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2021年5月31日 (月)

懐かしのStingとGil Evansの共演ライブのブートレッグ。

Jazz-festival"Jazz Festival" Sting / Gil Evans Orchestra (Bootleg)

昨日,Gil Evansの"Parabola"をアップして,そう言えばこんなのもあったなぁってことで,久しぶりに取り出してみたのがこのブートである。私はその後Jazz Doorから出た短縮版のCDも保有しているが,最初に出たのがこのLP3枚組のブートであった。ジャケからして噴飯ものというか,なぜここにMilesの写真を載せる?ってところである。ここに参加しているのはMilesはMilesでも,Gilの息子のMiles Evansである。もう無茶苦茶と言ってもいいが,更にGil EvansはJill Evansになっているのだから,ますます何のこっちゃである。まぁ,ブートなんだからって話もあるが,昔はこういうひどいのもあったってことである。

しかし,音としては非常に興味深いものである。そもそもStingは"Nothing Like the Sun"にGil Evansを迎えて"Little Wing"を共演しているし,"English Man in New York"のシングルには"Up from the Sky"を一緒にやったものが収録されている。そういう縁もあって,ペルージャでの大会場での共演ってことになったということだろう。但し,前述の"Little Wing"にしても"Up from the Sky"にしても,Gil Evans Orchestraと言っても参加しているのはリズム・セクションだけなので,本当の意味でのGil Evans Orchestraとの共演とは言えなかった。それをバンド全体と共演してしまったのがこのライブだった訳だ。余談ながら,"Nothing Like the Sun"のライナーを見ていると,StingはSweet BasilのGil Evansのライブに飛び入りしたことがあったようだが,その時の聴衆はつくづくラッキーだよねぇ。

この時のライブに参加しているGil Evans Orchestraのメンバーはかなり豪華である。John Surmanはいるし,George Lewisもいる。珍しくもバックグランド・ヴォーカルとしてUrszula Dudziakが入っているし,ハープも入っているからある意味珍しい編成である。そのメンツがStingのバックをやりつつ,Stingのレパートリーだけでなく,ジミヘンやら「奇妙な果実」までやるってのはなかなか刺激的である。ついでに言っておけばGeorge Adamsは"There Comes a Time"でStingと一緒に歌っている(!)。だから,このブートを見つけた時には無条件に手を出した私であった。しかし,ジャケには何も書いていないからそれもすべて聞いてからようやくわかったってのが実態なのだが。

改めて聞いてみると,このライブのためにGil Evansはアレンジメントを準備していたようだが,無茶苦茶凝ったことはしていない。まぁ,亡くなる8か月前ぐらいの演奏なので,多くを望んではいけないってところだろうし,聴衆はほとんどStingを見に来ているって感じだしねぇ。演奏もフェスティバルならではって感じの粗さってのは否めないが,ここは雰囲気を楽しめばいいのだと言っておこう。そもそもこのブートの元ネタは映像だったようだが,その映像も今やYouTubeで見ることができるのだからいい時代である。下に貼り付けたのは曲が不完全ではあるものの,比較的画質のよいものなので,ご関心のある方はどうぞ。こんな感じでやってたのねぇってことで,こっちも実に興味深い。Miles Evansがバンド紹介でGilの奥方,つまり自分の母親であるAnita Evansを"Anita E"と紹介しているのには笑ってしまったが。Shiela Eじゃねぇんだからさ(爆)。

Recorded Live on July 11, 1987

Personnel: Sting(vo, g), Gil Evans(p, el-p), Branford Marsalis(ts, ss), Geroge Adams(ts, vo), Chris Hunter(as), john Surman(bs, synth), Lew Soloff(tp), 大野俊三(tp, fl-h), Miles Evans(tp), Tom Malone(tb, b-tb), George Lewis(tb), Dave Burgeron(b-tb, tuba), Delmar Brown(key), Gil Goldstein(key), Mark Egan(b), Dan Gottlieb(ds), Anita Evans(perc), Urszula Dudziak(vo), Emil Richards(harp)

2021年5月30日 (日)

遂に入手できたGil Evansの"Parabola"。

Parabola "Parabola" Gil Evans Orchestra(Horo)

私が一時期,Gil Evansの音楽にはまっていたことは,このブログにも書いたことがある。前にも書いたことがあると思うが,1983年に私が初めてNYCを訪れた時のSweet Basilでの演奏は今でも印象に残っているし,音源もブートを含めて結構集めた。そうした中で,正規盤でありながら,なかなか入手ができなかったのがこのアルバムであった。一度,中古盤屋で見つけた時に実に手頃な価格だったのに,なぜ買わなかったのか,なぜ躊躇したのかと思っても後悔先に立たず。その後もマメにチェックはしていたものの,このアルバムを入手できずにいたが,ようやくである。めでたくイタリアHoro盤をゲットした。

Gil Evansの音源というのは,ライブ音源が多いこともあるが,スタジオ録音でもこれは音がいいわってのに出会ったことはないというのが実感だ。だが,本作はスタジオ録音ということもあるが,実にクリアな音で録音されていて,私が知る限りにおいて,最も音のよいGil Evansのアルバムと言っていいように思う。私のしょぼいオーディオ・セットでもそう思うのだから,多分音のよさは間違いないところだろう。クリアな音で捉えらえたGil Evans Orchestraの演奏は実に感慨深い。

Gil Evansのバンド編成としては小ぶりな8人編成でローマで録音されているが,本作が録音された1978年というのは結構活発に欧州で演奏していたようだ。2月にはロンドンのRoyal Festival Hallでの演奏が残っているし,本作が7月で,10月には日野皓正も参加したドイツ録音もある。時期も違えばメンツも違うので,マメに欧州楽旅をしていたってことになる。逆に言えば,米国内ではなかなか演奏する機会に恵まれていなかったってことかもしれないが,それが当時のGil Evansを取り巻く環境だったのだろう。Sweet Basilに出演するようになるまで,レギュラーで演奏できるようにならなかったというのは実に不幸なことであった。

既に後のMonday Night Orchestra的な演奏パターンとはなっているが,いつもと違う感じのイントロとかも聞けて,私としては実に興味深かったし,何よりも上述の通り,クリアな音で捉えられたGil Evans Orchestraの演奏を聞けたことが何ものにも勝るベネフィットである。ということで,評価も甘くなり星★★★★★。

Recorded on July 29, 1978

Personnel: Gil Evans(p, el-p), Steve Lacy(ss), Arthur Blythe(as, ss), Lew Soloff(tp), Earl McIintyre(tb), Pete Levin(key), Don Pate(b), Noel McGhie(ds)

2021年5月29日 (土)

これまた懐かしいNeil Larsenの"High Gear"。

_20210516-2 "High Gear" Neil Larsen(Horizon)

去る4月に"Jungle Fever"をこのブログにアップした(記事はこちら)が,その時に一緒に取り出しておいたこのアルバムを今頃になって聞いた。こういうジャケを見ると,時代を感じてしまうが,本作がリリースされたのが1979年のことであえるから,既に40年以上経過しているのだから,それも当然である。

"Jungle Fever"もそうだったのだが,Neil Larsenの書く曲ってのはどこか哀愁を感じさせるメロディ・ラインが特徴的で,その辺りが日本人の琴線に触れる部分もあるのではないか。所謂ライト・フュージョンとは全く違った感じなのだ。このアルバムも聞くのは実に久しぶりなのだが,"Futurama"のイントロなんかを聞いていると,カシオペアってこの辺りに影響されている部分があったのではないかなんて漠然と思ってしまった私である。

そして,このアルバムを聞いていると,"Jungle Fever"同様,ほぼ固定メンバーでレコーディングされていて,ミュージシャンが入れ替わるなんてことがないから,一貫した響きが保たれているという気もする。その辺りはプロデューサーのTommy LiPumaの意向というところもあるだろうが,Neil Larsenの音楽を聞いていて,こうした対応は実に好ましい感覚を覚える。そうした中で,誰がどう聞いても,これはSteve Gaddだねぇって感じのドラミングを聞かせるSteve Gaddはやはり立派。そして,Michael Breckerのテナーも同様である。

共演ミュージシャンの好演もあって,"Jungle Fever"と同じように楽しめるアルバムであることは間違いない。星★★★★。

Personnel: Neil Larsen(key, vo), Buzzy Feiton(g), Steve Gadd(ds), Abe Laboriel(b), Paulinho Da Costa(perc), Michael Brecker(ts), Joe Farrell(fl), Rickie Lee Jones(vo), Lenny Castro(vo)

2021年5月28日 (金)

Milt JacksonがほぼEllingtonナンバーを演じたライブ盤。

_20210506-2"Mostly Duke” Milt Jackson(Pablo)

私の亡くなった父はクラシック音楽,それもモーツァルトを偏愛していたということは前にも書いたことがあるが,その父も亡くなる前の10年ぐらいはジャズにも関心を示していた。父の遺品のCDを見ていると,父がMJQ,あるいはMilt Jacksonが結構好きだったんだろうと想像させる。このアルバムも父の遺品の一枚。

