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2020年11月 9日 (月)

Art Pepperの山形でのライブ盤を聞くのは何年振りか?

Not-a-through-street "Not a Through Street" Art Pepper(Toy's Factory)

このCDがリリースされたのは30年前,丁度私がNYCに渡った後ぐらいのことで,友人に頼んで送って現地に送ってもらった記憶がある。当時はAmazonみたいなサービスはなかったのだ(笑)。

Art Pepperについては薬物更生施設,シナノンに入る前がいいか,娑婆に出てきてからがいいかには議論があるが,まぁどちらにもそれなりの良さがあると思っている。私がArt Pepperのアルバムで一番好きなのは"Modern Art"だが,Vanguardのライブ盤も好きなのでやっぱり両方好きなのだ。

そんなArt Pepperの後期のアルバムは結構な数が出ているが,これも1978年に録音されていた音源が1990年に発掘されたものである。このアルバム,結構クロゼットの奥深くに格納されていて,聞くのは実に久しぶり。つくづく最近こういう表現が多いが,こうしてあまり聞かない(聞けない)音源を聞けるのも,在宅勤務による時間の自由度によるところが大きい。

それはさておき,後期のArt Pepperはモーダルなアプローチを交えているのが,昔のファンには気にいらないようであるが,本作においても,"Besame Mucho"をやっていながら,"A Love Supreme"のリズム・パターンと交錯させ,”A Love Supreme"のフレージングも使ってしまうという反則みたいな技も使っているのには久々に聞いた私は驚いてしまった。

ここではバラッドでもアップ・テンポでも結構痺れる演奏をしているところに,当時のArt Pepperの好調ぶりがうかがえる。 "Summer Knows"なんてマジでいいねぇと思わせるバラッド表現も聞かせるし,こういうのは酒を飲みながら聞くのが一番である。バックのトリオも好演で,日ごろ,私がイモだと思っているCarl Burnettもここではあまり出しゃばらずに,比較的真っ当なドラミングなのは助かる。見直したのがMilcho Levievのピアノである。ここでの演奏ぶりはかなりいいと思える。そのMilcho Levievも昨年亡くなったようで,時の流れを感じさせる。先述の通り,アルバムのリリースから30年,録音からは42年も経過しているのだからそれは当たり前であるが,こういうアルバムを聞いて,ありし日のArt Pepperを偲ぶってのも結構よかった。星★★★★。

Recorded Live at YBC TV Hall on March 14, 1978

Personnel: Art Pepper(as), Milcho Leviev(p), Bob Magnusson(b), Carl Burnett(ds)

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ジャズ(2020年の記事)」カテゴリの記事

コメント

復活後からリアルタイムで聴いていて、遡っていくと、小粋な人だったんだなと。
近年の発掘音源まではコンプリートできてませんけど。
このごろ、アート・ペッパーを口にする人がいなくなったなあ。
ディランが覚えてくれててうれしい(笑)

ところで、ビッグコミックのBLUE GIANTアメリカ編では、サックスの宮本大君が、現地の普通のアメリカ人に、誰もジャズなんか聴いちゃいないよ。大変だなと言われたりしてます。ジャズの前途は厳しいなあ(笑)

MRCPさん,こんばんは。
>
>復活後からリアルタイムで聴いていて、遡っていくと、小粋な人だったんだなと。
>近年の発掘音源まではコンプリートできてませんけど。
>このごろ、アート・ペッパーを口にする人がいなくなったなあ。
>ディランが覚えてくれててうれしい(笑)

そうですねぇ。Bob Dylanの歌にArt Pepperが出てきたのは驚きでしたが,本当に昔は復活後とは全然違うイメージでした。DylanがどっちのPepperが好きなのかは大いに興味がありますね。

>ところで、ビッグコミックのBLUE GIANTアメリカ編では、サックスの宮本大君が、現地の普通のアメリカ人に、誰もジャズなんか聴いちゃいないよ。大変だなと言われたりしてます。ジャズの前途は厳しいなあ(笑)

私はマンガを読まないので,よくわかっていませんが,確かにNYCに出張するとジャズ・クラブの客って観光客が半分以上かなって気はします。それでも店で隣になった客と話をしていると,結構ちゃんと聞いている人もいると思いました。まぁ,数は少ないでしょうが。

