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2021年1月31日 (日)

スイスのジャズのレベルの高さを実証するThierry Lang入りのライブ盤

_20210129 ”Live at the Dolder Grand Hotel, Zurich" The Winners(TCB)

ジャズ誌の読者投票結果によって結成されるってのは昔,Poll Winnersってのがあったが,これは時間は大幅に経過しているが,そのスイス版ってところである。スイスのジャズ誌(?),"Jazz ’n’ more"ってのがあるらしいのだが,おそらくその読者か,評価家投票によって選ばれた現地のミュージシャンによるライブ盤である。

まぁ欧州系のジャズにそこそこ通じている人ならばピアノのThierry Langも,ラッパのFranco Ambrozettiも知っているはずだが,日ごろならオリジナルをやりそうな彼らが,ここに並んでいるような大スタンダードを演奏したらどうなるのかってところに興味は集まるだろうと思う。特にThierry Langは"Private Garden"等のアルバムを通じて,美的な感覚でリスナーを痺れさせた人だから,尚更である。

私がこのアルバムを購入したのもおそらくはThierry Langの名前につられてだったと思うが,その時の記憶ははるか彼方に飛んでいる(爆)。久しぶりにこのアルバムを引っ張り出して聞いてみたのだが,やっているのが"Autumn Leaves", "Invitation","In Your Own Sweet Way","My Foolish Heart","Summertime","The Days of Wine And Roses",そして"If I Should Lose You"だったとは全く記憶になかった。しかし,これが実にいい感じなのである。

そもそも私はラッパのワン・ホーンの演奏を好むところがあるのも影響しているとは思うが,時にリリカルに,時にスリリングに演奏するこのクァルテットの演奏はスイスという,ジャズ界においてはマイナーと言ってよい国のミュージシャンのレベルの高さを実証している。まぁ,実力のあるミュージシャンからすれば,ここに並んでいるような曲は一丁上がりみたいに演奏できてしまうのかも知れないと思いつつも,ちゃんとメリハリをつけているところに感心してしまった私である。

Thierry Langはリリシズムみたいな先入観を持って聞くと,いい意味で裏切られる。結局のところ,何でもできてしまうのだ。そういう発見をするには最適なアルバムだと言ってよいと思うが,こういうのをクロゼットの奥にしまっておく私もいかがなものかと反省したのであった。味わいもあって,格別な感覚を与えてくれたこともあり,反省も込めて星★★★★★としてしまおう。こういうのを聞くと,改めてThierry Langのアルバムを聞きたくなるという副次的な効果もあることは間違いないな。

Recorded Live at the Dolder Grand Hotel, Zurich, on April 20, 2000

Franco Ambrosetti(tp, fl-h), Thierry Lang(p), Heiri Känzig(b), Peter Schmidlin(ds)

2021年1月30日 (土)

もう止まらないブラック・ホーク99選熱。今日はNorman Greenbaum。

Petalma "Petalma" Norman Greenbaum(Reprise)

Freeman & Langeのアルバムを買ってからというもの,私のSSW熱は沸騰レベルに達していると言っていいかもしれない。これまでだったら,まぁそのうちと思っていた「ブラック・ホークの99選」の保有していないアルバムを次から次へと発注している。今日取り上げるのはNorman Greenbaumなのだが,このアルバム,昔LPで持っていた(爆)。しかし,その頃は何がいいのか全然わからなかった。その後,Norman GreenbaumのコンピレーションCDも入手して,ほぼこのアルバムの音源を聞けないこともなかったのだが,やはりオリジナルの音源を聞きたいという思いが芽生えてしまったのには困ったものだ。CDはちゃんとしたコンピレーションだったのだが,このアルバムからの曲の欠落があったのは痛かった。だから私の手元にはもうない(苦笑)。

それでも熱量が上がっている今,やっぱりこれを聞きたい。しかし,このアルバムのCDは無茶苦茶高価なので,LPで探していたら,あった,あった。状態まぁまぁで,1,000円しないし(笑)。ということで即発注した私であった。

今回入手したのは日本のワーナーが出した「名盤復活シリーズ」で出た国内盤だが,実は私はこのシリーズで出たアルバムを結構今でも保有している。John Simon然り,Eric Justin Kaz然り,Bobby Charles然り,更にはRoger Tillisonもそうだな。実に筋が通ったシリーズだったと今でも思うのだ。だが,このアルバムについては,今から40年近く前の当時の私にとっては,理解を越えた感覚を持っていたと言ってもよいかもしれない。

ライナーで中川五郎がNorman Greenbaumを評して,「シンガー・ソングライター・ファーマー」と称していたのは全然覚えていなかったが,実に笑える表現だと思いつつ,それが実態なのが今の私にはおかしいのだ。

このアルバムは,はっきり言ってしまえばミュージシャンNorman Greenbaumの農業従事宣言みたいなアルバムだ。今の時代であれば,農業回帰みたいなところもあると思うが,このアルバムが出たのは1972年,そしてNorman Greenbaumは結構ロックな感覚も生み出していたところの,音楽はさておき,農業宣言ってのが結構強烈なのだ。そして,多分この後はミュージシャンとしては完全引退してしまったと思われるのがこれまた凄い。

それでもって,ここで展開される曲は全てがほのぼの系である。よって刺激はゼロだ。それでもいいと感じられるのは,偏に私の加齢によるところが大きいとしか言えない。ティーンエイジャーとか今の若い子たちに,Norman Greenbaumっていいですよねって言われたら,私は振り込め詐欺の惹句かと思ってしまう(爆)。

1970年代にブラック・ホークがこういう音楽をかけて,相応のリスナーの耳を惹きつけていたとすれば,私は時代が相当殺伐としていたからではないのかと思ってしまうぐらいだが,現代においては聞いていて笑ってしまうぐらいの感覚だと言っておきたい。しかし,コロナウイルス禍に苦しむ現代にこそ,こういう音楽って貴重なのかもしれないなぁなんて思っていた私である。星★★★★。

Personnel: Norman Greenbaum(vo, g, ukulele, perc), Ry Cooder(mandolin, slide-g), Russell Dushiell(g, b), John Casey(dobro), Cyrus Faryar(ukulele), Friz Richmond(b), Bill Douglas(b), Rich Olsen(cl), Henry Diltz(glockenspiel), Norman Mayell(perc), Rita Abramas(vo)

2021年1月29日 (金)

Charlie Hadenの”Nocturne”:まさに「夜の音楽」。

_20210128 "Nocturne" Charlie Haden(Gitanes/Verve)

Charlie Hadenは不思議な人である。Liberation Music Orchestraのような音楽をやったと思えば,デュオ名人として様々なプレイヤーと優れた作品を残し,更にはQuartet Westのようなバンドもあれば,New & Old Dreamsもあるという,多重人格者的な音楽を繰り広げている。一体どこがこの人の本音なのかと問えば,全部っ!と言われてしまうのかもしれない。

そんなCharlie Hadenが「夜想曲」というタイトルでリリースしたこのアルバムは,まさに「夜の音楽」である。ここにはGonzalo Rubalcabaが全面的に参加しているが,一般にGonzalo Rubalcabaはテクニックで押すタイプだと思われていたイメージを,完全に覆すような美的な演奏ぶりに驚かされる。もちろん,それはCharlie Hadenとのデュオ・ライブ,"Tokyo Adagio"でもわかっていたのだが,このアルバムはそれに先立ってレコーディング,リリースされていたから,そうした魅力の開花にCharlie Hadenは手を貸していたのだと思ってしまう。実に味わい深いのだ。

基本的にはHaden,RubalcabaにドラムスのIgnacip Berroaのトリオに,ゲストが加わるという構成なのだが,全編を通じて,穏やかに時が流れていく。バラッドがほとんどなので,ある意味でのムード音楽と言ってもよいぐらいだが,ちゃんとジャズ的な魅力にも溢れていて,質も高いのだから文句も出ない。

そしてやっているのはキューバ音楽から派生したボレロ(スペイン由来のラヴェルの「ボレロ」とは出自が異なる)であり,そうしたラテン系の音楽をテーマに,演奏が行われていくというコンセプト・アルバムと言ってもよいものだ。この音楽に刺激を求めるのは間違っていると思うが,時の流れに身を任せながら聞くには最適なアルバムではないかと思える。聞くシチュエーションは選ぶが,これはこれで実に味わい深いアルバムである。星★★★★。

尚,Pat Methenyが1曲で客演するが,正直目立ってない(笑)。むしろ注目すべきはJoe Lovanoとヴァイオリンを弾くFederico Britoz Ruizだろうな。

