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2021年6月30日 (水)

久しぶりにPat Martinoの"Exit"を聞く。

_20210627-2"Exit" Pat Martino(Muse)

MuseレーベルでのPat Martinoのアルバムは結構手に入りにくい状態が続いているようだが,Museに限らず,そのほかのアルバムも現物を入手しづらいってのはどういうことなんだろう?もはや売れないから,ストリーミングへの移行がされるってことなのかもしれないが,それにしてもである。特にMuseのアルバムはいいアルバムが多いと思えるのに,こうした状態が続いているのは残念なことである。まぁ,幸いにして私はPat Martinoのアルバムはそこそこ揃っているので別に問題はないが,こういうアルバムは簡単に手に入る状態にしておいて欲しいと思うのは,きっと私だけではあるまい。

このアルバムを聞くのも実に久しぶりなのだが,改めて聞いてみて,結構落ち着いた感じがすると思える。もちろん,Pat Martinoらしい速射砲的フレージングもそこかしこに現れるだが,ここはリズム隊のRichard DavisとBilly Hartとのバランスを考えたプレイぶりって気がしないでもない。冒頭のタイトル・トラック,"Exit"はミステリアスなイントロから,いかにもなPat Martino的フレージングが飛び出し,おぉっとなってしまう。しかし,それが全面的に展開される訳ではないのだ。典型的なのがラストに収められた"I Remember Clifford"であるが,元来バラッドで演じられるこの曲ゆえにそりゃそうでしょって気がするにしても,そういう印象が強いし,"Blue Bossa"みたいな曲はPat Martinoならもっと激しくやれたと思うところを,結構抑制気味にプレイしているように響くのだ。"Come Sunday"やら「酒バラ」って選曲のせいもあるかもなぁ。

しかし,ジャズ・ギターのアルバムとして聞けば,これが実によく出来ていると思わせるもので,こっちが思うPat Martinoよりもちょっとおとなしいだけなのだ(笑)。だが,聞けば聞くほど,フレージングは見事なものだし,ケチをつけようがない。星★★★★☆。同じリズムで,2ギターでやった"Footprints"がどうだったか思い出せないので,改めて聞いて比べてみないといかんなぁ。

Recorded on February 10, 1976

Personnel: Pat Martino(g), Gil Goldstein(p), Richard Davis(b), Jabali Billy Hart(ds)

2021年6月29日 (火)

Irene Kralの遺作アルバム。これも素晴らしいバラッド・アルバム。

_20210627 "Gentle Rain" Irene Kral (Choice)

ジャズ・ヴォーカルを大して聞かない私がIrene Kralのアルバムを取り上げるのも3枚目となる。それは我ながらなかなかないって思うのだが,その全てでピアノを弾いているのがAlan Broadbentということもあるとは言え,何よりもIrene Kralのバラッド表現に私が大きな魅力を感じているからということになると思う。

そんなIrene Kralの遺作となった作品がこのアルバムである。このレコーディングから約1年後に亡くなってしまったのが実に惜しいと思わせる歌をここでも聞かせてくれる。このアルバムは雨降りの午後とか,夜遅くなどのタイミングがフィットする音楽だと私は感じているが,このしっとり感が実に素晴らしい。ジャズ・ヴォーカルを日頃聞かない人間にとっても,ちゃんと響いてくる音楽なのだ。

一時期の引退状態もあり,必ずしもメジャーと言えるほどの人気の歌手だったとは言い切れないが,バラッドにおける表現力という観点では,極めて高いレベルの歌い手であったと思う。改めてこのアルバムを聞いて,Irene Kralという歌手の魅力に改めて気づかされる私である。遅まきながらの彼女への注目度のアップのためにも星★★★★★としよう。とにかく聞けばわかるこの魅力,ってところだ。Alan Broadbentは相変わらずの楚々とした伴奏ぶりで,好感度高いしね。

Recorded in August, 1977

Personnel: Irene Kral(vo), Alan Broadbent(p)

2021年6月28日 (月)

凄いぞ,「アメリカン・ユートピア」!

American-utopia「アメリカン・ユートピア("David Byrne’s American Utopia")」(’20,米,Universal)

監督:Spike Lee

出演:David Byrne(vo, g, perc), Jacqueline Acevedo(perc), Gustavo Di Dalva(perc), Daniel Freedman(perc), Chris Giarmo(vo), Tim Keiper(perc), Tendayi Kuumba(vo), Karl Mansfield(key), Mauro Refosco(perc), Stéphane San Juan(perc), Angie Swan(g), Bobby Wooten III(b)

この映画を観に行って,これは凄いと唸ってしまった。David ByrneにはTalking Headsとしての"Stop Making Sense"という超ド級の傑作があるが,それと同等と言ってよい傑作を改めて生みだすと誰が想像しただろうか。

本作はDavid Byrneのアルバム"American Utopia"に基づいて,ブロードウェイでショーとして展開された公演を収めたドキュメンタリーであるが,ほぼライブ・フィルムと言ってもよいものである。不勉強にして,音楽版は聞いていないのだが,このショーとしての演出に,David Byrneのミュージシャンに留まらない芸術性を感じてしまった。

私がこの映画を観る前に不思議に思っていたのが,なぜこのメンバーにはドラマーがいないのかということであったのだが,それは間違いなく意図があってのことであると映画を観てわかった。ドラムスのセットが舞台にあれば,ドラマーはそこに固定されて,モビリティを発揮することができない。即ち舞台としての自由度が下がるということである。それをDavid Byrneは6人のパーカッショニストで置き換え,自由な動きを可能としたのである。これこそこのステージ上の演出の肝だったと思えるが,これが実に素晴らしい。

彼らによって演じられるDavid Byrneの曲,そしてTalking Headsの曲も素晴らしいのだが,私が感動したのはJanelle Monáeのオリジナル,"Hell You Talmbout"であった。人種差別に抗議するプロテスト・ソングが彼らによって歌われること,そしてここに感じられるDavid Byrneのリベラリズムには大いにシンパシーを感じてしまったからである。そうした心情と素晴らしい音楽,映像が相まって,実に感動的な音楽映画だと思った私である。

これは音楽,舞台,映画という枠を超えて作り上げられた傑作と言ってよいが,ここでの「影」の演出は"Stop Making Sense"を想起させたということも付け加えておきたい。Spike LeeあるいはDavid Byrneによる"Stop Making Sense"の監督,Jonathan Demmeへのオマージュと思いながら見ていた私である。この前に観た映画が「アメイジング・グレース」だったが,2本続いた音楽映画のどちらも掛け値なしの感動作というのは滅多にあるものではない。星★★★★★。

余談ながら,映画関連のサイトを見ていると,この映画にケチをつけている「映画しか知らない方々」がいるが,音楽を知って見れば,感動が倍増するのにねぇと思ってしまった。コロナ禍でなければ,歌って踊って応援型鑑賞(笑)をしたくなること必定。最高であった。冒頭で出てきた時には老けたなぁと思わせたDavid Byrneであったが,観ているうちに,撮影時には古希を迎えようとしているのに,David Byrne,何とも恐るべしと変わった私である。これも音楽ファンは必見である。

2021年6月27日 (日)

だんだんよくなる「ミッション・インポッシブル」(笑)。

Ghost-protocol「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル(”Mission: Impossible - Ghost Protocol”)」(’11,米,Paramount)

監督:Brad Bird

出演:Tom Cruise, Jeremy Renner, Simon Pegg, Paula Patton, Michael Nyqvist, Vladimir Mashkov, Léa Seydoux

またもAmazon Primeで見てしまったこのシリーズである。3作目から約5年を経て制作された第4作だが,結構巷での評価も高い作品。そもそも監督のBrad Birdって聞いたことがなかったが,アニメ畑の人だったのねぇ。実写でもちゃんと撮れるってところを証明しているのが素晴らしい。

この映画のプロットもかなり無茶苦茶と言ってもよいのだが,悪役が悪役として役割を果たしているのがこの作品のいいところではないか。敵役のMichael Nyqvistが強過ぎなのは気になるが,それでもなかなか印象に残る敵役である。それに加えて後に007に出るLéa Seydouxがいいねぇ。これがあったから007に出られたのねって感じである。

