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2020年6月30日 (火)

Eric Kazの”Cul-de-Sac”:やっぱり”If You're Lonely”には勝てない...。

_20200626 "Cul-de-Sac" Eric Kaz(Atlantic)

Eric Kaz,もしくはEric Justin Kazの最高傑作は"If You're Lonely"に決まっている(きっぱり)。それに文句のある人はいないだろうし,文句がある人と私は話したくない(笑)。私の中では"If You're Lonely"こそアメリカン・ロックの良心の一枚だと思っているし,このブログを開設して間もない頃に既に記事にしている(記事はこちら)。それぐらい好きなのだ。

本作はそのEric Kazが"If You're Lonely"に続いてリリースしたアルバムである。"If You're Lonely"が売れたという話は聞いたことがないが,それでもこのアルバムは前作を踏襲した響きを持っていることは明らかであろう。プロデューサーも前作に続いてMichael Cuscunaが務めているから,まぁそうなるわってことなのだが,正直に言ってしまえば,私がこのアルバムをプレイバックする機会は,"If You're Lonely"と比べれば,1/10にもならないだろうというぐらい違いがある。

何が違うかと言えば,それはまさに曲のクォリティだ。別にこのアルバムだって,しょうもない曲が並んでいる訳ではないし,決して悪いアルバムだというつもりはない。だが,私はどうしても"If You're Lonely"と比べてしまうのだ。それはEric Kazにとっては不幸なことかもしれないが,どうしても比較の対象が強力過ぎるのだ。

まぁ,それでもこのアルバムは無視するには惜しいものだし,星★★★☆程度には値すると思う。何が前作と違うかと言えば,私にとっては「渋さ」だろうな。

Personnel: Eric Kaz(vo, g, p, el-p, org, key, synth, hca) with Bob Babbit, Paul Barrere, Malcom Cecil, Gordon Edwards, Booker T. Jones, John Kelson, Jim Keltner, Ray Lucas, Tim Moore, Bernard Purdie, Jerome Richardson, Rocky, Sneaky Pete, David T. Walker and the Waters

2020年6月29日 (月)

続けて昔の坂田明のLPを買ってしまった。

以前,このブログにおいて,坂田明の初リーダー作"Counter Clockwise Trip"を入手した時に記事をアップした(記事はこちら)。その後も昔の坂田明のアルバムを入手するチャンスを狙っていたのだが,そもそも中古盤屋にも行く機会はほとんどなくなっているし,運がよけりゃって感じになっていた。

Peking ところが,先日,たまたまショップに行った際に見つけてしまったのが,Frascoレーベルの第2作「ペキン」であった。まぁ,このジャケを見て買おうと思う人間なんてそうはいない(でもジャケ写真は篠山紀信によるものらしい)と思うが,実のところ,現物を見たのは今回が初めてだったと言っても過言ではない。値段はそこそこ高いと思える値段だったが,ここで買わねば次はいつになるかと思ったのは,"Counter Clockwise Trip" の時と一緒なので,即購入した私であった。

Dance こうなるともう1枚気になってくるのがEnjaから出た"Dance"である。私が学生時代,西荻窪の「アケタの店」において,坂田明トリオを見た時にもやっていた「ラジオのように」が入っているこのアルバム,昔,私は保有していたのだが,売り払うのも早かったような気がする。だが,それもまた猛烈に聞きたくなってしまった私は,Webで探索を始めたら,あった,あったということで,ネットで注文したものが先日デリバリーされた。

この2枚,誰がどう聞いても坂田明なのだが,坂田のヴォーカルの要否はさておき,アルトやバスクラでの演奏はやっぱり坂田だなぁって思ってしまう。"Dance"と同じメンツによる"Pochi"はCDが再発された時に買っているから,私としてはこの4枚と山下洋輔トリオの音源があれば,当面OKというところにしておこう。でも最近の坂田明はどうなっているのかってのも実は気になっている私である(爆)。ついでに言えば,昔持っていた坂田オーケストラのベルリンでのライブ盤ももう1回聞いてみたいなぁ。

2020年6月27日 (土)

Amazon Primeで「マルタの鷹」を見た。Bogieがカッコいいねぇ。

Photo_20200625174201「マルタの鷹("The Maltese Falcon")」(’41,米,Warner Brothers)

監督:John Huston

出演:Humphrey Bogart,Mary Astor,Peter Lorre,Lee Patrick,Sydney Greenstreet

先日,家人が出掛けていたので,一人で夕食を摂りながら,見たのがこの映画である。先日の「地球の静止する日」もそうだったが,昨今はAmazon Primeでこういう古い映画が見られるというのが実によい。更に古いフランス映画とかイタリア映画を加えてくれると尚嬉しいのだが,まずは見られるものを見ることから始めればよいのだ。

そもそも私にとってBogieと言えば「カサブランカ」に尽きる訳で,ほかの映画って恥ずかしながら,あまり見た記憶がない。しかし,このハードボイルドな世界は,「カサブランカ」とは違うBogieの魅力を感じさせるよなぁって思う。正直言って,ストーリー展開にはかなり無理がある,というか唐突感のある展開が見られる。そして相手役のMary Astorは私にはあまり魅力的とは思えない。だが,それを差し引いても,Bogieのカッコよさがこの映画の全てだと言ってもよい。Bogieの一挙手一投足が魅力的なのである。これこそスターだと感じてしまう。

こうした昔の映画は,昨今の映画のようにCGに依存しないリアルな感じがいいのだ。当時のサンフランシスコの情景にもへぇ~ってなってしまった映画であった。星★★★★☆。やはり私は昔の映画が好きらしい...。こうなったら次は「三つ数えろ」だな(笑)。

2020年6月26日 (金)