Recorded on August 27-31, 2000

Personnel: Charlie Haden(b), Gonzalo Rubalcaba(p), Ignacio Berroa(ds), Joe Lovano(ts), David Sanchez(ts), Pat Metheny(g), Federico Britoz Ruiz(vln)

2021年1月28日 (木)

”Balloons”:10年近く前に出たアルバムを今頃取り上げる...。

_20210124-2 "Balloons" Kenny Werner(Half Note)

このアルバム,リリースされたのは2011年なので,もう10年前のことである。リーダーが一番地味?と言いたくなるような結構豪華なメンツが集結している作品であり,出た当時にこのブログに取り上げていても不思議ではなかったアルバムだ。しかし,何回か聞いたものの,当時はピンと来なかったっていうところではあったのだが,比較的取り出しやすいラックの位置は確保していた(一軍半ってところ)。それを久しぶりに聞いてみると,違う感覚が芽生えてきたので,今回取り上げることにした。

おそらく,私が感じていた違和感は,このメンツから想像される激しさよりも,Kenny Wernerのオリジナルを,アンサンブル的に演奏している感覚が強かったことではないかと思う。テーマの部分などには,今でもそういう感覚があるのは事実だが,私が今回改めて聞いてみて,Randy Breckerがいい仕事をしていたねぇってことである。正直言って,私にとってはこのアルバムはRandy Breckerのソロが一番の聞き物のように思えた。次にいいと思ったのがJohn Patitucciのベース。しっかりとボトムを支えるだけでなく,素晴らしい音でベースを鳴らしている。

彼らに比べると,Antonio Sanchezならもっと暴れるだろうというこっちの思い込みよりも,ずっと地味に叩いている感じがする。しかし,ラストの"Class Dismissed"におけるソロなんかはやはりこの人凄いねぇと思わせるが,比較的おとなしいと感じさせるのは,日ごろのPat Methenyとかとの共演を聞いているからだろう。逆に言えば,ちゃんと音楽の種類によって,合わせるべきところは合わせられるということなのだが。

本作を聞いていて,熱く燃えるだけがライブじゃないなって思ったというのが,今回の正直な感想。私の場合,熱く燃えることに気持ちが行ってしまっていたってのが違和感の正体であり,このアルバムに関しては,そういう聞き方をするだけでは本質を見逃すってことを大いに反省した。星★★★★。

Recorded Live at the Blue Note on April 17 & 18, 2010

Personnel: Kenny Werner(p), Randy Brecker(tp), David Sanchez(ts), John Patitucci(b), Antonio Sanchez(ds)

2021年1月27日 (水)

多作のEnrico Pieranunziのソロ・ピアノ・ライブ盤。これも久しぶりに聞いたなぁ。

_20210124”Un’alba Dipinta Sui Muri" Enrico Pieranunzi(EGEA) 

Enrico Pieranunziは実に多作の人で,全部を追い掛けるのは至難の業と言ってもいいし,アルバムにも出来,不出来があると思う。いいものは無茶苦茶いいのだが,首をひねってしまうような作品も存在する。そういう訳で,昨今は私も無条件購入のようなことはなく,ストリーミングでチェックしてからというのが普通のパターンである。

しかし,このアルバムが出た頃はストリーミングで確認なんかできないし,まぁソロ・ピアノのライブだからいいか,みたいな感じで購入したと思う。Enrico Pieranunziに何を期待するかと言えば,イタリア人らしい美的な感覚っていうのが正直なところであるが,ここで聞かせるピアノ・ソロは各曲にタイトルはついているものの,かなり即興性が高いもののように聞こえる。フリーに流れるというのではないが,ブルージーだったり,アブストラクトな感覚もある演奏集となっている。

その一方で,タイトル・トラック等にはEnrico Pieranunziらしい抒情性も感じさせ,多様なスタイルのピアノを楽しむことができる。でもまぁ,Enrico Pieranunziを聞くならこれからってチョイスにはならないだろうってのが正直なところではある。星★★★★。

Teatro-pavoneそれにしても,ブックレットに写る本作が録音されたTeatro Pavoneって劇場は,1717年に建設されたという無茶苦茶歴史のあるホールである。こういうところに欧州の文化ってのを強烈に感じるし,この劇場の,いかにも劇場という造形の素晴らしさは見事としか言えないなぁ。

Recorded Live at Teatro Pavone, Perugia on July 19, 1998

Personnel: Enrico Pieranunzi(p)

2021年1月26日 (火)

300万PV。ありがとうございます。

1/23の土曜日にPV数が300万に到達したようだ,200万PVから約5年を要して,300万PVとなったが,100万PVまで5年9か月,100万→200万が3年4か月だったことを考えると,300万PVには結構時間が掛かってしまったが,それでも素人の私でも,こうした数字を実現できるというのは実に感慨深い。これも偏にヴィジターの皆さんのおかげであり,この場を借りて,感謝申し上げたい。

考えてみれば,この間にSNS等,ブログ以外の情報発信手段が発達する一方,お知り合いのブログが停止してしまったり,更新頻度もだんだんスロー・ダウンしている現状は,ブログそのものがなくなることはないとしても,オプションの広がりによって,必ずしもブログでなくてもいいのではないかという傾向が強まっているのではないかと思える。

そもそもブロガー3年限界説ってのもあったが,私の場合,加齢に伴い,ブログ運営においてボケ防止の要素が段々高まってきつつあり,当面やめる気はない。そして,コロナウィルス禍による在宅勤務が増えることで,今まであまり聞けていなかった音楽に触れる機会も増えたから,取り上げる音楽も幅が広がった。その一方で,新譜購入意欲はどんどん衰えているから,これまでより新譜紹介の機会は減っていくと思われる。

しかし,このブログも15年目に入り,いつまで続くかはわからないが,今後も戯言を垂れ流していくと思う。

改めて,ヴィジターの皆さんには引き続きよろしくお願い申し上げます。

2021年1月25日 (月)

ってことで,今日は本家「つづれおり」。

_20210123-2 "Tapestry" Carol King(Ode)

昨日,本作へのトリビュート・アルバム"Tapestry Revisited"を取り上げたので,今日は本家「つづれおり」である。この記事を書こうと思って,Wikipediaでこのアルバムのことを見ていたら,1,000万枚以上売れたアルバムをダイアモンド・ディスクと言うそうだ。ゴールド,プラチナ,マルチ・プラチナってのはよく知られているが,ダイアモンドってのは初めて聞いた。よくよく見てみると,ほかにもダイアモンドはBeatlesをはじめ,結構あるようだが,勉強になりましたってことで(笑)。

"Tapestry Revisited"でも書いたことだが,アルバム全体で,名曲,佳曲揃いってのが凄いのだが,実にシンプルなバックの演奏の中で,このアルバムが出来上がっているのも素晴らしい。シンプルでも,曲の魅力でアルバムは優れたものになるし,売れるってことである。この手作り感というのも実に心地よい。

思い返してみれば,このアルバムがリリースされたのが1971年だから,私はまだ小学生だが,その頃から”It’s Too Late"はラジオから流れるのを聞いていたような気がする。その頃は英語を学ぶ前だから,意味なんかわかっていなかったが,メロディ・ラインは記憶に残っていた。後に英語を学ぶようになって,英語のディクテーション(聞き取り)のテキストとして,本作にも収められている"Will You Love Me Tomorrow"のThe Shirelles版が使われたのも懐かしい。今にして思えば,実にわかりやすい英語である。その時のテキストに使われたもう1曲はBilly Joelの"The Longest Time"だったかなぁ(遠い目...)。いずれにしても,そういうかたちでもCarol Kingの音楽には触れていたのだと今更ながら思う。

このアルバムが優れていることは,収録された曲がいかに数多くカヴァーされているかによっても明らかだ。もともとは職業作曲家転じて,自作自演歌手となったCarol Kingではあるが,ソングライターとしての功績は,このアルバムよりとっくの昔に成し遂げられていた訳だが,歌手としてもいけていたということを改めて感じさせる作品だったと言える。Carol Kingが歌わずとも,いい曲はいい曲なのはカヴァー・ヴァージョンでもわかるが,彼女の歌にはそれなりの魅力があることは言うまでもない。演奏や歌からは70年代初頭という時代感も感じられるが,やはり曲の魅力は不滅。星★★★★★。

尚,"Will You Love Me Tomorrow"には”The Mitchell / Taylor Boy-And-Girl Choir"という冗談のような名称で,Joni MitchellがJames Taylorともどもバッキング・ヴォーカルで参加している。