まぁ,クレムリンを爆破したり,ドバイのビルのシーンもやり過ぎって気もするのだが,まぁこの映画らしくていいということにしておこう。相変わらず,Tom Cruiseがスタントなしで自分でやっているってのは凄いわ。一体何を考えているのやら(笑)。

タイトルの「ゴースト・プロトコル」が,孤立無援のようなTom Cruise+チームの大変さを示しているが,本作はストーリーの勝利かなって気がする。Ethan Huntの奥さんのJuliaとの逸話もあって印象深いし...。第1作から見てきて,この作品が一番よく出来ているというのは間違いのないところだろう。星★★★★。ある意味,シリーズの継続はこれで決定づけられたと言ってもよいと思う。

2021年6月26日 (土)

Charles Mingusについてはほとんど書いてこなかった。

_20210624 "The Clown" Charles Mingus(Atlantic)

このブログを始めて15年目になるというのに,ほとんどこのブログにCharles Mingusのアルバムが登場したことがない。例外はEric Dolphy入りのCornell Universityでのライブ盤ぐらいのものである。それもDolphyを聞くためにあったようなものだが,私にとってはMingusという人が,ちょっと敷居の高いミュージシャンだったからと言ってもよいかもしれない。「直立猿人」とか凄いタイトルだもんねぇ。それだけでビビるのだ(爆)。

そうしたCharles Mingusのイメージがちょっと変わったのは,Joni Mitchellの"Mingus"に収められたMingusの肉声によるところが大きいような気もする。別に怖い人ではないのだ。ただ,やっている音楽には主義主張がはっきりしているから,敷居が高いと思い込んでしまったところはあると思う。本作だって1曲目は「ハイチ人の戦いの歌」だもんねぇ(笑)。

しかし,本作を聴いていると,実に真っ当なモダン・ジャズだとも言えるのだが,4曲目のタイトル・トラックにおいて物語性が炸裂する。「道化師」の悲哀のようなものを音楽とナレーションで描くという感じだが,Mingusは道化師にジャズ・ミュージシャンの姿を重ね合わせたというところだろう。こういうところに普通のジャズではないという要素が出てくる訳だが,この辺りを受け入れられるか否かによって,Charles Mingusの音楽への反応は変わってくると思える。私は抵抗感はなくなりつつも,やはりこの曲の存在がどうなのかなぁと思ってしまうところに,Mingusの音楽へのシンパシーが完全に高まっていかない。これは個人の音楽的嗜好による相性だから,どうしようもない。

こうしたドラマチックな展開をよしとするかどうかは人それぞれだと思うが,私はアルバム前半の方が好きだなぁってことで,結局まだまだ完全に没入できないでいるのであった。星★★★★。まだまだ修行が足りないなぁ(苦笑)。

Recorded on February 13 and March 12, 1957

Personnel: Charles Mingus(b),Curtis Porter(ts, as), Jimmy Knepper(tb), Wade Legge(p), Danny Richmond(ds), Curtis Porter(ts, as), Jimmy Knepper(tb), Wade Legge(p), Danny Richmond(ds), Jean Shepherd(narration)

2021年6月25日 (金)

久々に聞いたChristian McBrideの”Sci-Fi”。

_20210623 "Sci-Fi" Christian McBride(Verve)

私が初めてChristian McBrideの生演奏にBradley’sで接してぶっ飛んだのが約30年前のことである。まだChristian McBrideは18歳だったはずだが,既にテクニックは完全に出来上がっていたと思う。それぐらい早熟のミュージシャンであったが,その後も順調にキャリアを積み上げ,今や立派なバンド・リーダーであり,ベーシストとなった。

そんなChristian McBrideのアルバムは相当数保有している私であるが,最近あまりプレイバックしていないなぁと思って気まぐれに取り出したのがこのアルバムであった。これは当時のレギュラー・バンドにゲストを迎えて制作された作品。

本作はいきなりSteely Danの"Aja"で幕を開けびっくりするが,そこからもわかる通り,これはオーセンティックな路線ではなく,コンテンポラリーなChristian McBrideである。ベーシストとしては何でもできてしまう人だし,Christian McBrideの年齢から考えてもコンテンポラリー系の音を出すことにも違和感はない。まぁそれでも”Aja”のような曲をやるのには,オリジナルをどう越えるの課題があるが,ここでは「普通」としかいいようのないレベルだったと言ってよい。演奏には文句はないのだが,驚きはない。正直言ってしまうと,1曲目にこの曲を据えるのは,アルバムの印象を弱めることにしかならないと思ってしまうのだ。それってもったいなくないか?オリジナルでWayne Shorterが吹いていたパートは,ここではDavid Gilmoreの結構カッコいいギターで置き換えているが,それでもねぇって感じなのだ。

2曲目も水準は維持しているとは思えるものの,膝を乗り出すって感じの感覚を得られない。ベースのテクニックやフレージングは完璧だと思えるが,バンド・サウンドとしてはどうなのかなぁって思ってしまう。ようやくHerbie Hancockがゲストで入る3曲目の"Xerexes"になって,これだよねぇと思わされる。このようなスリリングな展開の曲を冒頭に持っていけば,このアルバムに対する感覚はよくなったと思うのだ。この曲のようなハイブラウな感覚こそジャズ・ファンが求める音ではなかったのかって感じである。私がプロデューサーならば曲順を変えていただろうなと思ってしまう。なんだかもったいないのだ。

本作では"Aja"のほかに,Christian McBrideのオリジナルに加えてPoliceの"Walking on the Moon",Jaco Pastoriusの"Havona",そしてStanley Clarkeの"Butterfly Dreams"を演奏している。”Walking on the Moon”にはJames Carterのバスクラが加わって,Christian McBrideはハーモニクスを多用して,結構ミステリアスな雰囲気で演奏しているが,このハーモニクスは策に溺れたって気がする。もっと普通にやればいいのに。ジャコパスの"Havona"はハード・ドライヴィングな感じでいいのだが,ついついWeather Reportと比べてしまうと「う~む」となってしまうのは"Aja"と同じ。Weather Reportの演奏を知らなければ全然OKなのだが,オリジナルを知っていると聞く耳も厳しくなってしまうねぇ。"Butterfly Dreams"はStanley Clarkeの初リーダー作に収めらているようだが,ここではアルコでムーディにやっているが,今度オリジナルを聞いてみよう。

上記の3曲の間に挟まっている曲にToots Thielmansのハーモニカが入って,やっぱりジャコパスを意識したかって思わせるのも微笑ましいのだが,アルバム全体で聞くと,頑張ってはいるがもうちょっとだったねぇって感じのアルバムであった。いい演奏もあるので,半星オマケで星★★★☆としよう。

Recorded on February 10-12, 2000

Personnel: Christian McBride(b, key), Ron Blake(ts, ss), Shedrick Mitchell(p, el-p), Rodney Green(ds) with Herbie Hancock(p), Dianne Reeves(vo), Toots Thielmans(hca), James Carter(b-cl), David Gilmore(g)

2021年6月24日 (木)

やっぱりJeff Lorber Fusionが好きだ(笑)。

_20210622"Water Sign" The Jeff Lorber Fusion(Arista)

このブログにおいて,Jeff Lorberの出番は結構多い。それは私が彼のやっている音楽が好きだからにほかならないのだが,毎度毎度書いている通り,Jeff Lorber Fusionというバンドから出てくる「そこそこ」タイトなサウンドがいいのだ。彼らは決してスムーズ・ジャズにならないところに矜持を感じると言っては大袈裟か(笑)。だが,フュージョンってのはこういうもんだと思わせてくれるところは間違いなく彼らの魅力だと思う。

