一聴,KeithのEuropean Quartetを想起させたTrygve Seimの新作
"Helsinki Songs" Trygve Seim((ECM)
書きかけていながら,途中で止まっていた記事を今更ながらアップしよう。振り返ると,1カ月近く放置してしまった。
豊作が続く秋のECMレーベルであるが,これまたいいアルバムである。サックス奏者,Trygve Seimが,ピアノにこれもECMにおける注目株であるKristjan Randaluを迎えた新作だが,一聴して思い浮かべたのがKeith JarrettのEuropean Quartetであった。特に冒頭の"Sol's Song"に聞かれる牧歌的にも,フォーク的にも響く展開がそう感じさせたのは間違いないところで,そうした第一印象を与えるに十分な響きであった。
曲によっては,静謐な展開もあり,まぁ必ずしもKeith的ではないなぁと思わせるが,全編に渡って,粒揃いの曲が並んでいて,これは結構多くのリスナーに受け入れられるのではないかと思わせる。
タイトルに"Helsinki Song"とあるのは,ライナーにあるように,リーダー,Seimがフィンランド,ヘルシンキにあるフィンランド作曲家協会のアパートメントの滞在中に,ここに収められた曲のほとんどを作曲したことによるものだろう。Trugve Seimはノルウェイの人だが,やはり地域的な近接性で通じ合うところもあるんだろうねぇ。
Trygve Seimはその見た目からは想像できないような(笑),リリカルな旋律を生み出しているが,それを支えるKristjan Randaluのピアノが楚々として美しい。こういう音楽を聞いていると,私はまんまとECMの総帥,Manfred Eicherの思うつぼにどんどんはまり込んでいっている気がするが,それでも好きなものは仕方ないのだ。
これもECM好きにはすんなり入ってくる音楽だと思うが,一般的な音楽,あるいはジャズのリスナーにとってはどうなのかなぁと思わせる部分もある。しかし,このスタイリッシュな響きを聞いていれば,私には満足度が高かった。ということで,原則,私はECMには星が甘いがこれも,星★★★★☆としてしまおう。
Recorded in January, 2018
Personnel: Trygve Seim(ts, ss), Kristjan Randalu(p), Mats Eillertsen(b), Markku Ounaskari(ds)
« Hans Otte: このミニマルな響きがたまりまへん。 | トップページ | 安値で入手したMatthew Stevensの初リーダー作。 »
「ECM」カテゴリの記事
- 追悼,Ralph Towner。(2026.01.20)
- 2025年の回顧:音楽編(その2::ジャズ)(2025.12.29)
- Dino Saluzziの新作は哀愁度高く心に沁みるアルバムであった。(2025.12.17)
- "The Köln Concert: 50th Anniversary Special Edition"を入手。無駄遣いと言われればその通りだが。(2025.12.14)
- 全然ECMっぽくないのだが,音に痺れるジョンスコ~Dave Hollandデュオ。(2025.11.29)
「新譜」カテゴリの記事
- Chick Coreaの旭川でのソロ・ライブ音源が公開された。(2026.02.06)
- Joel Rossの新作はその名も"Gospel Music"。だが,典型的ゴスペルではない。(2026.02.07)
- Julian Lageの新作はまたもJoe Henryプロデュース。(2026.01.25)
- 今年最初の新譜はEnrico Pieranunzi。あの"Live in Paris"と同じメンツで悪いはずなし。(2026.01.05)
- 2025年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)(2025.12.28)
「ジャズ(2018年の記事)」カテゴリの記事
- 2018年の回顧:音楽編(その2:ジャズ)(2018.12.30)
- 買ってしまったDave BrubeckのColumbiaボックス。(2018.12.27)
- 年末になって届いたFred Herschの未発表ライブ音源がいいねぇ。(2018.12.25)
- 2018年の回顧:ライブ編(2018.12.24)
- 年末で記事の更新が滞ってしまった。ってことで,今日はECMのAndrew Cyrille作。(2018.12.23)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 一聴,KeithのEuropean Quartetを想起させたTrygve Seimの新作:
» Helsinki Songs/Trygve Seim [ジャズCDの個人ページBlog]
ECMレーベルの新譜聴き3日目。Trygve Seimってこんなにメロディ美しか [続きを読む]
« Hans Otte: このミニマルな響きがたまりまへん。 | トップページ | 安値で入手したMatthew Stevensの初リーダー作。 »

































































全部ではなくても、1曲目でこういう美メロ曲を持ってきたところなんか、反則技ですねえ(笑)。メンバーの良さもあるし、最近はECMは印象的なアルバムが多いと思います。前はTrygve Seimはもっと地味だと思っていましたけど...。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2018年10月24日 (水) 21時34分
910さん,続けてこんばんは。こちらもTBありがとうございます。
確かに1曲目は確信犯的なところも感じますが,まぁいい演奏だからいいんじゃないでしょうか。今やKeithにEuropean Quartetの再編を望んでも無理ですから。
いずれにしても,リスナーの心をつかむのがつくづくうまいManfred Eicherって気がしました。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年10月24日 (水) 23時19分