追悼,Hamiet Bluiett
出張中にHamiet Bluiettの訃報に接した。長期間,療養中と報じられていたが,ついにこの世を去ってしまった。
私はかなり前からこの人の音楽が好きで,CDも何枚か保有している。だが,それはWorld Saxophone Quartetのものではなく,あくまでも彼のリーダー・アルバムであった。正直言って,WSQの音楽は私には敷居が高く感じられた,昔のイメージが残っていたからだからであるが,Hamietのリーダー作にはそういう感覚を覚えたことはなかった。
WSQでの活動があったり,もともとロフト・ジャズとか言われていた彼の音楽は,決して日本では真っ当に評価されていたとは思えない。必要以上にフリーであったり,前衛であったりという目で見られていたのではないのかと思えるのだ。しかし,本国においては名門Village Vanguardに自身のクァルテットで出演しているし,その時の模様は"Ballads & Blues"というアルバムとして残されている。確かに一筋縄ではいかない音楽をやる人ではあったが,Hamiet Bluiettの音楽の根底にあるのはあくまでもブルーズであったと思っている。そうした感覚でこの人の音楽を楽しんできた私は,彼の音楽に抵抗は全然なかったし,むしろバリトン・サックス好きを刺激してくれることにシンパシーを感じていたと言ってもよい。Gil Evans Orchestraにおける活動も印象深かったしねぇ。
そして,今回追悼の意味を込めて,トレイに乗せたのは"Ebu"である。これはSoul Noteからのアルバムであるが,Bluiettのワンホーンによる演奏は結構コンベンショナルな響きである。フリーキーなトーンも交えながらではあるが,ここでもブルーズに根差した演奏を聞かせていると思う。こういうところでMarvin "Smitty" Smithの名前を見つけるところが嬉しいが,それからしてもフリーな展開はないだろうと思える。ピアノもJohn Hicksだけに,決して完全フリーにはなることはないのである。もちろん,自由度の高い音楽であることは否定しようもないが,"Things Will Never Be the Same"の冒頭に聞かれるBluiettとSmittyのデュオ・パートなんてぞくぞくさせられるではないか。
こういう音楽を聞いていると,ジャズのスリルを体現しうる本当に魅力的なバリトン・プレイヤーだったと思える。また一人,ジャズ界は素晴らしいミュージシャンを失ったと言わざるをえない。
R.I.P.
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