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2020年8月31日 (月)

出張の道すがら聞いていた森高千里

Photo_20200829165201

「この街 TOUR 2019」森高千里(ストリーミング)

私が結構な森高千里好きなのは,このブログにも何度か記事をアップしているのでバレバレである。50歳を過ぎた今でも,現役でミニスカで歌い踊る森高千里には相変わらず萌え~となってしまうアラカンの私である。

そんな森高千里が昨年行ったツアー音源がストリーミングで公開されているのを見逃す私ではない(きっぱり)。新型コロナウイルス禍により,全然出張もできていなかった私だが,久々に地方に出張する機会があり,その道すがらでこの音源を聞いていたが,聞き始めたら結局最後まで聞いてしまったではないか。結局好きなのだ。

今回のライブは地元熊本への凱旋の模様だが,実は私が出張していたのも偶然熊本ということで因果を感じてしまった。そして,今回のライブにおいて私にとっての最大の注目点は「夜の煙突」をやっていることである。森高千里withカーネーションをオリジナルとするこの曲は,実は私のカラオケ・レパートリー(しかも振り付き:爆)なのだ。森高の脚線美が炸裂するそのPVは,以前このブログでもアップしたことがあるはずだが,しつこく今回もアップする。ほぼオリジナル通りの感じでやっていたが,やっぱりいいねぇ,この曲って思ってしまった。

地元熊本ということもあり,聴衆の盛り上がり方は異常と言ってもよいかもしれないが,おそらくは彼女と同年代もしくは,私ぐらいの世代の聴衆は正直やかましい。しかし,そうなることに若干のジェラシーとシンパシーを感じていた私であった。

「夜の煙突」だけを見るために映像版を購入するかは微妙だとしても,やっぱり見てみたいなぁなんて思う私はアホであるが,まぁ「ザ・シングルス」のツアー映像で我慢かなぁって気もする。でもやっぱり考えちゃうなぁ(爆)。

 

2020年8月30日 (日)

真夏のColin Davis/ACOのストラヴィンスキー連続聞きってなんでやねん?

Colin-davis-stravinsky1

こう暑苦しい日が続くと,聞く音楽も暑苦しいってことで,全くの気まぐれで聞いたのが,懐かしのColin Davis指揮,アムステルダム・コンセルトヘボウ・オーケストラによるストラヴィンスキーの3部作である。この「春祭」は父が持っているのを昔聞いていたなぁなんて思い出しているのだが,実に懐かしい。こういう音楽を聞いていると,この強烈なオーケストレーションは,今となっては全然抵抗がなくても,初演の時とか大変だったろうなぁなんて思ってしまうが,暑さも吹っ飛ぶ激演群。いやぁ,久々に聞いてもええですなぁ。

結局「春祭」の前では「ペトルーシュカ」は曲としてはかすんでしまうなぁと思いつつ,「火の鳥」についてはYesがライブのオープニングに使っていたのも懐かしく,そこで盛り上がってしまう私がいるのだ。いずれにしても,家人がいないことをいいことに,こういう音楽をヴォリュームを上げて聞くのは快感であった。やっぱり音楽はある程度しっかりした音量で聞くことは大事なのだ(笑)。 

2020年8月29日 (土)

久々に聞くBob Seger。ロックだねぇ。

_20200825 "Greatest Hits" Bob Seger(Capitol)

Bob Segerが一番活躍していたのは1970年代の後半から80年代前半って感じだろう。ということで,それは私がアメリカン・ロックとジャズ(正確に言えば,まだフュージョンだったが...)の間を行き来していた頃になる。高校時代にはチャートを賑わせていたし,Bob Segerの音楽はちゃんと耳には入ってきてはいたものの,あまりにすtレートなロックに対して,当時はあまり興味を持てていなかったように思う。だが,今にしてみれば,典型的なアメリカン・ロックと言ってよいヴォーカルであり,もう少し好きになってもよかったかなぁと思う。ただ,私の嗜好がどちらかと言えば,Bob Segerの音楽とは違う方向を向いていたのだと思う。

そして,その後,私のアメリカン・ロックの嗜好は,より渋いシンガー・ソングライターに向かってしまうので,Bob Segerの音楽を改めて聞くには相当の時間を要してしまったのである。

それから幾星霜,今,Bob Segerのベスト盤を聞いていると,これが何とも心地よい。この典型的なアメリカン・ロックの世界に身を委ねれば,勝手に私の初老の身体でさえ動きだすのがわかる。この時代でも,この音楽がそういう力を持ち続けているとも言えるが,やはりこれは私の年代とのフィット感と考えた方がいいだろう。結局こういう音楽が好きなのだ。実に楽しい時間を過ごすことができたことに感謝して星★★★★★としてしまおう。Tom Johnstonが主役だったDoobie Brothersと同じ感覚とも言えるし,Doobiesよりも更にストレートなロックだな。今度はチャンスを狙ってもう少しボリュームを上げてみよう(笑)。

2020年8月27日 (木)

よくできたStan Getzのコンピレーション。

_20200824 ”The Essential Stan Getz:The Getz Songbook" Stan Getz(Verve)

私の亡くなった父はモーツァルト命みたいな人であった。基本的に聞く音楽はクラシックが中心だったが,その一方でBenny Goodman等のスウィング系のジャズも聞かなかった訳ではない。それに対して息子の私はジャズやロックが基本で,クラシックは二の次みたいな感じで音楽的な嗜好は違っていた。しかし,父の晩年はなぜかジャズにそれまでより関心を示すようになっていたので,亡くなる前の数年間は,父の日にはジャズのCDを数枚贈るのが常となっていた。このアルバムも私が父に送ったもので,それが遺品として今は私の手許に残されている。

このアルバムは,Verveレーベル在籍中の音源から,Stan Getzらしい演奏をまとめたコンピレーションであり,ボサノヴァをプレイしている音源をコンパクトにまとめたものとして,なかなかよくできている。そもそも父はモダン・ジャズに関してはピアノ指向が強く,Bill EvansやらThelonius Monkやらを好んで聞いていたように思うが,ワンホーンの魅力もわかって欲しいと思って,このアルバムを送ったはずだ。その後,私は幅を広げて,Kenny KirklandとかBrian Bladeとかも送っていたが,結構父は気に入っていたようだ。ただ,Stan Getzはええなぁという反応は得ることはなかったはずで,父がGetzに関してどう思っていたかは今や知る由もない。しかし,私も遅れてきたGetzリスナーなので,父がStan Getzの魅力に気づくにはもう少し時間が必要だったのかもしれないが,その前に父は逝ってしまったと思っている。

本質的には個別のアルバムを聞いた方がいいに決まっているが,それでもこのコンピレーションはStan Getzの魅力を結構凝縮していて,今,私が聴いても楽しめてしまうというのが素晴らしい。稀代のメロディ・メイカーとしてのStan Getzのリリシズムを大いに感じることができるのは実によかった。Stan GetzのClef/Norgranを含めたVerve在籍期間は長きに渡るが,このアルバムは1952年の”Stan Getz Plays"から1964年の"Reflections"までの期間の音源だけを集めているところ,そしてワンホーンの演奏を集めているところに,コンパイラーの明確な意図を感じる。あくまでもStan Getzを楽しめということなのだ。その意思は明確に伝わり,大いに楽しんだ私であった。

Stan Getzを聞いたことがないなんてジャズ・ファンはいないだろうが,これからStan Getzを聞こうなんて人が,Getzの魅力を手っ取り早く理解するには最適なアルバム。やっぱりいいねぇ。

2020年8月26日 (水)

たまに聞きたくなるTangerine Dream。

Encore "Encore" Tangerine Dream(Virgin)

Tangerine Dreamのようなバンドは,昔だったら毛嫌いしていたに違いない私である(爆)。なんせ若い頃はKraftwerkだってどこがいいのかわからんとか言っていたのだから,人間変われば変わるものである(苦笑)。Kraftwerkはずっとポップな感じがあるが,それに比べると,Tangerine Dreamはもっとミニマルでアンビエントな感覚が強い訳で,Kraftwerkよりも更にハードルは高かったはずである。しかし,いつの頃か,ミニマルにもアンビエントにも抵抗がなくなり,むしろ心地よいと感じるようになると,Tangerine Dreamもいいねぇと思い始めたのであった。そうは言いながら,"Zeit"なんて更に厳しいのから入ってしまうと,抵抗感は結構あるかもなぁとも思える。

