 Greates Albums of All Time"の第3位である。その上には”What’s Going on"と"Pet Sounds"しかないのだ。

私は"Blue"に関しては旧盤のCDは売ってしまったが,今でも紙ジャケ国内盤,Rhinoからの紙ジャケ盤と保有しているのだから,更に今回のボックスを買うのはアホだとしか言いようがないが,重要なのはアナログであることである。今回のボックス,CD版もリリースされているが,私は最初からアナログしか買う気がなかった。家人には絶対理解してもらえないだろうが,いいのである。これがファンってものだ(と開き直る)。

ターンテーブルにレコードを乗せて,改めて"Blue"を聞いて,やっぱりこれはアナログで聞いた方がいいかなぁなんて思いながら,幸福感に浸った私であった。某ショップではなんでこの値段?みたいな価格になっているが,私はポイントとかを使って許せる価格での入手できたので,何の文句もない。一生の宝とするに値するボックスである。当然のことながら星★★★★★以外はない。

それにしても,Joni Mitchellが全部アナログで再リリースするとなったら,私は全部買ってしまうのか?十分あり得る話なので,貯金しておこうっと(笑)。でも置く場所がない...。

2021年7月24日 (土)

久しぶりに聞いたら,随分印象が変わったFringeのアルバム。

_20210719"The Fringe in New York" George Garzone(NYC)

私の中ではこのアルバムってもっと敷居の高い,というかなかなかハードな印象のあるものだったのだが,久しぶりに聞いたら全く印象が違ってびっくりしてしまった。

The FringeはGeorge Garzoneのピアノレス・トリオで,フリーに近いアプローチで演奏するバンドというイメージなのだが,そのFringeがMike Mainieriが主宰するNYCレーベルからアルバムをリリースし,しかもMainieriがゲスト参加してしまうとどういうことになるのかってことに関心があって,このアルバムを購入したと記憶している。GarzoneはNYCレーベルからアルバムもリリースしており,Fringe以外の初リーダー作もNYCレーベルからだったが,このレーベルでFringeまで出すとは思っていなかった。よっぽどMike MainieriがGeorge Garzoneに心酔していたってことだろうと思える。しかし,私にとっては,以前聞いた時の感覚では,このレーベルらしからぬハードな演奏だと思っていたので,プレイバック回数は結構限られていた。

それを気まぐれで久しぶりに聞いてみると,まぁハードはハードなんだけれども,全然厳しいとは思わない。結局は私の第一印象による思い込みであったということに気づく。もちろん聞き易い音楽ではないので,万人にはお勧めできない。だが,これもGeorge Garzoneの個性を知るという意味では聞いておいて損はないと思えた。George Garzoneという人は,教育者としての顔が勝っているようなところがあって,なかなか個性がつかみにくい人ではあるのだが,森山威男との共演でもハードな吹きっぷりで楽しませてくれたし,テナー・プレイヤーとしても無視はできないと思ってしまう。いずれにしても硬軟取り混ぜて吹けてしまう人だが,優しいGarzoneは私が2019年のベスト盤の一つに選んだ”3 Nights in L.A."(記事はこちら)で聞ける。

ここではハードな方のGeorge Garzone全開であるが,完全フリーにもならず,そこそこハードなジャズに耐性がある人であれば十分受け入れ可能な音楽だと思う。星★★★★。でもやっぱりつかみどころがないわ(笑)。

Recorded on June 12 & 13,2000

Personnel: George Gazone(ts, as), John Lockwood(b), Bob Gullotti(ds), Mike Mainieri(vib)

2021年7月23日 (金)

高齢者はかくありたいと思わせるJohn McLaughlinの新作。

_20210718 "Liberation Time" John McLaughlin(Abstract Logix)

来年1月には八十歳の傘寿を迎えるJohn McLaughlinの年齢を全く感じさせない新作が届いた。ライナーにもある通り,コロナ禍による活動の制約はJohn McLaughlinの創造力に火をつけたようで,その結果がこのアルバムにつながっていると思わせる。近年のJohn McLaughlinのアルバムとは異なり,複数のメンツによる構成となっていて,曲調も結構ヴァラエティに富んでいる。いずれにしても,難しい状況の中でも,こうしたアルバムを作り上げてしまう後期高齢者たるJohn McLaughlinは還暦を迎えた私にとっても,今後のロール・モデルとしたいと思わせるに十分なものであり,主題の通り,私もかくありたいと思ってしまったのであった。

上述の通り,このアルバムは複数のバンド構成によって制作されており,現行レギュラー・バンド,4th Dimensionによる演奏はいかにもなタイトルを持つ"Lockdown Blues"1曲だけである。更にはMcLaughlinのピアノ・ソロによる2曲ってのも小品ながら実に珍しい。それでもピアノ・ソロを除けば,McLaughlinらしいハードでタイトな演奏ばかりと言っても過言ではない。ある意味,この年齢になって,まだこのような演奏を続けていること自体が,やはりこの人化け物と言わざるをえない。「よいよい」度皆無なのだ。以前にも書いたと思うが,この人,通常の生活で一体何を食べているのかと思いたくなるようなレベルである。これはもはや元気な高齢者ではなく,はるかに下の年代も軽く凌駕しているって感じなのが凄い。

そうした中で,若干異色と思わせたのが"Right Here, Rihgt Now, Right On"である。ここで聞かれるコンテンポラリーな4ビート感覚というのは,近年のJohn McLaughlinのアルバムではあまり聞けないという感じである。この多国籍バンドによる演奏を聞いていると,John McLaughlinはハード・フュージョン一辺倒でなくても,まだまだいろいろな文脈に対応可能であることを実証していると言ってもよい。だからこそ面白いし,だからこそ感心してしまう訳だ。

それにしても,相変わらず指のよく動くJohn McLaughlinである。これだけ指を動かせれば,絶対ボケないなと思わせるに十分。まだまだいけることを雄弁に物語った一作。いやぁそれにしてもよくやるわ。尊敬の念も込めて星★★★★☆。

Personnel: John McLaughlin(g, g-synth, p), Gary Husband(key, ds), Roger Rissignol(p), Oz Ezzeldin(p), Sam Burgess(b), Etienne M'Bappe(b), Jérôme Regard(b), Vinnie Colaiuta(ds), Ranjit Barot(ds, konokol), Jean Michel 'Kiki' Aublette(ds, b), Nicolas Viccaro(ds)

2021年7月22日 (木)

実にユニークな選曲のRickie Lee Jonesのカヴァー・アルバム。

_20210717-2 ”It’s Like This" Rickie Lee Jones(Artemis)

主題の通り,実にユニークな選曲のRickie Lee Jonesによるカヴァー・アルバムである。彼女には"Pop Pop"というこれまたユニークなカヴァー・アルバムがあったが,その続編と言ってもよいかもしれない。思うに,カヴァー・アルバムってのは,セルフ・プロデュースなら,自分が歌いたいと思う曲を自分のスタイルでって考えるだろうが,まさにそんな感じと言えばいいだろうか。そもそも"Up a Lazy River"のような古い曲,"On the Street Where You Live"のようなミュージカル曲,「言い出しかねて」のようなスタンダードに加えて歌われるのがSteely Dan,Marvin Gaye,Beatles,更にはTrafficと来ては,やはりこれはユニークだ。それがRickie Lee Jonesの若干クセのある歌い方で歌われる訳だが,私には抵抗がないとしても,彼女の歌い方は好みが分かれることは仕方がないと思う。

ここでは,参加しているミュージシャンや,アコースティック・ベースの全面的な採用により,ジャズ的な響きも相応に強く,実に渋い。こうした響きは約半分の曲で共同プロデュースを務めるBen Sidranの影響もあったのではないかと思わせる。むしろ,ジャケの見た目同様(笑),「華に欠ける」と言われても仕方がないところではある。逆にRickie Lee Jonesに派手派手しさは誰も求めないかもしれないが...。

