これがLizz Wrightの初リーダー作。最初から素晴らしかった。
GW中からGW明けにかけて,映画の記事ばかりになってもいかんので,音楽も取り上げよう。これはLizz Wrightの初リーダー作であるが,彼女への期待値の大きさはプロデュースがTommy LiPuma,Jon Cowherd,そしてBrian Bladeが務めていて,メジャーのVerveからのリリースということでもわかろうというものだが,その期待にちゃんと応えていることが素晴らしい。
私が彼女のアルバムに初めて接したのは"The Orchard"だったので,このアルバムは後追いで聞いた訳だが,この人の魅力はこの第1作から明らかだった。その後,私が彼女のアルバムは全て購入し,高い評価しかしていないというのも当然のような感じだ。私の嗜好にぴったりの音楽と言ってもよいのである。とにかく,歌よし,声よし,演奏よしでは文句のつけようがないのだ。
冒頭からChick Coreaの"Open Your Eyes You Can Fly"って選曲にもびっくりするが,この曲,多分初出はECMでのGary Burton New Quartetだろうが,歌詞付きバージョンはFlora Pulimが最初だろう。ここでのLizz Wrightの歌唱はコンテンポラリーな感覚もあって,つかみは完全にOKってところである。そこに自身のオリジナルやら"Afro Blue"やらを交えて歌われるこのアルバム,実に心地よく,そしてレベルが高い。まさに大人の音楽って感じである。ラフマニノフの"Vocalise"をスキャットでやってしまうのも凄いが,そこからNina Simoneが歌った"End of the Line"へつなぐアプローチもいいねぇ。そして,ラストのBrian BladeとAdam Rogersのギターだけをバックに歌う"Silence"なんて絶妙なクロージングである。
いずれにしても,本作はその後の活躍ぶりを約束するような優れたデビュー・アルバムだったと言ってよいと思う。一部で入る控えめのストリングスは必要だったか?と思わなくもないが,デビュー作のご祝儀みたいなものだったと解釈しよう。そのストリングスはヴァイオリン抜きのヴィオラとチェロってのが控えめに響く理由かもしれない。星★★★★☆。ここのところ,2017年の"Grace"以来,暫くアルバムを出していない彼女だが,これからも必ずフォローしたいと思わせるとともに,もっとメジャーになってよいミュージシャンである。
Recorded in August and December, 2002
Personnel: Lizz Wright(vo), Kenny Banks(p, el-p, org), Jon Cowherd(p, el-p), D, Kenny Banks(p, el-p, org), Jon Cowherd(p, el-p), Danilo Perez(p), Sam Yahel(org), John Hart(g), Adam Rogers(g), Doug Weiss(b), Brian Blade(ds, g), Tereon Gully(ds), Jeff Haynes(perc), Derrick Gardner(tp), Vincent Gardner(tb), Myron Walden(as, b-cl), Chris Potter(ss), Sarah Adams(vla), Ron Carbone(vla), Crystal Garner(vla), Judy Wilmerr(vla), Ellen Wistermann(cello), Joe Kimura(cello), Caryl Paisner(cello), Mark Shuman(cello)
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しかし、ゴールデン・ウィーク中は、しっかりと映画鑑賞されたのですね。私はこのところ映画を観る意欲がどうしたことか失せています。なにか刺激が欲しいのかも・・・・。
それはさておき、ジャズ再開でLizz Wrightですか、なかなか充実感があっていいですね。
彼女のアルバムは数年前の「Grace」以来聴いていませんが、ニュー・アルバムはまだでしたっけ。ジャズ、ゴスペル系として南部ソウルの色も濃かったんですが・・・その後にも私も期待している一人です。こうした本格的ヴォーカルも久々に聴きたいです。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年5月12日 (水) 14時57分
photofloyd(風呂井戸)さん,こんばんは。
>しかし、ゴールデン・ウィーク中は、しっかりと映画鑑賞されたのですね。
はい。記事はまだまだ続きますが...(笑)。映画ばかりでも問題なので,たまに音楽の記事も出てきます。
>私はこのところ映画を観る意欲がどうしたことか失せています。
なかなか,家庭で集中して見るというのは難しい部分がありますね。やはり映画は映画館で観るものというのが私としても正直なところなのですが,緊急事態宣言で映画館も休業では家で観るしかなかったというのが実態です(苦笑)。
>彼女のアルバムは数年前の「Grace」以来聴いていませんが、ニュー・アルバムはまだでしたっけ。ジャズ、ゴスペル系として南部ソウルの色も濃かったんですが・・・その後にも私も期待している一人です。こうした本格的ヴォーカルも久々に聴きたいです。
今のところ"Grace"が最新作ということになりますが,全く期待を裏切らない人なので,次なる新作を私としても待望しています。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年5月12日 (水) 18時03分