アメリカでジャズが元気なのは、ニューヨークのごく一部だけみたいですね(笑)
1920年代から1940年代のジャズを今聴いているんですが、一般大衆の支持を受けた絶好調の時代が40年代だったんだなと思います。
誰が聴いても、いいねという歌謡曲だったんですね。バップだなんだと小難しいことをやりはじめてから、一部のマニアのおじさんにしか受けないものに。フリーまでいくともはや変人の聴く音楽に。僕を含め日本人はみんな50年代モダンジャズこそジャズだと思ってるけど、アメリカ人の一般の人は、大衆が熱狂した40年代が最高で、後は衰退して、妙な趣味の人達が聴いているだけと思ってるみたい(笑)
ロックもそんな感じかなあ。
Bruce Springsteenが自分はロックの最後のサバイバーだと語ってるし(笑)

MRCPさん,こんばんは。

>アメリカでジャズが元気なのは、ニューヨークのごく一部だけみたいですね(笑)

確かにアメリカのほかの街に行っても,すぐにはジャズ・クラブは見つからないというか,私が知らないだけなのかもしれませんし,時間も取れないってこともあるのですが,なかなか生で「ジャズを聴く」って機会には恵まれませんね。私の場合,NYC以外では,むしろロンドンとかパリの方が魅力的な演奏を聞いているような気がします。

>1920年代から1940年代のジャズを今聴いているんですが、一般大衆の支持を受けた絶好調の時代が40年代だったんだなと思います。
>誰が聴いても、いいねという歌謡曲だったんですね。

まぁ,これは娯楽が限定的な時代ですし,そもそもはダンス音楽ですからねぇ。

>アメリカ人の一般の人は、大衆が熱狂した40年代が最高で、後は衰退して、妙な趣味の人達が聴いているだけと思ってるみたい(笑)

これは何とも言えないです。確かにマニアはマニアで生き残ってますが,ジャズ・フェスとかに行けば,いろんな人が聞きに来ている気もします。

>ロックもそんな感じかなあ。
>Bruce Springsteenが自分はロックの最後のサバイバーだと語ってるし(笑)

Bruce Springsteenの言っていることに文句はないですが,今の若い人はおそらくSpringsteenなんて大して聞かないでしょうから,もはやサバイバーですらないと言われても仕方ありませんね。「歌は世につれ,世は歌につれ」ですからそういうものでしょう。逆に私はラップなんて聞く気もしませんが,その一方で,自分にとってはどんなに時間が経過しても不滅の魅力を持つ音楽はあると思っていますから,それでいいんじゃないでしょうか。

ひどい状況の中でも、商売として成立するくらいには残って欲しいなあ。
日本の民謡みたいに、誰も聴いていない状態になってほしくないなあ。(沖縄では今でもポピュラーらしいけど)
ジャズバーやジャズのライブハウスはあっても、民謡酒場って、東京や大阪で探せばあるというくらいかな(笑)知らんけど。
日本の民謡って、聴いたことあります?
青森のホーハイ節は矢野顕子の津軽ツアーで知りました。
貝殻節は五つの赤い風船で。

MRCPさん,こんばんは。
>
>ひどい状況の中でも、商売として成立するくらいには残って欲しいなあ。

まぁ,これは大丈夫だと思いますが。

>日本の民謡みたいに、誰も聴いていない状態になってほしくないなあ。(沖縄では今でもポピュラーらしいけど)

私も青森でじょんから節を聞きました。素晴らしいですよねぇ。また,近所の秋田料理の店ではBGMは秋田民謡ばっかりで,逆に新鮮でした(笑)。

私のブログへのコメントありがとうございました:
https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2025/02/02/085011
仰せの通り、Milcho Levievがいいですね。変化自在な感じで。スピード感もあるし。
復活後のペッパーのアルバムは、ピアノが良いですね。CablesやArtist houseのHank Jones含め。
死ぬ間際のペッパーを今更ながら聴いて良さに驚いています。
当時の賛否両論の議論は何っだったのか、とも思います。

kenさん,おはようございます。リンクありがとうございます。

>仰せの通り、Milcho Levievがいいですね。変化自在な感じで。スピード感もあるし。

Milcho LevievがDave Hollandとデュオでやったアルバムをずっと探しているのですが,入手できていません...。

>死ぬ間際のペッパーを今更ながら聴いて良さに驚いています。
>当時の賛否両論の議論は何っだったのか、とも思います。

あれって不毛な議論ですよねぇ。どっちも好きって言えばいいものをってところです。違う例で言えば,フリーに傾斜したColtraneは聞かないのか?ってのと同じですよね。

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