そしてユニークなのは選曲だけではない。"Up a Lazy River"でバック・コーラスを務めるのはTaj Mahal,Dan Hicks,Ben Foldsの3人だが,この3人とは思えない結構まともな感じのコーラスとなっているのは,間違いなく意図的なものだろう。尚,この曲ではヴァイブの音が聞こえるが,クレジットには記載がない。一体誰が弾いているのか。パーカッションのBashiri Johnsonではないと思うが,だとすれば,オルガンでこの音を出したってことか?う~む,謎だ。

また,冒頭と最後にJoe Jacksonをピアノ,ヴォーカルでゲストに迎えるというのもこれまた意図的だろうし,Joe Jacksonは"For No One"でもピアノを弾いていて,ナイスな助演ぶりである。

こうした助演の面白さもあって,なかなか楽しめるアルバムだとは思うが,やっぱり地味な感じは否めない。決して悪い作品ではないのだが,チャートも最高位148位ってのも仕方がないかなってところだろう。星★★★☆。

Personnel: Rickie Lee Jones(vo, g, org), John Pizzarelli(g), Richard Davis(b), Paul Nowinski(b), Michel Elizondo(b), Carl Allen(ds), Peter Erskine(ds), Rick Marotta(ds), Bruce Brody(org), Bashiri Johnson(perc), Jeff Dellisanti(b-cl), Alex Foster(sax), Conrad Herwig(tb), Joe Jackson(p, vo), Ben Folds(p, vo), Taj Mahal(vo), Dan Hicks(vo)

2021年7月21日 (水)

Bryndle:典型的ウエスト・コースト・サウンドと言うべきか。

_20210717 "Bryndle" Bryndle (Music Masters/Pony Canyon)

このアルバムはどこかの店のバーゲン品で買ったはずだ。私が保有しているのは国内盤だが,500円ぐらいで買ったと記憶している。そんなことだけ覚えていて,りりーすされてから間もなく四半世紀ともなるのに,このアルバムもごくまれにしかプレイバックしてこなかった。まぁ,最近はストリーミングのおかげで新譜を買うペースも随分落ちているが,前はガンガン新譜を仕入れていたから,手持ちの音源を振り返る時間はそんなになかったってのも正直なところである。

だが,コロナ禍による在宅勤務の継続で,家で仕事をしながら音楽に触れる時間は増えたし,こうして古いアルバムを取り出す機会が増えてきたのは私にとってよかったと思っている。今後はおそらく在宅が基本になってくると思われるので,今後もそうした機会は維持できると思う。

それはさておき,メジャーなのかマイナーなのか微妙な線のミュージシャン4人によって結成されたバンドがBryndleである。おそらく日本で最も知名度が高いのがKarla Bonoffで,その次がAndrew GoldかWendy Waldmanか。Kenny Edwardsはミュージシャンのクレジットを眺めている人ならばちゃんと知っている。だから,メンバー全員がそこそこ知られている4人と言ってもよい。但し,決して「スーパー・グループ」とは言えないが(笑)。

そして出てくるのは典型的なウエスト・コースト・サウンド,そしてフォーク・ロックって感じの音であり,コーラス・ワークはEagles的にも響く。こういう音が好きな人間にとっては,何の抵抗もなく,かつ心地よく時間が過ぎていくと思わせる。突出した魅力っていうよりも,ベテランによる鉄壁の安定感ってところだろう。今や男性陣はこの世になく,このバンドの再結成は不可能となったが,なかなかいアルバムを残してくれたものだと思いたい。甘いの承知で星★★★★。

Personnel: Bryndle<Karla Bonoff,Kenny Edwards,Andrew Gold, Wendy Waldman(vo, instruments)> with Leland Sklar(b), Eddie Bayers(ds, perc), Scott Babcock(perc), Bob Carlenter(accor), James Ross(vla)

2021年7月20日 (火)

黒い,どこまでも黒いJames Carterのライブ。

_20210715"Out of Nowhere: Live at the Blue Note" James Carter Organ Trio(Half Note)

James Carterという人は実力は凄くあると思うし,米国ではそこそこ人気もあるのだが,日本ではさっぱりって気がする。何だかもったいないなぁと思ったのが,もう10年以上前になる大西順子の"Baroque"発売記念ライブをオーチャード・ホールで観た時だった。やっぱりこの人実力あるなぁって感じだったのだが,その後はあまりアルバムも出ていないし,活動もあまり伝わってこないのは惜しいように思える。

このアルバムはそのJames CarterがNYCのBlue Noteに自身のオルガン・トリオで出演した時のライブ盤である。正直言ってしまうと,私がこのアルバムを購入したのはJames Carterゆえではない。私をこのアルバムに惹きつけたのはゲスト参加するJames "Blood" UlmerとHamiet Bluiettであった。この二人がゲストで入れば,普通の音にはならないという期待値から買ったのが本作だったのだが,それは当たりだった(きっぱり)。もちろん,リーダーたるJames Carterの演奏がいいのだが,このゲストが与えた相乗効果が実に強烈なのだ。

冒頭の2曲はゲストなしのオルガン・トリオで演じられるが,タイトル・トラック,"Out of Nowhere"にしても,Benny Golson作の"Along Came Betty"にしても普通ではない。James Carterのサックスはフリー一歩手前まで行っていると言っても過言ではないが,こういうよく知られた曲でも激しくやってしまえるところがJames Carterの強みって気がする。しかもそれが実にはまっている。オルガンとドラムスの生み出すグルーブも良好で,これだけも文句はない。

しかし,ゲストであるUlmerとBluiettが加わることで,音から感じられる「黒さ」は「どす黒く」(笑)なっていくのだ。この感覚,実にエグいと言えばその通りなのだが,これが全くの快感である。Ulmerのオリジナル,"Highjack"でのUlmerは相変わらずのUlmerだと思わせてくれるが,私が更に興奮してしまうのはJames CarterとHamiet BluiettのCall & Response的な展開である。これが実にたまらない。自分の身体の中で血沸き肉躍るのを感じてしまうと言っては大袈裟か。それぐらいの興奮をもたらすやり取りである。更にBluiettのオリジナル,"Song for Camilla"ではバリトン対決だしなぁ。バラッドにおいて対決を挑むJames Carter,強気である。そんな彼らがBlue Noteに出てしまうというのが笑えるが,このメンツに合うクラブってどのなのかなぁなんて考えていた私であった。でもフィットするクラブが今のでは思いつかないが,新宿Pit Innなら会いそうな気も...(笑)

それはさておき,"Little Red Rooster"のようなどブルーズはわかるとして,最後のR. Kelly作の"I Believe I Can Fly"には驚いた。このメンツにはちょいとやわ過ぎないか?とも思えるポップな曲調には笑ってしまうが,聞いているうちにこれはこれでありだと思えてしまうのが不思議なところ。いずれにしても,こういうライブって観てみたいよなぁと思わせるに十分なアルバム。星★★★★☆。

Recorded Live at Blue Note, NYC on May 6-7, 2004

Personnel: James Carter(ts, ss, bs), Gerard Gibbs(org), Leonard King(ds) with Hamiet Bluiett(bs), James "Blood" Ulmer(g, vo)

2021年7月19日 (月)

休日に観た「ブラック・ウイドウ」。

Black-widow「ブラック・ウイドウ("Black Widow")」('21,米,Marvel/Disney)

監督:Cate Shortland

出演:Scarlet Johansson, Florence Pugh, David Harbour, Rachel Weisz, Ray Winstone, O-T Fagbenle, William Hurt, Olga Kurylenko