Recorded in January 1971

Personnel: Carol King(vo, p), Danny Kootch(g), James Taylor(g, vo), Ralph Schuckett(el-p), Charles Larkey(b), Russ Kunkel(ds), Joel O'Brien(ds), Curtis Amy(fl, sax), Merry Clayton(vo), Joni Mitchell(vo) with Strings

2021年1月24日 (日)

"Tapestry Revisited":誰が歌ってもいい曲揃いの「つづれおり」トリビュート。

_20210123"Tapestry Revisited" Various Artists(Atlantic)

タイトルの通り,Carol Kingの”Tapestry(つづれおり)"に様々なアーティストがトリビュートしたアルバム。95年にリリースされているので,もう四半世紀以上前か。光陰矢の如し,歳を取る訳だ(苦笑)。

こういうのを聞く前に,ちゃんとオリジナルを取り上げるべきなのだが,今日は完全に気まぐれである。本作は「つづれおり」の曲順通りに演奏されているのだが,それは曲順を含めて,「つづれおり」というアルバムが完璧であったということを示すものと言ってもよい。2020年版Rolling Stone誌の”500 Greatest Albums of All Time”の25位だもんねぇ。

オリジナルがリリースされたのが50年前であるが,曲のクォリティには一点の古臭さも感じられないと思わせる。それはこうしたトリビュート・アルバムでいろいろな人が歌ってもそうなのだから,やっぱり凄いことである。永遠のスタンダードと言ってもよい。Burt Bacharachの曲もそういうところがあると思うが,「アルバム単位」でってのはまさに強烈である。

参加している人たちは,地味なのか,派手なのかよくわからんという部分もあるが,これぐらいが丁度良かったって改めて聞いて思った。オリジナルにかなり忠実なものもあれば,手を加えて個性を出しているものもあるが,どっちにしてもいい曲揃いだった。星★★★★。

Personnel: Eternal, Rod Stewart, Amy Grant, Curtis Stigers, Richard Marx, Blessed Union of Souls, Bebe & Cece Winans Featuring Aretha Franklin, Faith Hill, Bee Gees, Manhattan Transfer, All-4-One, Celine Dion

2021年1月23日 (土)

一気に高まるSSW熱。今日はDavid Brombergである。

_20210122"Midnight on the Water" David Bromberg Band(Columbia)

先日取り上げた”Freeman and Lange"を聞いてからというものの,「ブラック・ホークの99選」への想いがまたまた高まってきてしまった私である。と言っても,私の嗜好はブリティッシュ・トラッドではなく,アメリカ系の音,それも渋い方に向かうということで,今日はこのアルバムである。これも99選に選ばれている作品。

恥ずかしながら,私はDavid Brombergのアルバムを聞いたのはこれが初めてだと思う。David Brombergがバックでギターを弾いているものは聞いたことはあるが,彼自身のアルバムには縁がなかったのである。しかし,一気に高まったSSW熱は収まるどころか,激しくなっている。実はこれ以外にも今まで聞いていなかった「99選」のアルバムをゲットしているのだが,どれから行こうかというのが実は悩ましいところだった。だが,一聴した感じで選んだのが本作であった。何せ,冒頭は"(What a) Wonderful World"を渋く歌っているのだ。これでつかみは完全にOKだろう。

2曲目のカントリー・フレイヴァーのインスト,”Yankee’s Revenge(Medley)"ではDavid Brombergのギタリストとしての腕が堪能できるが,私はやはりもう少しフォーキーに歌を歌って欲しいって感じだったのだが,3曲目”I Like to Sleep Late in the Morning"でそっちの世界には戻るものの,やはりカントリー的なところはやや残っている。それがEmmylou Harrisも参加した"Nobody's"で完全に私のツボにはまっていく。

全編を通して感じられるこのゆったりした感覚は,まさにレイドバックってところで,私には実に魅力的に響いてしまい,味わい深さを堪能した。先述の通り,ややカントリー的な香りが強いので,私の嗜好からして,最高!って感じにはならないとしても,十分に星★★★★☆。

Personnel: David Bromberg(vo, g, fiddle), Jesse Ed Davis(g), Bernie Leadon(g), Brian Ahern(g), Richard Fegy(g), Buddy Cage(pedal steel), "Red" Rhodes(pedal steel), Mac Rebennack(p), Hugh McDonald(b), Steve Mosley(ds), Jay Ungar(fiddle, mandolin), Evan Stover(fiddle), Billy Novik(cl, pennywhistle), John Darensbourg(cl), Ernie Watts(sax), Paul Fleisher(sax, pennywhistle), Peter Eccklund(cor, fl-h, mellophone), Streamline(tb), Brantley Kearns(vo), John Herald(vo), Lyndon Ungar(vo), Linda Ronstadt(vo), Bonnie Raitt(vo), Emmylou Harris(vo), Dayle Lawson(vo), Ricky Scaggs(vo), and others

2021年1月22日 (金)

日本オリジナルのBoz Scaggsのバラッド・アルバム。沁みる。

_20210121"Fade into Light" Boz Scaggs(Virgin)

私は長年のBoz Scaggsのファンである。最初の出会いはやはり"Silk Degrees"な訳だが,その後のアルバムも結構買っているし,ライブにも行った。結局は好きなのだ。

そんな私のBoz Scaggs熱も一時は冷めていたのだが,このアルバムをストリーミングで聞いた時には本当に驚いた。実にいいのだ。これが日本での発売が初出で,米国で出たのはそれから10年近く経ってからだったというところに,当時のBoz Scaggsが置かれていたポジションがわかろうというものだが,日本がオリジナルであるから,米国では結構な高値で取引をされていたこともあるはずである。現在も廃盤のようなので,サイトによってはアホみたいな値段がついている。しかし,このアルバムの良さを確信していた私は,どうしてもこれが欲しいと思っていて,安いのが出ないかなぁと思っていたのだが,何のことはない。状態のいい中古品を送料込みで550円でゲットである。

そしてこのアルバムを改めてプレイバックしたのだが,私のこのアルバムに対して感じるよさは今回も続いていて,続けて3回プレイバックしてしまったのであった。このアルバム自体は企画アルバムであって,よく知られた曲を「アンプラグド」で演じていたりするし,ほぼバラッドで占められていると言ってもよいが,実にこれが心に沁みる。近年のアルバムでは渋さを増しているBoz Scaggsではあるが,この当時は王道のAORと言ってよい感じで,しかもほとんどがバラッドでは,ファンは絶対にしびれてしまうのだ。

再演しているのは"Lowdown","Harbor Lights",”We’re All Alone”に"Simone"であるが,そこに”Some Changes”からの曲や新曲(未発表曲?)が加わるという構成には微妙な部分もあるのは事実である。しかし,この曲の並び,あるいは演奏が一枚のアルバムとして,一貫性が保たれているように感じられるのが実にいいのだ。

もともとのBoz Scaggs好きの心に火をつけるには十分過ぎるアルバムとして,ファンは必聴と言ってよい。とにかくこれは実によかった。星★★★★☆。ファンは中古でもいいのでとにかく買いましょう(笑)。

Personnel: Boz Scaggs(vo, g, key, prog), Randy Kerber(p, key), Kevin Bents(p), Jay Winding(p), William "Smitty" Smith(org), Booker T. Jones(org), Michael Omartian(key), Fred Tackett(g), Robben Ford(g), Dave Carpenter(b), Neil Stubenhaus(b), Roscoe Beck(b), James "Hutch" Hutchinson(b), Nathan East(b), Curt Bisquera(ds, perc), Jim Keltner(ds), Ricky Fataar(ds, perc), Norbbert Stachel(sax), Lisa Frazier(vo), Kathy Merrick(vo), Michael Rodriguez(perc, prog)

2021年1月20日 (水)

Fred Herschの歌伴を聞く。

_20210117 "This Heart of Mine" Bonnie Lowdermilk(AxolOtl Jazz)

今や,Fred Herschはリーダーとしての作品がほとんどであり,以前のように共演者としてアルバムに参加することは減少していると思う。しかし,Fred HerschのWebサイトを見ると,Comprehensivfe Discographyとして,Fred Herschの参加作が網羅されている。それがコンプリートかどうかはわからないものの,へぇ~と思えるような人たちと共演しているのがわかる。一番驚いたのはBilly Harperのアルバムに参加していることだが,これはそのうちストリーミングで音源があれば聞いてみたいものだと思うが,Billy HarperとFred Herschってどう考えても合いそうにないなぁなんて思うのも事実である。