そして,何だかんだ言って,Jeff Lorber Fusionのアルバムはほとんど保有するに至っている私だが,この人たちの音楽の心地よさを理解している人も多数いる一方,バンド名のイメージだけで食わず嫌いの人も結構いるのではないかと想像している。恥ずかしながら,かく言う私も昔はそんな感じだったのだ。しかし,思い込みはいかん。Jeff Lorber Fusionの音楽には「キメ」の部分とかはないかもしれないが,これぞフュージョンとしての「王道」なのである。上述の通り,「そこそこのタイトさ」のよさをわかってもらえないと,その魅力はおそらくわかってもらえまい。

そういう感覚は,彼らのどのアルバムを聞いても感じることであるが,このアルバムも全く同様である。このアルバムもタイトル・トラックを聞いて,このグルーブに身を委ねられなければ,もはやJeff Lorber Fusionとは縁がないと思えばよかろう。やっぱり本作も心地よく,彼らのよさってのは十分に出ている。毎度毎度であるが,私は彼らの音楽は基本的にすべて星★★★★である。その中庸さこそが彼らの魅力なのだ。

ジャケの写真にはJeff Lorberのサインが入っているが,これは5年前に彼らがCotton Clubに来た時にまとめてサインをしてもらったものの一枚である。いつもながらのミーハーだが,いいんです,ファンなんだから(と開き直る)。尚,お馴染みの"Rain Dance"ではFreddie Hubbardがラッパを吹いている。時代が今なら間違いなくRandy Breckerの出番だな(笑)。

Personnel: Jeff Lorber(key, el-p, synth), Dennis Lorber(key, el-p, synth), Dennis Bradford(ds), Danny Wilson(b) with Dennis Springer(ts, ss), Freddie Hubbard(tp), Joe Farrell(fl), Bruce Smith(g), Doug Lewis(g), Jay Koder(g)

2021年6月23日 (水)

Amazon Primeで「燃えよドラゴン」を見たのには理由が...。

Enter_the_dragon 「燃えよドラゴン:ディレクターズ・カット("Enter the Dragon")」('73,米/香港,Warner Brothers)

監督:Robert Clouse

出演:Bruce Lee, John Saxon, Shih Kien, Ahna Capri, Jim Kelly

Amazon Primeでこの映画が見られるようになったからと言って,以前にもこの映画を酷評している私(記事はこちら)が,改めてこの映画を観たのには理由がある。

その日は家人ともめて,自室に逃げ込んだ(笑)ものの,憤懣やるかたない思いを抱えた私は,内心この映画でのBruce Leeの怪鳥音のような雄叫びを上げていたのだ(爆)。そういうこともあってついついこの映画をチョイスしてしまった(苦笑)。まぁそういうこともあるのだ。

映画としては無茶苦茶だと思うし,007へのオマージュ(あるいはパクリと言ってもよい)みたいな描写も出てきて,実に馬鹿馬鹿しいという感想には変わりはない。まぁ,それでも,こういう映画を観て,あまりのアホくささを笑いながら,怒りをおさめるのには丁度よかったってことにしておこう。

2021年6月22日 (火)

90125 Yesの最終作。長年のファンにとっては「微妙」なアルバム。

_20210621 "Talk" Yes(Victory)

私がプログレに目覚めたのは恥ずかしながらRick Wakeman経由である。そこからYesに関心が向かったのだが,「危機」を最高作として,「海洋地形学の物語」とかは面白くないなぁと思いつつ,「究極」はよかったなんて思っている。そんな私にとって,Yesというバンドのイメージが変わってしまったのは"90125"だと言ってもよい。あそこまで行くと,もはやプログレとは言えないと思っていたし,その後の"Big Generator"でもう駄目だと思いつつ,それでも"Union"ツアーは観に行ったりして腐れ縁は続いていった。

このアルバムは"90125"での編成による最終作となったもので,この次の"Keys to Ascention"ではまたもやRick Wakemanが復帰して黄金期のラインアップに戻ってしまう。それがいいか悪いかは別にしても,離合集散を繰り返し,今や老害でしかなくなってしまったのは昔からのファンにとっては残念なことである。特にChris Squireが亡くなってからの演奏は聞いていられない。

それはさておきである。"90125"編成のYesはTrevor Rabinの色が強くなり過ぎたことを許せるか許せないかで評価は変わってくるだろうが,私としてはやっぱり違うんだよねぇと思ってしまう。このアルバムもYesのアルバムだと思わないで聞けばいいだろうって感じの音だが,曲や演奏のクォリティ云々ではなく,これはもはやイメージの問題である。まぁ,最後に収められた"Endless Dream"こそプログレ的大曲ではあるが,ギターのサウンドがハード・ロックあるいはメタルか?みたいな音なので,なんだかなぁ~って感じである。まぁクォリティを考えれば,星★★★ぐらいつけてもいいかもしれないが,やっぱり違うのだ。

King Crimsonがメンツを変えながらも,一貫したイメージを継続して与えることに成功しているのとは大違いである。そういう意味で,King Crimsonの新しいアルバムは聞きたいと思うが,Yesについてはもはや私にとっては完全にオワコンとなったのであった。

Personnel: Jon Anderson(vo), Trevor Rabin(g, key, vo), Tony Kaye(key, org), Chris Squire(b, vo), Alan White(do, perc)

2021年6月21日 (月)

美的,という表現しか思いつかないStefano Battaglia参加のトリオ作。

_20210618 "Where Do We Go from Here?" ATrio(LOL)

我ながら陳腐というか,表現力に乏しいと思わざるをえないが,「美的」という表現以外が思いつかないアルバムである。アルバムはATrio名義であるが,プロデュース,更にはオリジナルを提供しているベースのStefano Colpiが主導したトリオであろう。但し,私がこのアルバムを購入したのはStefanoはStefanoでも,ECMからもアルバムをリリースするStefano Battagliaによるところが大きい。

そして,出てくる音が,まさにイタリア・ジャズの一つの美点と言ってよいような甘美な響きである。全編を通して,こうした響きが貫かれ,「熱く燃える」ジャズとは対極にある作品である。こういう響きってのはアフリカン・アメリカンからは決して出てこないだろうなぁって感じだが,この手のサウンドが好きなリスナーには「刺さる」音楽と思う。

私は雑食系音楽リスナーなので,幅広いタイプの音楽に対応可能だが,こういう音楽も実は好みである。最近はあまり使わなくなった表現だが,「部屋を暗くして,膝を抱えながら聞きたい音楽」なのだ(爆)。私にとってその表現がフィットするのがBill Evansの"You Must Believe in Spring"だと言えば,わかる人にはわかってもらえるだろうが,まさにそういう感じなのである。

このアルバムのタイトル・トラックはKenny Wheelerの曲であり,また,3曲目には"Waiting for Kenny"という曲も入っている。Stefano ColpiはKenny Wheelerとの共演歴もあるし,Stefano Battagliaにも"Tales"というKenny Wheelerとの共演盤もあるので,Kenny Wheelerからの影響も相応にあるということかもしれない。いずれにしても,清冽な美学に溢れたアルバムとして,やっぱりこういうのって好きだなぁと思ってしまう。まぁ,もう少し変化をつけてもいいんじゃない?って気がしないでもないが,首尾一貫した美学に浸ればよいと思えるアルバム。星★★★★。

Recorded on May 19 &20,2003

Personnel: Stefano Colpi(b), Stefano Battaglia(p), Carlo Alberto Canevali(ds)

2021年6月20日 (日)

やって来ました,「アメイジング・グレース」のブルーレイ。

Amazing-grace-bluray

先日,この映画について当ブログで取り上げた際には、全音楽ファン必見と書いた(記事はこちら)。それぐらい感動的な映画だったが,日本では公開が遅れたせいもあって,本国ではとうにソフト化されているので,発注していたものが予定より早く到着した。

本質的に映画は劇場で見るのが一番だが,何度も見たくなると思えるようなArethaの歌唱の素晴らしさもあって,ソフトを発注した私である。CDで音楽を聞くだけでも感動できるが,これでいつでもこの素晴らしいライブの模様を楽しむことができるようになったのは実に嬉しい。