だが,このアメリカでのツアー中にレコーディングされたライブ音源には,あまり難しいところはなく,Edgar Froeseのギターの入る曲などは,ロック・テイストも感じさせるので,非常に耳に馴染みやすい。そうは言っても,最後の"Desert Dream"なんて,睡眠導入効果抜群のような気もするが...(笑)。いずれにしても,こういう音楽を聞いていると,部屋の温度が若干下がったように感じるのは私だけ?もちろん,万人に勧められる音楽ではないとしても,アンビエント・ミュージックとして流しっぱなしにしても何の問題ないというアルバム。星★★★★。そういうこともあって,こういう音楽がたまに聞きたくなるのだ。

面白いのは聴衆の盛り上がり具合で,Tangerine Dreamの音楽で,ここまで盛り上がれるってのは結構凄いなぁなんて,別の意味で感心してしまった。

Recorded Live between March 29 and April 26, 1977

Personnel: Edgar Froese(key, p, g), Christoph Franke(key, synth, perc), Peter Baumann(key, synth)

2020年8月25日 (火)

Poll Winners:軽快なスウィング感とはこれのこと。

_20200823"Poll Winners" Barney Kessel / Ray Brown / Shelly Manne(Contemporary)

このアルバムは,昔,コンテンポラリー・レーベルのアルバム群が廉価盤で出た頃に買っているから,私としては長年聞いてきたアルバムである。だが,新譜を買うのに忙しくなると,こういう昔のアルバムのプレイバック頻度が下がっていくのは仕方ない。本作の出来がいいのはわかりきっているし,新たな発見を求めるって感じでもないので,それも仕方ないのかもしれない。しかし,久しぶりに聞いてみて,私はこのアルバムに関しては,LP時代はほとんどA面しか聞いていなかったなぁなんて思ってしまった。それだけ,私にはA面が魅力的に響いていたってことだろう。特に冒頭の"Jordu"から"Satin Doll"への流れなんて実に素晴らしい。

なんでそんなことを思ったかと言うと,改めて聞いて,"On Green Dolphin Street"なんてやってたっけ?なんて思ってしまったことにある。私はこの曲とか,本作ではやっていない”Speak Low"のような曲が好きなのだが,"On Green Dolphin Street"が入っていながら,本作に関してはあまり印象に残っていないということは,A面しか聞いていなかったことの裏返しだろうって思う訳だ。

そうではありながら,今回改めて全編を聞いてみると,やはりこのアルバムは実によく出来たギター・トリオ・アルバムだ。これだけの名手が揃えば,そりゃええに決まっとるわとも思えるが,主題の通り,実に軽快なスウィング感を満喫できるアルバムである。私個人としては,やはりLPのA面に相当する前半の方が好みではあるが,後半の"You Go to My Head"と

か,Barney Kesselのオリジナル,"Minor Mood"もいいねぇなんて今更ながら感じてしまい,このアルバムの魅力は不変だなぁなんて考えていた。最後を飾る"Nagasaki"も実に軽快。スリリングって感じは希薄でも,こういうくつろぎを与えるサウンドは現代においても魅力的であり続けると思う。星★★★★☆。

Recorded on March 18 & 19, 1957

Personnel: Barney Kessell(g), Ray Brown(b), Shelly Manne(ds)

夏休み中に家で見た映画:涼を求めて見た「アイガー・サンクション」なのだが...。

Eiger-sanction_20200823000501 「アイガー・サンクション(”The Eiger Sanction")」(’75,米,Universal)

監督:Clint Eastwood

出演:Clint Eastwood,George Kennedy,Jack Cassidy,Vonetta McGee,Reiner Schone

猛暑が続くと,多少は涼しくなるような映像の映画を見たくなるのが当然の欲求ということで,DVDで見たのがこの映画である。今や巨匠のポジションにあるClint Eastwoodだが,この人がこのような立場になるとはこの映画が公開された当時は全く想像していなかった私である。

以前にも書いたと思うが,私が中学生~高校生の頃の私の部屋にはClint Eastwoodのポスターが貼ってあった。「ダーティ・ハリー」と「ダーティ・ハリー2」を当時の大毎地下で2本立てで見て,その魅力にマジで痺れてしまっていたというのが当時の私であった。特に「ダーティ・ハリー」の第1作こそそう思わせたものだったのは間違いない。そういうこともあって,Eastwoodの映画が公開されれば劇場に見に行くって感じの中学生~高校1年ぐらいであった。「サンダーボルト」,本作,「アウトロー」,「ダーティ・ハリー3」がおそらくその時期に当たるはずだ。だが,高校に入ってからは映画よりも音楽に関心が移行してしまい,その後Eastwoodの映画を劇場で見るのは「ペイル・ライダー」まで間が空くことになってしまうのだが...。

それはさておきである。この映画は,Clint Eastwoodをカッコよく見せるためのための映画みたいになっているのはまぁいいとして,この当時の演出はまだまだ発展途上だなぁと思わせるものと言っていいと思う。これはEastwoodの演出というよりも,間延びした脚本に問題があるように感じられる。本来,この映画は,アイガー北壁に挑む部分が主軸となるべきであるところが,そこに至るまでがとにかく長い。なので,こっちが求める涼しげな映像はなかなか出てこない(爆)。しかもアイガーに登り始めて,そうなるか?って展開もなぁって気がするし,肝心の結末も...なのだ。

ということで,当時はEastwoodに痺れていた中学生にとっては,カッコいい~って言っていればよかったようなものだが,制作から45年を経た今となっては,まだまだだったねぇと言いたくなってしまうような映画。そこそこ面白く見られるのは間違いないのだが,やっぱりまだまだだったってことで星★★★。

それにしても大毎地下とか,戎橋劇場とか,三宮の阪急文化とかの劇場には大いに世話になった中学生時代を思い出している私である。その後,東京に出てきてからは早稲田松竹,高田馬場パール座,飯田橋佳作座,飯田橋ギンレイ等に世話になっていたのももはや35年以上前か...。そういう経験があって,DVDやネットで映画を見られる時代になっても,やはり映画は闇の中で見たいという思いは今でも変わらない。映画は劇場で見るのが一番いいのだが,今や,そうした二本立て文化もなくなりつつあるのは寂しい限りだ。

2020年8月23日 (日)

夏休み中に家で見た映画:「頭上の敵機」

Photo_20200822115601 「頭上の敵機(”Twelve O’Clock High")」(’49,米,Fox)

監督:Henry King

出演:Gregory Peck,Hugh Marlowe,Gary Merrill,Millard Mitchell,Dean Jagger

夏休みの間は猛暑もあり,出掛ける気力もほとんどなく,仕事の家人のいぬ間に,Amazon PrimeやらDVDやらで映画を見ていた私である。この映画はAmazon Primeで見たものだが,タイトルだけ見ると,「眼下の敵」の逆みたいな感じだが,918爆撃隊の対ドイツ戦を描いたものだが,空中シーンはあるものの,どちらかと言えば,これは人間ドラマの側面が強い。

モラルの低下した918爆撃隊を鍛え上げる准将を演じるのがGregory Peckであるが,今ならば完全パワハラみたいな感じで,こういう映画は現代では成立しないのかなと思ってしまうが,それはそれで仕方あるまい。そうした中で,Gregory Peckが最後には心理的不調から身体が動かなくなってしまう描写でバランスを取っているので,目くじらを立てる意味はない。

ここで描かれている空中戦は実際の交戦時の記録も使っているようなので,画像は荒いが,実際はこういう感じというリアリティは十分。原題となっている”Twelve O'Clock High"も真上から攻撃を仕掛けてくるドイツ軍機のことを指していて,そんな攻撃を仕掛けられたら,反撃も難しいよなぁなんて思っていた私である。だが,この映画は,上述の通り,人間ドラマの要素が強いので,そういう方向で評価すべきだろう。この映画でDean Jaggerはオスカーの助演男優賞を獲ったが,それもうなずける演技であった。もはや70年以上前の映画であるが,こういうので温故知新も大事だなぁと改めて思った。星★★★★。

2020年8月22日 (土)

John Legendの新譜:さすがの曲のクォリティなのだが,このサウンド・プロダクションは...。

_20200817-2 "Bigger Love" John Legend(Columbia)

John Legendは素晴らしい歌手である。私は彼のアルバムをほぼ好意的に捉えてきた。例外は"Evolver"ぐらいか。この人の声,歌は実に魅力的であり,その魅力は幅広い層に訴求するものと思うが,今回はジャケも含めて,こういう時代における「ポジティブな感覚」や「愛」の重要性を打ち出している感じがして,相変わらずなかなかの佳曲揃いなのだが,私がどうも気に入らないのはそのサウンド・プロダクションである。

