Gilberto Gil全面参加のRoberta Sáの新作。
Roberta Sáのアルバム,"Delirio"がリリースされたのが2015年10月ぐらいで,このブログに記事をアップしたのが翌年2月のことであった(記事はこちら)。その時にもこの手の音楽についつい惹かれてしまう私は大いにほめたわけだが,それから4年弱の時を経ての新作である。今回のキモはアルバムにGilberto Gilが全面的に参加していることだと思うが,曲作りにも全面的にかかわっているのだから,相当の入れ込み具合である。ついでに4曲目にはJorge Ben Jorも参加して場を盛り立てているが,本質的には相変わらずのRoberta Sáの清楚な声を聞いていればいいって気もする。
本作も実にいいアルバムだと思うのだが,私としてはよりシンプルな音,例えば8曲目"A Vida de Um Casal"のような感じで全編攻めてもらうと更にこのアルバムに評価が高まったのではないかと思える。結局は音に対する好みだと思うのだが,私がブラジル音楽にはメロディ・ラインとシンプリシティを求めてしまう傾向が強いのかもしれないと思ってしまう。そういうことで,3曲目"Cantando as Horas"のような曲にはバックのアレンジが過剰に感じられて,違和感を覚えるのも事実なのだ。
しかし,全編を繰り返し聞いていると,段々味わい深さも増してくる部分もあって,いいアルバムだとは思えてくる。そういう意味でも3曲目の浮いた感じが何とも惜しい。そこを減点して星★★★★としておこう。
Personnel: Roberta Sá(vo), Jorge Ben Jor(vo), Gilberto Gil(g), Ben Gil(g), Alberto Continentino(b), Domenico Lancellotti(ds, perc), Pedro Miranda(perc, vo), Yuri Queiroga(g), Danilo Andrade(key), Laurenco Vasconcellos(vib), Pedro Mibielli(arr, vln), Glauco Fernandez(vln), Nicolas Kurassik(vln), Daniel Albuquerque(vla), Iura Ranevsky(cello), Mestrinho(accor), Jorge Continetino(arr, fl), Marion Sette(arr, tb), Diogo Gomes(arr, tp, flh), Raul Mascarenhas(ts, fl), Ze Carlos "Bigorna"(as, fl), Milton Guedes(fl), Joana Queiroz(cl), Milton Guedes(bugpipe), Banda Giro(arr), Felipe Abreu(arr), Alfredo Del-Penho(vo), Joao Cavalcanti(vo)
« 上海に行って思ったこと。 | トップページ | もはやカテゴライズ不能:Esperanza Spauldingの“12 Little Spells“。 »
「新譜」カテゴリの記事
- Ralph Townerの新作が届く。実に素晴らしい。(2023.03.20)
- 来た!クリポタの新作はアコースティック・クァルテットによるVanguard Live。(2023.03.02)
- 強烈なIggy Popの新作。ほんまに後期高齢者?(2023.03.01)
- Brad Mehldauの新作が届く。ほぼBeatlesで固めているので,紀尾井ホールでのライブの感覚とは異なる。(2023.02.12)
「ブラジル」カテゴリの記事
- 久しぶりにEgberto Gismontiを聴く。(2023.01.17)
- 何とも不思議なMilton NascimentoとHerbie Hancockの「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」出演時の音源。(2022.11.20)
- 気持ちよさの極致:Celso FonsecaとRonaldo Bastosの3枚目。(2022.11.10)
- 前々から気になっていた”Spirit of the Forest”を入手。(2022.09.17)
- 久しぶりに”Paradiso”を聴く:やっぱりこれは最高だ。 #CelsoFonseca #RonaldoBastos(2022.07.29)
コメント
« 上海に行って思ったこと。 | トップページ | もはやカテゴライズ不能:Esperanza Spauldingの“12 Little Spells“。 »
久しぶりの書込です。デビュー当時からのファンからしますと、またまた裏切られたという内容としかいえません。
彼女の良さは、このような軽いポップな内容ではなく、全盛期の力強くも、ブラジルのスタンダードをきちんと現代的に表現するとこに良さがあったと思うのですが、
2005: Braseiro
2007: Que Belo Estranho Dia Para se Ter Alegria(全盛期ライブ)
2012の Segunda Peleからこのような感じになってしまいました。今作も似たような曲調なので、友人にも感想を求めましたが、残念だね・・・でした。私としては★ひとつということろでしょうか。
投稿: ねこねこ | 2019年6月18日 (火) 13時04分
ねこねこさん,こんばんは。
随分と辛らつな評価ですが,私は初期のアルバムを聞いていませんので,比較の対象がありません。本作に関しては,私は前作の方が好きで,正直なところ,Gilberto Gilと相性が悪いのかなと思うところもありました。ただ,私のようなリスナーにはそこそこ魅力的に響くところもありますので,感じ方の違いってそれぞれだなぁと思います。
私はブラジル音楽って結構好きですが,入れ込んでいるという感じでもないので,その辺の適当さってのはありますよね。
投稿: 中年音楽狂 | 2019年6月18日 (火) 23時13分