タイトルからもわかる通り,本作はほぼDuke Ellington関係の曲を集めたアルバムで,ロンドンのRonnie Scott'sでのライブ・レコーディング。以前,Milt JacksonがThelonious Monkに捧げた”Memories of Thelonious Sphere Monk"をこのブログで取り上げたことがある(記事はこちら。もう7年も前だ!)があるが,そちらが82年4月28日の録音,そして本作が同年4月23,24日の録音そしてメンバーも一緒ということからして,彼らはRonnie Scott'sに連続出演していたのか,英国,もしくは欧州を回りながらの出演したってことだろう。

そして,ここでも安定のMilt Jacksonである。私が聞いた範囲においては,本当にこの人のアルバムにはほとんど失敗がない。そしてレパートリーがほぼDuke Ellingtonということであれば,もはや間違いないとさえ思ってしまう。「ほぼ」というのは冒頭3曲がスタンダード,"Three Little Words"にJacksonオリジナル,そして意外にも「おもいでの夏」をやっているからだが,「おもいでの夏」では結構リリカルな感じも聞かせて,芸の幅が広いと思わせる。

そこからEllingtonナンバーに入っていくと,スウィング感炸裂って感じの演奏が続き,ジャズを聴く楽しみというものを改めて感じさせてくれるのはさすがMilt Jacksonである。そして,ちゃんとバンド・メンバーをフィーチャーすることも忘れない立派なリーダーであった。星★★★★。

尚,この時期のライブ音源としては本作と同日録音の"A London Bridge"ってアルバムもあるらしい。そこではこのメンツで"Impressions"をやっているらしいので,そっちも猛烈に聞いてみたくなっている私である。

Recorded Live at Ronnie Scott's on April 23&24, 1982

Personnel: Milt Jackson(vib), Monty Alexander(p), Ray Brown(b), Micky Roker(ds)

2021年5月27日 (木)

今やとんでもない価格がついているWoodstock Box。

Woodstock-50-box このブログに38CD+1BDのWoodstock 50周年ボックスの記事をアップしたのが2019年9月のことであった。先日,このボックスが今どれぐらいの値段になっているのかということで,Webサーフィンをしていたら,40万近くとか50万超えとか,とんでもない価格になっているではないか。私はRhinoから直接飛ばしたので,799ドル+送料だったはずだが,4倍,5倍のプレミアムって無茶苦茶である。

一方,私はこれをゲットしてからどれだけ聞いたのかってのも全くわからない状態だったことを反省して,暇を見て順次プレイバックしているのだが,当たり前とは言え,いかんせん枚数が多いので時間が掛かる。最後のジミヘンに到達するまでどれだけ時間が掛かるのかわかったものではないってところである。

演奏については正直言って玉石混交と言ってもよいし,やたらにアナウンスメントの収録が長いとかはあるのだが,イベントのドキュメントとしては,こういうのもありだろうなぁと思った。それでも,誰それさん,家に電話してとか,誰それさん,インフォメーション・ブースで誰それがお待ちとかの伝言板モードは笑えるが,半世紀以上前の携帯電話もない時代なのだから当然だったのだ。そして,音楽を聞いていると,このときのSantanaはやっぱり強烈だったなぁって思った私である。

更に面白いなぁと思ったのは,Arlo GuthrieのバックでPaul Motianがドラムスを叩いていたり,また,もともと共演経験があったTim Hardinのバックに,Ralph TownerとGlen Mooreがいることとか,今更ながらへぇ~となっている私である。WoodstockとPaul MotianやRalph Townerとか全くイメージ的に結びつかないし...。そんなことに今頃気づくって遅いって(爆)。

2021年5月26日 (水)

30数年ぶりに聞いた「タモリ3 戦後日本歌謡史」。

Photo_20210511185701 「タモリ3 戦後日本歌謡史」タモリ(Alfa)

唐突だがこのアルバムである。実は私はこのアルバムを以前保有していた。大学時代に一旦発禁になったこのアルバムが,新星堂を通じて限定的にリリースされた時に購入したのであった。それが社会人になって寮生活をしている時に,会社の後輩に貸したと思っていたものが,忽然と姿を消して35年以上の時間が経過した。しかし,どうしてもまた聞きたくなってしまい,今更ながら中古でゲットしたのであった。それにしてもあのレコードはどこに行ってしまったのだろうか...?

それはさておきである。超久しぶりに聞いて,我ながら笑ってしまったのが,このアルバムの内容をほぼ完璧に覚えていたことだ。一体学生時代にどれだけこのレコードを聞いていたのかと思ってしまうぐらいなのだ。当時は「タモリ」も「タモリ2」も,更には「ラジカル・ヒステリー・ツアー」のレコードも持っていたのだから,私も相当のアホだが,一番聞いたのが多分この「タモリ3」だと思う。

内容は,発禁になっても仕方がないと思えるパロディの連発である。ほぼ原曲そのままに歌詞を変えただけではないかという感じの曲もあり,そりゃ引っかかるわと言いたくなるような曲の連続である。そこに加わるナレーションやものまねも大体覚えている自分に正直呆れてしまった。ついでに歌の部分ではレコードを聴きながら一緒に歌ってしまった私であった。

今やタモリは密室芸人でもなんでもないビッグネームとなってしまったが,タモリが「オールナイト・ニッポン」をやっていた頃をこのレコードを聞きながら懐かしく思っていた。こうして人間は歳を取っていくのねぇ...。それにしても今聞いてもよくできたパロディ盤であった。このレコードを「歌謡曲」カテゴリーに入れていいのかと思うが,副題が「戦後日本歌謡史」だから,まぁよかろう。

2021年5月25日 (火)

GWが終わってもまだ続く:でもこれが最後ってことで,家で観た18本目が「レザボア・ドッグス」。

Reservoir-dogs 「レザボア・ドッグス("Reserboir Dogs")」(’91,米,Miramax)

監督:Quentin Tarantino

出演:Harvey Keitel, Tim Roth, Michael Madsen, Chris Penn, Steve Buscemi, Lawrence Tierney

GWはとっくに終わっているが,その期間に映画を観続けた私が,その最後に観たのがこの映画である。恥ずかしながら,実は私は今回が初見。一般にこの映画はQuentin Tarantinoのデビュー作として記憶に残るものとなったが,91年のこの段階からTarantinoの個性をはっきり出ているのが面白い。

この映画のDVDは日本では永らく廃盤になっていて,私が今回この映画を観るためにゲットした中古DVDも,パッケージは一般のロング・ケースではなく,CDサイズのものであったから,いつ出たのよ?って思ってしまうようなもの(発売元はパイオニアだし...)。しかし,映画は観られればいいのだということで,それはどうでもよいとして,それにしてもこの映画も実に面白いというのが正直なところだ。冒頭のしょうもないトークからして,Tarantino的であるし,時間軸を前後させながらシナリオを構成するスタイルも,この作品の段階ではっきりしていたというのが面白かった。表現のえげつなさもこの段階から明確だが,ここから「パルプ・フィクション」への道筋をつけたのが製作を兼ねたHarvey Keitelということは記憶しておかなければなるまい。

先日,このブログでも取り上げた「テルマ&ルイーズ」でもHarvey Keitelは実に印象に残る仕事ぶりだったのだが,役者としても一流であれば,映画界を盛り上げるという観点で,新人発掘においても実に優れた人だったことがこの映画ではっきりしている。この映画がなければ,Quentin Tarantinoは世に出ることはなかったということを考えれば,Tarantinoの人生において最も重要な人物がHarvey Keitelってことは明らかなのだ。

ストーリー的には?な部分も残るのだが,そんな瑕疵には平気で目をつぶると言いたくなるようなパワーを持つ映画であった。星★★★★☆。次はBlu-rayで入手済みの「イングロリアス・バスターズ」を観るかなぁ。

それにしてもGW休み中に18本も映画を観るってのは普通じゃないなぁ。観たものは玉石混交ではあったが,映画を観る楽しさをつくづく感じた連休であった。今度は暇なときに「アラビアのロレンス」みたいな長い映画も観たいって欲求も高まってしまった。

いずれにしても,暫く映画関係の記事が多かったので,明日以降は中年音楽狂として音楽関係の記事のアップに徹していくことにしよう。

2021年5月24日 (月)

GWが終わってもまだ続く:GWに家で観た映画の17本目は「サウンド・オブ・メタル」。

Sound-of-metal「サウンド・オブ・メタル(”Sound of Metal”)」(’19,米,Amazon)

監督:Darius Marder

出演:Riz Ahmed, Olivia Cooke, Paul Raci, Lauren Ridloff, Mathieu Amalric

コロナ禍は映画産業にも大きな影響を及ぼしていることは言うまでもない。一般受けするような映画は公開延期が相次いでしまったこともあり,今年のオスカーは今までと全く違う様相を示していたと言っても過言ではない。大作はほとんどない中で,映画の質,あるいは映像の質が問われるものだったかもしれない。逆に言えば,今までだったら黙殺されても仕方がないような作品にも陽が当たったとポジティブに考えるべきなのかもしれない。

この映画も日本においては劇場では公開されることなく,Amazon Primeで観られるものだが,これは大作主義のメジャーには絶対作れないタイプの映画だったと言ってよいだろう。デス・メタルみたいな音楽をやっているドラマーが,いきなり難聴になってしまうというのは実際ない訳ではないなぁと思いつつ,ミュージシャンが聴覚を失うというのは大変なことだと感じさせるが,この映画はそこからの描き方がうまい。

