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カテゴリー「ジャズ(2018年の記事)」の記事

2018年12月30日 (日)

2018年の回顧:音楽編(その2:ジャズ)

2018_albums_4

今年を回顧するのも今回が最後。最後はジャズのアルバムに関する回顧で締めよう。今年もジャズに関してはそこそこ新譜も購入したし,相応の枚数を記事にした。もちろん,聞いても記事にしていないものもあるが,それは優先順位を下げてもまぁいいだろうというものである。

そんな中で,ブログの右側に掲載している今年の推薦盤が,かなり高い比率でECMレーベルによって占められていることは明らかで,私のCD購入の中心がECMになってしまっていることの裏返しと言っても過言ではない。そんなECMにおいて,私が今年最も感銘を受けたのがMarcin Wasilewski Trioの"Live"であった。彼らの音楽の美的な部分と,ライブにおけるダイナミズムが結びついて,これが実に素晴らしい作品となった。彼らのアルバムのレベルは総じて高いが,ますますこのトリオが進化していることを如実に示したものとして,今年の最高作はこれを置いてほかにないと思えた。今回,改めて本作を聞いたが,来年1月の来日が実に楽しみになってきた私である。

ECMにおいては,Bobo Stensonの"Contra la Indecisión"も素晴らしかったし,Norma Winstoneの映画音楽集もよかった。Barre Phillipsのベース・ソロ作にはECMレーベルの愛を感じたし,Ben Monderが効いていたKristijan Randaluの"Absence"も印象深い。そのほかにも優れたアルバムが目白押しだった。そうしたECMにおける次点のアルバムを挙げると,暮れに聞いたAndrew Cyrilleの"Lebroba"ではないかと思っている。記事にも書いたが,このアルバムの私にとっての聞きどころはWadada Leo Smithのトランペットであったわけだが,この切込み具合が実にいいと思えた。

中年音楽狂と言えば,Brad Mehldauなのだが(爆),今年も彼自身のアルバムや客演アルバムがリリースされて,非常に嬉しかった。リーダー作が2枚,Charlie Hadenとの発掘音源,ECMでのWolfgang Muthspiel作,奥方Fleurineのアルバムで4曲,そしてLouis Coleのアルバムで1曲ってのが,今年発売された音源ということになるはずだが,その中ではチャレンジングな"After Bach"を推すべきと思っている。ジャズ原理主義者からすれば,こんなものはジャズとは言えないってことになるだろうが,ジャンルを越境するのがBrad Mehldauなのだということを"After Bach"は強く感じさせてくれた。

ジャズという音楽に興奮度を求めるならば,これも年末に届いたAntonio Sanchezの新作"Lines in the Sand"が凄かった。SanchezはWDR Big Bandとの共演作"Channels of Energy"もリリースしたが,興奮度としては,"Lines in the Sand"の方が圧倒的であり,これぞAntonio Sanchezって感じさせるものであった。このエネルギーを生み出したのはトランプ政権への怒りだが,メッセージ性がどうこうというレベルをはるかに越えた興奮度を生み出したことは大いに評価したい。

もう一枚の興奮作はJohn McLaughlinとJimmy Herringの合体バンドによるMahavishnu Orchestraの再現ライブ,"Live in San Francisco"であった。McLaughlinももはや後期高齢者であるのだが,何なんだこのテンションは?と言いたくなるのは,以前4th DimensionのライブをBlue Note東京で見た時と同様である。いずれにしても,ロック的な興奮という点では,このアルバムを越えるものはないだろう。

そのほかに忘れてはならないアルバムとしてあと3枚。1枚は本田珠也の"Ictus"である。これは2018年の新年早々ぐらいにリリースされたものであり,記憶が風化しても仕方がないのだが,このアルバムを聞いた時の印象は実に鮮烈であった。こうした素晴らしいアルバムが日本から生まれたことを素直に喜びたい。実に強いインパクトを与えてくれた傑作であった。