かなりの曲で打ち込みが使われていて,そこが私のような年寄りのリスナーにはそもそも向かないし,過剰な低音強調も気持ち悪い。そして,John Legendの声はもっと装飾を排しても魅力的なはずなのだが,このミキシングはどうにも馴染めない。聞いていて,どうしても違和感がぬぐえないし,もったいないと思ってしまうってのが正直なところなのだ。

これが今の時代の音だと言われてしまえば,私がそれについていけないだけなのだが,私はこれならJohn Legendの初期のアルバムを聞くと言いたくなる。音楽の質とサウンドの質が少なくとも私にとってはアンマッチなのが減点材料となり,星★★★★が精一杯。後半なんて曲が実にいい(最後の"Never Break"なんてたまらん)ので,やっぱりもったいないと思う私である。尚,登場ミュージシャン多数なので,Personnelは省略。

2020年8月21日 (金)

Mark Shilanskyって誰?っていう感じ。このスタンダードの解釈は好かんなぁ。

_20200817 "First Look" Mark Shilansky(MMC Reordings)

Mark Shilanskyって聞いたってそれほど多くの人は知らないのではないかと思う(この人の名前を聞くと,そんな名前は知らんすきーなんてくだらないオヤジ・ギャグが浮かんでしまう私は,正真正銘のオヤジである)が,どちらかというとBerkleeの准教授とか,大学での教鞭を執っている方がメインって感じの人ではないか。私がこのアルバムを購入した動機は全く覚えていないが,おそらくは収録された曲を見てのことではなかったと思う。リリースされたのは96年のようだから,これもおそらく私が某銀行に出向していた時に,休み時間のストレス解消で秋葉原に合ったディスク・マップで購入したと思われる。

プログラムはShilanskyのオリジナル3曲に,有名スタンダード,そしてChick Coreaの"Humpty Dumpty"の全8曲。バランスが取れたプログラムに,リズム・セクションも地味ながらも実力者ということで,ある程度期待できるという見込み買いだっただろう。しかし,今,改めてこのアルバムを聞いてみると,その有名スタンダードの解釈がいかん。

このアルバムはMark Shilanskyの初リーダー作ということもあって,それなりに力を入れて録音したと思われるのだが,いかんせんスタンダードに変な解釈を加えることで,曲のよさを減退させているとしか思えないのだ。ジャケの写真を見ると,年齢不詳みたいな感じだが,大学卒業が92年ということからすれば,まだ20代半ばぐらいだろうか。ここに聞かれるスタンダードの演奏は若気の至りそのもので,味わいもへったくれもないって感じなのだ。しかもアドリブ含めて演奏そのものが冗長なこともあって,あまり面白くないのである。演奏自体に破綻はないと思えるが,ここに収められた例えば"Love for Sale"を聞いてもらえば,私の感じ方は理解してもらえると思う。もちろん,逆にこうしたアプローチを好意的に捉える方がいるかもしれないが,私にはまったく魅力的に響かない。

まぁ,いろんなCDを購入していれば,当たりはずれがあるの当然ではあるが,これなんかは今回改めて聞き直して,クロゼット行きが決定である(笑)。星★★☆。

Recorded on October 3, 1994 and August 21, 1995

Personnel: Mark Shilansky(p), Steve Laspina(b), Jeff Hirshfield(ds)

2020年8月20日 (木)

"So There":まるで昔のラジオ・ドラマでも聞くような...。

_20200816"So There" Steve Swallow with Robert Creeley(XtraWatt)

保有していることをすっかり失念していたアルバム。Robert Creeleyは米国の詩人,作家であるが,Steve Swallowとは"Home"に詞を提供しているので,突発的な共演という訳ではない。このアルバム,Robert Creeleyは詩の朗読,そこにSteve Swallow,Steve Kuhn,そして弦楽クァルテットが加わるというものだが,これは2005年のRobert Creeleyの死後にリリースされており,追悼アルバムとしての性格を持つものだろう。ライナーにも"For Bob"とあるし。

このアルバム,まさにポエトリー・リーディングに音楽が重なるというものだが,聞いていると,主題のようにまるで昔のラジオ・ドラマでも聞いているような趣である。なので,純粋な音楽として聞くには微妙な部分もあるが,音楽自体は実に穏やかなトーンに満ちている。

レコーディング・データを見る限り,このアルバムはもともとポエトリー・リーディングが2001年に録音されており,そこにSteve SwallowがRobert Creeleyの死後の2005年に曲を乗せて,編集して出来上がったアルバムだろうと想像するが,うまくシンクロしていると思う。こうしたアルバムは評価が難しいところだが,ミュージシャンと詩人の友情の美しい産物として捉えれば星★★★★ぐらいだろう。そうは言っても,これも滅多に聞かないタイプのアルバムだが...。

しかし,音楽と詩はうまくシンクロしているのに,このジャケの合成具合はイマイチだなぁ。二人の表情のフォーカス具合が違うので,結構違和感がある。もう少しいい具合に編集できそうなもの(苦笑)。

Recorded on August 25, 2001 and August 27 & 28, 2005

Personnel: Steve Swallow(b), Robert Creeley(voice), Steve Kuhn(p), The Cikada Quartet<Henrik Hannisdal(vln), Odd Hanninsdal(vln), Marek Konstantynowicz(vla), Morten Hanninsdal(cello)>

2020年8月19日 (水)

たまには心地よいスムーズ・ジャズでもってことで,The Benoit Freeman Projectの第2作。

_20200815 "The Benoit Freeman Project 2"(Peak / Concord)

今夏は遅れてきたわりに,猛暑の破壊力が強烈である。もう立秋を過ぎているから,残暑な訳だが,残暑のレベルを越えている。こういう時には,暑苦しい音楽を聞くという対症療法もあるが,今日は逆のアプローチで,さわやかなスムーズ・ジャズである。

私はこのブログにも彼らの第1作も取り上げているが,第1作が1994年にリリースされ,その10年後に本作が出た訳だが,そこ頃にはこの2人はGRPを離れて,Concord参加のPeakから本作はリリースされている。90年代前半に隆盛を誇ったGRPだが,Dave GrusinとLarry Rosenがレーベルを去ってからは,一時期の勢いは失われていったように思える。それでも90年当時から数年のGRPの勢いというか,傘下に収めたミュージシャンの華々しさには目がくらむという感じであった。

だが,レーベルが変わったところで,この人たちのやる音楽が変わるとは思えないし,全然変わっていない。ここでもこれこそスムーズ・ジャズだよねぇって感じの音楽である。前作同様,プロジェクトとして,David BenoitとRuss Freemanの共作が半数以上を占めているが,ご両人の個性を活かしながらの曲調,演奏だと言えよう。

Russ Freemanはアコースティック・ギターを多用し,Rippingtonsよりはソフトな路線と言ってもよいかもしれないが,この人のいい意味での軽さはここでも感じられるし,David Benoitのピアノも相変わらずのジャズ界のRichard Claydermanぶりである(笑)。こんな二人のやる音楽であるから,聞いている方を心地よくさせることには長けているが,ちょいとソフトに流れ過ぎではないかと言われればその通りである。スムーズ・ジャズは,聞き流すもよし,ちゃんと聞くのもよしだが,襟を正して「対峙」するような音楽ではない。なので,私も聞き流しモードで聞いていたのだが,聞き流しゆえ,印象に残るメロディ・ラインとかいう感じではなく,むしろ,時の流れを邪魔しないという感じで,ある意味アンビエント・ミュージックだと言ってもいいと思ってしまった。

この手の音楽は古びた感じを与えないのも事実で,それはそれでいいとしても,ごく稀に聞くことはあっても,しょっちゅう聞こうって感じの音楽ではない。それがこうしたスムーズ・ジャズの限界かもしれない。星★★★。これを聞くなら,それよりBob JamesとEarl Klughの"One on One"を聞くかもなぁ。

Personnel: David Benoit(p, el-p, synth), Russ Freeman(g, g-synth, synth), Dave Carpenter(b), Byron House(b), Vinnie Colaiuta(ds), Peter Erskin(ds), Luis Conte(perc), Chris Botti(tp), Vince Gil(vo), David Pack(vo), Nashville String Machine(strings and horn)

2020年8月18日 (火)

追悼,Steve Grossman。

Steve-grossman

ネット上をSteve Grossmanが亡くなったという情報が飛び交いつつも,どこで亡くなり,死因も報じられない状態で,半ば半信半疑だった私だが,Dave LiebmanがFacebookに"Passing"と書き込み,更にNPRが詳しく報じるに至って(記事はこちら),ついに事実として受け止めざるをえなくなった。

