これはもの凄い!「高橋アキの世界」。
「高橋アキの世界(”Piano Space”)」高橋アキ(EMI)
前々からこのブログにも書いているが,私は現代音楽のピアノ曲がかなり好きである。アブストラクトな音場に身を委ねると心地よいというのが一番の要因だが,それって変態だって言われても抗弁できないとは思う。しかし,好きなものは好きなのだ。
そうは言いながら,Peter Serkinは例外にして,ほぼECM New Seriesが私のそうした音楽の鑑賞の中心になってしまっていて,それ以外のフォローは決して十分とは言えない。そんな中で,たまたまオークション・サイトで見つけたこの3枚組のアルバムは,「おぉっ,これは...」と思わせるに十分なプログラムである。最初の2枚は日本人作曲家,3枚目が海外の作曲家というくくりになっているのだが,まさに「The 現代音楽」である。これは買わずにおれん,聞かずにおれんということで,オークションでゲットしたのだが,見本盤であることはさておき,今から50年近く前の古いレコードなので,ボックスも傷んでいた(死ぬまで売る気はないので,自分で補修した...)が,それでもレコードはほとんどプレイバックされた形跡がない綺麗なもので,全然文句なしである。こういうのは聞ければいいのである。
そして,私が期待した通りの「The 現代音楽」が全編にわたって展開されるという全くもって素晴らしいレコードである。2009年にはタワー・レコードでCD復刻されたようだが,そんなことには全然気づかずであった私が悪い,というかその頃はそこまで現代音楽にはまっていなかったとも言える訳で,今から考えれば買っておけばよかったと思わざるをえない。
しかし,今回,アナログで入手して,これは一枚,一枚ひっくり返しながら聞くという楽しみがあるなぁと思っていた私である。まじでこれははまる。いや,最高である。ここでの高橋アキのピアノの響きを聞いていれば,すぐにその世界に没入できる。クリアにして見事な粒立ちのピアノの音を聞いているだけで至福の時間が過ごせる。これはまさに私のツボにはまった音楽であり,サウンドであった。「明晰」とはこういうことなのかと思いたくなる。星★★★★★。最高である。大げさに言えば人生の宝ともなるな。
Recorded in 1972 and 1973
Personnel: 高橋アキ(p, el-p), 祖堅方正(tp)
« 豪華なメンツが揃ったGary Burtonの落ち着いた「ほぼ」スタンダード集。 | トップページ | Gal Costaの新作が心地よいことこの上ない。 »
「現代音楽」カテゴリの記事
- またもイタリア文化会館でのライブを聞く。今回はヴァイオリンのリサイタル。(2025.09.13)
- Francesco Dillon@イタリア文化会館参戦記。(2025.04.10)
- 才人Vijay IyerとWadada Leo Smithのデュオ第2作。(2025.04.06)
- 2024年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)(2024.12.28)
- 中古で入手した高橋アキのダイレクト・カッティング盤。(2024.12.24)
コメント
« 豪華なメンツが揃ったGary Burtonの落ち着いた「ほぼ」スタンダード集。 | トップページ | Gal Costaの新作が心地よいことこの上ない。 »





















































































これ、いいですよね。私はDUの日本ジャズコーナーで捕獲(間違いなく、店員は高瀬アキと誤認しているね)。小躍りしました。高橋悠治も面白いです(1968年的な政治臭が気になりますが)。
https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2019/05/01/000000_1
投稿: K's Jazz days | 2021年4月 6日 (火) 10時03分
K‘s Jazz daysさん,こんばんは。リンクありがとうございます。
>これ、いいですよね。私はDUの日本ジャズコーナーで捕獲(間違いなく、店員は高瀬アキと誤認しているね)。小躍りしました。高橋悠治も面白いです(1968年的な政治臭が気になりますが)。
これが日本のジャズにあるのは明らかに変ですから「高瀬アキ誤認説」が有力でしょうね。私はこういう音楽がかなり好きですから,没入してしまいました。3枚続けて聞いて,実に素晴らしい音源だと思いました。一般的には物好きもしくは変態と言われても仕方ないですが(爆)。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年4月 6日 (火) 18時59分