これは凄い!Bob Dylanの新作は掛け値なしの傑作。

_20200624 "Rough and Rowdy Ways" Bob Dylan(Columbia)

Bob Dylan,79歳,ノーベル文学賞受賞者として放つ8年ぶりのオリジナル・アルバムである。これが実に素晴らしい。と言うよりも凄いねぇとしか言いようのない深みのあるアルバムをリリースした。オリジナル・アルバムとしては"Tempest"にまで遡るが,なぜか私は"Tempest"をこのブログにアップしていない。全く理由が見つからないのだが,書こうと思って失念したってところかもしれない。

それはさておきとして,まずは私は本作をストリーミングで聞いて,あまりのよさにアルバムの購入を決めたのだが,私が最初にこのアルバムを聞いて思い起こしたのがLeonard Cohenの遺作となった"You Want It Darker"であった。そこには詩人,あるいは文学者としての同質性ってところだろうか。アルバムに先んじてリリースされた"Murder Most Foul"のストーリーは音楽と相まって実に深みを持つものだと感じざるをえない。

このアルバムを評価するにはBob Dylanの書いた歌詞をしっかりと吟味する必要があるのだが,歌詞抜きでサウンドだけを評価しても,これは星★★★★★以外にはありえないと思わせるような傑作。突然,オリジナルでシングルをリリースしたり,アルバムをリリースした背景には,おそらく今回のコロナウイルス禍があると想像される訳だが,それについては今のところDylanは何も語っていないはずである。そして,いろいろな人たちの名前が歌詞のそこかしこに出てくるのも何らかのメタファーなのかもしれないなぁ。

Personnel: Bob Dylan(vo, g), Charlie Sexton(g), Bob Britt(g), Donnei Herron(steel-g, vln, accor), Tony Garnier(b), Matt Chamberlain(ds) with Blake Mills, Benmont Tench, Alan Pasqua, Fiona Apple, Tommy Rhodes

2020年6月25日 (木)

企画の勝利みたいな,Tommaso / Rava Quartetによるほぼ映画音楽集。

_20200620 "La Dolce Vita" Tommaso / Rava Quartet (CAM Jazz)

今から約20年前にリリースされたアルバムである。もうそんなに経ったのかと思ってしまうが,リリースされた時から,Enrico Ravaらイタリアのミュージシャンがワンホーン編成でイタリア映画の音楽をやるとなれば,これはまぁ企画として成功間違いなしと私は感じていたはずである。当時は私はそれほど欧州ジャズを聴いていた訳ではない頃だが,それでもそういう直感ぐらいは働いたと思うし,そして,久しぶりに聞いてもやっぱりこれはよかった。

もともとこの企画はベースのGiovanni Tommasoに持ち込まれたもののようだが,そのTommasoがEnrico RavaとStefano Bollani,そしてRoberto Gattoに声を掛けたことが,CAM Jazzのサイトの情報からはうかがえる。そしてやっている音楽は有名,無名取り混ぜたようなイタリア映画音楽集である。2曲,TommasoとRavaがこのアルバムのために用意したと思しきオリジナルもあるが,11曲中9曲は映画のために書かれた音楽である。

例えば,「世界残酷物語」,「イル・ ポスティーノ」,「甘い生活」,「情事」のように映画そのものもよく知られたものもあるし,日本では公開すらされていない映画も含まれるが,例えば「世界残酷物語」のテーマ曲である"More"をRavaが吹けば,そりゃあいいだろうと思ってしまうし,想像通りいいのである。しかし,このアルバム,甘美なだけにはとどまらず,フリーなアプローチも交えて,ビター・スウィートな感覚も持たせているので,一枚のアルバムとしては聞きごたえは維持されていると言ってよい,

まぁ,はっきり言ってしまえば企画の勝利であるから,アルバムとしての意義はそれ相応に認めればいいってところだろうが,それでも,疲れた時にこういう感じのアルバムが手許にあるということは決して悪いことではないと思ってしまう,そんなアルバム。星★★★★。

Recorded on November 11 & 12, 1999

Personnel: Enrico Rava(tp, fl-h), Stefano Bollani(p), Giovanni Tommaso(b), Roberto Gatto(ds) 

 

2020年6月24日 (水)

Simon Phillipsライブのアナログ盤が到着。カッコいいねぇ。

Simon-phillips-live "Studio Live Session" Simon Phillips(Lo End Recs)

Simon PhillipsのFacebookページで紹介されていたライブ・アルバムを米国に発注していたのだが,私の予想より早く到着した。私はこのメンツでのライブを一昨年の正月休み明けに,ブルーノート東京で観たのだが,実はその時,会社の新年会の後に駆けつけたものだから,相当酔っぱらっており,演奏中かなりの時間寝ていたという信じられない失態を演じたのであった。しかし,この音源を聞いて,よくこの演奏を聞きながら寝られたものだと我ながら感心してしまうぐらいのタイトな演奏である。

このアルバムはリヒテンシュタインにあるらしいLittle Big Beat Studiosという会場に少数のオーディエンスを招いてレコーディングされたものなのだが,リヒテンシュタインってのが珍しいなぁなんて思ってしまう。少なくとも私はリヒテンシュタイン・レコーディングの音源って,もしかすると聞いたことはあるのかもしれないが,全く記憶にはない。

そして,なぜこのアルバムが限定LPとしてリリースされたのかはよくわからなかったのだが,このヴェニューでのセッションは結構アルバムとしてリリースされているようだ。これもその一枚としてのリリースだが,昨今のSimon PhillipsのバンドであるProtocolの音楽は実にカッコいいので,高いのは承知で発注したのであった。だったら,ライブでも寝るなよ!なんてお叱りを受けそうだが,ここでもまさに彼ららしい演奏を展開していると言ってよい。まぁギターのGreg Howeは前任のAndy Timmonsに比べると,華に欠ける気がしないでもないが,テクは万全って感じで,ここでの演奏に違和感はない。そして,全曲Simon Phillipsのオリジナルってのも,才能を示すねぇなんて思ってしまう。

