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2020年6月 4日 (木)

来た!Marcin Wasilewski Trioの新作。Joe Lovanoとの共演やいかに?

_20200601 "Arctic Riff" Marcin Wasilewski Trio with Joe Lovano (ECM)

私にとって今の時代,最も期待させ,それに応えてくれるピアニストはBrad Mehldau,Fred Hersch,そしてこのMarcin Wasilewskiだと言ってもよい。昨年1月のMarcin Wasilewski Trioのライブはまさに完璧と言いたくなるような素晴らしい演奏であったし,それに先立つ"Live"も2018年のベスト盤に選んでいる。それぐらい私を痺れさせてくれるピアニストなのだ。

そのMarcin Wasilewski Trio待望の新作だが,今回はゲストでJoe Lovanoが加わるところがポイントである。Marcin WasilewskiのトリオはもともとTomasz Stankoのバックを務めていたし,自身のアルバムでもサックス奏者Joakim Milderを迎えた"Spark of Life"というアルバムもあるから,管が入っていてもそれは問題とはならないのだが,Joe Lovanoがどうなのかという点に,やはり注意が向いてしまう。しかし,冒頭からそんなことは全く気にならないほど,美しい音楽が聞こえてくる。

このアルバムはWasilewskiの曲が4曲,Joe Lovanoが1曲,4人の共作が4曲,そしてCarla Bleyの"Vashkar"が2回というプログラムであるが,今までにないのはこの4人の共作ということなる。これは共作というよりも,コレクティブ・インプロビゼーション:集団即興と捉えるべきであり,Marcin Wasilewskiにとっては珍しい展開と言ってもよいだろう。これが「熱くならないフリー」って感じを醸し出していて,それでアルバムのタイトルが「北極のリフ」ってことになるのかと思ってしまう。

はっきり言ってしまえば,こういうのは私がMarcin Wasilewskiに求めている世界とはちょっと違うのだが,それ以外については文句はない。でもやっぱりこの人たちはピアノ・トリオでの音楽を追求すべきだろうというのが正直なところ。それでもJoe Lovanoとの相性は決して悪いとは思わないので,それはそれでありなのだが,やっぱり集団即興がなぁ...って感じなのである。

しかし,その一方でWasilewskiのオリジナル,”L'Amour Fou"でのフレージングを聞いていると,おぉ,Herbie Hancockに影響されていたのかなんて思ってしまったのが面白かった。でもよくよく考えてみれば,"Actual Proof"も"Spark of Life"や"Live"でもやってるんだから気づけよ!ってところだが,フレージングで影響を感じたのは今回が一番強烈だったかなってところである。

いずれにしても,本作も十分によく出来たアルバムだとは思うが,いつものように手放しで喜べないのがちょっと残念。それでもやはり彼らには甘く,星★★★★☆。

Recorded in August 2019

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz (ds), Joe Lovano(ts)

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コメント

実は私はサックスが無くとも・・・・いいのですが(叱られそう)、
このトリオのLovanoの参加で、その効果・影響が大きく加味して、進化を十分感じられるアルバムとして好評価をしています。
(TB)
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-70d063.html

風呂井戸さん,こんばんは。リンクありがとうございます。

私はJoe Lovanoとの相性自体には問題なかったと思いますし,やっぱりMarcin Wasilewskiは信頼に値するミュージシャンだと思いました。でもおっしゃる通り,サックスはなくてもいいと言えばその通りですし,私は4人の即興の曲があんまりのめり込めないというのが正直な感想です。でもいろいろやりたくなるのがミュージシャンの性ってところでしょうかね。それでも無茶苦茶レベルは高いものではありますので,やはり信頼度には揺るぎはないですね。

閣下の仰りたいことは、よ〜く、よく、わかります。
が、

「でもいろいろやりたくなるのがミュージシャンの性ってところでしょうかね。」

でしょう。

しかし、あの音の美しさは、本当に何度も何度も耳を傾けたくなりますね。

トラバ、ありがとうございました。m(_ _)m

https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-3aaa02.html

Suzuckさん,こんばんは。リンクありがとうございます。

はい。私にもOKはOKなんですが,完璧ではないってところです。好きがゆえについつい厳しくなってしまいます。

まぁそうは言ってもレベルは高いですよね。

今回はだんだん期待が高まっていく順に聴いています。もともと私、フリーなサウンドも好きなだけに、これはまあ、人それぞれなんでしょうね。ただ、中年音楽狂さんも星4つ半つけているので、書き方の違いで、あまり大きく意見がずれているわけではないと思います。個人的にはなかなか堪能しました。

当方のリンクは以下の通りです。

https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2020/06/post-fd958f.html

910さん,こんばんは。リンクありがとうございます。

私もフリーが苦手って訳ではないんです。Marcin Wasilewskiに期待するものがここでのコレクティヴ・インプロヴィゼーションではないということだけです。それでもレベルの高さは維持していますので,相応に評価はしているつもりですが,彼らのアルバムの中で本作を手に取る機会は,相対的に少ないだろうなぁと思っています。嫌いじゃないけど,全面的に支持できないってところですが,結局は趣味ですからねぇ...。

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