そしてCharles LloydとLucinda Williamsの共演作,"Vanished Gardens"を挙げたい。アメリカーナ路線を進むCharles LloydがLucinda Williamsという最良と言ってよい共演者を得て,かつ80歳を越えたと思えぬ創造力を維持しながらリリースした本作は,前作"I Long to See You"には及ばないかもしれないが,今年出たアルバムにおいて,決して無視することができない存在感を示している。ここにWayne Shorterのアルバムを入れていないのは,あのパッケージ販売が気に入らないからであって,音楽だけならもっと高く評価していたと思えるが,Shorterの分までCharles Lloydを評価したい。

最後に今年の最も美的なアルバムとして,Lars DanielssonとPaolo Fresuという好き者が聞けば涎が出てしまうような組合せによるデュオ・アルバム,"Summerwind"を挙げておこう。聞き手が想像し,期待する世界を体現するこの二人による超美的なサウンドにはまじで痺れてしまった。世の中がこのように穏やかなものとなることを祈念しつつ,今年の回顧を締めくくりたい。

2018年12月27日 (木)

買ってしまったDave BrubeckのColumbiaボックス。

"The Columbia Studio Albums Collection 1955-1966" Dave Brubeck Quartet(Columbia)

Brubeck_box私は長年のPaul Desmondのファンである。Desmondのアルトから紡ぎ出される音色,フレージングが無茶苦茶好きなのだ。だが,そのPaul Desmondが長年活動したDave Brubeck Quartetのアルバムは,実はほとんど保有していない。私が保有しているDesmondのアルバムはあくまでも,Desmondのリーダー・アルバムなのだ。

正直言って,Dave Brubeckという人は,ダリウス・ミヨーに師事したというキャリアもあり,普通のジャズ・ピアニストとは異なる感じがする。更に"Take Five"等の曲が有名過ぎて,硬派のジャズ・ファンからはそっぽを向かれるタイプの人である。よく言われるのが,Brubeckのピアノはスイング感に乏しいという批判もあるし,私が若い頃通ったジャズ喫茶でも,聞いた記憶はほとんどない。

そんな私がどうしてこのボックスを買う気になってしまったかと言えば,毎度お馴染み新橋のテナーの聖地,Bar D2においてこのボックスのアルバムが連続再生されていたからなのだ。相変わらず,私はDave Brubeckのピアノには大して魅力は感じないものの,アルバム"Gone with the Wind"等で聞かれるPaul Desmondのアルトを聞いてしまっては,これはやはりPaul Desmondのために買わねばならんと思ってしまったのである。まぁ,19枚組で8,000円もしないということのお買い得感もあり,ついつい発注してしまった私である。

先日,Art Ensemble of Chicagoボックスも届いたばかりで,いつ聞くのよ?と聞かれれば,そのうちとしか言いようがないが,正直言って,AECボックスよりは敷居ははるかに低いので,短時間で聞き通せそうな気もする(ほんまか?)。実際,AECボックスはまだ1枚しか聞いていないのに,こっちはもう2枚聞いてるしねぇ(笑)。Paul Desmondの魅力はやはり抗い難いところがあるのだ。

ということで,このボックスもゆっくり年末年始を通じて聞くことにしようと思った次第。それにしても,こんなにあったのかと思うぐらいアルバムをリリースしていたのねぇ。知ってるアルバムの方が少なかったのが面白かった。

2018年12月25日 (火)

年末になって届いたFred Herschの未発表ライブ音源がいいねぇ。

"Trio '97@ the Village Vanguard" Fred Hersch (Palmetto/King International)

_20181224Fred Herschにとって,名門Village Vanguardはホームグラウンドのようなもので,来年も新年早々に出演が決まっている。そんなFred Herschが自身のトリオでVanguardに初出演したのが1997年のことだそうである。その時の音源が残っていて,それがこの度めでたくリリースされた。

