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2018年おすすめ作

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2019年12月31日 (火)

皆さん,よいお年をお迎え下さい。

Nyc-fireworks

いよいよ大晦日である。年齢を重ねるごとに,時間の経過が早く感じるようになっているが,今年もあっという間に過ぎ去ってしまったように思える。今年はなぜかアジア圏の出張が多かったのだが,タイにもインドにも初めて行ったと言うと,「意外」という反応をされたことがよくあった。しかし,今まで縁がなかったと言えばその通りなのだが,昨年のスリランカ,バングラデシュに続いて,行った国が増えたということでまぁよかろう。

ブログの更新ペースも以前のようにほぼ毎日という訳にもいかなくなってきて,更新が滞ることも多くなった。まぁ,それでもまだマメに更新している方だとは思うのだが,更新頻度の低下は,CDの購入数の減少と連動しているようにも感じる。ストリーミングだけでは記事を書きにくいから,やはり現物CDを購入したものが中心になる。それで追いつかなければ,手持ちのアルバムを改めて聞きながらなんてことになるから,やはり購入が減っていることの証だろう。

ともあれ,このブログを始めて丸13年。我ながらよく続いていると思うが,相変わらずのしょうもないブログにアクセスして頂いた皆さんには改めて感謝したい。ということで,皆さま,よいお年をお迎え下さい。

2019年12月30日 (月)

年の瀬はStan Getzでくつろぐ。

_20191229-2 "Anniversary!" Stan Getz(EmArcy)

年末も押し迫ってきて,ちょっとした時間に何を聞こうかと考えていて,刺激的なのもちょっと嫌だということで,私が選んだのがこのアルバムである。もともと放送音源として録音されていたものをアルバムとしてリリースしたものだが,同じくEmArcyレーベルから出た"Serenity"と対をなす作品。還暦を迎えた頃のStan Getzの好調な演奏を聞くことができるが,オリジナルのLP音源にボートラ3曲を加えているのがポイントが高い。そして,オリジナル・フォーマットに収録されていた4曲は全て10分越えの演奏となっており,ライブならではものと言えるが,実にいい演奏である。

Stan Getzに何を求めるかと言えば,それは「歌心」である。Stan Getzは決してオリジネイターとか革新者とかいうミュージシャンではないが,「歌心」という観点で,この人ほどサックスを歌わせる人は,私の中ではPaul Desmondぐらいしか思い浮かばない。ここでも,ほぼよく知られたスタンダードに魅力を付け加えるという技術において,Stan Getzは極めてポイントが高いのだ。こういう演奏にスリルとかを求めるのは筋が違う訳で,だからこそ,私がStan Getzの魅力に本当に気づいたのは,若干年を取ってからということなのだ。熱く燃えるとかそういう世界とは違う魅力があるのだということは,多少なりとも大人にならないと響かないと思ってしまう。少なくとも私にとってはそうだった。

そうした中で,後年の活動の中で,Kenny Barronをパートナーに迎えたアルバムは実にバランスがよく,Stan Getzも安心して吹ける環境だったに違いないと感じさせる演奏がここには収められている。師走のせわしない時期にこそこういう音楽はぴったりだ。星★★★★☆。

Recorded Live at the Montmartre Club, Copenhagen on July 6, 1987

Personnel: Stan Getz(ts), Kenny Barron(p), Rufus Reid(b), Victor Lewis(ds)

 

2019年12月29日 (日)

2019年の回顧:最後はジャズ編。

今年も押し迫ってきた。ということで,本日は今年を回顧するシリーズも最終回のジャズ編である。ほかのジャンル同様,CDを購入する枚数は減っているが,それでも一番購入したのはジャズのアルバムだろう。

_20191123_20191229080001 そうした中で今年,実は一番優れていると思ったのはDave Holland / Zakir Hussain / Chris Potterによる"Good Hope"である。コンベンショナルなジャズからは一歩離れているとも言えるし,クリポタに本当に求めているのは"Circuits"で聞かせる音楽だったというのも本音なのだが,この三者が一体感を持って展開される音楽の素晴らしさは,一聴するだけでは掴みにくいところもあったのは事実なのだが,聞けば聞くほど感銘度が増すというアルバムであった。

_20190413-2_20191229080001

次もコンベンショナルな世界からは大きくはずれるが,実によいと思ったのがVijay IyerとCraig Tabornによる"The Transitory Poems"である。この現代音楽的とも,フリー・ジャズ的ともいえる音楽における彼らの協調度と創造力は"Good Hope"にも相通ずる部分がある。このアルバムを取り上げた時には,一期一会的な演奏とも書いているが,特殊なセッティングの中で示すこの集中力は実に素晴らしく,感動的な響きだと思った。

_20191008_20191229080601 一方,コンベンショナルなタイプのジャズにおいては, George Garzone,Peter Erskine,Alan Pasqua,Darek Olesのクァルテットによる”3 Nights in L.A." が実によかった。3日間のライブ演奏からいいとこ取りをした感じのこのアルバム,曲のダブり等があるところは改善の余地もあると言えるかもしれないが,実にレベルの高い演奏を聞かせてもらって,こういうのは生で聞いてみたいと思わされた傑作。日本の市場においてはほとんど目立っていないかもしれないが,もっと幅広いリスナーに知られて然るべき作品と思う。

_20190630_20191229081201ヴォーカルについてはほとんど聞いていない私だが,ライブでの演奏も込みにしてCamila Mezaの"Ambar"に尽きる。この人はヴォーカルのみならず,ギターの腕も実に見事なものであり,前作"Traces"も素晴らしかったが,本作ではストリングスも交えて,更に広い音楽性を聞かせるという点で,実に感心させられたし,ライブにおける演奏も素晴らしかったこともあり,ここに挙げておきたい。Camila Mezaはまだまだ一般的認知度は高いとは言えないが,間違いなく今後のシーンの中で輝きを放ち続ける人だと確信している。

_20191124_20191229082701 発掘盤では,順当ならばJohn Coltraneの"Blue World"となるところであるが,私にとっては今年後半にリリースされたLookoout Farmの”Lookout Farm at Onkel Pö's Carnegie Hall" があまりに強烈過ぎて,こちらを取らざるを得ない。この興奮度,なかなか味わえるものではないと思うが,今でも現役でバリバリのDave Liebmanではあるが,往時の激しさ,キレっぷりは半端ではないところを聞けたのは嬉しかった。Richie Beirachなんて,後に聞かせるリリカルな響きとは真逆のような演奏であり,これが時代を映したものという考え方も可能なのかもしれない。とにかく興奮した!としか言えないアルバムである。