この映画がなぜオスカーで音響賞を獲ったかというのはこの映画を観ないとわからない世界である。聴覚を失うこと,それに対して手術を施して回復を図った結果のようなものが,サウンドとして表現されていて,これは間違いなくこれまでにない展開だからである。この映画は聴覚に問題がなく過ごしていられることの幸福感を味合わせるとともに,障害を抱えている方々にとってはどうなのかということを如実に感じさせるところが非常に新しい。

それを事実は事実としてとらえ,過剰にヒューマニズムとかに走るのではなく淡々と描く姿勢も実に好感が持てるのである。端的に言ってしまえば,これはエンタテイメントではなく,あくまでもドラマである。こういう映画はFox Searchlightが得意とする分野だったと思うが,ここまで描きづらいものを描けるのは映画会社ではなく,NetflixやAmazonなのかもしれないなぁと思っていた私であった。もう少し尺は短くできたような気もするが,これは実に問題意識をくすぐる映画であった。星★★★★。

2021年5月23日 (日)

GWが終わってもまだ続く:GWに家で観た映画の16本目は「荒野の決闘」。

My-darling-clementine 「荒野の決闘(”My Darling Clementine”)」(’46,米,Fox)

監督:John Ford

出演:Henry Fonda, Victor Mature, Linda Darnell, Cathy Downs, Walter Brennan

「OK牧場の決斗」の後日談である「墓石と決闘」を見て,そもそも「荒野の決闘」はどう描いていたのかを確認するべく,再見した。DVDは買ったまま「老後の楽しみ」モード(笑)になっていたので,この映画を観るのはいつ以来になるか記憶が定かではない。いずれにしても,10年あるいは20年は観たことがなかったはずである。

だが,久しぶりに観ても実に味わい深く,素晴らしい映画であった。この映画のいいところはアクションと「詩情」をうまくバランスさせたところだと思える。「墓石と決闘」は史実にこだわったものだったが,この映画のように実際とは違うストーリーでも全然問題ない。いや,むしろこの方が確実に印象には残ると思える。

Cathy-downs そして,「詩情」を生み出すのに貢献したのがタイトルにもなっているClemetine Carterを演じたCathy Downsの清楚な美貌だと思う。その後,Cathy Downsは低予算西部劇等にしか出てこないようだから,更にここでの役回りが印象に残ってしまう。後のキャリアを考えると,言い方は悪いが,彼女はこの一本が全てだったと言っても過言ではなかろう。それぐらい印象的である。女優のキャスティング上はLinda Darnellの方が上なのだが,私にとってはこの映画はCathy Downsである。だが,ポスターを見ていると,Linda DarnellがClemetineなのかと思ってしまう人がいても不思議ではないな(苦笑)。しかし,彼女が演じるのはClementine Carterとは対照的な「酒場の女」Chihuahuaなのだ。

男優陣では主演のHenry Fondaがいいのはもちろんなのだが,更にこの映画で印象的なのはVictor Matureである。肺結核を患ったDoc Hollidayを演じるVictor Matureは強烈に記憶に残っていた。そして悪役Walter Brennanの悪さも憎らしさを感じさせるものであり,それも素晴らしい。ついつい感情移入してしまうってのはこういうことだと思ってしまった。

久々に再見となったが,「墓石と決闘」とはレベルの違うものを見せてもらったということで,実に素晴らしい西部劇である。星★★★★★。

2021年5月22日 (土)

Fred Hersch:現レギュラー・トリオの一代前のトリオによるVanguardライブ。

_20210506-3 "Live at the Village Vanguard" Fred Hersch Trio(Palmetto)

私がFred Herschに本当の意味で初めて痺れたのは,カザルス・ホールで聞いた2007年のソロ・ライブに遡る。それから数多くのFred Herschの音源を入手し,来日するたびに見に行くようになってしまったぐらいインパクトの強いコンサートであった。今やそのカザルス・ホールは音楽をやる場所としての機能は停止してしまったが,あの時の記憶は私の中では一切揺らぐことはない。

ブログを遡ってみると,私がそのカザルス・ホールに行く気になったのは,本作と同じメンツでレコーディングされた"Night & the Music"がよかったからのようだが,その当時のレギュラーがここでのメンバーということになる。今にして思えば,Drew Gress,Nasheet Waitsというのはなかなか優秀なメンバーであった。

今でもFred Herschのホーム・グラウンドと言ってもよいVillage Vanguardでの演奏であるが,これまで6種のライブ・レコーディングをVanguardで残しているってのは結構凄い数である。HerschとVanguardはそれほどの関係性と言ってもよいと思うが,ソロでもトリオでも私の感覚においては,はずれは一切ないというのが素晴らしい。

冒頭はFred Herschが取り上げる機会の多いThelonious Monkの"Bemsha Swing"であるが,いきなりDrew GressとNasheet Waitsのインタープレイ的展開を示し,最初から結構アグレッシブな演奏と言ってよい。そこから2曲目のHerschオリジナル,"At the Close of the Day"に転じる動と静のコントラスト。特に後者における美的感覚こそFred Herschの真骨頂。続いて,次のHerschオリジナル,"Phantom of the Bopera"で再度「動」に転じる。オペラ座ではなく「バップエラの怪人」という洒落のような,「受け狙い」のようなタイトルからも想像できるバップ・フィーリング溢れる曲で,Fred Herschの多才さを感じさせる。そして続くオリジナル"Endless Stars"でまたも美的世界へ誘われるのだ。

ここではHerschは全10曲中,6曲のオリジナルを提供しているが,少なくとも私がライブの場では聞いたことのない曲が並んでいるのが実に興味深い。オリジナルではないが,7曲目に登場するのは"Some Other Time"。Bill Evansでもお馴染みのLeonard Bernsteinの曲ではなく,Jule StyneとSammy Cahnが書いた同名曲だが,これが痺れるようなバラッド。Fred Hersch自身もライナーに書いているが,まさに"A Little-Played Gem"ってところである。

このアルバムで最も長尺なのは"Miyako / Black Nile"であるが,"Black Nile"からの熱量の上がり方がいいねぇ。Cotton Clubでもこの曲を聞いたことがあるが,Fred Herschの得意曲って感じだよなぁ。そしてアンコールとして演じられる”I’ll Be Seeing You"の味わい深さ。やっぱりたまりませんなぁ。"Bemsha Swing"がちょっと浮いているかなって気もするので,星★★★★☆としよう。

Recorded Live at the Village Vanguard on May 16-18, 2002

Personnel: Fred Hersch(p), Drew Gress(b), Nasheet Waits(ds)

2021年5月21日 (金)

GWが終わってもまだ続く:GWに家で観た映画の15本目は「墓石と決闘」。

Hour-of-the-gun 「墓石と決闘("Hour of the Gun")」(’67,米,United Artists)

監督:John Sturges

出演:James Garner, Jason Robards, Robert Ryan, Albert Salmi, Charles Aidman, Jon Voight

GWの後半になっても,ひたすら映画を観続ける生活だったと言ってもよいが,これは追々見ようと思って買っておいたDVDである。監督のJohn Sturgesは「北極の基地/潜航大作戦」では大いに失望させてくれたが,こっちは西部劇ということもあって,多少は期待して観たものである。

この映画,Wyatt EarpとDoc Holliday対Clanton一家の「OK牧場の決斗」というお馴染みのストーリーの後日談ということで,タイトル・バックにも出てくるが,これが史実に基づくらしい。「OK牧場の決斗」もJohn Sturgesが撮ったものだが,それに納得できなかったらしく,製作の機会を狙っていたらしい。「事実は小説より奇なり」って部分もあろうが,フィクションはフィクションとして割り切ってもいいのになぁって気がする。

まぁそれでも西部劇好きの私にとっては,どういうストーリー展開になるのかというのは実に興味深く,そうだったのねぇと思ってしまう。裁判のシーンとかが結構出てくるから,通常の西部劇的な展開とは異なるし,それが事実なのだと言われればなるほどと思うしかないので,「へぇ~」って感じが強い。

この映画はJason Robardsが演じるDoc Hollidayがいい感じであるが,本来正義を貫くはずのJames Garner演じるWyatt Earpがほぼ復讐モードになっているところに,西部劇的な爽快感から乖離した感覚を生んでしまうのは仕方がないように思える。Doc Hollidayが最後はコロラドの病院に入院ってのは史実に基づいているらしいが,上述の通り,フィクションはフィクションでいいじゃんと思ってしまうのも事実。それでもそこそこ面白くは観られたので星★★★☆。少なくとも「北極の基地/潜航大作戦」よりははるかにまとも(きっぱり)。そして,Jon Voightがワルの役で出ていたのは知らなかった。「真夜中のカーボーイ」で大出世する2年前。

そしてこの映画を観て,猛烈に「荒野の決闘」が観たくなった私であった。それにしても,この邦題は何なのかねぇ。舞台がトゥームストン(Tombstone)だから「墓石」ってか?