「アベンジャーズ」シリーズは映画としては完結しているが,時間軸を遡った舞台で,Black WidowことNatasha Romanoffを主役に据えた映画。

まず,なんでこれだけの大作,人気シリーズなのに,公開している劇場が少ないのかと疑問に思っていた。私はてっきり「ディズニー+」への集客のためのディズニーの陰謀かと思っていたのだが,Wikipediaによれば,全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)が「これまで通りの形式で劇場公開をしない作品については上映しない」という方針を打ち出した結果,大手配給会社が運営する劇場では上映されないということになっているかららしい。結局,業界内における内輪もめに,一般消費者が巻き込まれているだけというのは,決して映画界のためにならないと思うのだが。こういうのは落としどころをちゃんと考えるべきだろう。

まずはそういう苦言を呈しておいて,この映画であるが,シリーズの「シビル・ウォー」と「インフィニティ・ウォー」の間の時期を描いているが,主人公の出自を描くというところも目的の一つって感じである。ストーリーはこのシリーズらしい派手派手しさと特撮の無茶苦茶さがあるが,多数のヒーローが出てくるパターンではないので,すっきりまとまっているって感じではある。まぁ,それでも「家族愛」に流れてしまうのがディズニー的という感じなのはいかにもってところで,その辺は評価がわかれるところではないか。まぁ,私としては星★★★☆ぐらいとしておこう。それにしても,背景で流れるDon McLeanの"American Pie"は懐かしかったねぇ。

本作には「慰めの報酬」でボンド・ガールを務めたOlga Kurylenkoが,超強力な敵役で出てくるが,まぁこれはゲスト出演みたいなものと思えばいい感じか。

ついでに言っておくと,エンド・クレジット中に席を立つのは観る側の勝手だが,Marvelの映画はエンド・クレジット後に次への伏線描写があるのが常である。今回もそうだったが,続編的スピンアウトを作る気満々なのか?って感じで笑ってしまったが,そこまで観てこの映画は終わりである。基本的に,私は場内の灯りがつくまで席を立たない主義だが,いつも感じることながら,そそくさと席を立つ人がなぜこうも多いのか。まぁ,全部が全部映画好きが来ている訳ではないと思えば腹も立たないが,興をそぐこと甚だしい。

一方,私もついに還暦を迎え,これからは常に映画は1,200円で観られるってことになるので,ライブに行けない代わりに,せっせと映画館に通うことにしよう(笑)。歳を取るのは嬉しくないが,これはちょっと嬉しい。

2021年7月18日 (日)

こんな音源があったのかぁ。1968年のArt Pepper。

Art-pepper-1968 "Live At Donte’s 1968" Art Pepper Quintet(Fresh Sound)

このブログにコメントを寄せて下さるMRCPさんからの情報で知ったこのアルバムを,ストリーミングで聞いたみた。1975年の"Living Legend"が正式なカムバック作となるArt Pepperに,1968年のライブ音源が残っていたとは全く知らなかった。しかし,存在自体はずっと前から知られていたもののはずなので,私が不勉強なだけだ。

それはさておき,Art Pepperについては,麻薬禍による引退状態に入る前と,娑婆に出てきたからのどっちがいいかという議論は常に存在する。私はミュージシャンに音楽スタイルの変化があってもそれはそれでいいと思っているし,Art Pepperのアルバムを聞いている限り,昔のアルバムも,復活後のアルバムもどっちも好きである。この音源の興味は端境期と言ってもよい1968年の時点ではどういうスタイルだったのかということになる。

そしてこの音源を聞いてみると,Art Pepperは完全に後期のスタイルになっている。Wikipediaによれば,この時期,Art PepperはBuddy Richのバンドに参加していたようなのだが,ここまで吹けるのに,どうしてカムバック・アルバムが1975年まで出なかったのか不思議と思えるほどの吹きっぷりである。

Art-pepper-1968-analog この音源,フェードアウトや,若干の音の欠落等もあるので,完全なものではないが,そこそこ音質はまともだし,私としては聞きながら「へぇ~」となっていたのであった。もちろん,Art Pepperを聞くならば,この音源の優先順位は圧倒的に低いものとなるが,歴史を振り返るという場合,こうした音源は非常に貴重なものだと言える。よほどのArt Pepper好き以外には勧めにくいが,それでも私にとっては勉強になりました,ってことで。これはもはや考古学の世界だな(笑)。もともとは下のジャケで出ていたようだが,そう言えばこれは見た記憶はあるな(苦笑)。

Recorded Live at Donte’s on November 24, 1968

Personnel: Art Pepper(as), Joe Romano(ts), Frank Strazzeri(p), Chuck Berghofer(b), Nick Ceroli(ds)

2021年7月17日 (土)

還暦を迎えた中年音楽狂が,John Coltraneの命日に聞く"Stellar Regions"。

_20210714 "Stellar Regions" John Coltrane (Impulse!)

本日をもってついに私も還暦である。時の経つのは早いと感じるようになって幾星霜だが,自分が本当に還暦を迎えるとは正直想像できない世界であった。それでも時間は流れていくし,私も人生の後期に入ったということで,今後は残りの人生をどう歩むかってことをちゃんと考えていかねばならない年頃となった。

そんな私の誕生日は,John Coltraneの命日でもあるので,大体の場合,この日はJohn Coltraneの音楽を聞く日になる訳だが,この記事は前倒しで書いているので,なんでやねん?と言われても仕方がない。しかし,私の還暦にフィットする音源は何にしようかと考えた時に浮かんだのが,この神々しいとでも言うべきジャケットの本作である。

この時のJohn Coltraneは何を思ったのか?自分の死期が近いことを悟っていたのか?しかし,出てくる音楽の力強さ,生々しさはこのレコーディングの5か月後に亡くなるとは思えない響きなのだが,その一方で激しさというか,一種の諦念さえ感じさせるある意味の穏やかさを感じるというのは後付けだから言えることかもしれない。本作の穏やかさの反動は「惑星空間」で出たかという気もするが,この2作に関してはまさに静と動の対比ではないかと思ってしまう。もちろん,本作においても激しい展開を示す瞬間はあるが,激烈という感じではないのだ。それがまさにジャケットの雰囲気とマッチしている気がしてしまう。

これが95年までリリースされることがなかったというのが信じがたいような素晴らしいアルバムであり,改めてJohn Coltraneの偉大さを痛感させられた。たまにしかプレイバックしないアルバムではあるが,今回,これを聞いて感動を新たにした私である。クァルテット編成により,John Coltraneの音楽に触れる時間が長いのもいいねぇ。私はPharoah Sandersも好きだが,この音楽にはPharoahは不要だったってことにしておこう。星★★★★★。

Recorded on February 15, 1967

Personnel: John Coltrane(ts, as), Alice Coltrane(p), Jimmy Garrison(b), Rashied Ali(ds)

2021年7月16日 (金)

「リーサル・ウェポン」って初めて見たなぁ。

Lethal-weapon 「リーサル・ウェポン(”Lethal Weapon”)」(’87,米,Warner Brothers)

監督:Richard Donner

出演:Mel Gibson,Danny Glover, Gary Busey, Mitchell Ryan, Darlene Love, Traci Wolfe

Amazon Primeで休日に観たのがこの映画である。後にシリーズ化されるこの映画を,多分私は今回初めて観たはずである。私には一時期,映画をあまり見ない時期ってのがあって,丁度そういう時期にはまっていたのかもしれない。レンタルで映画を観ることはあっても,劇場には全然行っていなかったのはなぜなのかと考えても,全く思い出せない。

まぁそれはさておきである。正直言って,かなり無茶苦茶なシナリオだと思えるのだが,アクションと若干のコメディ・タッチとDanny Glover演じるMurtaph刑事一家の家族描写を組み合わせたところが受けたのではないかと思える。Mel Gibsonは「マッドマックス」でブレークして,この映画を更なる飛躍のステップとしたってところで,後に監督業にも取り組み,オスカーまで獲ってしまうのだから,そこは大いに結構な話だ。