_20191229

そして,最後に忘れてはいけないBrad Mehldauの"Finding Gabriel"である。Brad Mehldauという人は多様な音楽性を打ち出しているのは皆さんご承知の通りである。今年なんてテノール歌手,Ian Bostridgeとのツアーもやってしまうのだから,ジャンルなんてとうに超越している。しかし,原理主義的ジャズ・ファンにはそうした越境に対して反発を示す人がいることも事実である。しかし,本作に聞かれるような演奏を聞いていると,ジャンルにこだわること自体に私は意味を見出せなくなってしまう。聖書をコンセプトの中心に据えたこのアルバムから得られるスリリングな感覚は,私にとって実に刺激的なものであった。

そのほかにもナベサダのライブ・アルバムやEthan IversonがTom Harrellを迎えたライブ・アルバム等,ほかにも記憶に残るものは多々あったし,小田切一巳盤の再発なんていう驚きもあった。私としては,来年も極力ジャンルにこだわらず,いい音楽に接していきたいと思う年の瀬である。

2019年12月28日 (土)

今更ではあるが,"Joe Henderson in Japan"がいいねぇ。

_20191227"Joe Henderson in Japan" Joe Henderson (Milestone)

過日,ストリーミングでこれを聞いて痺れてしまったアルバムである。これはJoe Hendersonが単身来日し,日本のリズム・セクションと共演したアルバムであるが,これが実によい。

私はJoe Hendersonに関してはより後年のアルバムから聞き始めたようなものなので,正直言ってJoe Hendersonに対する理解が足りていない。しかし"Inner Urge"等を聞いていると,明らかに後年のアルバムと違った雰囲気を感じていた。そしてここでの演奏を聞いていると,まさにフレージングの宝庫みたいな演奏ではないか。そしてそのJoe Hendersonを煽るリズム隊も素晴らしい。特に日野元彦のドラムスが反応からして特筆ものである。

このアルバムの特徴として,市川秀男が全編でエレピを弾いているところに時代を感じるが,逆にそれがいいって話もある。まぁ,私がRhodes好きってのもあるが,このアルバムでは演奏の感じからして,アコースティックより,エレピでよかったとさえ思ってしまう。そうした点も含めて私にとっては実に魅力的に響く訳だが,全編スリリングな演奏が展開される中,最後の"Junk Blues"なんて実に燃える。

まぁ,ジャケのジョー・ヘンダーソンというカタカナ表記には苦笑してしまうが,このアルバムはもっと聞かれて然るべき作品だと思う。今まで聞いてこなかった反省も込めて星★★★★★としてしまおう。いや,ほんまに燃えますわ。

Recorded Live at the Junk on August 4, 1971

Personnel: Joe Henderson(ts), 市川秀男(p),稲葉国光(b),日野元彦(ds)

2019年12月27日 (金)

2019年の回顧:3回目はジャズ以外の音楽編。

ここ数年,ストリーミングを利用して,無条件に購入するミュージシャン以外の新譜は試聴してから買うようになって,新譜購入は激減し,旧譜も基本的にはストリーミングで済ませることにより,中古盤もめっきり購入することが減少した。よって,今年を回顧すると言っても,昔に比べると大した数の音源は買っていないから今年のベスト盤を選ぶというのも結構大変になってきた。しかし,恒例に従い,今年もまずはジャズ以外の音源からよかったものを選んでみたい。

このブログを見て頂いている方の中にはご承知の方もいらっしゃると思うが,ブログの右側に掲げている「おすすめ作」は私が★★★★☆以上を付けたアルバムなので,当然ベスト作もここから選ぶことになる。しかし,ここに挙げられているジャズ以外の音源のいかに少ないことかということで,ストリーミングで済ませて,購入に至っていないアルバムの多さの裏返しって気もする。

_20191105_20191227143101 そんな中で今年最もよいと思ったのがBrittany Howardの”Jamie”である。Alabama Shakesでのアルバムも素晴らしかったが,ソロになってもその魅力は変わらない。まだ結構若いのに実に優れた音楽性を聞かせてくれた。Alabama Shakesでの活動も期待したところではあるが,これならソロでも十分やっていけると思わせるに十分な傑作。実に素晴らしいアルバムであった。

_20190224 次の1枚は結構今年の序盤にリリースされたものなので,記憶が薄れつつあるが,Paula Santoro & Duo Tauficによる"Tudo Sera Como Antes"がブラジル音楽では実によかった。とか言いながら,ブラジル音楽もほとんど聞いていないのだが,Paula Santoroの声はやはり魅力的だし,このアルバムの選曲にはまいってしまった。ライブで見てみたい人である。

_20190324-2 そして,私が結構感動させられたのがJoni Mitchellの生誕75周年を祝うトリビュート・ライブは,出演したミュージシャンのJoni Mitchellへのリスペクト,シンパシーが強く感じられて,実に気持ちのよいアルバムとなった。全部が全部素晴らしいとは言えないのは事実なのだが,トリビュートってのはこういうものだと言いたくなるアルバム。追ってリリースされたDVDも必見。

発掘盤にもいいものが結構あったが,今年の「ザ・発掘」と言ってよいのはウッドストック・ボックスだろう。これは重量,価格ともに今年の一番であった(爆)。とか言いながら,まだTim Hardinしか聞いてないじゃん。しかし,発掘盤で最も楽しんだのはLinda Ronstadtのライブ盤だったかもしれないなぁ。

_20191222_20191229083701 <追補>と,この記事をアップしてから,年末になって聞いたJoe Henryのアルバム"The Gospel According to Water" を入れ忘れたことに気がついた私である。穏やかながら渋い感覚を表出するこのアルバム,地味ではあるが,実に素晴らしい。ここに改めて,今年のベスト作の1枚として追記しておきたい。

2019年12月25日 (水)

