懐かしのStingとGil Evansの共演ライブのブートレッグ。
"Jazz Festival" Sting / Gil Evans Orchestra (Bootleg)
昨日,Gil Evansの"Parabola"をアップして,そう言えばこんなのもあったなぁってことで,久しぶりに取り出してみたのがこのブートである。私はその後Jazz Doorから出た短縮版のCDも保有しているが,最初に出たのがこのLP3枚組のブートであった。ジャケからして噴飯ものというか,なぜここにMilesの写真を載せる?ってところである。ここに参加しているのはMilesはMilesでも,Gilの息子のMiles Evansである。もう無茶苦茶と言ってもいいが,更にGil EvansはJill Evansになっているのだから,ますます何のこっちゃである。まぁ,ブートなんだからって話もあるが,昔はこういうひどいのもあったってことである。
しかし,音としては非常に興味深いものである。そもそもStingは"Nothing Like the Sun"にGil Evansを迎えて"Little Wing"を共演しているし,"English Man in New York"のシングルには"Up from the Sky"を一緒にやったものが収録されている。そういう縁もあって,ペルージャでの大会場での共演ってことになったということだろう。但し,前述の"Little Wing"にしても"Up from the Sky"にしても,Gil Evans Orchestraと言っても参加しているのはリズム・セクションだけなので,本当の意味でのGil Evans Orchestraとの共演とは言えなかった。それをバンド全体と共演してしまったのがこのライブだった訳だ。余談ながら,"Nothing Like the Sun"のライナーを見ていると,StingはSweet BasilのGil Evansのライブに飛び入りしたことがあったようだが,その時の聴衆はつくづくラッキーだよねぇ。
この時のライブに参加しているGil Evans Orchestraのメンバーはかなり豪華である。John Surmanはいるし,George Lewisもいる。珍しくもバックグランド・ヴォーカルとしてUrszula Dudziakが入っているし,ハープも入っているからある意味珍しい編成である。そのメンツがStingのバックをやりつつ,Stingのレパートリーだけでなく,ジミヘンやら「奇妙な果実」までやるってのはなかなか刺激的である。ついでに言っておけばGeorge Adamsは"There Comes a Time"でStingと一緒に歌っている(!)。だから,このブートを見つけた時には無条件に手を出した私であった。しかし,ジャケには何も書いていないからそれもすべて聞いてからようやくわかったってのが実態なのだが。
改めて聞いてみると,このライブのためにGil Evansはアレンジメントを準備していたようだが,無茶苦茶凝ったことはしていない。まぁ,亡くなる8か月前ぐらいの演奏なので,多くを望んではいけないってところだろうし,聴衆はほとんどStingを見に来ているって感じだしねぇ。演奏もフェスティバルならではって感じの粗さってのは否めないが,ここは雰囲気を楽しめばいいのだと言っておこう。そもそもこのブートの元ネタは映像だったようだが,その映像も今やYouTubeで見ることができるのだからいい時代である。下に貼り付けたのは曲が不完全ではあるものの,比較的画質のよいものなので,ご関心のある方はどうぞ。こんな感じでやってたのねぇってことで,こっちも実に興味深い。Miles Evansがバンド紹介でGilの奥方,つまり自分の母親であるAnita Evansを"Anita E"と紹介しているのには笑ってしまったが。Shiela Eじゃねぇんだからさ(爆)。
Recorded Live on July 11, 1987
Personnel: Sting(vo, g), Gil Evans(p, el-p), Branford Marsalis(ts, ss), Geroge Adams(ts, vo), Chris Hunter(as), john Surman(bs, synth), Lew Soloff(tp), 大野俊三(tp, fl-h), Miles Evans(tp), Tom Malone(tb, b-tb), George Lewis(tb), Dave Burgeron(b-tb, tuba), Delmar Brown(key), Gil Goldstein(key), Mark Egan(b), Dan Gottlieb(ds), Anita Evans(perc), Urszula Dudziak(vo), Emil Richards(harp)
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