やっぱりこういう音源を聞いていると,私はハード・フュージョンが結構好きなんだねぇなんて思うが,こういうのは私に限らず好き者はゲットすべき音源だろうと思う。リリースされたこと,入手したことを喜んで,かつ彼らのライブで寝落ちした反省も込め,甘いの承知で星★★★★☆としてしまおう(笑)。尚,私としては,出来はA面の方がいいかなぁって思っている。

Recorded Live at Little Big Beat Studios on December 2, 2017

Personnel: Simon Phillips(ds), Greg Howe(g), Otmaro Ruiz(p, key),Ernest Tibbs(b)

2020年6月23日 (火)

Amazon Primeで見た「地球の静止する日」。実に素晴らしい。

Photo_20200619182301 「地球の静止する日("The Day the Earth Stood Still")」(’51,米,Fox)

監督:Robert Wise

出演:Michael Rennie,Patricia Neal,Sam Jaffe,Hugh Marlowe,Billy Gray

選択肢は限定的だが,こういうクラシック映画を見られるのもAmazon Primeのよいところだ。多分,この映画のことは聞いたことはあっても,映画自体を見るのは,この年になって初めてではないだろうか。こういう映画はもっと早く見ておくべきだったと思うし,より多くの人に見て欲しくなる,約70年前に作られた平和主義的な映画。SFの体裁を取りながらもその主張は明確である。

主人公である宇宙人Klaatuの言葉を借りて,この映画の主題をかいつまんで言えば,「核兵器や戦争による殺戮で他の天体の征服を考えるのは、他の星からの攻撃に繋がる」ということになるが,ここで「他の天体」を「他の国」と読み替えればよく,戦争は戦争を呼び,負の連鎖を生むだけだということになる。この映画が作られた頃は冷戦のさなかということであるが,こうした主張を映画を通じて投げ掛けた映画人の気概を感じると言いたい。

そういう意味で言うと,この映画のポスターがそうした映画の本質を示しているとは言い難いのには苦笑を禁じ得ないが,だからと言ってこの映画の価値が下がるものではないだろう。派手にドンパチやるだけがSFではないということを見事に示した映画。映像は古臭くても,話の内容は全く古びることがない作品と言ってよかろう。1951年にこの映画が製作されたことの意義も含めて星★★★★☆。後にKeanu Reeves主演でリメイクされるが,時代が変わるとどうなんだろうねぇという興味は湧くが,こっちを見てればまぁよかろう(笑)。

2020年6月22日 (月)

ミスキャスト?と思わせつつ,そこかしこにMarc Copland節が出てくるCindy Blackman盤。

_20200619 "Autumn Leaves" Cindy Blackman Trio (Ninety-One)

しばしの沈黙を経て,ブログも徐々に通常のペースに戻していきたい。

これはまだMarc CoplandがMarc Cohenと名乗っていた頃のアルバムである。中古で拾ったのは随分前だが,当ブログでは記事にしていなかったものだが,そもそも本作はクロゼットにしまい込んでいたので,聞く機会はiTunesに依存していたはずだが,それもほとんど聞いていないはずだ。久しぶりにクロゼットを探索していて,聞いてみるかってことで取り出したもの。

Cindy BlackmanはTony Williamsの影響を隠さない,通常はかなり「叩く」人である。そんなCindy BlackmanにベースはCharnett Moffettときては,通常のMarc Coplandが共演しているメンツとは明らかに違うと思うはずだ。異色の組み合わせと言えばその通りだし,リリシズム溢れるMarc Coplandと「合うのかなぁ?」と思ってしまうのが普通であろう。

そんなアルバムであるが,やはりMarc CoplandはMarc Coplandであったというのがこのアルバムを久々に聞いての結論である。そこかしこにMarc Coplandらしいフレージングが登場して,へぇ~ってなってしまう。まぁいかにも日本制作とでも言うべき,有名曲が並んだピアノ・トリオによるアルバムだが,やっぱり"Now's the Time"はないだろうとか,この”Moments Notice"は...とか言いたく部分もある。しかし,そんな曲でもCoplandは自分の流儀を貫いている。と言うか,こういう風にしか弾かないって方が正解なのかもしれないが,これならばDieter Ilgらとやったトリオ演奏よりも,ずっといい感じがしてしまうから不思議なものである。もちろん,これよりいいアルバムはいくらでもあるし,これはこれで結構楽しめたが,星★★★☆ぐらいが妥当な評価と思う。

尚,ライナーに熊谷美広が,Marc Coplandアレンジによる"Easy to Love"のイントロを「へんな」と評しているが,Marc Coplandのことをわかっていれば,これを「へんな」と感じることはない(きっぱり)。Marc Coplandにとっては普通の,彼らしいアレンジだと思う。

Recorded on May 8, 1989

Personnel: Cindy Blackman(ds), Marc Cohen(p), Charnett Moffett(b)

2020年6月20日 (土)

突如現れたBrad Mehldauのベネフィット・アルバム。

Suite-april-2020

"Suite: April 2020" Brad Mehldau(Nonesuch)

コロナウイルス禍に影響を受けるミュージシャンは多いが,そうしたミュージシャンを支援するためにJazz Foundation of America(JFA)が立ち上げた基金,COVID-19 Musician's Emergency Fundのためのベネフィットを目的に,Brad Mehldauが新しいアルバムを突如リリースした。