2021年5月20日 (木)

GWが終わってもまだ続く:GWに家で観た映画の14本目は「ザッツ・エンタテインメント」

Thats-entertainment_20210506105001 「ザッツ・エンタテインメント("That's Entertainment")」(米,'74,MGM)

監督:Jack Haley, Jr.

出演:Fred Astair, Bing Crosby, Gene Kelly, Frank Sinatra, Elizabeth Taylor and Others

GW中にこの映画を再見したのだが,この映画についてはこのブログを始めた年に既に記事にしている(記事はこちら)。そこにも「芸」の素晴らしさを書いている私だが,その記事を書いてから14年近く経過しても,感覚は全く変わらない。この映画を観ていた2時間余り,実に幸せな時間を過ごせると言ってしまおう。まったりとした気分で見始めたこの映画だったが,最後は背筋が伸びてしまった(笑)。星★★★★★。

この映画がもう一つ私に与えた大きな影響は,この映画のサウンドトラックを通じて,後にジャズを聞き始めてから,そこで演奏されるスタンダード曲に触れる機会を与えていてくれたことだろう。当時はまだステレオ・セットを買う前で,サントラ盤のカセットテープ版で聞いていたのだが,それこそ曲をほとんど全部覚えているぐらいよく聞いたのが中学生の折。今から47年前というまだ多感な時期にこういう映画,音楽に触れていたのは私にとっては実に幸せなことだった。

そして,私が「芸」と思える最高の事例の一つがYouTubeに上がっていたので,その映像を貼り付けておくが,ここでのFred AstairとEleanor Powellのダンスは何度見ても痺れる。映像の1分過ぎに登場する二人に注目してみて頂ければ幸いである。これこそ「至芸」である。もちろん,この映画にはこれ以外にも素晴らしい「芸」の数々が収められていることは言うまでもない。

2021年5月19日 (水)

現物はまだ来ていないが,クリポタの新譜を。

Sunrise-reprise"Sunrise Reprise" Chris Potter(Edition)

現物は英国から飛ばしているところなので,まだ入手出来ていないが,ダウンロード・ファイルが届いたので,さっそく聞いてみた。James Francies, Eric Harlandという強力なメンツをベースにした"Circuits"がリリースされたのが約2年前のことになる。その後のコロナ禍の中で吹き込まれた宅録多重録音"There Is a Tide"を挟んで,改めてのCircuits名義によるアルバムである。"There Is a Tide"からほぼ半年という短いインターバルでのリリースは,クリポタの創造意欲がコロナ禍の中でも衰えていないということの表れだと思いたい。

既に一部の音源はストリーミングでも公開されていたが,やはり3曲目の"Serpentine”のようなクリポタの演奏には無条件に興奮させられてしまう。一部多重録音を交えながら,3者のインタープレイというか,丁々発止のやり取りが全編に渡って繰り広げられるのであるから,この手の音楽好きにとってはたまりまへんってところである。私が聞いているのがダウンロード音源ってこともあり,音については現物が来てから判断するのが適切だと思うが,Eric Harlandのドラムスはもう少しヘヴィな感覚を出してもよかったように感じる。これは"Circuits"でも感じたことに近いかもしれないが,Eric Harlandの手数だけでなく,パワーもある人だと思っているのに対し,ちょっとここでのドラムスの響きが軽く響くように思えるのだ。まぁ,エンジニアは"Circuits"と同じChris Allenなので,そういう音の録り方をする人なのかもしれない。しかし,James Franciesのピアノとのデュオでアコースティックに演じられる"The Peanut"はかなりリアルな感覚がするので,聞く側が何を重視するかの違いだけかもしれない。

いずれにしても,Edition Recordsのサイト情報によると,コロナ禍において,この3人のいずれも他者と録音する機会がなく,本作のレコーディングが初の機会となったということであるから,当然力も入ったということになるだろう。そして,最後に収められた"Nowhere, Now Here/Sunrise Reprise"は何と24分越えの長尺である。彼らならライブの場ではこれぐらいの尺の演奏は平気でやってしまうだろうが,レコーディングでこれだけやるってのはよほど気合が入っていたと思ってもよい。ともあれ,コロナ禍の中でこうしたレコーディングが行われ,燃えたぎるような想いを発露してくれたことも評価して星★★★★☆。

そして強く思うのは,こういうバンドはやはり生で観たいということである。ライブでこんな演奏されたら悶絶必至であるが,その高揚感を再び味わえるようになるのはいつの日のことだろうか...。

Recorded on September 19, 2020

Personnel: Chris Potter(ts, ss, cl, fl, key), James Francies(p, key), Eric Harland(ds) 

<追記>

記事をアップしたらすぐに現物が到着した。改めて現物で聞いたら,ストリーミング再生には限界があるってのがよくわかった。いくらBose Ear Budsを使ってノイズ・キャンセリング再生しても,スピーカーを通した音とはやっぱり違うのだ。Eric Harlandのバスドラがちゃんと聞こえるか,そうでもないかでかなり印象が違ったってことは言っておかねばならない。印象は相当よくなったってところである。

2021年5月18日 (火)

GWが終わってもまだ続く:GWに家で観た映画の13本目は「M:I 2」。

Mi2 「ミッション・インポッシブル2(Mission: Impossile II)」(’00,米/独,Paramount)

監督:John Woo

出演:Tom Cruise, Dougray Scott, Thandiwe Newton, Ving Rhames, Richard Roxburgh

12本目に観た「北極の基地/潜航大作戦」がひどいものだったので,口直しと思って,軽く見られる映画をチョイスということで,Amazon Primeで観たのが本作。今も続く人気シリーズだが,本作に関しては,第1作で感じられたサスペンスフルな展開よりもアクション重視になっているところが評価の分かれ目って気がする。

人気シリーズだけに,そこそこ面白くは観られることは間違いないのだが,John Wooのお決まりのような演出手法がどうも鼻につく。ここでも白い鳩かよ!,またスロー・モーションかよ!と言いたくなるが,はっきり言ってしまえば,私の中ではJohn Wooは過大評価された監督と言ってよいと思う。後の「マンハント」なんてひどいもんだったしねぇ。そもそもストーリー自体もあまり面白くないので,John Wooに責任を押しつける訳にはいかないかもしれないが,それにしてもである。

まぁ,Anthony Hopkinsがキャメオ出演しているのにはびっくりしたが,それでも星★★☆が精一杯だろうねぇ。こんな映画でもヒットしたらしいから,製作者側としては問題なかろうが,第3作の監督をJ.J. Abramsに代えたのは妥当な選択というか,John Wooじゃダメでしょ(きっぱり)。口直しのつもりで観たが,結局これもイマイチでしたってことだが,まぁいいや。

2021年5月17日 (月)

GWが終わってもまだ続く:GWに家で観た映画の12本目は「北極の基地/潜航大作戦」。

Ice-station-zebra 「北極の基地/潜航大作戦("Ice Station Zebra")」('68,米,MGM)

監督:John Sturges

出演:Rock Hudson, Patrick McGoohan, Ernest Borgnine, Jim Brown, Tony Bill, Lloyd Nolan

これも随分前に購入していたDVDなのだが,全然見ないままになっていたもの。そもそも何でこれを買ったのかも覚えていない。潜水艦がマイブームだったとしか思えないが,正直言ってしまえば,何度も観るような映画ではない(きっぱり)。

1968年という時代を考えれば,冒頭の衛星のシーンから,この特殊撮影のレベルも仕方がないとは思える。あれは特撮と言うよりアニメーションだろうってレベルであるのには思わず笑ってしまうが,その割にその後の潜水艦のシーンは結構よく撮れていて,そこは多少感心していた私である。しかし,その後,北極に上陸してからの映像が全くいけていない。いかにもセットで撮影したってものだが,バレバレなのは仕方ないとしても,全然リアリティがないってのが致命的。

しかもこの程度の話に2時間半近くの尺は全く必要がないし,サスペンスもちっとも盛り上がらないのでは,全く評価できないねぇ。潜水艦シーンに免じて星★★。まぁ,東西冷戦時ってのはこういうものだったってことを伝えるにはいいかもしれんが...。

それにしても,この尺の映画に,本編前の「序曲」があり,更には「休憩」があり,かつエンディング後には「終曲」まで流れるってのが凄いねぇ。Michel Legrandの書いた曲はかなりのオーケストレーションで,Legrandらしからぬと言われても仕方がないもの。むしろ,私はこんな曲も書いていたのか~って思いであった。

2021年5月16日 (日)

"Soul Cages":Stingの最も内省的なアルバムと言ってよいだろうなぁ。

Soul-cages-2 "Soul Cages" Sting(A&M)

このアルバムは懐かしい。リリースされたのが1991年のことであったから,まさに私が在米中である。このアルバムがリリースされた後のツアーとして,ブロードウェイにあるBeacon Theaterでライブが開催されたのだが,何とか行きたいと思ってチケットの入手を試みたものの,結局ダメだったというのが今から30年前のことである。あの時は結構寒かった記憶があるから,並んだのは冬のことではなかったか。徒労に終わって空しく帰宅したがマジで寒かったのだけよく覚えている。

