まだまだ出るんだろうなぁ,Keith Jarrettのライブ音源。
"La Fenice" Keith Jarrett(ECM)
Keith Jarrettのライブ音源はある程度のインターバルを置いて,いろいろな場所での音源がそれこそいろいろ出てくる。そして,録音からどうしてこんなに寝かしておく必要があるのかと思わせることも多いが,これもそんな作品である。録音は2006年7月19日であるから,12年以上前である。そして,クラシックの殿堂のようなところの音源もあって,ウィーン国立歌劇場やスカラ座やカーネギー・ホールでのアルバムもあって,これもそうした流れのアルバムである。
最近のKeith Jarrettのソロは,以前のように長大なソロ曲はやらず,だいたいセット当たり5,6曲の即興を行うのが一般的だと思う。前半は現代音楽的なアプローチを強く聞かせ,後半には美的なメロディを増やし,アンコールの小品で痺れさせるって感じの演奏が多いと思う。本作もおそらくはディスク1が前半部,ディスク2が後半ということだと思うが,やはり現代音楽的アプローチが前半は強く出ている。しかし,Part IIIにおいて,いかにもKeithらしいフォーク的な色合いが出てきて,安心感(笑)を結構早く感じられるようになる。そしてその後のPart IVも美しい演奏だし,Part Vはブルージーな感じで,最近の私が聞いたKeith Jarrettのライブより,はるかに聴衆に寄り添った感じがするのがよい。これも場所の成せる業か。ディスク2に移っても,聴衆を突き放す感覚はなく,これはイタリアの聴衆と,La Feniceという場所が影響しているとしか思えない(苦笑)。だって,2曲目には早くもオペレッタ「ミカド」から"The Sun Whose Rays"のような曲をやってしまうのである。
Keith Jarrettは2014年の大阪のライブで完全にキレたことからもわかるように,相当神経質な感じもする人だが,この時はどうも様子が違うと思いたくなるようなピアノの弾きっぷりである。もちろん,それは悪いことではなく,この時の聴衆にとってはまさに幸せなことであったと言わざるを得ない。
こんな調子でアルバムをリリースされるのは,こっちにとっても大変なのだが,こういう演奏なら大歓迎である。星★★★★☆。
それにしてもこのヴェネツィアにあるフェニーチェ劇場,素晴らしい造形である。こういうところで演奏した記録をアルバムとして出したくなるのはアーティストとしては当然か。劇場内部の写真もアップしておこう。美し過ぎるよなぁ。こんなところでオペラを見てみたいものだ。
Recorded Live at Gran Teatro La Fenice, Venice on July 19, 2006
Personnel: Keith Jarrett(p)
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キースの演奏でまだまだ録音済みの良いものがこれからも出そうですけど、最近の録音のものがだんだん出なくなってきているのは、ちょっと残念です。ただ、ブラインドで聴けば、いつの音源でもいいものはいい、ということで、このアルバムもけっこう満足しています。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2018年12月 9日 (日) 09時52分
910さん,こんにちは。TBありがとうございます。
最近のKeithのライブでの演奏は,結構敷居が高い感じも強まっていますが,このライブは非常に聞き易いと言いますか,Keithにしては優しい響きが強いように感じました。記事にも書きましたが,これが場所ゆえのことのようにも感じますが,相当機嫌がよかったのかもしれませんね(笑)。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年12月 9日 (日) 10時54分