Brad Mehldauは家族ともどもオランダに滞在していたらしいが,アムステルダムで録音したこのアルバムにはタイトル通りの組曲と,Neil Youngの"Don't Let It Bring You Down",Billy Joelの"New York State of Mind",そしてスタンダード"Look for the Silver Lining"が収められている。この組曲についてBrad Mehldauは,”A musical snapshot of life [at the time] in the world in which we've all found ourselves",そして "I've tried to portray on the piano some experiences and feelings that are both new and common to many of us." と述べているが,まさしくコロナウイルス禍がもたらした環境下での心象風景と言ったところだろう。

まずは1,000枚限定のサイン入りLPとしてリリースされたが,音源はストリーミングでも聞くことができる。また,追ってCDでのリリースも予定されているはずである。限定LPは送料込みで$110と決して安価ではないが,送料を除く$100は全額JFAに寄付されるとのことであるから,これは基金への貢献するためにも,速攻で発注した私であった。実はその直後にブログを1週間休むこととなった原因に直面することになるのだが...。

お聞き頂けばわかる通り,いかにもBrad Mehldauらしい美しいピアノである。音楽的な評価というより,私はこの心意気を買いたい。このアルバムはBrad Mehldauだけでなく,ジャケットのデザイナー,オランダのレコード・プレス企業,そして発送担当企業も,全て無償で対応しているという,本当のベネフィット・アルバムである。そうした観点でも当然星★★★★★であるが,このアルバムに関しては星の数など関係ないと思って頂けばよいだろう。ご関心のある方は下記のURLへどうぞ。

https://store.nonesuch.com/artists/brad-mehldau/suite-april-2020-limited-edition-180g-signed-lp-mp3-bundle.html

NonesuchのサイトにはBrad Mehldauのコメント付きの映像もアップされているので,それも貼り付けておこう。それにしても,彼の英語は実にわかりやすい。

2020年6月19日 (金)

中年音楽狂の沈黙...。

6/12に記事をアップしてから1週間更新が滞ってしまった。これにはいかんともしがたい理由があったことは,私をよく知る人にはお伝えしてあるが,不特定多数がお読みになる当ブログにおいては,細かいことを書くことは控えよう。

それでも私が今聞いている音楽が,宗教音楽ばかりだということで,読者の皆さんにはお察し頂きたい。フォーレのレクイエムやルネッサンス期の宗教音楽に心の安寧を求める中年音楽狂である。完全復活まではもう少々お時間を頂きたく。

2020年6月12日 (金)

”Soul Junction”:LPが見つからず,CDを購入...。

_20200610 "Soul Juntion" Red Garland(Prestige)

私は長年このアルバムをLPで愛聴してきたつもりでいるのだが,そのLPがどうしても見つからない。売った記憶もないので,絶対あるはずだと思いながら探しても見つからない。神隠しってこんな感じかなんて思うと言っては大袈裟だが,ないものはないのだから仕方がない。ということで,諦めてCDを発注した私である。

それでもって久しぶりに聞いたら,やっぱりこれがよい。スロー・ブルーズで演じられるタイトル・トラックを聞いて,おぉっ,ジャズかくあるべしと思ってしまったではないか。Red Garlandは後年になって晩節を汚した感がなかった訳ではないが,やはり50年代のこの人のピアノはよかったと思わざるを得ない演奏がここには繰り広げられている。ColtraneもDonald Byrdもいいよねぇって感じるこのアルバムであるが,これで最後の1曲を"Hallelujah"のような曲でなく,もっと渋いブルーズとか,ジャズマン・オリジナルで締めていてくれれば,このアルバムの評価はもっと高まったはずだと思うのだが,それでもこれはいいアルバムではある。

別に私は"Hallelujah"が悪い曲だと言っているのではない。私がこの曲を知ったのは映画"That's Entertainment"の中にこの曲が登場したからだが,いかにもミュージカルの曲らしい感じなのだ。そうした曲がこのアルバムのタイトル・トラックが醸し出した雰囲気とは明らかに違うことは誰が聞いても明らかであり,そういうところが惜しいのだ。

そういうこともあって,私はLPではA面しか聞いたことがないような気もするが,LPのA面は濃厚にジャズを感じさせるという意味で本当に好きだった。まぁトータルで言えば星★★★★ってところだろうが,それにしても,どこに行ってしまったのか,私のLP...?

Recorded on November 15, 1957

Personnel: Red Garland(p), John Coltrane(ts), Donald Byrd(tp), George Joyner(b), Arthur Taylor(ds)

2020年6月11日 (木)

今更ながらの”Back on the Corner”。

Back-on-the-corner "Back on the Corner" Dave Liebman(Tone Center)

2006年にリリースされたこのアルバムを今更取り上げるのもどうなのかって気もするが,まぁよかろう。正直言って私はこのアルバムを意図的に避けてきた気がしないでもないのだが,何せレーベルがフュージョン専門みたいなTone Centerレーベルである。そこに来て,このメンツ,つまりDave Liebmanのレギュラー・グループにマイキーとAnthony Jacksonを加えるってどんなことになるのか想像もつかない気がしたからである。マイキーの結構なファンを自認し,Dave Liebmanもかなり好きな私だったら,すぐに手を伸ばしてもよかったはずなのだが,これが縁がないってやつだろう。

そんな私だったのだが,ストリーミングでこのアルバムを聞いたら,何ともマイキーが大活躍ではないか。しかもLiebmanは相変わらずのLiebmanである。これは買わねばってことで,即発注してしまったのであった。ライナーにも書いているが,Dave LiebmanがMilesと初共演したのが"On the Corner"のレコーディングだったらしいのだが,それを振り返るとともに,LiebmanがColtraneやジャズに出会う前の音楽的なルーツである50年代のロックンロールにも思いを馳せながらのレコーディングである。