それはさておきである。このアルバムがリリースされて私はすぐに入手した訳だが,今でも感じる内省的な響きというものを強く感じた。このアルバムがStingの父の死を受けて制作されたということを考えれば,明るいアルバムとはなりえないが,ここまでくるとロックの概念では捉えきれないって気がする。後にStingはダウランドの曲を歌ったアルバムを制作するが,冒頭の"Island of Souls"なんて,そこはかとなくイングリッシュ・バロック的な響きを感じさせるように思える。

何をStingの音楽に求めるかによって,このアルバムに対する評価も変わると思うが,よくよく聞いてみると,曲は実に粒揃いである。しかし,これだけサウンドが落ち着いたものだと,盛り上がりに欠けるという感じがしないでもない。それでも,終盤に非常に落ち着いたトーンの"Wild Wild Sea"に続いて,タイトル・トラックのイントロが流れてくると,アルバムとしての流れは考えているねぇと思える。私の記憶の中ではタイトル・トラックはもっとスピーディにやっていると思っていたのだが,この程度のミディアムのテンポだったのかと思ってしまった。多分,私の記憶にあったのはライブでこの曲をやった時の感覚ではないかと思えるので,このアルバムもあんまり聞いていなかったのかなと反省してしまった。

いずれにしても,久しぶりに聞いたら,私の印象よりもはるかにいいアルバムであった。手持ちのアルバムはちゃんと聞きなさいということで,星★★★★☆。それにしても,このアルバムのジャケット・デザインの上下左右は見開きのパターンが不思議な感じになっているので,よくわからん(爆)。私の保有しているジャケのイメージは写真の通りであるが,後のバージョンではアルバム・タイトルがこの絵の上に書かれているから,まぁこれが正しい向きってことだろう。

Personnel: Sting(vo, b, synckavier, mandolin), Manu Katche(ds), Kenny Kirkland(key), Dominic Miller(g), Branford Marsalis(sax), Kathryn Tickell(northumbrian pipe), Paola Paparelle(oboe), David Sancious(key), Ray Cooper(perc), Vinx(perc), Bill Summers(perc), Munyungo Jackson(perc), Skip Burney(perc), Tony Vacca(perc)

2021年5月15日 (土)

GWが終わってもまだ続く:GWに家で観た映画の11本目は「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」。

The-world-is-not-enough 「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ("The World Is Not Enough")」('99,英/米,MGM)

監督:Michael Apted

出演:Pierce Brosnan, Sophie Marceau, Robert Carlyle, Denise Richards, Judi Dench, Desmond Llewelyn

「ゴールデンアイ」に続いて観たのがこの映画。この映画は今回,多分初めて観たはずだが,私にとってはSophie Marceauを見るための映画みたいな感じか。懐かしの「ラ・ブーム」の美少女役から,本作への悪女役への変化を見ると,女性の変化は凄いねぇと思ってしまうが,これが実に魅力的。「ラ・ブーム」の時が中学生,この映画は30歳過ぎぐらいのSophie Marceauだが,どっちもいいが,還暦近い私にとっては,やはり本作ぐらいの方がいいですわ(きっぱり)。どっちがいいかは下の写真で判断して下さいな(笑)。この映画におけるSophie Marceauを日本の役者に当てはめると,広末涼子がセクシーな悪女を演じるような感じだろうか。多分,そういうことは起こりそうにないが...(爆)。

もう一点,この映画は長年に渡ってQを演じてきたDesmond Llewelynの最終作ということだろう。引退を示唆するQの後任としてJohn Cleeseが演じている役名が"R"ってのは笑えるが,それはさておき,85歳で亡くなるまでQを演じたDesmond Llewelynはこのシリーズにおける最多出演俳優であるから,一つの時代の終焉を示していることになる訳だ。

一方で,女性の活躍枠を広げるという意味では,もう一人のボンド・ガールであるDenise RichardsがBondに名前を"Miss?"と聞かれて,"Doctor, Doctor Christmas Jones."と答えるところが,これまた今風。

まぁ,007シリーズの作品としては標準的な出来って感じであるが,まぁそこそこ面白く観られるのが007のいいところ。いずれにしても,この映画はSophie Marceauだな。星★★★☆。

しかし,監督のMichael Aptedはよくよく考えてみれば「ブルータートルの夢」も撮った人である。いろんな仕事しているねぇ(と感心)。

Sophie

2021年5月14日 (金)

GWが終わってもまだ続く:GWに家で観た映画の10本目は「007 ゴールデン・アイ」。

Golden-eye 「007 ゴールデンアイ(”GoldenEye”)」(’95,英/米,United Artists)

監督:Martin Campbell

出演:Pierce Brosnan,Sean Bean,Isabella Scorupco, Famke Janssen, Joe Don Baker, Judi Dench

先日アップした「鬼火」でどよ~んとした気持ちになってしまった(笑)ので,気分を転換すべく観たのがこの映画である。Pierce BrosnanがJames Bondを演じる第1作となった本作,観たことがあったかはっきりしなかったが,既に観ていた(爆)。しかし,まぁいいやってことで,再度の鑑賞。

007シリーズは一時期の低迷していたと言われるが,それはRoger Mooreの時代にコメディ的な要素が強まり過ぎたことにあるのではないかと思っている。何でもかんでもシリアスにやればいいってもんでもないが,Daniel Craigのシリーズが評価されるのは,スパイ・アクションとしての作りが徹底しているからではないか。私はTimothy Daltonの2本も悪くなかったと思っているが,いかんせんTimothy Daltonが渋過ぎってこともあり,Pierce Brosnanでより受けのよい007へと方向性の転換を図ったと思う。興行収入もPierce Brosnanになってから上がったようだから戦略としては成功であったってことだ。

それよりも,この映画で象徴的かつ時代を反映しているのが,007のボスのMがJudi Denchになったことだろう。また,後に「X-MEN」でJean Greyを演じることになるFamke Janssenがえげつなく強い敵役で出てくるのも今までにはなかったって感じだろう。ボンド・ガールも添え物的なキャラから,活躍の場が強烈に増えたって感じがするところも,時代背景を踏まえた展開だと思える。但し,メインのボンド・ガールであるIsabella ScorupcoよりFamke Janssenの方が印象が強いってのはちょっとねぇ。

今のレベルからすれば,まだまだ特殊撮影がCGに依存していない感じがするが,アクションは派手派手しく,Pierce Brosnanはカッコよくということで,James Bond役の初作としてはそこそこの出来と思う。戦車シーンとかは007シリーズらしいと言えばその通りとは言え,いくら何でもやり過ぎとか,シナリオ的にはちょっとどうなのよってところもあるが,「鬼火」でどよ~んとした気持ちはこれで払拭できた(笑)。まぁそれでも評価としては星★★★☆ってところだなぁ。やっぱり私はDaniel Craig版の方が好みってことだが,監督のMartin Campbellは後に「カジノ・ロワイヤル」も撮るが,映画としては圧倒的に「カジノ・ロワイヤル」の勝ちというところだろう。

2021年5月13日 (木)

GWが終わってもまだ続く:GWに家で観た映画の9本目は「鬼火」。落ち込むこと必定。

Photo_20210502160701「鬼火("Le Feu Follet")」(’63,仏)

監督:Louis Malle

出演:Maurice Ronet,Léna Skerla,Yvonne Clech,Ursula Kubler,Jeanne Moreau,Alexandra Stewart,Claude Deschamps

昨日,このブログにアップしたのが「ビバリーヒルズ・コップ」だったのに対し,その対極とも言えるようなまさに「沈鬱」な映画である。あまりに観ている映画のテイストが違い過ぎて,自分でも可笑しくなってしまうが,それにしてもこの映画は実に厳しい映画である。

Maurice Ronet演じる主人公Alainはアル中の治療を終えているのだが,退院することもなく,虚無的な生活を送っている。おそらく以前はブルジョワ的な生活を送っていたと想像される人物である。そのAlainがかつての知人,友人を訪ねては,絶望感を更に募らせていき,最後は...って映画なので,見ていて辛くなるような映画なのだ。こういう人間の心理を突き詰めていく映画はもはやエンタテインメントではなく,「純文学」の趣であるから,この映画を退屈だと思っても仕方ないのだが,純文学がそうであるように,最後まで読み通す,そして映画なら最後まで観ることが大事である。

私は楽天的な人間なので,Alainのような絶望感とは縁遠いため,そこまで考えなくていいんじゃないという感じではあるのだが,この映画では概して女性がAlainに優しく,男性の一部からは反発されるところに,この主人公の出自を感じさせるところがまた文学的ってところか。多くを語らず,想像させる。それも一つの表現手段である。いやはやそれにしてもこういう映画が製作されたことに驚きすら覚えた私であった。星★★★★。そして,この映画を全編に渡って流れるサティのピアノ曲が,この映画のトーンに何ともぴったりであったことは付け加えておかねばなるまい。

それにしても,この映画に出てくる女優陣が何とも別嬪揃いで,暗い映画にも関わらず,目の保養になったとか思っている私はLouis Malleの映画を語る資格はないな(爆)。

2021年5月12日 (水)

これがLizz Wrightの初リーダー作。最初から素晴らしかった。

_20210505"Salt" Lizz Wright(Verve)

