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2021年6月28日 (月)

凄いぞ,「アメリカン・ユートピア」!

American-utopia「アメリカン・ユートピア("David Byrne’s American Utopia")」(’20,米,Universal)

監督:Spike Lee

出演:David Byrne(vo, g, perc), Jacqueline Acevedo(perc), Gustavo Di Dalva(perc), Daniel Freedman(perc), Chris Giarmo(vo), Tim Keiper(perc), Tendayi Kuumba(vo), Karl Mansfield(key), Mauro Refosco(perc), Stéphane San Juan(perc), Angie Swan(g), Bobby Wooten III(b)

この映画を観に行って,これは凄いと唸ってしまった。David ByrneにはTalking Headsとしての"Stop Making Sense"という超ド級の傑作があるが,それと同等と言ってよい傑作を改めて生みだすと誰が想像しただろうか。

本作はDavid Byrneのアルバム"American Utopia"に基づいて,ブロードウェイでショーとして展開された公演を収めたドキュメンタリーであるが,ほぼライブ・フィルムと言ってもよいものである。不勉強にして,音楽版は聞いていないのだが,このショーとしての演出に,David Byrneのミュージシャンに留まらない芸術性を感じてしまった。

私がこの映画を観る前に不思議に思っていたのが,なぜこのメンバーにはドラマーがいないのかということであったのだが,それは間違いなく意図があってのことであると映画を観てわかった。ドラムスのセットが舞台にあれば,ドラマーはそこに固定されて,モビリティを発揮することができない。即ち舞台としての自由度が下がるということである。それをDavid Byrneは6人のパーカッショニストで置き換え,自由な動きを可能としたのである。これこそこのステージ上の演出の肝だったと思えるが,これが実に素晴らしい。

彼らによって演じられるDavid Byrneの曲,そしてTalking Headsの曲も素晴らしいのだが,私が感動したのはJanelle Monáeのオリジナル,"Hell You Talmbout"であった。人種差別に抗議するプロテスト・ソングが彼らによって歌われること,そしてここに感じられるDavid Byrneのリベラリズムには大いにシンパシーを感じてしまったからである。そうした心情と素晴らしい音楽,映像が相まって,実に感動的な音楽映画だと思った私である。

これは音楽,舞台,映画という枠を超えて作り上げられた傑作と言ってよいが,ここでの「影」の演出は"Stop Making Sense"を想起させたということも付け加えておきたい。Spike LeeあるいはDavid Byrneによる"Stop Making Sense"の監督,Jonathan Demmeへのオマージュと思いながら見ていた私である。この前に観た映画が「アメイジング・グレース」だったが,2本続いた音楽映画のどちらも掛け値なしの感動作というのは滅多にあるものではない。星★★★★★。

余談ながら,映画関連のサイトを見ていると,この映画にケチをつけている「映画しか知らない方々」がいるが,音楽を知って見れば,感動が倍増するのにねぇと思ってしまった。コロナ禍でなければ,歌って踊って応援型鑑賞(笑)をしたくなること必定。最高であった。冒頭で出てきた時には老けたなぁと思わせたDavid Byrneであったが,観ているうちに,撮影時には古希を迎えようとしているのに,David Byrne,何とも恐るべしと変わった私である。これも音楽ファンは必見である。

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コメント

素晴らしかったですねぇ。
最後、自転車で去っていく姿まで素晴らしかった。
と、いうこと、もう一度、大きな画面で観てきます。

リンクをありがとうございました。m(_ _)m
私もトンクを置いていきますね、
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2021/06/post-ff90fd.html

Suzuckさん,こんにちは。リンクありがとうございます。

>素晴らしかったですねぇ。
>最後、自転車で去っていく姿まで素晴らしかった。

そうですね。想像以上の素晴らしさでした。あのエンディングは印象的でした。

>と、いうこと、もう一度、大きな画面で観てきます。

その気持ちよくわかります。私はソフト化を待ちます。

新聞で評判良かったので気になっていたのですが、Talking Heads聴いてなかったし、David Byrneのアルバムも1枚しか持ってなくて、歌声として好きでないしと思って躊躇していたのですが、此方のブログで絶賛されているのを読んで決心してこの週末に観ました。音楽が劇場の音響機器もあり迫力あり、字幕で歌詞の訳も分かり、素敵なサウンド、メロディでもあり。更に舞台演出が素晴らしい。衣装、舞台、照明、ダンス。そしてこれを劇場で見ている以上に臨場感を出す映像演出。舞台演出が誰なのか知りませんが、これはByrneと舞台演出家とSpike Leeという3人の才能が見事にシンクロして出来た傑作だと思います。
しかし70に近いByrneにこれだけの創作意欲を駆り立てさせたであろうトランプ政権の存在って凄いマイナスのインパクトだったのでしょうね。

カビゴンさん,こんにちは。

音楽が劇場の音響機器もあり迫力あり、字幕で歌詞の訳も分かり、素敵なサウンド、メロディでもあり。更に舞台演出が素晴らしい。衣装、舞台、照明、ダンス。そしてこれを劇場で見ている以上に臨場感を出す映像演出。

“Stop Making Sense”でも素晴らしいセンスを発揮していましたので,David Byrneのコンセプトに基づくものだと思いますが,実に見事な舞台演出でした。

>しかし70に近いByrneにこれだけの創作意欲を駆り立てさせたであろうトランプ政権の存在って凄いマイナスのインパクトだったのでしょうね。

おっしゃる通りですね。リベラリズム爆発って気がしますが,はっきりした怒りが出ていて,私には小気味よかったですね。

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