Milesゆかりの曲は"Ife"と”Black Satin"の2曲だけで,ほかの曲はLiebmanのオリジナルであるが,ヘヴィなファンク・フレイヴァー溢れる音楽である。私がこのアルバムを買う気にになったのは,本作におけるマイキーの活躍ぶりによるところが大きいが,いかにもな音とフレージングを連発されると,マイキーのファンとしては嬉しくなってしまうのだ。そして,なぜベースを2本にしたのかということも,この音を出すためには,ボトムをかなりしっかりさせたいという意図があったと思われるが,それならば,ドラムスももう少し重量感を付加してもよかったように思える。

それでも,本作を今までほとんど聞かずにきた(今はなきテナーの聖地,新橋のBar D2では聞いたことがあったかもしれないが...)ことを反省してしまった。もう少しイケイケ間があれば,更によかったような気もするが,十分に星★★★★には値する。変わった編成のメンツではあるが,Liebmanの意図は達成されたってところだろう。

Recorded on June 12 & 14, 2006

Personnel: Dave Liebman(ts, ss, wooden-fl, p, synth), Mike Stern(g), Vic Juris(g), Anthony Jackson(b), Tony Marino(b), Marko Marcinko(ds, perc)

2020年6月10日 (水)

「遊星からの物体X」をAmazon Primeで見た。

The-thing 「遊星からの物体X("The Thing")」(’82,米,Universal)

監督:John Carpenter

出演:Kurt Russell,Wilford Brimley, T.K. Carter, David Clennon, Keith David

私の実体を知る人からすれば,嘘くさいと言われても仕方がないのだが,私はホラー映画が嫌いである。肝っ玉が据わっていないので,できれば見たくない。だから映画館には基本的に露骨なホラーは見に行かない。この映画も世評では相当表現がきついと言われたものだが,私は多分一度はこの映画をレンタル・ビデオかDVDかあるいはストリーミングで見ていて,大したことないじゃんと思ったと記憶していた。しかし,さて実際のところはどうだったかと問われれば自信がないので,改めて見てみることにした。

結論から言えば,やっぱりあんまり怖くなかった。これに比べれば「エイリアン」は百倍えげつないショッカーだと言いたくなる。それでもこの映画は「内臓系」の表現に弱い人にはちょっと...って感じかもしれないが,製作年度からすれば,「エイリアン」の方が3年も早いが,SFXからしても,「エイリアン」の方がはるかに生々しかったと思ってしまった。まぁ,いかにも低予算っぽいので, それも仕方ないところか。だが,はっきり言ってしまえば,この映画は変異の描写の気持ちの悪さの方が勝っていて,ビビらせるところが少なく,ホラーとしてはイマイチだと思ってしまった。「エイリアン」とばかり比べるのは可哀想かもしれないが,チェスト・バスターはマジで怖かったもんなぁ...。

まぁそうは言っても,閉鎖空間の中でのサスペンスと考えれば,そこそこ見られる。結局は何を求めるかによって評価は違うだろうし,私のようなホラー嫌いからすれば,これぐらいなら許容範囲ってところであったのがある意味よかった(笑)。一般的な人気は結構高いと思われるこの映画ではあるが,まぁ★★★ってところだろうなぁ。

2020年6月 9日 (火)

Criss Crossレーベルはどうなるのか?

Criss Crossレーベルは長年に渡って,多くのミュージシャンに門戸を開いてきた極めて良心的なレーベルだと思う。昔は輸入盤にもかかわらず日本語の帯が付いているというのを不思議に思っていたのも懐かしい。カタログは1981年以来,約40年で400枚近くというかなりのリリース・ペースを誇ったのは,昨年惜しくも亡くなった創設者Gerry Teekensの情熱故というところだと思う。

From-here-to-here しかし,そのGerry Teekensが亡くなって,ピタッとリリースが止まってしまった感のあるCriss CrossレーベルのWebサイトを覗いてみると,ニュー・リリースの告知が出ているではないか。リリースされるのはDavid Gilmoreの”From Here to Here"なのだが,Gerry TeekensにトリビュートするアルバムだとWebにはある。ただ,本作がレコーディングされたのは2018年9月のようなので,Gerry Teekens存命中である。これをGerry Teekens自身がプロデュースしたかはわからないが,少なくとも2019年以降は,かなりレコーディングのペースは落ちていたというのが実態ではないか。だとすると,Criss Crossレーベルの命運は,Gerry Teekensの子供や孫に託されるということになりそうだが,あまり積極的に取り組むように思えないのは残念である。

Generations 私にとっては,Criss Crossレーベルで印象に残っているのは,若き日のBrad Mehldauが参加したPeter Bernstein,Grant Stewart,Mark Turner,そしてWalt Weiskopf等のアルバムはもちろんだが,それ以上に強い印象を残したのはAlex Sipiaginのアルバム群だったかもしれない。生きのいいメンツを集めて,現代のNYCの匂いを強烈に感じさせるアルバム群は結構好きだった。こういうレーベルには存続して欲しいと思うのはきっと私だけではないと思うが,さてどうなることか...。今日はそのAlex Sipiaginを初めて意識した"Generations"のジャケットをアップしておこう。これも久しく聞いていないが,実にカッコいいアルバムであった。

いずれにしても,こうしたレーベルの行く末を心配しなければならないのは実に寂しいことだが,今後のレーベル運営はGerry Teekensの後継者に期待することにしたい。

2020年6月 8日 (月)

コレクターはつらいよ (26):Nonesuchの企画アルバムで2曲演奏するBrad Mehldau。

I-still-play ”I / Still / Play" Various Artists(Nonesuch)