一方,歌伴となれば,これは結構いけるのではないかと思えるし,見てみると,ヴォーカリストのバックを結構務めている。一番知られているのはJanis Siegelとのデュオ盤かもしれないが,参加作のリストには金子晴美の作品もあって,そちらも実は本作と同じタイミングで入手したのだが,その前にこのアルバムである。Bonnie Lowdermilkという名前は初めて聞いたが,コロラド州ボウルダーを拠点とする人のようである。ヴォーカリストだけでなく,ピアニストでもあり,ピアノ教師もしているらしい。なので,ここでも2曲では自らピアノを弾いている。90年代にはパリを拠点に活動をしていたとのことで,本作がフランスのレーベルからリリースされたのもそういう経緯ゆえではないかと思える。

全14曲中,3曲がリーダーによるオリジナルである以外は,実によく知られたスタンダードである。ジャズ・ヴォーカルの熱心な聞き手ではない私にとっては,ここでの聞き物はあくまでもFred Herschの歌伴となる訳だが,伴奏を務めるのは当時のFred Herschのレギュラー・トリオである。この段階で,Fred Herschのリリカルなピアノというのは確立していると思わせるもので,スウィング感も上々ながら,実に楚々とした伴奏が心地よい。それに乗るBonnie Lowidermilkの声も癖がなく,非常に聞き易い。加えて言えば,リーダーのピアノとFred Herschのピアノは,リリカルな点は共通しているが,明らかに違うことが感じられるのが面白い。

こういうアルバムは聞き流すには丁度よいと思わせるものだが,やはりFred Herschは歌伴もうまかったということで,水準はクリアしたものとして星★★★★。それにしても,このジャケットでは売れるものも売れなくなったのではないかと突っ込みたくなるが,Fred Herschのファンは聞いて損はしない作品と思う。

Recorded on August 5 & 6,1996

Personnel: Bonnie Lowdermilk(vo, p), Fred Hersch(p), Drew Gress(b), Tom Rainey(ds)

2021年1月19日 (火)

Freeman & Langeを聞いて,またもSSW熱が高まる

Freeman-and-lange_20210114185601 ”Freeman & Lange" Freeman & Lange(Flying Fish)

私はジャズ以外にもいろいろな音楽に雑食的な興味を示すリスナーであるが,その中でもSSW系の音楽はかなり好きなのは,既にこのブログに書いている。先日取り上げたRoger Tillisonなんかもその系統であるが,それでもまだまだ聞けていない音楽は沢山あることは言うまでもない。こうしたSSW好きの虫が,何年かに一回,首をもたげてきてしまう(笑)のだが,今回はこのアルバムである。

SSW好きのバイブルと言ってもよい「ブラック・ホークの99枚」についてもこのブログに書いたことがあって,そのうちの未聴盤であった本作を中古CDでゲットしたのだが,これが実によい。あまりによくてLPも欲しくなり,手頃な価格で出ていた中古LPを発注してしまったではないか。逆に言えばそれぐらい私の琴線に触れるということだ。このほのぼのとした歌はまさに,今や老境に達しつつある私にジャスト・フィットである。まぁこのCD,聞いている限りLP起こしのような感じなので,これはLPで入手するのが正しいのだ。だったら最初からLPを探しておけばよかった...(苦笑)。

何がよいか。この素朴さというのが一番だと思うが,とにかくこういう音楽は落ち着く。ドラムスも入っていないので,決してロックにはならないし,そこにフルートとかが何とも言えない絶妙な感覚で入ってきて,ほのぼの感が増してしまうのだ。この一枚しかアルバムを出していないこの人たちの声も実に魅力的で,実に心地よい時間を過ごしてしまった。

今にして思えば,いかにも70年代前半って感じだが,実にハートウォーミングなアルバムとして,私は全面的に肯定したい。過激なところは一切なく,刺激もないが,こういうのをいい音楽だと思うのが,この手の音楽好きの心情ってところである。この歳にして初めて聞いたが,聞けて良かったと思えるアルバム。星★★★★★。まぁ,絶対売れないタイプの音楽だが(爆)。

Personnel: Doug Freeman(vo, g), Don Lange(vo, g, mandolin), Alan Murphy(fiddle, mandolin), Larry Key(fl), Mike Stone(reeds), Dan Keeley(pedal steel), John Dunlap(b), Martin Henry(tb)

2021年1月18日 (月)

Brad Mehldauが媒介となり,私がJoe Henryと出会ったアルバム。傑作。

_20210113 "Scar" Joe Henry(Mammoth)

私はシンガーとしてのJoe Henryのファンであり,プロデューサーとしてのJoe Henryのファンでもある。Joe Henry名義のアルバムには失望させられたことはないし,彼がプロデュースしたアルバムも,優れたものが多い(例外もあるが...)。私にとっては信頼できるミュージシャンの一人なのである。

そんな私がJoe Henryの音楽に初めて触れたのがこのアルバムなのだが,その契機となったのはこのアルバムにBrad Mehldauが参加していることにほかならない。今となってはJoe Henryのかなりのファンといってよい私ではあるが,彼の音楽に触れる機会を作ってくれたのはBrad Mehldauなのだ。

Brad MehldauがSSW系のアルバムにおいてどのような演奏をするかについては,大いに興味をそそられるところではあるが,本作のもう一つの大きなポイントがOrnette Colemanの参加である。全面参加ではないが,出てきた瞬間,おぉ~,Ornette!と叫んでしまいそうなサウンドである。どんな局面でも場をさらっていくOrnette Colemanという人の凄さを感じられるのも,このアルバムの魅力。

そして,このアルバム,プロデュースはJoe HenryとCraig Streetなのだ。このコンビで悪いものができるはずがないという鉄壁のプロデューサー陣という気がするが,OrnetteやBrad Mehldau以外のミュージシャンも凄い。そしてそうしたミュージシャンが自己主張は抑制しつつ,音楽づくりに貢献している姿は実に素晴らしい。

若干くぐもったような音場から出てくるJoe Henryのヴォイスを聞いて,これはBrad Mehldau抜きにしても買いだったなと思ったのが,もう20年前。それから幾星霜を経て,このアルバムも実は久しぶりに聞いたのだが,やっぱり共演者で一番強烈なのはOrnette。Lou Reedの"Raven"にしても,本作にしてもやはりOrnette Colemanの力は偉大だったと再確認させられる緊張感に満ちた傑作。最後に収められたタイトル・トラックの後,隠しトラックとしてOrnetteのアルトがむせぶのを聞き逃してはならない。喜んで星★★★★★。

Personnel: Joe Henry(vo, g, key, perc), Ornette Coleman(as), Brad Mehldau(p, org), Marc Ribot(g), Me’Shell Ndegéocello(b), David Pilch(b), Brian Blade(ds), Abe Laboriel, Jr.(ds), Bob Malach(reeds), Sandra Park(vln), Sharon Yamada(vln), Robert Rinehart(vla), Elizabeth Dyson(cello), Gene Moye(cello), Stacey Shames(harp), Eric Charleston(vib, perc), Steve Barber(arr)

2021年1月17日 (日)

超くつろげるPaul Desmondのブラジル音楽集。

_20210104 "From the Hot Afternoon" Paul Desmond (A&M/CTI)

Paul Desmondには"Bossa Antigua"という素敵なボサノヴァ・アルバムがあるが,あちらはPaul Desmondのオリジナル等をボサノヴァ・タッチで演じたものであるのに対し,本作はブラジル音楽に真正面から取り組んだ何ともくつろげるアルバム。アルバム全体がMilton NascimentoとEdu Loboのオリジナルで占められているというのが,"Bossa Antigua"との決定的な違い。

ただでさえソフトなPaul DesmondのアルトがDon Sebeskyアレンジによるオーケストラに乗って,ブラジル音楽を奏でるのだから,心地よさは既に保証されたようなものであるが,まぁイージー・リスニングと言ってしまえばその通りである。しかし,イージー・リスニングで何が悪い!と強弁したくなるようなアルバムである。

本作にはEdu Loboの曲が4曲収められているが,そのうち3曲ではEdu Lobo自身がギターを弾き,2曲で歌っているのに加え,当時の奥方Wanda Sáも3曲で歌声を聞かせる。当時彼らは新婚だったはずなので,新婚旅行ついでに演奏にも参加したって感じかもしれない。そもそも,CDにボートラで加わっている曲にはEdu Loboのものがないので,そういうところにもちゃちゃっと来て,ちゃちゃっと演奏して帰った感がある(笑)。何回もテイクなんか重ねないもんねって感じか。

まぁ,このアルバムに対する評価は,バックのオーケストラに対する好き嫌いに依存してしまうような気がするが,ゴリゴリのジャズじゃなくてもいいと思ってしまえば,これほど心地よい音楽はないのだ。かつ,ボーナス・トラックとして収められた別テイク群には,オーケストラのオーバーダビングが施されていないので,こっちの方がいいじゃんと思うリスナーがいても全く不思議ではない。