メニューはあまり充実していないし,字幕はOn/Offだけのシンプルなクローズド・キャプション仕様だが,全然問題なしである。早速見て,またもや"Wholy Holy"から落涙してしまった私であった。一家に一枚と言いたくなるような素晴らしい歌唱。

2021年6月19日 (土)

どうして買ったのかもよく覚えていないが,よく出来ているMarco Tamburiniのアルバム。

_20210617 "Isole" Marco Tamburini(EmArcy)

私が本当の意味で欧州ジャズの魅力を理解し始めたのは,このブログを初めて,ブログを通じて知己を得たお知り合いの皆さんの情報によるところが大きい。それ以前にもEnrico Pieranunzi等は例外的に聞いていたが,それ以外はちゃんと聞いていたとは言えない。

そんな私だが,このアルバムはどうやって買ったのか記憶が曖昧である。バーゲン品でかなり安く仕入れたような記憶はあるのだが,それがはっきりしない。このアルバムがリリースされたのは2007年なので,当ブログ開設後であることは間違いないが,その頃はまだ欧州ジャズに目覚めていないので,よほど安かったと考えるのが妥当だろう(笑)。まぁ,リズムがCameron BrownとBilly Hartなんで買ったのかもしれないが,それ以外は全然知らないミュージシャンであったのだから,ギャンブルしてもいいってぐらいの価格だったと考えてしまうのだ。

しかし,久しぶりにこのアルバムを聞いてみて思うのは,欧州,あるいはイタリア的というよりも,むしろそこはかとなくダークさをたたえたコンテンポラリーな響きが魅力的だったということである。ある意味,イタリア・ジャズの懐の深さを感じさせると言えるが,この感覚,Paolo FresuのDevil Quartetを初めて聞いた時の感覚を想起させるものと言ってもよい。

Marco Tamburiniがその後2015年に亡くなってしまったのも,今回この記事を書くためにネットを調べていて知ったのだが,非常に有能なトランぺッターであったことを感じさせる作品であった。実に侮れない佳作として,星★★★★。いやいや,実にレベルが高い。

Recorded on November 15, 2006

Personnel: Marco Tamburini(tp), Stefano Bedetti(ts), Daniele Santimone(g), Marcello Tonolo(p, el-p), Cameron Brown(b), Billy Hart(ds)

2021年6月18日 (金)

久しぶりに「ラスト・ワルツ」を見て思ったこと。

The-last-waltz 「ラスト・ワルツ("The Last Waltz")」(’78,米,United Artists)

監督:Martin Scorsese

出演:The Band, Bob Dylan, Eric Clapton, Neil Young, Joni Mitchell, Muddy Waters, Paul Butterfield, Dr. John, Van Morrison, Neil Diamond, Ronnie Hawkins, Emmylou Harris, The Staples

音楽映画として,何も言うことのない傑作である。久しぶりにDVDでこの映画を観ても,その感覚は変わらない。The Bandの解散コンサートに集った素晴らしい面々との共演も,The Band自身の演奏にも文句のつけようがないし,何度見ても素晴らしい。なので,音楽を含めて映画としては星★★★★★である。

そうした中で,何度この映画を観ても思ってしまうことが2点ある。まずはEric ClaptonとRobbie Robertsonのギタリストとしての格の違いである。コンサート全体を通じて,Robbie Robertsonは頑張っている。そのことは否定しない。しかし,”Further on up the Road"でこの二人がソロ交換をすると,実力の違いがあまりにも露骨に出てしまって,何度観ても可哀想な気分になってしまう私である。Claptonのソロはいかにもなのだが,それでもあの余裕のプレイぶりに対し,Robbie Robertsonの力みっぷりが見ていてちょっとなぁってところだ。

もう一点,この映画,あるいはアルバムにおいて,Van Morrisonの歌唱を絶賛する人が多いのだが,私は昔からここでのVan Morrisonのどこがいいのか全然理解できていない。それは音源を初めて聞いた40年以上前からずっと変わらないし,今回映像を観ても同じ感覚しか得られない。結局好みの問題なのだろうが,どうしてもThe Bandとのフィット感という点では,私には違うと思えてしまう。

そんな思いはありながら,Neil Young, Joni Mitchell,Muddy Waters,そしてBob Dylanとの共演シーンにはウハウハしていた私であった。Joni Mitchellのバックで"Coyote"を完璧に伴奏するThe Bandの実力を思い知らされる。最高の音楽ドキュメンタリー映画の一本。Martin Scorseseのインタビューもよくわかっているねぇって感じである。

ってことで,映画も観たので,4枚組のCDでも聞くことにするか(笑)。

2021年6月17日 (木)

Styx最後の輝きって感じのライブ盤。

_20210615 ”Caught in the Act: Live” Styx(A&M)

懐かしいアルバムである。今の若い人には,Styxって誰よ?って感じだろう。Styxというバンドの活動が活発だったのは1980年代前半までということになる中で,84年にリリースされたベスト盤的このライブ・アルバムは主題の通り,最後の輝きって感じである。その後,よくあるバンドの内紛で活動は停滞していくのだが,まだ勢いのある時期のライブだけあって,結構楽しめる。このアルバムの前年には"Mr. Robot"で「ドモアリガト,ミスター・ロボット」なんて歌って,日本でも受けていた時期で,その”Mr. Robot"もきっちり入っている。そして,ハイティーンだった時期の記憶が甦るおっさんには実に懐かしく響くのだ。

実を言うと,私が保有しているStyxのアルバムはこれだけで,彼らのアルバムは本作を除いて買ったこともないのだが,当時のチャートは賑わしていたし,それなりの人気バンドであった。今はコロナ禍もあって,カラオケもへったくれもないが,恥ずかしながら,私はカラオケでStyxの曲を結構歌っていたのだ(爆)。特に歌っていたのが"Babe"辺りだが,それぐらい耳馴染みのある曲なのだ。

そんな彼らがもともとはプログレ・バンドだったというのはがほとんど信じがたいようなポップな曲が並んでいる。"Sweet Madame Blue"にはプログレ・バンドとしての残り香があるが,それ以外はかなりのポップさが目立っている。それでもそういう曲で受けていたのだから,それはそれでいいではないかと思うが,このバンドの魅力はDennis DeYoungのハイトーン・ヴォイスだったよなぁなんて思ってしまう。オリジナル・メンバーである彼が内紛で半ば追い出されるようなかたちになったのは残念なことであった。

今でも現役でバンド活動を続けるStyxであるが,このアルバムから40年近く経って,今はどんな演奏をしているのかねぇと思ってしまうが,私としてはこのアルバムを聞いて,"Babe"を歌う練習をしていればいいや(笑)。それでも勢いのある時期のバンドとしての存在感はちゃんと出しているので,結構今でも楽しめる。星★★★★。

Personnel: Dennis DeYoung(vo, key), Tommy Shaw(vo, g, vocoder) DeYoung(vo, key), Tommy Shaw(vo, g, vocoder), James Young(g, synth, vo), Chuck Panozzo(b, vo), John Panozzo(ds, perc)

2021年6月16日 (水)

Brad Mehldauの新作なのだが,さすがにこれは困った。

Variations-on-a-melancholy-theme "Variations on a Melancholy Theme" Brad Mehldau / Orpheus Chamber Orchestra(Nonesuch)

Brad Mehldauの新作がリリースされた。今回はOrpheus Chamber Orchestraとの共演によるクラシック風味の強い変奏曲ということで,越境型ミュージシャンとしてのBrad Mehldauの面目躍如のようなアルバムと言ってもよいのだが,私にとっては微妙なものとなった。それは私がBrad Mehldauの大ファンだからと言っても変わらない。

そもそもこの演奏は最新録音ではないはずである。Brad MehldauがOrpheus Chamber Orchestraとこの曲を演奏したのは2012年あるいは13年の音楽シーズンであった。コロナ禍で演奏活動に制約が生じている中で,古い音源を引っ張り出してきたってことかもしれないが,それにしても,このオーケストレーションは中途半端って気がする。もともと,この曲はKirill Gersteinのピアノ・ソロのために書かれて,そこにOrpheus Chamber Orchestraからの委嘱によってオーケストレーションが付加されたもの。しかし,オーケストレーションとしては,正式にはまだリリースされていないが,Brad Mehldauが書いたピアノ協奏曲の方がまだ面白みがあったように思える。Brad Mehldauのピアノには文句はないのだが,オケとの共演によるシナジーが効いていると思えないのだ。