2019年の回顧:第2回は映画編。

20193_20191224225901

今年の回顧の2回目である。「スター・ウォーズ」の新作を見ていないのが残念だが,それはまた来年回しということにしよう。

今年劇場で見た映画は11本に留まってしまった。ライブに行く回数が増えてから,映画館に通う回数が減るというのは仕方ないこととは言え,あまりにも少ないなぁという感じである。だが,去年も劇場では10本しか見ていないから,ペース自体はほとんど変わっていないのかと改めて気づく私である。一方,出張中の機内エンタテインメントで見た映画が14本とこれも少ない。今年は欧米出張がなく,アジア圏ばかりだったので,フライト時間が短かかったり,夜行便が多かったこともあって,これも仕方がないのだが,去年は機内で43本(!)見ているから,それに比べると大幅減である。正直言って機内エンタテインメントで見た新作はどれもイマイチで,評価に値するものが少ないなぁというのが実感である。

そうした中で,今年見た映画では「ブラック・クランズマン」,「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」,そして「ジョーカー」の3本で決まりである。この3本は実に甲乙つけがたいところであるが,シナリオの面白さでは「ブラック・クランズマン」,郷愁すら誘う映画的な面白さでは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」,そして圧倒的な緊張感では「ジョーカー」とそれぞれに個別の面白さを持っていた。そのほかにも「運び屋」や「女王陛下のお気に入り」も記憶に残るが,その一方でMCUや「ターミネーター」の新作はアクションやVFXという観点では凄いねぇと思わせるが,映画的としてはどうなのよってところがあるのはいつも書いている通りである。

上記の3本からどれか1本と言われれば,私は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」と答えると思う。映画好きの琴線に触れるとはこの映画のことだと思えるのだ。とにかくエンド・ロールを見ているときの爽快な感覚は忘れることはできない。この映画について記事を書いたときに私は「終わった後の幸福感」と評しているが,まさにその通りなのだ。

ということで,来年はもう少し劇場にも足を運びたいとは思うのだが,なかなか時間が取れないのも事実。ライブを取るか,映画を取るかと言われると,ここ数年はライブの方が勝っているなぁって感じである。しかし,来年早々には「スター・ウォーズ」を見に行くだろうが,Clint Eastwoodの新作もあって,見るべきものはちゃんと見ていきたいと思う。さて来年はどうなるか?

2019年12月24日 (火)

ようやく到着。Chick Coreaの限定ホリデイ・アルバム。

_20191223 "Flying on the Wings of Creativity" Chick Corea & Gayle Moran Corea(自主制作盤)

このアルバムはChick Coreaのメルマガで知って,発注していたものだが,ホリデイ・シーズンのギリギリのタイミングでデリバリーされた。本作は本当に限定生産だったらしく,現在ではフィジカルな媒体での入手はできない状態で,MP3ダウンロードのみで入手可能となっている。Chick Coreaのサイトには"Hear arrangements of Christmas songs never heard on Earth or other parts of the galaxy."なんて記述があって,その大袈裟さには笑ってしまうが,まぁ,事実と言えば事実である。

私はクリスチャンではないので,ホリデイ・シーズンにどうこうということはない訳だが,やはりそういう季節感というのは大事にすべきだと思うし,公共交通機関さえ止まってしまうロンドンのような街もあって,静かに家族と過ごしながら,こういう音楽を聞けばいいのである。そういう時期に届けられたアルバムに収められた音楽は,純粋に音楽として楽しめばいいと思う。

パッケージを開いてみると,この音源に収められている演奏は,最新のものではなく,2006年に録音されたものである。なぜそれをChick Coreaが今になってリリースする気になったのかは全く不明であるが,普通の音楽ではちょっとなぁと思わせるGayle Moran Coreaの声が,こういう音楽にはフィットしているように思えるから私も勝手なものだ。収録されているのはわずか4曲であるが,スイング感溢れる冒頭の"Pennies from Heaven"から,しっとりした"A Child Is Born",そして"Greensleeves"を経て,Mel Tormeが1945年に書いた"The Christmas Song"で締めるという構成はなかなかよく出来ていると感じさせる。そして,Chick Coreaのピアノがどの曲においても実にいい感じなのである。やっぱり何を弾いてもうまいねぇと改めて感心してしまった。

媒体での入手は難しくなってしまったが,一聴に値する音源だと思う。

Recorded on November 26, 2006

Personnel: Chick Corea(p), Gayle Moran Corea(vo), Hans Glawischnig(b), Tom Brechtlein(ds)

2019年12月23日 (月)

おだやかにして渋いJoe Henryの新作。

_20191222 "The Gospel According to Water" Joe Henry (earMusic)

今年も押し迫ってきたところで,当ブログで取り上げる新譜もこれが最後ではないかと思えるが,Joe Henryからまたも素晴らしいアルバムが届いた。正直言って,Joe HenryのWebサイトをチェックもしていなかった私は,このアルバムがリリースされたことも全く認識していなかったので,危うく越年するところであったが,年内に間に合ったのはよかった。

Joe Henryは現在,前立腺がんの治療を受けているということだが,このアルバムをレコーディングしたのは,闘病に関するアナウンスをしてからのことである。それがこの音楽に影響を与えているとは言い切れないかもしれないが,実に穏やかな感覚に満ちたアルバムである。非常にシンプルな構成で演じられたこともあるが,昔のSSW,あるいはフォーク的な渋さも感じられるように思うのは私だけではあるまい。

ある意味,私はシンガーとしても,プロデューサーとしてもJoe Henryという全幅の信頼を寄せているので,おかしなアルバムをリリースするはずはないとは思っていても,毎度毎度こう素晴らしい音を聞かされると,この人への信頼感はまず一方である。一言でいえば,このアルバムに収められた歌は,心にしみるのだ。穏やかに新年を迎えるには最適なアルバムとして,高く評価したい。そして,彼の病からの治癒を祈って星★★★★★としよう。

Recorded on June 10 & 11,2019

Personnel: Joe HenryJoe Henry(vo, g), Levon Henry(ts, cl), John Smith(g), Peter Warren(p, key), with David Piltch(b), Alison Russell(vo), JT Nero(vo)

2019年12月22日 (日)

来日目前。予習を兼ねてJon Cowherdアルバムを聞く。

_20191219 "Gateway" Jon Cowherd(Agate)

私がNYC出張中にJon Cowherdの演奏を見たのがおよそ2年前のことになるが,その時の演奏が非常によかったので,彼らの第1作"Mercy"を購入し,このブログにも記事をアップしている(記事はこちら)。そんな彼らが来年の年明け早々に来日をすることになっているのだが,それに合わせるようにリリースされたのがこのアルバムである。