娯楽映画としては,そこそこ面白くは観られる映画だとは思うのだが,それでもストーリーラインは辻褄が合わないようなところが多く,これは行き過ぎだと思ってしまうのが私の頭の固いところである。やっぱり映画はシナリオがなってないと評価は高まらないってことである。そういう点も考えれば,まぁ星★★★が精一杯ってところ。

2021年7月15日 (木)

EL&Pってあまり真面目に聞いてこなかったなぁ。

_20210711”Welcome Back My Friends to the Show That Never Ends ~ Ladies And Gentleman" Emerson Lake & Palmer(Manticore→Victory)

このブログにも何度か書いているが,私はプログレの世界にはRick Wakeman経由でYesから入ったのだが,当時,Yesと人気を二分していたと言ってもよいEmerson Lake & Palmer(EL&P)については,「展覧会の絵」を除いては真っ当に聞いていなかった。今でも保有しているアルバムは「展覧会の絵」,本作,そして"Works Volume One"だけなので,ちゃんと聞いたうちには入らない。このアルバムや”Works”を買ったのも単に安かったからだけなのだ(笑)。今のようにストリーミングで何でも聞けてしまえていれば,多分買ってなかったと言ってもよい。

別に私はEL&Pを毛嫌いしているという訳でもないし,「展覧会の絵」はこのブログでも取り上げた上で褒めている(記事はこちら)。ただ,当時は私は完全にYes派であったし,Greg Lakeがたまにギターを弾くとは言え,ギター不在というのがどうも馴染めなかったと言ってもよい。だが,アルバムとしての"Tarkas"とかを早い時期に聞いていれば,私のそうした嗜好も変わっていたかもしれないなぁと思うのも実感である。

ただ,このアルバムについて言えば,LP3枚組のフォーマットって"Yessongs"対抗かい?みたいに思っていたのも事実である。また,"Yessongs"同様,このアルバムもFMで聞いた時に音が大したことがないってのがなんだかなぁと感じていた。そういう印象のあるアルバムを気まぐれで取り出して聞いてみた。

はっきり言ってしまえば,EL&Pの音楽は仰々しいなぁと思う。Keith Emersonは弾き倒しと言ってもいいし,Carl Palmerは叩きまくりである。よくやるわって感じなのだ。これでGreg Lakeの歌がもう少しでもクリアにレコーディングされていれば,印象も違ったのではないかと思うが,ここでの演奏を2時間近く聞かされれると,お腹いっぱい,あるいは胸やけがしてしまいそうだとも言える。決して悪いと思わないが,自分の趣味と違うのだ。その辺りが結局私がEL&Pにはまらなかった理由と言ってもよいだろう。まぁ,ベスト盤的選曲もあって,EL&Pの音楽を俯瞰するには丁度いいのかもしれないが,"Karn Evil 9"なんて明らかに冗長で,ストリーミングでアルバム"Tarkas"を聞く方が私にはずっと刺激的である。ってことで,星★★★☆。

Personnel: Keith Emerson(key), Greg Lake(b, g, vo), Carl Palmer(ds, perc)

2021年7月14日 (水)

父の遺品から,”Left Alone ’86”を聴く。

_20210710-3"Left Alone '86" Mal Waldron & Jackie McLean(Paddle Wheel)

主題の通り,これは父の遺品のCDだ。いかにもこういう日本企画って感じのアルバムは,私はあまり関心がないし,それってどうなのよ?ってついつい斜に構えて見てしまうところがある。なので,父の遺品として私の手許に残しながら,このアルバムを聞いた記憶ってのがほとんどない。そもそも,ベツレヘム・レーベルにおけるMal Waldronの元祖"Left Alone"だって耳にしたことはあっても,まともに「聴いた」という記憶はないのだから,このアルバムに対しても関心を示すかと言えば,そうはならないのだ。

しかし,改めてこのアルバムを聞いてみると,これが意外と悪くない。予断はいかんと思いつつ,やっぱりどうなのよ?って思わせがちな企画なのは事実であるが,まだまだMal WaldronもJackie McLeanも還暦前後みたいなところで,十分現役感を出せているから,ちゃんとしたレベルには達しているのだ。冒頭の"Left Alone"からして,おぉ結構いいじゃんと思ってしまったのだから,何をかいわんやって感じである。そして,いつも気になるJackie McLeanの調子っぱずれ感がそれほど感じられないのもいいねぇ。

まぁ,このアルバムがレーザーディスク映像と同時制作されたってところにも時代を感じるし,収録されたのが今は亡き五反田のゆうぽうと簡易保険ホールってのも懐かしい限りであるが,音楽だけでも相応に楽しめる出来と言ってよい。ただ,収録曲にはちょっと欲張った感じがあって,もう少しコンパクトにしてもよかったと感じるのも事実。例えば"Minor Pulsation"の12分越えはどう考えても冗長。むしろ,3分ちょっとでWaldronとMcLeanのデュオで演じられる"Good Morning Heartache"とか,Mal Waldronのソロによる"All Alone"の方がずっといいじゃんなんて感じる。しかし,それに続くMcLeanのオリジナル"Super Okra Blues"なんて完全に浮いているしなぁ。まぁ,当時のメディア・ミックスってこんな感じだったんだろうなぁなんて遠い目になってしまう私である(苦笑)。

だが,音楽的には私が思っていたよりもずっとよかったってところで,反省も込めてちょいと甘めの星★★★★。やっぱり予断はいけませんな(笑)。

Recorded on September 1, 1986

Personnel: Jackie McLean(as), Mal Waldron(p), Herbie Lewis(b), Eddie Moore(ds)

2021年7月13日 (火)

タイトルに偽りなし。Tania Mariaのライブ盤はワイルドだぜぇ~。

_20210710-2 "The Real Tania Maria: Wild!" Tania Maria(Concord Picante)

冒頭の"Yara-Ta'"の高速ユニゾンからして,タイトルに偽りなしと思わせるTania Mariaのライブ・アルバム。私が保有しているTania Mariaのアルバムはこれ一枚だと思う。Tania Mariaの音楽は,私が在米中に結構世話になった今は亡きスムーズ・ジャズ・ステーション,WQCD New York, 別名CD101.9で結構プレイバックされる機会が多く,多分それがきっかけで在米中に買ったはずである。ってことはもう30年近くは保有していることになる。でもプレイバックする頻度はあまり高くないなぁ(爆)。

まぁ,それでもたまに聞くと,何とも盛り上げ上手だよねぇと思ってしまう訳だが,これがラテンの血ってことだろう。LP,CD,カセットが同時に発売されていた時代のアルバムなので,収録時間はコンパクトなものだが,ライブの場ならばさておき,家で聞くにはこの程度で丁度いいと思わせる。

アルバムも押し一辺倒ではなく,ちゃんとメリハリはついていて,実のところ"Yara-Ta'"が一番ワイルドだぜぇ~ってところなのだが,そうは言ってもTania Mariaにはスローな曲は合わんと思ってしまうのだ(笑)。そういうこともあって,私にとっては一番長尺の"2 A.M."の特に前半部が面白くないのが何とももったいない。それでも最後の"Sangria"で賑々しく締めて辻褄は合わせているが。

あいにく,私はTania Mariaのライブに触れる機会にはこれまでには恵まれなかったが,やはりこの人は実際のライブに触れてみないと,その魅力はわからないかもなぁと思わせるアルバム。星★★★☆。聞いていて結構印象に残ったのはJohn Peñaの確かなベースの腕だな。

Personnel: Tania Maria(vo, p, el-p), Dan Carillo(g), John Purcell(as, ss), John Peña(b), Walfredo Reyes(ds, timbales), Frank Colon(perc)

2021年7月12日 (月)

たまにはマイキーのアルバムでも...(笑)。

_20210709 "Who Let the Cats Out?" Mike Stern(Heads Up)