GW中からGW明けにかけて,映画の記事ばかりになってもいかんので,音楽も取り上げよう。これはLizz Wrightの初リーダー作であるが,彼女への期待値の大きさはプロデュースがTommy LiPuma,Jon Cowherd,そしてBrian Bladeが務めていて,メジャーのVerveからのリリースということでもわかろうというものだが,その期待にちゃんと応えていることが素晴らしい。

私が彼女のアルバムに初めて接したのは"The Orchard"だったので,このアルバムは後追いで聞いた訳だが,この人の魅力はこの第1作から明らかだった。その後,私が彼女のアルバムは全て購入し,高い評価しかしていないというのも当然のような感じだ。私の嗜好にぴったりの音楽と言ってもよいのである。とにかく,歌よし,声よし,演奏よしでは文句のつけようがないのだ。

冒頭からChick Coreaの"Open Your Eyes You Can Fly"って選曲にもびっくりするが,この曲,多分初出はECMでのGary Burton New Quartetだろうが,歌詞付きバージョンはFlora Pulimが最初だろう。ここでのLizz Wrightの歌唱はコンテンポラリーな感覚もあって,つかみは完全にOKってところである。そこに自身のオリジナルやら"Afro Blue"やらを交えて歌われるこのアルバム,実に心地よく,そしてレベルが高い。まさに大人の音楽って感じである。ラフマニノフの"Vocalise"をスキャットでやってしまうのも凄いが,そこからNina Simoneが歌った"End of the Line"へつなぐアプローチもいいねぇ。そして,ラストのBrian BladeとAdam Rogersのギターだけをバックに歌う"Silence"なんて絶妙なクロージングである。

いずれにしても,本作はその後の活躍ぶりを約束するような優れたデビュー・アルバムだったと言ってよいと思う。一部で入る控えめのストリングスは必要だったか?と思わなくもないが,デビュー作のご祝儀みたいなものだったと解釈しよう。そのストリングスはヴァイオリン抜きのヴィオラとチェロってのが控えめに響く理由かもしれない。星★★★★☆。ここのところ,2017年の"Grace"以来,暫くアルバムを出していない彼女だが,これからも必ずフォローしたいと思わせるとともに,もっとメジャーになってよいミュージシャンである。

Recorded in August and December, 2002

Personnel: Lizz Wright(vo), Kenny Banks(p, el-p, org), Jon Cowherd(p, el-p), D, Kenny Banks(p, el-p, org), Jon Cowherd(p, el-p), Danilo Perez(p), Sam Yahel(org), John Hart(g), Adam Rogers(g), Doug Weiss(b), Brian Blade(ds, g), Tereon Gully(ds), Jeff Haynes(perc), Derrick Gardner(tp), Vincent Gardner(tb), Myron Walden(as, b-cl), Chris Potter(ss), Sarah Adams(vla), Ron Carbone(vla), Crystal Garner(vla), Judy Wilmerr(vla), Ellen Wistermann(cello), Joe Kimura(cello), Caryl Paisner(cello), Mark Shuman(cello)

2021年5月11日 (火)

GWが終わってもまだ続く:GW8本目の家で観た映画は「ビバリーヒルズ・コップ」。

Beverly-hills-cop 「ビバリーヒルズ・コップ(”Beverly Hills Cop”)」(’84,米,Paramount)

監督:Martin Martin Brest

出演:Eddie Murphy,Judge Reinhold, John Ashton, Lisa Eilbacher, Ronny Cox, Steven Burkoff

ということで,既にGWも終わってしまったわけだが,私がGW中に家で観た映画はまだまだ続く。ゴルフと日常の買い物以外では外出もままならないGWに映画を観続けた私だが,1日2本,3本観るのが当たり前みたいになってしまって,この記事のシリーズがいつまで続くかわかったものではない(苦笑)。それでもって,今日は懐かしの「ビバリーヒルズ・コップ」である。これはAmazon Primeで観たものだが,Eddie Murphyってやっぱりおかしいよなぁと改めて思った私である。

人気番組"Saturday Night Live"は多くのコメディアンを輩出しているが,私はあまり彼の出ているエピソードは見ていないが,そこから映画界に進出して,大受けしていた頃の映画であり,Eddie Murphyの黄金時代のお映画と言ってもよい。この映画も,Eddie Murphyの芸が面白いのはもちろん,現地警察の刑事を演じるJudge ReinholdとJohn Ashtonもこの映画のおかしさに貢献していると思える。

こういう映画にいちいちケチをつけてはいかんと思える映画であって,ストーリーも実はそれほど大きな破綻はない。デトロイト市警の刑事が管轄外でバンバン拳銃をぶっ放すってのはありえないのだが,まぁそういう映画なのだから仕方ない。Eddie Murphyの芸を楽しめばいいのである。この映画を観た後は,この映画でのEddie Murphyの笑い方を真似してしまう自分には笑ってしまうが(爆)。星★★★★。

それにしても,この映画も公開されて35年以上経過しているというのも信じがたい。いつも言っていることだが,自分が歳を取るのも当たり前nだなぁと改めて思ってしまった。

2021年5月10日 (月)

家で観たGW7本目の映画は「北国の帝王」。

Photo_20210501172401 「北国の帝王("Emperor of the North")」(’73,米,Fox)

監督:Robert Aldrich

出演:Lee Marvin,Ernest Borgnine, Keith Carradine, Charles Tyner, Malcolm Atterbury, Harry Ceaser, Simon Oaklandk

私が音楽にのめり込む前は,映画が好きな中学生であったということは前にもこのブログに書いたかもしれない。音楽を聴くことが映画に勝り始めたのは,私が高校生になった頃なので,それに先立つ中学生の時代は結構映画を観に行っていた。この映画もその当時公開されたはずだが,どう考えても日本ではヒットしないタイプの映画であるから,すぐに公開も打ち切りになったのではないだろうか。IMDbによれば,この映画が日本では正月映画として公開されたと思えるのだが,さすがにこの映画は正月には厳しいんじゃない?ってのが正直なところである。だが,私の記憶の中にこの映画のタイトルだけが残っていて,いつか観たいと思って,DVDを買ったまま放置していたものである。ということで,この映画をGW映画鑑賞週間の一本として初めて観た。

舞台はアメリカの大恐慌時代,そしてここでのお話はサディスティックな列車の車掌,Ernest Borgnineの目をかすめて,列車へのただ乗りを試みるホーボー,Lee Marvinの対決を描いたものであり,現代の感覚では何でやねんというレベルのお話である。列車の車掌がただ乗りを試みる輩を見つけるとハンマーでぶちのめすってのもあり得ないと思ってしまうが,かつ殺しても罪に問われていないように見えてしまうのはさすがに無茶苦茶ではないかと思う。その一方でただ乗りに命を掛けてしまう人間というのも,一方では信じられない話だが,先日取り上げた「大空港」におけるHelen Hayesも「ただ乗り」常習犯の役だったから,アメリカ人には相応のシンパシーを覚えさせるのかもしれないなぁなんて思ってしまった。

しかし,「それだけ」の話で2時間近く持たせてしまうってのも今にして思えば凄いねぇと感じるし,「男臭さ」しか感じられない映画と言ってもよい。まぁRobert Aldrichだからねぇ,と妙に納得した私であった。星★★★★。

それにしても,「ブリット」ではSteve McQueenの上司を渋く演じていたSimon Oaklandが,この映画では実に情けない警官役でちょこっと出てくるのには笑ってしまった。関西風に言えば「役者やのぉ~」ってところである。

2021年5月 9日 (日)

David Sanbornの歌心とJohnny Mandelのオーケストレーションの美しき出会い。

_20210502"Pearls" David Sanborn(Elektra)

ここのところ,GW中に家で観た映画の記事ばかりアップしていて,これじゃ「中年音楽狂」じゃねぇじゃんと言われそうなので(爆),久しぶりに音楽の記事である。GW中は相当映画漬けの生活を送っていたのは事実なのだが,音楽も全然聴いていなかった訳ではない。そんな中で取り出したのがこの一枚なのだが,本作を聴くのも実に久々のことだと思う。

David Sanbornの歌心については疑問を差し挟む余地はないぐらい,スタジオ・ミュージシャンとして数々のアルバムで短くても印象に残るソロを聞かせてきた。その一方で,自身のソロ・アルバムではリズムやファンクも強化したいかにもフュージョンっていう感じで楽しませてくれたというのが私の感覚である。

そんなDavid Sanbornの,誤解を恐れずに言えば「イージー・リスニング的」なアルバムとしては,私はBob Jamesとの"Double Vision"が一番だと思っているが,"Double Vision"がフュージョン的なテイストをまだ残している中で,よりゴージャスな「イージー・リスニング的」バラッド・アルバムとして本作は捉えるべきだと思う。何てたって,Tommy LiPumaと共同プロデュースしているのが名匠Johnny Mandelなのだ。そしてほぼ全編に渡ってJohnny Mandelがアレンジメントとオーケストレーションを担当しているのだから,もはやこれは成功間違いなしなのだ。David Sanbornの歌心とJohnny Mandelのオーケストレーションならばそれこそ「鉄壁」だ。

