猛暑の中でのアンビエント・ミュージック
"Discreet Music" Brian Eno (Obscure→Virgin)
猛暑が続くと出掛ける気にもならないって時に,自分の部屋で何を聞くか。家人の手前,あまりヴォリュームを上げられないリスニング環境においては,ヘッドフォンで音楽を聞いていることもある私だが,スピーカーから音を出して音を聞きたい時もあるということで,そんな時にはこれなら絶対文句を言われないということで,久しぶりに本作を聞いた。
これぞアンビエント・ミュージックと呼ぶべきタイトル・トラックは,ミニマル・ミュージック以上に環境に同化してしまうということで,まさに音が鳴っていることを意識させないとでも言うべきものである。そうした意味で,これは音楽なのかという議論を生む可能性もあるが,ちゃんと音列は構成されているから音楽は音楽である。だが,これを今回やったように小音量で流していると,音が流れているのか流れていないのかさえどうでもよくなる感じというのを久しぶりに体験した。
それに比べれば,後半の”Three Versions of the Canon in D Major by Johan Pachelbel"はあの「パッヘルベルのカノン」を解体,再構築したものであり,まだ音楽的な要素を感じさせるものではあるが,こちらも小音量で流していると,気持ちよくなってきてしまうというある意味ヒーリング・ミュージックのようなものである。
だが,アンビエントという形態に限って言えば,本質的にはタイトル・トラックこそがEnoの狙う世界であろうが,アルバムとしてのプロダクションとしてはこの組み合わせが必要だと感じたということかもしれない。おそらく,LPの時代で言えば,タイトル・トラックが収められたA面ばかり聞いていたリスナーが多かったのではないかと思えるが,後半のVariationも決して悪くない。
猛暑の中,エアコンの効いた部屋で,これを小音量でプレイバックしている自分は一体何者?とも思いたくなってしまうが,それはそれで心地よい体験であった。環境と同化しているという観点で,音楽として評価をする必要は感じないが,実に存在意義のあるアルバムだと思う。
それにしても,ジャケの写真の暗さは半端ではなく,イメージをスキャンしても何のこっちゃみたいな状態だ(笑)。
Personnel:Brian Eno(synth, key), Gavin Bryars(arr, cond), The Cockpit Ensemble(performer)
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