サックスにDonny McCaslinが入ったSteps Aheadのアルバム。
Steps Aheadのアルバムは,彼らがStepsと名乗っていた時代から非常に安定したクォリティを保っていると思っている。メンツの入れ替えは結構あっても,Mike Mainieriのやることがしっかりしていれば,おかしなことにはならないという感じのバンドである。私がNYC在住中だか出張中に,現地Blue Noteで見た時はBendik,Rachel Z,Steve Smith,それにJimi Tunnellなんかがいた頃だから,アルバム"Yin-Yang"ぐらいの時代だろうが,メンツが変われば,それなりに音楽性にも変化をつけながら活動を続けてきたって感じだろう。
私は結構Steps Aheadのアルバムも保有しているが,このアルバムはメンツ的には一番流動的だった時期と言ってもよいかもしれない。そもそもサックスにDonny McCaslinが全面参加ってのもすっかり失念していたし,ドラムスはClarence Pennであるから,これはSteps Aheadのアルバムではほかにはない組合せのはずである。そして一部の曲にはECMにもリーダー作を残すMichael Cainが参加しているから,やっぱり異色のメンツである。
アルバム前半ではやや緩いグルーブ感を打ち出していて,例えば,"On Green Dolphin Street"をこうやるかって感じの演奏となっているが,これはこれでありだと思える。例えば,この曲のポイントはJames Genusのベースのスラッピングの音だと思うが,この適度なファンク・フレイヴァーが心地よい。ただ,このバンドのデビュー・アルバムである六本木ピットインでのライブ盤と同じバンドと思うと,失望するリスナーもいるはずだ。何を求めるかの違いってことではあるが,私は抵抗なく受け入れられる。結局のところ,Mike Mainieriの音楽が私の趣味にフィットするってことなんだろうと感じる。
ライナーを見ると,”This album is dedicated to the memory and the collaboration of Miles Davis and ’The Gentle Giant' Bill Evans."なんて書いてあるが,まぁ,こうした記述は共同プロデューサーとしてAdam Holzmanがクレジットされているからってところもあるだろう。確かに"Miles Away"というバラッドが2回演奏されているのは,彼らを偲んでって感じもあろうが,アルバムの全体的なトーンを支配してはいない。加えて"Rendevouz"のようなムーディな曲もありつつも,このアルバムは私にとっては特に前半の心地よいグルーブを楽しめばいいアルバムと思える。
アルバムの後半は,前半とややムードが変わってダークな感じが強まるので,その辺をどう評価するかにもよるが,久々に取り出して聞いてみて,へぇ~,こんなメンツだったのかいってことも面白かったアルバム。眠らせておいたことを反省して,ちょいと甘いと思いつつ,星★★★★としよう。
Personnel: Mike Mainieri(vib, p), Donny McCaslin(ts, ss), Michael Cain(p, synth), Rachel Z(p, synth), Adam Holzman(org, key), Victor Bailey(b), James Genus(b), Reggie Washington(b), Clarence Penn(ds), Tim Hagens(tp), Aaron Heick(as)
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コメント
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TAP the POP に
「スペイン革のブーツ」と「木綿のハンカチーフ」というコラムがありました。
ググってみて下さい。
投稿: MRCP | 2020年10月14日 (水) 20時00分
MRCPさん,こんばんは。
そのネタは承知してます。それは筒美京平と言うより,松本隆ですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2020年10月14日 (水) 20時30分
こんにちは。
ステップスは持ってますが、ステップス・アヘッドになってからはとんとご無沙汰で、このアルバムをマイケル・ケイン参加という理由で買っていただけだったかと思います。なので、音楽的には通して聴いてないので、うんぬんできませんが、このアルバムはグループとしては少し特殊だということは読んで分かりました。まあ、聴きやすかったですが、やはりマイク・マイニエリのグループだなあ、と思います。
当方のブログアドレスは下記の通りです。
https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2022/05/post-7de289.html
投稿: 910 | 2022年5月 3日 (火) 18時23分
910さん,こんばんは。リンクありがとうございます。
>ステップスは持ってますが、ステップス・アヘッドになってからはとんとご無沙汰で、このアルバムをマイケル・ケイン参加という理由で買っていただけだったかと思います。
それは意外です。910さんなら,お聞きになっていると思いました。
>やはりマイク・マイニエリのグループだなあ、と思います。
はい。Mike Mainieriがいて,楽器編成にサックスが入ればれば,Steps Aheadは成立してしまうというところだと思います。結構捨てがたいアルバムもありますから,是非ストリーミングでお聞きになってみて下さい。Bob Berg入りの"Holding Together"とかはなかなかストレートなノリです。
投稿: 中年音楽狂 | 2022年5月 3日 (火) 18時39分