亡くなったのがNYのロングアイランドにあるGlen Coveという街で,死因は心不全とのことである。Steve Grossmanは長年欧州に住んでいたはずだが,やはり米国に戻りたいという気持ちもあったということなのかもしれない。それぐらい体調が悪かったということだと想像する。

私は決して熱心なSteve Grossmanのリスナーだったとは言えないものの,そこそこアルバムは保有していた。しかし,昨年惜しくも閉店した新橋のテナーの聖地,Bar D2において,マスターの河上さんがSteve Grossmanについて熱く語られ,様々な音源をプレイバックして頂いて,更にその魅力に気づかされたのであった。そうでなければ,2014年に新宿のSomedayで行われたライブにも行っていなかったかもしれない。

以前にも書いたが,私は約30年前にもNYCでSteve Grossmanを見ている。Sweet Basilでライブ・レコーディングされたその時のライブは,McCoy Tynerとの共演ということもあり,現地でも注目されたものであった。もっとColtraneライクにやるのかなと思ったら,結構Sonny Rollins的だなぁと当時思った記憶があるとともに,ライブ盤を聞いてもそういう感じではある。まぁ,"Way Out East"なんてアルバムもあるのだから,そういう方向性は前からあったということだろうが,私がGrossmanを聞き始めたのはNYCでのライブ前後のことだったので,そんなことは当時は知る由もなかったってのである。

_20200818 そんなSteve Grossmanを偲ぶには何が最適なのか?ということで私が取り出したのが,後に発掘されたStone Allianceのライブ盤。キレたGrossmanがどうしても聞きたいという感じで,激しいのを選んでしまった。私は休暇,家人は仕事ということで,ボリュームが上がったことは言うまでもない。

今にして思えば,2014年の来日時にも何となく病的な感じはあった(って言うかクスリ?ってところも...)が,日本人のトリオをバックに吹きまくっているのに立ち会えたのはよかった。いずれにしてもティーン・エイジャーでデビューしてから半世紀以上という事実には驚かざるをえないが,また一人の影響力に溢れた重要なミュージシャンがこの世を去ってしまった。

R.I.P.

ECMでのBill Connorsのギターソロ作。いいねぇ。

_20200814-2 "Swimming with a Hole in My Body" Bill Connors (ECM)

Al Di Meolaが加入する前のReturn to Foreverで激しいギターを弾いていたBill Connorsがその後,ECMに転じて,RTFとは真逆のサウンドを聞かせるというのは実に面白い。一体Bill Connorsに何が起きたのか?と訝しむ向きがあっても不思議ではない。しかし,本作はそんなことはどうでもいいと思わせてくれるような爽やかなギター・ソロ・アルバムである。「水と感傷」という邦題がまさにいい感じだと思える作品と言ってよいだろう。

本作はBill Connorsにとって,最後のECMレーベル作品であるが,その後,80年代半ばにBill Connorsはフュージョン路線に回帰し,3作リリースするが,その後長い沈黙に入り,最新作は2004年に出た”Return"である。”Return"についてはこのブログでも記事にしている(記事はこちら)が,前作からはインターバルは17年,またその後沈黙し,もう16年も経っている。その沈黙の意味するところは知る由もないが,既に70歳を迎えたBill Connorsが現在はどのような音楽性を有しているのかは興味があるとも言える。あるいはとっくに引退しているのか?

往時のECMには本作のようなギター・アルバムが結構あったと思うが,最近はこういう感じのアルバムは少なくなったかなぁって思っている。でもこういう涼やかな音楽って,今の時代でも受けると思うのだが...。まぁ,Manfred Eicherの趣味が変わってしまってはいかんともしがたいが,またこういう路線のアルバムを作ってくれないものか。久しぶりに聞いてもBill Connorsはいいギタリストであった。星★★★★。

Recorded in August, 1979

Personnel: Bill Connors(g)

2020年8月17日 (月)

Misha Alperinで涼む。これがライブ音源とは信じがたい(笑)。

_20200814"Night" Misha Alperin (ECM)

私に限ったことではないと思うが,保有している音源が増えていけば,聞く頻度の上がらないものも出てくるのはしかたがない。それはECMレーベルにも言えていて,ECMからはかなりの枚数のアルバムがリリースされているから,保有していても,それほど聞いていない音源も多々ある訳だ。Misha AlperinのアルバムもECMからは何枚か出ているが,正直言ってあまり聞かない方に属するかもしれない。

しかし,これだけ猛暑が続くと出掛ける気も起らないというところで,気まぐれに取り出したのが本作だったのだが,これが涼む効果抜群であった。そもそも,このアルバムがリリースされたのは2002年だが,それから18年の間に私がこれを何度プレイバックしたかはかなり怪しいって感じである。そもそも,これがライブ音源だったってことも,今回聞き直して知ったようなものであり,ちゃんと聞いてないなぁって気がするのだ(恥)。

一方,あくまでも気まぐれで取り出したとは言え,ピアノ,チェロにパーカッションという編成だし,Misha Alperinなので,暑苦しくなることはないとは思っていたが,これが実に涼やかというか,温度を下げる効果があるのではないかという音楽であった。ジャズという音楽に感じられる熱量とは真逆の世界と言えばいいだろうか。しかもこんな音楽をライブでやってしまうというのが実に面白くも,ユニークであり,ノルウェイの聴衆の現場での反応が見てみたかったと思ってしまうようなサウンドである。

ライナーを見るとこのアルバムは”Suite for violoncello, piano, percussion, marimba and claviola in eight parts"と副題がついている。このclaviolaってのは初めて聞いたが,鍵盤笛だそうでなので,構造的にはピアニカとかに近いのかもしれないが,ネットで調べると面白い形状をしている。へぇ~って感じである。まぁ,そんな変わった編成,変わった楽器ということで,室内楽的と言ってもよいかもしれないし,現代音楽的と言ってもよい音楽となっている。もはやこれはECM New Seriesでもよいのではと思わせるような演奏であり,音楽と言ってよいかもしれない。

部屋が涼しくなる効果はあるが,なかなか音楽としての評価は難しいって感じで,やはり私にはMisha Alperinは敷居が高いかなと思わされた。星★★★。次にこのアルバムを聞くのはいつになることやら...。

Recorded Live on April 4, 1998

Personnel: Misha Alperin(p, claviola), Anja Lechner(cello), Hans-Kristian Kjos Serensen(perc, voice)

2020年8月16日 (日)

「妖星ゴラス」に続いて「海底軍艦」って,私も好きだねぇ...。

Photo_20200813223301 「海底軍艦」(’63,東宝)

監督:本多猪四郎

出演:高島忠夫,藤山陽子,藤木悠,上原謙,田崎潤,小泉博

一昨日「妖星ゴラス」について書いたばかりのところで,渡哲也の訃報を挟んで,今日は「海底軍艦」かいっ?って声も聞こえてきそうだが,Amazon Primeもいろいろな映画が見られるのねってことで,今日はこれである。おそらくこれは初めて見たと思うが,ここでも「妖星ゴラス」からのつながりで,造形の話から始めよう。

この映画の海底軍艦,轟天号の発進のシークエンスを見ていて,見た目はだいぶ違うものの,私は 「マイティジャック」を想起し,轟天号のドリルのような先端部分はウルトラセブンに出てくるマグマライザーの原型,そして敵方の潜水艇の形状は同じくウルトラセブンのハイドランジャーの原型に思えて仕方なかった。まぁ円谷プロのTV番組では,結構な使い回し(典型例はウルトラマンにおけるゴジラ→ジラース)を見ているだけに,そういう風に感じるだけかもしれないが,「妖星ゴラス」でも同じようなことがあったから,あながち間違いでもあるまい(しかし,私も好きだねぇ...)。

この映画も相当荒唐無稽なので,ストーリーについてどうこう言うのはあまり意味がないと思うが,私が感じるのは田崎潤という役者が,この当時東宝で重用されていたってことである。田崎潤は私のような年代の者にとっては役者としてより,「連想ゲーム」の回答者としての印象が強い訳だが,「妖星ゴラス」にしろ,この映画にしろ,軍人気質みたいなものを感じさせるには最適な役者だったのだろうと思ってしまったし,実に印象に残ってしまう役柄なのであった。

映画に関しては,やはりここでも円谷英二の特撮への取り組みが興味深い。「妖星ゴラス」が宇宙なら,今度は海が主たる舞台であり,全然違うタイプの特撮が求められるが,ここでもミニチュアを駆使して,よくやるわってレベルまでやってしまうのが凄い。ストーリーは別にしても,この当時の円谷英二の取り組みを見ているだけでも価値があると言ってしまおう。

