これまたよく出来ている須川崇志Banksia Trioの第2作。
"Ancient Blue" 須川崇志Banksia Trio(Days of Delight)
私は昨年のベスト作の1枚としてこのトリオの第1作を選んだが,実に優れたトリオ,そして優れた音楽だと思っていた。そんな彼らの第2作が早くもリリースされたので,大きな期待を持って聞いたのだが,その期待は裏切られることはなかった。今回のアルバムも実によく出来ている。
私は前作について「緊張感に満ちた美学」と評したのだが,その感覚は本作においても引き継がれていて,私はスローな曲における「間」に惹かれてしまう。今回もBill Evansゆかりの"Blue in Green"から始まるが,こういう風にやるかというかたちのアレンジには一瞬戸惑う。しかし,何度か聞いていると,そうした感覚は薄れていき,こういうのもありだと思えてくる。だが,私にとっては,このアルバムの真骨頂は2曲目以降ということになる。
ここでの演奏は,静謐で清冽な感覚に満ちているが,緊張感がゆるむことはなく,全編を通じてテンションが維持されているのは見事というほかない。3人のオリジナルも優れたものだが,それに加えてAyub Ogadaの"Kothbiro"や安田芙充央の"Song for Nenna"のような曲を取り上げることに,このトリオの審美眼とセンスのよさを強く感じる。
第1作に感じた驚きは薄れたが,それでもこのレベルの高さは認めなければならない。こういうアルバムを1日で仕上げてしまうことにこのトリオの実力が表れていると言ってもよいだろうし,ライブではどんなことになってしまうのかと思わざるをえない。星★★★★☆。
Recorded on July 29, 2020
Personnel: 須川崇志(b, cello,el-b,mbira, bells),林正樹(p),石若駿(ds, perc)
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無関係ですが
Joni Mitchellの話題を
Bob DylanのRolling Thunder Revue Blu-rayで
JoniがCoyoteをDylanの楽屋?でちょっとだけですが、弾き語りしてました。
BOX買うくらいだから、complete目指してるんじゃないかと(笑)情報提供でした。
Dylanの第2の絶頂期(第3はこなかったけど 笑)何故これを今まで隠していた?
投稿: MRCP | 2021年3月 7日 (日) 22時37分
MRCPさん,こんばんは。
>Bob DylanのRolling Thunder Revue Blu-rayで
>JoniがCoyoteをDylanの楽屋?でちょっとだけですが、弾き語りしてました。
>BOX買うくらいだから、complete目指してるんじゃないかと(笑)情報提供でした。
情報ありがとうございます。Joni Mitchellのコンプリートは目指していませんが,Rolling Thunder Revueの一部には参加していたのは気になっていました。と言っても,そこまではって感じですねぇ。ネットを観ていると,Joni Mitchellのブートも結構出回っているようですが,それを追っかけていたらきりがないので,押さえるべきところを抑えるという感じで臨んでいます。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年3月 8日 (月) 18時44分
中年音楽狂さんのお話のように、緊張感ある展開とインタープレイの味がお見事のトリオですね。そして林正樹のピアノが美しいのがいいですね。
"Blue in Green"は私の期待とは違っていて、してやられたという感があるのですが、その意外性にも、一本とられていて次作がどうかというところで、私なりの結論を持ちたいと思ってます。
TBさせていただきます↓
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2021/02/post-982373.html
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年3月15日 (月) 18時09分
photofloyd(風呂井戸)さん,こんにちは。リンクありがとうございます。
>中年音楽狂さんのお話のように、緊張感ある展開とインタープレイの味がお見事のトリオですね。そして林正樹のピアノが美しいのがいいですね。
はい,おっしゃる通りです。実にレベルが高くて,どこへ出しても恥ずかしくないですね。
>"Blue in Green"は私の期待とは違っていて、してやられたという感があるのですが、その意外性にも、一本とられていて次作がどうかというところで、私なりの結論を持ちたいと思ってます。
そうですね。1曲目はやはり若干違和感があるとは思いますので,評価はわかれそうですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2021年3月16日 (火) 12時04分