ECMにおけるShai Maestroのリーダー作第2弾。これも実によい。
2018年にリリースされた"Dream Thief"も素晴らしかったShai Maestroであるが,ECMにおける第2作がリリースされたが,前作同様,実に美的なアルバムとなった。
前作はピアノ・トリオであったが,本作ではPhollip Dizackのトランペットが加わる。前にも書いたが,私はラッパのワンホーンってのが結構お好みなので,編成としても気になるところではあるが,それがECMというレーベルでどう機能するかは興味深いところであるが,結果的には大成功。今回のアルバムも静謐な響きの中に,素晴らしい歌心を感じさせるアルバムとなっているではないか。
私は出身地の音楽に根差したエキゾチズムを否定する訳ではないのだが,それが過剰になるとどうしても鼻につくという感じがある。単なる好みの問題ということかもしれないが,私にとってのその最たる事例がLionel Louekeということになってしまう。Lionel Louekeのファンには申し訳ないが,以前の記事にも書いた通り,もはやLionel Louekeのアフリカン・フレイヴァーは私としては生理的に受け付けないレベルなのだ。それに比べると,Shai Mestroの音楽はイスラエル出身とかを強調した感じのない音楽と言ってよく,実に受け入れやすく,聞いていて心地よい。Camila Mezaとの共演も素晴らしかったが,Shai Maestroが非常に多彩な音楽性を身につけていることが素晴らしい。
アルバムが基本的にShai Maestroのオリジナルで構成され,1曲だけスタンダードを加えるというのは前作と同様であるが,今回加えられているのが"In a Sentimentl Mood"である。Shai Maestroの書くオリジナルは,実に抒情的な響きを持つものであり,この手の音を好むリスナーにとっては心をえぐられるものと言ってもよい。それは私にも当てはまり,これはかなりいいと思える。ただ,一点ケチをつけるならば,そのスタンダード,"In a Sentimental Mood"の扱いだろう。明らかにこれは余計にいじってしまったって感じが強い。まぁ,普通にはやりたくはないというのはわからないでもないが,ここでのアレンジは「奇をてらった」と言われても仕方がない。これはもったいなかったと思う。ということで,それが減点材料ではあるが,総体的にはいいアルバムだと思う。"In a Sentimental Mood"は気に入らないが,ちょっと甘めの星★★★★☆としよう。
Recorded in February, 2020
Personnel: Shai Maestro(p), Jorge Roeder(b), Ofri Nehemya(ds), Phillip Dizack(tp)
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