これは長年,Nonesuchレーベルの社長を務めたBob Hurwitzの業績へのトリビュートのために,11人の作曲家が作曲したピアノ曲を収めた企画アルバムである。John Adams,Steve Reich,Philip Glass,Laurie Anderson,更にはPat Metheny,Brad Mehldau,そしてRandy Newman等,よく知られた人もいれば,Louis Andriesson,Donnacha Dennehy, Nico Muhlyのようなそうでもない人(私が知らないだけ?) の作品を収めたものだが,弾いているピアニストは4人。11曲中7曲は自身も1曲提供したTimo Andresが弾き,残りの4曲のうち,Brad Mehldauが2曲,Jeremy Denkが1曲,そしてRandy Newmanが1曲という構成である。

私がこのアルバムを購入したのは偏にBrad Mehldauゆえであるが,このアルバムは,現代音楽的なアプローチのアルバムであり,ジャズ・ピアニストとしてのBrad Mehldauを期待すべきものではない。まぁ,私は現代音楽のピアノ曲もかなり好きな方なので,こういうアルバムはBrad Mehldauが参加していなくても買ったかもしれない。やっぱり買ってないか...(苦笑)。

比較的短い曲が多くて,最長はPat Methenyが作曲し,Brad Mehldauが演奏した”42 Years"で6分36秒,最後のRandy Newmanの"Recessional"なんて1分に満たないし,2分台の曲も5曲あるから,まぁ小曲集の趣である。そうした中で,Brad Mehldauの弾く2曲だが,Timo Andresとは明らかにタッチが違うとわかるのが面白い。ここで演奏されているほかの曲をBrad Mehldauが弾いたら,また別の感覚が生まれたかもしれないと思いつつ,様々な曲想を楽しめるという点で面白かった。

曲としては,Philip Glassが書いた"Evening Song No.2"が実に美しいと思ったが,ほかの曲についても聞きどころが多数あると思えた。Pat Methenyの”42 Years"は序盤はややアブストラクトな響きを醸し出しながら,いかにもPat Metheny的なメロディ・ラインに移行していくところが面白かった。

まぁ,企画アルバムだし,現代音楽的なところもあり,万人には勧めにくいのも事実なのだが,これはこれでありだと思えた。だが,一般的な感覚からすれば,やはり「コレクターはつらいよ」と言いたくなるような作品であることも事実。私としてはこの作品を支持したいが,一点だけ言っておくべきことがあるとすれば,最後のRandy Newmanは必要だったのかということである。ほかの曲とのトーンが違い過ぎて,バランスを崩しているような感じるのは私だけだろうか?

Personnel: Timo Andres(p), Brad Mehldau(p), Jeremy Denk(p), Randy Newman(p)

2020年6月 7日 (日)

くつろぎのRob McConnell Jive 5。

_20200607”The Rob McConnell Jive 5" Rob McConnell(Concord)

今や音楽業界においては,Concord Music Groupは買収を重ねて,ジャズ系のレーベルを多数傘下に収める大企業となっているが,もともとは自動車ディーラーだったCarl Jeffersonが立ち上げた趣味のレーベルみたいなものであった。その音楽にはオーナーであるCarl Jeffersonの嗜好が強く反映していて,激しい音楽とは対極にあるリラックス感溢れるアルバムがそれこそ山のようにあった。そういう意味ではレーベルが立ち上がった1970年代においては,フュージョンに押されていたジャズ不遇の時代において,我関せずって感じでアルバムを制作していたのはやはり趣味人の成せる業である。

そんなConcordレーベルが私にとって結構な意義を持つのは,Stan Getzの"The Dolphin"等のナイスなアルバムがあることもあるが,Ed Bickertにアルバムを作らせたことが重要なのだ。リーダー・アルバムだけでなく,客演も含めて,Ed Bickertというどシブなギタリストにレコーディングのチャンスを与えていたことは今にして思えば,実にありがたいことであった。それでもって,今日はEd Bickertのリーダー作ではなく,Rob McConnellのバンド,Jive 5への参加作である。

Jive 5は全員カナダ人のバンドであるが,そもそもEd Bickertを私が知ったのもPaul Desmondのアルバムを通じてであり,Paul Desmondを支えたカナダ人トリオとの音源も素晴らしかった。カナダ人のミュージシャンはロック界なら,Joni MithcellやらNeil Youngやらと大物がいるが,ジャズ界ではそれほど大メジャーな人はパッと思いつくのはOscar Petersonぐらいだろうか。そう言えばGil Evansもカナダの人だ。しかし,私の場合,カナダのジャズ・ミュージシャンは本作でも聞かれるような感じのくつろぎに満ちた音楽をやっているのを聞くことが多く,そういうイメージが強いのは事実である。

そして,本作もいかにもConcordレーベルらしい音楽である。刺激はないが,とにかく気楽にくつろげる。本作のリーダーはジャズ界では珍しいヴァルブ・トロンボーン奏者であるが,私の記憶が確かなら,この人のBoss BrassってバンドのライブをトロントのBourbon Streetで見たことがあるはずだが,その時の印象も本作に近いものだったと思う。いかんせん,それは既に30年近く前のことなので,記憶が曖昧なのだが,やはりイメージなのだ(笑)。私はこの人のアルバムはEd Bickertとベースの変則トリオでやった2枚も保有しているが,実際,いつもこういう感じだが...。

ここで演奏される音楽は小音量でプレイバックしてもいいもので,今はコロナウイルス禍で飲み屋に行く機会はほとんどないものの,やたらにモダン・ジャズが有線で流れている店が多かった中,こういう音楽を掛けてくれたら,その店の音楽に対する審美眼が感じられると思うのだがってつくづく思ってしまうような音楽。まさにいい意味でのレベルの高いカクテル・ジャズである。ごくまれにしか聞かないが,たまに聞くとこういうのがいいんだよねぇ。ってことで星★★★★。ピアノレスなので,Ed Bickertの伴奏のうまさ(もちろん,ソロも)にも浸れるところがポイントが高い。