しかし,私としてもVariationとしての「変奏ぶり」については詳細に聞けていないところもあり,ちゃんとした評価はそれからでもいいのだが,何度か聞いてもあまり惹きつけられる要素が感じられていないのが残念である。まぁ,Brad Mehldauとて,こういう音楽は習作ってところもあるだろうし,時期的にも結構前だけに,こんなもんかなぁってことか。

最後の曲の後に拍手が入っているが,ライブ音源のデータも記述されていないし,実によくわからないつくりなのも不思議である。おそらくは2012年もしくは13年のシーズンに録音されていたものってところだろうが,敢えて今リリースする理由はあったのか...。

Personnel: Brad Mehldau(p) with Orpheus Chamber Orchestra

2021年6月14日 (月)

いつ何時聞いても痺れる"John Coltrane And Johnny Hartman"。

_20210611 "John Coltrane And Johnny Hartman" (Impulse!)

名盤の類というのは,家で聞く機会がなかなか増えないというのも事実なのだが,たまに聞くと実に痺れる出来ってのが名盤の名盤たる所以である。このアルバムは,新橋のテナーの聖地,Bar D2が営業されている頃はたまに聞く機会もあったのだが,お店が閉店されて以降,聞いたのは初めてかもしれない。だが久しぶりに聞いて,このアルバムの素晴らしさを改めて感じている私である。

まさに「ビター・スイート」という表現はこのアルバムのためにあるとさえ言いたくなるような渋く,そして味わい深いアルバムなのだ。John ColtraneとJohnny Hartmanを組み合わせるという企画の勝利とも言えるが,ここまで素晴らしい成果につながるとプロデューサーのBob Thieleが思っていたとすれば,まさに慧眼。凄いことである。

このアルバムには多言は無用。黙って聞いていれば,音楽の素晴らしさを感じることができる。私にとっては,このアルバムを聞く喜びを語り合えない人とは決して友人になれない。そんなアルバムである。星★★★★★。私が保有しているCDのボートラ,"Vilia"が蛇足にしか思えないというのが正直なところ。オリジナル盤が欲しくなる。そんなアルバムである。何を今更ではあるが,素晴らしい。素晴らし過ぎる。

Recorded on March 7, 1963

Personnel: John Coltrane(ts), Johnny Hartman(vo), McCoy Tyner(p), Jimmy Garrison(b), Elvin Jones(ds)

2021年6月13日 (日)

豪華な共演者に囲まれたCharles FambroughのCTIレーベル作。

_20210610-3 "The Proper Angle" Charles Fambrough(CTI)

懐かしいアルバムである。これはCreed TaylorがCTIレーベルを80年代終盤に再立ち上げをした時にリリースされたものの一枚で,Charles Fambroughにとっての初リーダー作だが,多分これが出たのは私の在米中だったはずで,リリースされた時もそのメンツに驚いたものである。超豪華キャストと言ってもよいのだ。昔のCTIならありえる話だが,この時代,まさに旬と言ってよいミュージシャンを揃えたのは圧巻であった。その中でも私にとって重要だったのはKenny Kirklandだが,それに加えてMarsalis兄弟,Roy Hargroveまで参加しているのだから,ブイブイとした演奏をしてくれるだろうという期待は実に大きかった。

だが,こっちの思った通りにはいかない。冒頭はMilton Nascimentoの"Don Quixote"で幕を開けるが,これが結構あっさりした出来で,初めて聞いた時ももう少し飛ばしてもよかったのではないかと思った記憶がある。2曲目はいきなりラテン風味が強まるのだが,実はこのほかにもラテン・タッチの強い曲が何曲かあって,不思議な感覚を覚えてしまう。3曲目のWynton Marsalisオリジナルの"Uncle Pete"はミディアム・テンポで,どうも聞いている方が盛り上がらない。演奏が悪い訳ではないのだが,こっちの期待と違うって感じなのだ。

そうした若干のフラストレーションをようやく解消できるのが5曲目"Broski"では,「遅ぇ~よ!」と悪態の一つもつきたくなる(爆)。この曲はFambroughがJazz Messengers在団中に書いた曲らしいが,いかにもJMに合いそうな曲調で,正直言って私が期待していたのはこちら系の音だった。

今にして思えば,このアルバムはプロダクション重視だったのかなぁという気もするが,私としてはこのメンツを集めてこれではちょっともったいないのではないかという感覚がどうしてもぬぐえない。ほぼ半数でパーカッションを入れて,ラテン・フレイヴァーを打つ出すよりも,私はイケイケ・ハードバップ的な演奏の方がよかったと思ってしまう。演奏の質は相応に保っているが,その辺りが惜しいと感じるのは単なる私の趣味の問題かもしれない。まぁオマケしてでも星★★★☆ぐらいがいいところだろう。

Recorded on May 29-31, 1991

Personnel: Charles Fambrough(b), Kenny Kirkland(p), Jeff Watts(ds), Roy Hargrove(tp), Wynton Marsalis(tp), Branford Marsalis(ts), Joe Ford(as, ss), Steve Berrios(perc), Mino Cinelu(perc), Jerry Gonzalez(perc)

2021年6月12日 (土)

Dave Hollandの恐るべき創造力。

_20210610-2”Another Land” Dave Holland(Edition)

ジャズ界には年齢を感じさせない活動を続ける化け物のような人がいる。私にとってはCharles Lloydがその代表みたいな感じだが,今年の10月には75歳になるDave Hollandももはや化け物レベルだと感じさせるような新作が届いた。

このアルバムはクリポタことChris Potterの新作も出すEdition Recordsからのリリースだが,告知された段階では発注していなかった。だがDave Hollandの近年のアルバムはどれを取っても出来がよく,"Prism"も”Good Hope”も年間ベストに選んでいるのだ。その間に出た"Aziza"だって星★★★★☆なのだ。そういうDave Hollandなので,無条件に発注してもよかったのだが,ちょっと逡巡していたもの。しかし,ストリーミングで公開されたこの音源のカッコよさを知って即Editionに発注したものである。

_20210610 Edition Recordsは結構発注対応が迅速で,実にいい会社である。ついでにいつもオマケがついてくる。今回はDave Hollandサイン入りのカードが同封されていたので,ついでにその写真もアップしておこう。今回も発注から短いスパンでデリバリーされた現物で演奏を聞いているのだが,昨今聞いた典型的ギター・トリオ編成のアルバムの中でも突出した出来と聞いた。思うに,Dave HollandがKevin Eubanksと共演すると,実に優れた演奏を聞かせてくれると今回も感じさせる。彼らの共演歴は長く,古くは1990年のECMの"Extensions"まで遡る。直近では"Prism"があった訳だが,この二人が揃うとハイブラウでカッコいい演奏を聞かせてくれると期待してしまう。そして,今回もその期待は裏切られることがなかった。この二人には確実に何かを生み出すシナジーが働いていると思うしかない。

ドラムスのOved Calvaireは1982年生まれなので,若干下の世代になるが,Kevin Eubanksとて既に還暦過ぎであることを考えれば結構な世代間ギャップは存在する。しかし,Dave Hollandにしても,Kevin Eubanksにしても,加齢による「よいよい感」等皆無。Oved Calvaireぐらいのいきのいいドラマーが相手で十分って感じである。ある意味,Gatewayの頃と変わらぬ創造力だと言ってもよいだろう。

バラッドも交えたアルバムではあるが,全編を通じて甘さなど微塵も感じさせない強烈な作品。古希を過ぎてこんなアルバムを作っているDave Holland,まさにこの人も化け物である。そして,これからもこうした創造力を発揮し続けるのだろうと思ってしまうような快作。この老いとは無縁のアルバムに敬意を表して星★★★★★としてしまおう。間もなく還暦を迎える私もかくありたい(笑)。

Recorded on November 10 & 11, 2019

Personnel: Dave Holland(b), Kevin Eubanks(g), Oved Calvaire(ds)

2021年6月11日 (金)

”Mission: Impossible III”:噴飯ものの2作目に対し,3作目やいかに?