かく言う私も,ちょいとオーケストラのやり過ぎ感は感じているので,このすっぴんの魅力とでも言うべき別テイクは大歓迎であった。星★★★★。

Recorded on June 24, 25, and August 13, 14, 1969

Personnel: Paul Desmond(as), Dorio Ferreira(g), Ron Carter(b), Airto Moreira(ds, perc), Edu Lobo(g, vo), Wanda de Sah<aka Wanda Sá>(vo), Don Sebesky(arr) with Orchestra(多数につき,メンツは省略)

2021年1月16日 (土)

久々に10CCを聞く。

_20210108 "Deceptive Bends" 10CC(Mercury)

10CCは,私がまだ中学生から高校生だった70年代中盤から後半に,その活動のピークを迎えていたというのが妥当な評価だと思う。本作に収録された"The Things We Do for Love(「愛ゆえに」である)"も結構はやったしなぁ。そんな記憶もあって,私が彼らのライブを見に行ったのが6年前(その時の記事はこちら)だが,曲のよさは変わらず,演奏も現役感たっぷりで,昔の名前で出ていますって感じではなかったのは実によかった。

そんな10CCの5枚目のアルバムである本作が出たのが1977年。私は完全に洋楽志向が固まっている高校1年の頃であった。私は彼らのMercuryレーベル時代のボックス,”Classic Album Selection: Five Albums 1975-78"の1枚として保有しているのだが,日頃はラックの奥に押し込まれており,このボックスを取り出すことも滅多にないが,そこは気まぐれである(笑)。そして久しぶりに聞いたらこれが実によかった。

このアルバムが当時注目された理由としては,バンドの片方のコアであったGodley & Cremeチームが脱退して初のアルバムだったからだろうが,2人が抜けたら5CCか?と揶揄されたとも言われる,残ったGouldman~Stewartチームは実にいい仕事をしたと思える作品である。このポップさと曲のクォリティは見事なもので,Godley &Cremeの脱退の影響は全然感じられないと言ってもよい。私は冒頭の"Good Morning Judge"からワクワクしてしまった。Gouldman~Stewartとしてもミュージシャンのプライドを掛けて制作したとさえ思いたくなるようなナイスなアルバムである。

オリジナルのアルバムの最後には3部構成の11分を越える"Feel the Benefit Part1-3"も収められていて,ポップでありながら,コンセプチュアルな感じも打ち出してしまうところが,バンドとしての質の高さを実証しているのも大したものだと思う。

私が保有しているボックス・セットは紙ジャケ・スタイルなのはいいのだが,ミュージシャンのクレジットとかが全くわからないが,Wikipediaによれば,このアルバムはGouldman~Stewartチームにドラマー,Paul Burgessを加えた3人で制作されているらしいが,実にレベル高く仕上げているのは立派なものである。星★★★★☆。

Personnel: Eric Stewart(vo, g, key, perc), Grahma Gouldman(vo, b, g, org, perc, autoharp), Paul Burgess(ds, perc), Del Newman(arr), Jean Alain Roussel(el-p, org), Tony Spath(p, oboe)

2021年1月15日 (金)

"Roger Tillison's Album":実に渋いねぇ。

Roger-tillison

"Roger Tillison’s Album" Roger Tillison(Atco)

昔から隠れた名盤と言われてきたこのアルバムを久しぶりに聞いた。そもそもLPでも所有しているのに,CDも持っている私である。そういうのはこれに限らず結構あるのだが,特にアメリカン・ロックの渋いところはそんな感じのものが多いのが特徴で,Guy Clark,Guthrie Thomas,Bobby Charles,David Blueとかがその類である。そもそもこれはLP再生環境があまり整っていなかった時期があったからなのだが,まぁ,無駄遣いと言えば無駄遣いである。

それはさておき,CD化の際はリマスタリング等が施されることが多いが,本作に関してはどうもLPから起こしたのではないかと思わせる程度のもので,これならLPで聞いていてもよかったかなって程度のものである。まぁ,中古で買ったはずだからいいのだが。

しかし,改めて聞けば聞くほど渋いアルバムで,こんなものまでCD化してしまうのは凄いと思うが,しかもそれが一度だけでなく,何度か出ているというのがこれまた凄いことである。やはりこの手の音楽には固定ファンが付いているということか。かく言う私もその類だが(爆)。それでも固定ファンがいても不思議ではない独特の魅力ってのがこの手の音楽にはあるのだ。

Jesse Ed Davisがプロデュースし,ギターでも参加した本作は,南部の香りが濃厚な,所謂スワンプ・ロックと言ってよい。冒頭のBob Dylan作"Down in the Flood"で飛び出すJesse Ed Davisのスライドも渋ければ,Roger Tillison自身の声も渋い。だからアメリカン・ロックはやめられれないと思ってしまうのだ。スワンプ風味が強くなるのはDon Nix作の"Yazoo City Jail"ってのも納得だが,B面最後に収められたStevie Wonderが書いた"Loving You Is Sweeter Than Ever"なんかにはポップな感覚すらあって,これもまたよしなのだ。そもそも"Loving You Is Sweeter Than Ever"はFour Topsをオリジナルとして様々なカヴァーがある佳曲である。The Band,Eric Clapton,はてはPhil Collinsも歌っているが,この曲の耳障りはほかの曲と若干違っていても,十分魅力的であった。

さすがにこのジャケでは売れないだろうと思うのは私だけではなかろうが,音楽的には本当によくできたアルバム。星★★★★☆。こんなサウンドのアルバムが西海岸録音ってのも実に面白いねぇ。

Recorded in October 1970

Personnel: Roger Tillison(vo, g), Jess Davis(g, banjo), Bobby Bruce(fiddle), Larry Knechtel(org, hca), Stan Szeleste(p), Billy Rich(b), Jim Keltner(ds), Sandy Konikoff(perc), Don Preston(vo), Joey Cooper(vo)

2021年1月14日 (木)

コンテンポラリーな響きが楽しめるWayne Krantz参加のJay Andersonのアルバム。

_20210106 "Next Exit" Jay Anderson(DMP)

リーダーのJay Andersonには悪いが,私がこのアルバムを購入したのはWayne Krantz参加によるところが大きい。1990年に初リーダー作"Signals"をリリースしたWayne Krantzが,92年に参加した本作でどういう演奏をしているかってのが興味の対象だったというのが正直なところである。

正直なところ,本作においてはWayne Krantzは助演に徹していて,そんなに目立った感じではない。一番目立っているのが"Times Change",あるいは"IN July"あたりだろうが,それはそれでいいとして,むしろ本作はWayne Krantzの参加がどうこうではないと感じさせるアルバムの出来に感心してしまうのだ。Jay Andersonはアコースティック・ベースに徹しているのだが,出てくる音楽はかなりコンテンポラリーな感覚が強くて,これが結構楽しめるアルバムなのだ。

私としても,Wayne Krantzの参加がなければ,聞いていなかった音源だと思うのだが,このアルバム,なかなか侮れないのだ。Randy Breckerは期待通りの仕事ぶりであるが,更にサックスのBilly Drewesの貢献度が大きいように思える。比較的ソフトなトーンだが,フレージングがなかなか魅力的である。ネットで調べてみると,NYUで教鞭を執っているらしい。なるほどって感じだが,なかなかの実力者なのだ。

あまり目立たないアルバムではあるが,見逃すにはもったいないと思わせるに十分なアルバム。星★★★★。

それにしても,私も物好きと言うか図々しいというか,このアルバムにさえWayne Krantzのサインをもらっている(残念ながら少々かすれているが...)。相当数のアルバムにサインをもらっているのはKrantzとFred Hersch,そしてMike Sternがトップ3だが,それだけライブに足を運んだってことだ。コロナ禍は拡大の一途だが,そんな生活はいつ戻ってくるのやら...。

Recorded on March 27-29, 1992

Personnel: Jay Anderson(b), Randy Brecker(tp, fl-h), Billy Drewes(sax), Wayne Krantz(g), David Witham(key), Jeff Hirshfield(ds)

2021年1月13日 (水)

イタリア・ジャズの美学とはこれのこと:Roberto Cipelli~Paolo Fresuデュオ。

_20210105-2"L'equilibrio di Nash" Roberto Cipelli with Paolo Fresu(Tuk Music)

