もはや懐メロ?Neil Larsenの”Jungle Fever”。
"Jungle Fever" Neil Larsen(A&M)
いやはや懐かしいアルバムである。と言っても,私はこのアルバムをリアルタイムで聞いた訳ではなく,後付けで聞いたものだが,それでも何とも言えない「懐メロ」感があるのだ。思うにこのアルバム,結構はやったと思うのだが,リリースされた頃はまだ私はこの辺まではカヴァーできていない頃である。フュージョンで聞いていたのはナベサダとかLee Ritenourの"Gentle Thoughts"あたりどまり。だが,このアルバム,今聞いてもおそらく本国より日本で受けたはずだと思ってしまう。
なぜか。ここで奏でられるメロディ・ラインがマイナー・キーのものが多く,おそらくは日本人の琴線をくすぐるからだ。フュージョンもいろいろあるが,このメロディ・ラインには何とも言えない魅力を感じるリスナーが多かったであろうことは想像に難くない。本作に収められている"Wind Song"は私はGeorge Bensonの「メローなロスの週末」(笑)で聞いたのが最初だったのだが,こっちがオリジナルだったのねぇって知ったのは随分後になってからである。フュージョンと言えば,明るくカラっとした感じってのが「定説」みたいなところに,このマイナー・キーがある意味異質ながらも,日本人には魅力的に響いたのではないかと思えるのだ。しかも"Last Tango in Paris"なんてやっているし,そこでソロを取るのはMichael Breckerだしと,これはおそらく当時のリスナーには訴求力が高かったのではないかと想像させるに十分である。
今となっては40年以上前の音源であるから,当然時代を感じさせるが,今聞いても結構魅力的に響くのは,アルバム全体に溢れるマイナー調ゆえの哀愁感ってところではないかと思ってしまった。久しぶりに聞いたのだが,ついついはまってしまった私である。星★★★★。
Personell: Neil Larsen(p, key, org), Buzz Feiton(g), Willie Weeks(b), Andy Newmark(ds), Ralph McDonald(perc), Michael Brecker(ts), Larry Williams(as, a-fl), Jerry Hey(tp, fl-h)
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