Mi3「M:I:III ミッション・インポッシブル3("Mission Impossible III")」('06,米/独/中/伊,Paramount)

監督:J.J. Abrams

出演:Tom Cruise, Michelle Monaghan, Philip Seymour Hoffman, Ving Rhames, Maggie Q, Lawrence Fishburn, Simon Pegg

このシリーズの2作目は,過大評価甚だしいJohn Wooの芸のない演出で,全く面白みに欠ける作品となってしまったのは前に書いた通りである。なので,John Wooはさっさとクビにして,雇い入れたJ.J. Abramsの仕事ぶりが気になるシリーズ第3作である。

結論から言えば,映画としては第2作よりはずっとましであったが,シナリオには相変わらず飛躍や疑問がある。しかし,映像の迫力でごまかしがきいてしまったってのが正直な感覚である。

まぁ,それでも名優Philip Seymour Hoffmanの悪役ぶりははまっているし,それによって救われた部分もあるようには思える。いずれにしても,このシリーズがフランチャイズとして更に強力になっていくのは次作の"Ghost Protocol"以降ってことになると言ってもよさそうだ。そのうち,"Ghost Protocol"以降も観ることにしよう。星★★★。

それにしても,Tom Cruiseの走る姿は何度見ても笑える。

2021年6月10日 (木)

ストリーミングで聞いたSteve Miller Bandの1977年のライブ音源。

Steve-miller-band-live "Live: Breaking Ground August 3, 1977" Steve Miller Band (Universal)

私がアメリカン・ロックにはまるきっかけがCSN&Yだったのは間違いないのだが,それ以外で実際にアメリカ系の音というものに惹かれたのは,おそらくTVで見たDoobie BrothersやSteve Miller Bandのライブ映像だったように思う。Doobiesであれば"Stampede",Steve Miller Bandであれば"Fly Like an Eagle"辺りに大いに刺激を受けたのが1976年ぐらいのことだったと思う。

当時,Steve Miller Bandの”Fly Like an Eagle"は実にいいアルバムだと思ったし,その後の"Book of Dreams"も好きなアルバムであった。丁度この頃が彼らが人気絶頂だったと言ってもよいかもしれないが,そんな絶頂期のライブ音源が発掘されてリリースされた。さすがにもう購入する気もないので,ストリーミングで聞いたもの。

まぁ,ライブだけに結構荒っぽいって気もするし,歌詞も今にして思えば,何とくだらないのかなんて思ってしまうが,当時は英語のヒアリング能力もないからそんなことは思いもよらず,サウンドにだけ注目していた中学2~3年ぐらいの私であった。しかし,こういうロックは小難しいことを言ってはならんと聞きながら思っていた。聴衆の熱狂ぶりには思わず笑ってしまうぐらいではあるが,勢いってのはこういうものなんだろうなぁと今更ながら感じる。

正直なところ,なぜ今,こんな音源が発掘されるのかと思ってしまうが,今でも根強いファン層がいるってことかもしれない。そもそも今の若い人たちは"Steve Miller, Who?"で終わりだろうが,かく言う私もストリーミングとは言え,聞いているのだから結局好き者は存在するってことだ。ただねぇ,同じライブ音源でも,Bob Segerのライブ盤はもっとよく出来ていたようにも思えるが,Bob Seger盤には編集の力ってのもあったかもしれない。このSteve Miller Bandのライブ盤はそんな編集なんて必要ないわ!みたいな感じの音と言ってもいいのだろう。

いずれにしても,私としては懐かしく聞けたのはよかった。結局は私にとっての「懐メロ」なのだが,それ以上でもそれ以下でもないってことで,半星オマケしても星★★★☆ぐらい。よってストリーミングで全く問題なし(きっぱり)。

Recorded Live at the Cap Center, Landover, Maryland on August 3, 1977

Personnel: Steve Miller(vo, g), Norton Buffalo(hca), David Denny(g), Greg Douglass(g), Byron Allred(key), Lonnie Turner(b), Gary Mallaber(ds)

2021年6月 9日 (水)

久しぶりにブートレッグの話。またもBrad Mehldauである。

_20210607”Moers 2021" Brad Mehldau(Bootleg)

コロナ禍の影響により,ミュージシャンは音楽活動に制約を受けてきたし,我々リスナーもライブの場に立ち会う機会がなくなってしまった中で,最新の動向を押さえていくには,ネットかブートに頼るしかない。今日はブートレッグであるが,またもBrad Mehldauである。去る5/21のライブの模様が早くもブートで手に入るってのが凄いことだが,やっぱり聞きたいのである。

今回はドイツはメールスで開催されたフェスティバルの実況であるが,YouTubeには映像も上がっているはずなので,ソースはそれってことになろう。Radiohead,Beatles,Neil YoungにColtraneゆかりのナンバーなどをソロで演奏する模様が収められている。今回は名古屋から仕入れたものだが,映像を収めたDVDがオマケでついてきた。まぁ,私は音だけ聞ければいいのだが,オマケはオマケで嬉しい(笑)。

このご時世なので,トリオ演奏は難しいこともあり,ここのところ,ソロでの演奏が中心のBrad Mehldauだが,ここでも彼らしい演奏ぶりが楽しめる。私が入手したのは実際のライブから10日も経っていない頃だったはずなので,便利な世の中になったものだと思わざるをえない。

まぁ,ブートはブートなので,どうこう言うつもりはない。それでも,このブートで私が密かに期待したのはNeil Youngの"Don’t Let It Bring You Down"だったのだが,正直言ってこれは可もなく不可もなくって感じであった。むしろRadioheadの曲の方がいい感じだったと思う。

ワクチン接種が拡大し,日本も近い将来平常時に戻ることを期待しつつ,改めてのBrad Mehldauの来日を期待したいが,それまではこういうので我慢していくしかないのである。もうすぐオーケストラと共演したアルバムも出る予定のBrad Mehldauであるが,それまではこの音源や既発のCDを聞いて待つことにしたい。

Recorded Live at Festivalhalle, Moers, Germany on May 21, 2021

Personnel: Brad Mehldau(p)

2021年6月 8日 (火)

改めて「コンテイジョン」をAmazon Primeで観て,コロナ禍との関連を思う。

Contagion 「コンテイジョン("Contagion")」('11,米/UAE,Warner Brothers)

監督:Steven Soderburgh

出演:Gwyneth Paltrow,Matt Damon,Kate Winslett,Lawrence Fishburne,Jude Law,Marion Cotillard

私がこの映画を劇場で観たのは約10年前のことである。その年は震災の年であったが,その10年後,この映画に描かれた世界と同じようなことが世界に起こると誰が想像しただろうか。この映画がAmazon Primeで観られるようになったので,改めて観てみたのだが,この映画に描かれている世界が本当に起こってしまったことには改めてショックを受けた私である。

この映画で描かれているウイルスは現在のCovid-19よりもはるかに悪質ではあるが,それに付随して起こる出来事はフィクションであったにも関わらず,現実世界において実際に繰り返されてしまったのではないかと思えるのが恐ろしい。

相変わらずJude Lawの嫌らしさが感じられるのは10年前と一緒だが,それを演じ切るのが役者魂だと思った。シナリオにちょっと無理があるのは承知の上で,この映画は今だからこそ観る価値が上がったと思える作品であった。Steven Soderburgh,さすがである。

2021年6月 7日 (月)

あぁ,無駄遣い...。

Unorthodox-behaviour "Unorthodox Behaviour" Brand X(Charisma)