このアルバムの存在は,全然知らなかったわけだが,それも当然である。もともとはNewvelle Recordというレーベルから6枚組LPシリーズの1枚としてリリースされたものらしく,おそらくレーベルからの直販以外での入手は困難ということだろう。しかもセットの価格は$400ということで,なかなかハードルは高いのだが,コレクター心をくすぐるレーベルではある。例えば,Season Fourとしてリリースされたセットには,Kenny Wernerの”Church on Mars"というアルバムが含まれているが,Dave Liebman,James Genus,そしてTerri Lynn Carringtonという魅力的なメンツなのだ。この作品は,Season Twoのシリーズに含まれていたものであり,入手のハードルは高かったはずだが,今回,日本限定でCDとしてリリースされたのは実にありがたい。なので,本質的には新譜でもなんでもないのだが,日本ではリリースされたばかりということで,新譜扱いとさせてもらおう。

ここに収められた音楽は,どちらかと言えば穏やかな音場の中に,美的な響きを持たせたかたちのものであり,エレピのみでやっていたNYCでのライブの時の様子とは若干異なるように思える。しかし,アルバムに収められた"Piano Improvisation"3曲を聞けばわかる通り,Jon Cowherdという人のピアノ・タッチの美しさを感じることができる。しかし,Brian Bladeを含む才人を集めたグループなので,演奏のレベルの高さは保証できる。

Jon_cowherd2nd_season ライブの告知ではMercy Projectとなっているが,このアルバム自体はNewvelle RecordのWebではJon Cowherd Quartetとなっているので,実態もしくはコンセプトに違いがあるのかは不明な部分もあるが,それでもJon CowherdとBrian Bladeが一緒になれば,まぁこういう感じになるかってところであろう。ユニークな出自によるユニークなアルバムであるが,これをライブの場でどのように演奏するかは実に興味深い。本作ではJon Cowherdは基本的にアコースティック・ピアノに徹しているが,ライブではエレピも弾くのかどうかによって,サウンドにも変化は生じるはずだ。

尚,もともとのLPシリーズに収められていた音源のジャケットは下のようなもの(これはこれでしゃれている)であるが,音的には今回リリースされた日本版のいかにも「冬」って感じの方がフィットしているようにも思うが,さすがに日本盤のジャケは地味に過ぎないかって気もするなぁ(笑)。

ということで,このアルバムを聞きながら,来年1月の彼らのライブを待ちたいと思う。星★★★★。

Recorded on May 31 and June 1, 2016

Personnel: Jon Cowherd(p), Steve Cardenas(g), Tony Scherr(b), Brian Blade(ds)

2019年12月21日 (土)

出張中に見た映画(19/12編):復路で見たのは懐かしの「私をスキーに連れてって」

Photo_20191219151401 「私をスキーに連れてって」(’87,東宝)

監督:馬場康夫

出演:原田知世,三上博史,原田貴和子,高橋ひとみ,布施博,沖田浩之

出張の復路で見たのが懐かしのこの映画である。これも暇つぶしの一環であるが,何とも懐かしい。前にもこのブログに書いたことがあるが,実は私は結構な原田知世好きであることもあるが,懐かしさにかまけてこの映画を見てしまった。

この映画が製作された1987年と言えば,日本経済がバブルに向かっていた時期であるが,この頃のスキー・ブームというのも今にして思えば懐かしい。今やスキー場のゲレンデはそんなに混みあっていないが,この頃ってリフトに乗るのも大変だったなぁなんて「遠い目」になってしまう私である。その一方でマナーの悪いボーダーに蹂躙されている今のスキー場を苦々しく思っているのも同じ私だが...。ちょうどこの頃は私も会社の同期の連中と志賀とか蔵王に行っていたから,そういう時代だったのだ。

改めてこの映画を見ていて,まぁいい時代だったよねぇなんて思ってしまうが,映画の筋書きとしてはかなり無茶苦茶なところがあって,笑ってしまう。そもそも何で高橋ひとみがバニーのスタイルで出てくるのかとか,突っ込みどころも満載なのだ。それでも原田知世が可愛いからいいのである。こういうのを毒にも薬にもならないと言うが,懐かしさも相まって星★★★☆。それにしても音楽にユーミンを使ったのは当たりだった。懐かしい曲ばかりが出てきますわ。

2019年12月20日 (金)

出張中に見た映画(19/12編):1本目は「ワイルド・スピード」シリーズのスピン・オフだったのだが,やめときゃよかった。

Hobbs-shaw「ワイルド・スピード/スーパー・コンボ("Fast & Furious Presents Hobbs & Shaw")」('19,米,Universal)

監督:David Leitch

出演:Dwayne Johnson, Jason Statham, Idris Elba, Vannessa Kirby, Helen Mirren

師走だというのに,タイに夜行便で向かって,夜行便で帰国した私である。老体に鞭打つとはまさにこれのことだろう。帰路は非常口座席だったのでまだよかったが,往路は本当に座席が狭くて辛いものがあった。そんな出張だし,フライトの時間もそんなに長くないので,見られる映画の本数には限りがあるということで,今回は往路1本,復路1本の2本だけ。往路で見たのがこの映画だったのだが,まさに暇つぶしにしかならないというのはこういうのを言う。

私は何だかんだと言って「ワイルド・スピード」のシリーズは見ているのだが,今回の主役はそのシリーズにも後付けで出てきたDwayne JohnsonとJason Stathamであり,そのキャラを使っただけの,ストーリー的にはシリーズとの関係性はほとんどないものである。しかし,この2人のマッチョが出てくれば,だいたいこうなるよねぇというようなアクション・シーン満載の映画である。だが,このストーリーの無茶苦茶さ加減というのはいかんともしがたく,見ていてアホくさ~と思っていた私である。こういう映画に対して固いことを言うのが野暮だと承知しているのだが,この必然性のない展開にはもはやついていけないって感じである。

映像そのものも,もはや「アニメかっ!」と毒づきたくなるようなものであり,CG全盛の時代に対する皮肉も言いたくなってしまった私である。「ワイルド・スピード」シリーズはキャラの設定で見られる部分もあると思っているが,これはさすがにないなぁと思っていた私である。まぁ,さっさと寝ればよかったと反省したくなるような愚作。星★で十分だ。