録音されてから既に20年以上の時が経過しているので,現在のFred Herschのスタイルよりはやや力感が強いように感じられる。まぁ,その間には昏睡状態に陥っていた時期がはさまれているので,違いがあるのは当然と言えば,当然かもしれない。

しかし,ここで聞かれる音楽は,その後に通じるFred Herschの美学が表れていて,実に素晴らしい。私にとってはホリデイ・シーズンのギフトとして大いに楽しんだ。それはFred Herschのファンにとっても同様のはずで,彼のキャリアを振り返る時に,非常に意味のある音源の発売を素直に喜びたい。

今回,私が珍しくも国内盤を購入したのは,それは偏にボートラの"The Neaness of You"が聞きたいがゆえである。ライブの場でなら,アンコールとしてソロで演奏されてもよい曲だと思うが,ここでのしっとりしたトリオ演奏で締めくくられるディスクは,行く年を送るに相応しい余韻を残すと言えるだろう。リリースされたことを喜ぶという意味も込めて,甘いとは知りつつ星★★★★★としよう。

Recorded Live at the Village Vanguard on July 18, 1997

Personnel: Fred Hersch(p), Drew Gress(b), Tom Rainey(ds)

2018年12月24日 (月)

2018年の回顧:ライブ編

年の瀬も迫ってきたので,そろそろ今年の回顧をしなければならない時期となった。まずは,今年はもう行く予定のないライブから。

今年も結局ライブは24本見たはずである。去年は31本見ているから,若干減ったとは言え,月2本ペースである。結構行っているねぇ。そのうち,NYC出張中が6本。どれも印象に残っているが,やはり毎回出張する度に行っている55 Barは印象深いし,楽しい。超狭い空間で,クレジット・カードも使えないが,それでもあの雰囲気で,Mike SternやWayne Krantzが出ているのだから,稀有な体験ができる場所であることに変わりはない。私は見られなかったが,先日にはJohn Escreet,Matt Brewer,それにAntonio Sanchezというバンドにクリポタがシット・インしたと,クリポタがFBに上げていた。そんな瞬間に遭遇したら悶絶確実だが,そういうことが起こる街なのだ。その時の模様が一部インスタに上がっているので,URLを貼り付けておこう。これだけでも悶絶である(こちら)。

そうした中で,今年のベスト・ライブは何だったかと考えると,興奮度からすると,Adam Rogers Diceだっただろうか。珍しくも私は1st,2nd通しで見たのだが,1stが変態ファンクだったのに対し,2ndはジャズマン・オリジナルやスタンダードも交えるということで,両方見ないと,彼らの本質は理解できないではないかとさえ感じる部分もあったが,やっぱり燃えてしまった。ちょっと古い映像だが,雰囲気はそう変わらないので,彼らの55 Barでの演奏の模様を貼り付けておこう。

そして,Fred Herschのピアノ・ソロもいつもながら素晴らしかった。昨今のアルバムでは,ややアブストラクトな感覚が出てきているHerschであるが,Cotton Clubでのソロは,彼のピアノの美しさを堪能できるライブであった。やはり彼のピアノはいつ聞いても素晴らしい。こちらもやや古い映像になるが,Cotton Clubでもアンコールで弾いた"Valentine"の演奏を貼り付けておく。

また,友人からのお誘いで,Paul McCartneyの国技館ライブに行けたのは本当にラッキーであった。もちろん,ドームで見るのもいいのだが,国技館クラスの会場で彼らの演奏を見ることは至福であった。そのライブの中でも私の懐かしさを刺激した"From Me to You"の模様を。ブート映像なので,いつまで有効かわからんが,まぁよかろう。

しかし,私としての反省事項もある。今年最初に行ったライブである,Blue Note東京におけるSimon Phillips Protocolの演奏は,会社の新年会の後に駆け付けたため,既に酒が回った私は,猛烈な睡魔に襲われて,途中から記憶なしという体たらく。それ以外のライブではそういう失敗はなかったが,体調は万全にして臨まないといかんと改めて反省。