私がマイキーことMike Sternの「かなりの」ファンであることは,このブログにも何度か書いている。来日すればほぼ毎回通っているし,NYC出張中に55 Barに出演していれば,これまた確実に見に行くって感じなのだ。そしていつもそのワンパターンと言ってもいい展開に,ついつい燃えてしまう自分がいる。マイキーのアルバムを最後にこのブログにアップしたのはJeff Lorber Fusionとのアルバムであるが,正直なところ,マイキーのアルバムはそんなには取り上げていない。ということで,たまにはマイキーのアルバムについて書くかってことで取り出したのがこれである。

私の保有しているマイキーのアルバムにサインしてもらったものも随分増えた。前も書いたかもしれないが,サイン歴トップ3は間違いなくFred Hersch,Wayne Krantz,そしてマイキーである(順不同)。それに次ぐのがJeff Lorberか(笑)。それはさておき,このアルバムにもサインが入っているが,多分これは腕の骨折前だと思える。骨折からの回復途上の頃は,ピックは手に糊付けしながらプレイしていたし,サインするのも大変そうだったからなぁ...。それでも演奏してしまうのがプロだよねぇ。

まぁ,マイキーのアルバムはどれを聞いても同じに聞こえるというところがあるのは事実である。だが,こっちはそれを承知で買っているし,聞いているのだから何の問題もない。だが,このアルバム,改めてクレジットを見てみると,そうだったのかぁって思うことがいくつかある。第一に女性ドラマー,Kim Thompsonが全11曲中7曲で叩いている(ほかの曲はDave Weckl)こと。第二に2曲だけながらMeshell Ndegeocelloがベースを弾いていること。そして,第三に何と今は亡きRoy Hargroveがこれも2曲だけだがラッパを吹いていることである。Kim Thompsonは"All Over the Place"にも参加していたが,Meshell NdegeocelloとRoy Hargroveの意外感は結構なものがある。まぁ,それでもやはりここではマイキー色に染まっているって感じだが。Roy Hargroveはタイトル・トラックでマイキーとテーマをユニゾンしているのも微笑ましい。

また,マイキーがアコースティック・ギターを弾く"We're with You"にはハーモニカのGregoir Maretが参加しているが,この演奏が何ともPat Metheny的に響くのが面白い。まぁこういう感じでChange of Paceみたいなのがあってもいいが,やっぱりマイキーに似合うのはぶちかましである。冒頭に典型的ぶちかましチューン"Tumble Home"みたいな曲を持ってくるところがマイキーらしいのだ。

ってことで,毎度毎度のワンパターンだと思いながら,好きなものはやめられないのである。星★★★★。コロナ禍が少々落ち着いた6月のNYCでは,マイキーが55 Barにかなりマメに出ていたし,今月も出ているようだが,私が次に55 Barを訪れる機会が来るのはいつの日だろうか...。

Personnel: Mike Stern(g), Bob Franceschini(sax), Bob Malach(sax), Roy Hargrove(tp), Gregoire Maret(hca), Jim Beard(p, org, synth), Chris Minh Doky(b), Meshell Nedegeocello(b), Richard Bona(b, vo), Victor Wooten(b), Anthony Jackson(b), Kim Thompson(ds), Dave Weckl(ds)

2021年7月11日 (日)

私の中でのMingusのイメージを一変させるCarnegie Hallライブ。

_20210710"Mingus at Carnegie Hall(Deluxe Edition)" Charles Mingus(Atlantic)

このブログに「道化師」の記事をアップした時にも書いたのだが,私にとってはCharles Mingusという人は結構ハードルの高い人であった。少なくともそう思い込んでいた(記事はこちら)。だが,半世紀近く前にレコーディングされたこの音源が完全版としてリリースされるのを知って,海外から飛ばした私であった。

このアルバムをオリジナルの体裁でも真っ当に聞いた記憶がほとんどないのは,私のMingusへの苦手意識の裏返しかもしれないが,今回,このアルバムを当日の演奏順の通り聴いてみて,私のCharles Mingusへの印象は間違いなく変わったのだ。

そもそもオリジナルでリリースされていたゲスト入りの演奏は,ライブ後半のジャム・セッション部分であるが,今回はそれに先立つMingusのバンドの演奏も全面公開されている。その中で,私がこのアルバムを聞きたいと思ったのは,偏にHamiet Bluiettゆえというのも,私も相当な天邪鬼と言ってよいかもしれない。しかし,そもそもの結構なバリトン・サックス好き,そして,Hamiet Bluiett好きとしてはちゃんと聞いてみたいと思ってしまった訳だ。

CD2枚目の1曲目までがMingusバンドの演奏,そして2曲目,3曲目がオリジナル収録の2曲だが,当日のライブの順番通り,"Perdido"が先に収められているから,この辺はオリジナルに親しんだ人には違和感があるかもしれない。しかし,私のようなMingusに縁遠かった(苦笑)人間には全く問題なしである。このMingusバンド,Hamiet Bluiettだけでも相当暑苦しいが,テナーはGeorge Adamsで,彼らしいフレージング炸裂である。ではあるのだが,ライブ,それも音楽の殿堂と言ってよいCarnegie Hallでの演奏だけに,高揚感が半端ではない。こういう演奏を未発表にしていたこと自体が信じられないようなものと言ってもよい。実に引き締まった演奏でこれだけでもウハウハしてしまう。

そして,オリジナル収録の2曲になだれ込む訳だが,このいかにもジャム・セッションって感じが,私のMingusへの意識を「完全変革」させると言ってもよい。荒々しささえおぼえる高揚感とハードなスウィング感に満ちた素晴らしきジャズである。そして楽しい。こんな演奏をされたら聴衆も燃えるのも当然と言いたくなるが,こういうのはもっと早く聞いておくべきだったと思っても後の祭り。自分が還暦迎える前にちゃんと聞けてよかったと感謝したくなる。

この時のジャムのハイライトが"C Jam Blues"であることは,この曲をLPのA面に据えたくなったプロデューサーの気持ちもわかるってところだが,先発するJohn Handyのテナーだけだったら,決してそうはならない(きっぱり)。そもそもアルトが主楽器のHandyに敢えてテナーを吹かせれば,まぁ結果は大体見えていると言ってもよいが,これはMingusのリクエストによるものだったとライナーには書いてある。それは後に出てくるGeorge Adams,そして真打ち,Rahsaan Roland Kirkとの違いを出すためだったのではないかと勘繰りたくなってしまう。

このRoland Kirkの長いソロがこのアルバムの魅力のコアであることは実にはっきりしている。場をかっさらうというのはこういうものだ。それはそれに続くJon Faddisのラッパを聞けば,格の違いが明らかというものさえ感じさせる。Jon Faddisは録音当時まだ20歳そこそこであるから,その頑張りは認めるものの,まだまだ若いねぇと思わざるをえない。と言うより,Kirkの後では誰だって分が悪いし,厳しいよねぇ。

繰り返しになるが,本作のリリースによって,こういう演奏に触れる機会ができたことは私にとっては幸いだった。もちろん演奏としての荒っぽさはあるが,ここは敢えて星★★★★★としよう。未発表部分を含めてとにかく強烈。本作を新譜とすることには若干抵抗もあるが,まぁよかろう。

Recorded Live at Canegie Hall on January 19, 1974

Personnel: Charles Mingus(b), Jon Faddis(tp), George Adams(ts), Hamiet Bluiett(bs), Don Pullen(p), Dannie Richmond(ds), Rhasaan Roland Kirk(ts), John Handy(as, ts), Charles McPherson(as) 

2021年7月10日 (土)

今日は「ピアニストを聴け!」から”Wave Song”を。

_20210708 "Wave Song" 山下洋輔 Featuring Aderhard Roidinger(Frasco)

山下洋輔のFrascoレーベル時代のアルバムを集成した「ピアニストを聴け!」がリリースされたのは1998年なので,もう四半世紀近くの時間が経過しているというのは信じがたい。もうそんな経ったのか...としか言いようがないが,山下洋輔は来年傘寿の80歳になるというのだから,着実に時は流れているのだ。そして私も還暦だしねぇ...(苦笑)。