2019年12月17日 (火)

2019年の回顧(その1):ライブ編

Marcin-wasilewski

年内はもうライブに行く予定がないので,ちょっと早めだが今年1年を回顧するその第1回目はライブにしよう。

今年行ったライブの本数は20本(22セット)だと思う。昨年が24本だったからちょっと減ってはいるが,ほぼ同じペースだったと言ってよいだろう。9月以降3か月ほど仕事の関係でライブに行けなかったのが,本数減少の原因と言ってもよいが,Scott Hendersonが見られなかったのは返す返すも残念だった。ほとんどがライブ・ハウスでの演奏であったが,それぞれに記憶に残るものである中で,今年何と言っても早い時期に聞いたMarcin Wasilewski Trio(1/25@Cotton Club)の美的な感覚に本当に痺れさせられたと言ってよい。その時の記事に私は「深遠にして繊細,かつダイナミズムも持つ美学」とまで書いているが,あのライブを聞いた段階で,私は今年はこれが最高のライブになると確信していた。それほどの素晴らしいライブであった。彼らが前回来日した時は白寿ホールというヴェニューではあったが,オノセイゲンのしょうもないPAに台無しにされた記憶しかなかったが,その悪しき記憶を完全に払拭した完璧な演奏であった。

Marcin Wasilewski同様に私を感動させてくれたのがCharles Lloydである(9/4@Blue Note東京)。ライブで落涙したのは久しぶりのことであったが,Charles Lloydの衰えることのない創造力,そしてバンド・メンバー選定の審美眼には恐れ入ったと言わざるをえない。Gerald Claytonなんて見事なフィット感であった。

そして,我がアイドル,Brad Mehldauのトリオ(6/1@東京国際フォーラム・ホールC),そしてソロ(6/3@大手町よみうりホール)での2回のライブは,どちらも彼の魅力を十分に感じさせるものであって,本当にいいものを見せてもらったと思えるライブであった。

そのほかにもCamila Meza(9/9@Blue Note東京)やBryan Ferry(3/11@なんばハッチ),Chick Corea Trilogy(4/4@Blue Note東京)等も強く印象に残っているし,そのほかのライブも概ね満足の行くものであった。久しぶりに見た渡辺貞夫(8/7@Blue Note東京)の元気さは先日取り上げたライブ・アルバムの通りである。

但し,一部のライブにおいて明らかなPAの不調が感じられたのは残念だった。特にBlue Note東京はPat Metheny,Donny McCaslin,そしてLee Ritenourの演奏は,PAがよければ,評価も更に上がっていたと思えて仕方がない。今年の後半になってからは改善したのはよかったが,チャージが高いのだから,ちゃんとサウンド・チェックはやるべきだと思えた。

ということで,今年最高のライブの思い出を振り返るべく,ECMでアップしている映像を貼り付けておこう。

2019年12月16日 (月)

実におだやかなナベサダのBlue Note東京ライブ。

_20191215 ”Sadao 2019: Live at Blue Note Tokyo" 渡辺貞夫(JVC)

今年の7月に渡辺貞夫がRussell Ferrante,John Patitucci,そしてSteve Gaddという豪華なバックを従えて出演した時の様子を捉えたライブ・アルバムがリリースされた。なぜか私のところにデリバリーされるのは発売日から10日以上遅れてとなったが,その間はストリーミングで聞いていた私である。

私が行ったのは8/7(その時の記事はこちら)なので,ライブ・レコーディングされた8/8,9の両日の演奏は聞いていないが,受ける印象は大きく変わらない。そして改めてアルバムとして聞いてみると,主題のように実に穏やかな演奏である。決して燃え上がるような感覚ではないのだが,86歳という現在のナベサダの年齢を考えれば,多少なりとも枯れた感じが出てくるのは当然だろうが,それでも演奏にはそんな年齢を一切感じさせないところは実に立派と言わざるをえない。そして,アドリブのフレーズは非常にメロディアス。ライナーはなんと村上春樹が書いているが,そこに村上春樹が書いているように,「同時代の音楽」として十分に楽しめてしまう,「現役の音楽」であって,決して「昔の名前で出ています」でないことは実に素晴らしい。

私がナベサダの新作を買うのはいつ以来かもわからないが,彼のソニー時代の音楽の激しさを廉価盤で知らされて,へぇ~,そうだったのかと改めて思っていたりしたのももう5年以上も前のことになる。とにかく純粋新譜はいつ以来なのか全くわからないぐらいご無沙汰だったのである。もしかするとWarner時代の"Front Seat"辺りが最後だったのかもしれない。それって30年ぐらい前ではないかと時の流れにびっくりするが,それでもここでの渡辺貞夫はまだまだいけていると思う。今後も元気に演奏を続けて欲しいということも含めて星★★★★☆としよう。改めて本当に大したものだと思った私であった。

Recorded Live at Blue Note東京 on August 8 & 9, 2019

Personnel: 渡辺貞夫(as),Russell Ferrante(p),John Patitucci(b),Steve Gadd(ds)

2019年12月15日 (日)

Tinariwenの新譜が出た。相変わらずである。

_20191209 "Amadjar" Tinariwen(Wedge/Anti)

忘年会やら,仕事やらでここのところ,後進の頻度がかなり落ちてしまっているが,まぁ仕方ない。

「砂漠のブルーズ」と呼ばれて久しいTinariwenであるが,彼らの新作を入手するのには結構手間取ってしまった。もともとの発注先は延々入荷待ち状態になっており,それなら海外から飛ばした方が早いではないかということで,注文をキャンセルして米国から飛ばしたものがようやくデリバリーされた。もう最初の発注からは2か月以上経過してしまった。

まぁ,それはさておきである。「砂漠のブルーズ・バンド」としての彼らの音楽は全くブレがないというか,いつも通りの相変わらずの音である。彼らの音楽の持つグルーブは,私にとって実に心地よいものである訳だが,欧米のミュージシャンにも魅力的に響くようで,本作でもゲストとしてフィーチャーされているのはNick Cave and the Bad SeesのWarren Ellis,John Caleとの共演もあるCass McCombs,フランスからは映画音楽作曲家らしい(?)Rudolphe Burger,ドローン系ミュージシャンのStephen O'Malley,そしてWillie Nelsonの息子,Micah Nelson等が参加している。