来年も既にライブの予定はそこそこ入っているが,1月からPat Methenyの新グループやら,Marcin Wasilewskiやらと大いに楽しみにしたい。

2018年12月23日 (日)

年末で記事の更新が滞ってしまった。ってことで,今日はECMのAndrew Cyrille作。

"Lebroba" Andrew Cyrille(ECM)

_20181223先日,海外出張から帰国してから,体力的な限界を感じる中,年末の飲み会とか,ゴルフとかもあり,音楽をゆっくり聞いている暇もなかったというのが実感だ。そのため,記事の更新が滞ってしまったが,ここにも何度か書いているように,以前だったら,投稿の間を空けることに抵抗があったが,最近はそうでもなくなってきたというところに,私も加齢を感じるとともに,ブログへの向き合い方にも若干の変化を感じる。できるときにやればいいのであって,無理に書く必要もないってところである。それによって,PV数は伸びなくなるが,まぁ素人なので,別にそれは大したことでも,クリティカルなことでもない。そうは言いつつ,やめる気もないのだが...。ってことで,今日はこのアルバムである。

Andrew CyrilleってECMとあまり結びつかないイメージだったのだが,Ben Monderのアルバムに参加して,更にはリーダー作として,"The Declaration of Musical Independence"を発表して,そして本作につながる訳だが,全てが総帥Manfred Eicherではなく,Sun Chungのプロデュースという共通項がある。Eicherが引退した後のECMレーベルは,このSun Chungに引き継がれていくと思うが,以前にも書いた通り,この人のプロデュース作には独特なアンビエンスが感じられるという印象が強い。

そして,今回はドラムス~ギター~トランペットという変則的な編成で演じられるが,前作にも参加していたビルフリはさておき,このアルバムのキモは私はWadada Leo Smithのラッパだと思う。比較的静謐な音場を切り裂くWadada Leo Smithのトランペットは静かな中にも,独特の興奮を生み出していて,これはいいと思えてしまう。以前のECMにもこういう変則的な組み合わせのセッション・アルバムが存在したが,そうした感覚を思い出させるものとも言える。

ビルフリはベースレスでも関係ないわって感じで,独特な音場を構築しながら,フレージングはらしさをとことん打ち出してきて,Andrew Cyrille名義のアルバムでありながら,3者のコラボ的な部分が強く感じられるし,曲も持ち寄りであるから,緊密な連携作であることは間違いない。

いずれにしても,このアルバム,ECM的なカラーを持たせながらも,こういうアンビエンスはどうよ?って感じの音作りで,私は大いに気に入ってしまった。でもやっぱり本作はWadada Leo Smithがその価値を高めたのは間違いない。星★★★★☆。

Recorded in July, 2017

Personnel: Andrew Cyrille(ds),Wadada Leo Smith(tp), Bill Frisell(g)

2018年12月19日 (水)

Antonio Sanchez同様に,怒りを音楽へと昇華させたWayne Escoffery。

"Vortex" Wayne Escoffery(Sunnyside)

_20181218このアルバムを新譜と呼ぶには,リリースから時間が経ち過ぎているが,まぁ今年のリリースだから許してもらうことにしょう。正直言って,このアルバム,ほかのアルバムとの抱き合わせで購入したものなのだが,これを見逃していた(聞き逃していた)ことは実にもったいないことだったと反省した一枚である。

Wayne EscofferyはTom Harrellのバンドで,その名前が知られるようになったというのが妥当なところだろうが,昨今はリーダーとしてもアルバムをリリースしていて,私も彼のアルバムは結構買っているし,Cotton Clubでのライブも見に行った(その時の記事はこちら)。このアルバムはその時のライブとベース以外は同じメンツで吹き込まれているが,メンツゆえにライブでも激しさを打ち出した彼らだったが,本作の演奏も相当の熱量で迫ってくる。それはDavid KikoskiにRalph Petersonという剛腕を従えているということもあるが,この熱量を生んでいるのがWayne Escofferyの差別への怒りである。そうした観点ではAntonio Sanchezの新作同様に,この音楽を生み出すモチベーションは怒りなのである。