それにしても,このCDは中古で買ったはずだが,どうすればこれだけカビる?ってぐらいジャケが小汚い。前のオーナーってどういう保管をしていたのかと文句も言いたくなるが,まぁ中古だけにそれを承知で買っているのだから,自己責任だな(爆)。

Recorded in August, 1990

Personnel: Rob McConnell(v-tb), Rick Wilkins(ts), Ed Bickert(g), Neil Swainson(b), Jerry Fuller(ds)

2020年6月 6日 (土)

買って,売って,また買って...:今日はJames Blood Ulmer。

Ulmer ”Are You Glad to Be in America?" James Blood Ulmer(Rough Trade)

私はこのアルバムについて2012年に記事を書いているし,本作を再現したライブ音源のブートレッグについても2016年に記事にしているから,結局好きなんじゃんって言われそうだ。そもそも,このアルバム,私が大学生の頃にRough Trade盤をゲットしていたのだが,いつの日か覚えていないが,売ってしまったもの。でもやっぱり手許に置いておきたくなって,またも入手してしまった。コロナウイルスの影響もあって,UKからのデリバリーには時間がかかったがようやく到着である。

本作は別ジャケでCDもリリースされているのだが,やはり本作はこのジャケでなければ雰囲気が出ないし,英国Rough Trade盤でなければならないのだという訳のわからないこだわりを示した私である。買→売→買のパターンはこれだけではないが,それでも少数派であることは事実である。iTunesにはダウンロードした音源が入っているのだから,LPは買わなくてもいいだろうって気もするが,それでもムラムラしてしまったのだから仕方がないのである。まだ音は再生していないが,それでも届いたLPの盤質はほぼ完璧で,セラーに感謝したくなってしまった一枚。

それにしてもアホだよなぁ。あぁ無駄遣いとも思うが,コロナウイルス禍により,外で飲む機会もなく,全然小遣いを使うこともないのだから,まぁよしとしよう(開き直り)。

2020年6月 4日 (木)

来た!Marcin Wasilewski Trioの新作。Joe Lovanoとの共演やいかに?

_20200601 "Arctic Riff" Marcin Wasilewski Trio with Joe Lovano (ECM)

私にとって今の時代,最も期待させ,それに応えてくれるピアニストはBrad Mehldau,Fred Hersch,そしてこのMarcin Wasilewskiだと言ってもよい。昨年1月のMarcin Wasilewski Trioのライブはまさに完璧と言いたくなるような素晴らしい演奏であったし,それに先立つ"Live"も2018年のベスト盤に選んでいる。それぐらい私を痺れさせてくれるピアニストなのだ。

そのMarcin Wasilewski Trio待望の新作だが,今回はゲストでJoe Lovanoが加わるところがポイントである。Marcin WasilewskiのトリオはもともとTomasz Stankoのバックを務めていたし,自身のアルバムでもサックス奏者Joakim Milderを迎えた"Spark of Life"というアルバムもあるから,管が入っていてもそれは問題とはならないのだが,Joe Lovanoがどうなのかという点に,やはり注意が向いてしまう。しかし,冒頭からそんなことは全く気にならないほど,美しい音楽が聞こえてくる。

このアルバムはWasilewskiの曲が4曲,Joe Lovanoが1曲,4人の共作が4曲,そしてCarla Bleyの"Vashkar"が2回というプログラムであるが,今までにないのはこの4人の共作ということなる。これは共作というよりも,コレクティブ・インプロビゼーション:集団即興と捉えるべきであり,Marcin Wasilewskiにとっては珍しい展開と言ってもよいだろう。これが「熱くならないフリー」って感じを醸し出していて,それでアルバムのタイトルが「北極のリフ」ってことになるのかと思ってしまう。

はっきり言ってしまえば,こういうのは私がMarcin Wasilewskiに求めている世界とはちょっと違うのだが,それ以外については文句はない。でもやっぱりこの人たちはピアノ・トリオでの音楽を追求すべきだろうというのが正直なところ。それでもJoe Lovanoとの相性は決して悪いとは思わないので,それはそれでありなのだが,やっぱり集団即興がなぁ...って感じなのである。

しかし,その一方でWasilewskiのオリジナル,”L'Amour Fou"でのフレージングを聞いていると,おぉ,Herbie Hancockに影響されていたのかなんて思ってしまったのが面白かった。でもよくよく考えてみれば,"Actual Proof"も"Spark of Life"や"Live"でもやってるんだから気づけよ!ってところだが,フレージングで影響を感じたのは今回が一番強烈だったかなってところである。

いずれにしても,本作も十分によく出来たアルバムだとは思うが,いつものように手放しで喜べないのがちょっと残念。それでもやはり彼らには甘く,星★★★★☆。

Recorded in August 2019

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz (ds), Joe Lovano(ts)

2020年6月 3日 (水)

「ブラタモリ」で黒部ダムを見て,「黒部の太陽」を見るって私も単純だ。

Photo_20200601201501 「黒部の太陽」(’68,日活)

監督:熊井啓

出演:三船敏郎,石原裕次郎,滝沢修,佐野周二,辰巳柳太郎,宇野重吉,寺尾聰,加藤武,樫山文枝

先日,「ブラタモリ「を見ていたら,黒部ダムの回を再放送していたのだが,そう言えば,Amazon Primeで「黒部の太陽」が見られたはずだなぁと思って見てしまった映画。しかし,3時間16分は長い!