ストーリーの荒唐無稽さゆえ,映画としては本作も星★★★でいいと思うが,先人の特撮の努力を見て,凄いねぇって感心するだけでも価値があったと思える映画であった。

2020年8月15日 (土)

渡哲也を偲んで「東京流れ者」を見た。

渡哲也が亡くなった。ここ数年,闘病生活を送っていたようだが,「西部警察」等でのマッチョなイメージだけではなく,渋い演技もできる人だった。78歳というのは現在の感覚で言えば,もう少しいける年齢ではないかと思うが,既に十分な活躍を示したということで,ここは生前の渡哲也を偲ばねばならないと義務のように感じてしまった私である。

Photo_20200814225901 本来なら「西部警察」辺りがよいと思ったのだが,丁度Amazon Primeで渡哲也主演の映画が見られるということで,選んだのが「東京流れ者」である。鈴木清順が撮ったこの映画は典型的なヤクザ映画なのだが,随分挿入される歌の数が多いなぁと思いつつ,昔の松原智恵子はその後よりは丸い感じがしたのねぇとか余計なことを考えていた私である。

いずれにしても役者をカッコよく見せるのが当時の使命とは言え,渡哲也扮する哲がいつもきっちりネクタイを締めていたりとかして,おいおいって感じもあるのだが,これまた後にナイスミドルの代表みたいになった二谷英明が無茶苦茶カッコいいし,佐世保の親分である梅谷を演じる玉川伊佐男が渋いねぇなんて,これまた余計なことを考えてしまった。

しかし,あくまでも主役は渡哲也なので,これでよく生きてるねぇなんてシークエンスを乗り越えてしまう適当さが昔懐かしいという感じであった。いかにも若いと思わせる渡哲也は新鮮で,後の「黒岩団長」の世界とは違うのも興味深かった。

今日は若い頃(1966年)の渡哲也を見て彼を偲んだが,そのうちやっぱり「大都会」とか「西部警察」のような渡哲也のイメージとなっている番組も見ないといかんと思った私である。私のような年代の人間からすれば,同時代を彩った役者がまた一人去ってしまい,実に寂しい。

R.I.P.

2020年8月14日 (金)

Amazon Primeで見た「妖星ゴラス」。ミニチュアで何でも撮ってしまうのが凄い。

2 「妖星ゴラス」(’62,東宝)

監督:本多猪四郎

出演:池辺良,久保明,白川由美,水野久美,上原謙,志村喬,田崎潤

昔,この映画,多分TVで見たなぁと思いつつ(それがいつだったかは全く覚えていないが...),懐かしさもあって改めて見たのだが,ほとんどミニチュアで特撮をしてしまう円谷英二の技に驚かされてしまったってのが,最初の感想である。筋書きとしては地球の重力6,000倍の黒色矮星ゴラスが地球に向かってくるという話なのだが,それはそれでいいとして,地球を救う手立てってのがそんなことありえるんかい?というものではあるが,実写もできそうなありとあらゆるシーンがミニチュアで撮られているのは,CG全盛の現在からすればリアリティに欠けるのは仕方ないが,ミニチュアで撮ろうとしたところに当時の映画人の気概を感じると言うべきか。

この映画,怪獣が出てきてしまうのは,はっきり言って蛇足中の蛇足であり,そんなシナリオにしなければ,もっとよかったと思わせるのは事実である。この怪獣の造形は,後の「ウルトラQ」に出てくるトドラの原型ってところだが,これははっきり言っていらないシークエンスだったと思える。造形という意味では国連VTOLとかいう名称で出てくる飛行物体は,後の「ウルトラマン」における科学特捜隊のジェット・ビートルとほぼ同じだったなぁなんて発見もあった。悪く言えば使いまわしの世界だが,まぁいいのである。

その一方で国を超越して,世界としてゴラスに対峙するのだなんていうメッセージ性も付与しているところが当時の映画らしいところではある。いずれにしても,今この映画を見れば,何とちゃちな特撮と思えないこともないが,それでも物凄い努力のあとが見られることに感慨を覚えるのだ。こういう積み重ねがあってこその現在のCGだということを,この時代の映画を知らない世代にも知って欲しいものである。

そうは言っても映画としては星★★★が精一杯だが(笑)。尚,役者として一番印象に残るのは田崎潤だったかもしれないなぁ。それはまた別の機会に論じることにしよう。

2020年8月13日 (木)

Paul Bleyの”Fragments":ECMの本領発揮って感じの音。

_20200812 "Fragments" Paul Bley(ECM)

正直言ってしまうと,私はPaul Bleyと相性があまりよくない。この人のアルバムを聞いて,これは凄いって思ったことが実はないのだ。そういうこともあって,実はこのブログでもPaul Bleyはあまり取り上げていないのも仕方がないのである。ECMでのアルバムは全部ではないとしてもそこそこ保有しているが,この人のアルバムを聞く頻度は決して高くない。結局苦手なのである。

そんな私が久々に取り出したのが本作なのだが,基本は幽玄な響きを聞かせながら,"Line Down"などではアブストラクトな路線も聞かせるという一方,Carla Bley作の"Seven"等では美的に迫ってくるこのアルバムは,普通の人にとっては結構ハードルが高いと思わせるに十分である。だが,ここでのメンツの組み合わせなんて,まさにECMの妙とでも言うべきものであり,こんな編成はECM以外では絶対にありえないものなのが,ECMのECMたる所以だろう。

本作のライナーには珍しくもSteve Lakeによる長文が寄せられている。私が不勉強なだけかもしれないが,ECMではNew Series以外ではあまりライナーへの寄稿は見たことがないような気がする。しかも書いているのが,Manfred Eicherがプロデュースしないようなフリー系ミュージシャン(?)のアルバムの制作担当をしているSteve Lakeである。アルバムを聞いていて,なんだかECMにしては雰囲気が違うと思うと,Steve Lakeがプロデューサーだったって経験は何度かしたことがあると思う。だが,このアルバムはSteve Lakeはあくまでもライナー担当で,音楽に関してはEicherの美学炸裂って感じというのが率直な思いである。

決して難解ではないのだが,ハードルが高い。しかも普通の一般的なジャズとは全然違う。そういう音楽であり,このアルバムは特定のリスナー(かつ結構限定的だろう...)には訴求しても,大多数の人にとっては「何のこっちゃ」にしかならないと思えるのだ。だが,ECMというレーベルの音楽をかなり聞いていれば,こういうのが苦にならなくなるのである。苦にならないどころか,むしろ快感になってくるのではないかという感覚と言ってもよい。世の中は猛暑に襲われているが,これを聞けば,8割方の曲で冷気が漂ってくる感じがするってところか。気まぐれで聞いたのだが,部屋の温度が数℃は下がった気がした私であった。星★★★★。

Recorded in January 1986

Personnel: Paul Bley(p), John Surman(ss, bs, b-cl), Bill Frisell(g), Paul Motian(ds)

2020年8月12日 (水)

Amazon Primeで「シャレード」を見た。多分初めて見たなぁ。

Charade「シャレード(”Charade")」(’63,米,Universal)

監督:Stanley Donen

出演:Cary Grant, Audrey Hepburn, Walter Matthau, James Coburn, George Kennedy, Ned Glass

前にも書いた通り,昨今のAmazon Primeでは結構古い映画が見られるのが楽しいのだが,今回選んだ「シャレード」なんて,Herny Manciniが書いた主題曲は皆知っているだろうって感じだが,私はこの歳になって,この映画を見たのは初めてではないかと思う。私にとってAudrey Hepburnは「ローマの休日」が全てみたいなところがあるが,それでもCary Grantが出ているのだから,小じゃれた展開になるのは必定と思っていたら,案の定,ロマンティックなコメディ・タッチのサスペンスというお腹がいっぱいになるような映画であった。

正直言ってシナリオが無茶苦茶(本当に無茶苦茶なのだ)だという点については目をつぶろう。なぜならば,ここでのAudrey Hepburnはいかにもキュートなのだ。「ローマの休日」の時の清楚さから転じて,小悪魔的と言ってもよい彼女の魅力こそが,この映画の売りだろう。まぁ,Cary Grantはこの映画の頃は還暦近いが,一方Audrey Hepburnは34歳ぐらいであるから,親子ほどの年の差があるのだが,これを成り立たせるのはCary Grantの洒脱さ故なのは当然としても,清楚なだけではないちょっと大人な感じのAudrey Hepburnの魅力が大きいと思った。