ブログのお知り合いのSuzuckさんが昨年のベスト盤の1枚として挙げられていたアルバムである。Paolo Fresuのバンドで長年ピアニストを務めるRoberto Cipelliがリーダーとなっているが,Pailo Fresuとの双頭アルバムと言ってよい作品。Paolo Fresuが立ち上げたTuk Musicからの作品であるが,これが実に美しい作品集である。

Roberto Cippeliのオリジナルに加えて,Sting,Caetano Veloso,更にはイタリア・ルネッサンス~バロック期の作曲家,モンテヴェルディの作品,そしてボートラではショパンまでやっているが,アルバムのどこから聞いても,イタリア音楽の粋と言ってもよい美的なサウンド,フレージングが満載である。誤解を恐れずに言えば,これほどの美的なアルバムはイタリア人にしか生み出せないのではないかと思える。さすがイタリア・オペラの国としか言いようがない歌心に満ちた,芳醇な美学を体現したアルバム。

そして,この美学を実現するのに手を貸したのがStefano Amerioのエンジニアリングである。私のしょぼいシステムでも,十分に美しさを引き出したこの録音が実に素晴らしい。全てのジャズ・ファンにこれが受けるとは思わないが,大げさに言えば,これを一つのジャズのフォーマットとして受け入れれば,人生に潤いを与えるはずだ。プレイバック終了後にもずっと余韻に浸っていたいと思わせるアルバムは久しぶりであった。

これは昨年秋に出たアルバムではあるが,ここでは新譜扱いとさせて頂き,喜んで星★★★★★としよう。これを生で聞いたら落涙必至である。

それにしても,このようなアルバムに「ナッシュ均衡」なんていうタイトルをつけてしまうのは実に不思議なセンスだなぁ。

Recorded on November 27-29, 2017

Personnel: Robert Cipelli(p, el-p), Paolo Fresu(tp, fl-h)

2021年1月12日 (火)

久々に聞いたJerry Bergonzi入りAlex Riel盤。

_20210105"The Riel Deal" Alex Riel Quartet(Stunt)

これを聞くのも実に久しぶりである。Alex Rielには悪いが,このCDはJerry Bergonziのアルバムとして,私のCDラックに格納されている。それぐらい切れのいいJerry Bergonziのライブにおける演奏が収められていると思っている。それはアップテンポであろうが,バラッドであろうが,関係ない。ライブならではの長尺の演奏の中で聞かせるダイナミズムや歌心が実に素晴らしい。特に私がしびれたのが,"Theme for Ernie"におけるバラッド表現。思わずくぅ~っとなってしまった。

そもそもこのアルバム,Jerry Bergonziのオリジナル2曲に加えて,既にJerry Bergonziがプレイしてきた"In Your Own Sweet Way"や"Theme for Ernie"から構成されているし,MCもBergonziがやっているみたいだから,相当Jerry Bergonziに華を持たせた作品(あるいは実質的なリーダー作)と言ってよいのかもしれない。

演奏には全然文句ないのだが,このCDの唯一と言ってよい問題はミキシング・レベルの低さとクリアさに欠ける録音ということになる。特にピアノに顕著だが,全体的にくぐもったような音は,私のしょぼいオーディオ・セットだけが理由ではないはずだ。そもそもヴォリューム・ノブを相当右に回さないと真っ当に鳴らないってのも珍しい。

私は日ごろはよほどのことがない限り,音に関して大したこだわりは持っていないが,今ならブートでももっと音のいいものがあるとさえ言いたくなる。本作はDenmarks Radioによる録音となっているので,元は放送音源として考えられていたものをリリースしたのかもしれないが,もう少しエンジニアリングに留意してくれれば,文句なしだったって気がする。

いずれにしても,繰り返しになるが,これは私にとってはJerry Bergonziを聞くためのアルバム。なぜか後年の2008年になって,この時の残り音源が"Riel Time"としてリリースされるが,ミュージシャンにとっても,残りテイクをリリースしたくなる充実の演奏だったと解釈しよう。星★★★★☆。

Recorced Live at Copenhagen Jazz House on January 28, 1995

Personnel: Alex Riel(ds), Jerry Bergonzi(ts), Kenny Werner(p), Jesper Lundgaard(b)

2021年1月11日 (月)

追悼,David Darling

David-darling-photo-2

David Darlingが亡くなった。かなりの人にとっては,それって誰?って感じかもしれないが,David DarlingがECMに残したアルバムはそれぞれに味わい深いものであり,チェロという楽器の魅力を伝えるために果たした役割は大きい。

David Darlingの音楽はジャズにカテゴライズするよりも,アンビエント,あるいは現代音楽と呼んだ方がよいかもしれない。グラミーではニューエイジ部門で受賞しているし。そんなDavid Darlingの訃報に接し,私が聞いていたのが彼の初リーダー作であろう"Journal October"だったのだが,その冒頭に収められた”Slow Return"なんかにはミニマルな感覚もあるし,いろいろなタイプの音楽にチャレンジした初リーダー作らしいアルバムであった。

彼のリーダー作はどれも好きだが,それ以外で言えば,私は"Until the End of the World"のサウンドトラックが印象に残っている。私がDavid Darlingのアルバムを購入しだしたのは,このサウンドトラック・アルバムが契機だったと言っても過言ではないのだ。

David DarlingのECMにおける活動は暫く続いたが,今世紀に入ってからは縁が切れてしまったようなのは,ちょっと残念であった。しかし,彼の残したアルバムはこれからもさまざまなリスナーに聞き続けられるだろうし,心の平安をもたらすのに役立つはずだ。

R.I.P.

2021年1月10日 (日)

初めて聞いた青い"Kind of Blue"。

Kind-of-blue-50th ”Kind of Blue  50th Anniversary Edition” Mikes Davis (Columbia)

なんじゃ,そりゃ?みたいな主題である。疑問に思われた方もいらっしゃるであろうが,まぁいいや(爆)。

アルバム"Kind of Blue"がリリースされたのは1959年のはずだから,50周年記念盤が出たのは2009年だろう。その頃私は東京都郊外の町田市民だったのだが,私がこの記念盤を買ったのも町田のタワーレコードにおいてであったはずだ。値段が結構安く(半額ぐらい?)なっていてまぁいいやって感じで買ったのを覚えているが,それ以来,このボックス・セットを聞くことはほとんどなかったはずだ。だって,収められた音源は既にほとんど保有しているのだから敢えて聞く必要はなかったのだ。家人から言わせればそもそも買う理由もないってところだが(笑)。

Blue-vynal

しかし,年末年始の気まぐれってところで,これまで聞いたことのなかったこのボックスに収められたレコード(Kind of Blueだけにブルー・ヴァイナルである)を,初めてターンテーブルに乗せたのであった。正直言って,私のしょぼいオーディオ・セットでは違いなんかわからんやろうってところだが,それでもなんとなく違うんじゃな~いって感じられるレベルなのは意外であった(だが,その後聞いたWayne Shorterの"Juju"のオリジナルに比べると,音圧を比較するのは可哀そうではあったが...)。

もはやこの作品についてどうこう言うこと自体ばかげていると思うが,やっぱり凄いアルバムは凄いと認めるべきというところを改めて感じるには丁度いい機会であった。それにしても,青いレコード盤は綺麗だな。

2021年1月 9日 (土)

Jukkis Uotila Band Liveを爆音で聞く至福。

Jukkis "Jukkis Uotila Band Live" (Stunt)

私が偏愛するCDを家人がいない隙を狙って大音量でプレイバックした。このアルバムは,今はなき新橋のテナーの聖地,Bar D2で私が帰る前に必ずプレイバックして頂いていたもの(曲は4曲目の"The Individualist"と決まっていた)だが,Bar D2の閉店以来我が家でプレイバックした記憶はほとんどない。なぜならば,これは爆音でプレイバックが必要だからである。家人がいるところでは爆音プレイバックは無理なのだ(苦笑)。

それを久しぶりに1曲目からかなりのヴォリュームで再生したのだが,やっぱりこのアルバム最高である。Bob Bergもマイキーも最高なのだが,この意外と思えるメンツが揃ったバンドでこんな音が出てしまったこと自体が奇跡なのだ。かつ,後に出たブートレッグ音源を聞いてみても,このアルバムに収められたテイクがいかに完璧だったのかということは承知をしていても,久々に聞いてもこのアルバムからは一生離れられないと改めて認識した私である。今やストリーミングでも聞けてしまうこのアルバムだが,すべてのハード・フュージョン・ファン,Bob Bergファン,そしてMike Sternのファンに聞いて欲しいと思える素晴らしいアルバム。かつプレイバックは大音量でなくてはならない(きっぱり)。