以前,保有していたレコードをCDに買い替えたものの,どうしてもアナログの方がいいよねぇと思えるアルバムがあって,売らなきゃよかったと思っているものがある。私にとってどうしても後悔の念をぬぐえなかったものにGenesisの”Seconds Out”がある。オリジナル盤ではなかったと思うが,非常に状態のいい英国盤を保有していたのだが,売るはずはないと思っていても,どうしても見つからないところを見ると売ってしまったらしい。そういうアルバムはほかにもある。あれもないし,これもないって感じなのだ。思えばもったいないことをしたものだと思う。

そんな私が改めてGenesisのアルバム(状態は悪くないが,ジャケの質はイマイチ...)を入手したついでにゲットしたのが,Brand Xの"Unorthodox Behaviour"である。私はBrand Xというバンドが結構好きで,特に"Livestock”は本当に好きなアルバムである。それに加え"Moroccan Roll"も英国盤で保有しているが,デビュー・アルバムも国内盤LPを持っていたものの,CDの集成ボックスを購入した際に売り払ったはずだ。しかし,Genesis盤を買うついでに,こっちもオリジナル盤をゲットするかってことで購入してしまった。但し,値段は手頃だった,と言うよりも思っていたよりもかなり安かったので購入したのだが,こういうのを無駄遣いって言うんだと思っていた。

人生において,買って,売って,また買ってというのを何度か経験している私だが,もうこういうのはあまりやりたくないなぁと感じる。しかし,改めてこのアルバムを質のよいオリジナル盤で聞くことは感慨深いものがあった。特にA面。カッコ良過ぎである。と言っても,我が家のしょぼいオーディオ・セットでは音の「違いのわかる男」とはなれないだろうが...(苦笑)。

2021年6月 6日 (日)

感涙。「アメイジング・グレース」は全音楽ファン必見と言いたい。

Amazing-grace 「アメイジング・グレース("Amazing Grace")」(18,米)

Aretha Franklinがゴスペルにストレートに挑んだ"Amazing Grace"が素晴らしいアルバムであることは,聞いたことがある人間ならば誰でもわかる。私はその拡大版を長年CDで聞いてきたのだが,その時の映像版である映画が公開となったからには行かないわけに訳にはいかぬ。コロナ禍による緊急事態宣言で,GW中は映画館も休業していたが,6月になって緊急事態宣言は継続しているものの,条件付きで営業できるようになったとあってはこれは観に行くのが当たり前なのだ。

そして,私はArethaが最初に歌う"Wholy Holy"から涙腺が緩んでしまった。上映中,Arethaの歌に何度も涙してしまったというのが全てを表していると思う。歌の力とはこういうものだったのだということを改めて感じさせてくれる映像に,私は上映中心底感動していたのであった。

映画関係のサイトを見ていると,この映画に対する評価は必ずしも高くないところもあるようだが,そうした評価はこの音楽に対する評価を反映していないとしか言えない。確かに編集が完璧だとは言えない。しかし,私から言わせれば,音楽のことを無視してこの映画を評価してはならないのだ。純粋に映画として評価することは,この映画にはまさに不適切であって,音楽ともども,動く映像を通して,Aretha Franklinという歌手の芸術,そして信仰を感じられなければほとんど意味がないのだ。

ちらっと映るMick JaggarやCharlie Wattsは刺身のツマのようなものであって,それを取り立ててどうこう言うこと自体無意味。ゴスペルとは何か,信仰とは何か,ソウルとは何かを音と映像で感じることにこそこの映画の意義がある。本国では2018年に公開されて,とっくにBDもDVDも出ていたことは全然知らなかったとは言え,この映画を劇場で観られたことに私は大きな喜びを覚える。Aretha Franklin,まさに人間国宝であった。

全ソウル・ファンはもとより,全音楽ファン必見だと言いたい。星★★★★★。映画を観た帰り道に,音源版"Amazing Grace"を聴きながら家路についたことは言うまでもない。最高だ。

2021年6月 5日 (土)

今更ながらの「ブルースの真実」。いいねぇ。

Photo_20210525194701 "Blues and the Abstract Truth" Oliver Nelson (Impulse!)

誰しもが知る名盤ってのは記事にしにくいものだ。何を今更感があるからだが,改めてこのアルバムを聞いてその素晴らしさを再認識した私である。私はこの手の歴史上の名盤ってのは大体アナログからCDに置き換えてしまっているのだが,本作は例外的にCDで購入したことがなく,ずっとアナログのままである。久しぶりに取り出してみたら,ジャケが結構かびちゃったなぁってのは自己責任だが,アルバムの再生には全く問題はないからまぁいいや。

こういうアルバムってのは,新譜や別ジャンルの音楽を優先する中で,プレイバック頻度は決して上がらない。と言うか,若い時に相当聞き込んでいるから,改めて聞こうって気になかなかならないのだ。私が保有するアナログ・レコードの枚数は今やかなり少なくなってしまったが,再生時にアナログよりもCDの手軽さを選んでしまうので,ますますプレイバック頻度が下がるという悪循環ってところか。

それはさておきである。今も昔も私がこのアルバムに衝撃を受けるのは冒頭の"Stolen Moments"におけるEric Dolphyのフルート・ソロである。この素晴らしい音色,今まで聞いたこともないようなアドリブ・フレーズにびっくりしたという第一印象は今でも変わらない。これだけ凄いメンツを集めたアルバムにもかかわらず,Eric Dolphyの突出具合はまさに半端ではないのだ。そうした意味で,このアルバムは若い頃の私にとってはEric Dolphyを聞くためのアルバムになっていたと言っても過言ではない。

だが,この歳になって,改めてこのアルバムを聴いてみると,Dolphyに限らずソロイストのレベルが非常に高いものだったと感じさせられるものであった。Freddie HubbardもBill Evansもいい仕事ぶりだし,Oliver Nelsonだって頑張っている。特にFreddie HubbardのブリリアントなソロはDolphyに比肩しうる仕事と言ってもいいかもしれない。しかもリズムはPaul ChambersにRoy Haynesとなれば鉄壁なのだ。名盤となるべくして,名盤となったというアルバムだが,その一方で,アンサンブルにだけ貢献し,ジャケに名前すら載らないバリサク担当のGeorge Barrowはちょっと可哀そうだが,まぁそれもセールスを考えれば仕方がなかったのかもしれない。それでもこのアルバムに参加したという事実は,George Barrowのキャリアにとっては重要なものとなったことは間違いない(意外にも”Jazz Composers Orchestra"にも参加しているが...)。

いずれにしても,素晴らしい作編曲に素晴らしいソロイストが揃って,本当に優れた作品ができたという事例。星★★★★★。文句のつけようなし。

Recorded on February 23, 1961

Personnel: Oliver Nelson(ts, as), Freddie Hubbard(tp), Eric Dolphy(as, fl), George Barrow(bs), Bill Evans(p), Paul Chambers(b), Roy Haynes(ds)

2021年6月 4日 (金)

イタリア人バンドにTom Harrellが客演した穏やかなアルバム。

_20210524

"The Cube” Harrell / Moroni / Dulbecco / Fioravanti / Zirill / Bagnoli (abeat)

こんなCDも持っていたなぁってことで,久しぶりに取り出しアルバム。聞くのは実に久しぶりのはずだ。本作はDado Moroniが集めてきたイタリア人バンドにTom Harrellをゲストに迎えているが,全9曲中7曲で吹くTom Harrellに注目が集まるのは当然だろう。まぁ,Tom HarrellとDado Moroniは"Humanity"というナイスなデュオ・アルバムも残しているから,相性は問題ない。

そして,このアルバム,実に穏やか。Tom Harrellのラッパってのは爆発力というより歌心って感じだと思うが,そうしたTom Harrellの特質を反映しているとでも言うべきサウンドで,ついつい和んでしまう。ライナーによれば,Dado Moroniのミスでドラマーを2人セッションに呼んでしまったということらしいのだが,それこそツイン・ドラムスとは思えない穏やかさだと言ってもよいだろう。ジャズに対する好みは人それぞれだから,こうしたリリカルな響きをよしとしない人もいるだろう。だが,こういう精神衛生上好ましいようなサウンドも魅力的だと私は思う。そして随所に感じられるTom Harrellの素晴らしい歌心。たまりませんなぁ。