いつも書いていることだが,彼らの音楽は変わりようがないし,正直言ってどれを聞いても同じように聞こえてしまうというところは否定できない事実だが,それでもいいのだと思えるリスナーが聞けばいいと思うし,彼らのグルーブに軽く身を揺らしていれば私は満足である。ということで,甘いとは思いつつ,彼らの音楽の魅力は抗えず,星★★★★☆。

Personnel: Ibrahim Ag Alhabib (g, vo), Abdallah Ag Alhousseyni (g, vo, clap), Alhassane Ag Touhami (vo, g, clap), Elaga Ag Hamid (g, vo, clap), Eyadou Ag Leche (b, g, vo, clap), Said Ag Ayad(perc, vo, clap), Amar Chaoui(perc), Lala(vo), Aicha(vo), Warren Ellis(vln loop),Cass McCombs(g, vo),Rudolphe Burger(g),Stephen O'Malley(g), Noura Mint Seymali(vo, ardin), Micah Nelson(charango, mandolin), Jeiche Ould Chighaly(g)

2019年12月12日 (木)

久々のライブはOz Noyのトリオだったが,私の眼はKeith Carlockにくぎ付けであった...。

Oz-noy-trio-at-cotton-club 更新がまたも滞ってしまった。師走だけに公私ともに何かと忙しいのだ(とまずは言い訳)。それにも増して,なんとライブに行ったのは9月のCamila Meza以来ということで本当に久しぶりの参戦となった。その間には仕事でScott Hendersonに行きそこなったというアクシデントもあったとは言え,3か月以上空いたというのは私にとっては実に久しぶりな気がする。

それでもって今回行ったのがOz Noy Trio@Cotton Clubである。正直言ってしまえば,私はOz Noyだけだったらライブには行っていない。今回は何と言ってもそのメンツゆえというところである。だって,ベースはJohn Patitucci,そしてドラムスはKeith Carlockなのだ。このメンツであれば,パワフルな演奏を期待しない方がもぐりだ(きっぱり)。

それはそうなのだが,私の注目を一身に浴びたのはKeith Carlockだと言っても過言ではない。私はかつて,Wayne Krantzと来た時にも書いたが,彼のドラムスは「歌っている」のである。もはや単なるリズムの領域を越えている。Oz Noyはエフェクターを使って,いろいろなパターンの音と演奏を聞かせていたが,基本はハードになる。そのバックで,まさに変幻自在のドラミングを聞かせたのがKeith Carlockであったと言ってよいだろう。変な例えだが,今回のような演奏は演奏における振幅が激しく,ほとんどプログレみたいな展開すら聞かせた訳だが,そうした演奏を聴きながら,Keith CarlockならKing Crimsonでもやっていけるなんて演奏中独り言ちた私である(笑)。

逆に言うと,このバンドではJohn Patitucciの実力を十分に発揮させられたかというところには若干の疑問がある。John Patitucciはエレクトリックでもアコースティックでも素晴らしいテクニックを披露する人だが,今回のようにずっと6弦エレクトリックで通すなら,こっちとしてはギターとの高速ユニゾン・フレーズを期待したくもなるところである。しかし,Oz Noyの曲,あるいはアレンジにおいてはそういう感じにはなっておらず,ソロはちゃんと聞かせるフレーズを展開していたとしても,John Patitucciならではの高揚感をもたらさないところには,もったいないって感じ,更に極端に言えば,宝の持ち腐れって感じが強かった。だからこそ,私の注目はKeith Carlockに向いてしまったのだが,それにしてもである。

パワフルでありながら,微妙さも見事な兼ね備えたKeith Carlockのドラミングには,誰しもが興奮させられたことは間違いないところだろう。それゆえ,私の中では今夜のライブはKeith Carlock Bandかっ!?と言いたくなりそうになるほど,Keith Carlockに惹きつけられた夜であった。

もちろん,演奏に破綻はなかったし,ライブとしてのクォリティは保っていたので文句はないのだが,本当に誰を見に行ったのかわからないというのが正直なところであった。Keith Carlockは,来月にはWayne Krantz,Tim Lefebvre との最凶トリオでの来日を控えており,ますますそれが楽しみになってきた。4月にはBill EvansやRobben Fordとまた来るらしいし,私にとってはKeith Carlockのドラミングを拝めるチャンスはそこそこあるということになりそうだ。

最後にひとつOz Noyに苦言を呈しておくと,CDを買えばサインをするとステージでアナウンスしておきながら,サイン会はやらず,CDは一旦店で預かるってのはどういう了見か?私は別にCDを購入していないからいいようなものの,そういう対応はないだろう。その辺りに聴衆を大事にするかどうかのミュージシャンとしての姿勢が見て取れる。こういうファンを大事にする姿勢を示せない人は絶対好きになれないな。ほかのミュージシャンの名誉のために言っておけば,Oz Noyのようなのが例外であり,大概のミュージシャンはずっとフレンドリーだし,ファンを大切にしている。反省させろよ,Cotton Club!

Live at Cotton Club東京 on December 11, 2019

Personnel: Oz Noy(g), John Patitucci(b), Keith Carlock(ds)

2019年12月 8日 (日)

Amazon Primeで「ランボー」を見た。

Photo_20191204204501 「ランボー("First Blood")」(’82,米,Orion)

監督:Ted Kotcheff

出演:Sylvester Stallone,Richard Crenna,Brian Dennehy,Jack Starrett

この映画を見たのは生まれてこの方初めてのことである。Sylvester Stalloneの映画は「ロッキー」のシリーズ以外は大して見ていないので,これも見てなくてもまぁしょうがないってところか。縁がないのである。

この映画,アクション映画ではあるが,ベトナム帰還兵のトラウマも描いているところが,普通のアクション映画と違うところ。この映画におけるSylvester Stalloneはいつもながらのマッチョだが,単なるマッチョではないところが異色と言えば異色。

そしてストーリーはこれほどの「理不尽」はなかろうというような映画である。そういうところもあって,この映画をかなり高く評価する人が多いようにも思うが,私から言わせると理不尽も度を越し過ぎってところか。まぁ,Sylvester Stallone版サバイバル・ゲームみたいな感じだが,1982年という製作年度を考えると,映像は相当シャビーな感じもあるし,カー・チェイスにしても,爆破シーンにしてもB級感たっぷりである。