それはさておき,リリースからそんなに時間が経っているのに,私がこのボックスで聴くアルバムは結構偏っている。最多プレイバックは間違いなく「モントルー・アフターグロウ」,その次が「アンブレラ・ダンス」か「砂山」かって感じだろう。そんなボックスで,これまでに一度もプレイバックしていないアルバムも実はあるというのは反省しなければならないなぁ。それでも,このアルバムは過去数回プレイバックしたはずだから,まだましである。しかし,このジャケは正直言って印象が薄いと思うのは私だけではあるまい。

ここでフィーチャーされるAdelhard RoidingerはECMにもリーダー作もあるベーシスト。山下洋輔とはEnjaレーベルにデュオ・アルバムを残しているし,このボックスにはもう1枚,”A Day in Munich"というデュオ作も入っている。本作は,ジャケにも書かれている通り,デュオ&トリオということで,1曲目のタイトル・トラックにだけドラムスの小山彰太が加わり,2曲目の"One for Charlie"はベース・ソロ,残る2曲が洋輔とRoidingerのデュオとなる。

山下洋輔トリオは長年ベースレスでやってきたところに,こうした編成でやるということはよほど相性が良かったのかと思ってしまうが,中村誠一や坂田明とのベースレス・トリオで感じられる破壊的な感覚はここでは控えめであり,激しいフリーって感じにはなっていない。タイトル・トラックにおける小山彰太もいつもより完全に控えめモードである。私のように山下洋輔の激しいフリーに爽快感を覚える人間にとっては,もっとやって~という感覚はありつつも,演奏としては結構聞きどころがあると思わせるのがいいねぇ。ただ,聴き手が山下洋輔の音楽に求める要素にもよると思うが,やっぱりこれは一番の人気アルバムにはならんなぁと思うのも仕方のないところだろう。

Adelhard Roidingerのベースの音は魅力的だし,洋輔のピアノもいいと思うが,プレイバックの優先順位が下がるのは仕方ないなぁというのが正直なところ。それでも星★★★★には相当するとは思う。

Recorded on July 21, 1977

Personnel: 山下洋輔(p),Adelhard Roidinger(b),小山彰太(ds)

2021年7月 9日 (金)

暇にまかせてAmazon Primeで見た「ワイルド・スピードX3 Tokyo Drift」。

Tokyo-drift_20210707185501 「ワイルド・スピードX3 Tokyo Drift(”The Fast &Furious: Tokyo Drift”)」(’06,米/独/日,Universal)

監督:Justin Lin

出演:Lucas Black, Bow Wow, Sung Kang, Brian Goodman, Brian Tee, 千葉真一,北川景子

現在も続くフランチャイズである「ワイルド・スピード」シリーズであるが,その第3作は東京が舞台。Amazon Primeではこのシリーズがほぼ見られるが,これは観たことがなかったので,休日に暇にまかせて見てみた。後の"Euro Mission"に本作と関連する映像が出てくるので,時間軸がよくわからなくなるが,まぁそれはそれでってことで。

最近のこのシリーズはアクション映画路線を突っ走っているが,この頃はまだカーレースの映画だったのねぇって感じさせるが,はっきり言ってしまえば実にくだらない。まぁフィクションなんだから,文句を言ってもしょうがないが,日本人が観ていてなんじゃそれは?みたいなのがいろいろ出てくる。

結局のところ,ドリフト・シーンを見せるために作ったような映画だから,そういうものだと思って見ていればいいのだが,それにしてもこれはなぁって感じであった。日本が法治国家であることを忘れさせるような映画と言ってもよい。だが,この映画でHanを演じたSung Kangがシリーズに出演するきっかけとなったことはシリーズ上結構大きな要素であった(最新作には復活して出るらしいし)。まぁ,それだけでいいんじゃないって感じの映画。星★★。でもねぇ,日本人役のBrian Teeの日本語がいけてないことは違和感あり過ぎであった。あれは日本人をキャスティングすべきだろう。

因みに日本人キャストでは千葉真一と北川景子はオープニング・クレジットにも名前が出ているが,私にはちょこっとしか出てこない真木よう子とか妻夫木聡,あるいは柴田理恵の方が印象に残ったと言っておこう。千葉真一のキャスティングはわからんでもないが,ここで敢えて出す必要はなかっただろう(ストーリー的にも出てくる必要なし)。この辺の役者の選び方はQuentin Tarantinoとの差が出るが,比較すること自体無意味か(爆)。まぁ,Tarantinoは千葉真一が好き過ぎてこんな役は多分ふらなかったろうしなぁ(笑)。

いずれにしても暇つぶしにしかならない愚作。お暇ならどうぞってところだが,新作でこの映画の登場人物がどういう風になっているかは気になるので,また観に行っちゃうであろう私(苦笑)。

2021年7月 8日 (木)

こんなのも持ってましたってことで,King Crimsonのコレクターズ・クラブの1枚。

_20210707 "The Beat Club,Bremen 1972" King Crimson(DGM)

これは滅多にプレイバックされないアルバムと言ってもよいのだが,"The Collectors’ King Crimson"というボックスの国内盤がリリースされて購入したものの一枚。このボックス,69年,"Earthbound"期,そしてこの「太陽と戦慄」のメンツによる3枚というのは魅力的なのだが,結局はブートレッグのようなものであるから,音は決してよくない。その中でこれはまだましな方である。

私がKing Crimsonで一番好きなアルバムは多分「太陽と戦慄」であり,その後の"USA"に至る時期のKing Crimsonのカッコよさにはいつまで経っても痺れてしまう。そして,ここに収められた演奏はその「太陽と戦慄」のメンツによる初の公式パフォーマンスだそうである。だが,演奏そのものはそんなことを全く感じさせない強度と完成度を示しているところがこのバンドの凄いところである。Jamie Muirが入った音源というのも重要なのだ。後にJamie Muir入りのNew Castleでのライブも発掘されているが,そっちもよいが,こっちも捨てがたいのだ。

だからと言って,しょっちゅう聞きたいと思わせるものでもないと思う訳だが,しかしよくよく考えてみれば,私はこの音源は"Larks"の40周年ボックスの一部としても保有しているのであり,そっちも改めて聞いてみると,音は多少リストアされていて,Jamie Muirもずっとはっきり聞こえる。つまりはもはやこれってこれを保有している意義はないってことさえ忘れているってのも困ったものである。

逆に言えば,40周年ボックスだって,結構聞くのが大変だけに,あっちもこと細かに聞いている訳ではないのだから,これを無駄遣いって言われたらその通りだ。しかし,たまにこうして棚卸しのように音源を聞いていると,いろいろなことに気づくきっかけになっていいのかもしれないが。

Recorded on October 17, 1972

Personnel: Robert Fripp(g), David Cross(vln), John Wetton(b, vo), Bill Bruford(ds), Jamie Muir(perc)

2021年7月 7日 (水)

またも,買って,売って,また買ってのQuiet Sunのアルバム。

Quiet-sun "Mainstream" Quiet Sun (Island)

こういう主題で何度か記事を書いている私である。買ってはみたものの,その頃にはピンと来なかったり,金に困って(苦笑)売ったりしてしまったアルバムを,またどうしても聞きたくなるってことで,改めて買うなんてことをやっている馬鹿げたことを繰り返している。このアルバムだって,昔はオリジナルではないものの,英国盤を保有していたにもかかわらず,あまりよく聞かないで売ってしまったのは惜しかった。後悔先に立たずである。

私がそもそもこのアルバムに行きついたのは”801 Live"があったからこそである。今でもそのライブ盤と,Phil Manzaneraの"Diamond Head"と"Listen Now"はアナログで保有を続けているが,特に”801 Live"は実に好きなアルバムなのだ。そこから遡及してこのアルバムに行きついた訳だが,本作での曲は後に”801 Live"で再演されていることに,そうだったかなぁとは思いつつ,今回改めて気がついているようでは,私の音楽の聴き方も大したことがないとしか言いようがない。