途中で大体誰が一番のワルかはわかってしまうのだが,いかにも悪役的なJames CoburnとかGeorge Kennedyが結構笑える。こういうストーリー展開でも許されるいい時代だったと言わざるをえないが,それでもこのおしゃれな感じはAudrey Hepburn主演映画らしいよなぁとつくづく思ってしまった。ジバンシーのコスチュームをパリの街並みでAudrey Hepburnが着こなせば,それだけでおしゃれに決まっとろうがというところ。いずれにしても,他愛はないものの,古き佳き時代の映画って感覚を味合わせてもらった。星★★★★。

余談ながら,映画の途中で,Cary GrantがAudrey Hepburnに向かって"On the Street Where You Live"というセリフを言うシーンがあったが,この映画の撮影中には"My Fair Lady"の主演が決まっていたってことなんだろうなぁと思っていた私であった。

2020年8月11日 (火)

やはりDonny Hathawayのライブは最高なのだ。

_20200810"In Performance" Donny Hathaway(Atlantic)

私が長年愛聴しているのがDonny Hathawayの”Live"である。あれを最高と言わず,何を最高と言うのかというぐらいしびれるアルバムであるが,本作は”Live"と同じ時の音源を中心に,Donny Hathawayの死後にリリースされたライブ・アルバムである。残りテイクと言ってしまえばその通りなのだが,これまた実にしびれるアルバムなのだ。特に冒頭の”To Be Young, Gifted and Black"なんて鳥肌もの。もはやこれはゴスペルの世界とさえ言いたくなる歌だが,聴衆が大騒ぎするのも当然である。それぐらい強烈なのだ。それに続く"A Song for You"も絶唱である。この歌のうまさは尋常ではない。本当のソウルを感じる。

私はこの2曲だけでもこのアルバムは買う価値があると思っているが,全編に渡って素晴らしい演奏,歌唱の数々である。3曲目の"Nu-Po"はインストとなっているが,Donny Hathawayのエレピの響きというのがこれまた心地よいのだ。この曲だけCarnegie Hallでの演奏で,ほかのクラブでの演奏とは雰囲気が違うのだが,エレピのグルーブも楽しめることは言うまでもない。

4曲目だけがNYCのBitter Endでの演奏だが,これがまたソウルを感じさせる名唱。それに続く”We Need You Right Now"も"Sack Full of Dreams"も残りテイクと言うにはあまりにももったいないもので,"Live"と同様に聞かれるべきものである。

もちろん,スタジオ音源だって十分に魅力的なものと思いつつ,それでもやはりDonny Hathawayはライブが素晴らしいのだと改めて思ってしまった。星★★★★★。まじで惚れ惚れしてしまった。これを聞いて,Donny Hathawayのビター・スウィートとでも言うべき魅力を語り合えない人とは,私は友人にはなれないな(きっぱり)。

こうなったら次は既発音源と未発表音源を組み合わせた”These Songs for You, Live!"も久々に聞かない訳にはいかなくなって(笑)。

Recorded Live at the Troubador. the Bitter End(track 4) and the Carnegie Hall(track 3)

Personnel: Donny Hathaway(vo, el-p, p), Phil Upchurch(g), Mike Howard(g), Cornell Dupree(g), Gil Silva(g), Willie Weeks(b), Bassie Saunders(b), Fred White(ds), John Susswell(ds), Earl Derouen(conga), Leslie Carter(conga), Richard Tee(org)

2020年8月 8日 (土)

オリジナル「猿の惑星」を見るのは何年ぶりだろうか?

Planet-of-the-apes「猿の惑星("Planet of the Apes")」(’68,米,Fox)

監督:Franklin J. Schaffner

出演:Charlton Heston, Roddy McDowall, Kim Hunter, Maurice Evans, Linda Harrison

実に懐かしい映画である。この映画がBSで放送されていたので録画して見たのだが,この映画を見るのは何年ぶりなのだろうか。私の記憶の中では,荻昌弘がMCだった「月曜ロードショー」で,当時は珍しかったノーカット放送が行われたのが私が小学生5年生か6年生ぐらいの頃だったはずである。更に私の記憶が正しければ,37%とかのとんでもない視聴率を叩き出したはずである。みんなこういう映画をTVで見たいと思っていたのねということの裏返しかもしれないが,その後,私がこの映画をちゃんと見たかどうかというとあまり自信がない。

いずれにしても,今回,かなり久しぶりに再見した訳だが,この映画,ラスト・シーンの印象が強過ぎて,途中の展開については覚えているところもあれば,ほとんど記憶にすらないと思ってしまったシーンがあったのも事実である。まぁ,最初のTV放送からも相当な年月が経過しているし,老境に達して記憶力の低下に悩む私としては不思議なことではない(苦笑)。今にして思えば,特殊メークも実にプリミティブな感じだが,それでも当時は担当したJohn Chambersはオスカーも獲ったし,凄い,凄いと言われていたのも懐かしい。もはや50年以上前の映画なのだから,それも当然だが,その当時に思いを馳せて改めて見ていたら,ついつい寝る時間が遅くなってしまったではないか(笑)。やはり。私も同時代感を覚えるものに対して強い郷愁を感じる年ごろなのだ。

ストーリーはかなり無茶苦茶と言ってもいいし,Charlton Hestonがマッチョな行動パターンを取りたがるところは笑ってしまうところもあるとしても,結構よく出来ていたなぁと改めて感じさせてくれた映画である。結局シリーズ化されて5作も作ってしまったのはどうなのよとは思うが,それぐらい当時は人気のあるフランチャイズだったということである。2作目はダメダメで,3作目はストーリーで何とか持ち直し,4作目はまぁまぁだったが,5作目は駄作中の駄作と堕したという感じだったと思うが,この1作目は見るに値する映画だったと思った私である。夜中まで見続けてしまうところにそういうところが表れていると思うが,それは結局ラスト・シーンが見たかったからではないかって言われればその通りかもしれない。それぐらいインパクトの強いラスト・シーンを描いたシナリオを褒めることにしよう。星★★★★。

たまにこういう映画を見るのも楽しいなぁってつくづく思った私だが,これの前日には「パットン大戦車軍団」を録画しているので,追々見ることにしよう。実は「パットン大戦車軍団」はオープニングは記憶しているが,全編見たことがないはずなのだ。ってことで,音楽だけでなく,映画も温故知新モードに入るとするか(笑)。

2020年8月 7日 (金)

Laura Marlingの新作の媒体到着!やっぱり最高だ。

_20200803-3 "Song for Our Daughter" Laura Marling (Chrysalis)

この音源を先行公開のストリーミングで聞いて最高だと思った私である(記事はこちら)。そこにも書いた通り,「現物が出たら買う」という初志を貫徹し,現物がデリバリーされたので早速聞いているのだが,これが本当によい。本国である英国のメディアも大絶賛であるが,これは英国に限らず,グローバルで普遍的な魅力を持つ音源と思える実に素晴らしい作品である。但し,言っておかねばならないのはこれが売れるとは限らないということだ。いい音楽は必ずしも売れる音楽にはならないが,本作などは日本においてもちゃんと売れて欲しいと思ってしまった。

Laura Marlingという人はEthan Johnsをにプロデューサーに迎えることによって,完全にその才能を開花させたと思う。Ethan Johnsが関わっていないファースト・アルバムにはまだ青臭さを感じさせるが,プロデューサーによってこれほど変わるのかと思わせるほどレベルに変化が生じたと思うのだ。

本作はEthan JohnsとLaura Marlingの共同プロデュースとなっているが,ここでもいい曲を書き,しかもいい声で歌うねぇという感じである。彼女が書き,歌う曲を聞いていると,Joni Mitchellとの同質性すら感じてしまうぐらいこの人は優れていると私は評価したい。落ち着いて聞くと,曲によってクォリティに若干のバラツキもあるように感じない訳でもないのだが,私はこの音楽は全面的に評価なのだ。惚れた弱みで星★★★★★。もはや彼女はこの分野で,現在最も信頼に値するミュージシャンの一人であると言っておこう。歌詞はこれからゆっくり吟味することにしよう。

それにしてもChrysalisというレーベル名は久しぶりに聞いたが,まだ残存していたんだねぇ。そして,Chris Hillmanの名前をクレジットに見出すことの懐かしさ。ミュージシャン同士,やっぱりわかる人にはわかるのだ。

Personnel: Laura Marling(vo, g), Dan See(ds), Nick Pini(b), Ethan Johns(ds, continuum, g, synth, perc), Anna Corcoran(p), Dom Monks(loop), Chris Hillman(pedal steel), Gabriel Cabazas(cello), Robert Moose(strings)