だが,そうした怒りは露骨に表現されるというよりも,非常に活力のあるジャズ・アルバムとして出来上がったところがよい。こういう熱い演奏を聞いていると,やっぱりジャズにはこういうエネルギーが必要な時もあるよなぁと思う。美的なジャズもまたよしではあるが,たまに聞くフリー・ジャズや,こうしたタイプの演奏を聞いていると,ジャズという音楽の懐の深さを改めて感じた私である。正直言ってこのジャケは購買意欲をそそるものではないが,それでもこの音楽を聞いたら,その魅力はすぐにわかるってところである。

なので,私も結構贔屓にしているJeremy Peltの1曲でのゲスト参加が不要にさえ思えてしまうという具合なのだ,いずれにしても,Wayne Escofferyの実力,そしてサイドマンの力量も十分に感じられる力作。もっと早く聞いておくべきであった。星★★★★☆。

Recorded on March 4, 2016 and March 7, 2017

Personnel: Wayne Escoffery(ts, ss), David Kikoski(p), Ugonna Okegwo(b), Ralph Perterson Jr.(ds), Jeremy Pelt(tp), Kush Abadey(ds), Jaquelene Acevedo(perc)

2018年12月11日 (火)

JLF解散後にリリースしたJeff Lorberのソロ・アルバム第1弾。

"It's a Fact" Jeff Lorber(Arista)

_20181208_2なんだかんだ言ってJeff Lorberの音楽が好きな私であるが,いつも書いているように,そこに感じるのは「中庸の美学」なのだ。突出したことはやらないが,安定感のあるフュージョンを聞きたければ,私はJeff Lorber,特にJeff Lorber Fusion(JLF)のアルバムを聞けばいいと思っている。だからと言って,何でもいいという訳ではないし,私もJeff Lorberのアルバムをすべては保有していないから,大したことは言えた筋合いではない。しかしである。やはりこの人の音楽は一般的なリスナーに対しても十分な訴求力を持つものだろうと思っている。どういう場にでも合ってしまうってところだろうか。

そんなJeff Lorberが第1期(?)のJLFを解散して,ソロ名義でリリースした第1作が本作。振り返ってみれば,1982年のリリースなので,既に35年以上前なのねぇ。正直言って私がこの人の音楽に目覚めたのは,ずっと後のことであり,リアルタイムでは聞いていない。それはJLFについても同じである。ジャズ喫茶でプレイバックされているのは聞いたことがあるかもしれないが,若い頃には彼らの音楽の魅力に気づく余裕もなかったかもしれないなぁと思ってしまう。

このアルバムも購入したのは後付けで,しかも中古でのゲットではなかったかと記憶しているが,JLFからよりポップな感覚を強めたってところであろう。まだこの頃はKenny GがKenny Gorelickで参加しているのも懐かしいが,JLFのタイトさよりも,よりライトな感覚が強くなっているところをどう評価するかってところではないかと思う。私としては,タイトさが残る"Full Moon"やら"Always There"のような曲が好みではあるが,後のスムーズ・ジャズなるカテゴリーの萌芽と言ってもよいような演奏。それを時代を先取りしていたとまで言おうというつもりはないが,それがJeff Lorberのプロデューサーとしての嗅覚につながっているのかもしれないなんて思ってしまった。

でも正直言って,私はJeff Lorber名義のアルバムより,JLFのアルバムの方にはるかにシンパシーを感じてしまうのも事実なのだ。ってことで,ちょっと軽いなぁってこともあり,星★★★ぐらいにしておこう。評価はその程度だが,楽しんで聞けるのは間違いない。