ベタな選曲と言われればその通りではあるが,逆に1曲目に”Willow Weep for Me"のようなブルージーな曲を持ってくるところに意外性があるが,最後がOleta Adamsの歌唱を加えた”Nobody Does It Better”ってのもいいねぇ。「私を愛したスパイ」の主題歌としてCarly Simonが歌ったこの曲だが,このバージョン,なかなかよい。そして"For All We Know"にはJimmy Scottを担ぎ出してくる組合せの妙。と言うより,David SanbornのアルバムにJimmy Scottが客演するところに,Jimmy Scottリバイバルはマジだったって感じがしてしまう。

いずれにしても,全編に渡って歌心溢れるバラッドを聞かせてもらえば,ほとんど夢見心地になってしまうとさえ思えてしまうアルバム。もちろんジャズ的なスリルやフュージョン的なノリを求めるべくもないが,これはこれで別の楽しみ方があると言うべきアルバム。David Sanbornのファンからすれば,こんなのSanbornの本質じゃないって声も出るかもしれないが,Sanbornに興味もないリスナーからすれば,実に心地よいイージー・リスニング・アルバムとして聞けるはずだ。私の場合,David Sanbornの結構なファンでもあるのだが,Johnny Mandelへの肩入れもあり星★★★★☆。

Personnel: David Sanborn(as), Don Grolnick(key), Kenny Barron(key), Christian McBride(b), Mark Egan(b), Marcus Miller(b), Steve Gadd(ds), Don Alias(perc), Jimmy Scott(vo), Oleta Adams(vo, key)

2021年5月 8日 (土)

家で観たGW6本目の映画は「テルマ&ルイーズ」。最高に面白かった。

Thelma-louise 「テルマ&ルイーズ(”Thelma & Louise”)」(’91,米/英/仏,MGM)

監督:Ridley Scott

出演:Susan Sarandon, Geena Davis, Harvey Keitel, Michael Madsen, Christopher McDonald, Brad Pitt

GW中にひたすら映画を観続けたが,最高に面白かった一編がこれと言ってよいだろう。同じRidley Scottが監督をしていても,映画のトーンが「ブレードランナー」とかと全然違うのも面白いが,何よりもストーリーが滅茶苦茶面白い。

この映画をロード・ムーヴィーと言うこともできるだろうし,バディ・ムーヴィーと言うことも可能だろう。しかし,私がこの映画を観ていて感じたのは「明日に向かって撃て!」との同質性と言ってもよいかもしれない。Butch CassidyとSundance Kidを女性に置き換えると「テルマ&ルイーズ」になるというか感覚をこの映画を観ながら感じていた。

本作が公開されたのは,私が在米中の時期に重なり,当時この映画が結構話題になっていたことは記憶に残っている。そりゃこれだけ面白ければ話題になるだろうし,オスカーでオリジナル脚本賞を獲るのもうなずける話である。だが,私は今回までこの映画を観たことがなく,DVDも随分前に買ったものの,ずっと見ないまま放置していたという体たらくなのだ。よって,何を今更と言われれば,返す言葉はないのだが,この映画の面白さを改めて未見の方々にも知って欲しいとさえ思ってしまう。

こういう映画を観ていると,Ridley Scottの職人芸と言うべき監督術には感心せざるをえない。本当に全く違うタイプの映画を撮っていて,優れた作品も多いというのは大したものである。もちろん,がっくり来るような作品もない訳ではないが,私の中では「エイリアン」,「ブレードランナー」,「グラディエーター」,そして本作によって,Ridley Scottの名声は確固たるものになったと思える。

いやぁ,実に面白かった。もっと早く観ておけばよかったと思ったのは久しぶりである。喜んで星★★★★★としてしまおう。そして,この映画も使われる音楽が楽しいのはやはり同時代だったってことだろうなぁ。

2021年5月 7日 (金)

家で観たGW5本目の映画は「デス・プルーフ in グラインドハウス」。

Death-proof 「デス・プルーフ in グラインドハウス(”Death Proof”)」(’07,米,Dimension Films)

監督:Quentin Tarantino

出演:Kurt Russell, Zoë Bell, Rosario Dawson, Vanessa Ferlito, Sydney Poitier, Tracie Thoms, Rose McGowan, Jordan Ladd, Mary Elizabeth Winstead

この映画はAmazon Primeで観たもの。Quentin Tarantinoの映画に関してはいつも楽しませてもらっているが,これも大いに楽しめた。だが,話はかなり無茶苦茶。さすがB級,C級映画へのオマージュだけのことはある。見ていて,画像が荒かったり,乱れたりする部分があるのだが,それが意図的なものってのも笑える。

端的に言ってしまえばカー・アクション映画であるが,そこに至るシーンにおいては出演する女優陣のストーリーに関係ないしょうもないトークが炸裂するというのも実に馬鹿馬鹿しくて笑える。本質的には後半に登場するZoë Bellのスタント・シーンを見せることがこの映画の真の狙いだったと思えるが,Kurt Russellもこんな映画のオファーを受けるところが面白い。何てたって,ラストに向かっては...って感じなのである。

こういう映画を観ていても,やはりQuentin Tarantinoって面白いねぇってことで,やっぱり彼の映画は全部観たくなり,DVDやらBlu-rayを注文してしまった私である。最終的には劇場で観た3本も買っちゃうかもなぁ。ってことで,実にアホらしい映画と言えばその通りだが,コメディではないのに本当に笑える映画である。星★★★★。いつものTarantinoの映画同様,音楽も大いに楽しめた。使われる曲を聞いていると,わかってるねぇって言いたくなってしまうのはきっと私だけはないはずだ。

ところで,出演者にSydney Poitierの名前を見つけて,何でこんなところにシドニー・ポワチエが?と思っていたら,一字違いの彼の娘(父はSidney Poitier) であった。それにはびっくりした私。

2021年5月 6日 (木)

家で観たGW4本目の映画は「スラップ・ショット」。

Slap-shot 「スラップ・ショット("Slap Shot")」(’77, 米,Universal)

監督:George Roy Hill

出演:Paul Newman, Strother Martin, Michael Ontkean, Jennifer Warren, Lindsay Crouse

GWのステイホーム中に映画を観続ける私だが,購入したまま全然見ていないDVDはいくらでもあって,観るものには困らない(爆)。ということで,4本目にチョイスしたのがこの映画である。George Roy HillとPaul Newmanの組合せとあれば,「明日に向かって撃て!」も「スティング」もあって名コンビと言ってよいから,まぁはずれはないと思うが,この映画はその2本に比べると落ちるとは言え,お笑い的な要素も含めてそこそこ楽しめた。

そもそもアイス・ホッケーを舞台にしてしまうところが珍しいが,映画が「スラップ・ショット」ならぬスラップスティック的になっていくのはハンセン3兄弟が出てきてからってことになって,そのラフプレイぶりがほとんど漫画の世界である。そんな映画なので,この映画に深みとかを求めてはいけない。乱闘シーンの連続に辟易とする人もいるだろうが,あくまでもお笑いと思ってみればいいのである。

エンディングに向けてのシナリオは何じゃそりゃ?という感じがあって,そこは減点材料ではあるが,まぁ気楽に見るにはいいんじゃない?って感じの映画であった。でもねぇ,Paul NewmanとGeorge Roy Hillならもっといいのを期待するのが筋ってことで星★★★☆。

2021年5月 5日 (水)

家で観たGW3本目の映画は「風の谷のナウシカ」。

Photo_20210430113101 「風の谷のナウシカ」(’84,東映/徳間書店/博報堂)

監督:宮崎駿

声の出演:島本須美,松田洋治,納谷悟朗,永井一郎,八奈見乗児,榊原良子,家弓家正

私が初めてこの映画を観たのは飯田橋ギンレイか飯田橋佳作座のはずである。その日はこの2軒の映画館をはしごして一気に映画を4本見たということだけは今でも覚えている。最初の2本が「カリオストロの城」と本作,後半の2本が「バーディ」と「ホワイトナイツ 白夜」だったはずだ。その日は多分映画を見たくて仕方がないと感じての行動だったはずだが,この映画を観て,暗闇の中で大号泣したことは今でも覚えている。

私は単純な性格なので,条件反射的に泣けてしまう映画や歌ってのがある。「カリオストロの城」ならエンディング近くのクラリスと銭形の会話で,歌なら「木綿のハンカチーフ」を聞くとどうしても泣いてしまう。そしてこの映画である。エンディングのナウシカ復活シーンは何度見ても泣ける。そんな姿は家人には到底見せられないので,家人が寝静まった深夜にこれをPCでBlu-rayで観ていたのだが,やっぱりまた号泣してしまった。我ながら単純もここまで行くと呆れるぐらいだが,いいのだ。映画を観て泣くのは私にとってのカタルシスなのだ(きっぱり)。その後,ここまで泣かせてくれるたのは「レ・ミゼラブル」ぐらいだ。

この映画のエンディングは宮崎駿は納得がいっていないらしいが,見る方にとっては作者の意図は関係なく,勝手に感動しているのだからそれはそれでよい。「ブレードランナー」におけるRidley Scottがディレクターズ・カット,ファイナル・カットを作ったようにはこの映画はさすがに改変できまいって気もする。それぐらい多くの人の心に刻まれてしまっているのだから,宮崎駿が手を出しても失望を買うリスクは取れまい。