 

2020年8月 6日 (木)

”Mostly Ballads”:こういうのがバーでかかっていたらしびれるよねぇ。

_20200804"Mostly Ballads" Steve Kuhn(New World)

Steve Kuhnはいろいろなスタイルで演奏をできる人なので,リスナーとしてはどの辺りが好みかというのを決めてもいいし,いろいろなスタイルをそれぞれ楽しむって感じでもいいと思う。私の場合は後者だが,これなんか主題の通り,バーとかで小音量でプレイバックされていたら,店主の趣味を褒めたくなること必定というような「ほぼ」バラッド集である。あくまでもタイトル通り「ほぼ」なので,小粋なミディアム・テンポの曲もある。それがまたいい塩梅なのだ。

やっているのは有名曲ばかりなので,それをKuhnのソロ,もしくは半数の曲で加わるHarvie Swartzとのデュオでどのように料理するかというのが楽しみとなるが,実に美しく仕上げつつ,若干の毒も仕込んであるというところである。曲で私が知らなかったのは"Yesterday's Gardenias"という曲だが,元々Glen Millerがやったらしく,その後,Stan GetzやSerge Chaloffとかも取り上げているらしい。へぇ~って感じである。

本作においては,1曲最長5分43秒,2分台の曲も12曲中5曲もあるということで,比較的あっさりとした演奏ではあるものの,密度は濃いと感じさせるものなのだ。こんなのは所謂カクテル・ピアノではないかという指摘もあるだろう。しかし,凡百のピアニストが"Danny Boy"のような曲を弾いてもこうはならないはずだ。ちゃんとSteve Kuhnの美学が反映されているのだ。

繰り返しになるが,こういう音楽が店でプレイバックされていたら,確実に嬉しくなる。新型コロナウイルス禍により,飲み屋にも行っていない私だが,居酒屋,そば屋,中華料理屋,ありとあらゆるところで有線からモダン・ジャズがBGMとして流れている頃に対する違和感をずっと感じていたことは前にも書いたと思う。だが,本当の趣味のよさってのはこういうアルバムをプレイバックしてこそ表れると考えるべきだろう。

いずれにしても,以前取り上げたSteve Kuhnのほぼ映画音楽集,"Jazz 'n (E)motion"(記事はこちら)同様,夜にしかフィットしないとも言えるが,こういう音楽を聞いているとついつい酒が進んでしまう私である。星★★★★☆。

Recorded on January 3, 1984

Personnel: Steve Kuhn(p), Harvie Swartz(b)

2020年8月 5日 (水)

温故知新は続く:今日は"Jazz at Massey Hall"のDefinitive Editionだ。

_20200803 "Complete Jazz at Massey Hall" Charlie Parker (Jazz Factory)

多くのジャズ・ファンにとってMassey Hallという場所は,行ったことはないとしても,名前は聞いたことがあるという場所ではないだろうか。Venueという意味では,ヴァンガードとか,カフェ・ボヘミアとか,ファイヴ・スポットというクラブ名称の方が響きとしてはいいのは間違いないが,なぜこのMassey Hall,しかもカナダはトロントという場所にあるこのコンサート・ホールがこれほど多くのジャズ・ファンに知られているかと言えば,この音源が録音されたからにほかなるまい。

ジャズに関する古い音源,特にバップを語る場合,本作とかCharlie ChristianのMinton's Playhouseでの音源が出てくるのが当然と思われていた。ただ,Charlie Christian盤なんてのは,現代人にとっては音がひど過ぎて,その価値を理解できるのかと言えば,実は疑問を感じている。なぜならば,40年近く前にその音源を聞いた私でさえ,音のひどさに辟易としてしまった方が勝ちなのだ。歴史的,音楽的な価値はあるかもしれないが,それを受け入れられるほど,約40年前ですら,現代人(私だけ?)は寛容ではなかった思うのだ。あるいはわかっていなかっただけかもしれんが...。

しかし,温故知新と言うのであれば,Charlie Parker入りのこのライブ盤は避けて通れないよなぁってことで,今日はこれである。"Jazz at Massey Hall"は言わずと知れたバップの巨人が集結したライブ盤であるが,Charles Mingusが訳のわからないオーバーダビングを施したことによって,雰囲気が変わってしまうという不思議な印象を残したことはその筋では知られた話である。

本作はそのオーバーダビングを排し,演奏当日の曲の並びを極力再現するという高い志で作られた「決定盤」と言ってよいと思うが,こういう音源を作る会社が長続きはしていなさそうなのは実に残念である。このアルバム,ライナーもしっかり作られていて,リリースしたスペインの会社のCharlie Parker愛が感じられるのだ。今でも入手は難しくないが,あくまでも売っているのは「在庫処分品」ということだろう。

ライナーによれば,この決定盤とは言っても,音源が残っていない演奏がまだあるそうである。しかし,ここで聞けるものがほぼその日の全貌ってことになるが,The Quintetによる演奏には新発見はない。しかし,Mingusのオーバーダビングを排しただけでなく,Parker,Gillespie抜きのBud Powellトリオ,それにMax Roachのドラム・ソロまで入っているのだから,芸が細かいのである。ラテン系は雑なイメージがある(爆)が,何ともしっかりした仕事ぶりってところだろう。

この演奏が行われたのは1953年なので,Charlie ParkerにとってもBud Powellにとっても全盛期は過ぎていると言ってよい時期だが,それでもここまでくると名人芸の領域である。音は決していいとは言えないが,聞くには問題ないレベルだし,ライブの熱気が伝わるという点では,実に貴重なアルバムだと言える。

_20200803-2 私はこのアルバムをLP時代から保有していたが,現在保有しているCDは今日ご紹介の「決定盤」と,国内盤で出たそちらもオーバーダビングなし版である。しかし,この2枚,曲の並びが違うのだ。私としては情熱具合からして,「決定盤」の方の並びが正しいと思うが,真相は?である。しかし,そんなことは無視しても,この演奏は強烈。バップの巨人の最後の輝きと言ってはいかんが,ここでの強烈なアドリブを聞いて燃えない人間がいるのか?と言いたくなってしまう。

Charlie Parkerを聞くなら,SavoyやDialを聞くのが正しいとは思うが,音がねぇって思った時に,本作はまだまともに聞けるレベルだと思っていたのが私の若い頃。今となってはこういう演奏が聞けることに感謝したくなるのが,老境に達しつつある私。もちろんこれもしょっちゅう聞こうとは思わないが,歴史的な観点からすればやっぱり星★★★★★だよなぁ。

甚だ余談ではあるが,初めてトロントに行った時,Massey Hallの前を通って,おぉ,これがあのMassey Hallかと思ったのも懐かしい。

Recorded Live at Massey Hall, Toronto on May 15, 1953

Personnel: Charlie Parker(as), Dizzy Gillespie(tp), Bud Powell(p), Charles Mingus(b), Max Roach(ds)

2020年8月 4日 (火)

今日の温故知新は”Bag's Groove”。

_20200802-2 "Bag's Groove" Miles Davis(Prestige)

モダン・ジャズのクラシックと呼ぶべきアルバムも,実生活の中ではプレイバックの回数が減っているのは疑いようのない事実である。だが,たまに取り出して聞くと,実に魅力的に響いてしまう。現代のジャズには現代のジャズの魅力があるとしても,こうしたクラシック・アルバムを聞くと,ジャズという音楽の長い歴史の積み上げの上に,現代のジャズが成り立っているのだという当たり前のことを改めて感じざるを得ない。

とか何とかいいながら,私がこのアルバムを聞くのは何年ぶり?みたいな感じなので,決して偉そうなことは言えないのだが,久々に聞いてみて,やはりこの辺りのアルバムの魅力は絶対的だったなぁと思ってしまう。冒頭の"Bag's Groove"からして,晩年のMilesとは音もフレージングも全然違うし,テイク1のソロの構成力なんて信じがたい。バンドとしての演奏のレベルの高さも半端ではないが,この曲における実に訥弁なThelonious Monkのソロを聞いて,あぁそうだったなぁなんて思った私である。MonkはどうやってもMonkなのだ。そういうことに改めて気づかされる。これこそ温故知新である。