それはさておき,このアルバムはインスト主体の演奏ではあるが,Brand Xあたりの音楽とは明らかにテイストが違う。どちらかと言えば,よりプログレッシブ・ロック的な感覚が強いというところか。このアルバムが高い演奏能力に裏打ちされていることは明らかだが,今の私にとって何とも魅力的に響くのは,私の音楽的なテイストが変わった訳ではないと思えるので,以前はちゃんと聞いていなかったってことを改めて実証してしまった感じだ。それとも単に保有していたつもりになっていただけなのか???そうだとすると,私も相当やばいな(爆)。

いずれにしても,後に”801 Live"では変形して"East of Asteroid"として演じられる”Mummy Was an Asteroid, Daddy Was a Small Non-stick Kitchen Utensil"の激しい展開には興奮してしまったのであった。そうした感触を持つぐらいだから,本来なら売るはずはないのだ...。う~む。やっぱり保有していたというのは思い込みだったのか...?但し,”801 Live"でも再演される"Rongwrong"はだいぶ感じが違って,この曲に関してはライブにおけるEnoのヴォーカルの方がいいと思う。というかそっちに馴染み過ぎなのだが。

それはさておき,今回入手したのは国内盤CDであるが,オリジナル収録の7曲に加えて,ボートラが5曲が加えられているが,ボートラは結局ボートラであって,あるに越したことはないが,なくてもOKというレベル。特に最後の"Talking History"は音楽ではなく,トークだしねぇ。

オリジナルの7曲については,聞いたつもりになっていたのは何だったんだ?という反省も込めて星★★★★☆としよう。

Personnel: Phil Manzanera(g, el-p), Dave Jarrett(p, el-p, org, synth), Bill MacCormick(b, vo), Charles Hayward(ds, perc, key, vo), Brian Eno(synth), Ian MacCormick(vo)

2021年7月 6日 (火)

Alex Sipiaginのワンホーン・アルバムがカッコいいねぇ。

_20210704 "Upstream" Alex Sipiagin(Posi-Tone)

Criss Crossレーベルにおいて,ワクワクさせるような作品を連発していたAlex Sipiaginであるが,Criss CrossがオーナーであるGerry Teekensが亡くなってしまい,レーベルとしても活動が終焉を迎えたように思える中,今後はどうなるのかと思っていた。しかし,別レーベルからワンホーン・アルバムをリリースし,ちゃんとやっていることがはっきりしたのは実によいことである。まぁ,メンツ的にはCriss Crossレーベル的だが,やはりこういうのにはニーズがあるってことなのだろう。

実を言えば,このアルバム,リリースされた段階で私はストリーミングでチェックしていたのだが,その段階で「買い」を決めて発注していたもの。先日のBill Evans同様,抱き合わせ発注の都合でデリバリーには時間が掛かったが,ようやく到着である。Alex Sipiaginのワンホーンと言えば,"Generations"というナイスなアルバム(記事はこちら)があって,私がAlex Sipiaginに注目する契機となった訳だが,やはりこの人のワンホーンには惹かれるなぁというのが正直なところである。

Wayne Shorterの”Miyako”を除けば,Sipiaginと参加しているArt Hirahara,Boris Kozlovのオリジナルで固められた,これが現在のNYC系コンテンポラリーなジャズという感じの曲が揃っている。その中で,Alex Sipiaginのラッパはいつも通り切れ味鋭く,魅力的なソロを連発するし,それを支えるArt Hiraharaのピアノがよい。タイトル・トラックにおけるエレピのソロなんてその代表である。1曲辺りの演奏時間も比較的にコンパクトにしていることもあり,ダレることなく聞き通せる作品であり,こういうのを快作って言う。まぁ,5曲目のBoris Kozlov作の"Magic Square"がちょっと不思議な感じがするが,基本的には一貫性が保たれたアルバムで大いに楽しんだ私であった。星★★★★☆。

Recorded on Octover 24 & 25,2020

Personnel: Alex Sipiagin(tp, fl-h), Art Hirahara(p, el-p), Boris Kozlov(b), Rudy Royston(ds, perc)

2021年7月 5日 (月)

映画を観ていて,辛く,そして切ない思いにかられた「ファーザー」。

The-father 「ファーザー(”The Father”)」(’20,英/仏)

監督:Florian Zeller

出演:Anthony Hopkins,Olivia Colman, Mark Gatiss, Olivia Williams, Imogen Poots, Rufus Sewell

今年のオスカーで,同情票も含めて,主演男優賞は亡くなったChadwick Bosemanではないかと言われていたのを,見事にひっくり返したのが本作のAnthony Hopkinsであった。どうしてそうなるのかということもあって,観たいと思っていたこの映画をようやく観に行ったのだが,これは主題の通り,観ていてとんでもなく辛く,そして切ない映画であった。

監督のFlorian Zellerが戯曲として書いたストーリーを自ら脚色し,そして演出したという作品だが,舞台向けというか,登場人物は必要最小限にしながら,映画としても成立させていること自体が素晴らしい。なのだが,この映画の凄さ,あるいは恐ろしさは,漠然と思っている「老い」,あるいは「何がなんだかわからなくなること」への恐怖を見事に活写したことではないかと思える。

私の場合は両親がぼけることなく世を去ったが,認知症が当人だけでなく,家族への負担も大きいことをこの映画ははっきりし過ぎるほど明白に示していく。その中での時間軸の動きを捉えにくい部分もあるものの,なるほどこれはやろうと思えば舞台劇でも成立すると思えたが,そんなことはどうでもいいように思えるほど,Anthony Hopkinsの演技がリアル過ぎる。

もちろん,Anthony Hopkinsはぼけてなんかいないはずだが,イマジネーションを効かせて,ここまで演じ切るのだからオスカーに値すると思える名演技である。そして,観ている方の深い感情移入を誘う実に優れた作品。娘を演じるOlivia Colmanもまたまた素晴らしい演技ぶりであり,Florian Zellerの演出も含めて称賛されるべき映画だと思う。しかしながら,ここまで切ない思いをさせられ,観ていて辛くなってしまったことも含めると,星★★★★☆。映画を観終わった瞬間,座席に深く座り込んでしまうって感じは実に久しぶりの感覚であった。

2021年7月 4日 (日)

久しぶりの新譜:Bill Evansの未発表ライブ音源。

_20210703 "On a Friday Evening" Bill Evans Trio (Craft Recordings)

最近は新譜を買うことも少なくなっているのに加え,発注のタイミングもあって,デリバリーに時間を要してようやく届いたのが本作。もとはラジオでの放送音源用に録られたものではあるが,こうして陽の目を見るのは実に嬉しいことである。特にこのアルバムのリリースを喜びたのが,ここでのトリオが"You Must Believe in Spring"のトリオだからである。

このトリオに関しては,スイスやウイスコンシンでの音源もこのブログで取り上げている(但し,後者は購入はせず,ストリーミングで聞いたもの)が,私としてもBill Evansのトリオでも評価が高い方なのだ。ウイスコンシンでのアルバム・タイトルは"On a Monday Evening"だったので,パクリやんけとも言いたくなるが,まぁそれはさておきである。

前々から言っていることだが,私はEddie Gomezのベースの音が好きではない。Ron Carterほどではないとしても,特にアルコは駄目である。もはや生理的なものなので仕方がないと言い張っているが,本作でも時折出てくるアルコ・ソロは気持ち悪いと思ってしまうのだ。それでも,ここでは比較的まともな感じの音になっているのはエンジニアに感謝したくなる。