ということで,見ている限りは別に腹も立たないってところか。とは言っても,続編を見たいという気持ちは湧いてきていないが...(笑)。ちょいと甘めの星★★★☆ってところ。

2019年12月 6日 (金)

超懐かしい!Quincy Jonesの「愛のコリーダ」。

_20191204-2"The Dude" Quincy Jones(A&M)

実に懐かしい。冒頭の「愛のコリーダ」という曲名だけで日本では売れてしまったような気もするが,このアルバム,実にいい曲が揃っている。中でも私としては"Just Once","Razzamatazz",そして"Velas"の3曲が飛び抜けて好きである。

James Ingramが歌う"Just Once"はBarry MannとSynthia Weillの名コンビが書いた本当の名曲である。私は大胆にもカラオケでこれを歌うことがあるが,そう簡単にはいかない(当たり前だ!)。曲よし,歌よし,演奏よしの三拍子とはこれのことだ。"Razzamatazz"はPatti Austinがすばらしいノリで歌い,身体が勝手に動いてしまうこと必定。そして"Velas"である。Ivan Linsのこの曲をToots Thielemansのギター,口笛,ハーモニカでまるで歌うかのように演じている。このアルバムにおける唯一のインスト曲であるが,ここには歌はいらんと思わせるに十分。イントロからメイン・メロの流れはいつ聞いても感動してしまう。

と,ちょっと熱くなってしまったが,それ以外の曲も捨て曲はないと言ってもよい。もう1曲と言われれば"One Hundred Ways"を挙げるが,これに限らず,ナイスな曲揃いである。ただ,「愛のコリーダ」というアルバムの邦題がこのアルバムから私を若いころは遠ざけていたが,もっと早く聞いていれば,もっといい大人になっていたかもなぁ(爆)。結局,Quincy Jonesのアルバムにはやられてしまうということで,星★★★★☆。

それにしても,物凄いメンツが揃っている。パーソネルを眺めているだけで目がくらくらしてくる。あぁ,それって老眼のせい?ほっといてくれ!(爆)

Personnel:Quincy Jones(prod, arr, vo), Charles May(vo), James Ingram(vo), Patti Austin(vo), Jean "Toots" Thielemans(g, hca, whistle), Steve Lukather(g), Louis Johnson(b, clap), Abraham Laboriel(b), John Robinson(ds, clap), Paulinho DaCosta(perc), Herbie Hancock(el-p), Stevie Wonder(synth), David Foster(p, el-p), David 'Hawk' Wolinski(clavinet, synth, prog), Ian Underwood(synth, prog), Greg Phillinganes(synth, el-p, clap), Robbie Buchanan(synth), Lenny Castro(clap), Tom Bahler(vo), Jim Gilstrap(vo), Michael Jackson(vo), Syretta Wright(vo), LaLomie Washburn(vo), Yvonne Lewis(vo), Casey Cysick(vo), Jerry Hey(tp), Chuck Findley(tp), Bill Reichenbach(tb), Kim Hutchcroft(sax, fl), Ernie Watts(sax, fl), Larry Williams(sax, fl)

2019年12月 5日 (木)

実に久しぶりに聞いた「熱狂のコロシアム」

_20191204 "Tempest in the Colosseum" V.S.O.P The Quintet(Columbia)

「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」がまだ田園コロシアムで開催されている頃は,私は現場で演奏を聞いたことはないのだが,まぁあそこでやれば騒音問題は発生するよなぁって場所ではあった。その田園コロシアム時代にV.S.O.P.は2回出ている訳だが,2回ともライブ音源として残ったのは,今にして思えば実に素晴らしいことであった。本作を聞くのも実に久しぶりだが,やっぱりジャズ的な興奮は味合わせてくれる。

このメンツであるから,悪くなりようがないだろうと思ってしまうが,これは現場にいたら絶対燃えてしまうだろう。60年代Miles Davisクインテットから親分を抜いてFreddie Hubbardに代わるという布陣だが,HerbieとしてはMilesを復活させたいと思っていたと言われているものの,Milesがこういう音楽をやったか?あるいはFreddie Hubbardのように吹けたかと考えるとやっぱりそれは難しい。この当時はこのメンツだからよかったのである。

メンバー全員のオリジナルをやっているというところも結構好感度が上がる要因だとは思うが,冒頭の”The Eye of the Hurricane"からしてキレている。特にFreddie Hubbardの吹きっぷりが熱い。このバンドが熱狂を生む一番の要因はやっぱりFreddie Hubbardだったなぁなんてついつい思ってしまう。

このアルバムが,Herbie HancockのColumbiaボックスに含まれていたのが海外では初出だったっていうのも信じがたい事実だが,こういう演奏が東京で残されていてよかったねぇと改めて思う私である。まぁライブだけに相応の粗っぽさはあるものの,40年以上経過した今日でも楽しめてしまうところは,やはり評価しないといかんということで星★★★★☆。

Recorded Live at 田園コロシアム on July 23, 1977

Personnel: Herbie Hancock(p), Freddie Hubbard(tp, fl-h), Wayne Shorter(ts, ss), Ron Carter(b), Tony Williams(ds)

2019年12月 4日 (水)

「ECM catalog 増補改訂版」:資料としては価値を認めるが,改訂ならちゃんと改訂すべきだ。

Ecm「ECM catalog 増補改訂版/50th Anniversary」稲岡邦彌 編著(東京キララ社)

ECMの40周年を記念して本作のオリジナルが発売されたのが2010年7月のことであった。それから約10年を経て,ECMも今年50周年を迎え増補改訂版が発売された。ページ数も940となり,更に分厚い書籍となった。それだけECMがレーベルとして歴史を重ね,更に数多くのアルバムをリリースしてきたことを思えば,実に感慨深いものがある。そして,アルバムをJAPOも含めてカヴァーしているということで,資料性には全く文句はない。