私は原作を読んでいないので,この後,どういうストーリーが展開されるのかはわかっていないが,私はこの映画を楽しめば十分だと思っている。今後,この映画を再見する日がいつになるかはわからないが,改めて観てもよく出来た映画であったと思う。泣かせてくれることを加味して星★★★★★である。

2021年5月 4日 (火)

家で観たGW2本目の映画は「ブレードランナー」。

Final-cut 「ブレードランナー ファイナル・カット("Blade Runner: The Final Cut")」('82/'07,米,Warner Brothers)

監督:Ridley Scott

出演:Harrison Ford, Rutger Hauer, Sean Young, Edward James Olmos, M. Emmet Walsh, Darryl Hannah

出掛ける機会のないGWを過ごすために観た映画の2本目が「ブレードランナー」の「ファイナル・カット」である。オリジナル公開時には全然ヒットしなかったにもかかわらず,その後カルト化するってのはよくあることだが,「ブレードランナー」の場合,複数ヴァージョンが存在して,それを追い掛けるファンがいるってのも凄いねぇって思ってしまう。私はオリジナル・ヴァージョンをLDの時代から見ていたクチだが,ファイナル・カットを観たのは今回が初めてかもしれない。

そもそも私は「メモリアル・エディション」なる全5ヴァージョンが収録されたBD3枚組を保有していたのだが,買ったまま全然見てやしないというよくあるパターンであった。まぁ,老後の楽しみとして買っているので,それでも全然本人としては問題ないのだが,場所を取るだけだろうという家人のぼやきも理解できない訳ではない(苦笑)。

まぁ,それはさておきであるが,ストーリーにはもちろん違いはないとしても,細部の違いがある(らしい)この「ファイナル・カット」で,私でもわかるぐらい顕著なのはラスト・シーンであろう。詳しくは述べないが,どちらがいいかは見る側が決めればいい話だ。私はこれはこれでありだと思えるし,本来はこうあるべきであったという作り手としてのRidley Scottの気持ちももちろんわからないではない。

そして何よりも,LAの空間の映像の美しさには正直びっくりした。ただでさえ,非常に印象的な美術であったと思うが,それを更にグレードアップさせたこの映像美こそが最大の見ものと言ってもよいのではないか。私は映画館でこの映画を観たことはないのだが,この映像をもし映画館の大スクリーンで観ていれば,間違いなく息を呑んでいただろうし,大いに感動していただろうというレベルのものであった。キラ星のごとき視覚効果スタッフの仕事も含めて星★★★★★にしてしまおう。

2021年5月 3日 (月)

GWはやることもないので,Blu-rayやDVD映画を観てかなりの時間を過ごす。1本目は「ブリット」。

「ブリット(”Bullitt”)」(’68,米,Warner Brothers)Bullitt

監督:Peter Yates

出演:Steve McQueen, Robert Vaughn, Jacqueline Bisset, Don Gordon, Robert Duvall, Simon Oakland, Norman Fell

去年のGW同様,今年のGWもコロナ禍の影響大であり,東京都内の映画館は軒並み休業ではやることもないってことで,家で映画を観るぐらいしかないではないか。ってことで,何本も映画を観ているので,それらを記事にしていこう。1本目がこの映画である。

先日「ゲッタウェイ」を観て,Steve McQueenと言えば,この映画も持っていたなぁってことで久しぶりに観たのだが,よく出来たアクション映画であったと思える。サンフランシスコを舞台にしていることもあって,カー・チェイスのシーンもSFの坂道を活かした車の飛び跳ねっぷりであるが,今,この映画を観ると,まだまだ手作り感が強くて,現代の映画に比べるとスピード感にはそれなりの差があると思う。逆に言えば,本来,これぐらいの感覚であるべきものをCGやその他のテクノロジーの力を借りて,現代の映画は増幅しているだけって言い方もできると思う。もちろん,それはそれで否定しないのだが,昔の映画にはそれなりの良さがあったってことだ。

ここではRobert Vaughnが上院議員役で出てくるが,こういう政治家のいやらしさを示す役をやらせると本当にはまるってところも面白い。同じサンフランシスコを舞台にしながら,「ダーティ・ハリー」とは違う魅力を持った刑事映画。星★★★★。

2021年5月 2日 (日)

Nik Bärtschの2006年リリースのソロ・アルバムのタイトルはその名も「非思量」。

_20210429 "Hishiryo" Nik Bärtsch(Ronin Rhythm)

今年,ECMからソロ・アルバム"Entendre"をリリースしたNik Bärtschは,およそ15年前にソロ・アルバムをリリースしていたのだが,私はこれまで未聴であった。Nik BärtschはやっぱりRoninやMobileのリズムがある方がいいと思っていたからだが,"Enrendre"を聴いて,ソロもいいねぇと思って,値段も手頃だったこともあり,CDをゲットしたもの。

Nik Bärtschはそもそも日本滞在経験もあり,相当禅の世界にはまっているようなのだが,このアルバムのタイトルも名付けて「非思量」とは言うねぇ。非思量とは禅の概念で「すべての相対的な観念を捨てた無分別の境地」,もう少し噛み砕いて言えば,「あらゆる雑念がなくなって心が澄み切っている状態」,あるいは「頭のなかを空っぽにして、心を無の状態にする」って感じであるが,そういう概念をアルバム・タイトルにしてしまうのが凄いねぇと思ってしまう。

私のような俗物は,Nik Bärtschのミニマルでありながらファンクを感じさせる音楽を聞いていると,非思量どころか興奮してしまうってところである(爆)。本作を聞いていてもNik Bärtschらしさは十分に感じられ,相変わらずどれを聞いても同じに聞こえてしまうところも相変わらずなのだが,"Entendre"と同質,同レベル,あるいはそれを凌駕する音楽を既にレコーディングされた約20年前からやっていたというこの一貫性には驚く。そしてそれは不変性も伴うということだと思うが,完全に独自の世界を築いてしまっていたのだなぁと感じさせるのだ。

私はむしろこっちの方が新作よりいいのではないかとさえ思えるぐらいだが,意外にもこのアルバムに収められた"Module TM"はLennie Tristanoの"Turkish Mambo"に基づくなんて書いてある。Nik BärtschとLennie Tristanoというのは私には全く結びつかないのだが,そういう影響もあるのか~なんて妙な感心の仕方をしてしまった私である。いずれにしても,あっという間に時間が経過してしまういけているソロ・アルバムであるが,こういう音楽に興味のないリスナーにとっては,やっぱり「何のこっちゃ?」というものだろうなぁ(笑)。星★★★★☆。

Recorded on January 3-5, 2002

Personnel: Nik Bärtsch(p)

2021年5月 1日 (土)

こんなのもあったなぁ。Kenny RankinのBottom Lineでのライブ盤。

_20210428 "The Bottom Line Encore Collection" Kenny Rankin(Koch)

先日,Kenny Rankinの"A Song for You"をこのブログで取り上げたところで,そう言えばってことで,引っ張り出してきたのがこのCDである。「そう言えば」っていうぐらいなので,プレイバック頻度は低い(きっぱり)。しかし,このアルバムを聞いて,"A Song for You"にコメントを寄せて頂いたカビゴンさんが「私が聞いた中でも一位二位を争う歌の上手い人だと思います。ギターもピアノも上手かった。」と書かれているのもなるほどと思ってしまった私である。

本作はそのKenny Rankinによる,今はなきNYCのBottom Lineでのソロ・ライブの音源である。Bottom Lineには私もNYC在住中や出張時に何度か行ったことがあるが,ニューヨーク大学のそばということもあり,全然気取ったところのない(逆におしゃれ感は全くない)ライブ・ハウスであった。プログラムもSSW,ロック,ジャズと非常に多岐に渡っていて,今にして思えば,もっと行っておけばよかったと感じるヴェニューであった。確か場所そのものもニューヨーク大学から賃貸していたのではなかったかと思うが,東京で言えばお茶の水に素晴らしいライブ・ハウスがあるようなものだ。

それはさておき,"A Song for You"の記事でも書いたが,この人のフェイク,あるいは曲の崩しっぷりは相当凄い。歌に自信がなければこうはなるまいと思える。冒頭の"With a Little Help from My Friends"からして凄い崩しようである。ここではBeatlesの曲を5曲歌っているが,どれも一筋縄ではいかない。"While My Guitar Gently Weeps"にいきなり"My Funny Valentine"を交えるってのにも,思わず「ひょえ~」となってしまった私である。

このフェイクを受け入れられるかどうかは,聞く人によってわかれるとは思えるのだが,ここまでいくと本当に歌のうまい人にしか許されないレベルと言っても過言ではない。ある意味面白過ぎである。久しぶりに聞いたが,実に楽しませてもらった。確かにギターも無茶苦茶うまかった。このアルバムがレコーディングされたのは1990年なので,私の在米期間とも重なっているが,こういうのを普通に聞けたBottom Lineというヴェニューはやはりもっと行っておけばよかったと改めて思ってしまった。後悔先に立たず。星★★★★。

しかし,このアルバムのライナーの対訳はひどいなぁ。もう少し真っ当な翻訳をして欲しいものだ。どうでもいいけど。

Recorded Live at the Bottom Line in 1990

Personnel: Kenny Rankin(vo, g, p)

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