アルバムはメンバー全員のオリジナルを含むということで,昨今では当然のようになっているが,ドラマーも作曲能力にも長けているのはイタリアも同じだったのねぇと思わせる。そしてこういう音楽が小音量でプレイバックされるバーがとかあれば,私は即常連化してしまうと言いたくなるような趣味の良い佳品。但し,全部が全部最高って訳でもないので,星★★★★。ラストがなぁ...とだけ言っておこう。

Recorded on April 3, 4 & 5, 2007

Personnel: Tom Harrell(tp, fl-h), Dado Moroni(p,el-p, vo-tb), Andrea Dulbecco(vib), Riccardo Fioravanti(b), Enzo Zirilli(ds, perc, vo), Stefano Bagnoli(ds, perc), Bhai Baldeep Singh(vo)

2021年6月 3日 (木)

さすがにこれはやり過ぎと思えた"Gentle Thoughts"のTake 2のリリース。

_20210522-3”Gentle THoughts (Take 2)" Lee Ritenour & His Gentle Thoughts(JVC)

懐かしのダイレクト・カッティング盤が出た当時から,"Gentle Thoughts"のアルバムはずっと楽しんできたと思っている。一発勝負のレコーディングにしては実によく出来た演奏であり,長年聞いてきた私の頭の中には各々のプレイヤーのフレージングが記憶されている。だからこそ,このブログを始めて5日目(!)という段階で,このアルバムを取り上げている(記事はこちら)。今そういう記事を見ると結構恥ずかしいものだが...(苦笑)

そんなアルバムのテイク2が存在することは前からわかっていたし,レコードとしてもリリースされていたはずである。それがCDとしてリリースされたのが10年ぐらい前のはずだが,今やとんでもない値段がついているのを見ると,ほんまかいなと思ってしまう。

それはさておきであるが,このテイク2盤,久しぶりにCDを聞いてみたのだが,私にとってはオリジナル・リリースに比べるとはるかに落ちると思わざるをえない。アドリブ・フレーズもテイク1の方がはるかにいいし,演奏もこっちはラフさというか,粗さが目立つ。今や稀少盤として扱われるのかもしれないが,こんなものを出すこと自体には商魂の逞しさしか感じない。

テイク1とテイク2にかなり大きな違いがあるところに,彼らのジャズ・ミュージシャンとしての心意気は感じさせるし,へぇ~となるところもあるが,彼らのようなレベルであっても,集中力は続かなかったと思わせるだけと言ってもよい。なので,これは評価対象外ってのが私としては妥当だし,リリースしない方がよかったと思うってのが正直なところである。

Recorded on May 28 & 29, 1977

Personnel: Lee Ritenour(g), Ernie Watts(reeds), Dave Grusin(key), Patrice Rushen(key), Anthony Jackson(b), Harvey Mason(ds), Steve Forman(perc)

2021年6月 2日 (水)

久しぶりにBonnie Raittでも。

_20210522-2 "Silver Lining" Bonnie Raitt(Capitol)

何だかんだ言いつつ,私はBonnie Raittのアルバムを結構保有しているのだが,それは"Nick of Time"以降のアルバムに集中している。それ以前のアルバムも"Give It up"は昔LPを保有していたが,それももはや手放してしまったし,ストリーミングでいいやって感じである。しかし,売れに売れた"Nick of Time"以降のアルバムはほぼ入手を続けてきた私である。

前にも書いたことがあるが,Bonnie Raittの声を聞いていると,今ならSusan Tedeschiを思い出してしまう。歌はもちろん,ギターもうまいという点でご両人は共通しているが,Susan TedeschiにはDerek Trucksという凄腕スライドがついているが,Bonnie Raittはそれを自分でやってしまうところが凄い訳だ。いずれにしても,私の中では結構信頼度の高い人なので,現在のところ最新作である"Dig in Deep"も結構褒めている(記事はこちら)。しかし,そこからもう5年以上経過しているから時の経つのは早い。2002年の本作のリリースからももはや20年近いが,その間にどれだけ聞いたかはかなり疑問(爆)。

本作に限らず,Bonnie Raittのアルバムもプレイバック回数は上がっていない昨今であるが,久しぶりに取り出したのが本作である。考えてみれば,Bonnie Raittはいいプロデューサーと仕事をしている。Don Wasはもとより,Joe Henry,更に本作のパートナーはMitchell FroomとTchad Blakeのコンビである。本作はMitchell FroomとTchad Blakeが活発に活動した後期に属するアルバムであるが,今回改めて聞いてみると,なかなかいけているロック・アルバムであった。正直言って,こんなによかったか?って感じなのだが,これぞ温故知新である。"Hear Me Lord"等では若干のアフリカ風味を交えるが新機軸。

そして,本作でも感じるのがBonnie Raittのスライドの魅力的な音である。スライドはこういう音を出して欲しいという感じの本当にいい音を出している。このアルバムの頃は,私のBonnie Raittに対する関心が若干下がっていた頃であるが,やはりこの人は信用が置けるミュージシャンであったことを改めて感じた私であった。星★★★★。

Personnel: Bonnie Raitt(vo, g), James "Hutch" Hutchinson(b), Ricky Fatarr(ds, perc, vo), George Marinelli(g, mandolin, vo), Jon Cleary(p, org, key, synth, vo), Mitchell Froom(p, synth, key, org, marxophone), Roy Rogers(g), Steve Berlin(bs), Habib Koite(g), Tommy Sims(g, vo), Gary Gould(perc, ds-loop), Freebo(tuba), Benmont Tench(p), Andy Abad(g), Alex Acuna(perc), Pete Thomas(perc), Andy Shepps(ds-loop), Souleymane Ann(calabash), Keletigui Diabate(balafon), Nahamadou Kone(talking ds), Steve Raitt(vo), Bernard Fowler(vo), Arnold McCuller(vo), Fred White(vo)

2021年6月 1日 (火)

これはエグい!興奮の坩堝に叩き込まれるLonnie Smithのライブ音源。

_20210522 "Live at the Mozambique" Lonnie Smith(Blue Note)

先日,Dr. Lonnie Smithの新譜をこのブログでも取り上げたが,アルバムとしては結構よく出来ているものだったし,ゲストのIggy Popとの共演もよかった。そのDr. Lonnie Smithの過去の音源を聞くべく,ストリーミングで出会ってしまったのがこのアルバム。この頃はまだDr.はついていないが,これが主題の通り燃えるアルバムで,ストリーミングだけでは我慢できなくなってしまい(笑),中古でゲットした私である。それぐらい印象が強かったってことなのだ。

もともとこの音源は1970年にレコーディングされていたものだが,長きに渡ってお蔵入りしていたものを,1995年になってリリースしたもの。どうしてこれをリリースしなかったのかと思えるほど,興奮度の高いライブ盤である。Lonnie Smithのオルガンが強烈なのはもちろんなのだが,ここでの注目はGeorge Bensonの熱いプレイぶりだろう。後の「歌って,弾ける」ソフトなGeorge Bensonとは全く違うGeorge Bensonの演奏には目が点になると言っても過言ではない。これは私が今まで聞いたGeorge Bensonのイメージを完全に覆したと思えるものだった。そこにフロントにテナー,バリトンの2管ということで,これはとにかくソウルフルかつ熱い。私が入手したCDはBlue Note Rare Groove Seriesとなっているが,まさにバリバリのグルーブ感を生み出している。

こういう演奏を聞いていると,ストレス解消につながること必定とも言うべきアルバム。聞いたことがない方はまずはストリーミングでお試し頂ければと思う。くう~っとならざるをえない激烈ライブ。荒っぽさはあっても,それもこういう音楽の魅力。星★★★★☆。マジでたまりまへん。

Recorded Live at Club Mozambique on May 21, 1970

Personnel: Lonnie Smith(org, vo), Dave Hubbard(ts), Ronnie Cuber(bs), Geroge Benson(g), Joe Dukes(ds), Gary Jones(conga), Clifford Mack(tamberine)

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