そういうこともあるし,このアルバム,結構珍しいレパートリーで占められているように思える。今となっては私もBill Evansのアルバムをしょっちゅう聞いているとは言い難いが,本作で演じられている曲は,そんなにマメにはやっていないだろうと思える曲が揃っているように思う。だが,振り返ってみれば,このトリオのライブ盤はみんなそういうところがあったようにも思えるので,おそらくはBill Evans本人がちょっと違ったテイストを求めたのではないかと思える。

それでも出てくる音はまごうことなきBill Evansの音ってのが,Bill EvansのBill Evansたる所以ということにしてよいと思う。スイス,ウイスコンシンとほぼ同列と言ってもよいが,この時代に改めて出てくることに感謝して,半星足して星★★★★☆としよう。Elliot Zigmundとはもう少しやってもよかったと思わせるに十分な出来。

Recorded Live at Oil Can Harry’s, Vancouver, Canada on June 20, 1975

Personnel: Bill Evans(p), Eddie Gomez(b), Elliot Zigmund(ds) 

2021年7月 3日 (土)

実に味わい深く,静かで悲しいSFドラマだった「メッセージ」。

Arrival「メッセージ("Arrival")」(’15,米/加,Sony)

監督:Denis Villeneuve

出演:Amy Grant,Jeremy Renner,Forest Whitaker,Michael Sthulbarg

この映画,公開された時にも観たいと思っていて,結局見逃していたのだが,Amazon Primeで見られるようになったので観てみた。

監督は期待値の高いDenis Villeneuveだからおかしなことにはならないと思っていたが,予想よりもはるかにいい映画であった。SFはSFなのだが,極めて静かな映画である。そして,あまり書いてしまうとネタバレになるのでそれは回避するが,悲しさも感じさせるSFというのはなかなかないと思う。だからこそ味わいが増すと言いたい。

まぁエイリアンの造形はどうなのよとか言いたくなる気持ちもわからないではない。しかし,この映画のある意味重層的な展開は,観ている方の想定を越えると言ってもよいだろうし,逆に言えばそこに突っ込みを入れたくなる気持ちもわからないではない。だが,私としてはこの映画はそういう理屈は抜きにして,映像的な美しさとストーリー・テリングの巧みさを褒めるべきだと思うのだ。

私が劇場でこの映画を観ていたとしたら,おそらく大いに褒めたと思うし,それはPC画面で観ても多分同等の感慨を与えてくれたものと思う。エンディングに向けて,やや先を急ぎ過ぎた部分はないとは言えないが,映画としては十分な成功作だと思える。私はDenis Villeneuveの映画は「プリズナーズ」から「ボーダーライン」,そして「ブレードランナー2049」と観ているが,どの作品も強い印象を残している中で,この映画も実によい作品であった。期待できる監督が存在するのはいいことだと改めて思えた映画。星★★★★☆。こうなったら,公開が延期になっている「砂の惑星」も当然劇場で観ないといかんと思った私である。

2021年7月 2日 (金)

Johnny Griffinの緩急自在。

_20210629 "Hush-a-Bye" Johnny Griffin(Black Lion)

これはJohnny GriffinがBlack Lionからリリースした3枚のアルバムを2CDに集成したもの。私が保有しているのは以前リリースされたもので,最新のリリースには更に"Masquarade Is Over"が追加されているようだ。

本作はコペンハーゲンの"Cafe Montmartre"でのライブ音源だが,Johnny Griffinという人の実力が十二分に表れていると言ってよいと思う。テンポなんて関係なく,紡ぎだされるアドリブ・フレーズの見事さを聞けば,主題の通り「緩急自在」という表現しか思い浮かばないのだ。冒頭の"The Man I Love"からびっくりするような急速調なのだが,そこで繰り出されるフレージングは淀みなく,かつ印象的というのが素晴らしい。十八番のタイトル・トラックをはじめ,急造バンドでも対応OKみたいなスタンダードやブルーズが並んでいても,ここにおけるミュージシャンのレベルの高さは尋常ではない。急速調だろうが,ミディアムだろうが,バラッドであろうが,何でもござれ。優秀な人たちならではと言ってもよいような素晴らしい演奏である。

本作にケチをつけようと思えば,ライブで一丁上がりみたいではないかというようなところもあるかもしれない。しかし,これだけの演奏を聞かせてもらえば,現場にいたオーディエンスも,後付けで聞いている私たちも,誰も文句は言うまいと思えるナイスなライブ音源である。Johnny Griffinという人は,テナー・サックスと言えば必ずしもいの一番で出てくる人ではないとも言えるが,ある程度ジャズを聞いた人間に対する訴求力は無茶苦茶高い人だと思えたアルバムである。やや曲によりばらつきが感じられるところもあるが,甘いの承知で星★★★★☆としてしまおう。いやぁ,ええですわぁ(笑)。

Recorded Live at the Cafe Montmarter on March 30 & 31, 1967

Personnel: Johnny Griffin(ts), Kenny Drew(p), Niels-Henning Ørsted Pedersen(b), Albert Heath(ds)

2021年7月 1日 (木)

キュートな上白石萌音が70年代歌謡を歌うということ。

1_20210628222201「あの歌-1-」上白石萌音(Universal)

ドラマでも大ブレイクしている上白石萌音である。本来なら妹の萌歌の方がもっとメジャーになってもよかったところだが,姉の方がポピュラリティとしては想定以上に先んじてしまった感じだろうか。しかし,姉妹二人そろって歌も芝居も両刀使いってところが実に素晴らしい。私はどっちも可愛いと思うが,見た目的には姉の萌音ちゃんの方が親しみやすいかなぁってところである(笑)。

それはさておき,その萌音ちゃんが70年代,80-90年代の曲をカヴァーしたアルバムを2枚同時にリリースしていると知って,当然私はまずは70年代の方からストリーミングで聞いたのであった。いやはやチャーミングではないか。CDを買おうとは思わない(でも一瞬発注しそうになった:爆)が,一緒に歌いたくなる曲が揃っている。だって冒頭から「年下の男の子」だもんなぁ。

こんなキュートな歌い方をしながら,「君は薔薇より美しい(私の持ち歌だ:笑)」とか「勝手にしやがれ」を歌っているのにはびっくりするが,それなりにちゃんとこなしているのがいいねぇ。私の感覚で言えば,「歌のうまい子が昔の曲を歌ってみました」って感じではあるのだが,上白石萌音のようにポピュラーな人がこうした曲に改めてスポットライトを当てることにこそ意義があると思う訳だ。今の若人には全く縁がなかったであろう昔の曲の魅力を知らしめるということの重要性は,過小評価してはならないと思う。

歌いっぷりは平板と言えばその通りだ。しかし,私のような70年代を同時代とするような人間にはよくやってくれたとしか言いようがない。選曲からしてこの人は一本芯が通っていると思わせるに十分なアルバム。そうした中でこの人に一番合っていると思わせたのは「夢前案内人」と思った。山口百恵のオリジナルもいいと思ったが,この曲の魅力を改めて感じさせてもらった私であった。これに限らずどの曲もオリジナルの強さが明白なので,相応に楽しめるものではあったが,萌音ちゃんのキュートな歌いっぷりがいいのだ。但し「木綿のハンカチーフ」は絶対太田裕美の方がいいが...。なぜなら私は上白石萌音の歌では泣けなかったからだ(きっぱり)。

続けて80-90年代をカヴァーした「あの歌-2-」も聞いているが,そっちも捨てがたいとしても,やはりおっさんには70年代のこっちの方が好き(ジャケは-2-の方が好きだが...)。続編の方では「AXIA ~かなしいことり~」の収録には驚いた。この曲の12インチを今でも保有している(記事はこちら)私としては本当に嬉しい。改めて斉藤由貴のオリジナルを聞きたいと思わせるところが立派なのだ。

いずれにしても,歌手としても女優としても,上白石萌音はこれからも応援したいと思わせるに十分な2枚であった。娘にしたいわ(爆)。

« 2021年6月 | トップページ | 2021年8月 »

Amazon検索ツール