やっぱりこのアルバムは最高なのだ。それ以上言うことなし。これが私がマイキーにサインをもらった最初のアルバムのはず。だからこそ,もらったピックも一緒にこのアルバムのジャケに格納されているのだ。それぐらい好きってことである。さぁ皆さんで聞きましょう(笑)。

2021年1月 8日 (金)

ちょっと気分を変えてRick Robertsでも。

Windmills "Windmills" Rick Roberts(A&M)

年が明けてから,ジャズのアルバムばかり取り上げていたので,ちょっと気分転換に取り出したのがこのアルバム。と言っても,多くの人にとってはRick Robertsって誰?ってことになるのだろうが,Flying Britto Brothers~Firefallでヴォーカルと務めた人である。これである一定の年齢層以上の,特定の嗜好を持っている人ならわかるレベルだろうか。いずれにしても,カントリー・ロックというか,ちょっと軽い感じのアメリカン・ロックである。

このアルバムが出たのが1972年なのだが,注目すべきはRick Robertsには悪いがバックを支えるその後のビッグネームのメンツである。デビューして間もないEagles,デビュー前後のJackson Browne,更にはManasasの面々等,アメリカン・ロック好きなら反応してしまうメンツが集まっているのだ。

そこから出てくる音は,こちらが想像するものに極めて近いものであり,この手の音楽好きなら大体がはまるタイプの音が連続する。しかし,この購買意欲を全くと言っていいぐらい刺激しないジャケットのせいもあって,このアルバムが売れたって話は全く聞いたことがない(きっぱり)。しかし,この感じがいいのだ。アメリカン・ロック,あるいはカントリー・ロックってのはこういうものよって感じで,私の嗜好にはまるのだ。Manasasの面々がサポートするのは”Drunk &Dirty"1曲だけだが,明らかにその他の曲とテイストに違いが出るのも面白い。

それにしても,こんなものまでCDでリリースされたことがあるというのだから,日本というのはマジで凄い国だと思う私が保有しているのはジャケが若干傷んだLPだが,こういうのはCDで買い替えるようなものでもないと思うので,私は中古で買ったLPで十分。まぁそれでも結構好きなのだ,こういう音楽が。ジャズに傾斜するのと同じレベルで,アメリカン・ロック,あるいはシンガー・ソングライターにはまっていた私の趣味がバレバレになってしまうようなアルバムである。星★★★★。

Personnel: Rick Roberts(vo, g), Don Henley(ds, vo), Bernie Leadon(g, banjo, vo), Randy Meisner(b, vo), Jackson Browne(vo), Al Perkins(g), Chris Hillman(b), Dallas Taylor(ds), Joe Lala(perc), David Crosby(vo), Jane Getz(p, vo), Byron Birline(fiddle), Lee Sklar(b), Mike Utley(org), Marc Benno(g)

2021年1月 7日 (木)

長年埋もれていたSonny Rollinsの発掘盤。

In-stockholm ”St. Thomas: In Stockholm 1959“ Sonny Rollins(Dragon)

実に懐かしいアルバムである。このアルバムが発掘されて,リリースされたのは私がまだ大学在学中であったはずだが,Rollinsの発掘盤ということで,大いに話題になったことも記憶に残っている。そして,その後,私のレコード棚から売り払われることなく生き残った(笑)LPである。

私は長年,このレコードを実家に放置していたのだが,ほかの同様のアルバムがジャケの一部にカビがはえてしまうような状態であるのに比べると,奇跡的に綺麗な状態で保存されていたのは嬉しかった。そんなこともあり,このLPを聞くのも実に久しぶりのことであるが,50年代のSonny Rollinsの演奏ということで,クォリティには不安はなかったが,朗々と歌い上げるSonny Rollinsが聞けて,私の記憶よりもいい演奏であった。

しかもベース~ドラムスを従えたトリオ編成ということで,Village Vanguardの演奏を髣髴とさせるが,あれよりはリラックスした感覚が強い。しかし,自由度高く演奏するSonny Rollinsの凄みは十分に感じられるものである。更にこの演奏は,Sonny Rollinsが雲隠れする直前のドキュメントという意味でも実に意義深い。

演奏はA面冒頭の"St. Thomas"のみライブ音源で,その他はストックホルムのラジオでの放送音源。”St. Thomas"におけるPete La Rocaの荒々しい煽りっぷりには思わず笑ってしまう。全編を通して,ベースのHenry Grimes,そしてLa Rocaにも相応のソロ・スペースを与えているが,あくまでも主役がRollinsであることは言うまでもない。それでもこのトリオがかなりバランスが取れた編成だったことがよくわかる演奏である。

それにしてもこんな音源がよく残っていたものだと思うが,時代が時代なら,間違いなくブートレッガーの餌食になっていたはずだ。しかし,この演奏がブートで出たって情報は聞いたことがないので,放送局の倉庫の奥深くで眠っていたということになるのだろうが,それにしてもよく残っていたいものだと感謝したくなるような音源である。

因みに,この時のライブ音源は,ジャケの解説によれば,45回転のレコードとして10枚だけプレスされたものということが書いてあるが,10枚ってのは凄過ぎだろうと言いたくなる。現物が残っていたら,いくらで取引されるんだろうか?

まぁ,B面1曲目の"How High the Moon"のフェードアウトはもったいないが,それ以外については文句はない。特に"Oleo"は強烈。実に素晴らしい発掘音源であった。星★★★★☆。

Recorded at the Swedish Radio, Stockholm on March 4, 1959 and Live at Nalen, Stockholm around the same date

Personnel: Sonny Rollins(ts), Henry Grimes(b), Pete La Roca(ds)

2021年1月 6日 (水)

Serge Chaloffでくつろぐ。

Blue-serge "Blue Serge" Serge Chaloff(Capitol)

私は結構バリトン・サックスだの,バスクラだのという低音楽器が好きである。だったら,このアルバムだってもう少し頻度を上げて聞いてもいいんじゃないの?って感じなのだが,保管場所が悪かったので若干取り出しにくかったってのが実態である。しかし,久しぶりに聞いて,場所をちゃんとしようと改めて感じさせるぐらいこのアルバムはよい。バリトンの音は太いが,実に軽快なのだ。こういうのを聞いていると,ジャズを聞く楽しみが増すってところだ。

そもそもこのアルバム,Serge Chaloffはもちろんだが,そのバックを支える面々のよさがアルバムの人気を支えているところはあるだろう。そのこと自体は否定はしないとしても,ここはリーダーであるSerge Chaloffの音色やフレージング,そして選曲があって,アルバムが魅力的になっていると強く言っておきたい。バリトンとは言いながら,むしろテナーに近いと言ってもよいような,比較的ソフトな音色は,Pepper Adamsあたりとは全然違うが,これはこれで実に魅力的である。

聞いていて改めて感じたのが,楽器は違えども,Stan GetzあるいはZoot Simsに感じる魅力を私はSerge Chaloffのバリトンにも感じているのかもしれない。まぁ,Woody Hermanのバンドで同僚だった彼らだから,多少の同質性はあるかもしれないと思いつつ,本当にこれはもっとプレイバックしたいと改めて思った次第。これまでつれない扱いをしていたことへの反省も込めて星★★★★★。

Recorded on March 4, 1956

Personnel: Serge Chaloff(bs), Sonny Clark(p), Leroy Vinnegar(b), Philly Joe Jones(ds)

2021年1月 5日 (火)

全然聞いてなかったCDを取り出す:June Christyの"Something Cool"

Something-cool "Something Cool" June Christy(Capitol)

このブログの読者の皆さんであれば,私がジャズ・ヴォーカルにあまり興味を示さないということはご存じのはずである。それは確かに事実なのだが,全然聞かないという訳ではないし,所謂有名どころはある程度は押さえている。本作もそんな一枚ではあるが,ほとんど聞いた記憶がない。やはり積極的にはジャズ・ヴォーカルは聞いていないってのが露呈する(苦笑)。

だが,ラックを漁っていて,このアルバムが出てきたので,実に久しぶりに取り出して聞いてみた。買ったのがいつだったかも覚えていないが,紙ジャケでリリースされたときに,ほかのアルバムと一緒に買ったものだと思う。それ以来おそらく一回プレイバックした程度だろうが,ある意味取り出しにくいところに格納しているからそうなるって気もしている。

それはさておき,本作は既に世評の高いアルバムであるが,このCDには録音時期の違うモノラル音源とステレオ音源が収録されている。この2つの音源は曲も,並びも,更にはアレンジも一緒だから,ほぼ同じに聞こえるだろうと考えるところだが,随分雰囲気が違って聞こえた。どっちがいいかと言えば,圧倒的にモノラル音源の方が魅力的と思えたが,それはJune Christyの歌いっぷりによるところが大きいように思う。