Personnel: Jeff Lorber(p, key, g), Marlon McClain(g), Nathan East(b), John Robinson(ds), Greg Walker(vo), Arnold McCuller(vo), Sylvia St. John(vo), Lynne Davis(vo), Kenny Gorelick(ts, ss, fl), Paulinho Da Costa(perc), Tom Browne(tp, fl-h), Pat Kelly(g), Pete Chrstrieb(horn)

2018年12月 9日 (日)

Art Ensemble of Chicagoのボックスが届く。いつ聞くねん?(苦笑)

"The Art Ensemble of Chicago and Associated Ensembles" Various Artists(ECM)

Aec_and_associated_ensembles一部の好き者の間(爆)で話題のボックス・セットである。ECMにおけるArt Ensemble of Chicago(AEC)のアルバムと,AECのメンバーが参加したアルバムを集成したものであり,18アルバム,21枚組のセットである。正直なところ,これを全部聞くのは大変だなぁと思いつつ,私はECM好きの割に,ここに入っているかなりの数のアルバムを保有していなかったので,丁度ええわということで購入である。

なぜ,かなりの数を私が保有していないか?それは不勉強ゆえにAECの音楽の魅力がよくわかっていなかったということが一番大きい。そうは言いながら,AECが山下洋輔と共演した"First Time"やら,Brigitte Fontaineとやった「ラジオのように」とかも聞いているし,Lester Bowieのリーダー及び参加アルバムは比較的持っている。結局のところ,AEC単独での活動,あるいはそこで展開される音楽にやや苦手感があったのかもしれないなぁと思っている。ということで,今日は18アルバム中"I"となっている"Nice Guys"をプレイバックしている。

"Nice Guys" The Art Ensemble of Chicago(ECM)

Nice_guys思えば,私はこのアルバムを,昔LPで保有していた。多分買ったのは10代の後半だったと思うが,その頃には全くこういう音楽を理解できていなかったというのは上述の通りである。だから売り払うのも早かった。その後,私はどっぷりとECMというレーベルにはまっていくわけだが,それでもAECはフォローの対象からははずれていたのである。

ということなので,このアルバムを聞いたのは何十年ぶりってことになってしまうが,やっぱり変わっているというか,この人たちにしかできない音楽だなぁって気がする。完全なフリーではなく,それこそ「アンサンブル」として演じられるところが,この人たちの面白さなのかなぁと改めて感じた私である。でも,最後に収められた"Dreaming of the Master"とかの路線は非常によかった。多分,以前はB面のこの曲まで行きつかなったんだろうなぁ(笑)。星★★★★。

Recorded in May 1978

Personnel: Lester Bowie(tp, celeste, b-ds), Joseph Jerman(ts, ss, as, sopranino, cl, fl, conch shell, vib, gongs, congas, whistles, vo), Roscoe Mithcell(as, ts, ss, piccolo, fl, oboe, cl, gongs), Malachi Favors Maghostut(b, perc, melodica), Famoudou Don Moye(ds, bells, bike horns, congas, tympani, marimba, bongos, chimes, conch shells\, whistle, wood blocks, cowbells)

2018年12月 4日 (火)

超久しぶりに聞いた"The Falcon and the Snowman"

”The Falcon and the Snowman: The Original Motion Picture Soundtrack" Pat Metheny Group (EMI Manhattan)

_20181202これを聞くのは何年ぶりだろうか?実を言ってしまえば,このアルバムはクロゼットの奥にしまわれていて,日頃プレイバックの機会はなかった。少なくとも,現在の家に引っ越してからは一度も聞いていないはずだ。そんなアルバムだが,先日,別のCDを探していて,これと"Song X"を久々に取り出してきた私である。

まぁ,これは映画(邦題は「コードネームはファルコン」)のサウンドトラックなので,通常のPat Metheny Groupの演奏と同等に扱うべきではないが,久しぶりに聞いてみると,結構彼ららしいサウンドもあって,特にPedro Aznarが加わる2曲はいい感じだと思える。ただ,やっぱりハイライトはDavid Bowieと彼らの共演である"This Is Not America"ってことになるのは仕方ないだろうねぇ。PMGとしては最新(最後?)の来日公演である2009年1月のBlue Note東京でのライブでもこの曲をやっていたのが懐かしい。