黒部ダムの工事って今となっては物凄い大事業だった訳だが,その中でこの映画で描かれるのは,大町トンネルの工事,特に破砕帯への対応における苦闘が中心である。後にそこにはトロリー・バスが走り,現在は電気バスが走って,観光の手段となっているのだが,そこにはこんな歴史があったのねぇなんて思いながら見ていた私である。そう言えば,「ブラタモリ」でも破砕帯って言ってたしなぁ。

それでもって,この映画は日本の高度経済成長期前夜みたいな時期になると思うが,今の「働き方改革」とは真逆みたいな時代のことである。それでも今の時代においても,大町トンネルの工事を担当した熊谷組のWebサイトには,この時の工事のことが大々的に記載されているし,この映画のセットの写真まで出ているのだから,往時の日本企業のプライドみたいなものを感じるねぇ。

それはさておきであるが,主役の三船と裕次郎はさておき,この時代の役者はみんなカッコいい。滝沢修然り,佐野周二然り,そして辰巳柳太郎然りである。彫りが深いというか,まさにイケメンである。この当時から宇野重吉は飄々とした感じだったってのも面白かったが,息子の寺尾聰と親子役を演じているのも面白かった。やっぱり似てるわ。ただ,物凄いキャストが出ているのだが,誰がどこに出ているのかまでは把握できない,それぐらいの役で出ている人も多かったという感じの映画である。

ってことで,「プロジェクトX」を地で行ったような映画と言ってもよいが,当時の文部省が好きそうな映画である。娯楽的な要素は控えめに,真面目に撮られた映画だとは思うが,それでも3時間16分は長過ぎるって感じがするので星★★★☆。それにしても,熊谷組の工場にトンネルのセットも作ってしまったというのも凄いねぇ。

Photo_20200601203601

2020年6月 2日 (火)

Esperanza SpaldingとFred Herschの期間限定ベネフィット音源現る。

Esperanza_spalding_fred_hersch_live_vill"Live at the Village Vanguard: Rough Mix EP" Esperanza Spalding & Fred Hersch(Download Only)

Esperanza SpaldingがFred HerschとVanguardにライブ・レコーディングで出演したことは認識していたのだが,その音源が,今回はコロナウイルス禍で,影響を受けているミュージシャンを救済するための Jazz Foundation of Americaの資金集めの一環として,ダウンロード・オンリーでリリースされている。しかもこの音源,6/30までの期間限定らしいので,早速ダウンロードしてみた。

タイトルにもある通り,ラフ・ミックスということで,ほとんど編集を施さないかたちでの全5曲であるが,正式には別途アルバムがリリースされるとすれば,その予告編みたいな位置づけになるかもしれない。Village VanguardはFred Herschにとってはホームグラウンドみたいなものだが,気になるのはEsperanza Spaldingとの相性である。ここではEsperanzaはヴォーカルに徹しているが,かなり自由度高く歌っている感じがする。ちゃんとした歌なのだが,かなりスポンテイニアスって感じなのだ。それを支えるFred Herschのピアノは,いつも通りのFred Herschらしいものであるが,そうした感じをよしとするかどうかってところがあるのは事実だ。

正直言って,私としてはEsperanzaがFred Herschのピアノだけをバックに歌うには,ヴォーカリストとしてはちょっと線が細いかなぁって気もしていて,ここは彼女がベースを弾きながら歌うぐらいでよかったのではないかと思う。しかし,本作はあくまでもベネフィット・アルバムとして,その心意気を買うべきものであるので,文句は言うまい。とにかく6月いっぱいの期間限定らしいので,お聞きになりたい方はお早めにってことで。因みに金額はミニマム$17から。

Recorded Live at the Village Vanguard on October 19-21, 2018

Personnel: Esperanza Spalding(vo), Fred Hersch(p)

2020年6月 1日 (月)

Miles DavisとTOTOの共演はどのようなものだったのか?

_20200531 "Fahrenheit" TOTO(Columbia)

Miles DavisがTOTOと本作で共演したことは,私も認識していたのだが,その1曲"Don't Stop Me Now"だけのためにアルバムを買うほどではないと思っていた。しかし,先日もお知らせしたとおり,Columbiaレーベルでのスタジオ録音を修正したボックス・セット"All In"を突然のように購入して,このアルバムも聞けるようになった。そもそもストリーミングでも聞けただろう?って話もあるのだが,そうした意識が芽生えることもなく,このボックスを買って,そう言えばって感じで思い出したのである。

アルバムにおけるその他の曲に関しては,いかにもTOTO的なサウンドで,Don HenleyやらMike McDonaldやら意外なゲストも入っていて,これもなかなかよかったのねぇなんて今更のように思っている私だが,今回はMilesとの共演にフォーカスして書いてみたい。

このアルバムがリリースされたのは1986年なので,Milesの楽歴からすれば,"You're under Arrest"の後ってことになる。"You're under Arrest"はMilesらしいハイブラウな曲に加えて,Michael Jacksonの"Human Nature"やCyndi Lauperの"Time after Time"というポップ・チューンをMilesならではのサウンドに仕立てたというのが特徴みたいな作品であった。ポップ・フィールドへの目配りをしながら,そこに自身の美学を投影するというところがあったところに,本作のオファーがTOTOからあったのかと思う。

TOTOはTOTOでMiles Davisに対して,最敬礼モードというか,歌なしインスト・ナンバーにMilesを迎え,あくまでもMilesのショー・ケースのように仕立てているのが実に興味深い。これが実にMiles Davisらしいムードを醸し出していて,このMiles Meets TOTOは実に感慨深い出来となっているではないか。これぞ極上のBGMと言ってもよいぐらいのムードを放出しているが,こんないい演奏だとは思わなかった。これは私が"You're under Arrest"を全面的には支持していないところもあるからなのだが,このMilesはいいですわと反省したくなってしまった。まさに場をかっさらってしまったというところ。この曲にはDavid Sanbornも参加しているとのクレジットがあるが,ほとんど存在感がないのと対照的。

いずれにしても,Miles Davisのファンはこの1曲のためにこのアルバムを聞いても損はしない。ほんまにええですわ。

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