しかし,増補はいいとしても,改訂と言うならば,40周年記念版からの変化については,ちゃんと改めるべきではなかったか。例えば,私がたまたま目にしたところで言えば,ジョンアバとRalph Townerの"Five Years Later"は,Touchstoneシリーズとして後にCDとしてリリースされたにもかかわらず,前回同様「廃盤/未CD化」と表現されているのはどういうことか。せっかく改訂版を謳うならば,ちゃんと前回の記述も一度見直すべきだったというのが本来の「改訂」であろう。その辺りに私は画竜点睛を欠くと言いたくなってしまうのだ。ライター自身に依頼できないのであれば,編著者としての稲岡邦彌が責任を持って加筆なり,修正なり,コメントを加えるなりをするというのが筋だろう。

もちろん,ECMレーベルのファンはこの本を眺めながら,次に何を購入すべきかと考える楽しみを与えてくれるものであることは間違いないのだが,私はこれでは本質的な「改訂」と言えないという思いが強い。ついでにこの本にもう一つ文句を言っておくと,帯には「今世紀最後の完全カタログ」とあるが,なぜ「今世紀最後」と言えるのか?まだ21世紀は80年以上あるし,ECMの歴史はこれからも脈々と続いていくはずだが,もう改訂は絶対しないということであれば,それはそれでよかろう。だが,日本にせよ,ほかの国にせよ同様の書籍が発売される可能性が残っている中での,この「今世紀最後の完全カタログ」という過剰な表現には,強烈な違和感をおぼえると言っておこう。

この労作をまとめ上げた稲岡邦彌からすれば,私の言い分などイチャモンと思われても仕方がないところではあるが,こういうところを看過したのは,正直言って出版社の担当者の責任が大きい。そうした点で評価を下げて,初版より半星減らして星★★★。なんかやっぱり納得いかないんだよなぁ。

2019年12月 2日 (月)

凄いメンツが揃ったMarianne Faithfulのライブ盤。

_20191201-2 "Blazing Away" Marianne Faithful(Island)

私がNYCの在住中に購入したアルバム。本作が出たのが1990年だったが,何と渋くも強烈なアルバムなのかと思った記憶がある。

ライブ・レコーディングされたのはブルックリンにあるSt. Anne's Holy Trinity Churchという教会で,冒頭こそ荘厳な雰囲気さえ感じさせるが,そこから徐々にリズムが強化されていくここでの流れにはぞくぞくさせられた。なかなか個性的なアルバムなので,そんなにしょっちゅう聞くアルバムではないのだが,久しぶりに聞いてみて,キャスティングの妙も含めて,プロデューサーのHal Wilnerの慧眼というものを感じさせる出来であった。

タイトル・トラックのみがスタジオ録音という変則的なライブであるが,ここに集まったミュージシャンが今にしてみれば凄い。The BandのGarth HudsonがMarc Ribotと共演って誰が思いつくだろうか?彼らを含む超優秀なバックに支えられて歌うMarrianne Faithfulの声は,ある意味ダミ声のような感じで好き嫌いはわかれるかもしれないが,これはヴォーカルと演奏が一体となったトータルなアルバムとして聞かれるべきものと思っている。

Blazing-awayそれにしても,この教会の美しいステンドグラスの下で繰り広げられる演奏は,視覚的にも素晴らしいものであったであろうと想像させる。このアルバム,映像版もあったのだが,何とマスター・テープを紛失したことにより,DVD化は困難となってしまったという体たらくは,右の写真を見ると惜しいと言わざるをえない。まぁ,Marianne Faithfulも合意の上で,YouTubeにはVHSテープ起こしの映像が上がっているので,見られないことはないのだが,やっぱり惜しい。

私がこれを聞くのも実に久しぶりのことなのだが,曲はMarianne Faithfulの代表的な曲揃いでもあり,実に素晴らしいアルバムであったことを改めて認識させられた傑作。星★★★★★。

Recorded Live at St. Anne's Cathedral on November 25 & 26 and at RPM Studios in September, 1989

Personnel: Marianne Faithful(vo), Douge Bowne(ds), Garth Hudson(key, accor), Mac Rebenack(Dr. John, p, g), Barry Reynolds(g, vo), Marc Ribot(g), Fernando Saunders(b, vo), Lew Soloff(tp, fl-h) with Don Alias(perc), Charlie Dreyton(ds), Kevin Savangar(ds), Gib Wharton(pedal steel)

2019年12月 1日 (日)

何を歌ってもBryan Ferry色に染まってしまうってのが凄い"Taxi"。

_20191201 "Taxi" Bryan Ferry (Virgin)

師走に入って,今年を回顧し始めると,3月に行ったBryan Ferryのライブは楽しかったなぁなんて思っていて,取り出したのがこのアルバムである。Bryan Ferryのオリジナルは1局のみで,基本的にカヴァー・アルバムなのだが,主題の通り,何を歌ってもBryan Ferry色に染まってしまっている。これがミュージシャンの個性ってところであるが,実に心地よく聞けるアルバムである。

レパートリーは多岐に渡っているが,"Will You Still Love Me Tomorrow"や"Amazing Grace"のような曲に混じって,ソウル系の曲も含まれているのだが,ソウルの「黒さ」みたいなのは皆無と言ってよい。それをよしとするか否かがリスナーの趣味ってことになるだろうが,私のようなBryan Ferry好きには全然問題ない(笑)。オリジナルのソウル的な響きを期待するのではなく,Bryan Ferryによる「翻案」を楽しめばいいと思ってしまう。その他の曲もBryan Ferry版のいい意味での「ムード歌謡」みたいなものである。

まさにこの人にしか出せない世界。来年の2月には1974年のRoyal Albert Hallでの初ソロ・ツアーの音源がリリースされる予定だが,また買っちゃうよなぁ(笑)。この人の音楽は新味はなくとも本当に安心して聞いていられる,ってことで星★★★★。

ところで,すっかり失念していたのだが,私はこのアルバムに関して2年前ぐらいに記事を書いていて,ほとんどトーンが変わらないってのが笑える(記事はこちら)。

Personnel: Bryan Ferry(vo, p, synth, org), Carleen Anderson(vo), Robin Trower(g), Neil Hubbard(g), David Williams(g), Michael Brook(g), Greg Phillinganes(vib, synth), Chris Stainton(org), David Sancious(org), Flaco Jimenez(accor), Nathan East(b), Steve Pearce(b), Steve Ferrone(ds), Andy Newmark(ds), Mike Giles(ds), Luis Jardim(perc), Maceo Parker(as), Andy Mackey(as), Mel Collins(ts), Richard T. Norris(prog)

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