実に久しぶりに聞いたのだが,結構あっという間に時間が経ってしまって,実はまぁまぁ楽しめるアルバムだったのだなぁなんて思った私である。

それはさておき,映画の方は名匠John Schlesingerが監督した作品でもあり,Sean Pennも出ていることを考えると,ちょっと見てみたいような気もする。このJohn Schelsingerが撮った作品ではオスカーも取った「真夜中のカーボーイ」(誤植ではない!) が最も有名だろうが,実は「マラソンマン」とかも好きなんだよねぇ。あれはLawrence OlivierによるDustin Hoffmanの拷問シーンが怖かった。いずれにしても,結構渋い映画も多い,今にして思えばいい監督だった。

Personnel: Pat Metheny(g, g-synth), Lyle Mays(p, synth),Steve Rodby(b), Paul Wertico(ds, perc), Pedro Aznar(vo), David Bowie(vo), with National Phiharmonic Orchestra and Ambrosian Choir

2018年12月 3日 (月)

まだまだ出るんだろうなぁ,Keith Jarrettのライブ音源。

"La Fenice" Keith Jarrett(ECM)

_20181201_2Keith Jarrettのライブ音源はある程度のインターバルを置いて,いろいろな場所での音源がそれこそいろいろ出てくる。そして,録音からどうしてこんなに寝かしておく必要があるのかと思わせることも多いが,これもそんな作品である。録音は2006年7月19日であるから,12年以上前である。そして,クラシックの殿堂のようなところの音源もあって,ウィーン国立歌劇場やスカラ座やカーネギー・ホールでのアルバムもあって,これもそうした流れのアルバムである。

最近のKeith Jarrettのソロは,以前のように長大なソロ曲はやらず,だいたいセット当たり5,6曲の即興を行うのが一般的だと思う。前半は現代音楽的なアプローチを強く聞かせ,後半には美的なメロディを増やし,アンコールの小品で痺れさせるって感じの演奏が多いと思う。本作もおそらくはディスク1が前半部,ディスク2が後半ということだと思うが,やはり現代音楽的アプローチが前半は強く出ている。しかし,Part IIIにおいて,いかにもKeithらしいフォーク的な色合いが出てきて,安心感(笑)を結構早く感じられるようになる。そしてその後のPart IVも美しい演奏だし,Part Vはブルージーな感じで,最近の私が聞いたKeith Jarrettのライブより,はるかに聴衆に寄り添った感じがするのがよい。これも場所の成せる業か。ディスク2に移っても,聴衆を突き放す感覚はなく,これはイタリアの聴衆と,La Feniceという場所が影響しているとしか思えない(苦笑)。だって,2曲目には早くもオペレッタ「ミカド」から"The Sun Whose Rays"のような曲をやってしまうのである。

Keith Jarrettは2014年の大阪のライブで完全にキレたことからもわかるように,相当神経質な感じもする人だが,この時はどうも様子が違うと思いたくなるようなピアノの弾きっぷりである。もちろん,それは悪いことではなく,この時の聴衆にとってはまさに幸せなことであったと言わざるを得ない。

こんな調子でアルバムをリリースされるのは,こっちにとっても大変なのだが,こういう演奏なら大歓迎である。星★★★★☆。

それにしてもこのヴェネツィアにあるフェニーチェ劇場,素晴らしい造形である。こういうところで演奏した記録をアルバムとして出したくなるのはアーティストとしては当然か。劇場内部の写真もアップしておこう。美し過ぎるよなぁ。こんなところでオペラを見てみたいものだ。

Recorded Live at Gran Teatro La Fenice, Venice on July 19, 2006

Personnel: Keith Jarrett(p) 

La_fenice

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