そして3曲目以降はピアノがMonkからHorace Silverに代わり,更にSonny Rollinsの加わった曲になるが,スタンダード"But Not for Me"を除けば,”Airegin","Oleo",そして"Doxy"というRollins有名オリジナルを収めているところに,Rollinsにとっても重要なアルバムな訳だ。そうは言っても,Rollinsのソロもまだまだ若いねぇって感じ(はっきり言ってまだまだ青臭い感じがする)があるのが実に新鮮なのだ。John Coltraneもそうだが,ミュージシャンが急速,あるいは急激な進化を遂げる瞬間というか,そういうタイミングがあるってのをここでのRollinsを聞いていると強く感じるのだ。

振り返れば,私もジャズを聴くようになって40年以上になるが,若い頃ははっきり言ってカッコつけて聞いていただけだったなぁと今更ながら思う。しかし,ジャズ喫茶での修行やら,その後の幾星霜を経て現在という時間になっても,あぁそうだったのかって感じることができるジャズという音楽の永続的な魅力を痛切に思い知らされるのは,こういうクラシック・アルバムのおかげと言いたくなってしまった。アルバムとしては冒頭の”Bag's Groove(Take 1)"が緊張感という観点でも突出していて,アルバム全体として聞くと,評価は若干微妙な部分もあるというのが正直なところだが,それでもやっぱりこれは星★★★★★しかないだろうな。

Rollinsと言えば,「サキコロ」も何年も聞いてないねぇ...。そのうち,当ブログにも登場するかもなぁ(笑)。でも書きようがないか(爆)。

sRecorded on June 29 and December 24, 1954

Personnel: Miles Davis(tp), Sonny Rollins(ts), Milt Jackson(vib), Thelonious Monk(p), Horace Silver(p), Percy Heath(b), Kenny Clarke(ds)

2020年8月 3日 (月)

これも久々に聞いたら,またもスリリングな響きに痺れてしまった"Extensions"。

_20200802"Extensions" Dave Holland Quartet(ECM)

このアルバムを聞くのも久しぶりだったのだが,これほどスリリングでカッコいい音楽だったのか...と絶句してしまった私である。はっきり言ってしまおう。このアルバムの鍵を握るのはKevin Eubanksである。後にPrismのメンバーとして改めてDave Hollandと共演するKevin Eubanksの鋭いギターが,このアルバムのスリルを倍加させたと言っても過言ではない。Prismも素晴らしいアルバムだった(記事はこちら)が,このアルバムも同列に並べたい。

そもそもSteve ColemanやMarvin "Smitty” Smithというメンバーからも鋭い演奏になるのは想定できる。しかし,ここでのKevin Eubanksが加えたギターの音は,実に刺激的であり,PrismにKevin Eubanksを呼んだのも,Dave Hollandがこのアルバムでの共演を忘れられなかったのではないからではないかとさえ思ってしまった。

全6曲をHolland,Coleman,Eubanksがオリジナルを2曲ずつ提供して構成しているが,これはどこから聞いても刺激的で実に素晴らしいアルバム。こういうのはもっと頻度を上げて聞かねばならん!と改めて思った次第。反省も込めて星★★★★★。次は"Triplicate"でも聞くか(笑)。

Recorded in September 1989

Personnel: Dave Holland(b), Steve Coleman(as), Kevin Eubanks(g), Marvin "Smitty” Smith(ds)

2020年8月 2日 (日)

久しぶりに聞いたらタイトル・トラックのスリリングな響きに引き込まれてしまったEnrico Rava盤。

_20200730 ”The Pilgrim and the Stars" Enrico Rava (ECM)

ECMレーベルもリリースされるアルバムの数が多過ぎて,さすがに最近はストリーミング頼みになり,買うアルバムも随分減ったと思う。そうは言いながら,過去にリリースされたアルバムは結構な枚数を保有しているのだが,家人の言葉を借りれば,「いつ聞くの?死ぬまでに一回も聞かなんじゃない?」ということになってしまう可能性なきにしもあらずである。保有しているアルバムは記憶しているつもりだが,しょっちゅう聞くって感じのアルバムはそう多くはないのも事実だ。

Enrico RavaのECMのアルバムも結構な枚数になっているし,私もほぼ保有していると思うが,プレイバックの回数が多いかと言えば,必ずしもそうでもない。実のところ,RavaのアルバムではVenusレーベルの"Renaissance"をプレイバックする回数の方が多いのではないかとさえ思ってしまう。だが,こうして久しぶりに聞いてみると,タイトル・トラックのECMらしい出だしから始まって,熱を帯びてくる展開に痺れてしまった。今回久しぶりに聞いてみて,編成も同じということもあり,Paolo FresuのDevil Quartetの源流はこの辺にあったのではないかなんて思ってしまった。

まぁ,ここに揃ったメンツを考えれば,間違いないよねと思うのが普通なのだが,やっぱりこれはよい。私がラッパのワンホーン好きというのも影響しているところは多分にあるが,この硬派な(と言っても「どフリー」ではない)サウンドには痺れる。ECMの比較的初期のアルバムであり,既にリリースから45年を経過しているのに,全く古さを感じさせないって凄いことである。ちゃんと昔のアルバムも聞かないといかんという反省と自戒も込めて星★★★★★としてしまおう。Ravaのラッパの音は素晴らしいし,マジでカッコいいですわぁ~。

Recorded in June 1975

Personnel: Enrico Rava(tp), John Abercrombie(g), Palle Daelsson(b), Jon Christensen(ds)

2020年8月 1日 (土)

ようやくデリバリーされたJoshua Redman Quartetのリユニオン・アルバムなのだが...。

Roundagain "RoundAgain" Redman Mehldau McBride Blade(Nonesuch)

本国でリリースされていながら,ちっともデリバリーされなかった本作がようやく到着である。コロナ禍の影響がないとは言わないが,それにしても時間が掛かり過ぎで,イライラさせられた。最近のAmazonは新譜がまともにデリバリーされたことがないのはどういう了見かと文句も言いたくなる。

それはさておき,このメンツが集結するのは94年に"MoodSwing"をリリースして以来なので,四半世紀以上ぶりということになるが,当時の若手が,今や現代のジャズ界を支える面々となってのリユニオンである。期待するなって方が無理である。そういう意味では,今年一番の話題作,注目作と言ってもいいぐらいの作品だろう。よって,私としてもCDがデリバリーされる前からストリーミングで期待しながら聞いていたことは言うまでもない。

既にストリーミングで聞いていた時から音の具合はわかっていたのだが,やはり媒体で聞いてみないとわからない部分もあるだろうということで,記事にすることは控えてきた私である。ようやくアルバムを我が家のオーディオで,家人がいないことをいいことに「相応の音量」で聞き直した訳だが,期待値が大き過ぎたかなとついつい思ってしまったというのが正直なところである。

聞いた感じで言えば,ストリーミングで聞いていた時よりは,音の粒立ちが違うこともあって印象はやや好転したのだが,聞き進むにつれて,ストリーミングで聞いていた時にも思っていた感覚が甦ってきたのである。はっきり言ってしまえば高揚感がないのだ。このメンツであれば,オーディエンスをワクワクさせるような演奏を展開できると思うが,最大の難点は曲があまり面白くないことではないか。アドリブ・パートはいいとして,どうも没入できない。贔屓の引き倒しと言われそうだが,私がいいと思えたのは結局Brad Mehldauの2曲なのだ。

演奏のレベルの高さはケチのつけようがないところなのだが,特にJoshua Redmanのオリジナルがイマイチだなぁという感覚に囚われ続けてしまう私である。更に言わせてもらえば,リズム・セクションに比べて,Joshua Redmanの吹奏も音色も魅力的に響かないのである。94年にはリーダーであったJoshua Redmanが今や一番つまらないと思わせるというのが象徴的な気もするが,私にとってはもう少しやれたのではなかったのかと思ってしまうのだ。今や,各々がリーダーとして活躍しているから,Joshua Redman Quartetではなく,4人の連名表記となっているのも仕方ないと思わせるというところか。こういう表記を見ると,私なんかはAnderson Bruford Wakeman Howeを思い出してしまうねぇ(笑)。

はっきり言ってしまえば,このメンツならこれぐらいできて当たり前。オーディエンスは我がままだから,更なる高みを求めるのだが,彼らに期待する高みに達していないのが残念なのだ。これではJames Farmの方がずっとよかったと思えてしまったのが残念である。今回に関しては,いくら私がBrad Mehldauの追っかけだからと言って,何でもかんでももろ手を挙げて最高と言うつもりはないってことだ。Brad Mehldauの演奏については特に文句はないとしても星★★★☆が精一杯。はぁ~。

Recorded on September 10-12, 2019

Personnel: Joshua Redman(ts, ss), Brad Mehldau(p), Christian McBride(b), Brian Blade(ds)

 

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