感涙。「アメイジング・グレース」は全音楽ファン必見と言いたい。
「アメイジング・グレース("Amazing Grace")」(18,米)
Aretha Franklinがゴスペルにストレートに挑んだ"Amazing Grace"が素晴らしいアルバムであることは,聞いたことがある人間ならば誰でもわかる。私はその拡大版を長年CDで聞いてきたのだが,その時の映像版である映画が公開となったからには行かないわけに訳にはいかぬ。コロナ禍による緊急事態宣言で,GW中は映画館も休業していたが,6月になって緊急事態宣言は継続しているものの,条件付きで営業できるようになったとあってはこれは観に行くのが当たり前なのだ。
そして,私はArethaが最初に歌う"Wholy Holy"から涙腺が緩んでしまった。上映中,Arethaの歌に何度も涙してしまったというのが全てを表していると思う。歌の力とはこういうものだったのだということを改めて感じさせてくれる映像に,私は上映中心底感動していたのであった。
映画関係のサイトを見ていると,この映画に対する評価は必ずしも高くないところもあるようだが,そうした評価はこの音楽に対する評価を反映していないとしか言えない。確かに編集が完璧だとは言えない。しかし,私から言わせれば,音楽のことを無視してこの映画を評価してはならないのだ。純粋に映画として評価することは,この映画にはまさに不適切であって,音楽ともども,動く映像を通して,Aretha Franklinという歌手の芸術,そして信仰を感じられなければほとんど意味がないのだ。
ちらっと映るMick JaggarやCharlie Wattsは刺身のツマのようなものであって,それを取り立ててどうこう言うこと自体無意味。ゴスペルとは何か,信仰とは何か,ソウルとは何かを音と映像で感じることにこそこの映画の意義がある。本国では2018年に公開されて,とっくにBDもDVDも出ていたことは全然知らなかったとは言え,この映画を劇場で観られたことに私は大きな喜びを覚える。Aretha Franklin,まさに人間国宝であった。
全ソウル・ファンはもとより,全音楽ファン必見だと言いたい。星★★★★★。映画を観た帰り道に,音源版"Amazing Grace"を聴きながら家路についたことは言うまでもない。最高だ。
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閣下、リンクをありがとうございました。
感動的でした。。
そういえば、若き日のミック・ジャガーが居ましたね。
素晴らしかったので、これも、もう一度観にいきたいとおもいます。
「アメリカン」・ユートピア」も2度目はより感動したので、もう一度いきたいです。
問題は、上映期間がいつまでか、、って、ことですねぇ。。
リンクをおいていきますね。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2021/07/post-782090.html
投稿: Suzuck | 2021年7月15日 (木) 18時32分
Suzuckさん,こんばんは。リンクありがとうございます。
>感動的でした。。
はい。感動以外の言葉が思いつきません。
>素晴らしかったので、これも、もう一度観にいきたいとおもいます。
>「アメリカン」・ユートピア」も2度目はより感動したので、もう一度いきたいです。
>問題は、上映期間がいつまでか、、って、ことですねぇ。。
「アメリカン・ユートピア」ももう一回観たいですねぇ。こっちの方はBlu-rayでいつでも観られますが,やはり映画館で涙しながら観たいって気もします。上映期間はどうなんでしょう。東京はそろそろ終了のようです。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年7月15日 (木) 18時44分