久しぶりに「ラスト・ワルツ」を見て思ったこと。
「ラスト・ワルツ("The Last Waltz")」(’78,米,United Artists)
監督:Martin Scorsese
出演:The Band, Bob Dylan, Eric Clapton, Neil Young, Joni Mitchell, Muddy Waters, Paul Butterfield, Dr. John, Van Morrison, Neil Diamond, Ronnie Hawkins, Emmylou Harris, The Staples
音楽映画として,何も言うことのない傑作である。久しぶりにDVDでこの映画を観ても,その感覚は変わらない。The Bandの解散コンサートに集った素晴らしい面々との共演も,The Band自身の演奏にも文句のつけようがないし,何度見ても素晴らしい。なので,音楽を含めて映画としては星★★★★★である。
そうした中で,何度この映画を観ても思ってしまうことが2点ある。まずはEric ClaptonとRobbie Robertsonのギタリストとしての格の違いである。コンサート全体を通じて,Robbie Robertsonは頑張っている。そのことは否定しない。しかし,”Further on up the Road"でこの二人がソロ交換をすると,実力の違いがあまりにも露骨に出てしまって,何度観ても可哀想な気分になってしまう私である。Claptonのソロはいかにもなのだが,それでもあの余裕のプレイぶりに対し,Robbie Robertsonの力みっぷりが見ていてちょっとなぁってところだ。
もう一点,この映画,あるいはアルバムにおいて,Van Morrisonの歌唱を絶賛する人が多いのだが,私は昔からここでのVan Morrisonのどこがいいのか全然理解できていない。それは音源を初めて聞いた40年以上前からずっと変わらないし,今回映像を観ても同じ感覚しか得られない。結局好みの問題なのだろうが,どうしてもThe Bandとのフィット感という点では,私には違うと思えてしまう。
そんな思いはありながら,Neil Young, Joni Mitchell,Muddy Waters,そしてBob Dylanとの共演シーンにはウハウハしていた私であった。Joni Mitchellのバックで"Coyote"を完璧に伴奏するThe Bandの実力を思い知らされる。最高の音楽ドキュメンタリー映画の一本。Martin Scorseseのインタビューもよくわかっているねぇって感じである。
ってことで,映画も観たので,4枚組のCDでも聞くことにするか(笑)。
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コメント
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ディランが写されるのを嫌がって、ディラン側のスタッフが邪魔するのを、体を張って無理矢理撮影した際に、
「ディランなしじゃ、単なるホームビデオになってしまうぞ!撮れ!」
一番好きな逸話です(笑)
この図柄のTシャツ買いました。
誰1人知る人がいない謎のシャツです。
ズマとかバッファロー・スプリングフィールド・アゲインも、何それ?って感じ。
レット・イット・ビーとはやはり知名度が。(笑)
ちなみに、Abbey Roadは時々知ってる大学生がいるけれど、Revolverとなるとちょっと。
投稿: MRCP | 2021年6月18日 (金) 02時24分
MRCPさん,こんにちは。
>ディランが写されるのを嫌がって、ディラン側のスタッフが邪魔するのを、体を張って無理矢理撮影した際に、
>「ディランなしじゃ、単なるホームビデオになってしまうぞ!撮れ!」
>一番好きな逸話です(笑)
そうなんですね。知りませんでした。
>この図柄のTシャツ買いました。
いろいろお持ちですよね。「ラスト・ワルツ」のTシャツは私も欲しいっす。
>誰1人知る人がいない謎のシャツです。
>ズマとかバッファロー・スプリングフィールド・アゲインも、何それ?って感じ。
まぁ,その辺りは若い人には仕方ないって気も...。でも私が見れば,「おぉっ!」って反応してしまいますがね。因みに私は先日,Joni Mitchellのサイトで,"Ladies of the Canyon"のTシャツを買ってしまいました(笑)。もったいなくて,まだ袖を通しておりません(爆)。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年6月18日 (金) 17時48分