まぁ,どっちが好きかは各々のリスナーに任せればいいとは思うが,モノラル音源での歌を聞いていて,ちょいとハスキーで,いかにもジャズ・ヴォーカルっぽいいい声をしているということを改めて感じた私である。"Something Cool"とはまさに言いえて妙なるタイトルである。もちろん,ステレオ版も遜色ない出来ではあるのだが,私の感覚ではモノラルが星★★★★★なら,ステレオは星★★★★ってところだろうか。

改めて,June Christyの魅力に気づかされたと言ってもよいが,こんな感じで埋もれていて,ほとんど聞けていないアルバムはまだまだあるので,在宅勤務が続く限りは,そうしたアルバムも極力プレイバックする機会を見つけたいと思う。

Recorded in 1953/54(mono) and in 1960(stereo)

Personnel: June Christy(vo), Pete Rugolo(arr, cond) & His Orchesra

2021年1月 4日 (月)

刺激を求めて(?)Steve Marcusを聞く。

Steve-marcus ”CountsRock Band" Steve Marcus(Vortex)

「伯爵とロック」である(笑)。多少新年を賑々しくするために取り出したのがhこのアルバム。閉店してしまった高田馬場の「マイルストーン」で入手したLPなのだが,買ったまま放置状態を続けていたものを,年末年始の休みで,多少部屋も片付き,LPを聞く余裕もできたところで取り出したもの。本作も2012年に廉価盤CDとしてリリースされているが,私が保有しているのはオリジナル盤に日本語解説を付けたもの。その当時からこの邦題だったらしいが,実に笑える。油井正一による解説も時代を感じさせてくれて,こちらもかなり笑える。

それはさておきであるが,本作は典型的なジャズ・ロックって感じである。A面冒頭に収められた”Theresa’s Blues"は12分を越える長尺であるが,なかなかリーダーのサックスが出てこない。中盤になってようやく登場となる訳だが,そこに至る演奏における聞きものはLarry Coryellのロック・タッチのギター・ソロってことになろう。まさにブイブイ言わせているって感じなのだ。

それはB面冒頭の同じく12分を越える"Ooh Baby"でも同じであり,誰が主役なのかよくわからんとさえ感じてしまう。このアルバムにおいてはこの2曲が強烈なので,本作の意義はこの2曲にあると言っても過言ではないが,この2曲はベーシストのChris Hillsが書いているのが面白い。Larry CoryellとBob MosesはChris HillsとFree Spiritsというバンドを組んでいたらしいので,彼らを活かす術を知っていたということかもしれないが,”Ooh Baby"はさすがにSteve Marcusの出番を多くしているのは微笑ましい気がする。

そのほかの曲はS&Gの"Scarborough Fair"やStones"Back Street Girl"なんかもやっているのに加え,超短いドラム・ソロ(35秒)やアコーディオン・ソロ(19秒),そしてピアノ・ソロ(51秒)も収録されているが,これらは正直言ってしまえば刺身のツマみたいなものである。まぁ,"Back Street Girl"はMike Nockのフリー・タッチに傾斜していくピアノ・ソロが聞きどころとしては認められるものの,「正しい」ジャズ・ロックはAB面の1曲目を聞いていればよいという何ともユニークなレコード。

こういうプロデュースの仕方には若干の疑問も感じてしまうが,何とプロデューサーはHerbie Mannである。これって意図的なところもあるだろうが,やっぱり両面1曲目を聞いていればOKだな。ってことで,星★★★☆。

Personnel: Steve Marcus(ts), Larry Coryell(g), Chris Hills(b, g), Mike Nock(p, key), Dominic Cortese(accor), Bob Moses(ds), Chriis Swansen(arr, perc)

2021年1月 3日 (日)

新年のくつろぎ第二弾は今田勝~George Mrazデュオ。

Alone-together "Alone Together" 今田勝/Geroge Mraz(Three Blind Mice)

今年2枚目のアルバムがこれである。私としては珍しいチョイスだなぁと思うし,このアルバム(LP)を買った時の記憶は私本人も希薄だ(爆)。まぁ,オーセンティックなピアノとベースのデュオであるから,大体どういう音になるかは想像がつくところだが,このアルバム,想像以上にいけているというのが私の実感である。

このアルバムがリリースされたのは1978年のはずだが,まさに私がジャズを聞き始めた頃と合致している。その頃にリアルタイムで聞いた訳ではないが,当時のスウィング・ジャーナルのクロス・レビューでは結構な高得点を取っていたように記憶している。

甚だ余談ではあるが,SJ誌はクロス・レビューにしても,後の“アイ・ラヴ・ジャズ・テスト”にしても,DownBeatの完全なパクリなのだが,そんなことは昔の私は知る由もない。それはさておき,高校生でジャズ初心者の私が,当時Three Blind Miceレーベルのアルバムに手を出すことはなかったが,このアルバムはジャケを含めてなぜか印象に残っていたというのがリアルな感覚なのだ,

それでもって,私がこのアルバムを中古でゲットしたのははるかに後年になってのことであるが,それも20年ぐらいは実家に放置しておいたので,今やジャケの一部にはカビが生えてしまっているということになってしまった(苦笑)。

構成はA面にスタンダードが2曲,その他4曲は今田勝のオリジナルというものである。久々にターンテーブルに乗せたのだが,特にA面の出来が良いなぁと感じた。それは今田勝のオリジナルが悪いという訳ではなく,あくまでも私の好みの問題である。まぁ,タイトル・トラックやら,"Stella"やらをやられたら,そっちの方に耳が行ってしまうというのも致し方がない部分もあるだろうが,それを差し引いても,私にはA面が魅力的に響いた。多分,私にとっては常にA面をプレイバックするタイプのアルバムだと言ってもよいかもしれない。CDの時代になって,そういう聞き方は減ったし,ストリーミングになると尚更って気もするが,昔はそういうアルバムってあったよなぁと思う私である。

いずれにしても,静かな新年を過ごすにはこれぐらいが丁度えぇわって感じのアルバムであった。それにしてもGeorge Mrazのベースの音が魅力的に録られているのが実によかった。星★★★★。

Recorded on October 24, 1977

Personnel: 今田勝(p),George Mraz(b)

2021年1月 2日 (土)

新年にはくつろぎが必要ってことで,聞いていたのがJohnny Griffin。

Jg "JG" Johnny Griffin(Argo)

新年を迎えて,どういう音楽を聞けばいいかというのは実は悩ましい。騒がしい音楽を聞きたい気分ではないが,辛気臭い音楽を聞く気もない。ある程度の軽快さが必要なのだ。ウィーン・フィルがニュー・イヤー・コンサートでワルツやポルカを演奏するにはそれなりの理由があるってことである。ってことで,私がチョイスしたのがこのアルバム。Johnny Griffinの初リーダー作である。リリースされたのがBlue Note盤の後になったが,こちらが真の初リーダー作。

そして,本作における初リーダー作としての気負いなんて全く感じられないこの軽快さこそ新年にふさわしい。このアルバム,カンガルー・スプリット・パックという特殊なジャケット形状が特徴で,私が保有しているCDはそれを復刻したものだが,まぁこれがLPだったら扱いにくいこと甚だしかったであろうことは想像に難くない。CDですら扱いにくいのだ(爆)。

まぁ,そんなことはさておき,先述の通り,このある意味リラクゼーションすら感じさせる演奏を聞いていて,これこそ新年の休みを過ごすにふさわしいと思っていた私である。これを聞いていると40分弱の時間なんてあっという間に過ぎ去ってしまったってところか。我ながらいいアルバムを選んだと言っておこう。演奏としては星★★★★ぐらいと思うが,それにも増して聞いていての心地よさは保証できる。

Recorded in 1956

Personnel: Johnny Griffin(ts), Junior Mance(p), Wilbur Ware(b), Buddy Smith(ds)

2021年1月 1日 (金)

本年もよろしくお願いします。

New-year-sunrise

皆さん,本年もよろしくお願いします。

昨年はコロナウィルス禍もあり,音楽との接し方がこれまでとは随分違う感じになってしまった一年でしたが,とにかくコロナウィルス禍が沈静化しないと二進も三進もいかないってところでしょう。そんな状態の中,今年はどういう音楽を聞けるのかなぁという期待もある一方,昨年同様の状態が続いたらどうなるのだろうと思ってしまいます。

しかし,生来のオプティミストとして,きっと今年はよくなると思って過ごしていきたいと思います。本年もしょうもないことを書き連ねるでしょうが,よろしくお付き合い下さい。

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