Barre Phillips,最後(?)のソロ・アルバム。
"End to End" Barre Phillips(ECM)
Barre Phillips,私にとっては高いハードルとなってきた人である。ベース・ソロでアルバムを作った最初の人はBarre Phillipsらしいが,結構若い頃からECMのアルバムは聞いていても,ベース・ソロというのはさすがに厳しいという感じで敬遠してきたというのが実際のところである。そうしたところもあって,彼のリーダー作は"Mountain Scape"しか保有していない。じゃあ,何枚も保有しているDavid Darlingのチェロ・ソロならいいのか?と聞かれれば,返す言葉もないのだが,まぁはっきり言ってしまえば食わず嫌いである(爆)。
本作のSteve Lakeのライナーによれば,本作はBarre Phillipsからの直々に総帥,Manfred Eicherに連絡があって,最後のソロ・アルバムを作りたいのだが,ECMとしてはどうよ?って聞いてきたらしい。Eicherとしては断る理由もないということで,本作がレコーディングされることになったようである。私も年を重ねて,いろいろな音楽に接してきていて,ベース・ソロだからと言ってビビることはなかったし,現代音楽も結構好んで聴いているので,今回は「最後のベース・ソロ・アルバム」ということとあっては,発注せざるをえまいと思ってしまった私であった。
そして流れてきた音は,決してアブストラクトではないベースの響きを聞かせるものであり,43分余りの時間はあっという間に過ぎていったという感じである。もちろん,聞き易いなんて言うつもりはないし,一般の人にとっては,それはハードルが高い音楽であることは間違いない。しかし,ライナーを書いているのがSteve Lake,そしてライナーの多くの写真を撮っているのがSun Chungってことからしても,それだけでBarre PhillipsのECMにおける立ち位置がわかるってものだ。それだけ「最後のベース・ソロ・アルバム」の意味合いは重いということを表している。Barre Phillips単独名義でのECMでのリーダー作は91年の"Aquarian Rain"以来だと思うが,それでもこうしたレコーディング機会を提供されるBarre Phillips。それをどう捉えて,この音楽に対峙するかが,少なくともECMレーベル好きにとっては重要だろう。
いずれにしても,私はこのアルバムを聞いて,これまで食わず嫌いでいたことを大いに反省した。ミニマルとは全く違いながら,簡潔にして,深遠。何回も聞くようなものではないかもしれないが,聞いておかねばならないと思わせるに十分な音であった。星★★★★☆。私の中でのハードルも若干下がったので,ストリーミングで,過去のBarre Phillipsのベース・ソロも聞いてみることにしよう。
Recorded in March, 2017
Personnel: Barre Phillips(b)
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こういうアルバムを出せる環境にあるECMって、やっぱりいいですね、とそのやり取りを知っただけでも感動モノなんですが、いろいろなテクニックを駆使している反面、地味なサウンドに受け取ってしまう人もいるだろうな、と反響に関しては多少複雑な気持ちでいます。
83歳、最後のソロの録音ということだけで、その経歴を考えると、かみしめて聴きました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2018年9月25日 (火) 17時51分
910さん,こんにちは。TBありがとうございます。
世界初のベース・ソロのアルバムはBarre Phillipsによるもので,その後のECMとの関わりを考えると,Steve Lakeがライナーに書いた逸話は感慨深いですよね。襟を正して聞きたくなる作品って感じでした。でも決して難解なところはないのも素晴らしいです。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年9月29日 (土) 11時33分